JP2732518B2 - ピストンリング及びその製造方法 - Google Patents

ピストンリング及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 【0001】 【産業上の利用分野】この発明は、ピストンリングに関
し、更に詳しくは、耐焼き付き特性と耐摩耗特性とが改
善された内燃機関用ピストンリング及びその製造方法に
関する。 【0002】 【従来の技術】往復動内燃機関に使用されるピストンリ
ングには高度な耐摩耗特性が要求される。それ故、ピス
トンリングに耐摩耗特性を付与することを目的として、
摺動面に硬質クロムめっき層を形成させたピストンリン
グが内燃機関用ピストンリングとして従来から多用され
ている。 【0003】ところで、近年、内燃機関がますます高速
化、高出力化する趨勢にあり、したがって、ピストンリ
ングの使用条件もますます過酷なものとなってきてお
り、従来のクロムめっき層を有するピストンリングでは
耐摩耗特性が充分でない場合があり、更に優れた耐摩耗
耐焼き付き特性を有するピストンリングが望まれてい
る。 【0004】それ故、ピストンリングの耐摩耗耐焼き付
き特性を更に改善するための努力が払われており、摺動
面にイオンプレーティング法により金属チタンの窒化物
あるいは炭化物の皮膜を形成させたピストンリングも提
案されている(特開昭57−57868号及び特開昭5
7−65837号)。 【0005】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、金属チ
タンの窒化物や炭化物の皮膜は硬質クロムめっき層に比
べて優れた耐摩耗耐焼き付き特性を示すものであるが、
窒化物や炭化物は硬度が高く柔軟性に欠け、また、熱膨
張係数が金属のそれに比べて著しく小さいために、金属
母材との密着性が悪く、特に応力の作用状態の下で使用
されるピストンリングの摺動面層としてこれらの窒化物
や炭化物層を形成する場合には機関の運転中にリング母
材から剥離を生じ易いという問題があり、実用に供され
るには到っていない。 【0006】また、イオンプレーティング法による上記
皮膜の形成は皮膜生成速度が遅く、充分な厚さの被覆膜
を形成するには長時間を要するので生産上難があり実用
に供し得るものではない。 【0007】この発明は、上記に鑑み、従来の問題点を
解消し、過酷な使用条件下においても充分な耐摩耗耐焼
き付き特性を示し、皮膜の剥離が起こり難いピストンリ
ング及び皮膜形成速度が速いピストンリング皮膜形成方
法を提供することを目的としてなされたものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】本発明の第一は、少なく
とも一つの摺動面に、Cr2 N型窒化クロムからなる混
合組織を主成分とした組織でなる被覆層を形成したこと
を特徴とするピストンリングであり、その第二は、イオ
ンプレーティング法により、少なくとも一つの摺動面
に、Cr2 N型窒化クロムからなる混合組織を主成分と
した組織でなる被覆層を形成することを特徴とするピス
トンリングの製造方法である。すなわち、本発明の第一
に係るピストンリング(1)の具体例は図1に示すよう
に、ピストリング母材(2)、例えば鋳鉄もしくはばね
鋼にCr2 N型窒化クロムからなる混合組織を主成分と
する被覆層(3)を30〜54μmの厚みに形成したも
のである。 【0009】 【作用】本発明のピストンリングの被覆層は、PVD
法、 好ましくは減圧された窒素ガス雰囲気中で金属クロ
ムを蒸着させる反応性イオンプレーティング法を利用
し、金属クロムの蒸着過程で該金属をCr2 N型窒化ク
ロムに転換させることにより形成することができる。 【0010】本発明において、被覆膜を構成する成分を
クロムの窒化物であるCr2 Nとした理由は、Cr2
型窒化クロムの熱膨張係数が母材金属のそれに近く、し
たがって、ピストンリングの使用中に被覆層が該金属母
材から剥離することが防止できるためである。またその
硬度は硬質クロムめっき皮膜より硬く、硬質クロムめっ
きより良好な耐摩耗耐焼き付き特性を示すので、ピスト
ンリングの耐摩耗性、耐焼き付き性を向上させる。 【0011】また、本発明では被覆層構成成分として特
にクロムを採用する他の理由は、イオンプレーティング
法による金属クロムの蒸着速度が他の金属よりも大であ
り、生産性の観点からきわめて有効であるためである。
例えば、1×10-5torrの真空中でクロムまたはチタン
を蒸発材料として、これを2KWの電子ビームを照射
し、該蒸発材料から240mm離れて位置する炭素鋼
(S45C)板の表面にクロムまたチタンを蒸着させた
ところ、チタンの蒸着速度は0.34μm/minであ
るのに対してクロムのそれは4.0μm/minであ
り、クロムの蒸着速度は極めて速いものである。 【0012】 【実施例】100×100×10mmの鋳鉄製平板の片
面をラッピングして1μm以下の表面粗さに仕上げ、試
料素材とした。これを反応性イオンプレーティング装置
の容器内にセットし、該容器中に排気して5×10-4to
rrの真空とした後、試料を加熱した。試料が所定温度に
達してから容器内に窒素ガスを導入して1×10-2torr
としボンバードによる試料表面のクリーニングをおこな
い、次いで容器内に窒素ガスを導入し所定の窒素ガス分
圧にし、金属クロムを蒸発材としてHCD型電子銃によ
り蒸発させ蒸着処理をおこなった。得られた試料表面被
覆層の構成組織はX線解析によって行い、その結果を図
4に示す。操作条件及び調査結果を表1に示す。 【0013】 【表1】 操作条件 皮膜特性 試料 N2 ガス分圧 試料温度 構成組織 被覆層 硬さHmV No ×10 -3 torr 厚さμm 1 1.2 400 Cr2 N 45 1650 【0014】(耐焼き付き試験)前記試料No.1から
一方の正方形端部が被覆層となるように5×5×10m
m試験片を採取し、耐焼き付き試験をおこなった。ま
た、比較のために従来の硬質クロムめっきを施した試料
(Crめっき)及びイオンプレーティング法により窒化
チタンの被覆層を形成した試料(TiN)についても同
様な試験を実施した。 【0015】試験装置は図2及び図3にその概要を図解
的に示すものであって、ステータ(4)に取り外し可能
に取り付けられた直径80mmの円板(摺動相手材)
(5)の中央には裏側から注油孔(6)を通して潤滑油
が注油される。また、ステータ(4)は図示省略した油
圧装置によって右方向に向けて所定圧力で押され押圧力
Pが作用するようにしてある。円板(5)に相対向して
ロータ(7)が配され、該ロータは図示省略した駆動装
置によって所定速度で回転する。 【0016】ロータ(7)の円板(5)に対向する端面
には試料保持具(7a)が設けられていて、試料保持具
(7a)には同心円上に等間隔をなして正方形の摺動面
を有する4個の試験片(8)が取り付けられ該摺動面が
円板(5)に対接摺動する。このような装置において、
摺動面に所定給油速度で給油しながらロータ(7)を回
転させる。一定時間毎にステータ(4)に作用する圧力
を段階的に増加させ、円板(5)と試料片との摺動によ
り発生する摩擦力をトルクTとしてスピンドル(9)を
介してロードセル(10)に作用させ、その変化を動歪
計(11)で読み、記録計(12)に記録させる。焼き
付き現象が発生するとトルクTが急激に上昇する。した
がって、トルクTが急激に上昇するときに摺動接触面に
作用している接触面圧を焼き付き発生面圧とし、この焼
き付き発生面圧の大小で耐焼き付き特性の良否を判定す
る。 【0017】試験条件は次の通りである。 摺動速度:8m/秒 潤滑油:SAE#20 モータオイル 潤滑油の供給条件:300ml/分 油温:90℃ 接触圧力:20kg/cm2 から3分間経過毎に10k
g/cm2 づつ上昇させる。 摺動相手材(円板5):鋳鉄材 FC30 【0018】試験結果を表2に示す。 【0019】 【表2】試料 焼き付き発生面圧(kg/cm 2 本発明 130 比較材(TiN) 130 比較材(Crめっき) 110 【0020】表2より明らかな如く、本発明に係る表面
被覆層は窒化チタンに匹敵する耐焼き特性を示し、硬質
クロムめっき材に比較して優れた耐焼き付き特性を示し
ている。 【0021】(耐摩耗試験) 前記の耐焼き付き試験で用いた試験装置を使用し、接触
圧力を100kg/cm2 とし、摩耗速度を3m/mi
n,5m/min,8m/minとし、摩耗距離を40
0km、給油量を500ml/minとして試験片と相
手円板とを摺動させた後、試験片及び相手方円板を試験
装置から取り外し、両者の摩耗量を測定した。なお、試
験片および相手円板の材料は前記の耐焼き付き試験に於
けると同一とした。試験片の摩耗量は試験片の摩耗の高
さ(μm)で、また、相手円板の摩耗量は摩耗によって
生じた環状摩耗痕の半径方向断面積(×10-5cm2
で測定した。試験の結果を図4に示す。 【0022】Cr2 N型窒化クロムを主成分として組織
でなる被覆層を有する試験片は、耐摩耗特性が優れてい
るとして従来実用に供されている硬質クロムめっきやイ
オンプレーティングにより生成したTiN皮膜に較べ、
自身の摩耗量および相手円板の摩耗量共に少なく、良好
な耐摩耗特性を示している。 【0023】 【発明の効果】以上の通り、本発明のピストンリング
は、耐焼き付き特性が良好で且つ耐摩耗特性が優れてお
り、過酷な運転条件下で使用される内燃機関に使用する
場合に特にその効果が顕著である。
【図面の簡単な説明】 【図1】本発明のピストンリングの一例を示す断面図で
ある。 【図2】耐焼き付きおよび耐摩耗試験装置を示す一部断
面図である。 【図3】耐焼き付きおよび耐摩耗試験装置を示す一部側
面図である。 【図4】摩耗試験の結果を示すグラフ図である。 【図5】本発明試料についてのX線解析チャートであ
る。 【符号の説明】 1 ピストンリング 2 ピストンリング母材 3 被覆層 4 ステータ 5 円板(摺動相手材) 6 注油孔 7 ロータ 8 試料

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.少なくとも一つの摺動面に、Cr2 N型窒化クロム
    を主成分とした組織でなるイオンプレーティング被覆層
    を形成したことを特徴とするピストンリング。 2.イオンプレーティング法により、少なくとも一つの
    摺動面に、Cr2 N型窒素クロムを主成分とした組織で
    なるイオンプレーティング被覆層を形成することを特徴
    とするピストンリングの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
SURFACE ENGINEERING CONF.’85,VOL.III:PAPER44,(1985),P.197−206

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