JP2732104B2 - 耐久比の優れた構造用鋼 - Google Patents
耐久比の優れた構造用鋼Info
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- JP2732104B2 JP2732104B2 JP63331913A JP33191388A JP2732104B2 JP 2732104 B2 JP2732104 B2 JP 2732104B2 JP 63331913 A JP63331913 A JP 63331913A JP 33191388 A JP33191388 A JP 33191388A JP 2732104 B2 JP2732104 B2 JP 2732104B2
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、従来鋼に比べて極めて優れた耐久比を有す
るために、特に産業車両あるいは建設機械のピン、シャ
フト、ロッド等の機械構造用部品として有用な構造用鋼
に関する。
るために、特に産業車両あるいは建設機械のピン、シャ
フト、ロッド等の機械構造用部品として有用な構造用鋼
に関する。
[従来の技術] 産業車両あるいは建設機械のピン、シャフト、ロッド
等の機械構造部品は、優れた耐久比が要求される。ここ
で耐久比とは疲労強度を引張強さで除したものであっ
て、同一強度における疲労強度を表す数値である。一般
的にこれら機械構造用部品の折損の7〜8割は疲労破壊
によると言われているので、この耐久比は機械構造用部
品にとっては極めて重要な特性である。
等の機械構造部品は、優れた耐久比が要求される。ここ
で耐久比とは疲労強度を引張強さで除したものであっ
て、同一強度における疲労強度を表す数値である。一般
的にこれら機械構造用部品の折損の7〜8割は疲労破壊
によると言われているので、この耐久比は機械構造用部
品にとっては極めて重要な特性である。
[発明が解決しようとする問題点] 一般的に疲労強度を上げるためには硬さすなわち引張
強さを向上させれば良いとされているが、強度を向上す
ると材料の切削が困難となるので、材料の切削性を阻害
しない範囲でしか強度の向上が図れないというのが現状
である。
強さを向上させれば良いとされているが、強度を向上す
ると材料の切削が困難となるので、材料の切削性を阻害
しない範囲でしか強度の向上が図れないというのが現状
である。
そこで、これら機械構造用部品には、SCM435、SCM440
といったような機械構造用合金鋼を焼入焼もどしして使
用されているが、産業車両や建設機械の高性能化、軽量
化あるいは信頼性の向上のために、さらにこれら機械構
造用部品の耐久比の向上が望まれている。
といったような機械構造用合金鋼を焼入焼もどしして使
用されているが、産業車両や建設機械の高性能化、軽量
化あるいは信頼性の向上のために、さらにこれら機械構
造用部品の耐久比の向上が望まれている。
本発明は産業車両あるいは建設機械のピン、シャフ
ト、ロッド等に使用される機械構造用鋼の前記のごとき
問題点に鑑みてなされたもので、従来の機械構造用鋼よ
りも耐久比を飛躍的に増大した構造用鋼を提供すること
を目的とする。
ト、ロッド等に使用される機械構造用鋼の前記のごとき
問題点に鑑みてなされたもので、従来の機械構造用鋼よ
りも耐久比を飛躍的に増大した構造用鋼を提供すること
を目的とする。
[問題点を解決するための手段] 発明者は従来の機械構造用鋼の耐久比を向上させるた
めに鋭意研究を重ねた結果、従来鋼では達成できなかっ
た高い耐久比を得ることに成功した。すなわち、従来鋼
の耐久比は炭素鋼の焼入焼もどしで0.47、SCM系の合金
鋼の焼入焼もどしでで0.53程度であるのに、本発明鋼で
は0.58の耐久比が得られた。
めに鋭意研究を重ねた結果、従来鋼では達成できなかっ
た高い耐久比を得ることに成功した。すなわち、従来鋼
の耐久比は炭素鋼の焼入焼もどしで0.47、SCM系の合金
鋼の焼入焼もどしでで0.53程度であるのに、本発明鋼で
は0.58の耐久比が得られた。
本発明の特徴は、適量のVが添加された微細なフェラ
イト・パーライト組織である。従来、耐久比の最も良好
な組織は焼入マルテンサイトを焼もどしして得られるソ
リバイト組織といわれていたが、極めて微細なフェライ
ト・パーライト組織を有し、なおかつフェライトがVに
より強化された組織が一層優れた耐久比を有することを
発見した。
イト・パーライト組織である。従来、耐久比の最も良好
な組織は焼入マルテンサイトを焼もどしして得られるソ
リバイト組織といわれていたが、極めて微細なフェライ
ト・パーライト組織を有し、なおかつフェライトがVに
より強化された組織が一層優れた耐久比を有することを
発見した。
上記に述べた耐久比に極めて優れた組織を得るには通
常の熱処理では不可能であり、0.25%以上という高いV
を有する鋼を1000℃から1300℃の温度にて、Vを十分に
固溶させた後、800℃から900℃の温度にて60%以上とい
う高い減面率にて圧延することによって初めて可能であ
る。
常の熱処理では不可能であり、0.25%以上という高いV
を有する鋼を1000℃から1300℃の温度にて、Vを十分に
固溶させた後、800℃から900℃の温度にて60%以上とい
う高い減面率にて圧延することによって初めて可能であ
る。
このようにして得られた組織は、従来のソルバイト組
織に比べて特に疲労初期の微視的すべりの発生に対して
高い抵抗を有するため、耐久比が向上することを知見し
た。
織に比べて特に疲労初期の微視的すべりの発生に対して
高い抵抗を有するため、耐久比が向上することを知見し
た。
本発明の耐久比の優れた構造用鋼は第1発明として、
重量比でC;0.20〜0.45%、Si;0.10〜0.80%、Mn;1.00〜
2.00%、Cr;0.60%以下、V;0.25〜0.60%、P;0.018%以
下を含有し、残部Feならびに不純物元素からなる鋼を、
1000〜1300℃にて加熱後、800〜900℃の間の温度で60%
以上の減面率を与える熱間圧延を施し、550℃まで10〜2
00℃/分の冷却速度で冷却することにより、JIS結晶粒
度番号7以上でかつフェライト面積率30%以上の微細な
フェライト−パーライト組織としたことを要旨とする。
重量比でC;0.20〜0.45%、Si;0.10〜0.80%、Mn;1.00〜
2.00%、Cr;0.60%以下、V;0.25〜0.60%、P;0.018%以
下を含有し、残部Feならびに不純物元素からなる鋼を、
1000〜1300℃にて加熱後、800〜900℃の間の温度で60%
以上の減面率を与える熱間圧延を施し、550℃まで10〜2
00℃/分の冷却速度で冷却することにより、JIS結晶粒
度番号7以上でかつフェライト面積率30%以上の微細な
フェライト−パーライト組織としたことを要旨とする。
第2発明は第1発明の切削性を改善するため、さらに
S;0.04〜0.10%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.0060
%のうち1種または2種以上を含有し、第3発明は第1
発明の靭性を向上するため、さらにTi;0.003〜0.100お
よび/またはNb;0.003〜0.200%を含有したことを要旨
とする。
S;0.04〜0.10%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.0060
%のうち1種または2種以上を含有し、第3発明は第1
発明の靭性を向上するため、さらにTi;0.003〜0.100お
よび/またはNb;0.003〜0.200%を含有したことを要旨
とする。
[作用] 本発明鋼では、Vを0.25〜0.60%添加することによ
り、フェライト・パーライト組織を強化し従来鋼では得
られなかった程度に耐久比を向上することができる。さ
らにPを0.018%以下に低減することにより組織の強靭
化を図り、耐久力の向上に寄与せしめた。また、本発明
では800〜900℃の間の温度で60%以上の減面率で熱間圧
延するという厳しい制御圧延によって、結晶粒を微細化
し疲労強度を向上させている。
り、フェライト・パーライト組織を強化し従来鋼では得
られなかった程度に耐久比を向上することができる。さ
らにPを0.018%以下に低減することにより組織の強靭
化を図り、耐久力の向上に寄与せしめた。また、本発明
では800〜900℃の間の温度で60%以上の減面率で熱間圧
延するという厳しい制御圧延によって、結晶粒を微細化
し疲労強度を向上させている。
次に本発明である耐久比の優れた構造用鋼の化学成分
の組成限定理由について説明する。
の組成限定理由について説明する。
C;0.20〜0.45% Cは機械構造用部品としての強度を確保する上で、あ
るいは高周波焼入れ硬さを確保する上で必不可欠であ
り、0.20%以上の含有が必要である。しかし、0.45%を
越えて含有されると耐久比の向上が困難となるので、上
限を0.45%とした。
るいは高周波焼入れ硬さを確保する上で必不可欠であ
り、0.20%以上の含有が必要である。しかし、0.45%を
越えて含有されると耐久比の向上が困難となるので、上
限を0.45%とした。
Si;0.10〜0.80% Siは脱酸剤として添加され、0.10%未満ではその作用
が不足する。また、0.80%を超えると靭性を著しく低下
させるので上限を0.80%とした。
が不足する。また、0.80%を超えると靭性を著しく低下
させるので上限を0.80%とした。
Mn;1.00〜2.00% Mnはフェライト−パーライト組織の強度確保、Sの固
定として1.00%以上の含有が必要である。しかし、2.00
%を越えて含有されると、焼入性が向上し過ぎて熱間圧
延のままでベイナイト、マルテンサイト等を発生させ、
必要以上に強度を増加させ、また切削性を低下させるの
で、その上限を2.00%とした。
定として1.00%以上の含有が必要である。しかし、2.00
%を越えて含有されると、焼入性が向上し過ぎて熱間圧
延のままでベイナイト、マルテンサイト等を発生させ、
必要以上に強度を増加させ、また切削性を低下させるの
で、その上限を2.00%とした。
Cr;0.60%以下 Crはフェライト−パーライト組織の強度確保のため
に、添加しても良いが、0.60%を越えると焼入性が向上
し過ぎて、熱間圧延後の焼入れ、焼もどし処理あるいは
熱間圧延のままでベイナイト、マルテンサイト等を発生
させ、必要以上に強度を増加させ、また切削加工性を低
下させるので、上限を0.60%とした。
に、添加しても良いが、0.60%を越えると焼入性が向上
し過ぎて、熱間圧延後の焼入れ、焼もどし処理あるいは
熱間圧延のままでベイナイト、マルテンサイト等を発生
させ、必要以上に強度を増加させ、また切削加工性を低
下させるので、上限を0.60%とした。
V;0.25〜0.60% Vは微細な炭化物を析出し必要な強度および靭性を得
ると共に耐久比を向上させるに必要な元素である。0.25
%未満ではその効果が不充分なので、下限を0.25%とし
た。しかし、0.60%を越えて含有させてもその効果が飽
和するとともに、コスト高となるので、上限を0.60%と
した。
ると共に耐久比を向上させるに必要な元素である。0.25
%未満ではその効果が不充分なので、下限を0.25%とし
た。しかし、0.60%を越えて含有させてもその効果が飽
和するとともに、コスト高となるので、上限を0.60%と
した。
P;0.018%以下 Pは含有量の増加とともに靭性を劣化させる元素であ
る。0.018%を超えて含有されると、組織が脆化し、耐
久比を劣化させるので、上限を0.018%とした。
る。0.018%を超えて含有されると、組織が脆化し、耐
久比を劣化させるので、上限を0.018%とした。
Ti;0.003〜0.100%、Nb;0.003〜0.200% TiおよびNbは結晶粒を微細化し耐久比を向上する元素
である。前記効果を得るためには少なくとも0.003%以
上の添加が必要である。しかし、Tiが0.100%を超え
て、Nbが0.200%を超えて含有されると、粗大化した炭
窒化物が析出し、却って耐久比が劣化するので、上限を
それぞれTi0.100%、Nb0.200%とした。S;0.04〜0.10
%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.0060% S、PbおよびCaは鋼の切削性を改善する元素であり、
この効果を得るためにはS0.04%以上、Pb0.05%以上、C
a0.0005%以上を添加する必要がある。しかし、S0.10%
以上、Pb0.30%以上、Ca0.0060%以上を添加しても効果
が飽和するとともに熱間加工性が劣化するので、上限を
それぞれ0.10%、0.30%および0.0060%とした。
である。前記効果を得るためには少なくとも0.003%以
上の添加が必要である。しかし、Tiが0.100%を超え
て、Nbが0.200%を超えて含有されると、粗大化した炭
窒化物が析出し、却って耐久比が劣化するので、上限を
それぞれTi0.100%、Nb0.200%とした。S;0.04〜0.10
%、Pb;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.0060% S、PbおよびCaは鋼の切削性を改善する元素であり、
この効果を得るためにはS0.04%以上、Pb0.05%以上、C
a0.0005%以上を添加する必要がある。しかし、S0.10%
以上、Pb0.30%以上、Ca0.0060%以上を添加しても効果
が飽和するとともに熱間加工性が劣化するので、上限を
それぞれ0.10%、0.30%および0.0060%とした。
加熱温度を100〜1300℃としたのは1000℃未満では鋼
中へVの固溶が十分でなく、かつ1300℃を超えると結晶
粒の粗大化や一部溶解するためであり、また本発明の制
御圧延において、800〜900℃の温度域で熱間圧延するこ
ととしたのは、800℃未満の温度では圧延が困難であり
また組織が不均一になるからであり、900℃を超えると
組織が微細化されないからである。熱間圧延の減面率を
60%以上としたのは、減面率が60%未満であると組織が
微細化されず、疲労強度の向上が見られないからであ
る。さらに熱間圧延後に550℃までの冷却速度を10〜200
℃/分としたのは、10℃より低いと充分な強度が得られ
ないからであり、200℃を越えるとベイナイトもしくは
マルテンサイトの発生により所望の結晶粒度のフェライ
ト−パーライト組織が得られないからである。また、JI
S結晶粒度番号を7以上としたのは、これ以下であると
所望の耐久比が得られないからであり、フェライト面積
率を30%以上としたのは、これ以下の場合は耐久比が向
上されないからである。
中へVの固溶が十分でなく、かつ1300℃を超えると結晶
粒の粗大化や一部溶解するためであり、また本発明の制
御圧延において、800〜900℃の温度域で熱間圧延するこ
ととしたのは、800℃未満の温度では圧延が困難であり
また組織が不均一になるからであり、900℃を超えると
組織が微細化されないからである。熱間圧延の減面率を
60%以上としたのは、減面率が60%未満であると組織が
微細化されず、疲労強度の向上が見られないからであ
る。さらに熱間圧延後に550℃までの冷却速度を10〜200
℃/分としたのは、10℃より低いと充分な強度が得られ
ないからであり、200℃を越えるとベイナイトもしくは
マルテンサイトの発生により所望の結晶粒度のフェライ
ト−パーライト組織が得られないからである。また、JI
S結晶粒度番号を7以上としたのは、これ以下であると
所望の耐久比が得られないからであり、フェライト面積
率を30%以上としたのは、これ以下の場合は耐久比が向
上されないからである。
[実施例] 次に、本発明の特徴を従来鋼、比較鋼と比べて実施例
で以て明らかにする。
で以て明らかにする。
第1表はこれら供試鋼の化学成分を示すものである。
第1表において、A〜K鋼は本発明鋼であって、A〜
D鋼は第1発明、E〜H鋼は第2発明、I〜K鋼は第3
発明鋼である。また、L〜N鋼は比較鋼であって、L鋼
はCが本発明の組成範囲より高い比較鋼、M鋼はVが本
発明の組成範囲より低い比較鋼、N鋼はPが本発明の組
成範囲より高い比較鋼である。O鋼はSCM435相当の従来
鋼、P鋼はSNCM439相当の従来鋼である。
D鋼は第1発明、E〜H鋼は第2発明、I〜K鋼は第3
発明鋼である。また、L〜N鋼は比較鋼であって、L鋼
はCが本発明の組成範囲より高い比較鋼、M鋼はVが本
発明の組成範囲より低い比較鋼、N鋼はPが本発明の組
成範囲より高い比較鋼である。O鋼はSCM435相当の従来
鋼、P鋼はSNCM439相当の従来鋼である。
第1表に示す本発明鋼および比較鋼については、直径
100mmの丸棒を1250℃に加熱後、850℃にて直径60mmの丸
棒に熱間圧延後、550℃まで40℃/分の冷却速度で冷却
した。また、従来鋼O鋼およびP鋼は直径60mmに圧延し
た丸棒を880℃にて加熱後、油浴中へ焼入れを行い、続
いて600℃にて焼もどしを行った。各供試材の中心部よ
りJIS4号試験片および小野式回転曲げ疲労試験片を機械
加工し、引張試験および疲労試験に供した。得られた結
果から耐久比を計算し第2表に示した。また、各供試鋼
についてフェライト面積率および結晶粒度番号を測定し
第2表に併せて示した。なお、第2表の比較例1は第1
発明鋼のA鋼の他の条件は発明例と同じで減面率50%
(85mmφより60mmφ)で制御圧延したものであり、比較
例2は第1発明鋼のD鋼を冷却速度を230℃/分で制御
圧延を行ったものである。また、比較例3は第2発明の
G鋼を熱間圧延温度を980℃で行ったものである。
100mmの丸棒を1250℃に加熱後、850℃にて直径60mmの丸
棒に熱間圧延後、550℃まで40℃/分の冷却速度で冷却
した。また、従来鋼O鋼およびP鋼は直径60mmに圧延し
た丸棒を880℃にて加熱後、油浴中へ焼入れを行い、続
いて600℃にて焼もどしを行った。各供試材の中心部よ
りJIS4号試験片および小野式回転曲げ疲労試験片を機械
加工し、引張試験および疲労試験に供した。得られた結
果から耐久比を計算し第2表に示した。また、各供試鋼
についてフェライト面積率および結晶粒度番号を測定し
第2表に併せて示した。なお、第2表の比較例1は第1
発明鋼のA鋼の他の条件は発明例と同じで減面率50%
(85mmφより60mmφ)で制御圧延したものであり、比較
例2は第1発明鋼のD鋼を冷却速度を230℃/分で制御
圧延を行ったものである。また、比較例3は第2発明の
G鋼を熱間圧延温度を980℃で行ったものである。
第2表から知られるように、比較鋼であるL鋼はC含
有量が高いため、フェライト面積率が低くそのため耐久
比が低く、M鋼はV含有量が低いため必要な強度および
疲労強度が得られず、Pの含有量の高い比較鋼であるN
鋼は耐久比において劣る。また、従来鋼であるO鋼およ
びP鋼はソルバイト組織であって、耐久比はそれぞれ0.
53および0.54であって、所望の耐久比が得られていな
い。
有量が高いため、フェライト面積率が低くそのため耐久
比が低く、M鋼はV含有量が低いため必要な強度および
疲労強度が得られず、Pの含有量の高い比較鋼であるN
鋼は耐久比において劣る。また、従来鋼であるO鋼およ
びP鋼はソルバイト組織であって、耐久比はそれぞれ0.
53および0.54であって、所望の耐久比が得られていな
い。
これに対して本発明鋼であるA〜K鋼は、フェライト
面積率が30%以上であって、結晶粒度番号が8〜9と微
細な組織を有するとともに、耐久比が0.57〜0.61と従来
鋼に比較して飛躍的に向上しており、本発明の効果が確
認された。
面積率が30%以上であって、結晶粒度番号が8〜9と微
細な組織を有するとともに、耐久比が0.57〜0.61と従来
鋼に比較して飛躍的に向上しており、本発明の効果が確
認された。
また、熱間圧延において減面率の少なかった比較例1
は結晶粒の微細化が図れずに耐久比が低く、熱間圧延後
の冷却速度の早かった比較例2はベイナイトの析出によ
り耐久比が極端に低く、熱間圧延温度の高かった比較例
3は結晶粒度が粗く同じく十分な耐久比が得られなかっ
た。これに対して本発明方法で制御圧延をした本発明例
はいずれも優れた耐久比を示し、その結果本発明の制御
圧延の効果が確認できた。
は結晶粒の微細化が図れずに耐久比が低く、熱間圧延後
の冷却速度の早かった比較例2はベイナイトの析出によ
り耐久比が極端に低く、熱間圧延温度の高かった比較例
3は結晶粒度が粗く同じく十分な耐久比が得られなかっ
た。これに対して本発明方法で制御圧延をした本発明例
はいずれも優れた耐久比を示し、その結果本発明の制御
圧延の効果が確認できた。
[発明の効果] 本発明の耐久比の優れた構造用鋼は以上説明したよう
に、Vを0.25〜0.60%添加することにより、フェライト
・パーライト組織を強化し、さらにPを低減することに
より組織の強靭化を図り、800〜900℃の間の温度で60%
以上の減面率で熱間圧延するという厳しい制御圧延によ
り、結晶粒を微細化したものであり、その結果耐久比を
0.57〜0.62という従来鋼で得られなかった程度に飛躍的
に向上したものである。本発明の耐久比の優れた構造用
鋼は、産業車両あるいは建設機械のピン、シャフト、ロ
ッド等の機械構造用部品として極めて有用であるばかり
でなく、機械構造用部品に限らず建築物、橋梁等の構造
材としても有用なものである。
に、Vを0.25〜0.60%添加することにより、フェライト
・パーライト組織を強化し、さらにPを低減することに
より組織の強靭化を図り、800〜900℃の間の温度で60%
以上の減面率で熱間圧延するという厳しい制御圧延によ
り、結晶粒を微細化したものであり、その結果耐久比を
0.57〜0.62という従来鋼で得られなかった程度に飛躍的
に向上したものである。本発明の耐久比の優れた構造用
鋼は、産業車両あるいは建設機械のピン、シャフト、ロ
ッド等の機械構造用部品として極めて有用であるばかり
でなく、機械構造用部品に限らず建築物、橋梁等の構造
材としても有用なものである。
Claims (3)
- 【請求項1】重量比でC;0.20〜0.45%、Si;0.10〜0.80
%、Mn;1.00〜2.00%、Cr;0.60%以下、V;0.25〜0.60
%、P;0.018%以下を含有し、残部Feならびに不純物元
素からなる鋼を、1000〜1300℃にて加熱後、800〜900℃
の間の温度で60%以上の減面率を与える熱間圧延を施
し、550℃まで10〜200℃/分の冷却速度で冷却すること
により、JIS結晶粒度番号7以上でかつフェライト面積
率30%以上の微細なフェライト−パーライト組織とした
ことを特徴とする耐久比の優れた構造用鋼。 - 【請求項2】重量比でC;0.20〜0.45%、Si;0.10〜0.80
%、Mn;1.00〜2.00%、Cr;0.60%以下、V;0.25〜0.60
%、P;0.018%以下を含有し、さらにS;0.04〜0.10%、P
b;0.05〜0.30%、Ca;0.0005〜0.0060%のうち1種また
は2種以上を含有し、残部Feならびに不純物元素からな
る鋼を、1000〜1300℃にて加熱後、800〜900℃の間の温
度で60%以上の減面率を与える熱間圧延を施し、550℃
まで10〜200℃/分の冷却速度で冷却することにより、J
IS結晶粒度番号7以上でかつフェライト面積率30%以上
の微細なフェライト−パーライト組織としたことを特徴
とする耐久比の優れた構造用鋼。 - 【請求項3】重量比でC;0.20〜0.45%、Si;0.10〜0.80
%、Mn;1.00〜2.00%、Cr;0.60%以下、V;0.25〜0.60
%、P;0.018%以下を含有し、さらにTi;0.003〜0.100お
よび/またはNb;0.003〜0.200%を含有し、残部Feなら
びに不純物元素からなる鋼を、1000〜1300℃にて加熱
後、800〜900℃の間の温度で60%以上の減面率を与える
熱間圧延を施し、550℃まで10〜200℃/分の冷却速度で
冷却することにより、JIS結晶粒度番号7以上でかつフ
ェライト面積率30%以上の微細なフェライト−パーライ
ト組織としたことを特徴とする耐久比の優れた構造用
鋼。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63331913A JP2732104B2 (ja) | 1988-12-29 | 1988-12-29 | 耐久比の優れた構造用鋼 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63331913A JP2732104B2 (ja) | 1988-12-29 | 1988-12-29 | 耐久比の優れた構造用鋼 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH02179840A JPH02179840A (ja) | 1990-07-12 |
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