JP2721889B2 - 液体の貯蔵装置 - Google Patents

液体の貯蔵装置

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JP2721889B2 JP63127969A JP12796988A JP2721889B2 JP 2721889 B2 JP2721889 B2 JP 2721889B2 JP 63127969 A JP63127969 A JP 63127969A JP 12796988 A JP12796988 A JP 12796988A JP 2721889 B2 JP2721889 B2 JP 2721889B2
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【発明の詳細な説明】 <産業上の利用分野> 本発明は水中における液体の貯蔵装置に関するもので
ある。
<従来の技術の問題点> 海等の水中作業において、掘削工事等に使用する安定
液等の液体を貯蔵するために、従来から貯蔵槽が用いら
れている。
しかし従来の貯蔵槽は次のような問題点を有してい
る。
<イ>貯蔵槽を海底に固定して設置した場合は、安定液
等の貯蔵量が少なくなると、貯蔵槽内に空間部が生じ、
周囲の海水の外圧が大きくなる。
そのため、貯蔵槽には外圧に耐える強度を持たせる必
要があり、構造が大掛かりとなり不済性である。
<ロ>海上で安定液等を貯蔵する場合には、従来は貯蔵
用台船を使用していた。
従って、このような台船の場合は、貯蔵深さが浅いた
め、平面積が大きくなり、他の作業に支障を及ぼすこと
がある。
<ハ>貯蔵槽を海中に浮かせて設置した場合は、従来は
安定液等の貯蔵量の増減により貯蔵槽が浮沈してしま
う。
そのため、貯蔵槽の設置の安定性が悪いとともに、配
管等の接続部分が複雑化し、または破損し易くなるとい
う問題がある。
<ニ>従来は1つの貯蔵槽に2種類以上の異なった液体
を溜める場合は、貯蔵槽内を鋼製等の隔壁により仕切っ
て使用していた。
そのため、1種類の液体の貯蔵量は隔壁により仕切ら
れた部分の容量分に限定されてしまい、貯蔵槽容積の有
効利用ができなかった。
<本発明の目的> 本発明は上記のような問題点を解決するためになされ
たもので、次のような目的を提供する水中における液体
の貯蔵装置に関するものである。
<イ>貯蔵槽全体の浮力を制御することによって、貯蔵
槽を水上(フローティング式)、水中(潜水式)、水底
(固定式)に設置する作業を容易にしかも確実に行う。
<ロ>貯蔵槽の内圧と外圧の差を小さくすることによっ
て、貯蔵槽の構造部材を小さくし、経済性を向上させ
る。
<ハ>貯蔵槽の平面積を小さくすることによって、作業
敷地内の有効的な利用を図る。
<ニ>貯蔵槽の全容量に近い量の液体を溜めることによ
って、貯蔵槽容量の有効的な利用を図る。
<本発明の構成> 以下、図面を参照しながら本発明の一実施例について
説明する。
なお本実施例においては、貯蔵槽を海底面に設置し、
下層室に安定液等の液体を貯蔵する場合について説明す
る。
<イ>貯蔵槽(第1、2図) 貯蔵槽1は円柱形等の函体であり、海底面に設置する
場合には、深さ方向の長さを海底面から海面までの長さ
よりも長く形成し、海面から露出させる。
また本発明の貯蔵槽1は、後述するように、貯蔵槽1
の内圧と外圧の差を小さくできるため、貯蔵槽1の壁厚
はさほど厚く形成しなくてもよい。
この貯蔵槽1の内部は、膜体2によって上下2層の部
屋に仕切られている。
<ロ>膜体(第1、2図) 膜体2は、例えばゴムや合成樹脂等で形成した可撓性
を有するシート状体のものが使用できる。
この膜体2の周縁部は貯蔵槽1の内面に密着されてお
り、貯蔵槽1の内部を上下2室に仕切るものである。
また膜体2の表面積は、安定液3または海水4を供給
したときに、貯蔵槽1の上下2室の容量が、貯蔵槽1の
全容量とほぼ等しい容量に拡張するだけの面積が必要で
ある。
<ハ>液体の供給排出手段(第1、2図) 液体の供給排出手段は、海上における掘削工事等に使
用する安定液3等を、膜体2で仕切られた貯蔵槽1の下
層室内に溜め込み、使用時に取り出すための機構であ
る。
例えば、貯蔵槽1の上端部に小容量の函体であるポン
プピット5を設置し、その下端部と貯蔵槽の下端部とを
連通管51によって連通して構成する。
ポンプピット5内には、安定液3の輸送用のポンプ52
を設置させ、そのポンプ52には輸送管53を連結する。
なお、ポンプピット5を貯蔵槽1の上端部外周に複数
または連続して設置することによって、ポンプ52を任意
の位置に設置することが可能となり、安定液3をどの位
置からも供給、排出することができて便利である。
<ニ>海水の供給排出手段(第1、2図) 海水の供給排出手段は、貯蔵槽1の周囲の海水を、膜
体2で仕切られた貯蔵槽1の上層室内に供給し、また外
部に排出するための機構である。
例えば、貯蔵槽1の上端部で海面よりやや低い位置
に、外部の海水を取り込むための取水ゲート6を設け、
また貯蔵槽1の上部の躯体等に海水の排出装置を設け
る。
海水の排出装置は、ポンプ61とそのポンプ61に連結し
た排水管62、また貯蔵槽1内に垂らし込んだホース63
と、このホース63を巻き取るためのホース巻取装置64と
で形成され、ホース63の一端はポンプ61に連結されてい
る。
また、貯蔵槽1内にはレベル計等を取り付け、レベル
計の信号により取水ゲート6のバルブの開口度を調節
し、海水の流入量を調節可能に構成する。
<液体の供給排出方法> 次に安定液3の供給排出方法について説明する。
<イ>供給方法(第3、4図) 先ず、取水ゲート6を閉鎖し、ポンプピット5内に海
水4より比重の重い安定液3を送り込む。
次に、海水4の排水ポンプ61を作動させ、ホース63を
ホース巻取位置64によって巻き上げながら、このホース
63から貯蔵槽1の上層室内の海水4を吸引し、排水管62
から外部に排出する。
これにより、安定液3は連通管51を介して貯蔵槽1の
下層室内に供給され、膜体2が安定液3に押し上げられ
て、安定液3は貯蔵槽1のほぼ全容量まで溜め込まれ
る。
このとき、膜体2は安定液3の押し上げ力のみでも上
方に移動するが、吊ワイヤー7等によって強制的に引き
上げることも考えられる。
<ロ>排出方法(第5図) 先ず、ポンプピット5内のポンプ52を作動させ、安定
液3を排出すると同時に、海水4の取水ゲート6を開放
して、外部の海水4を貯蔵槽1の上層室内に流入させ
る。
このときの海水4の流入量は、レベル計の信号により
取水ゲート6のバルブの開口度を調節しながら所定量流
入させる。
<その他の実施例> 以上の実施例は、貯蔵槽1を海底面に設置し、安定液
3を下層室内に貯蔵した場合について説明したが、その
他の実施例として、以下のような場合も考えられる。
(1)フローティング方式の場合(第6図) 上記の海水4の供給排出手段により、貯蔵槽1内の海
水位を調整することによって、海水4に対する貯蔵槽1
の比重を小さくし、浮力を発生させてフローティング方
式にすることができる。
(2)海中に浮遊させた場合(第7図) 先ず、貯蔵槽1の上端を天板11によって閉塞し、止水
施工を施した止水管12、13を天板11に鉛直方向に取り付
ける。
そして、これらの止水管12、13の上端部に、前述の海
水4の排出装置及びワイヤー7を取り付け、止水管12、
13内にホース63及びワイヤー7を通して、貯蔵槽1内に
垂らし込む。
また輸送管53を上方に延長して海面から露出させて構
成する。
このように構成した貯蔵槽1を、上記の海水4の供給
排出手段により、貯蔵槽1内の海水位を調整することに
よって、海水4に対する貯蔵槽1の比重を僅かに小さく
し、僅かな浮力を発生させて海中に浮遊させた状態、即
ち潜水状態で設置することができる。
(3)連通管のその他の構造(第8図) 上記実施例は連通管51を貯蔵槽1の外部側面に設置し
た場合であるが、第8図に示すように、連通管8を貯蔵
槽1内に全長にわたって設置することもできる。
この場合には、連通管8の下端部に安定液3の供給排
出用の開口部81を開設し、その上端部内にはポンプ52及
び輸送管53を位置させる。
そして、膜体2の中央部には、連通管8を貫通させた
板状の隔壁9を一体に取り付ける。
この隔壁9と連通管8との接触部は、止水材91によっ
て止水施工を行う。
(4)安定液を上層室に貯蔵する場合(第9図) 安定液3を上層室に貯蔵する場合には、膜体2の固定
部のやや上方に、ポンプピット5と貯蔵槽1内を連通す
る連通管54の下端部を開口する。
そして、海水4の取排水ゲート65を設けたパイプを、
貯蔵槽1の下方部に取り付け、貯蔵槽1の内部に設置し
たポンプ66に接続する。
安定液3を貯蔵するときは、連通管54を介して貯蔵槽
1の上層室内に安定液3を供給し、同時に取排水ゲート
65を開放し、ポンプ66を運転させて下層室内の海水4を
外部に排出する。
また、安定液3を取り出すときは、ポンプ52を運転さ
せて輸送管53より安定液3を外部に送り出し、同時に取
排水ゲート65を開放し、ポンプ66を運転させて下層室内
に海水4を供給する。
<本発明の効果> 本発明は以上説明したようになるので、次のような効
果を期待することができる。
<イ>本発明は貯蔵槽内の膜体で仕切られた上層室に、
海水の量を自由に調節して供給することができる。
そのため、水中における貯蔵槽の比重を自由に設定
し、貯蔵槽全体の浮力を制御することができる。
従って、貯蔵槽を水面上にフローティング方式に設置
したり、水中に浮遊させた状態で設置する作業を、容易
にしかも確実に行うことができる。
<ロ>貯蔵槽を水底に設置する場合には、浮力を制御す
ることができるため、貯蔵槽の水底面への接地圧を小さ
くし、水底面に軽く設置することができる。
<ハ>本発明の貯蔵槽内には、安定液等の液体または/
および海水を、常にほぼ充満させた状態にすることがで
きる。
そのため、貯蔵槽内に生じる空間部が少なく、周囲の
海水からの外圧も小さくて済む。
即ち、貯蔵槽の内圧と外圧の差を小さくし、貯蔵槽の
外周囲の海水とのバランスをとることができる。
従って、貯蔵槽の構造を従来のように大掛かりなもの
とする必要がなく、構造部材が小さなもので済むため、
経済性が向上する。
<ニ>貯蔵槽にかかる周囲の海水の外圧を小さくするこ
とができるため、貯蔵槽の深さ方向の長さを大きくとっ
ても構造上問題がない。
そのため、従来の台船上の貯蔵槽と比較すると、かな
り貯蔵槽の平面積を小さくすることができる。
従って、作業敷地内の有効的な利用が可能となる。
<ホ>本発明の貯蔵槽は、従来のような鋼製等の隔壁を
用いず、可撓性を有する膜体によって貯蔵槽内を仕切る
構造である。
そのため、この膜体を拡張させることによって、貯蔵
槽の全容量に近い量の安定液等の液体を溜めることがで
きる。
従って、貯蔵槽容量の有効的な利用ができる。
<ヘ>貯蔵槽下方部から連通管を引き出し、貯蔵槽上方
部のポンプピットと接続することにより、貯蔵槽下部に
溜められた安定液等の水位がどこであろうと、ポンプピ
ット部の安定液等の水位は、貯蔵槽上部の海水の水位と
ほぼ一致させることができる。
そのため、安定液等の取り出しを容易に行うことがで
きる。
【図面の簡単な説明】
第1図:本発明の貯蔵槽の一実施例の横断面図 第2図:本発明の貯蔵槽の一実施例の縦断面図 第3〜5図:液体の供給、排出方法の説明図 第6〜9図:その他の実施例の説明図

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】比重が水よりも大きい液体を水中に貯蔵す
    る液体の貯蔵装置において、 該液体を貯蔵し、水中に配置される貯蔵槽と、 貯蔵槽内を上下2層の部屋に仕切る可撓性の膜体と、 下層の部屋に接続された連通管と、 連通管に接続され、貯蔵槽の上部に配置される函体と、 函体内に配置され、連通管を通して下層の部屋に該液体
    を供給し、連通管を通して下層の部屋から該液体を排出
    する手段と、 上層の部屋に水を供給し、上層の部屋から水を排出する
    手段とを備え、 函体を介して該液体を下層の部屋へ供給し又は下層の部
    屋から排出すると共に、上層の部屋から水を排出し又は
    上層の部屋へ水を供給し、貯蔵槽内の水位を貯蔵槽外の
    水位より低くし、貯蔵槽全体の比重を貯蔵槽外の水の比
    重に近づけて、該液体を貯蔵することを特徴とする、 液体の貯蔵装置。
  2. 【請求項2】比重が水よりも大きい液体を水中に貯蔵す
    る液体の貯蔵装置において、 該液体を貯蔵し、水中に配置される貯蔵槽と、 貯蔵槽内を上下2層の部屋に仕切る可撓性の膜体と、 上層の部屋に接続された連通管と、 連通管に接続され、貯蔵槽の上部に配置される函体と、 函体内に配置され、連通管を通して上層の部屋に該液体
    を供給し、連通管を通して上層の部屋から該液体を排出
    する手段と、 下層の部屋に水を供給し、下層の部屋から水を排出する
    手段とを備え、 函体を介して該液体を上層の部屋へ供給し又は上層の部
    屋から排出すると共に、下層の部屋から水を排出し又は
    下層の部屋へ水を供給し、貯蔵槽内の水位を貯蔵槽外の
    水位より低くし、貯蔵槽全体の比重を貯蔵槽外の水の比
    重に近づけて、該液体を貯蔵することを特徴とする、 液体の貯蔵装置。
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