JP2718879B2 - 防弾チョッキ - Google Patents

防弾チョッキ

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JP2718879B2
JP2718879B2 JP5197190A JP19719093A JP2718879B2 JP 2718879 B2 JP2718879 B2 JP 2718879B2 JP 5197190 A JP5197190 A JP 5197190A JP 19719093 A JP19719093 A JP 19719093A JP 2718879 B2 JP2718879 B2 JP 2718879B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、弾丸等から身を守るた
めの防弾チョッキに関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、弾丸の飛び交う危険な現場で使
用される防弾チョッキとしては、高強度シェルを主体に
した鎧状のものが知られており、一方、投石程度の騒乱
現場で使用されるチョッキとしては、高強度織物製の簡
略なものが開発されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、高強度シェ
ルを用いた防弾チョッキは、重い上に着用者の体の動き
を制限するという問題があり、何等かの改善が望まれて
いる。一方、高強度織物だけで作られたチョッキは、可
撓製があるため着用者の自由な動作を許容するが、弾丸
や刃物による突刺し等に対しては、十分な安全性を確保
するのが難しい。
【0004】しかして、従来は、予想される現場の状況
に応じて、異なった種類のチョッキを選択使用しなけれ
ばならなかった。
【0005】本発明は、このような不具合を解消するこ
とを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次のような手段を講じたものである。
すなわち、本発明に係る防弾チョッキは、高強度織物製
のチョッキ本体と、このチョッキ本体における前見頃及
び後見頃の各内面に形成したポケット部と、そのポケッ
ト部内にそれぞれ装脱可能に装填された弾丸貫通防止用
の補強材とを具備してなり、補強材が、ゴム等の可撓性
シート材により、複数に分断したチタン等の高強度板を
両側から挟持してなるものであることを特徴とする。
【0007】ここで、高強度織物としては、パラ系アラ
ミド繊維を用いたものや、超高強力・高弾性ポリエチレ
ン繊維を使用したもの、あるいは、液晶ポリマーの一種
でありジアミノレゾルシノールとテレフタール酸の重合
で作られたポリパラフェニレンベンツビスオキサゾール
(POB)の繊維を用いたもの等、種々のものを採用す
ることが可能である。
【0008】弾丸の自転を効果的に制動して貫通性能を
急激に低下させるには、チョッキ本体を、高強度織物を
複数枚重合させてキルティング処理を施したものにして
おくのがよい。
【0009】本発明においては、補強材として、チタン
等の高強度板を備えており、装着感を良好なものにする
のに、前記補強材として、ゴム等の可撓性シート材によ
り複数に分断した高強度板を両側から挟持している。
【0010】
【作用】本発明によれば、チョッキ本体の両ポケット部
に所要強度を有する、チタン等の高強度板を、その両側
からゴム等の可撓性シート材により挟持した補強材を装
填しておけば、前面から被弾した場合でも、背面から弾
を受けた場合でも身を守ることが可能となる。この際の
防弾作用は概ね次の通りである。まず、弾丸が高強度織
物製のチョッキ本体に衝突するが、その衝突時に摩擦に
より弾丸の自転に制動がかけられる。そして、その弾丸
の前進はその内側に配された補強材に衝突することによ
り完全に阻止される。しかして、弾丸の自転がチョッキ
本体を構成している高強度繊維と摩擦することにより弱
められると、その弾丸の貫通力が著しく低下することに
なるため、比較的薄い補強材であっても弾丸の貫通を阻
止することが可能となり軽量化を図ることができる。換
言すれば、従来のシェルと同等厚みの補強材を使用すれ
ば、より強力な弾丸に耐え得るものとなる。特に、チョ
ッキ本体を、高強度織物を複数枚重合させてキルティン
グ処理を施したものにしておけば、打ち込まれた弾丸
が、縫製により移動を制限された複数枚の高強度織物を
1枚づつ捻りながら食い込むように前進することにな
る。そのため、弾丸は大きな回転制動力を受けることに
なり、その貫通力が顕著に低下することになる。
【0011】しかも、この防弾チョッキは、可撓性を有
したチョッキ本体の要所のみに補強材が配されたもので
あるため、従来のものよりも着用者の動きを制限する度
合いが低く、軽量化が容易になることと相まって、身軽
な動きを保証し得るものとなる。特に、補強材を、ゴム
等の可撓性シート材により複数に分断した高強度板を両
側から挟持したものにしておけば、補強材自体にも、あ
る程度の可撓性が生まれるため、着用感がさらに良好に
なり、より動き易いものとなる。
【0012】その上、本発明の防弾チョッキは、チョッ
キ本体における前見頃と後見頃にそれぞれ設けたポケッ
ト部に補強材を着脱可能に収容したものであるため、そ
れらの補強材を必要に応じて取り外すこともできる。そ
のため、前見頃のポケット部のみに補強材を装填して使
用したり、補強材を全て取り外してチョッキ本体のみで
用いることも容易に可能となる。したがって、前後から
の被弾に耐え得る重装備の防弾チョッキとして用いるこ
とができるだけでなく、状況に応じてその仕様を自由に
変更することが可能であり、その変更は現場における判
断に基づいて適宜行うこともできる。しかして、本発明
によれば、種々の仕様のものを適宜選択して使用せざる
を得ない従来品に比べて、より経済性が高く機動性に富
んだ使用態様を採ることのできる防弾チョッキを提供で
きるものである。
【0013】
【実施例】以下、本発明の一実施例を図1〜図5を参照
して説明する。
【0014】この防弾チョッキ1は、図1に示すよう
に、超高強力・高弾性繊維を用いた高強度織物7製のチ
ョッキ本体2と、このチョッキ本体2における前見頃3
及び後見頃4の各内面に形成したポケット部5と、その
ポケット部5内にそれぞれ装脱可能に装填された弾丸貫
通防止用の補強材6とを具備してなる。
【0015】詳述すれば、チョッキ本体2は、例えば、
ダイニーマ(東洋紡の登録商標)の品番DD−1421
等の高強度織物7を5枚重合させてキルティング処理を
施したものを使用して構成されたもので、その前見頃3
と後見頃4とは、右脇腹部8と右肩部9を介して一体に
連続させてあり、左脇腹部10と左肩部11には、前見
頃3と後見頃4とを接離可能に結合するマジックテープ
(商品名)12、17が設けてある。ダイニーマは、超
高強力・高弾性ポリエチレン繊維を平織りしたもので、
前述した品番のものは、糸デニールが800本、縦密度
33本/インチ、横密度33本/インチ、重量が250
g/m2 という構成を備えている。
【0016】なお、左脇腹部10に設けるマジックテー
プ12は、幅を広めに(例えば、5cm程度に)してお
くのが望ましい。それは、着用者に応じてその止着位置
を調整し、胸部及び腹部のだぶつきを少なくするためで
ある。
【0017】ポケット部5は、図2及び図3に示すよう
に、前見頃3の内面及び後見頃3の内面にそれぞれ同じ
ダイニーマを用いて形成したもので、その上縁開口部1
3にはマジックテープ18が設けてある。ポケット部5
の底辺部分は、比較的重量のある補強材6(例えば、
1.5kg程度)が抜け落ちないように、二重に縫製し
てある。
【0018】補強材6は、図5に示すように、可撓性シ
ート材たる2枚のゴム板14により、複数に分断した高
強度板たるチタン板15を挟持してなるもので、各ゴム
板14とチタン板15とは適宜な接合手段により接合し
てあり、各ポケット5内に収容されている。チタン板1
5としては、例えば、4mm厚さのものを使用し、相互
間に隙間が形成されないように配列させて2mm厚さ程
度のゴム板14によりサンドイッチ状に挟持させてあ
る。。
【0019】なお、頸部の上行動脈及び冠状動脈に弾丸
が直撃すると即死に至るため、補強材6の上縁は、動作
を拘束しない範囲で可及的に高い位置に設定しておくの
が望ましい。
【0020】この防弾チョッキ1は、左脇腹部10と左
肩部11に設けたマジックテープ12、17を外した状
態で、右腕を右袖部16に挿入し、しかる後に、それら
マジックテープ12、17を接合させることによって着
用が完了するものであり、通常はアンダーシャツの直上
に着用する。
【0021】しかして、このような構成のものであれ
ば、前面から被弾した場合でも、背面から弾を受けた場
合でも身を守ることが可能となる。具体的には、まず、
弾丸が超高強力・高弾性ポリエチレン繊維で織られた高
強度織物7製のチョッキ本体2に衝突するが、その衝突
時に摩擦により弾丸の自転に制動がかけられるととも
に、その弾丸の貫通エネルギー、衝撃エネルギーがある
程度吸収される。そして、その弾丸の前進はその内側に
配されたチタン板15に衝突することにより完全に阻止
される。しかして、弾丸の自転を含む運動エネルギーが
チョッキ本体2を構成している高強度織物7により弱め
られると、その弾丸の貫通力が著しく低下することにな
るため、比較的薄いチタン板であっても弾丸の貫通を阻
止することが可能となり軽量化を図ることができる。こ
の実施例のように4mm厚さのチタン板15を使用すれ
ば、トカレフクラスの拳銃で至近距離から弾丸を打ち込
まれた場合でも、その貫通を阻止することが可能であ
る。ちなみに、高強度織物7として使われているダイニ
ーマは、貫通エネルギー吸収が27kgcm/cm2 、衝撃エ
ネルギー吸収が164cm/cm2 、強度が282.9kg/
mm2 、比重が0.97,弾性率が8894.9kg/m
m2 、耐磨耗性能(磨耗切断回数)が2250回という
特性を有しており、軽量でありながら前述した作用を十
分に発揮し得るものとなる。特に、この実施例のチョッ
キ本体2は、超高強力・高弾性ポリエチレン繊維により
作られた高強度織物7を複数枚重合させてキルティング
処理を施したものにしてあるので、打ち込まれた弾丸
が、縫製により移動を制限された複数枚の高強度織物7
を1枚づつ捻りながら食い込むように前進することにな
る。そのため、弾丸は大きな回転制動力を受けることに
なり、その貫通力が顕著に低下することになる。
【0022】しかも、この防弾チョッキ1は、可撓性を
有したチョッキ本体2の要所のみに補強材6が配された
ものであるため、従来のものよりも着用者の動きを制限
する度合いが低く、軽量化が容易になることと相まっ
て、身軽な動きを保証し得るものとなる。特に、補強材
6が、ゴム板14により複数に分断したチタン板15を
両側から挟持したものであるため、補強材6自体にも、
ある程度の可撓性が生まれる。そのため、着用感がさら
に良好になり、より動き易いものとなる。
【0023】その上、この防弾チョッキ1は、図4に示
すように、チョッキ本体2における前見頃3と後見頃4
にそれぞれポケット部5を設けておき、それらポケット
部5に補強材6を着脱可能に収容するようにしたもので
あるため、マジックテープ18を剥離させてポケット部
5を解放することによってそれらの補強材6を必要に応
じて取り外すこともできる。そのため、前見頃3のポケ
ット部5のみに補強材6を装填して使用したり、補強材
6を全て取り外してチョッキ本体2のみで用いることも
容易に可能となる。したがって、前後からの被弾に耐え
得る重装備の防弾チョッキとして用いることができるだ
けでなく、状況に応じてその仕様を自由に変更すること
が可能であり、その変更は現場における判断に基づいて
適宜行うこともできる。そして、このようなものであれ
ば、各ポケット部5に複数枚の補強材6を重合させて収
容したり、補強材と適宜な緩衝材とを重合させて収容す
るようなことも可能である。また、補強材の種類を変更
したり、改良された別の補強材と交換するようなことも
容易にできるものである。
【0024】なお、チョッキ本体2を構成している高強
度織物7は、前記実施例に限定されないのは勿論であ
り、ケプラー等の商品名で市販されているパラ系アラミ
ドや、前述したPOB等を用いてもよい。
【0025】また、ポケット部の形状や構造も図示実施
例に限られるものではないが、前記のように開口部にワ
ンタッチで開閉可能なマジックテープ18を設けておけ
ば、使用中に補強材6が上下動するのを効果的に防止す
ることができる上に、補強材6の取り外しや交換等の操
作を迅速に行うことができるものとなる。
【0026】さらに、補強材の構成や材質も前記実施例
のものに限定されるものではなく、例えば、高強度板と
してチタン以外の金属板やセラミック板を使用したり、
高強度板を分断せずに一体品として使用する等、本発明
の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0027】
【発明の効果】本発明に係る防弾チョッキは、以上説明
した構成であるから、前面から被弾した場合でも、背面
から弾を受けた場合でも身を守ることが可能となる。し
かも、この防弾チョッキは、チョッキ本体における前見
頃と後見頃にそれぞれポケット部を設けておき、それら
ポケット部に補強材を着脱可能に収容するようにしたも
のであるため、ポケット部を解放することによってそれ
らの補強材を必要に応じて取り外すこともできる。その
ため、前見頃のポケット部のみに補強材を装填して使用
したり、補強材を全て取り外してチョッキ本体のみで用
いることも容易に可能となる。したがって、前後からの
被弾に耐え得る重装備の防弾チョッキとして用いること
ができるだけでなく、状況に応じてその仕様を自由に変
更することが可能であり、その変更は現場における判断
に基づいて適宜行うこともできる。そして、このような
ものであれば、各ポケット部に複数枚の補強材を重合さ
せて収容したり、補強材と適宜な緩衝材とを重合させて
収容するようなことも可能である。また、補強材の種類
を変更したり、改良された別の補強材と交換するような
ことも容易にできるものである。
【0028】また、本発明のものは可撓性を有したチョ
ッキ本体の要所のみに補強材を配したものであるため、
シェルを用いた従来のものよりも着用者の動きを制限す
る度合いが低く、軽量化が容易になることと相まって、
身軽な動きを保証し得るものとなる。特に、補強材を、
ゴム板に複数に分断したチタン板を添設したものにすれ
ば、補強材自体にも、ある程度の可撓性が生まれる。そ
のため、着用感がさらに良好になり、より動き易いもの
となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す正面図。
【図2】同実施例の前見頃を内面側から示す説明図。
【図3】同実施例の後見頃を内面側から示す説明図。
【図4】同実施例の作用説明図。
【図5】図4におけるA−A線断面図。
【符号の説明】
1…防弾チョッキ 2…チョッキ本体 3…前見頃 4…後見頃 5…ポケット部 6…補強材 7…高強度織物 14…可撓性シート 15…高強度板(チタン板)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】高強度織物製のチョッキ本体と、このチョ
    ッキ本体における前見頃及び後見頃の各内面に形成した
    ポケット部と、そのポケット部内にそれぞれ装脱可能に
    装填された弾丸貫通防止用の補強材とを具備してなり、
    補強材が、ゴム等の可撓性シート材により、複数に分断
    したチタン等の高強度板を両側から挟持してなるもので
    あることを特徴とする防弾チョッキ。
  2. 【請求項2】チョッキ本体が、高強度織物を複数枚重合
    させてキルティング処理を施したものであることを特徴
    とする請求項1記載の防弾チョッキ。
JP5197190A 1993-08-09 1993-08-09 防弾チョッキ Expired - Lifetime JP2718879B2 (ja)

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