JP2718445B2 - 配列型受波装置 - Google Patents

配列型受波装置

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JP2718445B2
JP2718445B2 JP6297157A JP29715794A JP2718445B2 JP 2718445 B2 JP2718445 B2 JP 2718445B2 JP 6297157 A JP6297157 A JP 6297157A JP 29715794 A JP29715794 A JP 29715794A JP 2718445 B2 JP2718445 B2 JP 2718445B2
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  • Measurement Of Velocity Or Position Using Acoustic Or Ultrasonic Waves (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、水中音波を受信するた
めの受波装置における受波器の配列に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】一般に、装置を静止したままで、水平方
向の全周360°から到来する音波を均等に受信する従
来の受波装置は、円筒型の円周面上に多数個の受波器を
配置し、全周360°方向に複数個の待ち受けビームを
形成して水中音波を受信するものであり、これは円筒型
アレイと呼ばれている。
【0003】図7はこの種の円筒型アレイの受波器配列
の一例を示す構造図で、図7(a)は上面図、図7
(b)は正面図である。図において、101,102,
103,・・・・,130はそれぞれ受波器であり、こ
れら合計30個の受波器は、水平な円周上に12°毎の
間隔で配置されている。これら受波器101,102,
103,・・・・,130は最上段の水平な層を構成し
ており、第2段目の層は、受波器201,202,20
3,・・・・,230の合計30個の受波器で構成さ
れ、以下同様に、第9段目の最下段の層は、受波器90
1,902,903,・・・・,930の合計30個の
受波器で構成されている。これら第2〜第9段目の層内
の各受波器の位置は、最上段の層内の受波器位置と同一
であり、鉛直方向に等間隔で合計9層を積み重ねた構造
としており、全受波器は、円筒型の円周面上に配列され
ることになる。
【0004】水平な円周上で隣接する受波器間隔、すな
わち、受波器101と102の間隔,受波器102と1
03との間隔,・・・・,受波器130と101との間
隔と、鉛直方向で隣接する受波器間隔、すなわち、受波
器108と208の間隔,受波器208と308の間
隔,・・・・,受波器808と908の間隔とは、いず
れも、待ち受けビームを最も効率よく形成するために、
最高音響周波数の水中波長の2分の1に設定される。形
成されるビームパターンのビーム幅は、水平方向では水
平面上の受波器数(ここでは、30個)、鉛直方向では
鉛直方向に積み重ねた受波器数(ここでは9個)にそれ
ぞれ相応した角度幅となるので、待ち受け整相して設け
るビーム数も、一般的に、水平方向では水平面上の受波
器数、鉛直方向では鉛直方向の受波器数となり、全立体
角上で、総受波器数(ここでは、30×9=270個)
だけの待ち受けビームを形成して、到来する水中音波を
受信する。信号波の到来するビーム出力では、整相に用
いた受波器数だけの配列利得が得られて、SN比が向上
するものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の配列型受波装置であると、円筒形の円周面上に
受波器を配置しなければならないので、円筒形の受波器
支持構造が必要となり、構造が大型化するという問題が
ある。また、鉛直方向のビームパターンにおいて所望の
鋭いビーム幅を得るためには、鉛直方向に配列する層
数、すなわち、受波器数を多くしなければならないとい
う問題がある。本発明は、このような問題を解決するた
めになされたもので、小型で、かつ受波器の数を少なく
することが可能な配列型受波装置を提供することを目的
とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するた
め、本発明は、複数個の受波器を平面状に配列すること
として円平面を形成し、かつ、この円平面の中心付近で
隣接する複数の受波器の配置は、円平面の中心に対して
最内側に配置する複数の受波器のそれぞれに対して、該
受波器とは中心からの距離が異なる位置に配置する複数
の受波器と前記最内側の受波器との間隔を最高音響周波
数の水中波長の2分の1とした平面配列型受波器アレイ
を鉛直方向に複数組積み重ね、該複数個の平面配列型受
波器アレイの間隔を、最高音響周波数の水中波長の2分
の1以上でかつ1以下とするとともに、前記平面配列側
受波器アレイを、中心から等分な角度で放射状かつ水平
に展開する9本のアーム上に複数個の受波器をそれぞれ
配置したアレイとし、前記中心付近で隣接する複数の受
波器の間隔を最高音響周波数の水中波長の2分の1とし
たものを最小受波器間隔として、これより外側の受波器
は、アーム上で外側に向かう程、同じ倍率で拡げた間隔
で配置したものである。
【0007】
【作用】上述した構成を有する本発明は、複数の平面配
列型受波器アレイを、最高音響周波数の水中波長の2分
の1以上でかつ1以下の間隔をあけて鉛直方向に積み重
ねて配置することで、鋭いビーム幅をもった待ち受けビ
ームを鉛直方向に形成することができ、このとき、各平
面配列型受波器アレイの中心付近で隣接する複数の受波
器を最高音響周波数の水中波長の2分の1の間隔で配置
することで、副極レベルが低いものに抑えられる。
【0008】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明
する。図1は本発明の一実施例における配列型受波装置
を示す構造図で、図1(a)は上面図、図1(b)は正
面図であり、まず図1(a)を用いて、本実施例の配列
型受波装置の水平面上の構造について説明する。図にお
いて、1〜9は中心点Oから放射状に展開する9本のア
ームで、各アーム1〜9は同一の長さを有しており、均
等な角度間隔、すなわち、40°間隔で水平に展開して
いる。
【0009】1a〜1dはアーム1上に配置された4個
の受波器、2a〜2dはアーム1に対して120°開い
た位置にあるアーム2上に配置された4個の受波器、3
a〜3dはアーム1,アーム2に対して120°開いた
位置にあるアーム3上に配置された4個の受波器であ
る。4a〜4cは、アーム1とアーム2の間にあって、
アーム1に対して40°開いた位置にあるアーム4上に
配置された3個の受波器、5a〜5cは、アーム1とア
ーム2の間にあって、アーム4およびアーム2に対して
40°開いた位置にあるアーム5上に配置された3個の
受波器、6a〜6cは、アーム2とアーム3の間にあっ
て、アーム2に対して40°開いた位置にあるアーム6
上に配置された3個の受波器、7a〜7cは、アーム2
とアーム3の間にあって、アーム6およびアーム3に対
して40°開いた位置にあるアーム7上に配置された3
個の受波器、8a〜8cは、アーム3とアーム1の間に
あって、アーム3に対して40°開いた位置にあるアー
ム8上に配置された3個の受波器、9a〜9cは、アー
ム3とアーム1の間にあって、アーム8およびアーム1
に対して40°開いた位置にあるアーム9上に配置され
た3個の受波器であり、上述したように、120°間隔
となるアーム1,2,3上には4個の受波器、それ以外
のアーム4,5,6,7,8および9上には3個の受波
器を配置している。
【0010】そして、アーム1,2,3上の4個の受波
器配置を互いに同一とし、それ以外のアーム4,5,
6,7,8および9上の3個の受波器配置も互いに同一
として、本受波器アレイを角度方向から眺めた場合、全
周360°を3分割した均等な配列としている。各アー
ム上の受波器配置は、まず中心付近で、アーム1,2,
3上の最内側の受波器1a,2a,3aを中心点Oの最
も近くに配置し、アーム4,5,6,7,8および9上
の最内側の受波器4a,5a,6a,7a,8aおよび
9aをこれよりも外側に配置して、中心付近の受波器分
布を一様にしている。これより外側に対しては、アーム
上の受波器を外側に向かう程拡げた間隔で配置し、円平
面の外側でも一様な分布となるように受波器を配置して
おり、このような受波器配列によって平面配列側受波器
アレイ10が形成される。
【0011】次に、図1(b)を用いて本実施例の配列
型受波装置の鉛直方向の構造について説明する。図1
(b)における第1段目の最上層は、図1(a)で説明
した平面配列型受波器アレイ10をアレイ面に沿って正
視したもので、中心点はOであり、受波器は、表記上の
煩雑さを避けるために、図1(a)の最外側の受波器1
d,2d,3d,4c,5c,6c,7c,8cおよび
9cのみを示している。図1(b)における第2段目の
層は、最上段の層から間隔tだけ鉛直方向下方に位置す
る。第2段目の層において、受波器の配列は第1段目の
層を形成する平面配列型受波器アレイ10と同一であ
り、図1(a)で説明したように、9本のアーム上に合
計30個の受波器が配置されている。
【0012】同様に、この第2段目の層の下方の間隔t
だけ鉛直方向に離れた位置に、第3段目の層を形成する
平面配列型受波器アレイが配置され、この第3段目の層
の下方の間隔tだけ鉛直方向に離れた位置に第4段目,
この第4段目の層の下方の間隔tだけ鉛直方向に離れた
位置に第5段目を形成する平面配列型受波器アレイも同
様に配置されており、本実施例の配列型受波装置は、図
1(a)に示す平面配列型受波器アレイ10を、各受波
器が直線上に位置するように鉛直方向にそれぞれ間隔t
だけ離して5組重ねた構造となっている。
【0013】図1(b)における鉛直方向の受波器間隔
tは、最高音響周波数の水中波長に対して2分の1以上
でかつ1以下の値に設定する。すなわち、従来の配列型
受波装置では、図4で説明したように、鉛直方向の受波
器間隔を最高音響周波数の水中波長の2分の1に設定し
ていたが、本実施例の配列型受波装置では、この鉛直方
向の受波器間隔を最高音響周波数の水中波長の2分の1
以上の値に設定し、副極の発生を抑えながら従来よりも
鋭いビーム幅の待ち受けビームを形成して受信するもの
である。なお、その理由については後述する。
【0014】次に、本実施例の配列型受波装置における
受波器位置の決定手順をアーム1,4,5を例に取り上
げて説明する。アーム1,4,5において、中心付近で
最も重要な位置を占める受波器は、アーム1上で最内側
にある受波器1aであり、中心点Oから受波器1aまで
の距離を基準値1と置く。次に重要な受波器は、アーム
1上の2番目の受波器1bと、アーム1の隣のアーム4
上で最内側にある受波器4aであるが、この種の40°
均等アーム構造で、中心付近での配置の一様性が保持さ
れるように受波器を配置する時、同一アーム上および隣
のアーム上にあって隣接する受波器の間隔の内で最小と
なる受波器間隔は、受波器1a〜1b間、1a〜4a間
および4a〜5a間となるので、この3組の受波器間隔
が等しくなるように、受波器1bと4aの位置を定め
る。この位置を作図から求めると、基準値1に対して受
波器1aと1bの間隔≒1.3、受波器4aの中心点O
からの距離≒1.9となる。この手順によって、アーム
1,4,5上で中心付近を構成する受波器1a,1b,
4aおよび5aの配置が決定でき、中心点Oから受波器
1aまでの距離を基準値1とした時の最小受波器間隔で
ある1.3を対象音響周波数の最高周波数の水中波長の
2分の1に設定する。
【0015】各アーム上においてこれより外側の受波器
の位置は、まず、ハードウエア上の制約から限定される
最大半径の位置に最外側の受波器1dと4cを置く。こ
の時、中心点Oから受波器1dまでの間隔と中心点Oか
ら受波器4cまでの間隔は等しいものとする。次に、中
心点Oから受波器1aまでの距離を基準値1とした時の
最小受波器間隔である1.3を基準として、これより外
側の受波器を同一アーム上は同一倍率で外側に向かう程
受波器間隔を拡げて配置する。この倍率は、中心点Oか
ら受波器1d,4cまでの間隔が最大半径値となるよう
に決定する。ここで、図1(a)は、中心点Oから受波
器1aまでの距離を基準値1とした時の最大半径(中心
点Oから受波器1dまでの距離および中心点Oから受波
器4cまでの距離)=5.73の場合を示し、この時、
上記の手順により、アーム1上の倍率≒1.20、アー
ム4上の倍率≒1.288となって、アーム1上および
アーム4上の受波器の中心点Oからの距離は、以下の表
1に示すようになる。
【0016】
【表1】
【0017】なお、ここでは、アーム1,4,5を例に
とって説明したが、アーム2,3上の受波器配置はアー
ム1上と同じであり、アーム6,7,8および9上の受
波器配置はアーム4,5上と同じである。次に、上述し
たように配列型受波装置の各受波器を配置する理由を説
明する。限られた寸法の中で、水平な全周360°方向
に均等なビームを形成する効率的配列は、水平な円平面
受波器アレイであり、小型な受波装置で円平面を実現で
きる簡便な方法は、中心から放射状に複数本のアームを
設け、アーム上に受波器を配置するアーム展開方式の平
面配列型受波器アレイである。
【0018】ここで、水平な全周360°方向からアレ
イを眺めたとき、直線上に等間隔で受波器が並ぶと、ビ
ームパターンに副極が発生する不都合が生じる。図1
(a)では、アーム数を奇数として、直線上に並ぶ受波
器数を半減させ、各アーム上で外側に向かう程受波器を
間隔を拡げて、受波器が等間隔で並ぶことを回避してい
る。また、水平な全周方向からアレイを眺めたとき、3
60°を均等に分割した配列とするために、まず3本の
アーム1,2,3を120°毎に配置して、次に、この
3本のアーム1,2,3の間に2本ずつのアーム4,
5,6,7,8および9を設けて合計9本のアームをも
つ構造としている。さらに、受波器アレイ面に対して0
°〜±90°の鉛直斜め方向からの音波入射に対して受
波器相互間の位相推移を小さく抑えるために、中心付近
で多くの受波器相互の間隔を最高音響周波数の水中波長
の2分の1に近づけるように受波器を配置し、より外側
の受波器は、アーム上で外側に向かう程、同じ倍率で拡
げた間隔で配置している。
【0019】次に、図1(b)で説明したように、平面
配列型受波器アレイの鉛直方向の間隔tを最高音響周波
数の水中波長の2分の1以上でかつ1以下の値に設定す
る理由を説明する。ここで、全く同一の平面配列型受波
器アレイを鉛直方向の直線上に積み重ねたとき、全素子
を用いた配列型受波装置のビームパターンは、平面配列
型受波器アレイ単独のビームパターンと単一素子の鉛直
直線配列のビームパターンとの積となることが知られて
いる。したがって、まず単一素子の直線配列ビームパタ
ーンについて述べる。一般に、この種の等間隔直線配列
で、受波器間隔を最高音響周波数の水中波長の2分の1
以上に大きくすると、形成されるビームパターンの主極
のビーム幅は狭くなるが、同時に副極が発生する不都合
が現れる。図2は鉛直方向の等間隔直線配列ビームパタ
ーンの1例を表すグラフであり、受波器数=5の場合の
ビームパターンの計算結果を示す。図中の横軸は水平面
=0°としたときの鉛直方向角度であり、縦軸は整相角
度方向のビーム出力レベルで規準化したビームパターン
をデジベル(dB)で表している。整相は水平面方向、
すなわち、整相角度=0°の単純加算の場合とし、最高
音響周波数の水中波長をλ(メートル)として、受波器
間隔を0.5λ,0.8λおよびλの3個の値としたと
きのビームパターンを、それぞれ実線,破線および点線
で表している。
【0020】図2より、受波器間隔=0.5λのときの
−3dBビーム幅は約20°であり、これに対して、受
波器間隔=λと間隔を大きくすると、−3dBビーム幅
は約10°と狭くなるが、±90°方向に主極と同レベ
ルの副極が生じることが判る。この副極は、±90°方
向からの入射音波に対して、5個の受波器出力が同位相
となることから生じるものである。図3は整相角度と副
極発生角度の関係を表す図であり、5個の受波器(黒丸
印)が鉛直方向に直線上等間隔αλで配置され、中央の
受波器をQ、中央位置よりαλだけ上方の受波器をHと
表している。
【0021】αは最高音響周波数の水中波長λに対して
受波器間隔を決める定数であり、0.5≦α≦1の範囲
とする。Q点は音響中心であり、Q点を含む水平面を基
準として鉛直方向に整相角度と音波の入射角度を設けて
いる。Aは整相角度(0°≦A≦90°)であり、5個
の受波器出力を整相角度Aに直角で音響中心Q点を含む
整相面(破線)に整相する場合、受波点Hに対する遅延
量(距離)は、αλsinAとなる。
【0022】Xは水平面に対して整相角度と反方向か
らの音波の入射角度(0°≦X≦90°)を表し、角度
Xから音波が入射したとき、音響中心Q点に対する受波
点Hの遅延量(距離)は、αλsinXとなる。したが
って、整相角度=A,入射角度=Xのときの受波点Hの
遅延量Dは、αλ(sinA+sinX)となる。受波
器が等間隔配列なので、最上部の受波点の遅延量は上記
値Dの2倍となり、また、音響中心Q点より鉛直方向下
方の受波点では、相応する同じ進み量となる。これによ
り、角度Xから音波が入射したとき、各受波器出力が同
位相となって、角度X方向に主極と同レベルの副極が発
生する場合は、αλ(sinA+sinX)=λとな
り、以下の(1)式が成立する。
【0023】
【数1】 α(sinA+sinX)=1・・・・(1)
【0024】この(1)式より、受波器間隔定数αと整
相角度Aを与えれば、最高音響周波数において主極と同
レベルの副極が発生する角度Xが求められる。例えば、
α=1,A=0°とおくと、X=90°となり、これ
は、図2で受波器間隔=λの場合(点線で示す)に相当
する。また、α=1,A=30°とおくと、X=30°
となるので、受波器間隔=λ,待ち受け整相角度=30
°のビームは、整相方向と反対側の同一角度に主極と同
レベルの副極が発生することがわかる。さらに、受波器
間隔をα<1と小さくすれば、同じ整相角度Aに対し
て、主軸と同レベルの副極が発生する角度Xが大きな値
となり、副極の発生角度は水平面から外側方向に離れる
ことが判る。なお、上記関係は、受波器数に関わらない
ことも明らかである。
【0025】一般に、音源と受波装置間の距離が水深に
比べて大きい時は、到来する音波は水平の方向性をも
ち、鉛直方向の入射角度は、例えば水平面±30°の範
囲となる。この場合、受波装置が備えるべき待ち受け整
相角度は0°±30°の範囲で十分となり、これは受波
装置の視野角と呼ばれる。上述した副極発生角度の説明
より、鉛直方向の等間隔直線配列の場合、視野角の一方
の最外側角度に整相した時、反対側に発生する副極の視
野角内落ち込みレベルが干渉妨害となるので、必要視野
角に対して受波器間隔、すなわち、定数αを適当な値に
設定することになる。
【0026】例えば、α=0.8で視野角の最外側の整
相角度A=24°のとき、上述した(1)式により、副
極発生角度X=57.5°となる。図4は整相角度=1
2°および24°のときのビームパターンを表すグラフ
であり、図2の受波器間隔=0.8λの場合について計
算したものである。同図により、0°±30°の角度範
囲に大きな副極が生じていないことがわかる。図4の場
合、一般的には、整相角度=0°,±12°,±24°
と視野角内に合計5個の待ち受けビームを設けることと
なる。なお、視野角の範囲外の副極も、それぞれの角度
方向から入射する音波を受波して妨害音となる。図4で
整相角度=12°の場合は、−59°から−90°の範
囲で、整相角度=24°の場合は−41°から−90°
の範囲で−10dB以上の副極が生じている。図1
(a)に示した平面配列型受波器アレイは、円平面の中
心付近で多くの受波器相互の間隔がλ/2(最高音響周
波数の水中波長の2分の1)に近い値となるように各受
波器が配置されているので、鉛直方向の副極レベルは低
い値に抑えられ、したがって、水平面から大きく離れた
視野角の範囲外の上記副極レベルも低い値に抑えられ
る。図5は図1(a)に示した平面配列型受波器アレイ
の鉛直面ビームパターンを表すグラフであり、横軸は水
平面上の整相角度に沿った鉛直面角度を示している。図
中の0°は水平方向を表し、横軸の右半分は整相方向
側、左半分は整相軸と反対側を表し、90°は鉛直な真
上を表す。同図より、鉛直面の副極が−10dB以下に
抑えられていることがわかる。
【0027】これに対して、図7で説明した従来の円筒
型アレイの場合は、全受波器が最も外側の円周上に配置
されているので、入射角度が整相角度からずれると受波
器相互間の位相推移が大きくなり、大きな副極が生じ
る。したがって、従来の円筒型アレイでは、視野角に関
わらず、鉛直方向の受波器間隔を0.5λに維持して、
鉛直方向の副極レベルを抑えなければならなかった。ま
た、鉛直方向のビーム幅を狭くするためには鉛直方向の
層数が多く必要で、受波器の数を多く必要とするもので
あった。図6は配列型受波装置の全素子による鉛直面ビ
ームパターンの1例を表すグラフである。図6(a)は
アレイの上面側、図6(b)はアレイの下面側のビーム
パターンであり、いずれも水平面上の整相角度に沿った
鉛直面のビームパターンを示し、鉛直方向の整相角度を
+24°としたときの計算結果である。図中の横軸で0
°は水平方向を表し、横軸の右半分は整相方向側、左半
分は整相軸と反対側の鉛直面角度を示している。本実施
例の配列型受波装置は、前述の考え方により、図1
(a)に示した平面配列型受波器アレイを0.8λの間
隔で鉛直に5層積み重ねたものであり、図6より、最大
副極レベルは、視野角の内外で−10dB以下に抑えら
れていることがわかる。図7で説明した従来の円筒型ア
レイの待ち受けビーム数に対応して、本実施例の配列型
受波装置の待ち受けビーム数を求めると、水平方向では
全周方向に30ビーム、鉛直方向では水平面±24°の
視野角内に5ビームとなり、本立体角内に30×5=1
50個の待ち受けビームを形成して、到来する水中音波
を受信することとなる。
【0028】なお、図1(a)に示した平面配列型受波
器アレイで、中心付近の受波器に重み付けし、外側方向
の受波器出力レベルを低くするシェーディングを施せ
ば、副極レベルを更に抑圧することができる。ここで、
図1(b)に示すように、本実施例では鉛直方向の層数
を5層として説明したが、5層に限定するものではな
く、層数を増加させれば、鉛直方向の視野角内に、より
鋭いビームを形成することができることは勿論のことで
ある。また、図1(a)に示すように、本実施例の平面
配列型受波器アレイでは、受波器数が30個の場合を取
り上げて説明したが、30個に限定するものではなく、
また、外側の受波器をアーム1上の倍率=1.20,ア
ーム4上の倍率=1.288として配置したが、これに
限定するものでもなく、例えば、アーム1上の倍率=
1.10,アーム4上の倍率=1.15と配置すれば、
最大半径を小さくすることができる。さらに、本実施例
では、鉛直方向の配列が等間隔の場合を説明したが、等
間隔に限定するものではなく、本実施例の平面配列型受
波器アレイは、非等間隔の場合でも、副極の発生を抑え
ることができる。
【0029】上記構成からなる本実施例の配列型受波装
置は、海上に浮遊するブイまたは船舶等から海中に吊下
して用いたり、海底の係留点から浮力体で吊り上げて用
いたり、あるいは、平坦な海底にそのまま設置して用い
られる。この場合、本実施例の配列型受波装置の水平面
上の磁気方位角を測定するコンパスおよび本装置の傾斜
角を測定する傾斜計を併設し、配列型受波装置の全受波
器の出力信号とともに多重化して、ケーブル伝送するこ
ととなる。また、本実施例の配列型受波装置の機械的支
持構造としては、平面配列型受波器アレイの中心点を貫
通する支柱を設け、本支柱のアレイ面貫通位置で支柱の
周囲に放射状に9本のアームを取り付ければよい。そし
て、支柱に対するアームの取り付けに蝶番を用いれば、
格納および運搬段階では折り畳んで小型化することがで
きる。
【0030】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、複数個
の受波器を平面状に配列することとして円平面を形成
、かつ、この円平面の中心付近で隣接する複数の受波
器の配置は、円平面の中心に対して最内側に配置する複
数の受波器のそれぞれに対して、該受波器とは中心から
の距離が異なる位置に配置する複数の受波器と前記最内
側の受波器との間隔を最高音響周波数の水中波長の2分
1とした平面配列型受波器アレイを鉛直方向に複数組
積み重ね、該複数個の平面配列型受波器アレイの間隔
を、最高音響周波数の水中波長の2分の1以上でかつ1
以下とするとともに、前記平面配列側受波器アレイを、
中心から等分な角度で放射状かつ水平に展開する9本の
アーム上に複数個の受波器をそれぞれ配置したアレイと
し、前記中心付近で隣接する複数の受波器の間隔を最高
音響周波数の水中波長の2分の1としたものを最小受波
器間隔として、これより外側の受波器は、アーム上で外
側に向かう程、同じ倍率で拡げた間隔で配置しているの
で、鉛直方向に水平面を中心とした視野角を設定すれ
ば、副極による妨害を受けることなく鋭いビーム幅の鉛
直方向待ち受けビームを形成することができるという効
果がある。これにより、本発明の平面配列型受波器アレ
イを5層の配列とすると、−3dBビーム幅が約14°
となり、このビーム幅を従来の円筒型アレイで実現する
ためには、鉛直方向に約8層積み重ねることが必要とな
る。すなわち、本発明によれば、従来と同じビーム幅の
待ち受けビームを造るための使用受波器総数を8分の5
に減少することができるという効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例における配列型受波装置を示
す構造図である。
【図2】鉛直方向の等間隔直線配列ビームパターンの1
例を表すグラフである。
【図3】整相角度と副極発生角度の関係を表す図であ
る。
【図4】整相角度=12°および24°のときのビーム
パターンを表すグラフである。
【図5】平面配列型受波器アレイの鉛直面ビームパター
ンを表すグラフである。
【図6】配列型受波装置の全素子による鉛直面ビームパ
ターンの1例を表すグラフである。
【図7】円筒型アレイの受波器配列の一例を示す構造図
である。
【符号の説明】
1〜9 アーム 1a〜1d 受波器 2a〜2d 受波器 3a〜3d 受波器 4a〜4c 受波器 5a〜5c 受波器 6a〜6c 受波器 7a〜7c 受波器 8a〜8c 受波器 9a〜9c 受波器 10 平面配列型受波器アレイ

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 複数個の受波器を平面状に配列すること
    として円平面を形成し、かつ、この円平面の中心付近で
    隣接する複数の受波器の配置は、円平面の中心に対して
    最内側に配置する複数の受波器のそれぞれに対して、該
    受波器とは中心からの距離が異なる位置に配置する複数
    の受波器と前記最内側の受波器との間隔を最高音響周波
    数の水中波長の2分の1とした平面配列型受波器アレイ
    を鉛直方向に複数組積み重ね、該複数個の平面配列型受
    波器アレイの間隔を、最高音響周波数の水中波長の2分
    の1以上でかつ1以下としたことを特徴とする配列型受
    波装置。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の配列型受波装置におい
    て、 前記平面配列側受波器アレイを、中心から等分な角度で
    放射状かつ水平に展開する9本のアーム上に複数個の受
    波器をそれぞれ配置したアレイとし、前記中心付近で隣
    接する複数の受波器の間隔を最高音響周波数の水中波長
    の2分の1としたものを最小受波器間隔として、これよ
    り外側の受波器は、アーム上で外側に向かう程、同じ倍
    率で拡げた間隔で配置したことを特徴とする配列型受波
    装置。
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