JP2717807B2 - シリンジポンプ - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ 本発明は、薬液等の水溶液が収容されたシリンジから
患者に一定時間に一定流量の水溶液を送り込むシリンジ
ポンプに関する。

［従来の技術］ 従来、この種のシリンジポンプにおいては、次のよう
にして水溶液の供給が行われる。すなわち、先ず、シリ
ンジ保持部に水溶液が収容されたシリンジを載せ、この
シリンジのフランジ部をシリンジ保持部に設けた係合溝
に嵌め込むとともにそのピストン部をスライダ部に設け
た係合部に係合させることにより、シリンジをシリンジ
ポンプに固定させる。次に患者に送る水溶液の流量を調
節した後、クランプ部によりシリンジを上部から押えて
シリンジポンプ本体に固定する。このシリンジの高さは
クランプ部に設けられた例えば磁気センサ等により検出
され、さらにこの検出信号がシリンジに応じた制御信号
としてスライダ部に送られ、これによりスライダの移動
距離が決定される。その後、駆動モータを回転駆動させ
ると、スライダ部が作動し、これによりシリンジからチ
ューブを介して患者に一定時間に一定流量の水溶液が送
り込まれる。

［発明が解決しようとする課題］ 上述のような従来のシリンジポンプにあっては、その
使用の際にシリンジ内に収容された薬液等の水溶液がシ
リンジポンプの本体ケースの表面に付着し易く、この表
面の汚れを除去するために、水又は湯水を使用してい
る。

しかしながら、その際使用した水等がシリンジのフラ
ンジ部を嵌め込むための係合溝に溜り、あるいはシリン
ジ内の水溶液が直接この係合溝に入り込んで溜り、その
ため少しずつ係合溝の底部に不要物が溜ってゆくという
不具合があった。

従来、このような不要物を除去するためには、シリン
ジポンプの本体ケースを逆さにして流し出す方法しかな
く、これではシリンジポンプ本体を落としてしまう等の
危険性があった。

本発明はかかる問題点に鑑みてなされたものであっ
て、シリンジを保持するための係合溝に水等の不要物が
溜るようなことが無く、本体ケースを逆さにする必要が
無いとともに落下させる危険性が低減されたシリンジポ
ンプを提供することを目的とする。

［課題を解決するための手段］ 上記従来の課題を解決するために本発明においては、
上記ケース及び下部ケースからなるシリンジポンプ本体
と、前記上部ケースに設けられたシリンジ載置溝及び前
記シリンジのフランジ部が係合される係合溝とからなる
シリンジ保持部と、前記シリンジのピストン部に係合し
て当該ピストン部を押し進めるスライダとを備え、前記
スライダの移動により前記シリンジ内の水溶液を一定時
間に一定流量送り出すシリンジポンプにおいて、前記係
合溝の底部に外部に連通した排出口を設けたことを特徴
とする。

［作用］ 上記構成により本発明に係るシリンジポンプにおいて
は、上部ケースの係合溝に外部に連通した排出口が設け
られているため、当該係合溝の内部に侵入した水溶液等
の不要物は排出口を通じて外部に排出されるとともに落
す危険性がなくなる。

［実施例］ 以下、本発明の実施例を図面を参照して具体的に説明
する。

第５図は本発明の一実施例に係るシリンジポンプを示
す斜視図、第６図はこのシリンジポンプにシリンジを設
置した状態を示す平面図である。図中、シリンジポンプ
本体１は上部ケース2a及び下部ケース2bからなり、上部
ケース2aの上面にはシリンジ３を保持するためのシリン
ジ保持部４が設けられている。このシリンジ保持部４に
はシリンジ３を載置するための断面略半円状のシリンジ
載置溝５及びシリンジ３のフランジ部3aを嵌め込むため
の係合溝６がそれぞれ形成されている。上記シリンジ載
置溝５に載置されたシリンジ３のピストン部3bは、スラ
イダ７の係合部８に係合されるようになっており、この
スライダ部７が前後移動するに伴いシリンジ３のピスト
ン部3bが往復移動するようになっている。すなわち、シ
リンジ３の前進（第６図において左方向）に伴いシリン
ジ３のピストン部3bが押し進められ、このピストン部3b
の移動により内部に収納した水溶液が、一定時間に一定
流量だけシリンジ３から当該シリンジ３に連結されたチ
ューブ（図示せず）を介して患者に注入されるものであ
る。

第１図は第６図のＩ−Ｉ線に沿う断面図で、上記シリ
ンジ保持部４の係合溝６部の構造を示すものであり、こ
の係合溝６の底部にはシリンジポンプ本体１の外部に連
通する排出口30が設けられている。

また、第２図は第６図のII−II線に沿う断面図であ
り、上記シリンジ保持部４におけるシリンジ載置溝５の
長手方向の一端部の近傍に突起部31が上部ケース2aと一
体に形成されてにおり、この突起部31によりシリンジ３
のフランジ部3aをシリンジ載置溝５と共に保持するよう
になっている。第３図はこの突起部31を取り出して示す
もので、突起部31を設けることによりシリンジ３のフラ
ンジ部3aとの接触面積が、第４図のＡ−Ａ線からＢ−Ｂ
線に示すように増加し、これによりシリンジ３を強固に
保持することができる。

上記シリンジ保持部４の上部にはさらにクランプ部９
が設けられており、このクランプ部９によりシリンジ保
持部４に保持されたシリンジ３を上部から押えて固定す
るようになっている。このクランプ部９はシリンジの大
きさ、すなわちその外径に合わせてその高さを調節でき
るようになっており、その高さを内部に設けた磁気セン
サにより検出し、この検出信号をシリンジ３の大きさに
応じた制御信号としてスライダ７に送るようになってい
る。スライダ７ではこの検出信号を受けてその移動距離
が調節され、これによりシリンジ３におけるピストン部
3bの移動距離、すなわちシリンジ３からの水溶液の送り
出し量が調節されるようになっている。

上部ケース2aには、さらに操作部10が設けられてお
り、この操作部10に、開始スイッチ11、開始ランプ11a,
停止スイッチ12,停止ランプ12a,早送りスイッチ13,早送
りランプ13a,ブザー停止スイッチ14,警報ランプ15,注入
量表示部16,注入量設定スイッチ17,シリンジ表示ランプ
18及び電源表示ランプ19が設けられている。

第７図は第６図のVII−VII線に沿うシリンジポンプ本
体の縦断面図である。上記上部ケース2a内には駆動モー
タ20が設置されている。この駆動モータ20の近傍にはモ
ータ回転検出部21が設けられており、駆動モータ20の回
転速度の制御が行なわれるようになっている。駆動モー
タ20のシャフトは送りねじ（図示せず）に連結され、さ
らにこの送りねじは送りナット22を介してブロック部23
に連結されている。このブロック部23はガイドシャフト
に沿って移動可能となっており、このブロック部23にス
ライダ７が連動するようになっている。スライダ７とブ
ロック部23とはパイプシャフト25により連結されてい
る。すなわち、駆動モータ20の駆動力は送りねじ及び送
りナット22を介してブロック部23に伝達され、さらにパ
イプシャフト25を介してスライダ７に伝達されるように
なっている。上記送りナット22にはクラッチシャフト24
が連結され、このクラッチシャフト24はクラッチボック
ス26内に設けたクラッチ27に連結されている。

また、上記下部ケース2bの底部の一端側には、取っ手
28が設けられており、この取っ手28によりシリンジポン
プ本体１の持ち運びが便利なようになっている。

次に、上記のように構成された本実施例のシリンジポ
ンプの動作について説明する。先ず、シリンジ保持部４
のシリンジ載置溝５に水溶液が収容されたシリンジ３を
載せ、このシリンジ３のフランジ部3aを係合溝６に嵌め
込むとともに、シリンジ３のピストン部3bをスライダ７
に設けた係合部８に係合させることにより、シリンジ３
をシリンジポンプに固定させる。次に、患者に送る水溶
液の流量を調節した後、クランプ部９によりシリンジ３
を上部から押えて固定する。そのクランプ部９の高さは
当該クランプ部９の内部に設けられたフォトセンサによ
り検出され、この信号が制御信号としてスライダ７に送
られ、これによりスライダ７の移動距離すなわち水溶液
の送り出し量が決定される。その後、駆動モータ20を回
転駆動させると、その駆動力が送りねじ，送りナット2
2,ブロック部23及びパイプシヤフト25を介してスライダ
７に伝達され、このスライダ７の移動によりシリンジ３
のピストン部3bが前進し、これによりシリンジ３からチ
ューブを介して患者に一定時間に一定流量の水溶液が送
り込まれる。

このように駆動される本実施例のシリンジポンプにお
いては、上部ケース2aの係合溝６に外部に連通した排出
口30が設けられているため、当該係合溝６の内部に侵入
した水溶液等の不要物は排出口30を通じて外部に排出さ
れ、したがって従来のようにシリンジポンプ本体１を逆
さにして不要物を流し出す必要がなくなる。また、シリ
ンジポンプ本体１の下部ケース2bに取っ手28が設けられ
ているため、持ち運びに便利であり、また落下させる恐
れがなくなる。

以上に実施例を挙げて本発明を説明したが、本発明は
上記実施例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱
しない範囲で種々変形可能であり、例えば上記取っ手の
形状は第７図のものに限らず、その他第８図に示すよう
な形状の取っ手32でも良く、さらに取っ手は下部ケース
2bに限らず、上部ケース2a側に設けてもよい。

［発明の効果］ 以上説明したように本発明に係るシリンジポンプによ
れば、上部ケース及び下部ケースからなるシリンジポン
プ本体と、前記上部ケースに設けられたシリンジ載置溝
及び前記シリンジのフランジ部が係合される係合溝とか
らなるシリンジ保持部と、前記シリンジのピストン部に
係合して当該ピストン部を押し進めるスライダとを備
え、前記スライダの移動により前記シリンジ内の水溶液
を一定時間に一定流量送り出すシリンジポンプにおい
て、前記係合溝の底部に外部に連通した排出口を設ける
ようにしたので、当該係合溝の内部に侵入した水溶液等
の不要物は排出口を通じて外部に排出されるようにな
り、このため従来のようにシリンジポンプ本体を逆さに
して不要物を流し出したり、拭き取る作業が不要となる
とともに落す危険性が著しく低減される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例に係るシリンジポンプにおけ
るシリンジ保持部の構造を示す縦断面図、第２図は同じ
く横断面図、第３図は第２図の突起部を取り出して示す
斜視図、第４図は同じく断面図、第５図はシリンジポン
プ本体全体の構造を示す斜視図、第６図は第５図のシリ
ンジポンプ本体にシリンジを保持した状態を示す平面
図、第７図は第６図のVII−VII線に沿う縦断面図、第８
図は本発明の他の実施例を示す正面図である。 １……シリンジポンプ本体、2a……上部ケース 2b……下部ケース、３……シリンジ 3a……フランジ部、3b……ピストン部 ４……シリンジ保持部、５……シリンジ載置溝 ６……係合溝、７……スライダ ９……クランプ部、 28,32……取っ手、30……排出口 31……突起部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】上部ケース及び下部ケースからなるシリン
   ジポンプ本体と、前記上部ケースに設けられたシリンジ
   載置溝及び前記シリンジのフランジ部が係合される係合
   溝とからなるシリンジ保持部と、前記シリンジのピスト
   ン部に係合して当該ピストン部を押し進めるスライダと
   を備え、前記スライダの移動により前記シリンジ内の水
   溶液を一定時間に一定流量送り出すシリンジポンプにお
   いて、前記係合溝の底部に外部に連通した排出口を設け
   たことを特徴とするシリンジポンプ。