JP2716796B2 - 光コンピユータ - Google Patents

光コンピユータ

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JP2716796B2 JP1111722A JP11172289A JP2716796B2 JP 2716796 B2 JP2716796 B2 JP 2716796B2 JP 1111722 A JP1111722 A JP 1111722A JP 11172289 A JP11172289 A JP 11172289A JP 2716796 B2 JP2716796 B2 JP 2716796B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は,生物の神経回路網を模倣し,連想機能,
パターン認識機能などを有するコンピユータ(ニユーロ
コンピユータ)などを光技術を用いて達成する光コンピ
ユータに関するものである。
〔従来の技術〕
第10図は例えば刊行物(電子情報通信学会光・量子エ
レクトロニクス研究会資料OQE−87−174(1988))に示
された従来の光連想ニユーロコンピユータの構成図であ
る。図において,(1a),(1b)は発光素子アレイ,
(2a),(2b)は光学マスク,(3a),(3b)は受光素
子アレイ,(4)は差動増幅器,(5)は比較器,
(6)は不完全情報入力,(7)は完全情報出力であ
る。
次に動作について説明する。第10図は光連想ニユーロ
コンピユータの基本構成を示したものである。発光素子
アレイ(1a),(1b)から扇状の光を光学マスク(2
a),(2b)へ照射する。発光素子アレイ(1a),(1
b)はそれぞれの要素が点燈するか消燈するかに対応し
て,1か0の状態を表わす一連のベクトルV=V1,V2…,
Vi,…,Vn)を表わしている。光学マスク(2a),(2b)
はN×Nの要素に分けられており,その各要素の光透過
率が異なつている一種のマトリクスT=〔Tij〕(以下T
ijマトリクスという)を表わし,受光素子アレイ,(3
a),(3b)は一種のベクトルU=(U1,U2,…Ui,…Un
を表わしている。j番目の発生素子で光学マスクのj行
目を照射し,光学マスクのi列目の光をi番目の受光素
子で受けると, なるベクトル,マトリクス演算が行なえる。
この原理を説明するために,第10図に示したようなN
=5の(つまり5×5の)Tijマトリクスと5ケの要素
をもつベクトルVのベクトル・マトリクス演算の例を以
下に説明する。
とする場合,これらを式にあてはめると,以下のよう
になる。
この式を変形すると以下のようになる。
ここで,式は式のUiをi=1から5までそれぞれ
について展開したものであることがわかる。つまり,i=
1の場合について式をみると, となり,これをj=1からj=5まで展開すると, U1=T11V1+T12V2+T13V3+T14V4+T15V5 ……式 となり,式の第1行目の式と全く同じ式となる。
さて,この式についてみてみると,U1はTijマトリク
スの各要素(T11,T12,T13,T14,T15)に,それぞれベク
トルVの各要素(V1,V2,V3,V4,V5)をかけあわせて,そ
れぞれの和をとつたものである。すなわち,マトリクス
の横方向の各要素(T1j)とベクトルVの各要素の積和
演算を行なえばU1が求められたことになる。これをU1
らU5まで演算しておけば,結果としてTijマトリクスと
ベクトルVのベクトル・マトリクス演算を行なつたこと
になる。
第10図において,光学マスク(2a)はTijマトリクス
を表わしているが,T11にはV1が照射され,T11の光透過率
とV1の光強度に応じた光がT11を透過することになる。
これにより,T11V1の積算が完了する。また,T12,T13,
T14,T15でも,それぞれの透過率と,V2,V3,V4,V5の光強
度に応じた出力が出て,各積算(T12V2,T13V3,T14V4,T
15V5)が出力されることになる。このようにして各積算
が完了し,これらを受光素子アレイ(3a)の一素子で縦
方向に集光することにより,U1のための和算が実行され
ることになる。
これを,U5まで行なうことによりベクトル・マトリク
ス演算が行なえる。
このようにして,光を用いて演算をすることが可能に
なるが,従来のノイマン型の電子計算機では,各積算・
各和算が逐時的に行なわれるのに対して,光コンピユー
タは光の照射と集光によりN×Nのマトリクス演算を並
列に同時に行なえる特徴がある。また,従来の電子計算
機ではマトリクスの要素がN×Nより増えると,それに
つれて,計算時間が増すが,光コンピユータではマトリ
クスの要素を増やすことさえできれば,原則的に計算時
間はかわらない。
さて,次に,ニユーロコンピユータについて説明す
る。
まずニユーロンの機能を簡単に述べる。
第11図(a),(b)にニユーロンの模式図とモデル
図を示す。ニユーロンは多入力/1出力型のしきい値特性
を持つ非線形素子とみなせる。すなわち,ニユーロンは
その入力信号の総和で決まる膜電位がある一定値(しき
い値)以下のときには出力はゼロであるが,しきい値以
上になるとパルスを発生して他のニユーロンに信号を送
る。ニユーロン間の結合(シナブス結合)には,相手の
ニユーロンの膜電位を上げるように働く興奮性(第11図
(b)中の黒丸)の結合と,下げるように働く抑制性
(同白丸)の結合がある。
ニユーロンを数式でモデル化する場合,各ニユーロン
の出力は,その興奮の度合いに応じて0〜1のアナログ
値をとり得るものとする。このときi番目のニユーロン
の出力状態Uiは,これに接続されているN個のニユーロ
ンの出力状態Vj(j=1,2,…,N)とシナブス結合強度T
ijとの積TijVjの総和,および自己固有のしきい値Ii
用いて次式で近似される。
ここで,i番目のニユーロンがi番目のニユーロンに及
ぼす程度を表すTijは,その値が正のときに興奮性,負
のときは抑制性シナブス結合に対応する。また,gは単調
飽和関数,例えばsigmoid関数で表され, で与えられる。第11図(c)に関数g(x)を示す。
式において,x0→0とすればg(x)はユニツトステツ
プ関数に漸近する。
このN個のニユーロンから構成されるネツトワークの
エネルギーEは, で表せる。
第12図に示されているように,ネツトワークに含まれ
るニユーロンが互いに接続されており,各ニユーロンの
出力信号がフイードバツクして再び他のニユーロンに入
力するモデルを,帰還(feedback)型モデルと呼ぶこと
にする。このモデルでは,信号入力用ニユーロンと出力
用ニユーロンの区別はない。このモデルを用いた代表例
として連想メモリがある。ここでいう連想メモリとは,
一部がぼんやりしたり欠けている不完全な情報を入力す
ると,記憶されている複数の完全情報の中から入力不完
全情報に最も類似したものを連想して,完全情報として
出力する機能のある装置をいう。
いま,N個のニユーロンから構成されるネツトワークに
おいて,記憶する完全情報の数をM,またm番目の完全情
報に対するニユーロンの状態を2値(1,0)のベクトルV
(m)=(V1 (m),V2 (m),…,VN (m))で表現する。次に,シ
ナブス結合を表わす相関行列TijマトリクスをHopfield
モデルにより, で定義すれば,記憶されたという現象がネツトワークの
安定状態,すなわち,式で与えられるエネルギーEの
極小値となることに対応することが照明できる。したが
つて,記憶情報を完全情報と考えると,任意の不完全情
報がニユーロンの状態ベクトルとして入力されたとき,
式で与えられる非線形しきい値処理およびフイードバ
ツク作用により,ニユーロンの状態ベクトルは入力情報
に最も類似した記憶情報に自発的に変化して,結局安定
点に達したときのベクトルを完全情報として出力するこ
とになる。これが連想メモリの基本原理である。ここ
で,連想機能を精度よく得るためには,ニユーロン数N
は記憶する情報の数Mに比べて十分大きく,また各記憶
状態ベクトルV(m)(m=1,2,…,M)間には特別に強い相
関がなく,できれば直交性が成り立つことが望ましい。
これらの条件が満足されている場合でも,ニユーロンの
非線形処理によつて,一般的にエネルギー関数Eは,N次
元ベクトル空間において,記憶情報に対応する極小点
(グローバルミニマと呼ぶ)の他にも望ましくないロー
カルミニマと呼ばれる多くの浅い谷底が存在して,初期
条件によつてはこれらのローカルミニマにトラツプされ
てしまうことも示されている。
さて,ニユーロンコンピユータでは各ニユーロン間の
結合強度Tijに情報を蓄積している。結合強度Tijは光で
は光透過率で実現できる。従つてこの光連想ニユーロコ
ンピユータでは光学マスク(2a),(2b)の透過率に情
報を蓄積していることになる。その情報蓄積規則はHopf
ieldモデルに基づいたものであり,式に示したよう
に, で与えられる。
これを,第13図を用いて具体的に説明する。第13図
は,記憶情報から結合強度Tijを求める方法を説明する
図である。第13図(a)に示すように,アルフアベツト
A,J,Eなどの文字を6×6の配列を表わし,この四すみ
を除いた合計32個の要素で表わす場合,記憶情報A,J,E
はそれぞれ記憶状態ベクトルV(A),V(J),V(E)として表わ
せる。第13図(b)に記憶情報ベクトルV(A),V(J),V(E)
を示したが,各ベクトルとも0と1の各状態が32個なら
んでおり,0の状態が白を表わし,1の状態が黒を示してい
る。このようは記憶情報ベクトルV(A),V(J),V(E)を用い
て結合強度Tijを考えると,N=32,完全情報数M=3とな
るため, となる。
これをたとえばT11についてみれば,以下のようにな
る。
このようにしてTijをi=1〜32,j=1〜32までのそ
れぞれについて計算してゆくと,Tijの各値は0,±1,±3
のいずれかの値をとることになる。Tijはj番目のニユ
ーロンがi番目のニユーロンに及ぼす程度を示している
が,これらの求められた数値が結合強度であり,かつ,
透過率となるものである。なお,第10図においては,簡
単のためにTijマトリクスとなる光学マスク(2a),(2
b)は5×5の配列で示したが,この具体例では32×32
の配列が必要になる。したがつて,発光素子アレイ(1
a),(1b)や発光素子アレイ(3a),(3b)およびこ
れに連結された各種信号線も32個あるいは32本必要とな
る。
さて,以上のように結合強度Tijは正の値も負の値も
とり得るが,光学的に負の値は扱えないため,第10図に
示すようにTijの成分の正値Tij (+)と負値Tij (-)に対応
して光学系を2系統作製し,受光素子アレイ(3a),
(3b)出力の差 Ui=Ui (+)−Ui (-) を差動増幅器(4)で得ている。この出力信号を比較器
(5)で閾値処理 Vi=θ(Ui) 但し, した後,発光素子アレイ(1a),(1b)にフイードバツ
クしている。
このようにすると,例えば光学マスク(2a),(2b)
にアルフアベツトA,J,Eに相当する3種類の情報を蓄積
しておけば,最初に発光素子アレイ(1a),(1b)に不
完全な情報,例えばA′を入力しても,フイードバツク
を繰り返すうちに,その出力は入力情報A′に最も近い
情報Aを完全出力として表示することができる。
このことを別の言葉で言えば,系のエネルギが蓄積情
報A,J,Eで極小値を取り,不完全情報が与えられると,
その近くのエネルギ極小値を取るように系全体が変化し
ていく(発光素子アレイの点滅状態を変化させることに
よる)という事である。
これは連想機能そのものである。
次に,第14図に基本光学系を示す。(a)は平面図,
(b)は側面図であり,図において(26)は平凸レン
ズ,(27)はスリツトである。発光素子アレイ(1a),
(1b)からの光はスリツト(27)でほぼ平行束にされ,
マトリクスTとなる光学マスク(2a),(2b)へ入射さ
れる。光学マスク(2a),(2b)は,通常のエマルジヨ
ンタイプのガラス乾板マスクを用いている。結合強度T
ijは透過面積の大きさで表現する。平凸レンズ(26)
は,光学マスク(2a),(2b)を透過した発光素子アレ
イからの光をコリメート(標準)し,受光素子アレイ
(3a),(3b)に集光する。
〔発明が解決しようとする課題〕
従来の光コンピユータは以上のように構成されてお
り,記憶情報が光学マスクの透過率に蓄積されているた
め記憶内容を変更しようとすると,光学マスクを取換え
る必要があつた。従つて,ダイナミツクに記憶情報を書
き換えることは不可能であつた。また,発光素子アレイ
よりの出力光を扇状に偏光した後,出力光を光学マスク
へ集光させねばならず,そのため煩雑なレンズ系が必要
であるなどの問題点があつた。
この発明は上記のような問題点を解消するためになさ
れたもので,煩雑なレンズ系が不要でしかも記憶情報を
ダイナミツクに書換え可能な光コンピユータを得ること
を目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
第1の発明に係る光コンピユータは, (a) 複数の発光素子が配列された双安定発光素子ア
レイと, (b) この発光素子アレイの行方向素子群にベクトル
Vとなる行信号を送る行方向ドライバと, (c) 発光素子アレイの列方向素子群にTijマトリク
スとなる列信号を送る列方向ドライバと, (d) 行方向ドライバからの行信号Vjと列方向ドライ
バからの列信号Tijの同期をとつて各発光素子に重畳さ
せ発光素子の発光を制御することにより,行信号と列信
号の積となる積信号TijVjを発生させる積算手段と, (e) 発光素子アレイの列方向について,上記の積算
手段により発生した発光素子からの積信号の和ΣTijVj
を得る受光素子アレイと を備えたものである。
第2の発明に係る光コンピユータは, (a) 複数の発光素子が配列された発光素子アレイ
と, (b) 発光素子アレイの行方向の各発光素子ごとにベ
クトルVとなる行信号を送る手段と, (c) 発光素子アレイの発光素子ごとに発光強度に応
じてた素子信号Tijを発生させる手段と, (d) 行信号Vjと素子信号Tijの積信号TijVjを発生さ
せ,この積信号TijVjに対応する発光素子を発光させる
積算手段と, (e) 発光素子アレイの列方向について,上記の積算
手段により発生した発生素子からの積信号の和ΣTijVj
を得る受光素子アレイと, を備えたものである。
第3の発明に係る光コンピユータは, (a) 発光素子アレイと, (b) 発光と受光の切替えができる発光受光素子アレ
イと, (c) 発光素子アレイと発光受光素子アレイに挾まれ
た双安定型空間光変調器と, (d) 発光素子アレイと発光受光素子アレイの発光制
御により双安定型空間変調器に透過データTijを記録保
持する手段と, (e) 発光素子アレイの行方向素子群にベクトルVと
なる行信号を入力して,この行信号Vjと上記の透過デー
タTijとの積信号TijVjを発生させる積算手段と, (f) 発光受光素子アレイを列方向の受光に切替え,
上記積算手段により発生した積信号の和ΣTijVjを得る
手段と, を備えたものである。
そして,第4の発明に係る光コンピユータは,また,
これら第1,第2,第3の光コンピユータを半導体基板上に
集積化して配置したものである。
〔作用〕
第1の発明における光コンピユータはマトリクス状の
双安定発光素子アレイの行方向素子群へ行方向ドライバ
により不完全情報入力となるニユーロンの状態ベクトル
Vに対応した信号Vjを時系列に入力し,上記マトリクス
状双安定発生素子アレイの列方向素子群へ列方向ドライ
バによりTijマトリクスの各列成分に対応した信号を上
記行方向ドライバの行信号に同期して上記双安定発光素
子アレイの各列に入力する。そして,論理積条件の整つ
た双安定発光素子が点燈することで,光学マスクの透過
率に相当するマトリクス状の双安定発光素子が点燈状態
となる。このようにすれば結合強度Tijがダイナミツク
に可変となりTijマトリクスが書きかえ可能となる。ま
た上記行方向ドライバ,列方向ドライバによると各双安
定発光素子への電極構成が単純なので,作成が容易とな
る。
第2の発明における光コンピユータはマトリクス状の
発光素子アレイの各発光素子に接続された各論理積回路
からなる演算手段をもち,この論理積回路の一方の入力
にTijマトリクスの結合強度Tijに対応した信号を入力
し,また,同一行にある上記論理積回路の他方の入力に
不完全情報入力となるニユーロンの状態ベクトルVに対
応した信号Vjを同時入力すると,論理積条件の整つた論
理回路により発光素子が点燈することで,光学マトリク
スの透過率に相当するマトリクス状の発光素子の点燈状
態が得られる。このようにしてTijマトリクスがダイナ
ミツクに可変となる。そして,結合強度Tij(発光強
度)に対応した信号出力を,その強度に応じて任意のデ
ユーテイでパルス変調することにより,光学マスクの透
過率に相当する各ニユーロン間の結合強度Tijを連続的
に可変とすることができ,学習機能を持たせることも容
易となる。
第3の発明における光コンピユータは,発光素子アレ
イと発光受光素子アレイの間に双安定型空間光変調器を
置き,両側の発光素子アレイの発光制御によりこの双安
定型空間光変調器にTijマトリクスの結合強度Tijを透過
データとして記録保持する。そして,その後,発光素子
アレイの行方向素子群にベクトルVに対応した信号Vj
入力して発光させ,双安定型空間光変調器に記録した結
合強度Tijとの積算を行なう。次に,発光受光素子アレ
イを列方向の受光に切りかえることにより,それらの和
ΣTijVjが得られる。
また,第4の発明は,前記第1から第3に述べた発明
に係る光コンピユータの要素が一枚の基板上に集積化さ
れたものであり,これによりサイズが極めて小さくな
る。
〔実施例〕
以下,第1の発明の一実施例を光ニユーロコンピユー
タを用いて説明する。第1図は本実施例に係る光コンピ
ユータの基本システム構成図,第2図は動作順を示す流
れ図,第3図は各双安定発光素子の動作説明図である。
本システムにおいても光学系はTijマトリクスの正値T
ij (+)と負値Tij (-)に対応して2系統必要であるが,第
1図,第2図では簡単化のため1系統としてある。
第1図において,(3)は受光素子アレイ,(5)は
比較器,(6)は不完全情報入力(ニユーロンの状態ベ
クトルV),(7)は完全情報出力,(8)はマトリク
ス状の双安定発光素子アレイ,(22)はニユーロンの状
態ベクトルを時系列に出力する行方向ドライバ,(20)
はTijマトリクスの各列成分を行方向ドライバに同期し
て出力する列方向ドライバ,(21)は信号用電極であ
る。
また,第3図において,横軸は入力信号強度,縦軸は
発光強度,(38)は各双安定発光素子の初期状態(信号
強度が初期値iB)でオフ(消燈)状態,(39)は信号強
度がiSだけ増えた時の状態でオフ(消燈)状態,(30)
は信号強度が2iS増えた時の状態でオン(点燈)状態,
(31)は状態(30)から信号強度が初期値iBに戻つた状
態でオン(点燈)状態,(32)は信号強度をiEにしたリ
セツト状態を示す。
次に上記構成に基づき,本実施例について説明する。
第1図において,ニユーロン状態ベクトルVとTijマト
リクスの透過状態と同一のマトリクス状安定発光素子ア
レイ(8)に多重化して出現させる。すなわち,マトリ
クス状双安定発光素子アレイ(8)の1行成分〜n行成
分がn個の発光素子に対応し,マトリクス状双安定発生
素子アレイ(8)の各要素がTijマトリクスの各要素に
対応する。
以上のように構成されたマトリクス状双安定発光素子
アレイ(8)にTijマトリクスの記憶情報に応じた結合
強度Tijを入力し,記憶情報を不完全情報入力(ニユー
ロンの状態ベクトルV)によつて選び出すには第2図に
示すように次のような操作を行なう。まず,時間t0で各
双安定発光素子を第3図の初期状態(38)にする(S2
1)。次に,時間t1で行方向ドライバ(22)は上記双安
定発光素子アレイ(8)の第1行目にニユーロンの状態
ベクトルVの第1番目の成分V1に応じた2値信号を入力
する(S22)。第3図の例では,V1が“0"の場合は何も入
力せず各双安定発光素子は初期状態(38)のままであ
り,V1が“1"の場合は信号iSを入力して各双安定発光素
子は状態(39)になる。この時間t1で,列方向ドライバ
(20)は結合マトリクス情報の第1列目成分T11に応じ
た2値化信号を入力する(S23)。このようにTi1(i=
1,2,…,n)に応じた2値化信号をマトリクス状双安定発
光素子アレイ(8)の各列に同時あるいはi=1からn
まで時系列に入力する(S24,S25)。第3図の場合では,
Ti1が“0"の場合は何も入力せず,“1"の場合は信号iS
を入力する。これらにより,各双安定発光素子の状態は
V1=1,Ti1=1の場合状態(30)にあり,これはオン状
態,V1=1,Ti1=0またはV1=0,Ti1=1の場合状態(3
9),V1=0,Ti1=0の場合状態(38)のままで,これら
状態(38),(39)はオフ状態である。次に各ドライバ
(20),(22)の信号を無くしてもオン状態(30)は,
状態(31)に変化するがオン状態のまま,一方オフ状態
(39)もオフ状態(38)に変化するだけであり,オン,
オフの状態,つまり点滅状態は保持される。以上の過程
をマトリクス状双安定発光素子アレイ(8)の第1行目
から時系列に第n行目まで行なう(S26,S27)ことで,
マトリクス状双安定発光素子アレイ(8)の全要素を積
TijVjに応じて点滅でき,従来のように発光素子の出力
光を受光素子に入光する(S28)。また,演算が完了し
た後,繰り返し第1行目からマトリクス状双安定発光素
子アレイ(8)の要素を書き変える場合は,行方向ドラ
イバ(22),または列方向ドライバ(20)により,初期
信号強度をiBからiEに下げ,リセツト状態(32)にした
後,信号強度をiBにして初期状態(38)に戻す。
以上のことから,列方向ドライバ(20)が出力する2
値化符号の選択は光学マトリクスの各透過率をTijマト
リクスに応じて選択するのと同等であり発光素子と光学
マスクの組み合わせと等価になる。しかしながら,この
場合は2値化信号内容も偏光するだけで記憶情報は自由
に変えられる。また電極(21)の構造が単純であるので
作製が容易である。
以上のように,この第1の発明に係る光コンピユータ
を光ニユーロコンピユータに応用する場合はニユーロン
の状態ベクトルVとTijマトリクスとの積和演算を行な
う光ニユーロコンピユータにおいて,双安定発光素子を
複数マトリクス状に配列したマトリクス状双安定発光素
子アレイと,上記マトリクスアレイの行方向双安定発光
素子群に対応する入力としてニユーロンの状態ベクトル
Vに対応させた信号を上記マトリクスアレイの各行に時
系列に出力する行方向ドライバと,上記マトリクスアレ
イの列方向双安定発光素子群に対応する入力として,上
記行方向ドライバに同期してTijマトリクスの1つの列
成分に対応した信号を上記マトリクスアレイの各列に同
時にあるいは時系列に出力する列方向ドライバと,上記
マトリクス状双安定発光素子アレイの各列成分の発光素
子出力を受光し,上記状態ベクトルVとTijマトリクス
の積和信号と得る各列成分毎の受光素子アレイと,各受
光素子出力をしきい値処理するための比較回路とを備え
たことを特徴とする光ニユーロコンピユータということ
になる。
なお,上記実施例では簡単のために,2値化信号の場合
を示したが,Tijマトリクスの値が多値を示す場合でもよ
い。また不完全情報に対応した信号も0か1のみでない
多値の場合でもよい。多値を扱う場合は,行方向ドライ
バと列方向のドライバが多値化信号を発生し,双安定発
光素子アレイがその値により発光強度を決定する。そし
て,受光素子アレイは,この発光強度に応じて出力を変
化させることになる。
また,上記実施例では,フイードバツク型の連想機能
を有する場合について説明したが,バツクプロパゲーシ
ヨンのようなフイードフオワード型のニユーロシステム
であつてもよく,上記実施例と同様の効果を奏する。
次に,第2の発明の一実施例を光ニユーロコンピユー
タを用いて説明する。第4図は本実施例に係る光ニユー
ロコンピユータの基本システム構成を示したものであ
る。
本システムにおいても光学系はTijマトリクスの正値T
ij (+)と負値Tij (-)に対応して2系統必要であるが,本
図では簡単化のため1系統としてある。
第4図において,(3)は受光素子アレイ,(5)は
比較器,(6)は不完全情報入力(ニユーロンの状態ベ
クトルV),(7)は完全情報出力,(42)はANDゲー
ト,(43)はマトリクス状の発光素子アレイ,(41)は
マトリクス(相関行列)情報源,(44)はパルス変調器
である。
次に上記構成に基づき,本実施例の動作について説明
する。
第4図において,発光素子が点燈するか消燈するかに
対応するニユーロンの状態ベクトルVとTijマトリクス
の透過状態を同一のマトリクス状発光素子アレイ(43)
に多重化して出現させる。すなわちマトリクス状発光素
子アレイ(43)の1行成分〜n行成分がn個の発光素子
に対応し,マトリクス状発光素子アレイ(43)の各要素
がTijマトリクスの要素に対応する。
以上のように構成されたマトリクス状発光素子アレイ
(43)にTijマトリクスに応じた記憶内容を入力し,記
憶情報をニユーロンの状態ベクトルVによつて選び出す
には次のような操作を行なう。
先ず,マトリクス情報源(41)は上記マトリクスアレ
イ(43)の各発光素子に接続されたANDゲート(42)の
各一方入力にTijマトリクス情報に応じた“1"と“0"に
よる2値化素子信号を入力する。この2値化素子信号の
選択は光学マトリクスの各透過率をTijマトリクス情報
に応じて選択するのと同等である。しかしながら,この
場合は2値化素子信号内容を変更するだけで記憶情報は
自由に変えられる。次に各ANDゲート(42)の一方入力
に入力された2値化素子信号により記憶情報が決められ
たならば,上記ANDゲート(42)中,マトリクス状発光
素子アレイ(43)の各行成分発光素子に接続されたAND
ゲート(42)の他方入力にニユーロンの状態ベクトルV
に応じた2値化素子信号を同時入力する。この結果論理
積条件が整つたANDゲート,整わないANDゲートが決ま
り,そのANDゲート出力によつて各発光素子が点滅し,
従来のように発光素子の出力光を受光素子に入光する。
以上のことから例えばニユーロンの状態ベクトルVの
要素Viが0のときはマトリクス状発光素子アレイ(43)
のi行成分は全て消燈,Viが1のときはマトリクス状発
光素子アレイ(43)のi行目の成分のうち0の要素のみ
が消灯することになり,発光素子と光学マスクの組合せ
と等価となる。
しかし,これだけでは光学マスクの透過率に相当する
Tijマトリクス情報は0と1のみである。機能向上のた
めにはTijマトリクスの値を0〜1の間で連続的に変化
させる必要がある。本発明では,マトリクス情報源(4
1)とANDゲート(42)の間にデユーテイ可変のパルス変
調器(44)を挿入してある。すなわち,パルスのデユー
テイが高いときは結合強度が強く,低いときは結合強度
が弱いことに相当する。このパルス変調器(44)により
ANDゲート(42)の一方へ入力される素子信号のデユー
テイを連続的に変化させることにより,結合強度も連続
的に変化できる。
そして,受光素子の出力信号処理用の電子回路の帯域
を,変調パルスの周波数よりも充分低くしておけば,パ
ルス光が受光素子へ入射しても,その出力は平均化さ
れ,パルスのデユーテイに応じた強度の直流信号が得ら
れる。
このように第2の発明に係る光コンピユータを光ニユ
ーロコンピユータに応用すると,ニユーロンの状態ベク
トルVとTijマトリクスとの積和演算を行なう光ニユー
ロコンピユータにおいて,発光素子を複数マトリクス状
に配列したマトリクス状発光素子アレイと,各発光素子
へ駆動信号を出力する発光素子対応の論理積回路と,上
記マトリクスアレイの行方向発光素子群に対する上記各
論理積回路の一方の入力にニユーロンの状態ベクトルV
に対応させた信号を入力する手段と,上記各論理積回路
の他方の入力にTijマトリクスに対応した2値化素子信
号をそれぞれ入力する手段と,Tijマトリクスに対応した
2値化素子信号を任意のデユーテイパルス変調するため
のパルス変調器と,上記マトリクス状発光素子アレイの
各列成分の発光素子出力を受光し,上記状態ベクトルV
とTijマトリクスの積和信号を得る各列成分毎の受光素
子アレイと各受光素子出力をしきい値処理するための比
較回路とを備えたことを特徴とする光ニユーロコンピユ
ータということになる。
このように,このシステムではニユーロン間の結合強
度が連続的に変化できるため,学習機能の実現も容易で
ある。
なお,上記実施例では,パルス変調器(44)をマトリ
クス情報源(44)とANDゲート(42)の間に設けたもの
を示したが,ANDゲート(42)とマトリクス状発光素子
(43)の間に設けてもよい。
また,上記実施例では,フイードバツク型の連想機能
を有する場合について説明したが,バツクプロパゲーシ
ヨンのようなフイードフオワード型のニユーロシステム
であつてもよく,上記実施例と同様の効果を奏する。
次に,第3の発明の一実施例を光ニユーロコンピユー
タを用いて説明する。第5図は,本実施例に係る光ニユ
ーロコンピユータの基本システム構成を示したものであ
る。本システムにおいても光学系はTijマトリクスの正
値Tij (+)と負値Tij (-)に対応して2系統必要であるが,
本図では簡単化のため1系統としてある。第5図におい
て,(8a),(8b)は第1および第2の発光受光素子ア
レイ,(9)は双安定型空間光変調器,(9a),(9b)
は双安定型空間光変調器の第1および第2の光入出射
面,(10a),(10b)は第1および第2の電圧コントロ
ーラ,(11a)〜(11h)はスイツチである。
第6図は,第5図の発光受光素子アレイ(8a)または
(8b)の構成図である。図において,(a)は発光受光
素子アレイ(8a)または(8b)の上面図,(b)は発光
受光素子アレイ(8a)または(8b)を切断線VI(b)−
VI(b)で切断した場合の断面図,(c)は切断線VI
(c)−VI(c)で切断した場合の断面図である。ま
た,図において,(12a)〜(12p)は2次元状に配列さ
れた発光受光素子,(13a)〜(13d)は行方向に分離さ
れ,1行の発光受光素子(たとえば,(12a)〜(12d))
の上面の1部に接触した上部電極,(14a)〜(14d)は
列方向に分離され,1列の発光受光素子(たとえば(12
a),(12e),(12i),(12m))の下面に接した下部
電極,(15)は絶縁物,(16)はP層,(17)はi層
(活性層),(18)はn層である。第7図は,この実施
例の動作順を示す流れ図である。
第8図は第5図の双安定型空間光変調器(9)とし
て,例えば第35回応用物理学関係連合講演会講演予稿集
第3分冊,第734頁30p−ZF−3,第735頁30p−ZF−4(19
88,3月)に示されたものを2つを用い,その光出射側の
面をはり合わせたものを用いた場合の双安定型空間光変
調器(9)の動作特性を示している。双安定型空間光変
調器(9)は第1および第2の光入出射面(9a),(9
b)両方からの入射光に対して第3図に示されるものと
同じ動作特性を示す。双安定型空間光変調器(9)は2
つの安定状態(第8図の直線aと直線b)を持ち,直線
a上に動作点がある場合をON状態(光が透過する状
態),直線b上に動作点がある場合をOFF状態(光がほ
とんど透過しない状態)と呼ぶ。光入射面(9a)または
(9b)への入力光パワー密度がPON以上になると,OFF状
態からON状態へ遷移し,入力光パワー密度がPOFF以下に
なると,ON状態からOFF状態へ遷移する。
次に,上記構成に基づき本実施例の動作について第7
図を用いて説明する。本システムでは,まずTijマトリ
クス情報を双安定型空間光変調器(9)に透過/不透過
パターンとして書き込む必要がある。それは次のように
実行される。まず,スイツチ(11a)〜(11h)をすべて
電圧コントローラ(16a),(16b)側へ切り替える。第
1および第2の発光受光素子アレイ(8a),(8b)の上
部電極(13a)〜(13d)と下部電極(14a)〜(14d)を
すべて等電位にし,発光パワーをゼロにして双安定型空
間光変調器(9)の全面をOFF状態(80)にする(S7
1)。次に,第2の電圧コントローラ(10b)により,第
2の発光受光素子アレイ(8b)の上部電極(13a)〜(1
3d)を下部電極(14a)〜(14d)に対して正電位にし,
発光受光素子(12a)〜(12p)をすべて発光させて,双
安定型空間光変調器(9)の第2の光入出射面(9b)側
で発光受光素子(12a)〜(12p)に相当する部分をPOFF
より大きくPONより小さい光パワー密度PBで照射し続け
る(S72)。ここで状態(81)となる。次に,記憶させ
たいTijマトリクス情報に基づき,双安定型空間光変調
器(9)上で透過状態にしたい部分を順次ON状態(84)
にしてゆく(S73)。たとえば双安定型空間光変調器
(9)で,第1の発光受光素子アレイ(8a)の発光受光
素子(12g)に相対する部分を透過状態にする場合,第
1の電圧コントローラ(10a)を用いて上部電極(13b)
と下部電極(14a),(14b),(14d)を,すべて等し
い電位V1にし,上部電極(13a),(13c),(13d)と
下部電極(14c)を,すべて等しい電位V2(V2<V1)に
する。この時,全発光受光素子(12a)〜(12p)のう
ち,発光受光素子(12g)だけが発光する。そして,電
位差V1−V2を双安定型空間光変調器(9)の第1の光入
出射面(9a)上への入力光パワー密度がPON以上になる
ように設定しておくことにより,発光受光素子(12g)
に相対する部分がON状態(84),すなわち透過状態にな
る。1度ON状態(84)になると,第2の光入出射面(9
b)側からPOFFより大きな光パワーPBが入射しているた
め,第1の光入出射面(9a)への光入力をやめた場合で
も,ON状態(87)が保持される。したがつて,第1の発
光受光素子アレイのうち,双安定型空間変調器(9)上
の透過状態にしたい部分に相対する発光受光素子を順次
発光させてゆくことにより,記憶させたい結合マトリク
ス情報が,双安定型空間光変調器(9)に透過/不透過
パターンとしてかきこまれる(S73)。
次に光連想ニユーロコンピユータとしての動作につい
て述べる。双安定型空間光変調器(9)に結合マトリク
ス情報として,例えばアルフアベツトA,J,Eに相当する
3種類の情報を,Hopfieldモデルに基づく透過率のパタ
ーンとして記憶させた場合を考える。その後,第2の発
光受光素子アレイ(8b)を発光させ,POFF以上の入力光
パワー密度で第2の入出射面(9b)を照射したまま,ス
イツチ(11a)〜(11d)を不完全情報入力(6)側へ切
り替えるとともに第1の電圧コントローラ(10a)によ
り,第1の発光受光素子アレイ(8a)の下部電極(14
a)〜(14d)をすべて等しい電位V3にする。次に,不完
全情報入力(6)として,状態が0の場合の電位V4(V4
>V3)を与え,第1の発光受光素子アレイ(8a)のすべ
ての発光受光素子(12a)〜(12p)を発光させる(S7
4)。この時,第1の入出射面(9a)のうち,発光受光
素子(12a)〜(12p)に相対する部分への入力光パワー
密度PcがPOFFより大きくPONより小さくなるように電位
差V4−V3を設定しておく。次に,スイツチ(11e)〜(1
1h)を差動増幅器(4)側へ切り替えるとともに,第2
の電圧コントローラ(10b)により,第2の発光受光素
子アレイ(8b)の上部電極(13a)〜(13d)の電位を下
部電極(14a)〜(14d)以下にする。これにより,第2
の発光受光素子アレイ(8b)は,列方向のみに分離され
た受光素子アレイとして動作する。又,第2の入出射面
(9b)への入射光はなくなるが,第1の入出射面(9a)
への入射光によつて,ON状態は保持され,双安定型空間
光変調器(9)にかき込まれた透過/不透過パターンは
状態(86)/状態(82)として保持されている。
また,この時,ON状態を保持している光パワーは,双
安定型空間光変調器(9)を透過後,第2の発光受光素
子アレイ(8b)によつて受光され,各列に入射する光パ
ワーの合計に比例した信号が差動増幅器(4)へ入力さ
れる(S75)。しかし,この時の不完全情報入力(6)
の状態ベクトルVは(0,0,0,0)であるため,差動増幅
器(4)への入力は0でなければならない。このため,
差動増幅器(4)を調整してこの時の差動増幅器(4)
の出力を0とし,ON状態を保持するための光パワーPC
影響を除去する。
次に,不完全情報入力(6)として,状態1に対応す
るところを電位V5(V5>V4>V3)を印加すると,第1の
発光受光素子アレイ(8a)のうち対応する行のすべての
発光素子アレイが発光する(S76)。この時,第1の入
出射面(9a)上での入力光パワー密度PDがPONを超えな
いように電位差V5−V3を設定しておくことにより,透過
/不透過パターンは状態(85)/状態(83)として保持
される。この後は,状態0に対応する比較器(5)の出
力電位をV4とし,状態1に対応する比較器(5)の出力
電位をV5とすること以外は,従来例とまつたく同様の信
号処理を行うことにより,連想機能が達成される。
このように,第3の発明に係る光コンピユータを光ニ
ユーロコンピユータに応用すると,行方向に分離された
上記電極と,列方向に分離された下部電極を持ち,上記
上部電極と下部電極以外では各発光受光素子間が電気的
に絶縁されている2次元配列状の相対して配置された複
数の発光受光素子アレイと,上記発光受光素子アレイに
挾まれた双安定型空間光変調器と,発光受光素子アレイ
の各上部電極と下部電極へ独立した電位を与える電圧コ
ントローラと,入出力信号の配線をきりかえる複数のス
イツチと,発光受光素子アレイの各行へニユーロンの状
態ベクトルVに対応させた2値化信号を出力するアレイ
信号出力手段と,上記発光受光素子アレイに相対して配
置された別の発光受光素子アレイの各列ごとの受光信号
出力を閾値処理する複数の比較回路とを備えたことを特
徴とする光ニユーロコンピユータということになる。
なお,この実施例においては,第1と第2の発光受光
素子アレイ(8a),(8b)で双安定型空間光変調器をは
さむ場合を示したが,第1の発光受光素子アレイ(8a)
は発光のみできればよく,発光素子アレイであればよ
い。また,上記実施例においては,圧電コントローラや
スイツチを用いて上部電極と下部電極のある発光素子ア
レイを発光させたが,その他の方法で発光素子アレイを
発光させるものでもよい。
次に,第4の発明について説明する。
第9図(a)において,(92)は半導体基板,(93)
はマトリクス状に構成した双安定発光素子,(94)は透
明絶縁膜,(95)は受光素子アレイ,(96)は受光素子
アレイ接地電極,(97)は信号用電極である。
第9図(a)は第1の発明に係る光コンピユータの光
学系のみを一枚の半導体基板上に集積化したところを模
式的に示したものである。半導体基板(92)上にまず,
信号用電極(97)で継がれたマトリクス状の双安定発光
素子(93)を構成し,その上に透明絶縁膜(94)をはさ
んで受光素子アレイ(95)を構成する。比較器(5)な
どは光学系と同一基板上に集積化するか,別の基板上に
集積化して,光学系基板とハイブリツドに集積化する。
次に,第9図(b)は第2の発明に係る光コンピユー
タの光学系のみを一枚の半導体基板上に集積化したとこ
ろを模式的に示したものである。半導体基板(92)上に
まず,マトリクス状の発光素子(93)を構成し,その上
に透明絶縁膜(94)をはさんで,受光素子アレイ(95)
を構成する。比較器(5),ANDゲート(42),パルス変
調器(44)などは,光学系と同一基板上に集積化する
か,別の基板上に集積化して,光学系基板とハイブリツ
ドに集積化する。
なお,第3の発明に係る光コンピユータも,図示して
いないが,半導体基板上に集積化することができる。
なお,第1,第2,第3,第4の発明において述べた行と列
はそれぞれ入れかわつて用いることができる。つまり,
行が列となり,列が行となつてもこれらの発明と同一の
効果を奏する。
また,第1,第2,第3,第4の発明の実施例で図示したも
のは,図を簡単にするためTijマトリクスが4×4,6×6
などのものであつたが,N×N(Nは任意の整数)のもの
であればよい。また,N1×N2(N1とN2は任意の異なる整
数)として,行と列の要素数が異なるものでもよい。
また,上記実施例では,ニユーロコンピユータの場合
を示したが,この発明に係る光コンピユータはベクトル
・マトリクス演算を行なうものであればよい。
〔発明の効果〕
以上のように,第1の発明によればマトリクス状双安
定発光素子アレイにベクトルとTijマトリクスを多重化
して出現させるようにしたため,簡単な光学系で記憶情
報の変更が容易に行えるようになつた。しかも,双安定
発光素子アレイを用いることで,ベクトルを時系列に出
現させるようにしたため,電極構造が単純になり,作製
が簡易になる効果がある。また,光学系,電子回路系を
同一基板上に集積化したため極めて小型の光コンピユー
タを実現できる効果がある。
また,第2の発明によれば,マトリクス状発光素子ア
レイにベクトルとTijマトリクスとを多重化して出現さ
せ,かつTijマトリクスを表現する発光素子を任意のデ
ユーテイのパルスで変調できるようにしたため,簡単な
光学系でTijマトリクスからの信号が連続的に可変とな
り,記憶情報の変更が容易に行なえるようになつた。し
かも,光学系,電子回路系を同一基板上に集積化したた
め極めて小型の光コンピユータを実現できるようになつ
た。
また,第3の発明によれば発光素子アレイと発光受光
素子アレイを相対させ,間に双安定型空間光変調器をは
さんだ構成にしたので,Tijマトリクスの状態を外部から
ダイナミクに変えられ,記憶情報の変更が容易になる効
果がある。また,煩雑なレンズ系が不要となり,光学系
が簡単になる効果がある。
【図面の簡単な説明】
第1図は第1の発明の一実施例による光ニユーロコンピ
ユータの基本システム構成図, 第2図はその動作順を示す流れ図, 第3図は双安定発光素子の動作説明図, 第4図は第2の発明の一実施例による光ニユーロコンピ
ユータの基本システム構成図, 第5図は第3の発明の一実施例による光ニユーロコンピ
ユータの構成図, 第6図は第5図の発光受光素子アレイの構成図, 第7図は動作順を示す流れ図, 第8図は双安定型空間光変調器の動作特性図, 第9図は第1と第2の発明の光学系のみを集積化した場
合のそれぞれの一実施例の模式図, 第10図は従来の光ニユーロコンピユータの構成図, 第11図はニユーロンの機能とモデルを示す図, 第12図は帰還型(feedback)モデルを示す図, 第13図は蓄積情報と蓄積情報ベクトルの一例を示す図, 第14図は従来の光コンピユータの光学系を示す図であ
る。 図において,(3)は受光素子アレイ,(4)は差動増
幅器,(5)は比較器,(6)は不完全情報入力,
(7)は完全情報出力,(42)はANDゲート,(43)は
発光素子アレイ,(41)はマトリクス情報源,(44)は
パルス変調器,(8)は双安定発光素子アレイ,(22)
は行方向ドライバ,(20)は列方向ドライバ,(21)は
信号用電極,(92)は半導体基板,(93)は双安定発光
素子アレイ,(94)は透明絶縁膜,(95)は受光素子ア
レイ,(96)は受光素子アレイ接地電極,(97)は信号
用電極,(8a),(8b)は発光受光素子アレイ,(9)
は双安定型空間光変調器,(10a)は第1の電圧コント
ローラ,(10b)は第2の電圧コントローラ,(11a)〜
(11h)はスイツチ,(12a)〜(12p)は発光受光素
子,(13a)〜(13d)は上部電極,(14a)〜(14d)は
下部電極,(15)は絶縁物,(16)はp層,(17)はi
層,(18)はn層である。 Tはマトリクス, Tijは結合強度, Vはベクトル(不完全情報入力,ニユーロンの状態ベク
トル) Mは完全情報の数, Nはニユーロン数, V(m)は記憶状態ベクトル, Iiはしきい値。 なお,図中,同一符号は同一又は相当部分を示す。
フロントページの続き (72)発明者 新西 俊雄 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社中央研究所内 (72)発明者 久間 和生 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社中央研究所内 (72)発明者 追田 真也 兵庫県尼崎市塚口本町8丁目1番1号 三菱電機株式会社中央研究所内 (56)参考文献 特開 平2−201425(JP,A) 「昭和63年電子情報通信学会春季全国 大会講演論文集(D−2)」、(昭和63 年3月)電子情報通信学会、P.2− 306〜2−307

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】以下の要素を有する光コンピユータ (a) 複数の発光素子が配列された双安定発光素子ア
    レイ, (b) 発光素子アレイの各行単位に行信号を送る行方
    向ドライバ, (c) 発光素子アレイの各列単位に列信号を送る列方
    向ドライバ, (d) 行方向ドライバの行信号と列方向ドライバの列
    信号を重畳させ対応する発光素子の発光を制御すること
    により,行信号と列信号の積となる積信号を発生させる
    積算手段, (e) 発光素子アレイの配列のいずれかの方向につい
    て,上記の積算手段により発生した発光素子からの積信
    号の和を得る受光素子アレイ。
  2. 【請求項2】以下の要素を有する光コンピユータ (a) 複数の発光素子が配列された発光素子アレイ, (b) 発光素子アレイの行方向の各発光素子に行信号
    を送る手段, (c) 発光素子アレイの発光素子ごとに発光強度に応
    じた素子信号を発生する素子信号発生手段, (d) 上記の行信号と上記の素子信号の積信号を発光
    素子ごとに発生させ,この積信号に対応する発光素子を
    発光させる積算手段, (e) 発光素子アレイの列方向について,上記の積算
    手段により発生した発光素子からの積信号の和を得る受
    光素子アレイ。
  3. 【請求項3】以下の要素を有する光コンピユータ (a) 複数の発光素子が配列された発光素子アレイ, (b) 発光と受光の切替えができる発光受光素子が複
    数配列された発光受光素子アレイ, (c) 発光素子アレイと発光受光素子アレイに挾まれ
    た双安定型空間光変調器, (d) 発光素子アレイと発光受光素子アレイの発光制
    御により双安定型空間光変調器に光の透過を制御する透
    過データを記録保持する手段, (e) 発光素子アレイの各行単位に行信号を入力し
    て,この行信号と上記の透過データとの積信号を発生さ
    せる積算手段, (f) 発光受光素子アレイを列方向の受光に切替え,
    上記積算手段により発生した積信号の和を得る手段。
  4. 【請求項4】請求項1,請求項2,または,請求項3記載の
    光コンピユータにおいて,(a)から(e),または
    (a)から(f)に記載した要素のうちひとつ以上を,
    半導体基板上に集積化して配置したことを特徴とする請
    求項1,請求項2,または,請求項3記載の光コンピユー
    タ。
JP1111722A 1989-04-28 1989-04-28 光コンピユータ Expired - Lifetime JP2716796B2 (ja)

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