JP2713520B2 - パルプスラリーの脱水促進剤 - Google Patents
パルプスラリーの脱水促進剤Info
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Description
水促進剤に関する。さらに詳しくは、パルプウェットシ
ートの製造工程に添加することにより、洗浄フィルター
やシックナーあるいはマシンワイヤー等の真空脱水後に
生成する含水パルプウェットシートの含水率を低下する
脱水促進剤に関する。
浄工程、晒工程を経てパルプマシーンで50%前後の含
水率をもつウェットパルプとして抄きとられる。あるい
は、晒工程を経たパルプ原料が叩解され抄紙されてい
る。ウェットパルプの含水率を低下させると、マシーン
速度の上昇、シート切れの防止、乾燥設備に有するスチ
ーム使用量の減少が起こり、パルプ生産性の向上につな
がる。又、洗浄工程、晒工程における洗浄フィルターや
シックナーにおいては、脱水性向上によりパルプ洗浄性
の向上、さらに漂白に使われる薬品の使用量の減少がも
たらされる。洗浄性が悪いと、ピッチ物質が後工程に持
ち込まれピッチトラブルを誘発する。
ットパルプの含水率低下時に見られた効果と同様の効果
が見られる。この目的のために従来、抄紙工程において
は、ポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド等のカチ
オン性高分子が使用されている。一方、パルプマシーン
及び洗浄フィルター、シックナー等のパルプ工程に対し
てポリエチレンイミン、ポリアクリルアミド等のカチオ
ン性高分子を使用すると通常の添加量では脱水効果が不
十分であり、添加量を増加するとパルプシート形成が不
均一となり好ましくないという問題があった。
面に微細繊維を凝集させたり、電荷の中和によるフィブ
リルの繊維表面上への吸着等により、水力学的表面積が
減少するためと考えられるが、パルプ工程のパルプ繊維
は未叩解もしくはわずかな叩解しかなされておらず、微
細繊維やフィブリルという作用対象がないことが有効な
効果を発揮しない理由であると考えられる。
水に、上記のようなカチオン性高分子凝集剤(例、ポリ
アミノアルキル(メタ)アクリレート(アクリレートと
メタクリレートの両者を合わせて、便宜的に(メタ)ア
クリレートと称する。以下同様)、ポリエチレンイミ
ン、キトサン、ポリジメチルジアリルアンモニウム塩
等)が使用されている(造水技術、8(3),37〜4
3(1982))。比較的パルプシート形成に影響を及
ぼさない脱水剤として非イオン系界面活性剤の使用が提
案されている(特開平1−306693号公報参照)
が、十分な脱水性の向上のためには多くの使用量を必要
とし、白水のクローズド化に伴って発泡現象という問題
が生じてくる。また、ペーパーマシーンの紙の脱水に、
ジアリルジメチルアンモニウムクロリド重合体のような
低分子量のカチオン性重合体を加え、次にコロイダルシ
リカ及び高分子量のアクリルアミド共重合体を加える紙
の脱水方法が提案されている(特開平1−162897
号公報参照)。
洗浄フィルター、シックナー及びパルプマシーンより成
るパルプ化工程に適用した場合には、脱水効果が不十分
であるばかりでなくシート形成が不均一になるという問
題点があった。かかる状況下、パルプ化工程における有
効な脱水促進剤が求められている。
かわらず、少量の添加で優れた含水率低下機能をもつ脱
水促進剤を見いだした。さらにこの発明の脱水促進剤
は、パルプのシート形成不良や発泡現象を引き起こすこ
ともないことを確認し、この発明を完成するに至った。
れば、分子量50万〜100万のジアリルジメチルアン
モニウムクロライド重合体と分子量200万〜2000
万の一般式(I):
2 は低級アルキル基を示す。)で表される単位、又はそ
の四級塩を主構成単位とするカチオン系重合体を有効成
分として含有することを特徴とするパルプスラリーの脱
水促進剤が提供される。この発明の有効成分である分子
量50万〜100万のジアリルジメチルアンモニウムク
ロライド重合体又は分子量200万〜2000万の特定
のカチオン系重合体は、高分子凝集剤として、代表的な
ものであるが、それぞれ単独の添加をした場合、未叩解
のパルプ製造工程においては、上述の理由により有効な
脱水促進効果が得られない。
のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体と分
子量200万〜2000万の特定のカチオン系重合体と
を併用した際に、極めて優れた相乗的な脱水促進効果が
得られる事実の発見に基づくものである。その作用の詳
細は、明らかではないが微細繊維の凝集と表面張力の低
下による水切れ促進の両作用が、相乗的に発揮されてい
るものと思料する。
ルアンモニウムクロライド重合体の分子量は、50万〜
100万で、好ましくは、60万〜90万であり、また
特定のカチオン系重合体の分子量は、200万〜200
0万で、好ましくは500万〜1200万である。この
発明のジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体
と特定のカチオン系重合体の分子量が上記範囲外である
と、相乗的な脱水促進効果が得られないため好ましくな
い。
般式(I)において、R2 で表される低級アルキル基と
しては、炭素数1〜4の直鎖状または分枝状のアルキル
基が好ましい。このカチオン系重合体の具体例として
は、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエ
チルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジプロピルア
ミノエチル(メタ)アクリレート、ジブチルアミノエチ
ル(メタ)アクリレートのホモポリマー、該アクリレー
トの四級塩のホモポリマー又は該アクリレートもしくは
該アクリレート四級塩と(メタ)アクリルアミドとの共
重合体があげられる。
アミノエチル(メタ)アクリレートのホモポリマー、該
(メタ)アクリレートの四級塩のホモポリマー又は該
(メタ)アクリレート若しくは該(メタ)アクリレート
の四級塩と(メタ)アクリルアミドとの共重合体を用い
るのが脱水促進効果向上の点で好ましい。この発明にお
ける有効成分であるジアリルジメチルアンモニウムクロ
ライド重合体とカチオン系重合体との組合せにおいて相
乗効果が発揮される比率(重量比)としては、20:1
〜1:1とするのが適しており、5:1〜1:1とする
のがより好ましい。
で一液製剤化して用いるのが好ましい。しかし、これに
限定されることなく、使用対象によっては粉剤等の形態
で用いてもよい。一液製剤とされる場合には、両化合物
とも水溶性であるため水に希釈して製剤化するのが好ま
しい。
ル油等の炭化水素系溶媒とノニオン系界面活性剤等の分
散剤を用いてエマルジョン製剤とされてもよく、その場
合有効成分を1〜20重量部、炭化水素系溶媒10〜2
0重量部、ノニオン系界面活性剤1〜5重量部残部を水
とするのが、安定なエマルジョン製剤とするために好ま
しい。
スラリー特性(濃度、pH等)、フィルターの特性等に
より異なるが、対パルプ(絶乾物)0.01〜1重量%
であり、より好ましくは、対パルプ0.01〜0.2重
量%である。添加量が対パルプ0.001重量%以下で
は、好ましい脱水促進効果がえられず、対パルプ5重量
%以上添加しても経済的なデメリットを打ち消す効果は
ない。
ば、洗浄フィルターのヘッドボックス、マシンチェス
ト、ミキシングチェスト等であり、脱水処理工程の前に
添加すればよい。この発明を以下の試験例及び実施例に
より例示する。
取したLBKP(広葉樹晒クラフトパルプ)を含有する
2%スラリー(液温35℃)を用いて、この発明の脱水
促進剤及び比較例としての薬剤について脱水効果を試験
した。
所定濃度となるように各種薬剤の水溶液を添加したもの
を、減圧脱水機に接続された100メッシュのプラスチ
ックワイヤーを張ったブフナーロートに入れ、減圧度5
0cmHgで1分間吸引濾過した。その後、そのシートの剥
離状態及び濾過水の発泡状態を観察しながらパルプシー
トを取り外してパルプシートの重量を測定した(W1g)
後、105℃の乾燥器中で4.5時間乾燥後、放冷して
重量を測定した(W2g)。含水パルプの含水率は次式に
より求めた。
プ(絶乾物)に対する重量%を示し、供試化合物のアル
ファベットは、以下の化合物を示す。 A:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体
(分子量約70万) B:ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(分子
量約700万) C:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体
(分子量約10万) D:ジアリルジメチルアンモニウムクロライド重合体
(分子量約200万) E:ジメチルアミノエチルメタクリレート重合体(分子
量約100万) F:ポリオキシエチレンラウリルエーテル(EO 3モル
付加物)
ように、この発明の実施例である試験番号1〜6におい
ては、試験番号7の薬剤無添加時に比較して、パルプシ
ートの含水率が1.5〜3.0%低下していることがわ
かる。現場において、パルプシートの含水率が、例えば
1%低下することにより、プレスパートでのプレス負荷
が抑えられ、その後、ドライヤーで乾燥した場合、乾燥
蒸気量を4〜5%削減できるという経済的メリットが得
られる。
ウムクロライド重合体と特定のカチオン系重合体の分子
量がこの発明の範囲外であったり、この発明の範囲内で
あってもそれぞれ単独で使用した場合や公知の脱水剤で
ある非イオン系界面活性剤を使用した場合には、試験番
号8〜19において示されるように、脱水効果が不充分
であったり、発泡やパルプシートの剥離性が不良となり
実用的ではないことがわかる。
採取したLUKP(広葉樹未晒クラフトパルプ)を含有
する2.2%スラリーを供試水として用い、この発明の
脱水促進剤及び比較例としての薬剤について脱水効果を
試験例1と同様にして試験した。ただし、液温は、25
℃で試験した。その結果を表2に示す。なお、表2中、
添加量及び供試薬剤名の欄のアルファベットは、試験例
1と同様である。
水として用い、この発明の脱水促進剤及び比較例として
の薬剤について脱水効果を試験例1と同様にして試験し
た。また、濾液の懸濁物質(SS)(%)をJIS KO102-
14に準じて測定した。ただし、液温は、35℃、減圧度
は10cmHgとして試験した。その結果を表3に示す。な
お、表3中、添加量及び供試薬剤名の欄のアルファベッ
トは、試験例1と同様である。
タッフボックスにこの発明の脱水促進剤である下記供試
薬剤を有効成分として対パルプ(絶乾物)0.02重量
%,0.04重量%添加して脱水効果を試験した。その
結果を脱水促進剤無添加の場合の試験結果と併せて表4
に示す。
る試験番号1及び2においては、添加開始後、約30〜
45分でワイヤーの後のパルプシートの含水率の低下が
みられ、プレスロールでの負荷が減少した。マシンスピ
ードを24m/分の定速条件のままシートの厚みを上げ
て操業され、約12時間シート切れもなく運転できた。
比較例である試験番号3においては、同様のマシンスピ
ードで厚みを上げるとシート切れがおこり厚みを上げる
ことができなかった。また、最終シートは、薬剤無添加
時に比較してその重量が増加するとともに含水率が減少
された。
乾パルプの重量を算出すると、試験番号順にそれぞれ8
90.75g,960.15g,846.6gとなり、
試験番号1で5.2%の、試験番号2で13.4%の生
産性の上昇が得られた。
は、叩解、未叩解パルプにかかわらず少量の添加で優れ
た脱水促進効果が発揮されるという効果を生じる。特
に、未叩解パルプを含有するパルプ工程においては、従
来の脱水促進剤の使用において問題となっていた脱水効
果の不良、パルプシートの形成不良や剥離性不良及び発
泡問題を生じることなく、優れた脱水促進効果が発揮さ
れるという実用的効果を生じる。
使用し、脱水したパルプシートは、プレスパートでのプ
レス負荷が減少するとともに、最終シートの重量の増加
が促進され省エネルギー化及び生産性の上昇につながる
メリットを生じる。
Claims (3)
- 【請求項1】 分子量50万〜100万のジアリルジメ
チルアンモニウムクロライド重合体と分子量200万〜
2000万の一般式(I): 【化1】 (式中、R1 は水素原子又はメチル基、R2 は低級アル
キル基を示す。)で表される単位、又はその四級塩を主
構成単位とするカチオン系重合体を有効成分として含有
することを特徴とするパルプスラリーの脱水促進剤。 - 【請求項2】 ジアリルジメチルアンモニウムクロライ
ド重合体とカチオン系重合体との配合割合が20:1〜
1:1である請求項1に記載の脱水促進剤。 - 【請求項3】 カチオン系重合体がジメチルアミノエチ
ルアクリレートもしくはジメチルアミノエチルメタクリ
レートのホモポリマー、該(メタ)アクリレートの四級
塩のホモポリマー又は該(メタ)アクリレートもしくは
該(メタ)アクリレートの四級塩と(メタ)アクリルア
ミドとの共重合体である請求項1又は2記載の脱水促進
剤。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP6029592A JP2713520B2 (ja) | 1992-03-17 | 1992-03-17 | パルプスラリーの脱水促進剤 |
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JPH05263387A JPH05263387A (ja) | 1993-10-12 |
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JP4002590B1 (ja) * | 2007-02-08 | 2007-11-07 | 株式会社メンテック | 剥離剤及びそれを用いた湿紙の剥離性向上方法 |
-
1992
- 1992-03-17 JP JP6029592A patent/JP2713520B2/ja not_active Expired - Lifetime
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