JP2712490B2 - 局所傾斜磁場コイル - Google Patents

局所傾斜磁場コイル

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JP2712490B2 JP1040012A JP4001289A JP2712490B2 JP 2712490 B2 JP2712490 B2 JP 2712490B2 JP 1040012 A JP1040012 A JP 1040012A JP 4001289 A JP4001289 A JP 4001289A JP 2712490 B2 JP2712490 B2 JP 2712490B2
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Description

【発明の詳細な説明】 A.産業上の利用分野 この発明は、MRI装置(核磁場共鳴を利用したイメー
ジング装置)において、傾斜磁場を発生させるためのコ
イルに関する。
B.従来技術 MRIにおいては、原子核スピンの3次元的な位置を知
るために、直交3軸x,y,zの3方向に線型勾配磁場(傾
斜磁場) をかける必要がある。ここで、x,y,z各方向の勾配をGx,
Gy,Gzとすると、 Bz(x)=Gx×x Bz(y)=Gy×y Bz(z)=Gz×z で表すことができる。
主磁石による静磁場 の方向をz方向とすると、各傾斜磁場 の傾斜の方向はそれぞれx方向,y方向,z方向であるが、
磁場自体の方向はいずれの傾斜磁場 も静磁場 の方向(z方向)となり、各傾斜磁場 は静磁場 に重畳される。すなわち、例えば、傾斜磁場 をかけると、この傾斜磁場 と静磁場 とが重畳された磁場は、方向はすべてz方向であるが、
その大きさがy方向座標値によって変化し、この変化に
伴うNMR信号の周波数あるいは位相が変化し、この変化
を検出することで、個々のy方向座標値におけるNMR信
号強度を弁別することができる。
従来のMRI装置においては、x方向,y方向の傾斜磁場
コイルは4つのサドル形コイルで構成され、z方向の傾
斜磁場コイルは一対の平行コイルで構成され、いずれも
主磁石のマグネットボアの内側で、RF送受信コイル(体
部アンテナコイル)の外側の位置に配置してある。
C.発明が解決しようとする課題 しかし、上記従来の傾斜磁場コイルは、主磁石の全長
にほぼ匹敵する長さをもつサイズの大きいものであるた
め、傾斜磁場のリニアリティ特性が良くなり、また、高
出力の傾斜磁場の発生がむずかしい。すなわち、傾斜磁
場によって、主磁石における熱シールド板(例えばAl
製)に渦電流が発生し、その渦電流が傾斜磁場を打ち消
す方向の磁場を発生するが、傾斜磁場コイルが大サイズ
であると、磁場打ち消しの効果(渦電流損)が大きく、
その結果、傾斜磁場のリニアリティ特性に悪影響を及ぼ
すとともに、高傾斜磁場を発生するのが困難となる。
また、主磁石ユニットの全体を覆うマグネットボアは
常温であり、ここで発生する渦電流の時定数は極く短い
ので、傾斜磁場パルスの立ち上がり時間の延長化が生
じ、高速イメージングに支障を来すことになる。
そこで、渦電流損を理論的にゼロにするアクティブシ
ールド方式が提案された。これは、傾斜磁場コイルの外
側に別のコイルを配置し、傾斜磁場コイルと反対方向の
電流を流すことにより、渦電流によって発生する磁場を
相殺し、傾斜磁場に与える影響をなくすものである。
しかし、このアクティブシールド方式では、コイルを
二重にすること、および、シールドコイルに大電流を流
すことから、構造の複雑化、設備費,運転費の高騰を招
くとともに、大きな音が発生するという問題がある。
この発明は、このような事情に鑑みてなされたもので
あって、渦電流の影響をなくして高傾斜磁場の発生およ
び高速イメージングを可能にするとともに、設備費,運
転費の削減および発生音の抑制を図りながらも、傾斜磁
場のリニアリティ特性を向上することを目的とする。
D.課題を解決するための手段 この発明は、このような目的を達成するために、次の
ような構成をとる。
すなわち、この発明の局所傾斜磁場コイルは、体部ア
ンテナコイルの内側において被検体の関心部位に限った
局所で被検体を挟んで対向する平行平面上に形成される
傾斜磁場コイルであって、前記互いに平行な第1,第2の
コイル平面間の磁場スカラーポテンシャルをφ、第1
コイル平面外の磁場スカラーポテンシャルをφ、第2
コイル平面外の磁場スカラーポテンシャルをφとし、
第1コイル平面上での電流分布関数をψ=(φ−φ
)/μ、第2コイル平面上での電流分布関数をψ
(φ−φ)/μと定義し(μは透磁率)、ある電流
分布関数ψrefから求められた仮想の傾斜磁場Bz refと理
想のリニアな傾斜磁場Bz idealとの差についての前記局
所領域内での三次元方向のすべての座標点における自乗
和Dif=Σ(Bz ref−Bz idealが順次小さくなるよう
に前記電流分布関数ψrefを変化させる繰り返し法によ
って最小極限の自乗和Difminを求め、この自乗和Difmin
に対応する電流分布関数ψrefを最終電流分布関数ψ
ref(min)とし、この最終電流分布関数ψref(min)に基づ
いて求められた配線パターンに従って前記両コイル平面
上に導体を配列して構成したことを特徴とするものであ
る。
E.作 用 この発明の構成による作用は、次のとおりである。
すなわち、この局所傾斜磁場コイルは、体部アンテナ
コイルの内側において被検体の関心部位に限った局所で
被検体を挟んで対向する平行平面上に形成されるもので
あって、そのサイズが小さく、かつ、マグネットボアか
ら離れているので、渦電流損が小さくなり、したがっ
て、高出力の傾斜磁場を発生するとともに、傾斜磁場パ
ルスの立ち上がり時間の延長化を抑制して高速イメージ
ングが可能となる。
そして、アクティブシールド方式のような構造の複雑
化、設備費,運転費の高騰、大きな音の発生を招かずに
すむ。
加えて、上記のような繰り返し法によって求められた
最終電流分布関数ψref(min)に基づく配線パターンで形
成された局所傾斜磁場コイルによって発生される傾斜磁
場は、理想のリニアな傾斜磁場Bz idealに充分に近似し
たものとなり、そのリニアリティ特性が大幅に改善され
る。
F.実施例 以下、この発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明
する。
第1図は、MRI装置のガントリ内の構造を示す正面図
である。
主磁石のマグネットボア1の内部に、従来型の傾斜磁
場コイル2、体部アンテナコイル(RF送受信コイル)
3、および、平行平板型の局所傾斜磁場コイル4が、外
側から内側にかけてこの順番に配置されている。この実
施例は、本発明の局所傾斜磁場コイル4と従来型傾斜磁
場コイル2とを併用した場合を示している。例えば、従
来型傾斜磁場コイル2でz方向の傾斜磁場 とx方向の傾斜磁場 とを発生させ、局所傾斜磁場コイル4でy方向の傾斜磁
を発生させるといった具合である。
ただし、従来型傾斜磁場コイル2を除き、 の3つの局所傾斜磁場コイル4を積層して実施すること
も可能である。また、併用タイプの場合でも、1方向の
みを従来型傾斜磁場コイル2とし、残る2方向を局所傾
斜磁場コイル4とすることも可能である。なお、局所傾
斜磁場コイル4を上下で対向させているが、これに代え
て、左右で対向させてもよい。
局所傾斜磁場コイル4は、従来型傾斜磁場コイル2と
の対比において、従来型傾斜磁場コイル2が体部アンテ
ナコイル3の外側に存在するのに対し、局所傾斜磁場コ
イル4が内側に存在している点においてまず異なってい
る。また、従来型傾斜磁場コイル2がマグネットボア1
のほぼ全長にわたる大サイズであるのに対し、局所傾斜
磁場コイル4は、例えば、頭部のみ、心臓部のみといっ
た具合に被検体5における関心部位に限った局所で被検
体5を挟んで対向する小サイズである点で異なってい
る。
以下、y方向の傾斜磁場 の局所傾斜磁場コイル4の設計手法について説明する。
第2図は、平行平板型の局所傾斜磁場コイル4を形成
すべき互いに平行な第1,第2のコイル平面SP,SQの座標
系を示す。z方向が静磁場 の方向である。コイル平面SP,SQは、x−z平面に平行
であり、y軸に垂直である。第1,第2のコイル平面SP,S
Qで挟まれた空間をΩ(−d<y<d)、第1コイル
平面SPの外側(上側)の空間をΩ(y>d)、第2コ
イル平面SQの外側(下側)の空間をΩ(y<−d)と
し、各領域Ω01の磁場スカラーポテンシャルを
それぞれφ01とする。
マックスウェルの電磁方程式は、 なお、μは透磁率、εは誘電率、ρは電荷の体積密度
である。
ここで、定常状態の解を考え、電荷が存在しないこと
から、 であり、また、 は時間的変化がないとすると、〜式は、静磁場に関
するマックスウェルの方程式 となる。すなわち、磁場のみの方程式となる。
電流分布は第1,第2のコイル平面SP,SQ上に限られて
おり、前記の各領域Ω01ではそれぞれ電流密
度、 であるから、,式より、 が成立する。
式のrot より、 に対して、磁場スカラーポテンシャルφ01を次
のように定義することができる。
式で であるから、φのラプラシアン をとると、 φ1も同様であり、 のラプラスの方程式が成立する。
今、第1コイル平面SPを考える(第3図参照)。式
より、 ストークス定理より、 これより、x方向の電流密度JxPは、 いま、第1コイル平面SP上での電流分布関数ψとし
て、 を定義すると、式は、 となる。
同様にして、z方向の電流密度JzPを求めると、 となる。
また、第2コイル平面SQでの電流分布関数ψとし
て、 を定義し、第2コイル平面SQでのx方向およびz方向の
電流密度JxQ,JzQを同様にして求めると、 となる。
以上の,,,式をまとめて表現すると、サフ
ィクスKをK=PまたはQとして、電流密度は、 で表すことができる。
この式は、ψ=constという等高線に沿って電流
が流れることを意味している。
いま、磁場スカラーポテンシャルφ01を経験
に基づいてある値に決めると、それに対応した電流分布
関数ψPが決まり(,式)、式に基づいて電
流密度JxP,JzP,JxQ,JzQを求めることができる。
ここで、理想のリニアな傾斜磁場Bz idealを考える。
今、考察しているのは、y方向の傾斜磁場 の局所傾斜磁場コイル4についての設計手法であるか
ら、 Bz(y) ideal=Gy×y …… と置くことができる。ここでGyは、傾斜磁場 についての比例定数(勾配)である。
ある初期値としての電流分布関数ψref(0)を考え、こ
の電流分布関数ψref(0)から、,,式に従って、
仮想の傾斜磁場Bz(y) ref(0)を求める。電流分布関数ψ
ref(0)としては、仮想の傾斜磁場Bz(y) ref(0)が理想の
傾斜磁場Bz(y) idealに近いものとなると思われるものと
して決定される。
そして、仮想の傾斜磁場Bz(y) ref(0)と理想の傾斜磁
場Bz(y) idealとの差の自乗和Dif(0)をとる。すなわち、
局所領域内での三次元方向のすべての座標点(x1,y1,
z1),(x2,y2,z2)…(xn,yn,zn)についての自乗和
は、 Dif(0)=Σ(Bz(y) ref(0)−Bz(y) ideal …… となる。この自乗和は、傾斜磁場について仮想のものが
理想のものに比べてどの程度の差をもっているかを示
す。
次に、電流分布関数ψref(0)を微小量δψ(0)だけ変
化させて、2回目の電流分布関数ψref(1)とする。
ψref(1)=ψref(0)+δψ(0) …… そして、この電流分布関数ψref(1)に基づいた仮想の
傾斜磁場Bz(y) ref(1)と理想の傾斜磁場Bz(y) idealとの
差の自乗和Dif(1)をとる。
Dif(1)=Σ(Bz(y) ref(1)−Bz(y) ideal …… さらに、1回目の自乗和Dif(0)から2回目の自乗和Di
f(1)への変化をみる。すなわち、 δDif=Dif(1)−Dif(0) …… このδDifは、仮想傾斜磁場と理想傾斜磁場との差Dif
(1),Dif(0)のどちらが小さいかを示す指標となり、δDi
f>0(Dif(1)>Dif(0))であれば、仮想傾斜磁場と理
想傾斜磁場の差が拡大したことを意味し、これは電流分
布関数ψref(1)の設定(微小量δψ(0)の設定)が良く
なかったわけであり、その設定をし直して、上記と同様
の計算を行う。δDif<0(Dif(1)<Dif(0))であれ
ば、仮想傾斜磁場と理想傾斜磁場の差が縮まったことを
意味するから、次の段階に移る。
このような計算を繰り返すと、最終的には、δDif=
0またはδDif0となる。すなわち、仮想傾斜磁場が
理想傾斜磁場に一致または非常に接近したことになる。
この最終極限の自乗和Difminに対応する電流分布関数ψ
ref(i)を最終電流分布関数ψref(min)として決定する。
そして、最終電流分布関数ψref(min)に基づいてy方
向の傾斜磁場 についての配線パターンを式より求め、その配線パタ
ーンに従って第1,第2のコイル平面SP,SQ上に導体を配
列する。この導体の配列は、プリント配線とすることが
できる。
なお、最終電流分布関数ψref(min)の一例を第4図
に、決定された配線パターンすなわちy方向の傾斜磁場 の局所傾斜磁場コイル4のパターンを第5図に示す。第
5図はコイル平面の1/2の範囲に対応している。
以上はy方向の傾斜磁場 の局所傾斜磁場コイル4の設計手法についての説明があ
ったが、x方向の傾斜磁場 の局所傾斜磁場コイル4の場合には、 Bz(x) ideal=Gx×x と置いて、また、z方向の傾斜磁場 の局所傾斜磁場コイル4の場合には、 Bz(z) ideal=Gz×z と置いて、前述同様の計算を行えばよい。
なお、以上のようにして得た局所傾斜磁場コイルを用
いてMRIを行うと、500Gauss/mの高傾斜磁場が得られ、
立ち上がりも0.1msecの高速イメージングが可能とな
る。
G.発明の効果 この発明によれば、次の効果が発揮される。
局所傾斜磁場コイルは、体部アンテナコイルの内側
において被検体の関心部位に限った局所で被検体を挟ん
で対向するもので、サイズが小さいこと、および、マグ
ネットボアからの距離が大きいことから、渦電流損を極
力減少でき、高傾斜磁場の発生および高速イメージング
を達成することができる。
渦電流損の減少をアクティブシールド方式によらず
に達成するから、構造の複雑化を招くことなく、設備
費,運転費の削減および発生音の抑制を図ることができ
る。
局所傾斜磁場コイルは、繰り返し法による最終電流
分布関数ψref(min)に基づく配線パターンに従っている
から、発生傾斜磁場を理想のリニアな傾斜磁場Bz ideal
に充分に近似したものとでき、リニアリティ特性を向上
することができる。
【図面の簡単な説明】
第1図ないし第5図はこの発明の一実施例に係り、第1
図はMRI装置のガントリ内の構造を示す正面図、第2図
は局所傾斜磁場コイルを形成すべきコイル平面の座標系
を示す図、第3図はストークスの定理を適用した説明
図、第4図はy方向の傾斜磁場を考察した場合の最終電
流分布関数の一例を示す説明図、第5図は第4図に対応
した局所傾斜磁場コイルのパターン図である。 3……体部アンテナコイル 4……局所傾斜磁場コイル 5……被検体 SP……第1コイル平面 SQ……第2コイル平面

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】体部アンテナコイルの内側において被検体
    の関心部位に限った局所で被検体を挟んで対向する平行
    平面上に形成される傾斜磁場コイルであって、前記互い
    に平行な第1,第2のコイル平面間の磁場スカラーポテン
    シャルをφ、第1コイル平面外の磁場スカラーポテン
    シャルをφ、第2コイル平面外の磁場スカラーポテン
    シャルをφとし、第1コイル平面上での電流分布関数
    をψ=(φ−φ)/μ、第2コイル平面上での電
    流分布関数をψ=(φ−φ)/μと定義し(μは
    透磁率)、ある電流分布関数ψrefから求められた仮想
    の傾斜磁場Bz refと理想のリニアな傾斜磁場Bz idealとの
    差についての前記局所領域内での三次元方向のすべての
    座標点における自乗和Dif=Σ(Bz ref−Bz ideal
    順次小さくなるように前記電流分布関数ψrefを変化さ
    せる繰り返し法によって最小極限の自乗和Difminを求
    め、この自乗和Difminに対応する電流分布関数ψref
    最終電流分布関数ψref(min)とし、この最終電流分布関
    数ψref(min)に基づいて求められた配線パターンに従っ
    て前記両コイル平面上に導体を配列して構成したことを
    特徴とする局所傾斜磁場コイル。
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