JP2712261B2 - 回転電機付ターボチャージャの制御装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明はエンジンの排気管に取付けた回転電機付ター
ボチャージャの制御装置に関する。

（従来の技術） 近年、エンジンの排気エネルギーにより駆動されるタ
ービンに空気を圧縮するコンプレッサを取付け、エンジ
ンの吸気を過給するターボチャージャが車両に取付けら
れ、エンジン出力の増大が計られている。

また、この種のターボチャージャのタービンシャフト
に電動−発電機となる回転電機を取付け、内燃機関の負
荷や回転数の検出手段からの信号に応じて回転電機を制
御する内燃機関のターボチャージャの提案が特開昭62−
48931号公報に開示されている。

そして、上述の提案においては、エンジンの低速回転
時にバッテリからの電力を回転電機に供給して電動機作
動となし、コンプレッサの回転を付勢してターボチャー
ジャの過給作動を助勢することにより、エンジンの低速
運転時の過給圧の低下を補い、エンジン出力の向上を計
っている。

（発明が解決しようとする課題） しかしながら、上述のように過給圧を上昇させるため
回転電機の電動機駆動にはバッテリから大電力の供給を
必要とし、特に電動機駆動の初期には消費電力が大きい
ためバッテリの端子電圧が低下して、車両の前照灯など
が暗くなり、夜間の車両の運転に支障を生じ危険を伴う
虞がある。

本発明はこのような問題に鑑みてなされたものであ
り、その目的はターボチャージャに取付けた回転電機の
電動機駆動時におけるバッテリの電圧低下による障害を
防止しようとする回転電機付ターボチャージャの制御装
置を提供するにある。

（課題を解決するための手段） 本発明によれば、ターボチャージャのタービンとコン
プレッサとを結ぶタービン軸に電動−発電機となる回転
電機を取り付け、該回転電機の発電機駆動時に該発電電
力によりバッテリを充電する回転電機付ターボチャージ
ャの制御装置において、車載電気機器の電源となるバッ
テリと、前記回転電機の電動機駆動用バッテリと、エン
ジン駆動中であり、前記回転電機が電動機駆動されてい
るとき前記車載電気機器の電源となるバッテリ回路と回
転電機の電動機駆動用バッテリ回路とを電気的に遮断す
ると共に、前記回転電機が発電機駆動されているとき前
記車載電気機器の電源となるバッテリ回路と回転電機の
電動機駆動用バッテリ回路とを電気的に回転電機に接続
する切換手段と、を具備して成る回転電機付ターボチャ
ージャの制御装置が提供される。

（作用） 本発明では、バッテリを２個備えて回転電機の発電機
作動時のみスイッチにより、２個のバッテリの電路を一
緒にして充電するので、片方のバッテリが回転電機に大
電力を供給するときには、他方のバッテリの端子電圧は
影響を受けることがない。

（実施例） つぎに本発明の実施例について図面を用いて詳細に説
明する。

図面は本発明の一実施例を示す構成ブロック図であ
る。同図において、１はターボチャージャで、エンジン
の排気エネルギーにより回転駆動されるタービン11と、
タービン軸12に取付けられてエンジンの吸気を過給する
コンプレッサ13とを有し、コンプレッサ13とタービン軸
受14との間のタービン軸12には電動−発電機となる回転
電機２が取付けられている。

回転電機２はタービン軸12に設けられた回転子21と、
ターボチャージャ１の筐体に取付けられた固定子22より
なり、例えば回転子21には永久磁石が用いられ、固定子
22には多相巻線が備えられた交流機により構成されてい
る。

３は第１のバッテリであり、車両に搭載された電気機
器の電源となるもので、前照灯４は第１のバッテリ３か
ら電力が供給され、該バッテリ３の充電はエンジンの高
速回転時における発電機作動の回転電機２の発電電力に
より行われる。

５は整流器を備えたレギュレータであり、回転電機２
の固定子巻線に接続されて発電された交流電力を直流に
変換後、バッテリ充電用の所定電圧に制御して、第１の
バッテリ３および第２のバッテリ６に供給して、これら
のバッテリを充電するものである。なお、第２のバッテ
リ６への充電回路にはスイッチA,Bが接続され、これら
のスイッチの開閉制御と、レギュレータ５の出力電圧の
制御は後述するコントローラ７の指令により行われる。

８は電力変換器であり、第２のバッテリ６から直流電
力を入力して、回転電機２を電動機作動させる交流電力
に変換して出力するもので、通過電力をデューティ制御
する電力制御器や交流出力の周波数を自在に変換するイ
ンバータなどの強電機器を備えている。そして、交流出
力の電力や周波数の制御はコントローラ７からの指令に
基づいて制御されるよう構成されている。

９は出力検出器であり、回転電機２の固定子巻線に接
続され、該巻線間電圧やその交流周波数を検出して回転
電機２の作動状態に基づく信号をコントローラ７に送出
するものである。

コントローラ７はマイクロコンピュータよりなり、プ
ロセッサ、各種メモリ、入／出力回路などを有し、回転
電機２が発電機作動時におけるスイッチＡおよびＢの開
閉制御やレギュレータ５の出力電圧制御プログラム、ま
た回転電機２が電動機作動時の供給交流電力やその周波
数の制御プログラムなどを有し、これらの制御プログラ
ムに基づいてスイッチやレギュレータ、電力変換器など
に指令を発するよう構成されている。

つぎにこのように構成された本実施例の作動を説明す
る。

車両の定速走行時にて回転電機２が発電機作動のとき
には、固定子22の巻線からの発電電力は出力検出器９を
経由してレギュレータ５に供給され、整流器を備えたレ
ギュレータ５は供給された交流電力を直流に変換する。
一方、出力検出器９は発電電力の電圧や周波数に基づく
検出信号をコントローラ７に送ることにより、コントロ
ーラ７はスイッチＡおよびＢをオンにする指令を発する
とともに、レギュレータ５の整流した直流電力の電圧が
充電用の適正値となるような制御指令をレギュレータ５
に発令する。このようなコントローラ７やレギュレータ
５の作動により、第１のバッテリ３および第２のバッテ
リ６は発電機作動の回転電機２の発電電力により、それ
ぞれ充電が行われることになる。

つぎにエンジンの加速時や低速高負荷を要求されると
きは回転電機２は電動機作動となるが、コントローラ７
はまずスイッチＡおよびＢをオフにする指令を発して、
第１のバッテリ３からの電力が電力変換器８に流入する
のを防止する。

ついで、コントローラ７は電力変換器８に指令を発し
て、回転電機２を増速させるべき交流電力に第２のバッ
テリ６からの直流電力を変換させる。これはコントロー
ラ７は出力検出器９からの信号を入力して、常に回転電
機２の回転状態を検知しているので、電力変換器８の強
電機器のデューティ制御や周波数制御を常に行うことに
より、回転電機２を増速させることができるものであ
る。

したがって、回転電機２の電動機作動時には第２のバ
ッテリ６の電力のみ使用するので、第１のバッテリ３の
出力電圧は影響を受けることはない。

以上本発明を上述の一実施例によって説明したが、本
発明の主旨の範囲内で、例えば本実施例に用いた２個の
スイッチを１個のみとする如く変形や応用が可能であ
り、これらを本発明の範囲から排除するものではない。

（発明の効果） 本発明によれば、エンジンが駆動しているとき、電気
機器の電源となるバッテリと、回転電機の駆動用バッテ
リとを別個に設け、これらバッテリの充電時には電路を
一緒にして発電機作動の回転電機の出力に接続するが、
電動機作動時は互いに切離されているので、回転電機の
電動機作動による大電力の消費時にも他方のバッテリは
影響を受けず、したがって端子電圧の低下がないため車
両の運転の支障が免れる効果がある。

【図面の簡単な説明】

図面は本発明の一実施例を示す構成ブロック図である。 １……ターボチャージャ、２……回転電機、３……第１
のバッテリ、４……前照灯、６……第２のバッテリ、７
……コントローラ、A,B……スイッチ。

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】ターボチャージャのタービンとコンプレッ
   サとを結ぶタービン軸に電動−発電機となる回転電機を
   取り付け、該回転電機の発電機駆動時に該発電電力によ
   りバッテリを充電する回転電機付ターボチャージャの制
   御装置において、 車載電気機器の電源となるバッテリと、 前記回転電機の電動機駆動用バッテリと、 エンジン駆動中であり、前記回転電機が電動機駆動され
   ているとき前記車載電気機器の電源となるバッテリ回路
   と回転電機の電動機駆動用バッテリ回路とを電気的に遮
   断すると共に、前記回転電機が発電機駆動されていると
   き前記車載電気機器の電源となるバッテリ回路と回転電
   機の電動機駆動用バッテリ回路とを電気的に回転電機に
   接続する切換手段と、 を具備して成る回転電機付ターボチャージャの制御装
   置。
2. 【請求項２】前記切換手段は、スイッチであることを特
   徴とする請求項（１）に記載の回転電機付ターボチャー
   ジャの制御装置。