JP2710085B2 - 曲面屋根用板材及び曲面屋根 - Google Patents

曲面屋根用板材及び曲面屋根

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JP2710085B2
JP2710085B2 JP4091446A JP9144692A JP2710085B2 JP 2710085 B2 JP2710085 B2 JP 2710085B2 JP 4091446 A JP4091446 A JP 4091446A JP 9144692 A JP9144692 A JP 9144692A JP 2710085 B2 JP2710085 B2 JP 2710085B2
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昇 山坂
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、上に凸のアーチ型屋根
に敷設する葺き材に関し、葺き材の施工時、または長期
間の使用においても葺き材の平坦部分に波を発生するこ
とがなく美しい仕上がりが保たれるような曲面屋根用板
材及び曲面屋根に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、縦葺き屋根に使用される屋根
板1’は、屋根の傾斜に沿うように縦長に成形された板
材の左右の端縁を上方に立ち上げた構成を有するものが
使用されていた(図1参照)。そして、上記した屋根板
を上に凸のアーチ型屋根の瓦棒屋根に施工する場合、予
め成形機等を用いて屋根下地の曲率とほぼ等しい曲率に
曲げたものをとりつけていくか、或いは屋根下地の曲率
が大きい場合は、真直ぐな屋根板を屋根下地の曲率に沿
わせて取りつける方法があった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記し
たいずれの方法においても、図2に示すように屋根板の
平面部分(面板部)には長手方向の圧縮応力が作用する
こととなる。したがって、この屋根板の面板部の板厚が
薄い場合には、面板部は上記した圧縮応力によって弾性
挫屈して波を発生させて著しく美観を損ねていた。
【0004】上記した波の発生を防ぐ方法としては、屋
根板の面板部に幅方向のコルゲートをつけて圧縮歪を吸
収する方法や、面板部に長手方向のリブを設けて断面性
能を高め、弾性挫屈しにくいようにする方法がある。し
かし、上記したそれぞれの方法は見え掛かりの面板部を
加工することになるので、新たな美観上の問題が生ずる
こととなる。例えば、表面を美麗に洗浄したり、或いは
塗装等の処理を施しても、上記したような加工を行うこ
とにより、表面或いは塗装膜に傷や損傷が生じて、再度
研磨や洗浄、塗装等の処理を施す必要が生じる。したが
って、面板部に凹凸などの形状を付与することなく平滑
なままで、弾性挫屈による波の発生を防ぐ有効な方法が
希求されていた。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は上記に鑑み提案
されたもので、略平面状の面板部と該面板部の左右に備
えた側縁部とからなる板材において、側縁部は面板部よ
り上方に延出して設けられる立上り部分を備えてなり、
面板部は板材の断面中立軸上若しくは中立軸より上方に
位置するとともに上に凸のアーチ型屋根の屋根下地と同
等の曲率になるように成形してなることを特徴とする曲
面屋根用板材に関するものである。
【0006】また、本発明は、略平面状の面板部と該面
板部の左右に備えた側縁部とからなって、側縁部は面板
部より上方に延出して設けられる立上り部分を備えると
ともに面板部は板材の断面中立軸上若しくは中立軸より
上方に位置するようにした板材を、上に凸のアーチ型屋
根の屋根下地に沿わせながら敷設するか、若しくは予め
屋根下地と同等の曲率になるように成形して敷設し、横
方向に隣り合う板材間に吊子部材を配設することにより
隣り合う板材の側縁部の一部を上方から保持すると共に
板材の側縁部或いは吊子部材のいずれかに係止する係合
部を設けたカバー部材を冠着することにより隣り合う板
材の側縁部間を覆うようにしたことを特徴とする曲面屋
根をも提案するものである。
【0007】
【作用】本発明は、上記したような構成であるから、上
に凸のアーチの周方向として曲げる際にも面板部に長手
方向の圧縮応力が作用することがなく、波が発生して美
観を損ねることがない。また、面板部に過剰な伸張応力
が作用しないので、面板部表面の塗装膜に亀裂が発生す
る等の不具合を生ずることがない。
【0008】
【実施例】以下に本発明を図面の実施例に基づいて詳細
に説明する。図3に示すように本発明の曲面屋根用板材
1(以下、板材1と記す。)は、略平面状の面板部2と
該面板部2の左右に備えた側縁部3とからなり、上記し
た面板部2は中立軸Nより上方に位置する構成である。
図示した第1実施例では、側縁部3は、面板部2の側縁
を下方へ略垂直に折曲して設けられる第1部分31と、
これを次に180度折り曲げて面板部2の上方まで延出
して設けられる立上り部分32と、該立上り部分32の
上端を内方に折曲した第2部分33とからなる。このよ
うな板材1は、特に限定するものではないが平板状の鋼
材を折り曲げ加工して作製する。必要に応じてその表面
に塗装等の処理を施すようにしても良い。この板材1を
上に凸のアーチ型屋根に敷設するには、例えば予め図3
の矢印方向に屈曲させて屋根下地の曲率と同等の曲率に
なるように成形しても良い。或いは、平坦状の板材1を
上に凸の屋根下地に沿わせながら取り付け・敷設しても
良い。そして、本発明の板材1は、上記したいずれの方
法を採用しても面板部2に圧縮応力が生ずることがない
ので、波を発生させることもなく、美麗な屋根を施工す
ることができる。また、側縁部3は面板部2より上方に
延出して設けられる立上り部分32を備えるので、面板
部3が断面中立軸Nから離れて位置することがなく、換
言すれば面板部3が断面中立軸の近傍に位置する。した
がって、面板部3に過剰な伸張応力が作業しないので、
面板部3表面の塗装膜に亀裂が発生する等の不具合を生
じない。
【0009】次に、本発明の板材1を用いて屋根を葺く
施工例を図4に基づいて説明する。前記したように本発
明の第1実施例の板材1の側縁部3は、面板部2の側縁
を下方へ略垂直に折曲して設けられる第1部分31と、
これを180度折り曲げて面板部2の上方まで延出して
設けられる立上り部分32と、該立上り部分32の上端
を内方へ鋭角に折曲した第2部分33とからなる構成で
あり、この立上り部分32と第2部分33とで支持部分
34を形成している。まず、上に凸のアーチ型の屋根下
地4上に板材1を沿わせる。この際、第1部分31及び
立上り部分32の下端は屋根下地4に接触するが、面板
部2と屋根下地4との間には空間部5が形成される。こ
の空間部5にバックアップ材6を装填して板材1を屋根
下地4上に配列する。次に、上方に開放し、その側面7
1の上部が外方へ鋭角に屈曲された(この側面71の上
部を係止部72とする)樋状の吊子部材7を隣り合う板
材1,1間に配置する。この吊子部材7の側面71,7
1は、側縁部3,3の立上り部分32,32の内面に沿
い、係止部72,72は側縁部3,3の支持部分34,
34に積層して位置することとなる。したがって、吊子
部材7は側縁部3,3を上方から保持することとなる。
この状態で、吊子部材7の底面73からビスや釘等の止
着部材(図示せず)を屋根下地4に打ち込むことで固定
される。さらに、平坦状の上面部81の左右から下方に
係合部82,82を形成したカバー部材8を側縁部3,
3間に冠着する。この係合部82は、上面部81の左右
の側縁を下方へ鈍角に折り曲げ、さらにその下縁を内方
へ二度鋭角に折曲して水返し片が設けられる形状であ
り、カバー部材8を上方から押圧して冠着する際に拡径
し、充分に深く押圧すると弾性により回復して側縁部
3,3の支持部分34,34に係止する。この状態にお
いて、雨などの水が面板部2を流下しても側縁部3の立
上り部分32から上方への浸水は第2部分33やカバー
部材8の水返し片により確実に防止されている。このよ
うに、カバー部材8は隣り合う板材1,1の側縁部3,
3を接続すると共に雨仕舞いを確実に果たしている。
【0010】図5には、本発明の第2実施例の板材1
を用いて屋根を葺く施工例を示した。この板材1の側
縁部3は、面板部2より上方に形成した上向きの矢
先形状の支持部分34と、該支持部分34から面板
部2の下方まで設けられる立上り部分32と、該立
上り部分32の下端に設けられる上方に開放する断面
コ字状の接続部分35とからなる構成である。尚、前記
第1実施例と同様に面板部2は図示しない中立軸の上
方に位置し、立上り部分32は面板部2の上方まで
延出して設けられている。このことは後記する図6の第
3実施例、図7の第4実施例についても同様である。次
に、下方が開放する断面がハット型の吊子部材7を、
隣り合う板材1,1の側縁部3,3の接続部分
35,35間に配置する。この吊子部材7は左右の鍔
部74,74が接続部分35,35の内部に位置し、上
面75から止着部材などを打ち込むことにより屋根下地
4に安定に固定し、板材1,1を安定に保持する。
そして、上方から、平坦状の上面部81の左右から下
方に係合部82,82を形成したカバー部材8
側縁部3,3間に冠着すると、係合部82,82
が前記した支持部分34,34に係止して側縁部
,3間を覆うのである。このような第2実施例で
はカバー部材8は吊子部材7と全く取り合っていな
いが、直接板材1の側縁部3と取り合って隣り合う
板材1,1を接続している。
【0011】図6には、本発明の第3実施例の板材12
を用いて屋根を葺く施工例を示した。この板材12 の側
縁部32 は、面板部22 の側縁を下方へ鈍角に折曲して
設けられる第1部分312 と、その端部を上方へ鋭角に
屈曲させて設けられる略直立状の立上り部分322 とか
らなる構成である。次に、上方に開放し、その側面71
2 の上端の外側に折り返し状に断面がト字状の係止部7
2 を延設してなる樋状の吊子部材72 を配置する。こ
の吊子部材72 の側面712 と係止部722 との間には
側縁部32 の立上り部分32が挟まれる位置関係とな
る。そして、底面732 から止着部材を打ち込み、板材
3 ,13 を安定に保持する。さらに、上方から、平坦
状の上面部812 の左右から下方に係合部822 ,82
2 を形成したカバー部材82 を側縁部32 ,32 間に冠
着すると、係合部822 ,822 が、吊子部材72 の係
止部722 ,722 に係止して側縁部32 ,32 間を覆
うのである。このような第3実施例ではカバー部材82
は吊子部材72 に係止されているものの板材12 ,12
に全く取り合っていないので、吊子部材72 の底面73
2 から止着部材を打ち込んで屋根下地4に固定する必要
がある。
【0012】図7には、本発明の第4実施例の板材13
を用いて屋根を葺く施工例を示した。この板材13 の側
縁部33 は、面板部23 の側縁を下方へ鈍角に折曲して
設けられる第1部分313 と、その端部から屋根下地4
に沿って水平に設けられる水平部分36と、その端部を
上方へ略垂直に折曲して設けられる断面がZ字状の立上
り部分323 とからなる構成であり、立上り部分323
の中ほどに形成される段部が支持部分343 となる。次
に、上方に開放し、その側面713 の上部が外方へ鋭角
に屈曲された(この側面713 の上部を係止部723
する)樋状の吊子部材73 を隣り合う板材1,1の側縁
部33 ,33 間に配置する。この吊子部材73 の係止部
723 ,723 は側縁部33 ,33 の支持部分343
343 に積層して位置することとなる。そして、底面7
3 から止着部材等を打ち込むことにより吊子部材73
を屋根下地4に安定に固定し、板材13 ,13 を安定に
保持する。さらに、上方から、平坦状の上面部813
左右から下方に係合部823 ,823 を形成したカバー
部材83 を側縁部33 ,33 間に冠着すると、係合部8
3 ,823 が、支持部分343 ,343 に係止して側
縁部33 ,33 間を覆うのである。
【0013】以上本発明を図面の実施例に基づいて説明
したが、本発明は前記した実施例に限定されるものでは
なく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り
どのようにでも実施することができる。
【0014】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば上に凸のア
ーチ型屋根に敷設する際に、或いは長期間の使用におい
ても、面板部に長手方向の圧縮応力が作用することがな
いので、波を発生して美観を損ねることがない。
【0015】したがって、上記したような板材により敷
設された屋根は、面板部に従来のようなリブやコルゲー
トがないため、美しい仕上がりのものとなる。また、上
記したような見え掛かりの面板部を加工する必要がない
ので、表面或いは表面の塗装膜に傷や損傷が生じること
がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の屋根板の正面図である。
【図2】従来の屋根板を上に凸に曲げた状態を示す側面
図である。
【図3】本発明の第1実施例の板材の一部を示す斜視図
である。
【図4】本発明の第1実施例の板材の施工例を示す断面
図である。
【図5】本発明の第2実施例の板材の施工例を示す断面
図である。
【図6】本発明の第3実施例の板材の施工例を示す断面
図である。
【図7】本発明の第4実施例の板材の施工例を示す断面
図である。
【符号の説明】
1 (曲面屋根用)板材 2 面板部 3 側縁部 4 屋根下地 5 空間部 6 バックアップ材 7 吊子部材 8 カバー部材 N 中立軸

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略平面状の面板部と該面板部の左右に備
    えた側縁部とからなる板材において、側縁部は面板部よ
    り上方に延出して設けられる立上り部分を備えてなり、
    面板部は板材の断面中立軸上若しくは中立軸より上方に
    位置するとともに上に凸のアーチ型屋根の屋根下地と同
    等の曲率になるように成形してななることを特徴とする
    曲面屋根用板材。
  2. 【請求項2】 略平面状の面板部と該面板部の左右に備
    えた側縁部とからなって、側縁部は面板部より上方に延
    出して設けられる立上り部分を備えるとともに面板部は
    板材の断面中立軸上若しくは中立軸より上方に位置する
    ようにした板材を、上に凸のアーチ型屋根の屋根下地に
    沿わせながら敷設するか、若しくは予め屋根下地と同等
    の曲率になるように成形して敷設し、横方向に隣り合う
    板材間に吊子部材を配設することにより隣り合う板材の
    側縁部の一部を上方から保持すると共に板材の側縁部或
    いは吊子部材のいずれかに係止する係合部を設けたカバ
    ー部材を冠着することにより隣り合う板材の側縁部間を
    覆うようにしたことを特徴とする曲面屋根。
  3. 【請求項3】 板材の面板部と上に凸のアーチ型屋根の
    屋根下地との間に形成される空間部にバックアップ材を
    配設したことを特徴とする請求項2に記載の曲面屋根。
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