JP2709614B2 - ピストンリング - Google Patents

ピストンリング

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JP2709614B2 JP63305680A JP30568088A JP2709614B2 JP 2709614 B2 JP2709614 B2 JP 2709614B2 JP 63305680 A JP63305680 A JP 63305680A JP 30568088 A JP30568088 A JP 30568088A JP 2709614 B2 JP2709614 B2 JP 2709614B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は内燃機関用の鋼製ピストンリングに関し、特
に高負荷の内燃機関に要求される耐久性を有する鋼製ピ
ストンリングに関する。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
近年、エンジンの小型軽量化、高出力化などの高性能
化に伴い、ピストンリングに要求される条件はますます
過酷なものとなり、耐摩耗性はもちろんのこと、耐スカ
ッフ性、耐折損性などさまざまな観点から改良が加えら
れている。
上記対策として、従来から内燃機関用ピストンリング
の表面処理に多く使用されていた硬質クロムめっきは、
高鉛燃料を使用する場合や腐食雰囲気下で作動する場合
に耐摩耗性に難点があり、代替として溶射処理が施され
るようになった。しかしながら、溶射皮膜は耐摩耗性に
優れているものの、運転中に皮膜の剥離や脱落を生じた
り、相手材を摩耗させる等の問題があった。
また、13Crあるいは17Crのマルテンサイト系ステンレ
ス鋼を母材とし、その表面に窒化処理を行ったステンレ
ス鋼製ピストンリングも用いられているが、このステン
レス鋼製ピストンリングは、腐食雰囲気下での耐摩耗
性、及び相手材の摩耗という点では問題ないものの、耐
スカッフ性が十分でなく、高負荷の内燃機関において使
用すると、スカッフが発生するという問題を有する。
従って、本発明の目的は、耐摩耗性に優れていると同
時に相手材への攻撃性が少なく、かつ耐スカッフ性に優
れた内燃機関用ピストンリングを提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた
結果、特定の組成の鋼材を母材とし、その表面に窒化処
理を施したピストンリングは、耐摩耗性及び耐スカッフ
性に優れていることを発見し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明のピストンリングは、0.4〜1.0重量
%のCと、3.0〜10.0重量%のCrと、3.0〜8.0重量%のM
oと、1.0〜2.5重量%のVと、1.0〜3.0重量%のWと、
2.0〜10.0重量%のCoと、残部実質的にFe及び不可避的
不純物とからなる組成の鋼材を母材とし、少なくともそ
の外周摺動面に、窒化処理による硬化層を有することを
特徴とする。
以下本発明を詳細に説明する。
本発明のピストンリングの母材は、下記組成を有する
鋼材とする。
C:0.4〜1.0重量% Cr:3.0〜10.0重量% Mo:3.0〜8.0重量% V:1.0〜2.5重量% W:1.0〜3.0重量% Co:2.0〜10.0重量% 残部実質的にFe及び不可避的不純物である。
上記鋼材の添加元素のうち、Cは、基地に固溶して硬
度を高めるとともに、Cr、Mo、VおよびWと結合して硬
い炭化物を形成し、耐摩耗性及び耐スカッフ性を高める
効果を有する。Cの含有量が0.4重量%未満の場合は、
形成される上記炭化物の量が耐摩耗性及び耐スカッフ性
の向上に十分ではないため、耐摩耗性及び耐スカッフ性
の向上に効果がない。またCの含有量が1.0重量%を超
えると、鋼材の靱性が低下し、ピストンリングに必要と
される強度が得られない。
Crは、Cと結合して硬い炭化物を形成するとともに、
窒化処理によってCr窒化物を形成し、鋼材の耐スカッフ
性を著しく向上させる効果を有する。Crの含有量が3.0
重量%未満の場合は、上記炭化物及び窒化物の生成量が
不足して耐スカッフ性が不十分となり、Crの含有量が1
0.0重量%を超えるとその炭化物の量が多くなり、鋼材
の靱性が劣化する。
Moは、上記Crと同様に、Cと結合して硬い炭化物を形
成し、耐摩耗性を向上させる。また、基地にも一部固溶
し、基地の強度を高めるとともに、500℃以上の温度で
の焼き戻し軟化抵抗を向上させる効果を有する。焼き戻
し軟化抵抗を向上させることによって、窒化処理の際に
母材の硬度が低下するのを防ぐとともに、ピストンリン
グの耐熱へたり性を向上させることができる。Moの含有
量が3.0重量%未満の場合は、ピストンリングの耐熱へ
たり性が不十分であり、また8.0重量%を超えると、炭
化物量が多くなり、鋼材の靱性が劣化する。
Vは、上記Cr及びMoと同様Cと結合し、高硬度の炭化
物を形成し耐摩耗性及び耐スカッフ性を向上させる効果
を有する。Vの含有量が1.0重量%未満の場合は、炭化
物の生成量が不十分で上記効果が得られない。また、上
記効果は含有量が2.5重量%であれば十分なので、2.5重
量%を超えても意味がない。
Wの一部は上記Cr、Mo及びVと同様Cと結合し、高硬
度の炭化物を形成し、鋼材の耐摩耗性及び耐スカッフ性
を向上させる。さらに、一部は基地に固溶して高温にお
ける耐軟化性の向上に効果を有する。Wの含有量が1.0
重量%未満の場合は、上記効果が不十分であり、3.0重
量%を超えると鋼材の靱性が著しく低下する。
Coは炭化物を形成せず耐摩耗性の向上には寄与しない
が、ほとんどが基地に固溶し、焼き戻し硬さ及び赤熱硬
さを向上させる効果を有するため、鋼材の耐スカッフ性
が大幅に向上する。Coの含有量が2.0重量%未満の場合
は、上記効果が不十分であり、10.0重量%を超えると、
逆に耐スカッフ性が低下し、基地が脆化する。
次に上記鋼材の窒化処理について述べる。
本発明では上記鋼材を母材としたピストンリングの少
なくとも外周摺動面に窒化処理を行い窒化処理による硬
化層を形成させる。
本発明における窒化処理又は軟窒化処理は、窒素雰囲
気中において、550〜600℃で5〜10時間行うのが好まし
い。
上記窒化処理により、母材の表面には深さ50〜120μ
m程度まで窒化物からなる硬化層が形成される。
上記硬化層を形成させることにより、表面硬度及び耐
摩耗性を向上させることができる。同時にこの窒化処理
に伴う熱処理により、鋼材の内部応力が除去され、クラ
ックの発生を防止できるとともに、疲労強度も向上する
ため、折損し難くなる。
このようなピストンリングは、単体でコンプレッショ
ンリング等として用いるのに適するのは勿論のことであ
るが、シリンダ壁と直接接触するオイルコントロールリ
ング等のレールとしてリングと組み合わせて用いること
もできる。
〔作用〕
本発明のピストンリングが耐摩耗性及び耐スカッフ性
に優れているのは、リングを形成している母材自身の本
来の特性による他に、窒化処理により表面の硬度がより
上昇したためである。また耐折損性にも優れているの
は、母材に対して窒化処理が熱処理として作用し、疲労
強度が向上し、かつ内部応力が除去され折損の起点とな
るクラックの発生が防止されるなどに起因すると考えら
れる。
〔実施例〕
本発明を以下の実施例によりさらに詳細に説明する。
実施例1 下記第1表に示すピストンリング母材を作成し、得ら
れた母材を、N2ガス雰囲気中において570±5℃で7時
間窒化処理し、母材の表面に深さ約0.1mmの硬化層を形
成させた。
得られた硬化層の表面を0.03mmの深さまで研磨し、試
験片Aを得た。
比較例1 窒化処理及び研磨処理を行わない以外は、実施例1と
同様にして試験片Bを得た。
比較例2〜5 下記第1表に示す組成のピストンリング母材を作成
し、各々について窒化処理及び研磨処理を施した試験片
C,Eと、施さない試験片D,Fを得た。
比較例6 S45C材からなるピストンリングの表面にクロムめっき
を施し、試験片Gを得た。
以上の実施例及び比較例により得られた試験片A〜G
について下記のテストを行った。
(1)耐スカッフ試験 第3図に示す超高圧摩耗試験機を用いてテストを行っ
た。なお、この試験機は、ステータホルダ4に、シリン
ダ材として使用される鋳鉄材FC25製で摺動面5がホーニ
ング仕上げされた円板6が取外し可能に取付けられてお
り、その中央には裏側から注油孔7を通して潤滑油が注
油されるようになっている。ここでステータホルダ4に
は、油圧装置(図示せず)によって図中右方向へ向けて
所定圧力で押圧力(P)がかかるようにしてある。円板
6に対抗するロータ8上に取り付けられた試験片保持具
9には、回転軸と同心状の円周上に等間隔に四個の取り
付け孔が刻設されており、それぞれに試験片10が取りつ
けられる。それぞれ所定の表面処理が施された試験片10
の5mm×10mmの先端面が円板6の摺動面5に接触し、駆
動装置(図示せず)によって所定速度で回転する。試験
はステータ側の注油孔7から一定温度の潤滑油を摺動面
に供給しながら行う。ロータ8を回転させると試験片10
と円板6との間の摩擦によって、ステータホルダ4にト
ルクが生ずる。そのトルクをスピンドル(図示せず)を
介してロードセル(図示せず)により検知し、押圧力の
変化によるトルクの変化を動歪計(図示せず)で読み取
る。スカッフが生じるとトルクが急激に上昇するので、
その時の押圧力をもって試験片の耐スカッフ性とした。
試験条件は次に示す通りであった。
摩擦速度:8m/sec. 潤滑油 :無添加モータオイル#30 油温 :80℃ 給油量 :300cc/min 接触面圧:20kg/cm2よりスカッフ発生まで10kg/cm2ずつ
増圧、各面圧に3分間保持 結果を第1図に示す。
(2)耐摩耗性試験 第4図に示す科研式摩耗試験機 を用いてテストを行
った。
第4図において、シリンダ材として使用される鋳鉄材
FC25製の円柱11の外周面に、重り12による一定の接触荷
重下で、試験片14が接触しており、接触面には滴下ノズ
ル13よりPH=2の硫酸水溶液が滴下されるようになって
いる。円柱11が駆動装置(図示せず)によって矢印方向
に回転すると、円柱11の外周面と、5mm×5mmで10Rの曲
面を有する試験片14の先端面との摩擦によって、試験片
14の先端面及び円柱11の外周面が摩耗する。そこで、一
定摩擦距離において摩耗した深さをもって試験片の耐摩
耗性とした。
試験条件は次に示す通りであった。
摩擦速度:0.25m/sec. 接触荷重:4kg 摩擦距離:5.4kg 結果を第2図に示す。
さらに、耐摩耗性試験において異常摩耗を生じなかっ
た試験片A、C、E及びGについて、同試験における相
手材の摩耗量を測定した。結果を第2図に合わせて示
す。
第1図及び第2図から明らかなように、本発明のピス
トンリング(試験片A)は耐スカッフ性及び耐摩耗性に
優れているとともに、相手材を摩耗させることも少な
い。
〔発明の効果〕
以上に詳述した通り、本発明のピストンリングは特定
の組成の鋼材を母材とし、表面に窒化処理による硬化層
が形成されているので、耐摩耗性、耐スカッフ性に優
れ、また相手材を摩耗させることも少なく、折損も少な
いという利点を有する。
【図面の簡単な説明】
第1図は、本発明の実施例及び比較例による試験片の耐
スカッフ性を表すグラフであり、 第2図は、第1図と同様の試験片の耐摩耗性を表すグラ
フであり、 第3図は、耐スカッフ性試験の試験装置の主要部分を示
す部分断面図であり、 第4図は、耐摩耗性試験の試験装置の主要部分を概略的
に示す側面図である。 4…ステータホルダ 5…摺動面 6…円板 7…注油孔 8…ロータ 9…試験片保持具 10…試験片 11…円柱 12…重り 13…滴下ノズル 14…試験片
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−114553(JP,A) 特開 昭61−199053(JP,A) 特開 昭55−24931(JP,A) 特開 昭61−243155(JP,A) 特開 昭62−130260(JP,A)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.4〜1.0重量%のCと、3.0〜10.0重量%
    のCrと、3.0〜8.0重量%のMoと1.0〜2.5重量%のVと、
    1.0〜3.0重量%のWと、2.0〜10.0重量%のCoと、残部
    実質的にFe及び不可避的不純物とからなる組成を有する
    鋼材を母材とし、少なくともその外周摺動面に、窒化処
    理による硬化層を有することを特徴とする内燃機関用鋼
    製ピストンリング。
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