JP2708567B2 - 水素化処理用触媒およびその製造法 - Google Patents

水素化処理用触媒およびその製造法

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、重質油の水素化処理用触媒組成物に関す
る。
更に詳しくは本発明は固体酸性を有するボリア−アル
ミナに、周期律表第6B族および第8族の金属を担持させ
てなる触媒組成物において、特定の細孔分布を有する重
質油の水素化分解活性の優れた触媒組成物およびその製
造法に関する。
[従来の技術] 石油工業においては水素化分解や水素化精製など重質
油の水素化処理が広く行なわれている。
重質油の水素化処理用触媒としては、一般に多孔質の
無機耐火物担体に周期律表第6B族及び第8族金属成分を
担持したものが使用されている。特に、モリブデン−コ
バルト、モリブテン−ニッケル、或いはモリブデン−コ
バルト−ニッケル等の金属成分を担持した触媒は、重質
油の水素化脱硫、水素化脱窒素、水素化分解等の触媒と
して広く用いられている。
このような水素化処理用触媒の多孔質の無機耐火物担
体としては、アルミナ、シリカ、チタニア、ジルコニ
ア、ボリア、マグネシア等の無定形無機酸化物、あるい
はシリカ−アルミナ、ボリア−アルミナ等これらの無機
酸化物を構成成分とする複合酸化物等が用いられてい
る。
上記の担体の中で特定の細孔分布を持つアルミナ−ボ
リアが高い水素化分解活性を有することが報告されてい
る(特公昭62−25418号公報)。
この触媒組成物は触媒細孔の平均細孔直径付近の細孔
が占める容積が全体の細孔が占める容積の大部分を占め
るような細孔分布、すなわち比較的狭い細孔分布を持つ
ことを特徴としている。
しかしこの方法も充分に優れた分解活性を得るという
点では満足できるものではなかった。
[発明が解決しようとする課題] 本発明者はアルミナ−ボリア担体に担持された触媒組
成物の水素化分解活性を更に高めるために鋭意研究を進
めた結果、上記特許公報に記載されたものとは逆に、特
定の広い細孔分布を有するアルミナ−ボリア担持触媒が
驚くべきことに、重質油に対する水素化分解活性が優れ
ていることを見出した。
本発明は、このような知見に基づき、上記問題を解決
するためになされたもので、本発明の目的は、水素化分
解活性を向上させ、重質油を品質の優れた精製油あるい
は分解油に効率良く転換できる触媒及びこの触媒の製造
方法を提供することにある。
[課題を解決するための手段] 本発明の触媒組成物は、 固体酸性を有するボリア−アルミナに、周期律表第6B
族および第8族の金属を担持させてなる触媒組成物にお
いて、該触媒組成物の窒素ガス脱着法で測定した細孔分
布が、 (A)直径が0〜600Åの範囲にある細孔の50%の細孔
容積を占める点における細孔直径が70〜100Åであり、
かつ、 (B)直径が0〜600Åの範囲にある細孔の25%の細孔
容積を占める点における細孔直径と、直径が0〜600Å
の範囲にある細孔の75%の細孔容積を占める点における
細孔直径との差が50Å以上である ことを特徴とする重質油の水素化処理用触媒組成物であ
る。
すなわち本発明の触媒組成物においては、細孔直径が
0〜600Åの範囲にある細孔の全細孔容積の25%を細孔
直径0〜aÅの範囲にある細孔が占め、上記全細孔面積
の75%を細孔直径0〜bÅ以下の範囲にある細孔が占め
た場合、b−aが50Å以上である。言い替えれば直径が
0〜600Åの範囲にある細孔の細孔容積の25%を占める
点から75%を占める点までの中庸的な細孔直径が50Å以
上にわたって分布していることを意味しており、前記し
た特許公報に記載された触媒組成物に比べて広い細孔分
布を有するものである。
これは、重質油を処理する場合、直径が0〜600Åの
範囲にある細孔の50%の細孔容積を占める点における細
孔直径があまり小さいと、油中に含まれるバナジウム、
ニッケル等の金属分による活性劣化が大きく、また逆
に、それが大き過ぎると反応過程で生成するコークの蓄
積による劣化が大きくなる。このため上記要件を満足す
る必要がある。
水素化触媒の担体となる固体酸性を有するボリア−ア
ルミナ担体は、アルミナまたは焼成によりアリミナを生
成するアルミナ前駆体とホウ素化合物とを混合し、混練
成形、焼成して得られるが、本発明の細孔分布を有する
触媒組成物の担体となるボリア−アルミナは、混練後の
ボリア−アルミナのpHが7〜9の範囲になるようにホウ
酸アンモニウム水溶液とアルミナとを混練し、成形、乾
燥、焼成することによって得られる。
すなわち本発明の重質油の水素化処理用触媒組成物は
ホウ酸アンモニウム水溶液とアルミナまたはアルミナ前
駆体とを混練し、成形、乾燥、焼成して得られたボリア
−アルミナに周期律表第6B族および第8族の金属成分を
含浸担持させ、乾燥後焼成することによって得られる。
従来ボリア−アルミナ製造の原料として最も一般的な
ものとされているホウ酸を上記のホウ酸アンモニウムの
代りに用いると、本発明のような細孔分布の広いボリア
−アルミナが得られない。
なお、触媒中のボリア分は、3〜20重量%含有させる
ことが好ましい。含有率が3重量%以下では、水素化分
解活性を向上させる効果が小さく、また、20重量%以上
としても、その含有量の増加の割には、分解活性の向上
が顕著でなく、経済的でないばかりか、他の触媒性能、
例えば、脱硫活性の低下を引き起こす場合があり、あま
り好ましくない。
アルミナとしてはアルミナ粉末をそのまま用いてもよ
いが、焼成によりアルミナを生成するアルミナ前駆体を
使用することもできる。このような前駆体としては例え
ば水酸化アルミニウム、擬ベーマイト、ベーマイト、バ
イヤライト、ジブサイトなどのアルミナ水和物などをあ
げることができる。
本発明は、ボリア−アルミナに周期律表第6B族および
第8族の金属を担持させた水素化処理用触媒であるが、
周期率表第6B族の金属成分として好適に使用されるもの
は、モリブデン、タングステン、クロムなどであり、ま
た第8族の金属成分は、鉄、コバルト、ニッケルが好ま
しい。またそれぞれの金属成分を2種以上組み合わせて
使用することもできる。特に好ましい組み合わせは、ニ
ッケル−モリブデン、コバルト−モリブデン、ニッケル
−コバルト−モリブデンなどである。
これらの金属をボリア−アルミナ担体に担持させるに
は、これらの金属成分を含有する化合物水溶液を用いる
公知の方法で含浸させることができる。金属成分を含有
する化合物としては、パラモリブデン酸アンモニウム、
硝酸ニッケル、硝酸コバルトなどを用いることができ
る。
これら金属成分の担持量は、6B族金属成分が金属とし
ても5〜20重量%、好ましくは7〜15重量%、8族金属
成分が金属として0.5〜10重量%、好ましくは2〜5重
量%、となるようにすることが好ましい。
また本発明の触媒は、BET法により細孔容積が0.3〜0.
7ml/g、比表面積が200〜350m2/gのものが、良好な水素
化分解活性を維持できるため好ましい。
本発明の触媒を用いて処理される重質油としては、原
油の常圧蒸溜残油、減圧蒸溜残油及び石炭液化油、或い
はシェールオイル等が好適である。
また、水素化処理の反応条件は、原料重質油の種類、
反応装置上の制限、所望する製品構成、触媒の種類等に
応じて適宜選定されるが、通常は、温度350〜450℃、圧
力30〜150kg/cm2、液時空間速度0.2〜3.0Hr-1、水素と
原料重質油との供給量比率200〜1000Nm3−H2/kl−原料
重質油の範囲で行なわれる。
[実施例] 触媒の調製 実施例1 ホウ酸296gを加熱した脱イオン水に添加し、さらに28
%アンモニア水を添加して、pH8.3の360mlのホウ酸アン
モニウム水溶液を調製した。ニーダーにコンテナ社勢ア
ルミナPural SB2kgを張り込み、32.8gの61%硝酸を含
む希硝酸11および水を添加しながら混練を開始した。混
練後20分を経過した時点で、すでに調製済みのホウ酸ア
ンモニウム水溶液600mlを加え、水分調節を行いなが
ら、さらに40分混練を続けた。この混練物の1部に水を
加えて得られたスラリーのpHは8.5であった。得られた
混練物を1/16″径の3つ葉状に押し出し成形し、130℃
で一晩乾燥した後、600℃で1時間焼成しボリア−アル
ミナA′を得た。
実施例2 ホウ酸の添加量を363gに代えた以外は実施例1と同じ
方法でpH8.4のホウ酸アンモニウム水溶液を調製した。
このホウ酸アンモニウム水溶液を用い、実施例1と同じ
方法でボリア−アルミナB′を得た。なお実施例1と同
様の方法で測定した混練物スラリーのpHは8.7であっ
た。
実施例3 ホウ酸の添加量を434gに代えた以外は実施例
1と同じ方法でpH8.5のホウ酸アンモニウム水溶液を調
製した。このホウ酸アンモニウム水溶液を用い、実施例
1と同じ方法でボリア−アルミナC′を得た。なお実施
例1と同様の方法で測定した混練物スラリーのpHは8.9
であった。
比較例1 ニーダーにコンデア社勢アルミナPural SB2kgを張り
込み、32.8gの61%硝酸を含む希硝酸11および水を添加
しながら混練を開始した。混練後20分を経過した時点
で、296gのホウ酸粉末を加え、水分調節を行いながらさ
らに40分混練を続けた。この混練物の1部に水を加えて
得られたスラリーのpHは4.5であった。得られた混練物
を1/16″径の3つ葉状に押し出し成形し、130℃で一晩
乾燥した後、600℃で1時間焼成しボリア−アルミナ
D′を得た。
比較例2 ホウ酸の添加量を363gに代えた以外は比較例1と同じ
方法でボリア−アルミナE′を得た。なお実施例1と同
様の方法で測定した混練物スラリーのpHは4.3であっ
た。
以上のごとくして得られた各ボリア−アルミナにモリ
ブデン8wt%、ニッケル3wt%をそれぞれパラモリブデン
酸アンモニウム水溶液、硝酸ニッケル水溶液を用いて含
浸担持し、130℃で一晩乾燥後、500℃で1時間焼成して
それぞれ水素化処理用触媒A、B、C、D、Eを調製し
た。
それぞれの触媒の細孔特性をマイクロメリティクス社
製デシソーブ2600を用いて窒素ガス脱着法により測定し
た結果を表1に示す。
水素化処理 実施例4 触媒充填量100mlの流通式高圧反応装置で、実施例1
〜3で得られた触媒A〜Cおよび比較例1〜2で得られ
た触媒D〜Eを用いて原油の減圧軽油の水素化処理を行
ない、各触媒の分解活性を評価した。原料油の性状およ
び反応条件は下記のとおりである。
反応条件 水素圧力 :80KG LHSV :1.0hr-1 ガスオイル比:400/ 反応温度 :400℃ :420℃ 原料油(減圧軽油)の性状 硫黄分 2.77% 窒素分 0.12% 沸点360℃以上の成分92.5%(蒸留ガスクロ法によ
る) 反応前後における沸点360℃以上の留分の濃度から分
解率を計算して各触媒の分解活性を比較した。結果を表
2に示す。
表1の結果から、本発明の細孔分布を有する触媒は従
来の触媒に比べて水素化分解の活性が大きいことがわか
る。
[発明の効果] 本発明はアルミナ−ボリア担体に担持された特定の細
孔分布を有する触媒組成物は重質油の水素化分解におけ
る活性が高く、重質油を品質の優れた精製油あるいは分
解油に効率良く転換することができ、石油溜分の総合的
利用に極めて有用である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭53−127391(JP,A) 特開 昭51−50891(JP,A) 特開 昭57−30550(JP,A) 特公 昭60−1056(JP,B2) 特公 昭57−3716(JP,B2) 特公 昭54−23924(JP,B2) 特公 昭62−25418(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】固体酸性を有するボリア−アルミナに、周
    期律表第6B族および第8族の金属を担持させてなる触媒
    組成物において、該触媒組成物の窒素ガス脱着法で測定
    した細孔分布が、 (A)直径が0〜600Åの範囲にある細孔の50%の細孔
    容積を占める点における細孔直径が70〜100Åであり、
    かつ (B)直径が0〜600Åの範囲にある細孔の25%の細孔
    容積を占める点における細孔直径と、直径が0〜600Å
    の範囲にある細孔の75%の細孔容積を占める点における
    細孔直径との差が50Å以上 であることを特徴とする重質油の水素化処理用触媒組成
    物。
  2. 【請求項2】ホウ酸アンモニウム水溶液とアルミナまた
    はアルミナ前駆体とを混練し、成形、乾燥、焼成して得
    られたボリア−アルミナに周期律表第6B族および第8族
    の金属成分を含浸担持させ、乾燥後焼成することを特徴
    とする請求項1記載の重質油の水素化処理用触媒組成物
    の製造法。
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