JP2704985B2 - 耐震継手の抜止構造 - Google Patents

耐震継手の抜止構造

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JP2704985B2
JP2704985B2 JP17403896A JP17403896A JP2704985B2 JP 2704985 B2 JP2704985 B2 JP 2704985B2 JP 17403896 A JP17403896 A JP 17403896A JP 17403896 A JP17403896 A JP 17403896A JP 2704985 B2 JP2704985 B2 JP 2704985B2
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厚 槙
敏雄 戸島
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、耐震継手などにお
いて受口と挿口の抜け止めを行うために、挿口の外周に
半径方向に突出する突部をリング等で形成する耐震継手
の抜止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、図9〜図10に示すように、耐震
継手などにおいては挿口31の外周面に環状の溝32を
形成し、この溝32に一つ割りのリング33を嵌装して
いた。そして、溝32の底部に穿孔した貫通孔とリング
33に形成したボルト穴に挿通して固定ボルト34を配
置し、固定ボルト34に螺合するナット35を締め付け
てリング33を溝32に固定し、ナット35を覆って補
修材36を設けて挿口31の内周面に形成したモルタル
ライニング37を補修していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した構成
においては、製作工程で溝32の底部に貫通孔を穿孔す
るなどの手数がかかるとともに、リング33の装着作業
においても固定ボルト34の挿通およびナット35によ
る締結などに手数がかかる問題があった。
【0004】また、小口径管に装着するリング33は径
が小さいために、リングの剛性が高く、挿口31の端部
を挿通するためにリング33を拡径することが困難とな
り、リング33の装着作業を難しくしていた。
【0005】本発明は上記課題を解決するもので、挿口
に対するリングの装着作業における手数を減らすととも
に、特に小口径管においてはリングをその剛性に阻害さ
れることなく容易に挿口に装着することができる耐震継
手の抜止構造を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明の耐震継手の抜止構造は、挿口外周に形成し
た環状溝に配置されて少なくとも一箇所で不連続な形状
をなし、外周面に挿口端部に向けて下り勾配のテーパ状
の雄ねじ部を有する下リングと、下リングに外嵌して設
けられ、内周面に形成した雌ねじ部が下リングの雄ねじ
部に螺合する上リングとを備えた構成としたものであ
る。
【0007】このような構成によれば、挿口の環状溝に
下リングを配置し、下リングに上リングを外嵌させる。
このとき、下リングの雄ねじ部と上リングの雌ねじ部を
螺合させることにより上リングが下リングに固定される
とともに、雄ねじ部および雌ねじ部がテーパ状であるの
で螺合に伴って下リングが溝に締め付けられる。
【0008】そして、溝加工時の誤差によって環状溝の
深さが変動し、装着した状態における下リングが管半径
方向に位置ずれする場合には、上リングを管軸心方向に
ずらして雄ねじ部と雌ねじ部の螺合位置を違えることに
より、下リングの管半径方向の位置ずれを許容する。
【0009】さらに、受口に挿口を挿入した状態におい
て、継手に抜け出し力が作用すると、管軸心方向におい
て溝の両側面に係止された下リングが受口の内周面に配
置されるロックリングに係合して抜け出しを阻止する。
【0010】また本発明は、下リングを二つ割りに形成
した構成としたものである。このように下リングを二つ
割りに形成することにより、上述の装着時に下リングの
剛性に阻害されることなく挿口の溝へ容易に装着するこ
とができ、装着された下リングは上リングによって脱落
が防止される。
【0011】また本発明は、下リングの外周面に雄ねじ
部の無い平坦面を形成した構成としたものである。この
ように下リングの外周面に雄ねじ部の無い平坦面を形成
することにより、管の外径が公差内で最大の時にしゃこ
万で下リングを押さえ込んで環状溝に装着するような場
合に、下リングの外周面に形成した平坦面をしゃこ万で
押圧することにより、雄ねじ部の損傷を防止することが
できる。
【0012】また本発明は、挿口外周に形成した環状溝
に配置され、外周面に挿口端部に向けて下り勾配の外テ
ーパ面を有する二つ割りの下リングと、内周面に前記リ
ングの外テーパ面に対向する内テーパ面を有し、双方の
テーパ面を当接させて下リングに外嵌する上リングと、
上リングに穿孔した管半径方向のネジ穴に螺合して設け
られ、双方の下リングの端面間に形成される間隙を挿通
して環状溝の底部に当接する固定ボルトとを備えた構成
としたものである。
【0013】このような構成によれば、挿口の溝に下リ
ングを配置し、下リングに外嵌するように上リングを配
置するとともに、固定ボルトを締め付けて環状溝の底部
を押圧することにより上リングを挿口に対して固定す
る。このとき、下リングは二つ割りに形成されているの
で環状溝への装着作業が容易であり、装着された下リン
グは上リングによって管半径方向への脱落が防止され
る。
【0014】また、上リングと下リングは双方のテーパ
面で当接しているので、受口に対する挿口の挿入時に
は、管軸心方向に押圧される上リングが双方のテーパ面
を介して下リングに係止されるとともに、下リングが管
半径方向に押圧され、双方のリングが脱落することがな
い。
【0015】さらに、受口に挿口を挿入した状態におい
て、継手に抜け出し力が作用すると、管軸心方向におい
て環状溝の両側面に係止された下リングが受口の内周面
に配置されるロックリングに係合して抜け出しを阻止す
る。
【0016】そして、溝加工時の誤差によって環状溝の
深さが変動し、装着した状態における下リングが管半径
方向に位置ずれする場合には、固定ボルトが溝内におい
て管軸心方向に移動を許容される範囲内において上リン
グを管軸心方向にずらして双方のテーパ面の当接位置を
違えることにより、下リングの管半径方向の位置ずれを
許容する。
【0017】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面
に基づいて説明する。図1〜図2において、管1の挿口
2の外周面には環状の溝3が形成されており、溝3には
一つ割りの下リング4が配置されている。そして、下リ
ング4の外周面には挿口2の端部に向けて下り勾配のテ
ーパ状をなす雄ねじ部4aが形成されており、下リング
4に外嵌する上リング5の内周面には雄ねじ部4aに螺
合する雌ネジ部5aが形成されている。
【0018】以下、上記構成における作用を説明する。
装着時には、はじめに挿口2の溝3に下リング4を配置
し、下リング4に外嵌するように上リング5を配置する
とともに、下リング4の雄ねじ部4aに上リング5の雌
ねじ部5aを螺合させて固定する。
【0019】このとき、雄ねじ部4aと雌ねじ部5aを
螺合させることにより上リング5が下リング4に固定さ
れるとともに、雄ねじ部4aおよび雌ねじ部5aがテー
パ状であるので螺合に伴って下リング4が溝3に締め付
けられ、装着された下リング4は上リング5によって管
半径方向への脱落が防止される。
【0020】さらに、図3の(a)〜(c)に示すよう
に、鋳造時および溝加工時の誤差によって溝深さが変動
し、装着した状態における下リング4が管半径方向に位
置ずれする場合には、上リング5を管軸心方向にずらし
て雄ねじ部4aと雌ねじ部5aの螺合位置を違えること
により、下リング4の管半径方向の位置ずれを許容す
る。図3の(a)は挿口外径が公差内最大の状態にある
場合を示しており、上リング5を挿口2の先端側に位置
させている。また、(b)は挿口外径が規格値にある場
合を示している。さらに、(c)は挿口外径が公差内最
小の状態にある場合を示しており、上リング5を挿口2
の奥端側に位置させている。
【0021】そして、受口(図示せず)に挿口2を挿入
した状態において、耐震継手に抜け出し力が作用する
と、受口の内周面に配置されるロックリング(図示せ
ず)によって下リング4の側面4bが係止され、さらに
下リング4が管軸心方向において溝3の両側面に係止さ
れることにより抜け出しを阻止する。
【0022】図4に示すように、挿口2が小口径で下リ
ング4の剛性が大きい場合には、下リング4を二つ割り
に形成することにより、下リング4の剛性に阻害される
ことなく溝3への装着作業を容易に行うことができる。
【0023】図5〜図6は本発明の他の実施の形態を示
すもので、先の実施の形態のものと同様の作用を行う部
材については同一番号を付して説明を省略する。図5〜
図6において、溝加工の後に、溝3の内面および挿口2
の端面には塗装11が施されている。そして、下リング
12にはテーパ状の雄ねじ部12aが形成されるととも
に、雄ねじ部12aの奥端に位置して平坦面12cが形
成されている。
【0024】この構成によれば、管1の外径が公差内の
最大で、下リング12の装着に際してしゃこ万13を用
いる場合に、下リング12の平坦面12cをしゃこ万1
3で押圧することにより、雄ねじ部12aの損傷を防止
することができる。他の作用効果は先の実施の形態のも
のと同様である。
【0025】図7〜図8は本発明のさらに他の実施の形
態を示すものであり、先の実施の形態のものと同様の作
用を行う部材については同一番号を付して説明を省略す
る。図7〜図8において、下リング21の外周面には挿
口2の端部に向けて下り勾配の外テーパ面21aが形成
されており、上リング22の内周面には外テーパ面21
aに対向して内テーパ面22aが形成されている。ま
た、上リング22には固定ボルト23を螺入するための
ネジ穴24が穿孔されており、固定ボルト23は双方の
下リング21の端面間に形成される間隙A(図7に示
す)を挿通して溝3の底部に当接している。
【0026】上記構成によれば、装着時には、挿口2の
溝3に下リング21を配置し、下リング21に外嵌する
ように上リング22を配置するとともに、固定ボルト2
3を締め付けて溝3の底部を押圧することにより上リン
グ22を挿口2に対して固定する。この状態で、上リン
グ22と下リング21は双方のテーパ面22a、21a
で当接しているので、他の管の受口(図示せず)に対す
る挿口2の挿入時には、上リング22が管軸心方向に押
圧され、上リング22が双方のテーパ面22a、21a
を介して下リング21に係止されるとともに、下リング
21が管半径方向に押圧され、双方のリングが脱落する
ことがない。
【0027】そして、管鋳造時および溝加工時の誤差に
よって溝3の深さが変動し、装着した状態における下リ
ング21が管半径方向に位置ずれする場合には、固定ボ
ルト23が溝3の内部において管軸心方向に移動を許容
される範囲内で、上リング22を管軸心方向にずらして
双方のテーパ面22a、21aの当接位置を違えること
により、下リング21の管半径方向の位置ずれを許容す
る。他の作用効果は先の実施の形態のものと同様であ
る。
【0028】
【発明の効果】以上述べたように本発明によれば、下リ
ングと上リングの螺合または当接によって装着作業を容
易に行うことができ、加工時の誤差によって下リングが
管半径方向に位置ずれる場合には、上リングを管軸心方
向にずらして螺合または当接の位置を違えることにより
下リングの管半径方向の位置ずれを許容することがで
き、下リングを二つ割りに形成することにより、下リン
グの剛性に阻害されることなく挿口の環状溝へ容易に装
着することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態にもとづく耐震継手の全体
断面図である。
【図2】図1の耐震継手の要部拡大断面図である。
【図3】図2の構成にもとづく動作を示す模式図であ
る。
【図4】本発明の他の実施の形態にもとづく耐震継手の
全体断面図である。
【図5】本発明のさらに他の実施の形態にもとづく耐震
継手の要部断面図である。
【図6】図5における下リングの装着作業を示す説明図
である。
【図7】本発明のさらに他の実施の形態にもとづく耐震
継手の全体断面図である。
【図8】図7の耐震継手の要部断面図である。
【図9】従来の耐震継手の縦断面図である。
【図10】従来のリングの全体正面図である。
【符号の説明】
1 管 2 挿口 3 溝 4、12、22 下リング 4a、12a 雄ねじ部 5、23 上リング 5a 雌ねじ部 12c 平坦面 23 固定ボルト

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 挿口外周に形成した環状溝に配置されて
    少なくとも一箇所で不連続な形状をなし、外周面に挿口
    端部に向けて下り勾配のテーパ状の雄ねじ部を有する下
    リングと、下リングに外嵌して設けられ、内周面に形成
    した雌ねじ部が下リングの雄ねじ部に螺合する上リング
    とを備えたことを特徴とする耐震継手の抜止構造。
  2. 【請求項2】 下リングを二つ割りに形成したことを特
    徴とする請求項1記載の耐震継手の抜止構造。
  3. 【請求項3】 下リングの外周面に雄ねじ部の無い平坦
    面を形成したことを特徴とする請求項1または請求項2
    記載の耐震継手の抜止構造。
  4. 【請求項4】 挿口外周に形成した環状溝に配置され、
    外周面に挿口端部に向けて下り勾配の外テーパ面を有す
    る二つ割りの下リングと、内周面に前記リングの外テー
    パ面に対向する内テーパ面を有し、双方のテーパ面を当
    接させて下リングに外嵌する上リングと、上リングに穿
    孔した管半径方向のネジ穴に螺合して設けられ、双方の
    下リングの端面間に形成される間隙を挿通して環状溝の
    底部に当接する固定ボルトとを備えたことを特徴とする
    耐震継手の抜止構造。
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