JP2704763B2 - 樹脂組成物 - Google Patents

樹脂組成物

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JP2704763B2 JP17191389A JP17191389A JP2704763B2 JP 2704763 B2 JP2704763 B2 JP 2704763B2 JP 17191389 A JP17191389 A JP 17191389A JP 17191389 A JP17191389 A JP 17191389A JP 2704763 B2 JP2704763 B2 JP 2704763B2
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順三 正本
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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は優れた耐熱性,機械的性質及び成形性を有す
る熱可塑性樹脂組成物に関するものであり、射出成形や
押出成形により自動車,電気,電子及び機械分野の有用
な成形品となるものである。
[従来の技術] エンジニアリングプラスチックの応用分野は近年ます
ます拡大し、特に自動車,電気,電子分野への利用が著
しく増大してきている。それに伴って利用者側からのプ
ラスチックに対する要求も多様化,高機能化してきてお
り、これに応えることが技術的な課題となっている。し
かしこのように多様化,高機能化した要請には単独の素
材のみでは充分に応えることができず、そのためポリマ
ーアロイによってこれに応えることが最近盛んに行われ
ている。
ポリアミド樹脂とポリフェニレンスルフィド樹脂(以
下PPSと称する)とからなる樹脂組成物は公知のポリマ
ーアロイであり(特開昭53−69255号公報)、上記のよ
うな要請を背景に開発されたものである。かかる樹脂組
成物は引張強度約600Kg/cm2と優れた性能を有している
が、その衝撃強度は必ずしも満足のできるものではな
い。
即ちアイゾット衝撃強度で約3〜5Kg・cm/cmであり、
エンジニアリングプラスチックとしては不充分な値であ
る。
[発明が解決しようとする課題] 本発明の目的は上記の状況を踏まえ、ポリアミド樹脂
とPPSとからなる樹脂組成物のすぐれた特性をそのまま
保持しつつ、その耐衝撃性の改良された樹脂組成物を得
ることにある。
[課題を解決するための手段及び作用] 本発明者らはかかる目的で鋭意研究を重ねた結果、PP
Sと非ブロック型多官能性イソシアネート化合物とを溶
融混練してなる変性PPS(A)と、 ポリアミド樹脂(B)と、 エチレン50〜90重量%、α,β−不飽和カルボン酸ア
ルキルエステル5〜49重量%、無水マレイン酸0.5〜10
重量%からなるエチレン共重合体、エポキシ基含有オレ
フィン共重合体、アイオノマー樹脂から選択される少な
くとも一種のエラストマー(C)とを (A)/(B)=30/70〜90/10、 (C)/{(A)+(B)}=2/100〜50/100 の重量比で配合してなる熱可塑性樹脂組成物が上記の目
的を達成することを見出し、本発明に到達したものであ
る。
本発明で使用するPPSとは、構造式: で示される繰り返し単位を70モル%以上、より好ましく
は90モル%以上を含む重合体であり、上記繰り返し単位
が70モル%未満では耐熱性が損なわれるため好ましくな
い。
PPSは一般に、特公昭45−3368号公報で代表される製
造法により得られる比較的分子量の小さい重合体と、特
公昭52−12240号公報で代表される製造法により得られ
る本質的に線状で比較的高分子量の重合体等があり、前
記特公昭45−3368号公報記載の方法で得られた重合体に
おいては、重合後酸素雰囲気下において加熱することに
より、或は過酸化物等の架橋剤を添加して加熱すること
により高重合度化して用いることも可能であって、本発
明においてはいかなる方法により得られたPPSを用いる
ことも可能である。
また、PPSはその繰り返し単位の30モル%未満を下記
の構造式を有する繰り返し単位等で構成することが可能
である。
本発明で用いられるPPSの溶融粘度は、成形品を得る
ことが可能であれば特に制限はないが、PPS自体の強靭
性の面では100ポイズ以上のものが、成形性の面では10,
000ポイズ以下のものがより好ましく用いられる。特に
好ましくは1,000〜5,000ポイズの範囲である。
更に、PPSの架橋度を制御する目的で、通常の過酸化
物系架橋剤及び、特開昭59−131650号公報に記載されて
いるチオホスフィン酸金属塩等の架橋促進剤、又は特開
昭58−204045号公報、特開昭58−204046号公報等に記載
されているジアルキル錫ジカルボキシレート、アミノト
リアゾール等の架橋防止剤を配合することも可能であ
る。
PPSに多官能性イソシアネートを配合する方法につい
ては既に知られている。例えば、特開昭57−168945号公
報はPPSにイソシアネートを0.1〜10重量%添加する事を
開示している。
本発明では、ポリフェニレンスルフィド樹脂95〜99.9
重量%と非ブロック型多官能イソシアネート化合物0.1
〜5重量%とを溶融混練して変性PPS(A)とする。
本発明に用いる非ブロック型多官能イソシアネート化
合物としては、2個以上の非ブロック型イソシアネート
を1分子中にもっているイソシアネート化合物があり、
一般式: R−(N=C=O) 又は R−(N=C=S) (式中、Rは炭素、水素、硫黄、リン、窒素、酸素等の
元素で構成される有機基であり、nは2以上の整数であ
る。) で表される非ブロック型多官能イソシアネート、或はイ
ソチオシアネート化合物がある。
一般的な種類としては、大きく分けると脂肪族型及び
芳香族型があり、変性型としては2量体型、3量体型
(イソシアヌレート型)、多量体型、カルボジイミド変
性型等があるが、本発明はいずれのイソシアネート化合
物も使用することができる。
しかしながら、ブロック型イソシアネート(またの呼
び名をマスク型イソシアネート)、即ち、酸性亜硫酸ソ
ーダ、フェノール、クレゾール、ラクタム、複素環化合
物、青酸、亜硫酸塩等とイソシアネートを予め反応させ
ておき、高温で再生させるブロック型のイソシアネート
化合物は本目的に対しては殆ど効果が見られないため含
まれない。
具体的な化合物としては、例えば4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルプロパン
ジイソシアネート、カルボジイミド変性ジフェニルメタ
ンジイソシアネート、ナフチレン1,5−ジイソシアネー
ト、トルエンジイソシアネート、2量化トルエンジイソ
シアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、3量化
ヘキサメチレンジイソシアネート、5量化ヘキサメチレ
ンジイソシアネート、7量化ヘキサメチレンジイソシア
ネート、ポリメチレンポリフェニルポリイソシアネー
ト、フェニレンジイソシアネート、3,3′−ジメチルジ
フェニルメタン−4,4′−ジイソシアネート、3,3′−ジ
メチル−4,4′−ジフェニレンジイソシアネート、3,3′
−ビトルエン−4,4′−ジイソシアネート、キシレンジ
イソシアネート、イソホロンジイソシアネート、トリフ
ェニルメタントリイソシアネート、リジンジイソシアネ
ート、ジシクロヘキシルジメチルメタンジイソシアネー
ト、ジエチルフマレートジイソシアネート、トリイソシ
アネートベンゼン、トリイソシアネートナフタレン、ビ
ス(4−イソシアネートフェニル)エーテル、ビス(4
−イソシアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−
イソシアネートフェニル)スルホン、トリス(4−イソ
シアネートフェニル)ホスファイト、トリス(4−イソ
シアネートフェニル)ホスフェート、又これらに対応す
るイソチオシアネートを持った化合物、更に水添加した
上記芳香族イソシアネート化合物などの非ブロック型多
官能イソシアネート化合物がある。
本発明における溶融混練としては、ニーダー、ロール
ミル、押出機等の通常に樹脂溶融体の混練に用いられる
公知の装置を用いて混練することができる。押出機の種
類としては、1軸、2軸、コニーダー等があるが、いず
れの押出機によっても本発明の変性PPS(A)を得るこ
とができる。
混練温度は、PPSの融点以上であり、通常使用される2
80〜340℃までの範囲で十分混練可能である。また、PPS
は、前処理として予備乾燥し、混練は不活性ガス雰囲気
で行うのが好ましい。
溶融混練に際して、PPS95〜99.9重量%、好ましくは9
7〜99重量%、非ブロック型多官能イソシアネート化合
物0.1〜5重量%、好ましくは1〜3重量%の割合で行
う。前記イソシアネート化合物は、PPS同志を架橋させ
るための架橋剤として有効に機能しているものと考えら
れるが、この混合割合が0.1重量%以下であると本発明
における改質効果が低下し、逆に5重量%以上であると
架橋度が上がり過ぎるためか、脆くなる傾向にある。
本発明におけるPPSは、非ブロック型多官能イソシア
ネート化合物と溶融混練することにより耐衝撃性、伸度
等が改良されるが、更に、PPSに該イソシアネート化合
物のPPSとの反応残基である官能基(−NH−)が導入さ
れていると考えられるため、この組成物をベースにアロ
イ及び(又は)コンパウンドをすることにより、未処理
のPPSをベースにしたものに比べて、配合物との分散
性、相溶性、或は界面接着強度に優れた組成物を造るこ
とができる。
本発明に用いるポリアミド樹脂としては、周知の種々
のものを挙げることができる。例えば、蓚酸、アジピン
酸、スベリン酸、セバシン酸、テレフタル酸、イソフタ
ル酸、1,4−シクロヘキシルジカルボン酸のようなジカ
ルボン酸とエチレンジアミン、テトラメチレンジアミ
ン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミ
ン、デカメチレンジアミン、1,4−シクロヘキシルジア
ミン、m−キシリレンジアミンのようなジアミンとを重
縮合して得られるポリアミド;カプロラクタム、ラウリ
ルラクタムのような環状ラクタムを重合して得られるポ
リアミド;或は環状ラクタムと、ジカルボン酸とジアミ
ンとの塩を共重合して得られるポリアミド等を挙げるこ
とができる。これらのポリアミドのうち、好ましくは6
−ナイロン、46ナイロン、66ナイロン、6・10ナイロ
ン、66/6・10ナイロン、6/66ナイロン、12ナイロン、11
ナイロン、6/6Tナイロン(カプロラクタムとテレフタル
酸とヘキサメチレンジアミンとの塩の共重合体)等が挙
げられ、更に好適なものとしては6ナイロン、46ナイロ
ン、66ナイロンであり、特に好適には66ナイロンであ
る。
次に、本発明においてはPPSとポリアミド樹脂との界
面を強固に接着する働きを有するエラストマーとしてエ
チレン50〜90重量%、α,β−不飽和カルボン酸アルキ
ルエステル5〜49重量%、無水マレイン酸0.5〜10重量
%からなるエチレン共重合体、エポキシ基含有オレフィ
ン共重合体、アイオノマー樹脂から選択される少なくと
も一種のエラストマーを用いる。
本発明に用いるエチレン共重合体は、その単量体成分
が、エチレン、α,β−不飽和カルボン酸アルキルエス
テル、無水マレイン酸からなり、エチレンが50〜90重量
%、好ましくは60〜85重量%、α,β−不飽和カルボン
酸アルキルエステルが5〜49重量%、好ましくは7〜45
重量%、無水マレイン酸が0.5〜10重量%、好ましくは
1〜8重量%である。
α,β−不飽和カルボン酸アルキルエステルは、炭素
数が3〜8個の不飽和カルボン酸、例えば、アクリル
酸、メタクリル酸などのアルキルエステルであって、具
体例としては、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、
アクリル酸n−プロピル、アクリル酸イソプロピル、ア
クリル酸n−ブチル、アクリル酸t−ブチル、アクリル
酸イソブチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチ
ル、メタクリル酸n−プロピル、メタクリル酸イソプロ
ピル、メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸t−ブチ
ル、およびメタクリル酸イソブチルなどがあり、これら
のうちでも特に、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブ
チル、メタクリル酸メチルが好ましい。
これらの共重合体の分子量の目安として、190℃、2.1
6kgの荷重下におけるメルトインデックス値で与えられ
る。使用される共重合体のメルトインデックス値は0.1
〜1000、好ましくは0.2〜500、更に好ましくは1〜100
の範囲である。
これらの共重合体は「ボンドダイン」の名称で住友化
学工業(株)より市販されている。
エポキシ基含有オレフィン共重合体は、α,β−不飽
和カルボン酸のグリシジルエステルとオレフィンとの直
接の共重合やポリオレフィン及びポリオレフィン共重合
体へグラフト共重合する等の公知の方法によって製造さ
れる。
ここで用いるα,β−不飽和カルボン酸のグリシジル
エステルとは、一般式 (式中、Rは水素原子または低級アルキル基である。)
で示される一種又はそれ以上の混合物であり、例えばア
クリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、エタク
リル酸グリシジル等が挙げられ、なかでもメタクリル酸
グリシジルが好適に使用される。
このようなエポキシ基含有オレフィン共重合体は、そ
れら官能基を有するモノマーを構成成分として通常0.01
〜20重量%、好適には0.05〜5重量%の範囲である。こ
れらのエポキシ基含有オレフィン共重合体は「ボンドフ
ァスト」の名称で住友化学工業株式会社より市販されて
いる。
本発明において用いるアイオノマー樹脂の製造法は、
すでに周知(特公昭39−6810号公報)であり、ベース共
重合体と、その共重合体をイオン化しうる金属化合物と
を反応させることにより製造される。
ベース共重合体は一般式RCH=CH3(ただし、Rは水素
および炭素数1〜8のアルキル基からなる群から選ばれ
る)で示されるα−オレフィンと、α,β−エチレン型
不飽和基を有しかつカルボキシル基を1〜2個有するカ
ルボン酸とからなるものであるが、α−オレフィン−モ
ノカルボン酸共重合体がとくに適している。
好適に使用しうるベース共重合体としては、たとえば
エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/メタクリル
酸共重合体、エチレン/イタコン酸共重合体、エチレン
/マレイン酸共重合体、エチレン/アクリル酸/メタク
リル酸メチル共重合体、エチレン/メタクリル酸/酢酸
ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸/ビニルアルコ
ール共重合体、エチレン/プロピレン/アクリル酸共重
合体、エチレン/スチレン/アクリル酸共重合体、エチ
レン/メタクリル酸/アクリロニトリル共重合体、エチ
レン/塩化ビニル/アクリル酸共重合体、エチレン/ク
ロロトリフルオロエチレン/メタクリル酸共重合体、ポ
リエチレン/アクリル酸グラフト共重合体、ポリプロピ
レン/アクリル酸グラフト共重合体等を挙げることがで
きる。
また、金属イオンとしてはベース共重合体が、α−オ
レフィン−モノカルボン酸共重合体の場合には1〜3価
の原子価を有するもの(たとえばNa+,K+,Li+,Cu2+,B
e2+,Mg2+,Zn2+,Al3+など)が適しており、α−オレフィ
ン−ジカルボン酸共重合体の場合には1価の原子価を有
するもの(たとえばNa+,K+,Li+など)が適している。
使用されるアイオノマー樹脂の例としては、エチレン
−アクリル酸共重合体と金属イオンとしてNa+,Zn2+との
組合せが挙げられる。
上記の金属のギ酸塩、酢酸塩、水酸化物、メトキシ
ド、炭酸塩等と上記のベース共重合体とを反応させるこ
とによりアイオノマー樹脂を製造することができる。
アイオノマー樹脂の分子量は10,000〜1,000,000、好
ましくは20,000〜800,000更に好ましくは30,000〜500,0
00の範囲である。
本発明で使用されるアイオノマー樹脂は三井・デュポ
ンポリケミカル株式会社より「ハイミラン」の商品名で
販売されている。
本発明において変性PPS(A)とポリアミド樹脂
(B)との混合割合は、重量比で(A)/(B)=30/7
0〜90/10の範囲であり、変性PPS(A)の含有割合が90
重量%を越えると変性PPSの改良効果が少なくなり、30
重量%未満では変性PPS本来の特性が大巾に失なわれる
のでそれぞれ好ましくない。なかでも好適な混合割合は
(A)/(B)=40/60〜80/20である。
前記エラストマー(C)の添加量は、変性PPS(A)
およびポリアミド樹脂(B)の総量(A)+(B)100
重量部に対して2〜50重量部、好適には5〜30重量部の
範囲である。該エラストマーの添加量が50重量部よりも
多い場合には得られる成形品の機械的強度、熱的性質及
び成形加工性等が低下するなどして好ましくない。また
2重量部よりも少ない場合には本発明の効果が少なく、
本発明を達成することが難しい。
又、本発明の樹脂組成物は、必要に応じて無機及び/
又は有機の充填剤を添加し、剛性等の向上をはかること
が出来る。好適な充填剤としては、ガラス繊維、炭素繊
維、金属繊維、アラミド繊維、チタン酸カリウム、アス
ベスト、炭化ケイ素、セラミック、窒化ケイ素、硫酸バ
リウム、硫酸カルシウム、カオリン、クレー、パイロフ
ィライト、ベントナイト、セリサイト、ゼオライト、マ
イカ、雲母、ネフェリンシナイト、タルク、アタルパル
ジャイト、ウオラストナイト、PMF、フェライト、硅酸
カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ドロ
マイト、三酸化アンチモン、酸化亜鉛、酸化チタン、酸
化マグネシウム、酸化鉄、二硫化モリブデン、黒鉛、石
こう、ガラスビーズ、ガラスパウダー、ガラスバルー
ン、石英、石英ガラスなどの強化充填剤を挙げることが
できる。
又、本発明の樹脂組成物には、芳香族ヒドロキシ誘導
体、例えば2−エチルヘキシル−p−ヒドロキシベンゾ
エート、スルフォン酸アミド、例えばベンゼンスルフォ
ンブチルアミドなどの可塑剤か、他に少量の離型剤、カ
ップリング剤、着色剤、滑剤、耐熱安定剤、耐候性安定
剤、発泡剤、防錆剤、難燃剤、三酸化アンチモン等の難
燃助剤等を添加してもよい。
本発明の樹脂組成物の調製は種々の公知の方法で可能
である。例えば、原料を予めタンブラー又はヘンシェル
ミキサーのような混合機で均一に混合した後、一軸又は
二軸の押出機等に供給して溶融混練した後、ペレットと
して調製する方法がある。
本発明の組成物の調製手段は特に制限はないが、PPS
とイソシアネートを溶融混練し、ついでポリアミド樹脂
とエラストマーとを溶融混練し、さらに強化剤をPPSの
融点以上の温度で、押出機内で溶融混練して後に、ペレ
タイズする方法が代表的である。
なお、溶融混練温度は280℃〜340℃が好ましく、280
℃未満ではPPSの溶融が不充分になることがあり、340℃
を越えるとポリアミド樹脂及びエラストマー等の熱劣化
やゲル化することがあるので注意を要する。
[実施例] 以下に実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明する
が、これは本発明を限定するものではない。
参考例1(変性PPSの製造) PPS粉末(トーブレンT−4)を150℃で3時間乾燥し
た後に、50℃に温度を下げ、4,4′−ジフェニルメタン
ジイソシアネートをPPS100重量部に対して、2重量部配
合し、30秒間窒素雰囲気中でヘンシェルミキサーで混合
した後、池貝鉄工製“PCM−30"二軸押出機で、シリンダ
ー温度:290〜300℃、窒素雰囲気中でペレタイズした。
参考例2 PPS粉末を4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート
を用いない他は参考例1と同様の操作を行ないペレタイ
ズした。
実施例1 参考例1で得られた変性PPS80重量部、ナイロン66
(旭化成工業株式会社製レオナ「1300」)20重量部、無
水マレイン酸含有エチレン−アクリル酸エステル共重合
体(住化シーディーエフ社製、ボンダインTX8030、アク
リル酸エステル含量15%、メルトフローレート3g/10
分)11重量部の重量割合でVブレンダーで混合、これら
をシリンダー温度をホッパー部240℃,中央部を300℃,
先端部を300℃に設定した池貝鉄工社製同方向回転二軸
押出機PSC−30を用いて溶融混練し、常法にてペレット
を得た。得られたペレットをシリンダー温度をホッパー
部240℃,中央部290℃,先端部300℃に金型温度140℃に
設定し通常の射出成形法によりテストピースを得て各種
物性測定を行った。得られた結果をまとめて表−1に示
した。
実施例2 無水マレイン酸含有エチレン−アクリル酸エステル共
重合体(住化シーディーエフ社製、ボンダインTX8030)
の割合を22重量部とした他は実施例1と同様の操作を行
なった。得られた結果をまとめて表−1に示した。
実施例3 エラストマーをエポキシ基含有オレフィン共重合体
(住友化学社製ボンドファストE)とした他は実施例1
と同様の操作を行なった。得られた結果をまとめて表−
1に示した。
実施例4 エポキシ基含有オレフィン共重合体の添加量を22重量
部とした他は実施例3と同様の操作を行なった。得られ
た結果をまとめて表−1に示した。
実施例5 エラストマーをアイオノマー樹脂(三井・デュポンポ
リケミカル社製ハイミラン1706,イオンタイプZn,メルト
フローレート0.7g/10分)と変更した他は実施例1と同
様の操作を行なった。得られた結果を表−1にまとめて
示した。
実施例6 アイオノマー樹脂の添加割合を22重量部とした他は実
施例1と同様の操作を行なった。得られた結果を表−1
にまとめて示した。
実施例7 参考例1の変性PPSとナイロン66との割合を60重量部
対40重量部と変更した他は実施例1と同様の操作を行な
った。得られた結果を表−2にまとめて示した。
実施例8 無水マレイン酸含有エチレン−アクリル酸共重合体の
割合を22重量部とした他は、実施例7と同様の操作を行
なった。得られた結果を表−2にまとめて示した。
実施例9 エラストマーとしてエポキシ基含有オレフィン共重合
体(住友化学社製ボンドファストE)とした他は実施例
8と同様の操作を行なった。得られた結果を表−2にま
とめて示した。
実施例10 エラストマーとして無水マレイン酸含有エチレン−ア
クリル酸共重合体とエポキシ基含有オレフィン共重合体
の等量混合物を用いた他は実施例8,実施例9と同様の操
作を行なった。得られた結果を表−2にまとめて示し
た。
実施例11 エラストマーとしてアイオノマー樹脂(三井・デュポ
ンポリケミカル社製、ハイミラン1706)を用いた他は実
施例8と同様の操作を行なった。得られた結果をまとめ
て表−2に示した。
実施例12 エラストマーとしてエポキシ基含有オレフィン共重合
体(住友化学社製ボンドファストE)とアイオノマー樹
脂(三井・デュポンポリケミカル社製ハイミラン1706)
との等量混合物を用いた他は実施例8及び実施例11と同
様の操作を行なった。得られた結果を表−2に示した。
実施例13 参考例1の変性PPSとナイロン66との割合を40重量部
対60重量部と変更した他は実施例1と同様の操作を行な
った。得られた結果を表−3にまとめて示した。
実施例14 エラストマーの割合を22重量部とした他は実施例13と
同様の操作を行なった。得られた結果を表−3にまとめ
て示した。
比較例1 参考例2で得られた変性していないPPSペレットを用
いた他は実施例2と同様の操作を行なった。アイゾット
衝撃値が明らかに実施例2より劣っていた。結果を表−
3に示した。
比較例2 参考例2で得られた変性していないPPSペレットを用
いた他は実施例3と同様の操作を行なった。アイゾット
衝撃値が明らかに実施例3より劣っていた。結果を表−
3に示した。
比較例3 参考例2で得られた変性していないPPSペレットを用
いた他は実施例4と同様の操作を行なった。アイゾット
衝撃値が明らかに実施例4より劣っていた。結果を表−
3に示した。
実施例15 実施例2で得られたペレット60重量部にガラス繊維
(日本電気ガラス社製717P)40重量部を混和し池貝鉄工
社製2軸押出機PCM−30を用いてシリンダ温度310℃で押
出した。得られた製品の引張強度は1300Kg/cm2,曲げ強
度2,000Kg/cm2,曲げ弾性率100,000Kg/cm2,アイゾット衝
撃強度(ノッチ付)20Kg・cm/cmの値を示し、エンブラ
として非常に優れた性能を持っている事がわかった。
実施例16 実施例2においてポリアミド樹脂をナイロン66の代わ
りにナイロン46(「Stannyl」オランダ国DSM社製)とし
た他は実施例2と同様の操作を行なった。
得られた物性は引張強度540Kg/cm2,破断伸度28%,ア
イゾット衝撃強度ノッチ付24Kg・cm/cmであった。
実施例17 実施例2においてポリアミド樹脂をナイロン6(宇部
興産製Ubeナイロン1013B)とした他は実施例2と同様の
操作を行なった。得られた物性は引張強度480Kg/cm2,破
断伸度26%,アイゾット衝撃強度ノッチ付20Kg・cm/cm
であった。
[発明の効果] 本発明の樹脂組成物は、各成分が相溶性良く配合され
ており、成形品外観が良好であると共に熱形状安定性が
高く、高温度雰囲気でも優れた機械的物性を保持し、か
つ衝撃強度にも優れた樹脂組成物であり、エンジニアリ
ングプラスチックスとして優れた物性を備えた実用性の
大きい成形材料である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 C08L 23:26 63:00)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポリフェニレンスルフィド樹脂と非ブロッ
    ク型多官能性イソシアネート化合物とを溶融混練してな
    る変性ポリフェニレンスルフィド樹脂(A)と、 ポリアミド樹脂(B)と、 エチレン50〜90重量%、α,β−不飽和カルボン酸アル
    キルエステル5〜49重量%、無水マレイン酸0.5〜10重
    量%からなるエチレン共重合体、エポキシ基含有オレフ
    ィン共重合体、アイオノマー樹脂から選択される少なく
    とも一種のエラストマー(C)とを (A)/(B)=30/70〜90/10 (C)/{(A)+(B)}=2/100〜50/100 の重量比で配合してなることを特徴とする樹脂組成物。
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