JP2703997B2 - 半導体レーザ - Google Patents

半導体レーザ

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JP2703997B2 JP1152592A JP15259289A JP2703997B2 JP 2703997 B2 JP2703997 B2 JP 2703997B2 JP 1152592 A JP1152592 A JP 1152592A JP 15259289 A JP15259289 A JP 15259289A JP 2703997 B2 JP2703997 B2 JP 2703997B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、波長多重光情報伝送・処理・記録等に有用
な半導体レーザ素子に関し、特に注入電流の大きさを制
御することにより、異なる波長のレーザー光を発する半
導体レーザに関する。
〔従来の技術〕
近年、光通信や光学的情報処理の分野の技術の進歩は
めざましく、通信分野の伝送帯域の拡大のための波長多
重伝送や周波数変調伝送方法など、また、光記録分野の
波長多重化による記録密度の向上など、半導体レーザに
求められる機能として、高性能な波長可変機能が重要と
なってきた。
このため、波長を可変とするため、最近、量子井戸層
内の基底準位と高次準位を用いた波長可変半導体レーザ
(特開昭63−32985)や、組成または幅の異なる複数の
量子井戸層の各々の準位を用いた波長可変半導体レーザ
(特開昭63−312688)などが提案されている。
これらの波長可変の原理を、以下に説明する。
まず、量子井戸構造からなる活性層の場合、注入電流
の増加につれて、活性層内の利得曲線は前者の場合第6
図、後者の場合第3図に示すように利得の最大値は低エ
ネルギーギヤツプ(以下、Egと記す)(長波長)側から
高Eg(短波長)側へ移ることはよく知られている。
このような量子井戸構造の活性層をもつ半導体レーザ
において、共振方向に均一に電流注入を行なった場合、
長波長光が発振する。つまり、共振器内の全損失を低く
した状態で、低Egに対応する光を発振させるのである。
また、この半導体レーザにおいて、不均一に電流注入
を行なうと、短波長光が発振する。この際、損失領域で
は利得が小さくなるので、利得領域ではその分利得を大
きくする為、多くの電流注入を行なう。特に、損失領域
の短波長側の利得は非常に小さいので、利得領域への注
入電流を非常に大きくして共振器内の全利得を短波長光
において最も大きくなるようにする。
ここで、共振方向の均一注入とは、活性層内の光、電
子が集中している活性導波路の光の共振方向において、
等しい電流密度で注入している状態をいう。これに対
し、ある領域で電流密度が共振方向の長さあたり均一で
あっても、全共振器において各領域ごとに異なる電流密
度で注入している状態が不均一注入である。また、各領
域への注入電流を異ならせるためには、領域間に分離部
分が必要である。この分離部分は、均一注入の際にも電
流が注入されていないことになる。しかしながら、この
分離部分が10μm以下の長さであれば、活性層内部での
キヤリアの広がりを考慮すると、ほぼ均一注入状態であ
るとみなせる。このように、従来の波長可変方式は均一
注入時に長波長光を発振し、不均一注入時に短波長光を
発振させるというものであった。
〔発明が解決しようとしている課題〕 しかしながら、上記従来例では、均一注入時の電流値
と不均一注入時の電流値との差が非常に大きいという問
題点があった。例えば、均一注入時に対する不均一注入
時の発振しきい値電流は、通常、数十倍以上になる。こ
の為、素子の温度が上昇し、素子の寿命を短かくしてし
まう。
また、上記従来例においては、吸収領域の長さは非常
に重要であり、不均一注入時の吸収領域が長いと長波長
光の損失量が大きくなり、活性領域の利得をいくら大き
く増加させても短波長光が発振しなくなる場合も生じ
た。なぜならば、損失領域での短波長側の利得は注入電
流の減少にともなって著しく低下するが、利得領域での
短波長側の利得は注入電流の増加につれて飽和傾向を示
すため、損失領域での短波長光の損失を補いきれない状
態が生じ得るからである。
〔課題を解決するための手段〕
本発明の目的は、上記従来技術の問題点を解決し、注
入電流密度を大きく変化させることなく、発振波長を容
易に制御し得る波長可能な半導体レーザを提供すること
にある。
本発明の上記目的は、量子井戸構造の活性層を含み積
層された半導体から成る共振器と、該共振器の共振方向
に並設された複数の電極とを有し、これらの電極から注
入される電流の密度を各々独立に制御することによっ
て、対応する量子化エネルギーが互いに異なる光を発振
する半導体レーザにおいて、各々が利得領域、損失領域
及び調整領域に対応する3つの電極を少なくとも設け、
且つ、これらの領域に等しい電流密度で注入を行なった
ときに大きな量子化エネルギーに対応する光が発振し、
領域に応じて異なる電流密度で注入を行なったときに小
さな量子化エネルギーに対応する光が発振するように、
前記共振器の端面損失を設定することによって達成され
る。
〔実施例〕
以下、本発明の実施例を図面を用いて詳細に説明す
る。
まず、本発明を理論的に示すために簡単な例として単
一量子井戸層(SQW)からなる活性層において、共振方
向に3つの領域(I,II,III)に注入電流密度が変えられ
る半導体レーザの発振条件を考える(第5図)。各領域
での利得gは、注入キヤリア密度nと波長λの関数なの
で、g(nI)と書ける。各々の領域の長さをLI,L
II,LIIIとして全共振器長L〜LI+LII+LIIIとする。
このとき、ある波長λでの発振条件は、 において、Gi=0となる状態である。ここで、ΓはSQW
内の光閉じ込め係数、αは共振器内の内部損失、Rf,Rb
は前後面の端面反射率を表わす。
まず、共振方向に均一に電流注入を行なった場合につ
いて説明する。λの光が発振するとして、(1)式は
nI=nII=nIII=n0より、 となる。これは、通常の半導体レーザの式であり、利得
が内部損失αと端面損失 の和に等しくなった状態で発振する。
この均一注入時に発振する波長λが、高Egに対応す
る短波長となるためには、低Egに対応する波長をλ
するとき、第6図において、 g(n0、λ)<g(n0) である。また、n−<n0ならば、 である必要がある。
これらの条件を満たすためには、 であればよい。つまり、内部損失または端面損失が大き
ければ、高Egに対応する短波長を発振させられる。
一般に、内部損失の増加は、共振器内の熱的上昇や光
のモードの不安定性の原因となる。従って、本発明にお
いては、端面損失を増加させることによって目的を達成
している。
具体的には、共振器長Lを短くする方法、または、端
面反射率Rf,Rbを小さくする方法を用いることが出来
る。
第7図に、量子井戸構造からなる活性層をもつ半導体
レーザの、共振器長Lに対する発振波長の変化を模式的
に示した。Lが小さくなるにつれてEglに対応する光で
発振しているものが、しきい利得の増加につれて、バン
ドフイリング効果で短波長側へシフトしていく。そし
て、L1の共振器長で、EglとEg2に対応する利得が等しく
なり、2つの波長のいずれかまたは同時に発振したり、
2つの波長のスイツチングが生じる状態となる。さら
に、Lが小さくなると、Eg2に対応する光が発振し、さ
らに、短波長側へシフトしていく。このように、発振波
長は共振器長によって変化し、L1を境にして異なるEg
対応する光を発振する。
このことを有効に活用したのが本発明であり、まず、
均一電流注入時にEg2に対応する光(短波長光)が発振
するように共振器長をL1よりも小さく設定しておく。こ
の半導体レーザに複数の領域に異なる電流密度で注入、
つまり共振方向に不均一に電流注入を行えば、電流密度
の小さい損失領域ではEg2に対する利得が小さいため
に、共振器内のEg2に対する全利得よりも、Eg1に対する
全利得の方が早くしきい利得に達するようになり、Eg1
に対応する光(長波長光)が発振することになる。
この波長切り換えの際の注入電流の変化は小さいた
め、素子に悪影響を与えることなく実現できる。
次に端面反射率Rf,Rbを小さくした場合の本発明の原
理を説明する。第8図に、量子井戸構造からなる活性層
をもつ半導体レーザの端面反射率に対する発振波長の変
化を模式的に示した。この場合も、Lと同様の挙動を示
し、Rf1,Rb1が小さくなるにつれて、Eg1に対応する光
(長波長光)は短波長側へシフトしていき、反射率Rf,R
bにおいてEg1とEg2に対応する利得が等しくなり、2つ
の波長のいずれか、または同時に発振したり、2つの波
長のスイツチングが生じる。さらに反射率が小さくなる
とEg2に対応する光が発振し、さらに短波長側へシフト
していく。
このように発振波長は端面反射率によって変化し、R
f1,Rb1を境にして異なるEgに対応する光を発振する。こ
のことを有効に活用したのが、本発明の別の手法であ
り、ある共振器長の半導体レーザにおいて、均一に電流
注入を行った際にEg2に対応する光が発振するように端
面反射率を、へき開のみの反射率32%よりも小さく設定
しておく。この方法は、誘電体を端面に蒸着、スパツタ
等によりコーテイングすることにより容易に実現でき
る。
次に、このように端面損失が制御された半導体レーザ
において、その共振方向に不均一に電流注入を行なった
場合の挙動を説明する。領域[I]を損失領域、[II]
を利得領域、[III]を調整領域とし、(1)式におい
てnI<n0<nII,nIII<nIIとする。第6図に、注入電流
が変化した場合の波長に対する利得曲線を示す。nI
n-,nII〜n+とした場合、 領域[I]ではg(nI)≪g(nI) 領域[II]ではg(nII)>g(nII) となる。そして、 領域[III]においてg(nIII)g(nIII
) であるときに発振するように共振器損失を決めている場
合、G4<G3=0となり、λの波長で発振する。このよ
うに、損失領域ではλに対する利得はλに比べて著
しく小さく設定されてしまうため、結果としてλに対
するG3が大きくなる。なお、このように[I]と[II]
を用いて発振波長を決定し、一方、[III]ではλ3
またはそれらの間の波長における利得を波長に対して
あまり依存性のないように平坦にバイアス電流を形成し
ておくことにより、[I]と[II]でたし合わせた利得
の最大の波長の光を選択し、[III]でその光を増幅し
て光出力を制御することができる。この際、[III]の
領域の長さは[I],[II]部に比べて長い方が、少な
い注入電流差で利得分布の波長依存性をあまり変化させ
ずに利得を大きくできるので、光出力制御が容易であ
る。
つまり、本発明のレーザ素子を用いることにより、共
振方向において発振波長の制御部と光出力の制御部を分
離することが可能となった。そして光出力と波長制御の
ための構造パラメーターが増え、光出力を一定に保った
まま発振波長を変化させたり、発振波長を一定に保った
まま光出力を変化させたりすることが容易になった。
更に、本発明のレーザ装置の利点として、波長制御領
域([I]と[II])における利得は、従来のように発
振しきい利得と等しくなるまで増加させる必要はないの
で、[I]と[II]への各々の注入電流の差は小さくて
もすむという点がある。
また、本発明のレーザ装置を高速に変調する場合、波
長制御部の[I]と[II]は所望の波長が発振するよう
一定電流にバイアスし、光出力制御部である[III]を
変調すればよい。こうすることにより[I]と[II]を
変調した際に生じる過渡的な波長変化のノイズの発生を
抑制することが可能である。
以上、本発明のレーザ装置の例として、単一量子井戸
層を活性層にもち、第5図に示すように井戸層内の量子
化されたEg3とEg4についてそれぞれに対応する発振波長
の変化を説明したが、本発明のレーザの活性層として
は、量子化された複数のEgが発光可能なように形成され
ていれば適用できる。
例えば、組成または幅が異なる量子井戸層が複数近接
されて活性層として構成されており、発光が可能になっ
ているレーザ素子などにおいても、共振方向に3つ以上
の電極を設け、少なくともそのうちの2つを損失領域、
利得領域として波長制御を行ない、他の1つを調整領域
として光出力の制御を行なうことによって、安定な波長
と光出力で発振する波長可変レーザを実現できる。
前記Egについては、量子化されたエネルギーのうち2
つのEgに対してのみ説明してきたが、発光可能な2つ以
上の複数のEgの波長においても本発明は有効であり、さ
らに場合によっては量子化された2つのEgの間の波長に
おいても発振させることができる。
第1図は本発明を用いた波長可変半導体レーザの模式
的構造図であり、左側は共振方向に垂直な断面図、右側
は共振方向に平行な断面図を示す。以下、このレーザの
構成を説明する。
膜構成は、n+−GaAa基板1上に0.5μmのn+−GaAsバ
ツフア層2、1.5μmのn−Al0.5Ga0.5Asクラツド層
3、活性層4、1.5μmのp−Al0.5Ga0.5Asクラツド層
5、0.5μmのp-−GaAsキヤツプ層6が分子線エピタキ
シヤル法により積層されており、p側にはAu/Cr電極
7、n側にはAu−Ge/Au電極8が蒸着され、オーミツク
コンタクトをとるようアロイ化してある。
活性層は第2図に示したようにGaAs 80Åの量子井戸
層W1とAl0.08Ga0.92As 160Åの量子井戸層W2及びそれら
を隔てるAl0.3Ga0.7As 150Åの障壁層Bから成る。更
に、量子井戸層の外側には、厚さ400ÅのGRIN−SCH層
G1,G2が、Al0.3Ga0.7AsからAl0.5Ga0.5Asまで徐々に変
化して、光及び電子の閉じ込めを行う構造となってい
る。また、p側の光・電子の閉じ込め層と障壁層はp型
にドーピングされている。
本実施例の半導体レーザの共振方向に垂直な横方向の
構造は、第1図に示したように、リツジ導波路型構造を
用い、リツジの深さは上面より1.8μmの切り込みがな
され、リツジ幅は3μmでるあ。また、リツジの両側は
Si3N4膜9をプラズマCVDにより成膜し、上部を電流注入
窓とするようにエツチング加工を行った後、p側電極7
を蒸着してある。p側電極7は、共振方向に3つに分離
されており、共振器の全長は260μm、[I]部60μ
m、[II]部60μm、[III]部120μm、分離部10μm
となっている。
まず、ここで、本発明の第1の特徴である共振器長に
ついて説明する。第4図に本実施例の半導体レーザにつ
いてその共振器長と発振波長の関係の実験値を示す。共
振器長が短くなるにつれて発振波長が短波長化し、L
300μmとL150μmにおいて波長の不連続な短波長へ
のシフトが生じた。このように短共振器化は、レーザ内
部での端面損失を増大させて、しまい利得の増加により
短波長化を可能とする。
本実施例の半導体レーザでは、共振器長を260μmに
設定することにより、共振器方向に均一に電流注入した
場合、しきい値よりもわずかに上の電流値で、波長815.
7nmで発振した。この波長はAl GaAs井戸層のW2の基底準
位に対応するものである。この均一注入時の2つの井戸
層の利得を光閉じ込め係数を考慮して足し合せた利得の
波長依存性を第3図に示す。図中には、注入キヤリア密
度を示してあり、均一注入時にはn0である。このとき利
得の波長依存性は、λとλで極大値をもつが、λ
に対しての利得のピークが最も大きいので、短波長光λ
が発振している。
次に、この半導体レーザに均一に電流注入を行った際
の発振の挙動について説明する。
損失領域[I]では、注入キヤリア密度はn-であり、
n0よりも小さい。このときの利得の波長依存性は、第3
図に示すように、波長λに対する利得は均一注入時に
比べて著しく減少し、λに対する利得よりもかなり小
さくなる。
一方、利得領域[II]では、損失領域での利得の減少
を補うだけの利得を得るために、均一注入時よりも多く
の注入キヤリア密度n+が必要となる。このときの利得の
波長依存性は、第3図のn+に示したように、n0よりも一
層短波長側の利得が大きくなる。しかしλにおける共
振器内全利得は、λにおけるそれよりも小さくなり、
波長制御部である[I]と[II]の利得の合計は、結局
λで最も大きくなる。
このように[I]と[II]で発振が起こりやすい波長
が決まった状態において、調整領域[III]に、均一注
入時の注入キヤリア密度n0よりもわずかに小さい電流注
入を行い、λとλの波長の利得を等しい程度に設定
するならば、[I]と[II]により選択された波長が発
振することになる。
なお実際には、光出力の制御は[III]部への注入電
流のみの制御ではなく、[I]と[II]部の微調整を行
なうとより正確になる。なぜならば、[III]部の利得
の増加は、[II]部と同様に短波長側の利得の増加に影
響するからである。
本発明においては、3つの電流注入部があるため、波
長制御と光出力制御の両方の要求に容易に対応できる自
由度をもっている。実験によれば、均一注入時は[I]
部I1=17mA、[II]部III=17mA、[III]部IIII=34mA
がしきい電流となり、815.7nmで発振し、均一に注入電
流を増加させていけば、光出力が増加した。
一方、不均一注入し、[I]部I1=10mA、[II]部I
II=100mA、[III]部IIII=30mAをしきい値として、83
4.7nmで発振し、IIIIを増加させるにしたがって波長は
ほぼ一定に保ったまま光出力が増加した。
また、[I]と[II]部の注入電流密度の比をいろい
ろ変化させると、発振波長はおよそ816nmから839nmの間
で連続に変化した。
このように、[I]と[II]部により発振波長は決ま
り、[III]部により光出力が制御できた。
また、活性層内の量子井戸層及び障壁層の設定や、共
振器長の長さ、利得領域と損失領域の長さなど構造を変
化させることにより、利得曲線上の特定な波長のみ選択
的に発振させることができ、不連続に波長を変化させる
ことが可能である。また、ある条件によれば、2つのEg
に対応する波長2つだけを切り換えることも可能であ
る。
以上述べた実施例においては共振器長Lについてのみ
説明をしたが、前述の(1)式においてLと同様、端面
反射率Rf,Rbも小さくすることにより、しきい利得を増
加させることができるので、均一注入時の短波長光の選
択的発振手段として有効である。この場合、誘導体等を
端面にコーテイングすることにより、容易にRf,Rbは減
少できる。また、高出力化、高発振効率化のためにはRb
>Rfが望ましいが、Rf≦Rfでも本発明は有効である。
本発明の半導体レーザ装置の使用法としては、ある発
振波長において光出力を変化させる使い方と、ある光出
力において発振波長を変化させる使い方等があるが、3
つの異なる領域があるので、波長と光出力の同時制御が
容易である。
第5図に本発明の他の実施例として、活性層がSCH層
をもつ単一量子井戸層(SQW)からなる場合について説
明する。第5図はSQW層内のバンド構造を模式的に示し
た図であり、n=1の遷移により波長λの光がn=2
の遷移により波長λの光が発振する。レーザー構造は
第1図と同じでも、また別の形態でもよい。第6図は、
波長に対する利得曲線の注入キヤリア密度依存性を示し
ている。よく知られているように注入キヤリア密度が小
さいときは、基準準位に対応する光において利得は大き
いが、さらにキヤリア密度が増加すると、高次準位にも
利得のピークが生じ始め、ついには基底準位の利得は飽
和して高次準位の利得が増加していくことになる。
第3図は第6図のようなSQWが2種類あるためにそれ
らを足し合せたものとして利得が決まっているが、注入
キヤリア密度の変化に対する利得曲線の変化は、ほぼ同
様の挙動を示している。
このようにSQW構造の活性層をもつ半導体レーザにお
いても、本発明による波長可変は可能である。
すなわち、本実施例では、共振器長L1または、端面反
射率Rf,Rbを小さくすることにより、均一注入時の共振
器内の発振しきい利得を大きくし、高次準位に対する波
長λを発振するように共振器を構成しておく。この場
合の利得曲線は、第6図においてn0で示したように、λ
の波長において最も利得が大きい状態なので、ここで
発振することになる。
共振器方向には不均一に電流注入を行った場合、損失
領域では、キヤリア密度が小さい状態なので、第6図中
n-に示したように利得はλにおいて最大となり、λ
では小さくなり、時には負となる。一方、利得領域で
は、損失領域での光の損失分を補うだけの利得をもつ必
要があるので、注入キヤリア密度はn+に増加し、結果と
してλ側の利得が増大し、λ側の利得は飽和するこ
とになる。
このように、損失領域と利得領域に異なる電流密度で
注入し、λでの損失領域での損失量を増加させ、λ
の発振を起こりにくくするために、λの利得が上記2
領域の合計として最も大きくなる。
さらに、調整領域への注入電流を制御すればλの波
長で光出力を自由に制御できる。
このことから、SQW層を活性層とする場合において
も、3電極構成の本発明のレーザ素子で共振方向に不均
一に電流注入を行ない、波長制御部と光出力制御部を設
けることにより、少ない電流変化でも波長が容易に変化
し、なおかつ光出力を制御することが可能となった。
もちろん、ここで示した単一の量子井戸構造の場合の
みならず、複数の等価な量子井戸構造の場合においても
全く同様の説明がなされる。また、光・電子の閉じ込め
層は、量込井戸構造の場合は、低しきい値化のために有
効であるが、ない場合でも本発明を適応することは出来
る。
本発明の他の実施例として、活性層が3つの異なる量
子井戸層により構成されている場合の伝導帯のエネルギ
ーバンド図を第9図に示す。
それぞれの井戸に対応するエネルギーギヤツプはEg1,
Eg2,Eg3で、Eg1<Eg2<Eg3とする。
本発明を適用し、共振器長L又は端面反射率Rf,Rb
小さくすることにより共振器の端面損失 を増加させれば、均一注入時にEg3に対応する波長を発
振する。このレーザに、電流を不均一注入すれば、Eg3
に対応する波長からEg2に対応する波長へ、さらにはEg1
に対応する波長へ、どんどん長波長化し、波長可変幅は
2つの井戸層の場合に比べて大きくすることができる。
第10図は、活性層が異なる2つの量子井戸層から成り、
かつ、各々の高次準位が存在する場合の伝導帯のエネル
ギーバンドである。
一方の量子井戸層のn=1準位エネルギーギヤツプE
g11、n=2準位のエネルギーギヤツプEg12、他方の量
子井戸層のn=1準位エネルギーギヤツプEg21,n=2準
位のエネルギーギヤツプEg22とすると、この例において
は、Eg11<Eg21<Eg12<Eg22である。
このような場合においても、本発明は有効であり、端
面損失 を適当に設定し、共振方向で電流注入を均一、不均一に
することにより、隣りあうエネルギーギヤツプ、例えば
Eg21〜Eg12等に対応する波長間の波長可変動作が可能と
なる。
ここで、端面損失を大きくして、均一注入時にEg22
発振するようにしておくと、不均一さを増すにつれてE
g22→Eg12→Eg21→Eg11とそれぞれに対応する波長に発
振波長が変化することになる。
本発明の共振方向の領域は、上記実施例においては、
3つの分離形成されている場合を説明したが、本質的に
は波長を制御するための損失領域及び利得領域と、光出
力を制御するための調整領域との合計3つの領域が少な
くとも含まれていれば、他に、注入を行なわない領域が
あっても、別の電流注入領域があっても問題ない。
上記実施例において、レーザの共振方向に垂直な断面
構造はリツジ導波路型構造を用いたが、電極ストライプ
型構造等のような利得導波型の構造においても、また埋
込み型構造等のような屈折率導波型の構造においても本
発明は有効である。また、基板はn型、p型、半絶縁性
であってもレーザ構造が形成されていればよく、横方向
注入型等のレーザ構造を用いることもできる。
更に、前述の実施例としてAl GaAs系の半導体レーザ
素子を示したが、本発明は、InGaAsP系、Al GaInP系
等、どのような材料のレーザにおいても適用が可能であ
る。
更に、本発明のレーザ素子は、広い波長範囲で動作す
る高効率の光増幅器として使うことも可能である。
すなわち、本発明のレーザ素子の各々の電極にレーザ
発振するしきい電流よりもわずかに少ない電流を注入
し、広い波長範囲において利得が正になるようにしてお
く。これに外部から該素子の共振器内部に所定の波長の
光を入射結合させる。
共振器内部へ光を入射結合させる方法としては、該素
子の一方の端面を通して光を入射する方法、共振方向に
垂直に横方向または素子上部から入射する方法などがあ
る。
このように所定波長の光を入射すると、同一の波長を
もつ光を端面から出射させることができる。
また、本発明のレーザ素子を広い波長範囲において波
長可変機能をもつ高効率の光波長変換器として使うこと
もできる。すなわち、本発明のレーザ素子の各々の電極
に所望の波長の光が発振するしきい電流値よりもわずか
に少ない電流を注入しておく。これに外部から該素子の
共振器内部にある光を入射結合させると、該素子への注
入電流で制御した所望の波長の光が端面から出射するこ
とができる。
本発明では、出射させる所望の波長の可変範囲は広
く、かつ、共振方向での注入電流の不均一さの度合いを
制御してバイアスすればよいので波長を変化させるのが
容易である。
上記、光増幅器、光波長変換器として本発明の半導体
レーザを用いる際には、該レーザ素子の端面は無反射コ
ーテイングを補す方が良い。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の半導体レーザによれ
ば、少ない注入電流差により大きな幅で波長を変化させ
ることが可能である。また、その為、本発明によって発
熱量が少なく、長寿命の半導体レーザが得られたもので
ある。
また、本発明の半導体レーザにおいては、利得領域、
損失領域の他に調整領域を設けたので、波長とは独立に
光出力を簡単に制御することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の半導体レーザの一実施例を示す略断面
図、第2図は2つの異なる量子井戸層を有する活性層の
エネルギーバンド図、第3図は第2図の活性層における
波長に対する利得曲線を示す図、第4図は共振器長と発
振波長との関係を示す図、第5図は単一の量子井戸層を
有する活性層のエネルギーバンド図、第6図は第5図の
活性層における波長に対する利得曲線を示す図、第7図
は共振器長と発振波長との関係を示す図、第8図は共振
器の端面反射率と発振波長との関係を示す図、第9図及
び第10図は夫々本発明の他の実施例を示すエネルギーバ
ンド図である。 1……n+−GaAs基板 2……n+−GaAsバツフア層 3……n−Al0.5Ga0.5Asクラツド層 4……活性層 5……p−Al0.5Ga0.5Asクラツド層 6……p+−GaAsキヤツプ層 7……p側電極 8……n側電極 9……絶縁層

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】量子井戸構造の活性層を含み積層された半
    導体から成る共振器と、該共振器の共振方向に並設され
    た複数の電極とを有し、これらの電極から注入される電
    流の密度を各々独立に制御することによって、対応する
    量子化エネルギーが互いに異なる光を発振する半導体レ
    ーザにおいて、 前記複数の電極は、各々が利得領域、損失領域及び調整
    領域に対応する3つの電極を少なくとも含み、且つ、こ
    れらの領域に等しい電流密度で注入を行なったときに大
    きな量子化エネルギーに対応する光が発振し、領域に応
    じて異なる電流密度で注入を行なったときに小さな量子
    化エネルギーに対応する光が発振するように、前記共振
    器の端面損失が設定されたことを特徴とする半導体レー
    ザ。
  2. 【請求項2】前記活性層が、発振可能な複数の量子準位
    を有する少なくとも1つの量子井戸層から成る特許請求
    の範囲第1項記載の半導体レーザ。
  3. 【請求項3】前記活性層が、互いに異なる量子準位構造
    を有する複数の量子井戸層から成る特許請求の範囲第1
    項記載の半導体レーザ。
  4. 【請求項4】前記共振器の少なくとも一方の端面に誘電
    体膜をコーティングすることによって、この端面の反射
    率を減少させた特許請求の範囲第1項記載の半導体レー
    ザ。
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