JP2702973B2 - 形状記憶合金装置 - Google Patents

形状記憶合金装置

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JP2702973B2 JP63170421A JP17042188A JP2702973B2 JP 2702973 B2 JP2702973 B2 JP 2702973B2 JP 63170421 A JP63170421 A JP 63170421A JP 17042188 A JP17042188 A JP 17042188A JP 2702973 B2 JP2702973 B2 JP 2702973B2
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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 この発明は形状記憶合金を利用する形状記憶合金装置
に関する。
〔従来の技術〕
従来、形状記憶合金の加熱時の形状回復動作を利用す
る装置が種々開発されている。例えば、特開昭62−2604
1号公報に記載の内視鏡がある。ここでは、形状記憶合
金への加熱方式としては、一定電圧、または一定電流を
印加する方式、あるいはパルス幅変調方式が採用されて
いる。この場合、パルス幅変調方式ではパルス幅は可変
できても、印加電圧の振幅は可変できない。何故なら
ば、通電時間が最大の状態で、継続的に通電しても、形
状記憶合金の温度が過度に上昇しないように印加電圧の
振幅を設定してあるからである。このように、最大通電
量が制限されているので、応答性や湾曲力量を一時的に
増大することができなかった。ここで、湾曲力量とは、
形状記憶合金に対して抵抗、負荷が印加されていて、こ
れら抵抗、負荷に逆らって形状記憶合金が湾曲しようと
する時に発生される力を指す。従って、挿入部の湾曲を
速やかに行ないたい場合や、挿入部の湾曲部に体腔壁が
当たった場合等に対処できずに、操作性が悪いという欠
点があった。
また、これを解決するために本願出願人は実願昭62−
28299号で、形状記憶合金に通常の通電電圧、または通
電電流よりも大きな電圧、または電流を一時的に印加す
る手段を提案している。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、実願昭62−28299号に記載の装置で
は、応答性や湾曲力量の向上のためには、通常の湾曲操
作や挿入操作に加えて、通電スイッチを操作する等の特
別な操作が必要であり、操作が複雑である。
従って、この発明の目的は煩わしい操作を必要とせず
に形状記憶合金の湾曲応答性、湾曲力量を向上できる形
状記憶合金装置を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
この発明による形状記憶合金装置は形状記憶合金を加
熱する通電回路と、形状記憶合金の変位量を検出する抵
抗値検出回路と、形状回復動作の開始時の変位量を第1
の閾値とし、形状回復動作の終了時の変位量を第2の閾
値とし、検出した変位量を第1、第2の閾値と比較する
比較器と、検出した変位量が第1の閾値乃至第2の閾値
の範囲外にある場合は、通電回路の加熱量を増加させる
制御部を具備する。
〔作用〕
この発明によれば、形状記憶合金の変位量から形状回
復動作の開始点、または終了点付近であるかを検出し、
それらの場合は自動的に加熱量を増加することにより、
煩わしい操作を必要とせずに形状記憶合金の湾曲応答
性、湾曲力量を向上できる。
〔実施例〕
以下図面を参照してこの発明による形状記憶合金装置
の実施例を説明する。ここでは、内視鏡の先端湾曲部を
湾曲させるために形状記憶合金を使った例を説明する。
第1図に内視鏡装置全体の構成を示す。この装置は内
視鏡本体1と光源装置9からなる。内視鏡本体1の挿入
部2の先端側の湾曲部3に、線材状あるいはバネ状の形
状記憶合金(以下、SMA:Shape Memory Alloyと称する)
4が設けられている。SMA4としては、Ni−Ti合金、Cu−
Zn−Al合金等の熱弾性型マルテンサイト変態を示す材料
が用いられる。記憶させておく形状は破線で示すように
上側へ湾曲した形状とする。変態点は30〜80℃、例えば
60℃に設定する。すなわち、SMA4は、常時は、実線で示
すように直線状であり、加熱されると、上側に湾曲す
る。
SMA4の両端はそれぞれリード線5a,5bの一端に接続さ
れる。一方のリード線5aの他端は操作部7に設けられた
通電スイッチ6を介し、さらにユニバーサルコード8内
を挿通させ、光源装置9内の通電回路13、抵抗値検出回
路10に接続される。他方のリード線5bの他端はユニバー
サルコード8内を挿通され、光源装置9内の通電回路1
3、抵抗値検出回路10に接続される。
抵抗値検出回路10の検出値は第1、第2の比較器12a,
12bに供給されるとともに、制御部11にも供給される。
第1、第2の比較器12a,12bは検出値をそれぞれ第1、
第2の閾値と比較する。制御部11には第1、第2比較器
12a,12bの比較結果も供給される。制御部11からの制御
信号が通電回路13に供給される。
次に、動作を説明する。通電スイッチ6をオンする
と、SMA4と通電回路13がリード線5a,5bを介して接続さ
れ、通電回路13からの通電信号がSMA4に供給される。SM
A4は通電によるジュール熱により加熱され、形状回復動
作を開始する。
この通電信号はパルス信号であり、抵抗値検出回路10
は通電パルスの空き時間にSMA4の抵抗値を検出する。こ
の抵抗値よりSMA4の変位、すなわち湾曲角度を知ること
ができる。この検出した抵抗値を制御部11に入力するこ
とにより、制御部11では所望の湾曲角度が得られるよう
に通電回路13からの通電信号量を変化させ、湾曲角度を
制御する。通電量制御は通電パルスのパルス幅(デュー
ティ比)を変えることにより実現される。すなわち、デ
ューティ比を抵抗値に応じて変えている。ただし、過大
な通電によるSMA4の温度が過度に上昇するのを防止する
ために最大デューティ比Dmaxが設定されている。
ここで、一般に、SMA4を加熱した場合、その応答性
(変位速度)は形状回復動作の開始点と終了点付近は形
状回復動作中に比べて悪い。そのため、これらの時は通
電量を増加させて応答性を向上することが必要である。
第2図に通電パルスのデューティ比Dを0.1〜0.5まで
0.1刻みで変化させた時の応答性の変化を示す。第3図
は通電パルスの電圧(振幅)を5V〜9Vまで1V刻みで変化
させた時の応答性の変化を示す図である。これらの図か
ら、通電パルスのデューティ比、電圧を増加することに
より、応答性を向上できることがわかる。
次に、形状回復動作の開始点と終了点付近の検出を説
明する。第4図はSMA4の温度と抵抗値の関係を示す図で
ある。形状回復動作開始前の抵抗値R0と、形状回復動作
終了後の抵抗値R3は既知であるので、R0よりも多少低い
抵抗値R1を第1の閾値とし、R3よりも多少高い抵抗値R2
を第2の閾値とすれば、形状回復動作の開始点と終了点
付近を検出できる。ここで、抵抗値R1,R2の値は任意に
設定可能である。
第1、第2の比較器12a,12bはそれぞれSMA4の抵抗値
をR1,R2と比較する。そして、制御部11はSMA4の抵抗値
がR1とR2との間にある場合は、通常の通電を行い、R1以
上、またはR2以下の場合は、通常の通電よりも大きな通
電量になるように通電回路13を制御することにより、応
答性、湾曲力量を向上することができる。
第5図に制御回路11による通電パルスの制御例を示
す。ここで、SMA4の抵抗値R>R1は形状回復動作開始
前、R1≧R≧R2は形状回復動作中、R2>Rは形状回復動
作終了後を示す。
第5図(a)の例は形状回復動作中は最大デューティ
比以下でパルス幅変調を行い、R>R1,R2>Rの場合に
は、この最大デューティ比以上のパルス幅を実現できる
ようにして、R1≧R≧R2の場合に比べて通電パルスのパ
ルス幅を大きくすることにより通電量を増加する。
同図(b)の例はR>R1,R2>Rの場合には、インパ
ルス的に大電力、大電流のパルスを供給することにより
通電量を増加する。
同図(c)の例はインパルス的ではなく均一に通電パ
ルスの振幅を増加する。
同図(d)の例は形状回復動作中は一定のデューティ
比の中でバースト波形を発生させ、R>R1,R2>Rの場
合には、そのバースト波のパルス数を増加するととも
に、振幅を増加する。
いずれの場合でも、R>R1,R2>Rの場合には通電量
が増加する。
このように第1実施例によれば、SAM4の変位量をその
抵抗値から検出し、形状回復動作の開始時、または終了
時を検出し、その際は自動的に通電量を増加させること
により、SMA4の温度をすばやく変化させることができ、
応答性、湾曲力量の向上が可能となる。また、常時、大
電圧、大電流をSMA4に供給する方法に比べ、記憶形状の
喪失の可能性が少なくなる。
次に、第2実施例を説明する。第2実施例は第1実施
例の光源装置9の変形に関するので、その部分のみのブ
ロック図を第9図に示す。抵抗値検出回路10の出力がメ
モリ14のアドレス端子に入力され、メモリ14の出力が制
御部11に供給される。
この第2実施例では、予め、抵抗値に応じて印加する
パルス幅、または電圧をメモリ14に記憶させている。こ
の記憶データは形状回復の開始、あるいは終了の前後で
大きな通電量が得られるように決められている。
第2実施例によっても、第1実施例と同様な効果が得
られる。なお、制御部11でPID制御を用いた場合には、
形状回復の開始時、あるいは終了時の前後でパラメータ
Pの値を大きくすること等によっても同様の効果が得ら
れる。
上述の説明では、SMA4を加熱するのにパルス通電を用
いたが、これに限らず直流通電を用いてもよい。その例
を第7図に示す。
SMA4は1つに限らず複数個設けて、複数の方向に湾曲
を得ることも可能である。また、医療用の内視鏡以外に
も工業用の内視鏡やカテーテル処置具等の各種のアクチ
ュエータに適応してもよい。さらに、SMA4の変位量を抵
抗値により検出していたが、温度センサにより温度を検
出したり、歪みゲージ等により変位を検出し、各変位量
に第1、第2の閾値を設けてもよい。
〔発明の効果〕
以上説明したように、この発明によれば、形状記憶合
金の変位量から形状回復動作の開始点、または終了点付
近であるかを検出し、それらの場合は自動的に加熱量を
増加することにより、煩わしい操作を必要とせずに応答
性、湾曲力量を向上できる形状記憶合金装置が提供され
る。
【図面の簡単な説明】
第1図はこの発明による形状記憶合金装置の第1実施例
としての内視鏡装置を示す図、第2図は通電パルスのデ
ューティ比を変化させた時の形状記憶合金の応答性を示
す図、第3図は通電パルスの電圧を変化させた時の形状
記憶合金の応答性の変化を示す図、第4図は形状記憶合
金の温度と抵抗値の関係を示す図、第5図は通電量の増
加のための制御例を示す信号波形図、第6図は第2実施
例のブロック図、第7図は直流通電の場合の通電量の制
御例を示す信号波形図である。 1……内視鏡、4……形状記憶合金、5a,5b……リード
線、9……光源装置、10……抵抗値検出回路、11……制
御部、12a,12b……比較器、13……通電回路。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】形状記憶合金を加熱する手段と、形状記憶
    合金の変位量を検出する手段と、形状回復動作の開始時
    の変位量を第1の閾値とし、形状回復動作の終了時の変
    位量を第2の閾値とし、前記検出した変位量を第1、第
    2の閾値と比較する手段と、前記検出した変位量が第1
    閾値乃至第2の閾値の範囲外にある場合は、前記加熱手
    段の加熱量を増加させる制御手段を具備する形状記憶合
    金装置。
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