JP2701259B2 - ポリウレタン組成物 - Google Patents

ポリウレタン組成物

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は安定化されたポリウレタン組成物に関し、更
に詳しくは微生物による劣化および変色に対し安定化さ
れたポリウレタン組成物に関する。 (従来の技術) ポリウレタン弾性体の様な合成弾性体はすぐれた耐摩
耗性、耐油性、耐寒性、耐薬品性、機械的強度等を有す
ることから糸、フイルム、その他の形成品に成形され多
用されている。しかしながら、半面外気条件や微生物に
よって劣化したり変色を生じる等の欠点を有している。
微生物による劣化および変色を防止するためには抗菌剤
や防黴剤を後加工で付与したり、ポリマー中に配合する
ことが特開昭59−211678、特公昭60−44423、特公昭60
−212415、特公昭61−98706等に提案されているもの
の、効果および耐久性の面で問題があり、未だ満足すべ
きものは知られていない。 (発明が解決しようとする問題点) 本発明は前記従来の欠点、即ち微生物による劣化およ
び変色を改善し、安定化されたポリウレタン組成物を提
供せんとするものである。 (問題点を解決するための手段) 本発明者等は、これらの問題点を解決すべく鋭意研究
の結果、本発明に到達した。本発明は、 (1)下記式で表される基を含有するポリマーをポリウ
レタンに配合してなることを特徴とするポリウレタン組
成物 本発明によれば、ポリウレタンの微生物による劣化お
よび変色が著しく改善される特徴を有する。また、組成
物から成形品を成形する際、成形工程中および成形品の
後加工中に問題を生じないこと、物性低下、自度低下を
生じないこと等多くの特長も有している。 本発明の上記式で表わされる防黴性ポリマーは (1)防黴性単量体を直接重合する方法、(2)防黴性
単量体と他の重合性単量体とを共重合させる方法、
(3)クロロメチルスチレンのホモポリマーに後から防
黴成分を結合させる方法、(4)クロロメチルスチレン
の共重合体に後から防黴成分を結合させる方法等いずれ
の方法からも得ることができる。 防黴性単量体の母体であるクロロメチルスチレンはメ
タ、パラの混合体でもパラ体単独でもよい。一方式中の
Yは防黴性化合物の残基で例えばペンタクロロフェノー
ル、パラクロロメタクレゾール、オルトフェニールフェ
ノール、パラクロロメタキシレノール、サリチルアニリ
ド、8ヒドロキシキノリン、2(4′−チアゾリル)ベ
ンズイミダゾール、2,5−ジブロム−4メチルアニリ
ン、1,2−ベンゾイソチアゾリン−3−オン、ナトリウ
ム−2−ピリジンチオール−1−オキサイド、ナトリウ
ムペンタクロロフェネートなどの残基が例示できる。重
合方法としてはエマルジョン重合法、溶液重合法など通
常の重合法がいずれも採用でき、それぞれの重合法に適
する重合溶媒および開始剤を使用することができる。防
黴性ポリマー中の防黴成分の濃度は重合条件によって色
々調節可能である。一方ポリマーの分子量も重合条件
(モノマー濃度、触媒濃度等)を調整することによって
色々調節可能であるが、1,000〜70,000程度が望まし
い。 しかし防黴性ポリマーの分子量が1,000未満では成形
中にスカムが生じたり耐久性が不充分であり、70,000を
超えるとポリマーの溶解性が低下し安定化されたポリウ
レタン組成物が得にくくなり好ましくない。 ポリウレタンに対する防黴性分の配合量は0.001重量
%以上であり、好ましくは0.01〜1重量%程度である。
したがって配合用ポリマーとしてはこの様な配合量に見
合う量の防黴成分を含有させるのが好ましい。本発明の
組成物を得るためのポリウレタンへの配合は、ポリウレ
タンを製造する任意の段階で添加して行うことができる
が、ポリウレタン重合終了後成形段階の前に混合するの
が好ましい。 本発明で用いられるポリウレタン4,4′−ジフェニル
メタンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシア
ネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリ
レンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネー
ト、1,4−シクロヘキサンジイソシアネート、4,4′−ジ
シクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソホロンジ
イソシアネート等のジイソシアネートの1種またはこれ
らの混合物、好ましくは4,4′−ジフェニルメタンジイ
ソシアネートと両末端にヒドロキシル基を持つ分子量が
が600〜7,000の実質的に線状の重合体、例えばポリテト
ラメチレンエーテルジオール、ポリカプロラクトンジオ
ール、およびエチレングリコール、1,4−ブタンジオー
ル、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール
などのグリコール類の1種または混合物とコハク酸、グ
ルタール酸、アジピン酸、スベリン酸、アゼライン酸、
セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、β−メチルアジピ
ン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂肪族ジカルボ
ン酸の1種または混合物、更に一部はテレフタル酸、イ
ソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸も含まれてもよい
ジカルボン酸とから製造される融点が60℃以下、好まし
くは40℃以下のポリエステルジオール、あるいはこれら
の混合物、および多官能性活性水素化合物たとえばヒド
ラジン、エチレンジアミン、1,2−プロピレンジアミ
ン、ヘキサメチレンジアミン、キシレンジアミン、4,
4′−ジアミノジフエニルメタンなどのポリアミン、4,
4′−ジヘエニルメタンジセミカルバジド、β−アミノ
プロピオン酸ヒドラジド、カーボジヒドラジド、水、エ
チレングリコール、1,4−ブタンジオールなどの一種ま
たは混合物を反応させて得られる分子内にウレタン結合
を有する弾性高分子重合体である。 好ましくはポリウレタンはポリエステル系ポリウレタ
ンであり、その好ましい形態は繊維すなわちポリウレタ
ン弾性繊維である。 本発明の組成物には所望により更にヒンダードフェノ
ール系抗酸化剤、ヒンダードアミン系抗酸化剤のような
抗酸化剤および/またはベンズトリアゾール系紫外線吸
収剤のような紫外線吸収剤を配合することができる。 更に、本発明の組成物には所望により硫酸バリウム、
珪酸塩、酸化亜鉛のような無機微粒子、ステアリン酸カ
ルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ポリテトラフル
オロエチレン、オルガノポリシロキサンのような粘着防
止剤、防黴剤、着色剤、その他配合剤を適宜配合するこ
とができる。 このようにして得られたポリウレタン組成物は乾式、
湿式または溶解成形等により繊維、テープ、フイルム等
に成形できる他、フオーム、エラストマー、合成皮革お
よび塗料などにも利用できる。 本発明でいうまた前記弾性糸としてはポリウレタン系
弾性体、ポリエステル系弾性体、ポリカーボネート系弾
性体、ポリアミド系弾性体等をポリマーに応じて常法に
より乾式紡糸、溶解紡糸等によって紡糸および所望によ
り延伸、熱処理等を施して得られる弾性糸が例示され
る。また弾性体と非弾性体を複合紡糸して得られる複合
糸であってもよい。 ポリマーを製造する方法は特に制限されるものではな
く、通常溶媒の存在下または不存在下にポリマージオー
ルと有機ジイソシアネートを反応させて両末端がイソシ
アネート基であるプレポリマーを製造(反応促進剤、反
応抑制剤等使用可)し、次いで溶液状態で2官能性活性
水素化合物により鎖伸長して得られる。また、各成分を
一段で反応させる方法、各成分を分割して数段で反応さ
せることにより製造してもよい。重合反応の終期または
中途はモノアミンのような一官能性化合物を末端停止剤
として用いることもできる。 かかる弾性体に防黴成分含有ポリマーが配合され常法
により紡糸される。 弾性糸に含有せしめるには紡糸以前の任意の工程で重
合体または重合体ドープに添加するのが好ましい。防黴
成分の含有量は弾性糸に対し0.001重量%以上であり、
好ましくは0.1〜1重量%程度である。本発明の弾性糸
には更に光安定剤、熱酸化劣化防止剤、耐ガス変色防止
剤、染顔料、金属石けん類、油剤、本発明以外の抗菌剤
等の各種添加剤を所望により含有または付着させること
ができる。 以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本
発明はこれらの実施例の範囲に限定されるものではな
い。なお、実施例中の部および%は重量部および重量%
を示す。また、実施例中の特性値の測定は以下により行
った。 1, 黴抵抗性試験(JIS Z 2911) 無機塩のみを含有したシャーレ中の寒天平板に試験片
を貼付し後、指定された黴4菌株の胞子懸濁液を噴霧
し、27±1℃で14日間培養した。なお、培養試験後の黴
抵抗性の判定は次によった。 2, 黴抵抗性試験による残存強力保持率 黴抵抗性試験後の試験片をほぐして糸条にし、島津製
のオートグラフIM−100にて残存強力を測定し、未処理
の強力との比較で残存強力保持率を表わす。 3, 黴抵抗性試験後の変色テスト 試験前後の試験片のb値を日本電色工業社製ND−101D
型色差計により測定し、その変化(Δb)で変色の程度
を表わした。 実施例1 分子量が4000のポリエステルジオール(アジピン酸;
エチレングリコール;1−4−ブタンジオール=1.00:0.6
4:0.55)555部、4,4′−ジフェニルメタレジイソシアネ
ート87部にジメチルホルムアミド275部を加え50℃で40
分間反応させ両末端基がイソシアネート基であるプレポ
リマーを得た。これにジメチルホルムアミド898部を加
えて溶解し均一溶液にした。この溶液を冷却し5℃に保
ちながらジメチルホルムアミド184部に1,2−プロピレン
ジアミン14部を溶解した溶液を添加し鎖延長反応を行っ
た。1,2−プロピレンジアミン溶液の95%を添加した
後、ジメチルホルムアミド20部に溶解した2部のモノエ
タノールアミンを加えて重合体溶液中の遊離イソシアネ
ートを消失させ、その後ジメチルホルムアミド20部に溶
解した3部の無水酢酸を加えてポリマー溶液の粘度を安
定化した。得られた固形分32%、25℃における粘度2200
ポイズの重合体溶液をAドープとする。 実施例2 (1) 撹拌機、温度計、窒素ガス吹込み管を備えた30
0mlの4口フラスコ中でエタノール50部にクロロメチル
スチレン(m/p=60/40)50部(0.328モル)を室温で溶
解し後、撹拌下にナトリウム−2−ピリジンチオール−
1−オキサイド(ナトリウムオマジン)水溶液125部
(0.336モル)を徐々に滴下終了後50℃で1時間反応さ
せた。冷却後沈殿物を濾別し、濾液をロータリーエバポ
レーターで濃縮した。濃縮液にn−ヘキサン250部、純
水100部を加え振とうし後水層を除去し、さらに純水100
部を加え同様な操作をくり返し未反応のナトリウムオマ
ジンを除去した。後n−ヘキサン層をロータリーエバポ
レーターで蒸発した。次いで残査の固形分をアセトン中
で再結晶した。その結果融点が98〜101℃である淡黄色
の針状結晶を得た。化学構造をIR、NMR、元素分析で確
認した結果(Nオキシピリジン−2−チオ)メチルスチ
レンであることが同定された。 (2) 撹拌後、温度計、窒素ガス吹込み管を備えた10
0mlの4口フラスコ中に(Nオキシピリジン−2−チ
オ)メチルスチレン10部投入し、次いでシメチルホルム
アミド20部を加え、窒素ガス吹込み下室温で溶解した。
後アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)0.1部を投入し
溶解後70℃で8時間重合した。室温まで冷却した後水中
に投入しホモミキサーで十分撹拌後濾別、脱溶媒し、減
圧乾燥した。その結果淡黄色、粉体のホモポリマーが得
られた。 (3) (1)で得た(Nオキシピリジン−2チオ)メ
チルスチレン10部とアクリロニトルリ3部とを用い
(2)同様に重合し淡黄色の共重合ポリマーを得た。構
造はIR、NMRで確認した。 (4) 撹拌機、温度計、窒素ガス吹込み管を備えた30
0mlの4口フラスコ中にクロロメチルスチレン(m/p=60
/40)82.5g(0.541モル)、スチレン18.8g(0.181モ
ル)を投入し後、ジメチルホルムアミド100部を加え、
窒素ガスを吹込み室温で溶解した。次いで70℃まで昇温
し70℃で8時間重合した。室温迄冷却後重合体溶液をメ
タノール中に投入しホモミキサーで十分撹拌後脱溶媒し
濾過後、減圧乾燥し白色の共重合ポリマーを得た。 この共重合ポリマー10部をジメチルホルムアミド40部
を室温で溶解した後、ナトリウムペンタクロロフェネー
ト17部をジメチルホルムアミド70部に溶解した溶液を徐
々に滴下し、滴下終了後、系の温度70℃に上昇し、窒素
ガスを吹込みながら5時間反応させた。反応後、室温迄
冷却し後水中に投入しホモミキサーで十分撹拌した。濾
過、洗浄、脱溶媒し減圧下で乾燥し、淡黄色の粉体を得
た。構造はIR、NMR、元素分析で確認した。 実施例−2の(2)〜(4)で得たポリマーの分子量
およびポリマー中の防黴成分含有率を表−1に各々示し
た。 実施例3 実施例−1のAドープに表−1に示した防黴成分ポリ
マーをポリマーに対し防黴成分として0.0001、0.001、
0.01、0.1、1.0重量%加え、更に1,3,5−トリス(4−
t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジ
ル)イソシアヌール酸0.16部を上記ドープ100部に対し
て各々加え、これを常法により乾式紡糸し、55デニール
のポリウレタン弾性繊維を得た。得られた繊維から編地
を作成し、その編地を用いて黴抵抗試験を行った。その
結果と黴抵抗試験前後の残存強力保持率と変色の度合を
比較例1〜2と共に表−2に示した。 比較例1 実施例1のAドープに2−(4−チアゾリール)ベン
ズイミダゾールをポリマーに対し0.0001、0.001、0.0
1、0.1、1.0重量%を加え、更に1,3,5−トリス(4−t
−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)
イソシアヌール酸0.16部を上記ドープ100部に対して各
々加え、これを実施例−3同様に紡糸し55デニールのポ
リウレタン弾性繊維を得た。 比較例2 実施例−1のAドープに100部に対し1,3,5−トリス
(4−t−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベ
ンジル)イソシアヌール酸0.16部のみを加え、実施例−
3同様に紡糸し55デニールのポリウレタン弾性繊維を得
た。 表−2から明らかな様に、防黴成分の添加量は0.001
重量%以上必要であり、特に0.01重量%以上の添加が好
ましいことを示している。本発明による弾性糸はいずれ
も微生物による劣化および変色が著しく改善され、しか
もすぐれた耐久性を示した。 (発明の効果) 本発明によればポリマー自体の持つすぐれた物性を損
なうことなく、更に操業的にも問題なく、微生物による
劣化または変色に対する安定性が改善されるが、特に微
生物の影響を受け易いポリマージオールとしてポリエス
テルジオールを使用したポリウレタン弾性体、ポリエス
テル系弾性糸に対して効果が顕著である。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.下記式で表される基を含有するポリマーをポリウレ
    タンに配合してなることを特徴とするポリウレタン組成
    2.ポリウレタンがポリエステル系ポリウレタンである
    特許請求の範囲第1項記載のポリウレタン組成物。 3.ポリウレタンがポリエステル系ポリウレタン弾性繊
    維である特許請求の範囲第1項記載のポリウレタン組成
    物。
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