JP2699659B2 - 太陽電池 - Google Patents

太陽電池

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JP2699659B2
JP2699659B2 JP2416852A JP41685290A JP2699659B2 JP 2699659 B2 JP2699659 B2 JP 2699659B2 JP 2416852 A JP2416852 A JP 2416852A JP 41685290 A JP41685290 A JP 41685290A JP 2699659 B2 JP2699659 B2 JP 2699659B2
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glass plate
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glass
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伸悟 野井
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株式会社新潟鉄工所
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    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E10/00Energy generation through renewable energy sources
    • Y02E10/50Photovoltaic [PV] energy

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  • Surface Treatment Of Glass (AREA)
  • Photovoltaic Devices (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は受光面を保護するガラス
板にイオンを注入して光透過率を増大せしめた太陽電池
に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、石油資源の枯渇問題および地球環
境の保護問題が取り上げられてきており、それにともな
ってクリーンエネルギーに対する要求がますます増大し
つつあり、太陽電池の開発も盛んに行なわれるようにな
った。
【0003】しかし、いまのところ太陽電池のエネルギ
ー変換効率は約10%程度と低いので、できるだけ多く
の太陽光線を太陽電池本体に集光させてそのエネルギー
変換効率を向上させることが急務とされている。
【0004】一般に太陽電池は太陽電池本体と受光面を
保護するガラス板とで構成されている。またアモルファ
ス太陽電池等では太陽電池の基板として受光側にガラス
を用い、それをそのまま受光面の保護ガラスとして構成
したタイプも開発されている。
【0005】ところがこのガラス板表面での光の反射は
透過光量を減少させ、エネルギー変換効率を低下させる
ものである。そこで、ガラス板表面での光の反射率を低
下させて、できるだけ多くの光を太陽電池本体に集光さ
せる方法として、このガラス板表面にコーティング膜を
形成する方法が周知であり、これは主にイオンスパッタ
リングによって行なわれている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、イオン
スパッタリングによってガラス板表面に形成されたコー
ティング膜は、大気環境中で使用されると剥離しやす
く、また傷も付き易いので信頼性に欠けるものであっ
た。
【0007】この発明は前記事情に鑑みてなされたもの
で、太陽電池のガラス板の光透過率を増大せしめ、太陽
電池の本体にできるだけ多くの光を集光できるようにし
たものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】この発明の太陽電池は受
光面のガラス板の少なくとも一面がAr、He、O、N等
のイオンをイオン注入量が1×1017〜5×1017イオ
ン/cm2の範囲となるようにイオン注入されて改質され
ていることを前記課題の解決手段とした。
【0009】
【実施例】以下、この発明を詳しく説明する。
【0010】図1は本発明の一実施例を示した断面図で
ある。この例の太陽電池は太陽電池素子2およびコネク
タ3からなる太陽電池本体1と充填材料である樹脂4と
裏面コート材5と受光面を保護するガラス板6とから概
略構成されている。
【0011】この太陽電池の構造は上記ガラス板6をこ
の太陽電池の支持板として、その下に裏面コート材5を
設け、このガラス板6と裏面コート材5との間に太陽電
池本体1を挿入するとともに、透明な樹脂4を充填材料
として充填して太陽電池本体1を封入したものである。
【0012】この太陽電池本体1としては結晶系シリコ
ン太陽電池、あるいはアモルファスシリコン太陽電池を
使用することができ、また、上記充填材料の樹脂4とし
ては紫外線による光透過率の低下が少ないポリビニルブ
チラールや耐湿性にすぐれたエチレン−酢酸ビニル共重
合体等を使用することができる。また上記裏面コート材
5にはアルミニウム等の金属の上下両面にポリフッ化ビ
ニルを積層させたシートが好適に用いられ、これによっ
て耐湿性と高絶縁性が得られる。さらにガラス板6は一
般に用いられる無色透明の硬質ガラスに窒素イオンが注
入されており、そのイオン注入量は1×1017イオン/
cm2である。
【0013】次に図2ないし図6を参照しながらこの例
のガラス板6の製造例を示す。図2はこの例のガラス板
6を製造するために好適に用いられるイオン注入装置の
部分断面図である。このイオン注入装置は、内部に基板
となるガラス基板7を保持するホルダー8が設置されて
いる真空室9と、イオンビーム発生させるイオン源10
と、真空室9の排気を行う真空ポンプ11とから概略構
成されている。
【0014】ガラス基板7としてホウケイ酸クラウンガ
ラス(BSC7、ニコン製)を使用した。このガラス基板
7の大きさは、縦40mm、横40mm、厚さ5mmとした。
このガラス基板7の表面を清浄した後、イオン注入装置
の真空室9に導入しホルダー8に取り付けた。真空ポン
プ11によって、真空室9を排気して真空度を2〜5×
10-5トールにし、ついで窒素ガスを真空室9に導入し
てその真空度を8〜10×10-5トールに保持した。こ
の真空室9の中で公知の方法により窒素イオンを発生さ
せ、これを加速電圧25kV、加速電流10mAの条件下
で加速して得られるイオンビーム(図中矢印で示す)によ
ってガラス基板7に窒素イオンの注入を行った。注入時
間を変化させることによりイオン注入量が異なるガラス
板6を得た。
【0015】ここで、イオンの注入がガラス板6の光透
過率にに与える影響を調べるために、これらイオン注入
量が異なるガラス板6の反射率を分光光度計(島津製作
所製UV−3100型)を用いて測定した。図3ないし
図6は反射率の測定結果の例を示す反射率曲線である。
これは横軸に照射波長、縦軸に反射率をとり、それぞれ
の波長の照射光に対する反射率を示したものである。
【0016】まず、イオンを注入しないガラス基板7に
対して波長300〜1500nmの光を照射して得られた
反射率曲線を図3に示した。次いでイオン注入量が1×
1016イオン/cm2のガラス板6の反射率曲線を図4に
示した。またイオン注入量が1×1017イオン/cm2
ガラス板6の反射率曲線を図5に示した。またイオン注
入量が1×1018イオン/cm2のガラス板6の反射率曲
線を図6に示した。照射波長はいずれも300〜150
0nmとした。
【0017】上記装置を用いて測定された反射率曲線よ
り、イオンを注入しないガラス基板7の反射率は、可視
光領域である350〜800nm付近の波長に対して約1
7〜48%であり、特に300〜600nmの波長に対し
ては約20%以上の高い値を示した。そして、この反射
率は350nm付近の波長に対して最大となり約48%で
あった。
【0018】一方、イオンを注入したガラス板6では、
イオン注入量が1×1016イオン/cm2のガラス板6の
反射率は可視光領域の波長に対して約20〜58%の値
を示し、イオン注入前の反射率より高くなることがわか
った。またイオン注入量が1×1017イオン/cm2のガ
ラス板6の反射率は可視光領域の波長に対して約13〜
19%であり、特に波長が400〜800nmの広い範囲
で約15%以下の低い値を示した。また、イオン注入量
が1×1018イオン/cm2のガラス板6の反射率は可視
光領域の波長に対して約15〜20%であり、波長が5
00〜800nmの範囲で約15%の低い値を示した。
【0019】これらのことより、ガラス基板7に1×1
17〜1×1018イオン/cm2の量の窒素イオンを注入
すると、得られたガラス板6の反射率が低減されること
が明らかになった。また、特に可視光領域の波長に対し
ては反射率が著しく低減された。
【0020】次いで、イオンを注入しないガラス基板7
およびイオンを注入したガラス板6の表面の中心線平均
粗さを表面粗さ計を用いて測定した。その結果、ガラス
基板7にイオンを注入することにより得られたガラス板
6の表面の粗さはイオン注入量の増加にともなって増加
するが、イオン注入量が5×1017イオン/cm2以下で
は、表面の粗さの増加はガラス板6の光学特性には影響
しない程度で無視できるものであった。
【0021】以上の結果を表1に示した。製造例のガラ
ス板6のイオン注入量はそれぞれ1×1016イオン/cm
2、5×1016イオン/cm2、1×1017イオン/cm2、5×
1017イオン/cm2、1×1018イオン/cm2であった。こ
れらのガラス板6の反射率をイオンを注入しないガラス
基板7の反射率と比較して、反射率の低減効果が得られ
たものを○、低減効果が得られなかったものを●とし
た。また、それぞれのガラス板6の表面の粗さがガラス
板6の光学特性に影響しない良好なものから、光学特性
に影響する不良なものへ○、△、●の三段階で示した。
そして、総合評価としてそれぞれのガラス板6を太陽電
池に用いた場合に最適なものを◎、適するものを○、適
さないものを●とした。
【0022】
【表1】
【0023】表1より、太陽電池の受光面の保護ガラス
として表面に1×1017イオン/cm2〜5×1017イオ
ン/cm2の窒素イオンが注入されたガラス板6を用いる
ことによって受光面における反射率を低減させることが
でき、したがって光透過率を増加させることができるこ
とが明らかになった。
【0024】なお、この例ではガラス基板7に注入する
イオンとして窒素(N)イオンを用いたが、その他にアル
ゴン(Ar)イオン、ヘリウム(He)イオン、酸素(O)イオ
ン等を用いても同様の結果が得られた。またこの例では
イオンの注入をガラス基板7の一面に対して行ったが表
裏両面に対して行ってもよい。
【0025】
【発明の効果】以上説明したようにこの発明の太陽電池
は受光面を保護するガラス板に適量のイオンが注入され
たものである。したがって受光面表面の反射率が低減さ
れ、光透過率は増加される。よって内部の太陽電池素子
に多量の光を集光することができるようになり、エネル
ギー変換効率を向上させることができる。
【0026】また上記ガラス板はイオン注入によって表
面の改質がなされるものである。よって注入されるイオ
ン量の制御を精密にかつ容易に行うことができるととも
に、製造の再現性にも優れ品質を安定させかつ向上させ
ることができる。さらにこのガラス板はその表面にコー
ティング膜等の被膜を有するものではないので、被膜剥
離による信頼性低下の恐れもなくなる。
【0027】またガラスに窒素イオンを注入することに
よってガラス表面は著しく強化されることが知られてお
り(特願平1−246159)、よって本発明のイオンが
注入されたガラス板を太陽電池の保護ガラスとして用い
ることによって、同時に耐傷性および耐放射線性に優れ
た太陽電池を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例を示す断面図である。
【図2】イオン注入装置の部分断面図である。
【図3】イオンを注入しないガラス基板の反射率曲線で
ある。
【図4】イオンを注入したガラス板の反射率曲線であ
る。
【図5】イオンを注入したガラス板の反射率曲線であ
る。
【図6】イオンを注入したガラス板の反射率曲線であ
る。
【符号の説明】
1 太陽電池本体 6 ガラス板

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 太陽電池本体と、この受光面を保護する
    ガラス板とからなる太陽電池において、前記ガラス板の
    少なくとも一面がAr、He、O、N等のイオンをイオン
    注入量が1×1017〜5×1017イオン/cm2の範囲と
    なるようにイオン注入されて改質されていることを特徴
    とする太陽電池。
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