JP2698872B2 - 農園芸用剤 - Google Patents

農園芸用剤

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JP2698872B2
JP2698872B2 JP63049117A JP4911788A JP2698872B2 JP 2698872 B2 JP2698872 B2 JP 2698872B2 JP 63049117 A JP63049117 A JP 63049117A JP 4911788 A JP4911788 A JP 4911788A JP 2698872 B2 JP2698872 B2 JP 2698872B2
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耕 中村
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、農園芸用薬剤、特に抗塩害活性及び抗水分
ストレス力を植物に賦与する薬剤に関する。
(従来の技術) 農産物に障害を与える要因の中で、かんばつや沿海地
方における塩害などは、主として根部の浸透圧異常によ
り生長障害を引き起こすもので、このような環境下では
植物は塩分及び/又は水分を介したストレス状態に陥っ
ているといえる。本発明者らは、これら異常環境におけ
る農産物の減産や園芸植物の被害を最小限に留めるため
に、塩害や水分ストレス状態にさらされた植物に対し、
その生長力の正常化作用を有する有用物質を探索してき
た。その結果、本発明環状ジペプチド化合物に抗塩害・
抗水分ストレス作用のあることを見出し本発明を完成し
た。
(発明が解決しようとする問題点) 本発明の目的は、新規な農園芸用抗塩害・抗水分スト
レス剤を提供することにある。
(問題点を解決するための手段) 本発明は、一般式(I): (式中、R1及びR2は各々同一若しくは異なって水素、低
級アルキル基を表すか、又は互いに結合して水酸基を有
してもよいピロリジン環を形成し、R3は水素又は水酸基
を表す。) で表される化合物及びその薬学的に許容される塩の少な
くとも一種を有効成分として含有する農業用抗水分スト
レス剤である。
上記一般式(I)において、R1及びR2は各々同一若し
くは異なって水素又は低級アルキル基、好ましくはメチ
ル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブ
チル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、イソペ
ンチル、ネオペンチル、tert−ペンチル等の直鎖又は分
枝状の炭素数1乃至5のアルキル基を表すか、又は互い
に結合して水酸基を有してもよいピロリジン環を形成
し、R3は水素又は水酸基を表す。
以下、一般式(I)で表される化合物を国際純正化学
連合(IUPAC)−国際生化学連合(IUB)採用のアミノ酸
の略号及び当該分野で繁用されている基の略号を用いて
表す。
例えば、下記の略号が使用される。
Pro:プロリン Hyp:ヒドロキシプロリン Ala:アラニン Leu:ロイシン Ile:イソロイシン Me:メチル基 nBu:n−ブチル基 尚、aHypは橋頭位水素と水酸基がトランス体であるこ
とを表し、これらアミノ酸は、D体、L体、DL体のいず
れをも用いることができる。
例えば、シクロ〔D−(Me)Leu−L−Hyp〕は下記式
で示される化合物を表すものである。
本発明において好ましい化合物は以下のとおりであ
る。
シクロ(L−Ala−L−Pro) シクロ(L−Leu−L−Pro) シクロ(L−Ala−L−Hyp) シクロ(L−Ile−L−Hyp) シクロ(L−Leu−L−Hyp) シクロ〔L−(N−Me)Leu−L−Hyp〕 シクロ〔D−(N−Me)Leu−L−Hyp〕 シクロ〔D−(N−nBu)Leu−L−Hyp〕 シクロ(L−Pro−L−Hyp) シクロ(D−Pro−D−aHyp) シクロ(D−Pro−D−Hyp) シクロ(L−Pro−L−aHyp) シクロ(L−Hyp−L−Hyp) シクロ(L−aHyp−L−aHyp) ±シクロ(Pro−Pro) 上記化合物はいずれも文献記載等の既知物質であり、
例えば次のような公知方法で製造することができる。
(1)本発明環状ジペプチドを構成する2種のアミノ酸
を、水やエチレングリコール等の適当な溶媒中、例えば
適宜加熱することにより合成することができる。
(2)塩化メチレン等の反応を阻害しない適当な溶媒
中、Pro若しくは水酸基をnBu等の通常の水酸基の保護基
で保護したHypと、Pro、水酸基を保護したHypやベンジ
ルオキシカルボニル基等の通常のアミノ基の保護基を有
するAla、Leu、Ileを、ジシクロヘキシルカルボジイミ
ド等の縮合剤を用いて縮合させた後、パラジウム−炭素
等を用いた接触還元などにより脱保護させると共に環化
反応を行い、本発明化合物を得ることができる。
(3)R2に低級アルキル基を有する本発明化合物は、例
えば、Hyp部分の水酸基をテトラヒドロピラン等で保護
し、ハロゲン化アルキル等のアルキル化剤を用いる通常
のアルキル化反応によってR2にアルキル基を導入して製
造できる。
得られた本発明化合物は、蒸留、クロマトグラフィ
ー、再結晶等の通常の手段により精製し、融点、元素分
析、IR、MNR、UV、マススペクトル等により同定を行っ
た。
(実施例) 上記方法によって以下の化合物を製造し、後述する抗
水分ストレス作用の実験に供した。尚、比旋光度はナト
リウムのD線を用いて測定した。
シクロ(L−Ala−L−Pro) [化合物1] 融点:179−184℃ 〔α〕24:−142.5゜(C=1,メタノール) シクロ(L−Leu−L−Pro) [化合物2] 融点:164−167℃ 〔α〕24:−131.7゜(C=1,メタノール) シクロ(L−Ala−L−Hyp) [化合物3] 融点:205−210℃ 〔α〕25:−150.7゜(C=1,メタノール) シクロ(L−Ile−L−Hyp) [化合物4] 融点:161.5−162℃ 〔α〕25:−152.5゜(C=1,水) シクロ(L−Leu−L−Hyp) [化合物5] 融点:178−179℃ 〔α〕25:−148.2゜(C=1,水) シクロ〔L−(N−Me)Leu−L−Hyp〕[化合物6] 融点:油状物 〔α〕25:−88.7゜(C=1.2,メタノール) シクロ〔D−(N−Me)Leu−L−Hyp〕[化合物7] 融点:油状物 〔α〕25:+55.8゜(C=1,メタノール) シクロ〔D−(N−nBu)Leu−L−Hyp〕 [化合物
8] 融点:112−114℃ 〔α〕25:+88.0゜(C=1.1,メタノール) シクロ(L−Pro−L−Hyp) [化合物9] 融点:141−142℃ 〔α〕28:−134.4゜(C=1,メタノール) シクロ(D−Pro−D−aHyp) [化合物10] 融点:174−175℃ 〔α〕28:+90.8゜(C=1,メタノール) シクロ(D−Pro−D−Hyp) [化合物11] 融点:141−142℃ 〔α〕28:+134.0゜(C=1,メタノール) シクロ(L−Pro−L−aHyp) [化合物12] 融点:175−176℃ 〔α〕28:−90.4゜(C=1,メタノール) シクロ(L−Hyp−L−Hyp) [化合物13] シクロ(D−aHyp−D−aHyp) [化合物14] ±シクロ(Pro−Pro) [化合物15] (作用) 稲を用いて本発明化合物の抗塩害・抗水分ストレス誘
起作用を調べた。
(I)塩化ナトリウムによるストレス負荷 均一な粒の種子(品種:日本晴)を選びだし、0.5%T
ween20及び1.0%次亜塩素酸ナトリウムを含む水溶液で
洗浄し乾燥させた後、被検薬の水溶液で浸した濾紙をし
いて発芽床としたペトリ皿に供試種子を播種した。
4日間培養して発芽した種子のうち根の長さがほぼ均
一の5個体を水又は塩化ナトリウム水溶液(いずれも被
検薬も含まない)の入った植物培養試験管に移して生育
試験をおこなった。
移植後1週間経過したものの地上部及び地下部の長さ
と重量を測定した。試験は30℃、24時間日長下で行い、
6反復して平均値と標準誤差を求めた。
(1)稲の生育に及ぼす塩化ナトリウムの影響 生育培地に塩化ナトリウムが存在することによって、
稲の生長は明らかに阻害をうける(第1表)。
この食塩による稲の生長阻害に対する本発明化合物の
抑制作用を調べた結果を以下に示す。
(II)マンニトールによるストレス負荷 塩化ナトリウムの代わりにマンニトールを用いて上記
(I)と同様の方法で本発明化合物の作用を調べた。
尚、試験は25℃、14日間日長下で行った。
結果の一例を以下に示す。
(効果) 第2表乃至第8表より明らかなように、発芽時の培地
に本発明化合物を添加しておいた稲苗は、その後食塩存
在下の生育条件に移植生育させても、食塩による生長阻
害に対して抵抗力を有している。
また、食塩でなく糖類(マンニトール)を用いて行っ
た試験でも同様の結果が得られた事より、食塩そのもの
の害に対する抵抗力のほか抗水分ストレスに対する抵抗
力も併せ持つものと考えられる。
以上の試験結果のように、農作物が塩害や水分ストレ
ス状態にさらされたとしても、予め本発明化合物で処理
しておくことによって該植物に抗水分ストレス力を賦与
することができる。
従って、例えば海岸埋め立て地のような塩分の多い土
壌や塩害の被害を受けやすい沿岸地方、又、しばしばか
んばつを被る水資源の不足に悩む地方やオーストラリア
内陸部のようにかんばつと塩害が併せ問題になっている
地域など、農作物が塩害や水分ストレスに陥りやすい地
域で、本発明化合物を有効成分として含有する農業用薬
剤は非常に有用性が高い。
本発明農業用抗ストレス剤は、全期間にわたって使用
する必要はなく、発芽時の苗床の培地に添加するだけで
効果があり、又、わずか10-8乃至10-10Mの低濃度で充分
であるので経済的にも有利である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 家永 和治 兵庫県加東郡社町木梨字川北山442番1 日本臓器製薬株式会社生物活性科学研 究所内 (56)参考文献 特開 昭59−93081(JP,A) Tetrahedron Lette rs,(1987),Vol.28,No. 12,P.1285−1286

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式(I): (式中、R1及びR2は各々同一若しくは異なって水素、低
    級アルキル基を表すか、又は互いに結合して水酸基を有
    してもよいピロリジン環を形成し、R3は水素又は水酸基
    を表す。) で表される化合物及びその薬学的に許容される塩の少な
    くとも一種を有効成分として含有する農園芸用抗塩害
    剤。
  2. 【請求項2】シクロ(L−プロリル−L−ヒドロキシプ
    ロリン)及びその薬学的に許容される塩の少なくとも一
    種を有効成分として含有する農園芸用抗水分ストレス
    剤。
JP63049117A 1987-05-22 1988-03-01 農園芸用剤 Expired - Lifetime JP2698872B2 (ja)

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