JP2695703B2 - 多孔性炭素材、その製造方法およびその用途 - Google Patents
多孔性炭素材、その製造方法およびその用途Info
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- Y02C20/40—Capture or disposal of greenhouse gases of CO2
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Description
【発明の詳細な説明】 技術分野 本発明は、窒素や酸素などの小分子の吸着に適したミ
クロ孔および/またはサブミクロ孔構造を有する多孔性
炭素材およびその製造方法に関する。また本発明は、工
業用ガスの精製用または分離用の吸着材、二次電池の電
極材、などに好適に利用できる多孔性炭素材を提供す
る。
クロ孔および/またはサブミクロ孔構造を有する多孔性
炭素材およびその製造方法に関する。また本発明は、工
業用ガスの精製用または分離用の吸着材、二次電池の電
極材、などに好適に利用できる多孔性炭素材を提供す
る。
背景技術 (炭素材の原料) 炭素材の原料としては、褐炭、亜炭、無煙炭、コーク
ス、木炭、やし殻炭、などの動植物質が炭化したもの、
フェノール樹脂、フラン樹脂、塩基ビニリデン共重合体
などの各種樹脂を不活性ガス雰囲気下で加熱(乾留)し
たもの、などが利用されている。本発明では、これらの
原料を総称して炭素化合物、炭素化合物を乾留して得た
ものを乾留炭、と呼称する。
ス、木炭、やし殻炭、などの動植物質が炭化したもの、
フェノール樹脂、フラン樹脂、塩基ビニリデン共重合体
などの各種樹脂を不活性ガス雰囲気下で加熱(乾留)し
たもの、などが利用されている。本発明では、これらの
原料を総称して炭素化合物、炭素化合物を乾留して得た
ものを乾留炭、と呼称する。
(炭素材の用途) 炭素材は化学的に不活性であるため、吸着剤、触媒、
電極材、機械用構造材、などの広い用途に利用されてい
るが、これらの用途は、炭素材の構造と密接に関連す
る。
電極材、機械用構造材、などの広い用途に利用されてい
るが、これらの用途は、炭素材の構造と密接に関連す
る。
多孔性炭素と呼称される炭素は、細孔が発達している
ため、特異な作用がある。例えば、吸着現象を利用し
た、混合物の分離作用や精製作用がある。また、電気二
重層キャパシタ用炭素やリチウム二次電池用炭素などの
電気化学的エネルギー貯蔵作用がある。
ため、特異な作用がある。例えば、吸着現象を利用し
た、混合物の分離作用や精製作用がある。また、電気二
重層キャパシタ用炭素やリチウム二次電池用炭素などの
電気化学的エネルギー貯蔵作用がある。
(炭素材の構造) 炭素材の構造は原料により、また製造方法により、種
々の構造をとり得る。
々の構造をとり得る。
チャーやこれを賦活して得た活性炭は、微晶質炭素
(結晶子)、鎖状構造をとる炭素、などから成り立って
いる。難黒鉛化性炭素の場合は、結晶子が乱雑に積層し
た構造をとっており、これら結晶子の間隙にはミクロ孔
からマクロ孔まで広範囲の細孔が形成されている。
(結晶子)、鎖状構造をとる炭素、などから成り立って
いる。難黒鉛化性炭素の場合は、結晶子が乱雑に積層し
た構造をとっており、これら結晶子の間隙にはミクロ孔
からマクロ孔まで広範囲の細孔が形成されている。
結晶子は、数層の平行な炭素六員環の網面が積み重な
ったものであり、炭素六員環を構成するグラファイト炭
素は、SP2混成軌道を利用して結合している。炭素六員
環からなる網面を基底面という。
ったものであり、炭素六員環を構成するグラファイト炭
素は、SP2混成軌道を利用して結合している。炭素六員
環からなる網面を基底面という。
易黒鉛化性炭素は、高温度で加熱することにより結晶
子が成長し、最終的には黒鉛(グラファイト)になる。
子が成長し、最終的には黒鉛(グラファイト)になる。
難黒鉛化性炭素や完全に黒鉛化していない易黒鉛化性
炭素には、通常、未組織炭素が含まれている。未組成炭
素とは、グラファイト炭素とのみ化学結合しているグラ
ファイト炭素以外の炭素であり、鎖状構造を有する炭
素、炭素六員環の周辺に付着している炭素、炭素六員環
の最外縁(プリズム面)にある炭素、炭素六員環(結晶
子)どうしの架橋構造にあずかっている炭素、などをい
う。未組織炭素は、C−H,C−OH,C−OOH,C=Oなどの形
で水素原子、酸素原子などと結合しているか、炭素二重
結合(−C=C−)を形成している。
炭素には、通常、未組織炭素が含まれている。未組成炭
素とは、グラファイト炭素とのみ化学結合しているグラ
ファイト炭素以外の炭素であり、鎖状構造を有する炭
素、炭素六員環の周辺に付着している炭素、炭素六員環
の最外縁(プリズム面)にある炭素、炭素六員環(結晶
子)どうしの架橋構造にあずかっている炭素、などをい
う。未組織炭素は、C−H,C−OH,C−OOH,C=Oなどの形
で水素原子、酸素原子などと結合しているか、炭素二重
結合(−C=C−)を形成している。
(炭素材の吸着作用) 細孔径が0.8nm以下のものをサブミクロ孔、細孔径が
0.8〜2nmの範囲のものをミクロ孔という。これらの領域
の細孔径は、吸着分子の径とほぼ同一のオーダーであ
り、吸着現象に関与していると考えられている細孔であ
る。
0.8〜2nmの範囲のものをミクロ孔という。これらの領域
の細孔径は、吸着分子の径とほぼ同一のオーダーであ
り、吸着現象に関与していると考えられている細孔であ
る。
現在の測定技術ではサブミクロ孔領域の細孔構造を直
接観察することができないため、一般的理論として確立
されていないのが現状である。
接観察することができないため、一般的理論として確立
されていないのが現状である。
窒素や酸素などの小分子の吸着量は、ミクロ孔および
/またはサブミクロ孔の発達の程度と相関関係を有して
おり、窒素や酸素などの小分子の吸着量が多いほどミク
ロ孔および/またはサブミクロ孔が発達していると考え
られている。
/またはサブミクロ孔の発達の程度と相関関係を有して
おり、窒素や酸素などの小分子の吸着量が多いほどミク
ロ孔および/またはサブミクロ孔が発達していると考え
られている。
(多孔性炭素材の製法;賦活処理) 多孔性炭素材を製造する方法は種々提案されてきた。
以下に、代表的な製造方法を説明する。
以下に、代表的な製造方法を説明する。
多孔性炭素材を得る慣用的な方法としては、水蒸気、
二酸化炭素、空気、などの酸化性ガスで賦活処理をする
方法が知られている。
二酸化炭素、空気、などの酸化性ガスで賦活処理をする
方法が知られている。
賦活処理は、炭素が賦活剤により酸化・侵食(炭素ま
たはガス化)されることにより行われる。即ち、炭素材
の表面に新しい孔を形成したり、既に開口している孔を
更に大きくしたりする。その結果、比表面積や細孔面積
が増加すると考えられている。しかし、通常の賦活処理
では賦活収率(他の処理のときには炭素収率)が40〜80
%程度であり、炭素の損失が20〜60%にも及ぶ。また、
細孔径が均一な細孔を形成することはできない。
たはガス化)されることにより行われる。即ち、炭素材
の表面に新しい孔を形成したり、既に開口している孔を
更に大きくしたりする。その結果、比表面積や細孔面積
が増加すると考えられている。しかし、通常の賦活処理
では賦活収率(他の処理のときには炭素収率)が40〜80
%程度であり、炭素の損失が20〜60%にも及ぶ。また、
細孔径が均一な細孔を形成することはできない。
ここで、賦活収率または炭素収率は、処理前の炭素化
合物の重量を100としたときの処理後の重量を表す。
合物の重量を100としたときの処理後の重量を表す。
水蒸気賦活の例としては特開平1−242409号公報、二
酸化炭素賦活の例としては特開平5−132377号公報、水
蒸気および/または二酸化炭素賦活と空気(酸素)賦活
を組み合わせた方法としては特公平5−49606号公報、
また、ナトリウムやカリウムの水酸化物による賦活の例
としては特開平2−97414号公報(特公平5−82324号公
報)、がある。
酸化炭素賦活の例としては特開平5−132377号公報、水
蒸気および/または二酸化炭素賦活と空気(酸素)賦活
を組み合わせた方法としては特公平5−49606号公報、
また、ナトリウムやカリウムの水酸化物による賦活の例
としては特開平2−97414号公報(特公平5−82324号公
報)、がある。
(多孔性炭素材の製法;樹脂の炭化) 特定の分子構造を有する高分子樹脂を乾留することに
より多孔性炭素を製造する方法も知られている。乾留に
より有機物質が分解するとき、炭素は熱的に安定な六員
環の芳香族構造を作るように再結合する。原料樹脂に含
まれている炭素以外の成分の役割は、まだ解明されてい
ない。
より多孔性炭素を製造する方法も知られている。乾留に
より有機物質が分解するとき、炭素は熱的に安定な六員
環の芳香族構造を作るように再結合する。原料樹脂に含
まれている炭素以外の成分の役割は、まだ解明されてい
ない。
高分子樹脂を乾留する例としては、特公昭60−20322
号公報、特開平6−187972号公報、米国特許第4,839,33
1号、米国特許第3,960,768号、などがある。
号公報、特開平6−187972号公報、米国特許第4,839,33
1号、米国特許第3,960,768号、などがある。
前記米国特許第4,839,331号および米国特許第3,960,7
68号では、硫黄化合物またはハロゲンを、予め、高分子
樹脂と反応せしめ、炭素材の褐質を図ろうとするもので
ある。本発明は、炭化後(乾留炭)に塩素と反応せしめ
ることにより炭素材の改質を図るものである。
68号では、硫黄化合物またはハロゲンを、予め、高分子
樹脂と反応せしめ、炭素材の褐質を図ろうとするもので
ある。本発明は、炭化後(乾留炭)に塩素と反応せしめ
ることにより炭素材の改質を図るものである。
(多孔性炭素材の製造;その他) 賦活処理によらないで多孔性炭素材を得る製造方法と
して、特開平4−310209号公報がある。これは、グラニ
ュール形状に粉砕したやし殻炭を、不活性ガス下、加熱
速度を制御しながら、775〜900℃まで加熱し、8時間保
持すると、酸素選択性のある吸着剤が得らることを開示
している。
して、特開平4−310209号公報がある。これは、グラニ
ュール形状に粉砕したやし殻炭を、不活性ガス下、加熱
速度を制御しながら、775〜900℃まで加熱し、8時間保
持すると、酸素選択性のある吸着剤が得らることを開示
している。
特開昭62−108722号公報は、加熱した高分子樹脂に有
機金属化合物を混合し、これを加熱処理し、含有してい
る金属を溶出させることにより、炭素材に細孔を形成さ
せる方法を開示している。
機金属化合物を混合し、これを加熱処理し、含有してい
る金属を溶出させることにより、炭素材に細孔を形成さ
せる方法を開示している。
(従来技術により製造した炭素材の吸着量) 従来技術により製造した炭素材(活性炭)の酸素およ
び窒素の吸着量のいくつかを表1に示す。これらのデー
ターは、学術文献または特許文献より収録したものであ
るが、文献中の等温吸着線より読みとった吸着量(表で
は文献値)の他に、ヘンリー型吸着と仮定して1atmに換
算した値(表では1atm換算値)も併せて示した。なお、
測定温度が不明であるものがあるが、これらの測定温度
は室温近傍の温度と推定される。
び窒素の吸着量のいくつかを表1に示す。これらのデー
ターは、学術文献または特許文献より収録したものであ
るが、文献中の等温吸着線より読みとった吸着量(表で
は文献値)の他に、ヘンリー型吸着と仮定して1atmに換
算した値(表では1atm換算値)も併せて示した。なお、
測定温度が不明であるものがあるが、これらの測定温度
は室温近傍の温度と推定される。
以上の公知文献によれば、1気圧における窒素吸着量
は最大8.94ccSTP/g(25℃、1atm換算では9.76cc/g)、
酸素吸着量は最大12.2cc/gであり、これら以上の吸着量
を有する炭素材は知られていない。
は最大8.94ccSTP/g(25℃、1atm換算では9.76cc/g)、
酸素吸着量は最大12.2cc/gであり、これら以上の吸着量
を有する炭素材は知られていない。
なお、特に酸素選択性を付与していない炭素材の酸
素、窒素吸着量はわずかな違いはあるが、ほぼ同じ値に
なることは、表1の文献3,4,6)からわかる。
素、窒素吸着量はわずかな違いはあるが、ほぼ同じ値に
なることは、表1の文献3,4,6)からわかる。
活性炭による二酸化炭素吸着のデータとしては次の例
がある。1)河添ら、生産研究、Vol.15、No.11、513
頁、1973[8.5g/100g=43mlSTP/g(20℃、1atm)]。
2)矢野や、化学工学、Vol.25、No.9、654頁、1961[3
0ccSTP/g(30℃、1atm)]。3)化学工学便覧、589
頁、平成4年[40cm3NTP/g(37.7℃、1atm)]。
がある。1)河添ら、生産研究、Vol.15、No.11、513
頁、1973[8.5g/100g=43mlSTP/g(20℃、1atm)]。
2)矢野や、化学工学、Vol.25、No.9、654頁、1961[3
0ccSTP/g(30℃、1atm)]。3)化学工学便覧、589
頁、平成4年[40cm3NTP/g(37.7℃、1atm)]。
活性炭によるメタン吸着のデータとしては次の例があ
る。1)NITTAら、J Chem Eng Jpn、Vol.25、No.2、176
頁、1922[1mol/kg=22.4mlSTP/g(25℃、1atm)]。
2)KIMBERLYら、Chem Eng Science、Vol.47、No.7、15
69頁、1992[0.7〜1.1mmol/g=15.7〜24.6mlSTP/g(25
℃、1atm)]。3)化学工学便覧、589頁、平成4年[2
1cm3NTP/g(37.7℃、1atm)]。
る。1)NITTAら、J Chem Eng Jpn、Vol.25、No.2、176
頁、1922[1mol/kg=22.4mlSTP/g(25℃、1atm)]。
2)KIMBERLYら、Chem Eng Science、Vol.47、No.7、15
69頁、1992[0.7〜1.1mmol/g=15.7〜24.6mlSTP/g(25
℃、1atm)]。3)化学工学便覧、589頁、平成4年[2
1cm3NTP/g(37.7℃、1atm)]。
通常の活性炭の比表面積は700〜2000m2/g程度であり
(化学工学便覧、平4年)、通常の活性炭の細孔容積
は、たとえば、ミクロ孔およびサブミクロ孔までの孔容
積は0.2832〜04365ml/g程度であり、直径20nmまでの孔
容積は0.4408〜0.6938ml/g(新版活性炭、95年)程度と
されている。
(化学工学便覧、平4年)、通常の活性炭の細孔容積
は、たとえば、ミクロ孔およびサブミクロ孔までの孔容
積は0.2832〜04365ml/g程度であり、直径20nmまでの孔
容積は0.4408〜0.6938ml/g(新版活性炭、95年)程度と
されている。
炭素材の水素と炭素の組成比率(H/C原子数比)は、
炭化の温度により広範囲に変化し得るが、たとえば、フ
ェノール樹脂を400〜740℃で炭化したとき、0.55〜0.07
(特開昭60−170163号公報)である。
炭化の温度により広範囲に変化し得るが、たとえば、フ
ェノール樹脂を400〜740℃で炭化したとき、0.55〜0.07
(特開昭60−170163号公報)である。
これらのパラメーターが、吸着量や電気化学的エネル
ギー貯蔵量にどのように係わっているのかについては充
分に解明されていない。
ギー貯蔵量にどのように係わっているのかについては充
分に解明されていない。
(結晶子の大きさ) 結晶子の特徴を示す指標として、X線回折で測定され
る(002)面間隔d(002)の実測値で文献に開示されて
いる例は表2のとおりであり、0.3367〜0.395nmの間の
大きさが知られている。
る(002)面間隔d(002)の実測値で文献に開示されて
いる例は表2のとおりであり、0.3367〜0.395nmの間の
大きさが知られている。
(電気二重層キャパシタ) 電気二重層キャパシタの電極は、分極性電極とも称さ
れているが、大きな静電容量を持つことが求められてい
る。電気二重層に蓄えられる電気容量(静電容量)は、
大まかには固液界面の表面積で決まるので、電極材料と
しては、比表面積が大きく導電性がある炭素材が使用さ
れている。特に、賦活処理した活性炭が実用に供されて
いる。
れているが、大きな静電容量を持つことが求められてい
る。電気二重層に蓄えられる電気容量(静電容量)は、
大まかには固液界面の表面積で決まるので、電極材料と
しては、比表面積が大きく導電性がある炭素材が使用さ
れている。特に、賦活処理した活性炭が実用に供されて
いる。
電気二重層キャパシタ用の炭素電極の従来技術として
は、米国特許第3,700,975号、特公平4−70770号公報、
特公昭63−10574号公報、特開平4−175277号公報、特
開平1−321620号公報、などが知られている。
は、米国特許第3,700,975号、特公平4−70770号公報、
特公昭63−10574号公報、特開平4−175277号公報、特
開平1−321620号公報、などが知られている。
従来の多孔性炭素材の製造方法においては、ミクロ孔
および/またはサブミクロ孔が充分に発達していないた
め、窒素などの分子径が小さいガスを対象とする吸着剤
として利用する場合、吸着容量が不十分であった。ま
た、炭素収率が低いという問題があった。
および/またはサブミクロ孔が充分に発達していないた
め、窒素などの分子径が小さいガスを対象とする吸着剤
として利用する場合、吸着容量が不十分であった。ま
た、炭素収率が低いという問題があった。
また、電気二重層キャパシタ用炭素やリチウム二次電
池用炭素などの電極材として利用する場合にも、電気化
学的エネルギーの貯蔵容量は不十分であった。
池用炭素などの電極材として利用する場合にも、電気化
学的エネルギーの貯蔵容量は不十分であった。
本発明はこれらの課題を解決するものである。
発明の開示 本発明者らは、上記課題を解決するため、多孔性炭素
材の製造方法を鋭意研究した。その結果、乾留炭に塩素
処理を施すと、窒素吸着量が飛躍的に増加することを知
見し、本発明を完成するに至った。
材の製造方法を鋭意研究した。その結果、乾留炭に塩素
処理を施すと、窒素吸着量が飛躍的に増加することを知
見し、本発明を完成するに至った。
なお、以下の記載において、主として塩素ガスを例に
して説明するが、同じ技術的思想で臭素などのハロゲン
ガスにも適用することができる。
して説明するが、同じ技術的思想で臭素などのハロゲン
ガスにも適用することができる。
(発明の構成) 本発明の多孔性炭素材の製造方法は、乾留炭にハロゲ
ン処理することを特徴としている。図1に、本発明のハ
ロゲン処理による多孔性炭素材の製造方法の工程図を示
す。本発明のハロゲン処理は、乾留炭を、ハロゲンガス
に接触させてハロゲン化乾留炭を得るハロゲン化処理を
施すハロゲン化工程とし、しかるのち該ハロゲン化乾留
炭中のハロゲン原子の一部または全部を離脱させる脱ハ
ロゲン処理を施す脱ハロゲン工程とを備えた処理であ
る。本発明においては、上記ハロゲンとして、塩素また
は臭素を好適に使用できる。
ン処理することを特徴としている。図1に、本発明のハ
ロゲン処理による多孔性炭素材の製造方法の工程図を示
す。本発明のハロゲン処理は、乾留炭を、ハロゲンガス
に接触させてハロゲン化乾留炭を得るハロゲン化処理を
施すハロゲン化工程とし、しかるのち該ハロゲン化乾留
炭中のハロゲン原子の一部または全部を離脱させる脱ハ
ロゲン処理を施す脱ハロゲン工程とを備えた処理であ
る。本発明においては、上記ハロゲンとして、塩素また
は臭素を好適に使用できる。
塩素を例にすれば、塩素化乾留炭の塩素化の程度は、
塩素と炭素の原子数比(Cl/C)で表される。当該原子数
比は、塩素化工程においては、塩素化工程前の乾留炭の
重量を炭素の重量とし、塩素化工程における重量増加を
塩素の重量として、原子数のモル比に換算したものであ
る。また、脱塩素工程においては、脱塩素工程による重
量減少を塩素の減量として原子数に換算して、これを塩
素化乾留炭の塩素原子数から減じて求めたものである。
塩素と炭素の原子数比(Cl/C)で表される。当該原子数
比は、塩素化工程においては、塩素化工程前の乾留炭の
重量を炭素の重量とし、塩素化工程における重量増加を
塩素の重量として、原子数のモル比に換算したものであ
る。また、脱塩素工程においては、脱塩素工程による重
量減少を塩素の減量として原子数に換算して、これを塩
素化乾留炭の塩素原子数から減じて求めたものである。
実際の塩素処理においては、炭化の進行に伴う乾留作
用や、水蒸気の賦活作用(炭素のガス化)があるため、
前記定義による原子数比が負の値になることがある。
用や、水蒸気の賦活作用(炭素のガス化)があるため、
前記定義による原子数比が負の値になることがある。
(塩素化工程) 塩素化工程は、乾留炭を窒素などの不活性ガスで希釈
した塩素ガス中350〜1000℃、好ましくは400〜700℃の
温度で加熱処理を施すことを特徴としている。
した塩素ガス中350〜1000℃、好ましくは400〜700℃の
温度で加熱処理を施すことを特徴としている。
塩素化工程の加熱処理の温度が1000℃を越える場合、
乾留が進行して水素原子の量が低下するため、塩素化の
程度(Cl/C)が小さくなり、好ましくない。また、グラ
ファイト炭素は、塩素に対して不活性である必要がある
ので、塩素化工程の温度は1000℃以下であることが好ま
しい。また、塩素化工程の加熱処理の温度が350℃未満
の場合、塩素と未組織炭素の反応速度が遅すぎるので、
塩素化処理に長時間を要し、好ましくない。
乾留が進行して水素原子の量が低下するため、塩素化の
程度(Cl/C)が小さくなり、好ましくない。また、グラ
ファイト炭素は、塩素に対して不活性である必要がある
ので、塩素化工程の温度は1000℃以下であることが好ま
しい。また、塩素化工程の加熱処理の温度が350℃未満
の場合、塩素と未組織炭素の反応速度が遅すぎるので、
塩素化処理に長時間を要し、好ましくない。
塩素ガスの供給速度は、塩素の濃度が約10容量パーセ
ントのとき、空塔速度で0.2〜0.2L/(min・cm2)程度で
ある。塩素化処理の時間は、当該温度範囲の高温域の場
合は30分程度であるが、400℃に近い低温域の場合は120
分程度必要である。なお、ガスの流量は、時間(分)あ
たりの、ほぼ大気圧、室温でのガスの体積(L)で表す
(以下同じ)。
ントのとき、空塔速度で0.2〜0.2L/(min・cm2)程度で
ある。塩素化処理の時間は、当該温度範囲の高温域の場
合は30分程度であるが、400℃に近い低温域の場合は120
分程度必要である。なお、ガスの流量は、時間(分)あ
たりの、ほぼ大気圧、室温でのガスの体積(L)で表す
(以下同じ)。
ここで不活性ガスとは、窒素、もしくはヘリウム、ア
ルゴン、などの希ガス、およびこれらの混合ガスであ
る。
ルゴン、などの希ガス、およびこれらの混合ガスであ
る。
上記塩素化処理により、塩素と炭素の原子数比(Cl/
C)が好ましくは0.03以上、より好ましくは、0.07以上
の塩素化乾留炭が得られる。なお、この原子数比が0.03
未満の場合、ミクロ孔形成への寄与が小さいので、好ま
しくない。
C)が好ましくは0.03以上、より好ましくは、0.07以上
の塩素化乾留炭が得られる。なお、この原子数比が0.03
未満の場合、ミクロ孔形成への寄与が小さいので、好ま
しくない。
また、上記原子数比の上限は、乾留炭中の水素原子の
量、すなち、乾留温度により決まるが、後述する実施例
より、0.315以下であれば、本発明の所望の効果が得ら
れることがわかっている。
量、すなち、乾留温度により決まるが、後述する実施例
より、0.315以下であれば、本発明の所望の効果が得ら
れることがわかっている。
臭素化処理においては、臭素と炭素の原子数比(Br/
C)が、0.01程度であっても本発明の効果が得られる。
C)が、0.01程度であっても本発明の効果が得られる。
(脱塩素工程) 脱塩素工程は、高温脱塩素処理、低温脱塩素処理、ま
たは高温脱塩素処理と低温脱塩素処理を組み合わせた処
理、により行われることを特徴としている。
たは高温脱塩素処理と低温脱塩素処理を組み合わせた処
理、により行われることを特徴としている。
脱塩素の程度は、脱塩素工程後の前記原子数比(Cl/
C)が0.02以下であることが好ましいが、必ずしも完全
に脱塩素させる必要はない。
C)が0.02以下であることが好ましいが、必ずしも完全
に脱塩素させる必要はない。
高温脱塩素処理は、真空排気下または不活性ガス中60
0〜1300℃、好ましくは、炭素材を吸着剤として使用す
る場合は900〜1100℃、電極材として使用する場合は600
〜900℃の温度で加熱処理を施すことを特徴としてい
る。真空排気の程度は特に限定されないが、真空度が10
Torr程度の真空排気で充分である。加熱処理の時間は、
20〜30分程で充分である。
0〜1300℃、好ましくは、炭素材を吸着剤として使用す
る場合は900〜1100℃、電極材として使用する場合は600
〜900℃の温度で加熱処理を施すことを特徴としてい
る。真空排気の程度は特に限定されないが、真空度が10
Torr程度の真空排気で充分である。加熱処理の時間は、
20〜30分程で充分である。
不活性ガス中で行う高温脱塩素処理を1300℃を越える
処理温度で行った場合、熱収縮により細孔入り口が小さ
くなりすぎて窒素が細孔内に入ることができなくなるた
め、所望の窒素吸着量が得られないことがある。また、
不活性ガス中で行う高温脱塩素処理を600℃未満の処理
温度で行った場合、充分に脱塩素を行うことができな
い。
処理温度で行った場合、熱収縮により細孔入り口が小さ
くなりすぎて窒素が細孔内に入ることができなくなるた
め、所望の窒素吸着量が得られないことがある。また、
不活性ガス中で行う高温脱塩素処理を600℃未満の処理
温度で行った場合、充分に脱塩素を行うことができな
い。
なお、高温脱塩素処理では、乾留炭中の塩素が完全に
脱塩素されず、塩素の一部が残留する。
脱塩素されず、塩素の一部が残留する。
低温脱塩素処理は、水素化合物ガスまたは不活性ガス
で希釈した水素化合物ガス中600〜850℃、好ましくは、
650〜750℃の温度で加熱処理を施すことを特徴としてい
る。加熱処理の時間は、20〜30分程で充分である。
で希釈した水素化合物ガス中600〜850℃、好ましくは、
650〜750℃の温度で加熱処理を施すことを特徴としてい
る。加熱処理の時間は、20〜30分程で充分である。
低温脱塩素処理では、乾留炭中の塩素がほぼ完全に脱
塩素される。
塩素される。
ここで水素化合物ガスとは、水蒸気(H2O)、水素、
もしくはメタン(CH4)、エタン(C2H6)、エチレン(C
2H4)、プロパン(C3H8)、プロピレン(C3H6)、ブタ
ン(C4H10)、ブチレン(C4H8)などの低級炭化水素、
およびこれらの混合ガスである。不活性ガス中の水素化
合物としては、LPG(液化石油ガス)が不完全燃焼した
ときの排ガスを、工業的に好適に利用することができ
る。前記排ガスの組成は、例えば、水蒸気13〜17容量
%、二酸化炭素9〜12容量%、一酸化炭素0.01〜1容量
%、窒素68〜74容量%、未燃分低級炭化水素0.01〜3容
量%程度である。
もしくはメタン(CH4)、エタン(C2H6)、エチレン(C
2H4)、プロパン(C3H8)、プロピレン(C3H6)、ブタ
ン(C4H10)、ブチレン(C4H8)などの低級炭化水素、
およびこれらの混合ガスである。不活性ガス中の水素化
合物としては、LPG(液化石油ガス)が不完全燃焼した
ときの排ガスを、工業的に好適に利用することができ
る。前記排ガスの組成は、例えば、水蒸気13〜17容量
%、二酸化炭素9〜12容量%、一酸化炭素0.01〜1容量
%、窒素68〜74容量%、未燃分低級炭化水素0.01〜3容
量%程度である。
前記水素化合物が水蒸気である場合、水蒸気の濃度は
特に限定されないが、空塔速度が0.05〜0.15L/(min・c
m2)のとき、3容量%程度であれば充分である。
特に限定されないが、空塔速度が0.05〜0.15L/(min・c
m2)のとき、3容量%程度であれば充分である。
なお、前記水素化合物が水蒸気である場合、850℃を
越える温度で加熱処理すると、水蒸気による賦活作用が
進行しすぎるため、ミクロ孔の形成が阻害され、炭素収
率が低下する上、本発明の効果が低下する。
越える温度で加熱処理すると、水蒸気による賦活作用が
進行しすぎるため、ミクロ孔の形成が阻害され、炭素収
率が低下する上、本発明の効果が低下する。
前記水素化合物が水素である場合は、賦活作用がない
ので上記上限温度の制約はない。
ので上記上限温度の制約はない。
前記水素化合物がメタン等の低級炭化水素である場
合、低級炭化水素の濃度は得に限定されないが、空塔速
度が0.05〜0.15L/(min・cm2)のとき、20容量%程度で
あれば充分である。
合、低級炭化水素の濃度は得に限定されないが、空塔速
度が0.05〜0.15L/(min・cm2)のとき、20容量%程度で
あれば充分である。
なお、前記水素化合物が低級炭化水素である場合、85
0℃を越える温度で加熱処理すると、低級炭化水素の熱
分解による炭素の添着作用を生じ、細孔が閉塞するの
で、本発明の効果が低下する。
0℃を越える温度で加熱処理すると、低級炭化水素の熱
分解による炭素の添着作用を生じ、細孔が閉塞するの
で、本発明の効果が低下する。
前記水素化合物が水蒸気または低級炭化水素のいずれ
の場合も、600℃未満の温度で加熱処理すると、充分に
脱塩素を行うことができない。
の場合も、600℃未満の温度で加熱処理すると、充分に
脱塩素を行うことができない。
脱塩素のための処理方法としては、高温脱塩素のみの
処理を行う方法と、低温脱塩素のみの処理を行う方法
と、それらを組み合わせた方法として、高温脱塩素処理
と低温脱塩素処理とを順次行う処理方法、低温脱塩素処
理と高温脱塩素処理とを順次行う処理方法、高温脱塩素
処理と低温脱塩素処理と高温脱塩素処理とを順次行う処
理方法、の五つある。これらを表3に示す。
処理を行う方法と、低温脱塩素のみの処理を行う方法
と、それらを組み合わせた方法として、高温脱塩素処理
と低温脱塩素処理とを順次行う処理方法、低温脱塩素処
理と高温脱塩素処理とを順次行う処理方法、高温脱塩素
処理と低温脱塩素処理と高温脱塩素処理とを順次行う処
理方法、の五つある。これらを表3に示す。
以上説明した脱塩素の処理方法のうち、高温脱塩素処
理と低温脱塩素処理とを順次行う処理を採用し、水素化
合物が水蒸気または水蒸気と低級炭化水素の混合ガスで
あるとき、本発明の効果がもっともよく発現する。
理と低温脱塩素処理とを順次行う処理を採用し、水素化
合物が水蒸気または水蒸気と低級炭化水素の混合ガスで
あるとき、本発明の効果がもっともよく発現する。
上記多孔性炭素材の製造方法は、種々の乾留炭に適用
することができるが、特に、やし殻、フェノール樹脂、
フラン樹脂、または塩化ビニリデン樹脂を乾留して得た
乾留炭を原料とするのが最適である。
することができるが、特に、やし殻、フェノール樹脂、
フラン樹脂、または塩化ビニリデン樹脂を乾留して得た
乾留炭を原料とするのが最適である。
脱塩素処理後の炭素に対する塩素の含有量が17.7wt%
(化学分析値)以下、すなわち、炭素に対する塩素の原
子数比が0.06以下であれば、本発明の塩素処理の効果が
発現する。
(化学分析値)以下、すなわち、炭素に対する塩素の原
子数比が0.06以下であれば、本発明の塩素処理の効果が
発現する。
当該乾留炭を原料として上記製造方法を行うことによ
り、25℃且つ1気圧のときの窒素吸着量が12.5〜20cc/g
である多孔性炭素材が得られる。この窒素吸着量は、従
来の炭素材より15〜50%も大きい。
り、25℃且つ1気圧のときの窒素吸着量が12.5〜20cc/g
である多孔性炭素材が得られる。この窒素吸着量は、従
来の炭素材より15〜50%も大きい。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、ベンゼン
吸着から求めた細孔容積が0.20〜0.50cm3/g、比表面積
が600〜1300m2/gである多孔性炭素材が得られる。一
方、従来の賦活処理を施した炭素材は、ベンゼン吸着か
ら求た細孔容積の大きさが0.25〜0.7cm3/g程度で、比表
面積は800〜1900m2/gであり、窒素吸着量はおよそ10〜1
2cc/gである。
吸着から求めた細孔容積が0.20〜0.50cm3/g、比表面積
が600〜1300m2/gである多孔性炭素材が得られる。一
方、従来の賦活処理を施した炭素材は、ベンゼン吸着か
ら求た細孔容積の大きさが0.25〜0.7cm3/g程度で、比表
面積は800〜1900m2/gであり、窒素吸着量はおよそ10〜1
2cc/gである。
塩素処理した炭素材は、従来の賦活処理を施した炭素
材と比較すると、細孔容積や比表面積がほぼ同じ大きさ
である場合にも、窒素吸着量はきわめて大きい。塩素処
理した炭素材は、従来の賦活処理を施した炭素材と比較
すると分子径の大きいベンゼンの吸着量はほぼ同じであ
るにも係わらず、窒素などの小分子の吸着に好適なミク
ロ孔および/またはサブミクロ孔を多数有している。
材と比較すると、細孔容積や比表面積がほぼ同じ大きさ
である場合にも、窒素吸着量はきわめて大きい。塩素処
理した炭素材は、従来の賦活処理を施した炭素材と比較
すると分子径の大きいベンゼンの吸着量はほぼ同じであ
るにも係わらず、窒素などの小分子の吸着に好適なミク
ロ孔および/またはサブミクロ孔を多数有している。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、二酸化炭
素の吸着量が、25℃1気圧のとき、60〜90cc/gの炭素材
が得られる。この二酸化炭素の吸着量は、常法で得られ
る炭素材に比べ、およそ20〜79%多い。
素の吸着量が、25℃1気圧のとき、60〜90cc/gの炭素材
が得られる。この二酸化炭素の吸着量は、常法で得られ
る炭素材に比べ、およそ20〜79%多い。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、メタンの
吸着量が、25℃1気圧のとき、25〜33cc/gの炭素材が得
られる。このメタンの吸着量は、常法で得られる炭素材
に比べ、およそ14〜51%多い。
吸着量が、25℃1気圧のとき、25〜33cc/gの炭素材が得
られる。このメタンの吸着量は、常法で得られる炭素材
に比べ、およそ14〜51%多い。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、結晶子の
(002)面間隔が、0.40〜0.43nmである炭素材が得られ
る。
(002)面間隔が、0.40〜0.43nmである炭素材が得られ
る。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、X線光電
子分光測定によるグラファイト構造の炭素が全炭素のう
ち66〜74%である炭素材が得られる。
子分光測定によるグラファイト構造の炭素が全炭素のう
ち66〜74%である炭素材が得られる。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、全細孔容
積に対する半径1.5nm以下の累積細孔容積が90%以上で
ある炭素材が得られる。
積に対する半径1.5nm以下の累積細孔容積が90%以上で
ある炭素材が得られる。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、真密度が
1.75〜1.90cm3/gである炭素材が得られる。
1.75〜1.90cm3/gである炭素材が得られる。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、水素の炭
素に対する重量比が0.084〜1.42wt%であり、原子数比
が0.010〜0.17である炭素材が得られる。
素に対する重量比が0.084〜1.42wt%であり、原子数比
が0.010〜0.17である炭素材が得られる。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、レーザラ
マン分光測定による結晶化度を示す指標G値が1.2〜1.5
である炭素材が得られる。
マン分光測定による結晶化度を示す指標G値が1.2〜1.5
である炭素材が得られる。
本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、電気伝導
度が、室温において30〜100S/cmである炭素材が得られ
る。
度が、室温において30〜100S/cmである炭素材が得られ
る。
本発明の多孔性炭素材の製造方法により得られた炭素
材を用いることにより、静電容量が70〜90F/cm3である
電気二重層キャパシタが得られる。
材を用いることにより、静電容量が70〜90F/cm3である
電気二重層キャパシタが得られる。
また、本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、当
該多孔性炭素材が高収率で製造できる。
該多孔性炭素材が高収率で製造できる。
(選択賦活) 本願のもう一つの発明は、炭素材の賦活方法に関す
る。即ち、この賦活方法によれば、乾留炭を塩素ガスに
接触させて、塩素化乾留を得た後、該塩素化乾留炭を水
蒸気または不活性ガスで希釈した水蒸気中500〜800℃の
温度で加熱処理を施すことにより、塩素原子が結合して
いる炭素原子(塩素化炭素)のみを選択的にガス化する
ことができる。
る。即ち、この賦活方法によれば、乾留炭を塩素ガスに
接触させて、塩素化乾留を得た後、該塩素化乾留炭を水
蒸気または不活性ガスで希釈した水蒸気中500〜800℃の
温度で加熱処理を施すことにより、塩素原子が結合して
いる炭素原子(塩素化炭素)のみを選択的にガス化する
ことができる。
次に、本発明手段の作用を説明する。
(構造モデル) 難黒鉛化炭素や結晶化度が不十分な易黒鉛化性炭素の
構造モデルはいくつか提案されている。古くから知られ
ているFranklinモデル(大谷、真田、「炭素化工学の基
礎」、13ページ、オーム社(昭和55年)、萩原、「改訂
炭素材料入門」、188ページ、炭素材料学会(昭和59
年))では、数層の炭素六員関網面からなる微結覆(結
晶子)が、積み木を重ねたような構造をとっている。低
温処理炭について、一層の炭素網面で積み木細工したモ
デルもある(横野、「炭素」No.133、115ページ、(198
8年))。また、あたかも鉋の削り屑の上に炭素網面が
並んでいるようなモデルもある(H.F.Stoeckil,「Carbo
n」28、1ページ、(1990年))。
構造モデルはいくつか提案されている。古くから知られ
ているFranklinモデル(大谷、真田、「炭素化工学の基
礎」、13ページ、オーム社(昭和55年)、萩原、「改訂
炭素材料入門」、188ページ、炭素材料学会(昭和59
年))では、数層の炭素六員関網面からなる微結覆(結
晶子)が、積み木を重ねたような構造をとっている。低
温処理炭について、一層の炭素網面で積み木細工したモ
デルもある(横野、「炭素」No.133、115ページ、(198
8年))。また、あたかも鉋の削り屑の上に炭素網面が
並んでいるようなモデルもある(H.F.Stoeckil,「Carbo
n」28、1ページ、(1990年))。
(塩素化工程の作用) 乾留炭に塩素ガスを接触させると、塩素は乾留炭に物
理吸着および/または化学吸着する。接触温度を高くし
ていくと物理吸着の量は低下し、化学吸着の量が増加す
る。化学吸着は、主として、前記未組織炭素との反応に
より起こる。本発明は、未組織炭素と塩素との反応を利
用するものであるので、本発明が適用できる乾留炭とし
ては、難黒鉛化性炭素または炭化が不十分な易黒鉛化性
炭素である必要がある。
理吸着および/または化学吸着する。接触温度を高くし
ていくと物理吸着の量は低下し、化学吸着の量が増加す
る。化学吸着は、主として、前記未組織炭素との反応に
より起こる。本発明は、未組織炭素と塩素との反応を利
用するものであるので、本発明が適用できる乾留炭とし
ては、難黒鉛化性炭素または炭化が不十分な易黒鉛化性
炭素である必要がある。
塩素と反応した未組織炭素は、C−Cl,C−O−Cl,C−
O−O−Cl,C(=O)−O−Cl,C=Cl2などの化学構造
をとるものと考えられる。
O−O−Cl,C(=O)−O−Cl,C=Cl2などの化学構造
をとるものと考えられる。
未組織炭素に水素原子が結合している場合は、(1)
式、(2)式、(3)式に示すような塩素化反応が起こ
る(C|は未組織炭素を表し、上下にC|が記載されている
ものは、同一の炭素網面または結晶子内で隣接して存在
する未組織炭素であることを表す。) C|−H+Cl2→C|−Cl+HCl (2) (1)式は炭素二重結合への塩素付加反応、(2)式
と(3)式は未組織炭素に結合している水素原子と塩素
原子の交換反応(塩素と等モルの塩化水素が発生す
る)、(4)式は脱水素化反応(塩素の二倍の塩化水素
が発生する)である。これらの四つの反応は、複合的に
起きていると指定される。
式、(2)式、(3)式に示すような塩素化反応が起こ
る(C|は未組織炭素を表し、上下にC|が記載されている
ものは、同一の炭素網面または結晶子内で隣接して存在
する未組織炭素であることを表す。) C|−H+Cl2→C|−Cl+HCl (2) (1)式は炭素二重結合への塩素付加反応、(2)式
と(3)式は未組織炭素に結合している水素原子と塩素
原子の交換反応(塩素と等モルの塩化水素が発生す
る)、(4)式は脱水素化反応(塩素の二倍の塩化水素
が発生する)である。これらの四つの反応は、複合的に
起きていると指定される。
上記反応式から明らかなように、前記原子数比(Cl/
C)の最大値は、全炭素原子に対する未組織炭素の割合
により決まる。未組織炭素(従って、水素原子、酸素原
子、炭素二重結合など)の量は、乾留炭の炭化の程度に
依存する。
C)の最大値は、全炭素原子に対する未組織炭素の割合
により決まる。未組織炭素(従って、水素原子、酸素原
子、炭素二重結合など)の量は、乾留炭の炭化の程度に
依存する。
(脱塩素工程の作用) 脱塩素処理を不活性ガス中で行うと、未組織炭素に結
合している塩素は(5)式、(6)式に示すような反応
により塩化水素(HCl)として脱離する。
合している塩素は(5)式、(6)式に示すような反応
により塩化水素(HCl)として脱離する。
C|−Cl+C|−H→C|−C|+HCl (5) C|−Cl+C|−H→C=C|+HCl (6) 脱塩素処理を、水素化合物ガス中で行うと、(7)
式、(8)式に示すように、塩素化炭素は水素化合物に
より還元される。
式、(8)式に示すように、塩素化炭素は水素化合物に
より還元される。
C|−Cl+C|−Cl+2R−H →C|−C|+2HCl+2R′ (7) C|−Cl+R−H→C|−H+HCl+R′ (8) ここで、R−Hは水素化合物、R′はR−Hの酸化
体、を表す。
体、を表す。
(5)式、(6)式、(7)式の反応により、新たな
炭素原子−炭素原子結合(以下炭素結合)が生成され
る。この新たな炭素結合の形成は、炭素網面または結晶
子のグラファイト構造の欠陥を修復する作用、炭素網面
または結晶子の成長(形状の変化)作用、結晶子と結晶
子の間の結合状態を変える(集合状態の変化)作用、な
どの作用を果たすと考えられる。このとき、加熱による
熱収縮の効果が相乗的に作用していることも考えられ
る。
炭素原子−炭素原子結合(以下炭素結合)が生成され
る。この新たな炭素結合の形成は、炭素網面または結晶
子のグラファイト構造の欠陥を修復する作用、炭素網面
または結晶子の成長(形状の変化)作用、結晶子と結晶
子の間の結合状態を変える(集合状態の変化)作用、な
どの作用を果たすと考えられる。このとき、加熱による
熱収縮の効果が相乗的に作用していることも考えられ
る。
いずれにしろ、新たに形成された炭素結合により、結
晶子に囲まれたミクロ孔および/またはサブミクロ孔が
多数形成されるものと推定される。
晶子に囲まれたミクロ孔および/またはサブミクロ孔が
多数形成されるものと推定される。
炭素結合があずかることができない位置にあった炭素
が塩素化されていた場合は、(8)式に従って水素原子
が再付加する。即ち、塩素化された炭素のすべてが前記
炭素結合の生成に寄与するわけではない。
が塩素化されていた場合は、(8)式に従って水素原子
が再付加する。即ち、塩素化された炭素のすべてが前記
炭素結合の生成に寄与するわけではない。
実施例において示すように、水素化合物がメタンのよ
うな低級炭化水素である場合には、脱塩素と再塩素化を
繰り返しても、脱塩素後の重量は減少しない。即ち、下
記(9)式に示すような賦活作用はない。
うな低級炭化水素である場合には、脱塩素と再塩素化を
繰り返しても、脱塩素後の重量は減少しない。即ち、下
記(9)式に示すような賦活作用はない。
しかし、水蒸気中において脱塩素と再塩素化を繰り返
すと、脱塩素と再塩素化一回当たりの平均の重量減少
は、(9)式に示すように、塩素化炭素がガス化すると
きの重量減少にほぼ等しい。
すと、脱塩素と再塩素化一回当たりの平均の重量減少
は、(9)式に示すように、塩素化炭素がガス化すると
きの重量減少にほぼ等しい。
従って、水素化合物ガスが水蒸気である場合は(R=
OH)、(7)式、(8)式の還元作用の他に、(9)式
に示すように、塩素化炭素を選択的に賦活する作用も起
こる(nは1または2)。
OH)、(7)式、(8)式の還元作用の他に、(9)式
に示すように、塩素化炭素を選択的に賦活する作用も起
こる(nは1または2)。
C−C−Cl+H2O→C−H+COn+HCl (9) 以上説明したように、脱塩素工程で水素化合物を添加
すると、前記(7)式、(8)式、および(9)式の各
反応により、脱塩素を促進することができる。
すると、前記(7)式、(8)式、および(9)式の各
反応により、脱塩素を促進することができる。
水素化合物以外の化合物により脱塩素させることも可
能である。
能である。
脱塩素の機構は複雑であり、上記(5)〜(9)式以
外の反応も考えられる。
外の反応も考えられる。
上記塩素処理によるミクロ孔および/またはサブミク
ロ孔の生成手段は、賦活処理などによる従来の生成手段
とは全く異なる新規なものであり、炭素の損失(ガス
化)が少ない。
ロ孔の生成手段は、賦活処理などによる従来の生成手段
とは全く異なる新規なものであり、炭素の損失(ガス
化)が少ない。
脱塩素処理した炭素材に、炭素原子と結合している塩
素の一部が残る場合にも、上記の作用効果がある。
素の一部が残る場合にも、上記の作用効果がある。
塩素化処理をすると、水素が塩素に置き換えられる。
炭素に対する結合解離エネルギーは水素に比べ塩素の方
が小さい。そのために、水素に比べ塩素の方が容易に解
離し、炭素原子が環化などによって炭素網目構造に取り
込まれ易いものと考えられる。また、同じ理由により欠
陥が少ない結晶が生じていると推測され、高い吸着力の
発現の原因になっていると考えられる。
炭素に対する結合解離エネルギーは水素に比べ塩素の方
が小さい。そのために、水素に比べ塩素の方が容易に解
離し、炭素原子が環化などによって炭素網目構造に取り
込まれ易いものと考えられる。また、同じ理由により欠
陥が少ない結晶が生じていると推測され、高い吸着力の
発現の原因になっていると考えられる。
臭素の結合解離エネルギーは塩素のそれよりも小さ
い。そのため、臭素においてはさらに結晶化が進みやす
く、欠陥が少ない結晶子が生成し、塩素によるのと同様
な作用効果が発現するものと推測される。
い。そのため、臭素においてはさらに結晶化が進みやす
く、欠陥が少ない結晶子が生成し、塩素によるのと同様
な作用効果が発現するものと推測される。
多孔性炭素材はグラファイト微結晶子の集合体であ
る。結晶子の特徴を表す基本的な指標としてX線回折測
定から求められる(002)面間隔の大きさを考えること
ができる。結晶子を全体として把握するときの特徴を示
す指標として、X線光電子分光測定で得られるグラファ
イト構造の炭素の割合、ラマン分光測定で得られる結晶
化の状態をあらわすG値、炭素材に含まれる水素と炭素
の割合、あるいは、炭素材の真密度を考えることができ
る。これらの特徴により、炭素材の電気二重層キャパシ
タあるいは電気伝導の特性が付与され、また、結晶子お
よびその集合状態により形成される細孔の比表面瀬また
は細孔容積の特徴により、ガス吸着の特性が付与される
ものと考えられる。
る。結晶子の特徴を表す基本的な指標としてX線回折測
定から求められる(002)面間隔の大きさを考えること
ができる。結晶子を全体として把握するときの特徴を示
す指標として、X線光電子分光測定で得られるグラファ
イト構造の炭素の割合、ラマン分光測定で得られる結晶
化の状態をあらわすG値、炭素材に含まれる水素と炭素
の割合、あるいは、炭素材の真密度を考えることができ
る。これらの特徴により、炭素材の電気二重層キャパシ
タあるいは電気伝導の特性が付与され、また、結晶子お
よびその集合状態により形成される細孔の比表面瀬また
は細孔容積の特徴により、ガス吸着の特性が付与される
ものと考えられる。
図面の簡単な説明 図1は本発明のハロゲン処理による多孔性炭素材製造
方法の工程図である。
方法の工程図である。
図2は本発明を実施するためのハロゲン処理設備の概
略図である。
略図である。
図3は、表1に示した従来の炭素材および比較例に示
した炭素材の窒素吸着量と、本発明の塩素処理した炭素
材の窒素吸着量の比較図である。
した炭素材の窒素吸着量と、本発明の塩素処理した炭素
材の窒素吸着量の比較図である。
図4は、実施例3における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図5は、実施例5における塩素化処理温度と塩素処理
した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフである。
した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフである。
図6は、実施例8における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図7は、実施例9における低温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図8は、実施例14における低温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図9は、実施例15における塩素化処理温度と塩素処理
した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフである。
した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフである。
図10は、実施例16における低温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図11は、実施例17における塩素化処理温度と塩素処理
した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフである。
した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフである。
図12は、実施例18における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図13は、実施例19における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図14は、実施例20における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図15は、実施例22における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図16は、実施例23における最初の高温脱塩素処理温度
と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフ
である。
と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフ
である。
図17は、実施例24における高温脱塩素処理温度と塩素
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
処理した試料の窒素吸着量との関係を示すグラフであ
る。
図18は、本発明の実施例において作製した静電容量測
定セルの概略断面図である。
定セルの概略断面図である。
図19は、実施例40における比表面積と窒素吸着量の関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
図20は、実施例40における細孔容積と窒素吸着量の関
係を示すグラフである。
係を示すグラフである。
図21は、実施例41における細孔半径と累積細孔容積の
関係を示すグラフである。
関係を示すグラフである。
図22は、実施例44における電気伝導度の測定方法の概
略を示す図である。
略を示す図である。
発明を実施するための最良の形態 以下、実施例により、本発明をより具体的に、且つ、
詳細に説明する。
詳細に説明する。
(原料乾留炭) 本実施例では、原料乾留炭およびその製造方法を次の
記号で示す。
記号で示す。
乾留炭A;フィリピン産やし殻炭を微粉砕(粉砕機:中
央化工機(株)製MB−1型)し、コールタールをバイン
ダーとして2mmφ×5〜6mmのペレットに成形(成形機:
不二パウダル(株)製PV−5型)し、窒素ガス気流下60
0℃で乾留したもの。
央化工機(株)製MB−1型)し、コールタールをバイン
ダーとして2mmφ×5〜6mmのペレットに成形(成形機:
不二パウダル(株)製PV−5型)し、窒素ガス気流下60
0℃で乾留したもの。
乾留炭B;フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製PGA
−4560 商品名レヂトップ)を160℃で硬化させ、微粉
砕した後、レヂトップをバインダーとして2mmφ×5〜6
mmのペレットに成形し、窒素ガス気流下550℃で乾留し
たもの。
−4560 商品名レヂトップ)を160℃で硬化させ、微粉
砕した後、レヂトップをバインダーとして2mmφ×5〜6
mmのペレットに成形し、窒素ガス気流下550℃で乾留し
たもの。
乾留炭C;フラン樹脂(日立化成工業(株)VF−303)
を500℃で乾留し、微粉砕した後、コールタールをバイ
ンダーとして2mmφ×5〜6mmのペレットに成形し、窒素
ガス雰囲気下550℃で乾留したもの。
を500℃で乾留し、微粉砕した後、コールタールをバイ
ンダーとして2mmφ×5〜6mmのペレットに成形し、窒素
ガス雰囲気下550℃で乾留したもの。
(ハロゲン処理設備) 本発明を実施するためのハロゲン処理設備の概要を図
2に示す。なお、以下、塩素を例に説明するが、他のハ
ロゲンガスにも適用される。図中で、1は温度制御機能
付き管状電気炉(管状炉:(株)吉田製作所製、温度制
御装置:(株)チノー製MODEL SU、熱電対JIS R)、
2は石英管、3は炭素材容器(ガス透過性)、4は炭素
材、5は窒素ガス供給管、6は塩素、水蒸気、メタン、
またはLPG不完全燃焼排ガス供給管、7はガス排出管、
8はゴム栓である。各ガスの供給圧力は、ほぼ大気圧で
ある。
2に示す。なお、以下、塩素を例に説明するが、他のハ
ロゲンガスにも適用される。図中で、1は温度制御機能
付き管状電気炉(管状炉:(株)吉田製作所製、温度制
御装置:(株)チノー製MODEL SU、熱電対JIS R)、
2は石英管、3は炭素材容器(ガス透過性)、4は炭素
材、5は窒素ガス供給管、6は塩素、水蒸気、メタン、
またはLPG不完全燃焼排ガス供給管、7はガス排出管、
8はゴム栓である。各ガスの供給圧力は、ほぼ大気圧で
ある。
塩素化処理では管5から窒素ガスと管6から塩素ガス
を所定量流す。高温脱塩素処理では、管5から窒素ガス
を所定量流す。低温脱塩素処理では、管5から窒素ガス
と管6から水蒸気、メタンなどを含む窒素ガスまたはLP
G不完全燃焼排ガスを所定量流す。流量は、フロート形
面積流量計(塩素ガス:流体工業(株)製 PGF−N
型、その他ガス:日本フローセル(株)製ST−4型)で
測定した。
を所定量流す。高温脱塩素処理では、管5から窒素ガス
を所定量流す。低温脱塩素処理では、管5から窒素ガス
と管6から水蒸気、メタンなどを含む窒素ガスまたはLP
G不完全燃焼排ガスを所定量流す。流量は、フロート形
面積流量計(塩素ガス:流体工業(株)製 PGF−N
型、その他ガス:日本フローセル(株)製ST−4型)で
測定した。
(吸着量、重量、比表面積、細孔容積の測定) 以下の実施例における窒素および酸素吸着量の測定
は、容量法(機器:日本ベル(株)製BELSORP28)によ
り、25℃、1気圧の条件で行った。ベンゼンの吸着量
は、25℃の飽和ベンゼンを含む窒素を供給し、重量変化
から求めた。測定前、試料を100℃で2時間真空排気す
ることにより脱ガスした。
は、容量法(機器:日本ベル(株)製BELSORP28)によ
り、25℃、1気圧の条件で行った。ベンゼンの吸着量
は、25℃の飽和ベンゼンを含む窒素を供給し、重量変化
から求めた。測定前、試料を100℃で2時間真空排気す
ることにより脱ガスした。
重量は、電子天秤((株)島津製作所製LIBROR EB−
430HW)で測定した。下記実施例では、特に断りのない
限り、塩素化処理前の原料乾留炭の重量を基準として重
量の増減を示した。
430HW)で測定した。下記実施例では、特に断りのない
限り、塩素化処理前の原料乾留炭の重量を基準として重
量の増減を示した。
比表面積は、−196℃(液体窒素の沸点)の温度にお
ける窒素ガスの吸着量を測定し、Brunauer−Emmett−Te
llerの吸着式から求めた。測定機器は、(株)島津製作
所製アキュソープ2100−02型を使用した。
ける窒素ガスの吸着量を測定し、Brunauer−Emmett−Te
llerの吸着式から求めた。測定機器は、(株)島津製作
所製アキュソープ2100−02型を使用した。
細孔容積は、ベンゼンの吸着量(g Benzene/g Carbo
n)を液体ベンゼンの密度(0.879g/cm3)で除した(割
る)値として求めた。
n)を液体ベンゼンの密度(0.879g/cm3)で除した(割
る)値として求めた。
実施例25までの各実施例の窒素吸着量は、実施例25の
後にまとめて表4〜6に示す。また、表1に示した従来
の炭素材および比較例に示した炭素材の窒素吸着量と、
本発明の塩素処理した実施例25までの炭素材の窒素吸着
量を図3に示す。
後にまとめて表4〜6に示す。また、表1に示した従来
の炭素材および比較例に示した炭素材の窒素吸着量と、
本発明の塩素処理した実施例25までの炭素材の窒素吸着
量を図3に示す。
なお、以下の実施例、比較例において、原材料、試料
の作製条件、測定法などが上記と異なる場合には、その
旨記載する。
の作製条件、測定法などが上記と異なる場合には、その
旨記載する。
(比較例1;市販品および加熱処理のみの窒素吸着量) 市販されている炭素材(活性炭)および前記乾留炭を
加熱処理した炭素材の窒素および酸素の吸着量を測定し
た。武田薬品(株)製の白鷺G2−Xを試料、クラレケ
ミカル(株)製の4GAを試料とした。関西熱化学
(株)製マックスソープG15Lを試料とした。乾留炭A
を窒素ガス中800℃の温度で加熱処理したものを試料
とした。乾留炭Bを試料とした。乾留炭Bを窒素ガス
中700℃の温度で加熱処理したものを試料とした。乾
留炭Bを窒素ガス中900℃の温度で加熱処理したものを
試料とした。乾留炭Cを窒素ガス中800℃の温度で加
熱処理したものを試料とした。乾留炭Cを窒素ガス中
1000℃の温度で加熱処理したものを試料とした。窒素
吸着量は、9.3cc/g,10.0cc/g,8.5cc/g,7.8cc/
g,4.8cc/g,10.4cc/g,11.9cc/g,9.9cc/g,10.6
cc/gであった。酸素吸着量は、7.6cc/g,11.3cc/g,
9.5cc/gであった。
加熱処理した炭素材の窒素および酸素の吸着量を測定し
た。武田薬品(株)製の白鷺G2−Xを試料、クラレケ
ミカル(株)製の4GAを試料とした。関西熱化学
(株)製マックスソープG15Lを試料とした。乾留炭A
を窒素ガス中800℃の温度で加熱処理したものを試料
とした。乾留炭Bを試料とした。乾留炭Bを窒素ガス
中700℃の温度で加熱処理したものを試料とした。乾
留炭Bを窒素ガス中900℃の温度で加熱処理したものを
試料とした。乾留炭Cを窒素ガス中800℃の温度で加
熱処理したものを試料とした。乾留炭Cを窒素ガス中
1000℃の温度で加熱処理したものを試料とした。窒素
吸着量は、9.3cc/g,10.0cc/g,8.5cc/g,7.8cc/
g,4.8cc/g,10.4cc/g,11.9cc/g,9.9cc/g,10.6
cc/gであった。酸素吸着量は、7.6cc/g,11.3cc/g,
9.5cc/gであった。
窒素吸着量が多いとされている市販の活性炭でも10.0
cc/gを越える吸着量を示すものはなかった。
cc/gを越える吸着量を示すものはなかった。
(実施例1;A/B,高温脱塩素/窒素中) 乾留炭A(15g)と乾留炭B(15g)それぞれを、
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
との試料を窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で
60分間加熱処理し、脱塩素した(高温脱塩素処理)。脱
塩素処理中、検知管((株)ガステック製、型式14L,14
M)により窒素排ガス中に塩化水素があることを確認し
た。脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−5.8wt%,
−4.3wt%、減少していた(数字の前の−記号は乾留炭
を基準にして重量が減少していたことを示す。以下同
じ。)。窒素吸着量は、12.6cc/g,13.9cc/gであっ
た。
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
との試料を窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で
60分間加熱処理し、脱塩素した(高温脱塩素処理)。脱
塩素処理中、検知管((株)ガステック製、型式14L,14
M)により窒素排ガス中に塩化水素があることを確認し
た。脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−5.8wt%,
−4.3wt%、減少していた(数字の前の−記号は乾留炭
を基準にして重量が減少していたことを示す。以下同
じ。)。窒素吸着量は、12.6cc/g,13.9cc/gであっ
た。
塩素処理(高温脱塩素)した乾留炭Aの窒素吸着量
は、比較例1のより62%大きかった。塩素処理(高温
脱塩素)した乾留炭Bの窒素吸着量は、比較例1の
より17%大きかった。
は、比較例1のより62%大きかった。塩素処理(高温
脱塩素)した乾留炭Bの窒素吸着量は、比較例1の
より17%大きかった。
(実施例2;B,高温脱塩素/真空下) 乾留炭B(10g)を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L
/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化し
た(60分)。次に、塩素処理設備の排ガス出口ラインに
真空ポンプを接続し、真空排気しながら1000℃の温度で
加熱処理し、脱塩素した、真空ポンプ吸入口の真空度は
約10Torrであった。窒素吸着量は、13.8cc/gであった。
/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化し
た(60分)。次に、塩素処理設備の排ガス出口ラインに
真空ポンプを接続し、真空排気しながら1000℃の温度で
加熱処理し、脱塩素した、真空ポンプ吸入口の真空度は
約10Torrであった。窒素吸着量は、13.8cc/gであった。
窒素中の場合と同様に、真空排気下における加熱処理
(高温脱塩素処理)でも窒素吸着量が増加した。
(高温脱塩素処理)でも窒素吸着量が増加した。
(実施例3;B,高温脱塩素、塩素化の乾留炭量依存性、窒
素中の加熱処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする二つの試料(各10g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)二つの試料それぞれを、
700℃,900℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。同様に、乾留炭Bを原料とする二つの試料(各25
g)それぞれを、550℃の温度に加熱し、窒素0.99L/min
に塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化した
(60分)。次に、窒素ガス気流下(3L/min)二つの試料
それぞれを、700℃,900℃の温度で30分間加熱処理
し、脱塩素した。との塩素化処理後(脱塩素処理
前)の試料を室温に冷却し、重量を測定すると(この重
量を塩素化乾留炭の重量という。()は原子数比Cl/Cを
表す。以下同じ)、39.0wt%(0.131)重量増加してい
た。窒素吸着量は、12.8cc/g,14.4cc/g,12.6cc/
g,14.1cc/gであった。
素中の加熱処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする二つの試料(各10g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)二つの試料それぞれを、
700℃,900℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。同様に、乾留炭Bを原料とする二つの試料(各25
g)それぞれを、550℃の温度に加熱し、窒素0.99L/min
に塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化した
(60分)。次に、窒素ガス気流下(3L/min)二つの試料
それぞれを、700℃,900℃の温度で30分間加熱処理
し、脱塩素した。との塩素化処理後(脱塩素処理
前)の試料を室温に冷却し、重量を測定すると(この重
量を塩素化乾留炭の重量という。()は原子数比Cl/Cを
表す。以下同じ)、39.0wt%(0.131)重量増加してい
た。窒素吸着量は、12.8cc/g,14.4cc/g,12.6cc/
g,14.1cc/gであった。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処置した試料の窒素吸着量との関係を図
4に示す。
理)温度と塩素処置した試料の窒素吸着量との関係を図
4に示す。
窒素中の加熱処理の温度は、700〜900℃の広い範囲で
有効であるが、温度が高いほど効果が大きいことが判っ
た。
有効であるが、温度が高いほど効果が大きいことが判っ
た。
(実施例4;A/B,低温脱塩素/水) 乾留炭A(15g)と乾留炭B(15g)それぞれを、
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
との試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下
(3L/min、圧力は約1気圧であるので、水蒸気の濃度は
約3容量%)700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素
した(低温脱塩素処理)。塩素化処理中および脱塩素処
理中、検知管により窒素排ガス中に塩化水素があること
を確認した。の脱塩素処理後の重量は−12.4wt%減少
していた。窒素吸着量は、12.9cc/g,は14.4cc/gで
あった。
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
との試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下
(3L/min、圧力は約1気圧であるので、水蒸気の濃度は
約3容量%)700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素
した(低温脱塩素処理)。塩素化処理中および脱塩素処
理中、検知管により窒素排ガス中に塩化水素があること
を確認した。の脱塩素処理後の重量は−12.4wt%減少
していた。窒素吸着量は、12.9cc/g,は14.4cc/gで
あった。
塩素処理(低温脱塩素)した乾留炭Aの窒素吸着量
は、比較例1のより65%大きかった。塩素処理(低温
脱塩素)した乾留炭Bの窒素吸着量は、比較例1の
より21%大きかった。
は、比較例1のより65%大きかった。塩素処理(低温
脱塩素)した乾留炭Bの窒素吸着量は、比較例1の
より21%大きかった。
(実施例5;A,高温脱塩素+低温脱塩素、塩素化の温度依
存性) 乾留炭Aを原料とする七つの試料(各15g)それぞれ
を、350℃,400℃,450℃,500℃,550℃,
600℃,700℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素
0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化した(60
分)。次に、七つの試料をそれぞれ窒素ガス気流下(3L
/min)1000℃の温度で60分間加熱処理し(高温脱塩素処
理)、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下70
0℃の温度で30分間加熱処理し(低温脱塩素処理)、脱
塩素した。塩素化乾留炭の重量はそれぞれ、32.3wt%
(0.109),36.7wt%(0.124),42.3wt%(0.14
3),43.7wt%(0.148),35.2wt%(0.119),2
5.5wt%(0.086),21.7wt%(0.073)増加してい
た。窒素ガス中の脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−
5.1wt%,−5.4wt%,−6.1wt%,−5.8wt%,
−4.6wt%,−4.8wt%,−5.2wt%減少していた。
水蒸気中の脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−11.3wt
%,−11.9wt%,−10.8wt%,−11.0wt%,−
11.0wt%,−10.5wt%,−10.8wt%減少していた。
窒素吸着量は、13.3cc/g,14.6cc/g,14.1cc/g,1
4.2cc/g,14.0cc/g,13.9cc/g,13.2cc/gであった。
存性) 乾留炭Aを原料とする七つの試料(各15g)それぞれ
を、350℃,400℃,450℃,500℃,550℃,
600℃,700℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素
0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化した(60
分)。次に、七つの試料をそれぞれ窒素ガス気流下(3L
/min)1000℃の温度で60分間加熱処理し(高温脱塩素処
理)、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下70
0℃の温度で30分間加熱処理し(低温脱塩素処理)、脱
塩素した。塩素化乾留炭の重量はそれぞれ、32.3wt%
(0.109),36.7wt%(0.124),42.3wt%(0.14
3),43.7wt%(0.148),35.2wt%(0.119),2
5.5wt%(0.086),21.7wt%(0.073)増加してい
た。窒素ガス中の脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−
5.1wt%,−5.4wt%,−6.1wt%,−5.8wt%,
−4.6wt%,−4.8wt%,−5.2wt%減少していた。
水蒸気中の脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−11.3wt
%,−11.9wt%,−10.8wt%,−11.0wt%,−
11.0wt%,−10.5wt%,−10.8wt%減少していた。
窒素吸着量は、13.3cc/g,14.6cc/g,14.1cc/g,1
4.2cc/g,14.0cc/g,13.9cc/g,13.2cc/gであった。
本実施例における塩素化処理温度と塩素処理した試料
の窒素吸着量との関係を図5に示す。
の窒素吸着量との関係を図5に示す。
塩素化の温度は350〜700℃の広い範囲で有効であっ
た。また、塩素処理による重量(炭素)損失は約10%に
すぎなかった。
た。また、塩素処理による重量(炭素)損失は約10%に
すぎなかった。
(実施例6;A,高温脱塩素+低温脱塩素、塩素化の時間依
存性) 乾留炭Aを原料とする四つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した。このとき四つ
の試料の塩素化反応時間を、15分、30分、60分、
120分とした。次に、四つの試料をそれぞれ窒素ガス
気流下(3L/min)1000℃の温度で20分間加熱処理し、更
に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温
度で30分間加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留炭の重
量はそれぞれ、28.9wt%(0.098),39.0wt%(0.1
32),42.3wt%(0.143),42.3wt%(0.143)増加
していた。窒素吸着量は、13.5cc/g,14.2cc/g,1
4.1cc/g,14.1cc/gであった。
存性) 乾留炭Aを原料とする四つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した。このとき四つ
の試料の塩素化反応時間を、15分、30分、60分、
120分とした。次に、四つの試料をそれぞれ窒素ガス
気流下(3L/min)1000℃の温度で20分間加熱処理し、更
に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温
度で30分間加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留炭の重
量はそれぞれ、28.9wt%(0.098),39.0wt%(0.1
32),42.3wt%(0.143),42.3wt%(0.143)増加
していた。窒素吸着量は、13.5cc/g,14.2cc/g,1
4.1cc/g,14.1cc/gであった。
温度が500℃で塩素濃度が10容量%のとき、15gの乾留
炭は約30分で塩素化反応が終了した。また、60分以上塩
素化反応をおこなっても原子数比は増加しなかった。
炭は約30分で塩素化反応が終了した。また、60分以上塩
素化反応をおこなっても原子数比は増加しなかった。
(実施例7;A,高温脱塩素+低温脱塩素、塩素化の塩素濃
度依存性) 乾留炭Aを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。この
とき三つの試料の窒素および塩素の流量(N2(L/min)/
Cl2(L/min))を、それぞれ、0.9/0.1,0.85/0.15,
0.80/0.20とした。次に、三つの試料をそれぞれ窒素
ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で20分間加熱処理
し、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700
℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留
炭の重量はそれぞれ、42.3wt%(0.143),43.1wt
%(0.146),42.6wt%(0.144)増加していた。窒素
吸着量は、14.3cc/g,14.4cc/g,14.2cc/gであっ
た。
度依存性) 乾留炭Aを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。この
とき三つの試料の窒素および塩素の流量(N2(L/min)/
Cl2(L/min))を、それぞれ、0.9/0.1,0.85/0.15,
0.80/0.20とした。次に、三つの試料をそれぞれ窒素
ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で20分間加熱処理
し、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700
℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留
炭の重量はそれぞれ、42.3wt%(0.143),43.1wt
%(0.146),42.6wt%(0.144)増加していた。窒素
吸着量は、14.3cc/g,14.4cc/g,14.2cc/gであっ
た。
塩素濃度を20容量%にしても原子数比は増加しなかっ
た。
た。
(実施例8;A,高温脱塩素+低温脱塩素、窒素中の加熱処
理の温度依存性) 乾留炭Aを原料とする八つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)八つの試料それぞれを、
800℃,900℃,950℃,1000℃,1050℃,1
075℃,1100℃,1200℃の温度で20分間加熱処理し
た。更に、それぞれの試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒
素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素
した。
理の温度依存性) 乾留炭Aを原料とする八つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)八つの試料それぞれを、
800℃,900℃,950℃,1000℃,1050℃,1
075℃,1100℃,1200℃の温度で20分間加熱処理し
た。更に、それぞれの試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒
素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素
した。
窒素吸着量は、12.8cc/g,13.8cc/g,14.1cc/g,
14.3cc/g,14.2cc/g,14.2cc/g,14.0cc/g,13.3
cc/gであった。
14.3cc/g,14.2cc/g,14.2cc/g,14.0cc/g,13.3
cc/gであった。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
6に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
6に示す。
窒素中の加熱処理は800〜1200℃の広い温度範囲で有
効であり、特に、950〜1100℃の温度範囲が最適であっ
た。
効であり、特に、950〜1100℃の温度範囲が最適であっ
た。
(実施例9;A,高温脱塩素+低温脱塩素、水蒸気中の加熱
処理の温度依存性) 乾留炭Aを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)三つの試料それぞれを、
1000℃の温度で20分間加熱処理した。更に、25℃の飽和
水蒸気を含む窒素ガス気流下三つの試料それぞれを65
0℃,700℃,750℃の温度で30分間加熱処理し、脱
塩素した。窒素吸着量は、13.8cc/g,14.2cc/g,1
3.1cc/gであった。
処理の温度依存性) 乾留炭Aを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)三つの試料それぞれを、
1000℃の温度で20分間加熱処理した。更に、25℃の飽和
水蒸気を含む窒素ガス気流下三つの試料それぞれを65
0℃,700℃,750℃の温度で30分間加熱処理し、脱
塩素した。窒素吸着量は、13.8cc/g,14.2cc/g,1
3.1cc/gであった。
本実施例における水蒸気中の加熱処理(低温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
7に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
7に示す。
水蒸気中の加熱処理は650〜750℃の温度範囲で有効で
あった。
あった。
(実施例10;B,低温脱塩素+高温脱塩素) 乾留炭Bを原料とする二つの試料、10g,25gそれ
ぞれを500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/
minを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、それぞれの試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス
気流下(3L/min)700℃の温度で30分間熱処理し(低温
脱塩素処理)、更に、窒素ガス気流下(3L/min)900℃
の温度で30分間加熱処理し(高温脱塩素処理)、脱塩素
した。窒素吸着量は、16.1cc/g,15.1cc/gであっ
た。
ぞれを500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/
minを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、それぞれの試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス
気流下(3L/min)700℃の温度で30分間熱処理し(低温
脱塩素処理)、更に、窒素ガス気流下(3L/min)900℃
の温度で30分間加熱処理し(高温脱塩素処理)、脱塩素
した。窒素吸着量は、16.1cc/g,15.1cc/gであっ
た。
塩素処理の効果は、低温脱塩素処理ののち高温脱塩素
処理を行っても、高温脱塩素処理ののち低温脱塩素処理
を行った場合とほぼ同じであった。
処理を行っても、高温脱塩素処理ののち低温脱塩素処理
を行った場合とほぼ同じであった。
(実施例11;B/C,高温脱塩素+低温脱塩素、乾留炭依存
性) 乾留炭B(15g),乾留炭C(15g)がそれぞれを
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、窒
素ガス気流下(3L/min)二つの試料それぞれを1000℃の
温度で20分間加熱処理した。更に、25℃の飽和水蒸気を
含む窒素ガス気流下二つの試料それぞれを700℃の温度
で30分間加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留炭の重量
は、それぞれ、45.0wt%(0.152),43.0wt%(0.1
45)増加していた。窒素ガス中の脱塩素処理後の重量は
それぞれ−4.3wt%,−4.2wt%減少していた。窒素
吸着量は、16.0cc/g,14.8cc/gであった。酸素吸着
量は、15.2cc/g,14.1cc/gであった。
性) 乾留炭B(15g),乾留炭C(15g)がそれぞれを
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、窒
素ガス気流下(3L/min)二つの試料それぞれを1000℃の
温度で20分間加熱処理した。更に、25℃の飽和水蒸気を
含む窒素ガス気流下二つの試料それぞれを700℃の温度
で30分間加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留炭の重量
は、それぞれ、45.0wt%(0.152),43.0wt%(0.1
45)増加していた。窒素ガス中の脱塩素処理後の重量は
それぞれ−4.3wt%,−4.2wt%減少していた。窒素
吸着量は、16.0cc/g,14.8cc/gであった。酸素吸着
量は、15.2cc/g,14.1cc/gであった。
塩素処理は、やし殻炭、フェノール樹脂の他、フラン
樹脂にも有効であった。
樹脂にも有効であった。
(比較例2;加熱処理のみ/塩化水素処理の効果) 乾留炭A(15g)を窒素ガス0.9L/min(塩素の混合な
し)を流しながら500℃の温度で60分間加熱処理した。
次に、1000℃の温度で20分加熱処理し、更に、700℃で3
0分加熱処理した(試料)。別の乾留炭A(15g)を塩
酸水溶液で充分に酸水洗した後、窒素ガス0.9L/min(塩
素の混合なし)を流しながら900℃の温度で60分間加熱
処理した(試料)。別の乾留炭A(15g)を塩化水素
ガス約0.5L/minを流しながら1000℃の温度で60分間各熱
処理した(試料)。窒素吸着量は、9.1cc/g,9.5c
c/g,10.4cc/gであった。
し)を流しながら500℃の温度で60分間加熱処理した。
次に、1000℃の温度で20分加熱処理し、更に、700℃で3
0分加熱処理した(試料)。別の乾留炭A(15g)を塩
酸水溶液で充分に酸水洗した後、窒素ガス0.9L/min(塩
素の混合なし)を流しながら900℃の温度で60分間加熱
処理した(試料)。別の乾留炭A(15g)を塩化水素
ガス約0.5L/minを流しながら1000℃の温度で60分間各熱
処理した(試料)。窒素吸着量は、9.1cc/g,9.5c
c/g,10.4cc/gであった。
単なる加熱処理、塩化水素処理では塩素処理のような
効果が発現しなかった。
効果が発現しなかった。
(実施例12;A/B,高温脱塩素+低温脱塩素、LPG不完全燃
焼排ガス中の脱塩素処理) 乾留炭A(15g)と乾留炭B(15g)それぞれを、
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、窒
素ガス気流下(3L/min)二つの試料をそれぞれ1000℃の
温度で20分間加熱処理した。更に、二つの試料それぞれ
をLPG不完全燃焼排ガス(約3L/min)中700℃の温度で30
分間加熱処理し、脱塩素した。窒素吸着量は、13.5cc
/g,15.5cc/gであった。
焼排ガス中の脱塩素処理) 乾留炭A(15g)と乾留炭B(15g)それぞれを、
500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを
混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、窒
素ガス気流下(3L/min)二つの試料をそれぞれ1000℃の
温度で20分間加熱処理した。更に、二つの試料それぞれ
をLPG不完全燃焼排ガス(約3L/min)中700℃の温度で30
分間加熱処理し、脱塩素した。窒素吸着量は、13.5cc
/g,15.5cc/gであった。
低温脱塩素処理はLPG不完全燃焼排ガス気流下でも有
効であった。
効であった。
(実施例13;B,高温脱塩素+低温脱塩素、高温脱塩素,
水素化合物依存性) 乾留炭Bを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、三つの試料を窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温
度で20分間加熱処理した。該加熱処理だけで脱塩素した
ものを試料とした。残りの二つの試料のうち一つを試
料とし、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流
下700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素した。残り
の試料は、更に、窒素(0.9L/min)で希釈したメタン
中(0.05L/min)700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩
素した。窒素ガス中の脱塩素処理後の重量は、−4.3wt
%減少していた。窒素吸着量は、15.9cc/g,15.9cc/
g,16.5cc/gであった。
水素化合物依存性) 乾留炭Bを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、三つの試料を窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温
度で20分間加熱処理した。該加熱処理だけで脱塩素した
ものを試料とした。残りの二つの試料のうち一つを試
料とし、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流
下700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素した。残り
の試料は、更に、窒素(0.9L/min)で希釈したメタン
中(0.05L/min)700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩
素した。窒素ガス中の脱塩素処理後の重量は、−4.3wt
%減少していた。窒素吸着量は、15.9cc/g,15.9cc/
g,16.5cc/gであった。
脱塩素処理はメタン雰囲気下でも有効であった。
(実施例14;B,高温脱塩素+低温脱塩素、メタン中の加
熱処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、三つの試料を窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温
度で20分間加熱処理した。更に、窒素(0.9L/min)で希
釈したメタン(0.05L/min)中で、600℃,650℃,
700℃,750℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。脱塩素処理後の重量は、−7.6wt%,−7.9wt
%,−8.6wt%,−9.4wt%減少していた。窒素吸着
量は、15.9cc/g,15.9cc/g,16.2cc/g,15.7cc/g
であった。
熱処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、三つの試料を窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温
度で20分間加熱処理した。更に、窒素(0.9L/min)で希
釈したメタン(0.05L/min)中で、600℃,650℃,
700℃,750℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。脱塩素処理後の重量は、−7.6wt%,−7.9wt
%,−8.6wt%,−9.4wt%減少していた。窒素吸着
量は、15.9cc/g,15.9cc/g,16.2cc/g,15.7cc/g
であった。
本実施例におけるメタン中の加熱処理(低温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
8に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
8に示す。
メタン中の加熱処理は、600〜750℃の範囲で有効であ
った。
った。
(実施例15;B,低温脱塩素、塩素化の温度依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
ものを使用した。
乾留炭Bを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、700℃,900℃,1000℃の温度に加熱し、窒素
0.9L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素
化した(30分)。次に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガ
ス気流下700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。の塩素化乾留炭の重量は9.5wt%(0.032)増加し
ていた。窒素吸着量は(()内は酸素吸着量)、13.1
cc/g,13.2cc/g(14.6cc/g),13.1cc/gであった。
を、700℃,900℃,1000℃の温度に加熱し、窒素
0.9L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素
化した(30分)。次に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガ
ス気流下700℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。の塩素化乾留炭の重量は9.5wt%(0.032)増加し
ていた。窒素吸着量は(()内は酸素吸着量)、13.1
cc/g,13.2cc/g(14.6cc/g),13.1cc/gであった。
本実施例における塩素化処理温度と塩素処理した試料
の窒素吸着量との関係を図9に示す。
の窒素吸着量との関係を図9に示す。
乾留炭Bの場合も、塩素化の温度は700〜1000℃の広
い範囲で有効であった。また、塩素化の程度は、Cl/C=
0.032でも有効であった。
い範囲で有効であった。また、塩素化の程度は、Cl/C=
0.032でも有効であった。
(実施例16;B,低温脱塩素、脱塩素の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする四つの試料(各10g)それぞれ
を500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/min
を混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
イオン交換水3g/minを含む窒素ガス気流下(0.5L/min、
水蒸気濃度は約85容量%)600℃、700℃、800
℃、900℃の温度で30分間加熱処理し、更に、25℃の
飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間
加熱処理し、脱塩素した。塩素化処理中および脱塩素処
理中、検知管により窒素排ガス中に塩化水素があること
を確認した。脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−9.6w
t%,−16.4wt%,−28.8wt%,−49.6wt%減少
していた。窒素吸着量は、12.5cc/g,12.5cc/g,1
2.8cc/g,10.5cc/gであった。
を500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/min
を混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
イオン交換水3g/minを含む窒素ガス気流下(0.5L/min、
水蒸気濃度は約85容量%)600℃、700℃、800
℃、900℃の温度で30分間加熱処理し、更に、25℃の
飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間
加熱処理し、脱塩素した。塩素化処理中および脱塩素処
理中、検知管により窒素排ガス中に塩化水素があること
を確認した。脱塩素処理後の重量はそれぞれ、−9.6w
t%,−16.4wt%,−28.8wt%,−49.6wt%減少
していた。窒素吸着量は、12.5cc/g,12.5cc/g,1
2.8cc/g,10.5cc/gであった。
本実施例における水蒸気中の加熱処理(低温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
10に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
10に示す。
上記低温脱塩素処理は、600〜800℃の温度範囲で有効
であった。900℃以上の温度では通常の賦活作用により
重量が減少し、窒素吸着量が低下した。
であった。900℃以上の温度では通常の賦活作用により
重量が減少し、窒素吸着量が低下した。
(実施例17;B,高温脱塩素+低温脱塩素、塩素化の温度
依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
乾留炭Bを原料とする五つの試料(各15g)それぞれ
を、350℃,400℃,450,500℃,550℃の温度
に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを混合したガス
を流し込み塩素化した(120分)。次に、五つの試料を
それぞれ窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で60分
間加熱処理し、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス
気流下(3L/min)700℃の温度で30分間加熱処理し、脱
塩素した。試料と試料の塩素化乾留炭の重量はそれ
ぞれ、70.0wt%(0.237),29.6wt%(0.100)増加
していた。窒素ガス中の加熱処理後はそれぞれ−7.5w
t%,−7.5wt%減少していた。窒素吸着量(()内は
酸素吸着量)は、16.4cc/g(15.4cc/g),15.2cc/g
(14.6cc/g),15.9cc/g,15.8cc/g,15.8cc/gであ
った。
を、350℃,400℃,450,500℃,550℃の温度
に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/minを混合したガス
を流し込み塩素化した(120分)。次に、五つの試料を
それぞれ窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で60分
間加熱処理し、更に、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス
気流下(3L/min)700℃の温度で30分間加熱処理し、脱
塩素した。試料と試料の塩素化乾留炭の重量はそれ
ぞれ、70.0wt%(0.237),29.6wt%(0.100)増加
していた。窒素ガス中の加熱処理後はそれぞれ−7.5w
t%,−7.5wt%減少していた。窒素吸着量(()内は
酸素吸着量)は、16.4cc/g(15.4cc/g),15.2cc/g
(14.6cc/g),15.9cc/g,15.8cc/g,15.8cc/gであ
った。
本実施例における塩素化処理温度と塩素処理した試料
の窒素吸着量との関係を図11に示す。
の窒素吸着量との関係を図11に示す。
乾留炭Bの場合も、塩素化の温度は350〜550℃の広い
範囲で有効であった。
範囲で有効であった。
(実施例18;B,高温脱塩素/低温脱塩素、窒素中の加熱
処理の温度依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
処理の温度依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
乾留炭Bを原料とする四つの試料(各15g)それぞれ
を、400℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(120分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)四つの試料それぞれを、
900℃,1000℃,1100℃,1200℃の温度で20分
間加熱処理した。更に、それぞれの試料を25℃の飽和水
蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱処
理し、脱塩素した。窒素吸着量は、15.2cc/g,16.4c
c/g,15.8cc/g,15.4cc/gであった。
を、400℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(120分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)四つの試料それぞれを、
900℃,1000℃,1100℃,1200℃の温度で20分
間加熱処理した。更に、それぞれの試料を25℃の飽和水
蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱処
理し、脱塩素した。窒素吸着量は、15.2cc/g,16.4c
c/g,15.8cc/g,15.4cc/gであった。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
12に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
12に示す。
乾留炭Bの場合も、窒素中の加熱処理は900〜1200℃
の広い範囲で有効であり、特に、1000℃の温度が最適で
あった。
の広い範囲で有効であり、特に、1000℃の温度が最適で
あった。
(実施例19;B,高温脱塩素+低温脱塩素、窒素中の加熱
処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする八つの試料(各10g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)八つは試料それぞれを、
600℃,700℃,800℃,900℃,1000℃,11
00℃,1200℃,1300℃の温度で30分間加熱処理し
た。八つの試料を、更に飽和水蒸気雰囲気中600℃の温
度で30分間加熱処理し、脱塩素した。脱塩素処理後の重
量はそれぞれ、−10.0wt%,−10.1wt%,−10.1
wt%,−10.3wt%,−10.6wt%,−11.4wt%,
−11.5wt%,−11.9wt%減少していた。窒素吸着量
は、13.6cc/g,14.2cc/g,15.2cc/g,15.5cc/g,
15.8cc/g,15.7cc/g,15.2cc/g,14.3cc/gであっ
た。
処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする八つの試料(各10g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)八つは試料それぞれを、
600℃,700℃,800℃,900℃,1000℃,11
00℃,1200℃,1300℃の温度で30分間加熱処理し
た。八つの試料を、更に飽和水蒸気雰囲気中600℃の温
度で30分間加熱処理し、脱塩素した。脱塩素処理後の重
量はそれぞれ、−10.0wt%,−10.1wt%,−10.1
wt%,−10.3wt%,−10.6wt%,−11.4wt%,
−11.5wt%,−11.9wt%減少していた。窒素吸着量
は、13.6cc/g,14.2cc/g,15.2cc/g,15.5cc/g,
15.8cc/g,15.7cc/g,15.2cc/g,14.3cc/gであっ
た。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量の関係を図13
に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量の関係を図13
に示す。
窒素中の加熱処理は600〜1300℃の範囲で有効であ
り、特に900〜1100℃の範囲が最適であることがわかっ
た。また、窒素吸着量は乾留温度が550℃で塩素化の温
度が400℃の場合(実施例18)とほぼ同じであった。
り、特に900〜1100℃の範囲が最適であることがわかっ
た。また、窒素吸着量は乾留温度が550℃で塩素化の温
度が400℃の場合(実施例18)とほぼ同じであった。
(実施例20;B,高温脱塩素/低温脱塩素,窒素中の加熱
処理の温度依存性および水とメタンによる脱塩素の比
較) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。これを500℃の温度に加熱し、窒素0.9
L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化
した(60分)。塩素化乾留炭の重量は約45wt%(0.15
2)増加していた。窒素吸着量は、4.5cc/gであった。
この試料を600℃の温度で加熱処理(窒素気流下、以下
まで同じ)すると(試料)、窒素吸着量は7.5cc/
g、乾留炭の重量を記述とする重量増加は28wt%(0.09
5)であった。更に、この試料を700℃の温度で加熱処理
すると(試料)、窒素吸着量は、10.0cc/g、重量増加
は14wt%(0.047)であった。更に、この試料を800℃の
温度で加熱処理すると(試料)、窒素吸着量は13.3cc
/g、重量増加は6.8wt%(0.023)であった。更に、この
試料を900℃の温度で加熱処理すると(試料)、窒素
吸着量は14.2cc/g、重量増加は4.0%wt(0.014)であっ
た。更に、この試料を1000℃の温度で加熱処理すると
(試料)、窒素吸着量は14.6cc/g、重量は−4.3wt%
(−0.015)減少であった。更に、この試料を1100℃の
温度で加熱処理すると(試料)、窒素吸着量は14.5cc
/gであった。更に、この試料を1200℃の温度で加熱処理
すると(試料)窒素吸着量は14.1cc/gであった。更
に、この試料を1300℃の温度で加熱処理すると(試料
)窒素吸着量は13.3cc/gであった。
処理の温度依存性および水とメタンによる脱塩素の比
較) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。これを500℃の温度に加熱し、窒素0.9
L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化
した(60分)。塩素化乾留炭の重量は約45wt%(0.15
2)増加していた。窒素吸着量は、4.5cc/gであった。
この試料を600℃の温度で加熱処理(窒素気流下、以下
まで同じ)すると(試料)、窒素吸着量は7.5cc/
g、乾留炭の重量を記述とする重量増加は28wt%(0.09
5)であった。更に、この試料を700℃の温度で加熱処理
すると(試料)、窒素吸着量は、10.0cc/g、重量増加
は14wt%(0.047)であった。更に、この試料を800℃の
温度で加熱処理すると(試料)、窒素吸着量は13.3cc
/g、重量増加は6.8wt%(0.023)であった。更に、この
試料を900℃の温度で加熱処理すると(試料)、窒素
吸着量は14.2cc/g、重量増加は4.0%wt(0.014)であっ
た。更に、この試料を1000℃の温度で加熱処理すると
(試料)、窒素吸着量は14.6cc/g、重量は−4.3wt%
(−0.015)減少であった。更に、この試料を1100℃の
温度で加熱処理すると(試料)、窒素吸着量は14.5cc
/gであった。更に、この試料を1200℃の温度で加熱処理
すると(試料)窒素吸着量は14.1cc/gであった。更
に、この試料を1300℃の温度で加熱処理すると(試料
)窒素吸着量は13.3cc/gであった。
高温脱塩素は、600〜1300℃の広い温度範囲で有効で
あった。特に800℃〜1300℃の温度範囲では高い窒素吸
着量が得られた。
あった。特に800℃〜1300℃の温度範囲では高い窒素吸
着量が得られた。
次に、前記と同じ塩素化および加熱処理を施した五種
の試料を用意し(試料番号は前記に同じからま
で)、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下500℃
(120分)、とととは同じ600℃の温度(30分)
で加熱処理し、脱塩素した。窒素吸着量は、11.0cc/
g,13.3cc/g,14.3cc/g,15.2cc/g,15.8cc/gであ
った。
の試料を用意し(試料番号は前記に同じからま
で)、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下500℃
(120分)、とととは同じ600℃の温度(30分)
で加熱処理し、脱塩素した。窒素吸着量は、11.0cc/
g,13.3cc/g,14.3cc/g,15.2cc/g,15.8cc/gであ
った。
同様に、前記と同じ塩素化および加熱処理を施した五
種の試料を用意し、窒素(0.9L/min)で希釈したメタン
(0.05L/min)中600℃の温度(30分)で加熱処理し、脱
塩素した。窒素吸着量は、12.0cc/g,13.6cc/g,1
4.2cc/g,15.1cc/g,15.4cc/gであった。
種の試料を用意し、窒素(0.9L/min)で希釈したメタン
(0.05L/min)中600℃の温度(30分)で加熱処理し、脱
塩素した。窒素吸着量は、12.0cc/g,13.6cc/g,1
4.2cc/g,15.1cc/g,15.4cc/gであった。
低温脱塩素における脱塩素のしやすさは、水蒸気でも
メタンでもほぼ同じであった。
メタンでもほぼ同じであった。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
14に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
14に示す。
高温脱塩素処理のみの処理、および、低温脱塩素処理
のみの処理に比べ、高温脱塩素処理の後低温脱塩素を行
う処理の方が高い窒素吸着量が得られることが判った。
また、高温脱塩素処理の後低温脱塩素を行った場合は、
高温脱塩素処理の温度範囲が600℃から800℃未満であっ
ても、充分高い窒素吸着量が得られることがわかった。
のみの処理に比べ、高温脱塩素処理の後低温脱塩素を行
う処理の方が高い窒素吸着量が得られることが判った。
また、高温脱塩素処理の後低温脱塩素を行った場合は、
高温脱塩素処理の温度範囲が600℃から800℃未満であっ
ても、充分高い窒素吸着量が得られることがわかった。
(実施例21;B,低温脱塩素、水蒸気のみによる脱塩素) 乾留炭B(各15g)を400℃の温度に加熱し、窒素0.9L
/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化し
た(120分)。次に、水蒸気のみの雰囲気下800℃の温度
で60分間加熱処理し、脱塩素した。窒素吸着量は、13.0
cc/gであった。
/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素化し
た(120分)。次に、水蒸気のみの雰囲気下800℃の温度
で60分間加熱処理し、脱塩素した。窒素吸着量は、13.0
cc/gであった。
水蒸気を窒素で希釈する必要がなかった。
(実施例22;B,低温脱塩素+高温脱塩素、窒素中の加熱
処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする5つの試料(各10g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、それぞれの試料を、イオン交換水3g/minを含む窒素
ガス気流下(0.5L/min)600℃の温度で30分間加熱処理
し、脱塩素した。次に、窒素ガス気流下(3L/min)五つ
の試料それぞれを、700℃,800℃,900℃,100
0℃、1100℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。窒素吸着量は、13.0cc/g,13.3cc/g,13.7cc/
g,14.0cc/g,13.8cc/gであった。
処理の温度依存性) 乾留炭Bを原料とする5つの試料(各10g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、それぞれの試料を、イオン交換水3g/minを含む窒素
ガス気流下(0.5L/min)600℃の温度で30分間加熱処理
し、脱塩素した。次に、窒素ガス気流下(3L/min)五つ
の試料それぞれを、700℃,800℃,900℃,100
0℃、1100℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素し
た。窒素吸着量は、13.0cc/g,13.3cc/g,13.7cc/
g,14.0cc/g,13.8cc/gであった。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
15に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
15に示す。
低温脱塩素処理の後の窒素中の加熱処理温度は、700
〜1100℃の範囲で有効であることが判った。
〜1100℃の範囲で有効であることが判った。
(実施例23;B,高温脱塩素+低温脱塩素+高温脱塩素) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
ものを使用した。
乾留炭Bの原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/min
を混合したガスを流し込み塩素化した(30分)。次に、
窒素ガス気流下(3L/min)三つの試料それぞれを、60
0℃,700℃,800℃の温度で10分間加熱処理し(高
温脱塩素処理)、脱塩素した。窒素吸着量は、7.5cc/
g,10.0cc/g,13.3cc/gであった。更に、それぞれの
試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下、600
℃,700℃,700℃の温度で15分間加熱処理し(低温
脱塩素処理)、脱塩素した。窒素吸着量は13.6cc/g,
14.2cc/g,15.2cc/gであった。更に、それぞれの試
料を、窒素ガス気流下1000℃の温度で15分間加熱処理し
(高温脱塩素処理)、脱塩素した。窒素吸着量は、1
4.9cc/g,15.3cc/g,15.6cc/gであった。
を500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/min
を混合したガスを流し込み塩素化した(30分)。次に、
窒素ガス気流下(3L/min)三つの試料それぞれを、60
0℃,700℃,800℃の温度で10分間加熱処理し(高
温脱塩素処理)、脱塩素した。窒素吸着量は、7.5cc/
g,10.0cc/g,13.3cc/gであった。更に、それぞれの
試料を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下、600
℃,700℃,700℃の温度で15分間加熱処理し(低温
脱塩素処理)、脱塩素した。窒素吸着量は13.6cc/g,
14.2cc/g,15.2cc/gであった。更に、それぞれの試
料を、窒素ガス気流下1000℃の温度で15分間加熱処理し
(高温脱塩素処理)、脱塩素した。窒素吸着量は、1
4.9cc/g,15.3cc/g,15.6cc/gであった。
本実施例における最初の窒素中の加熱処理(高温脱塩
素処理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係
を図16に示す。
素処理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係
を図16に示す。
脱塩素処理するほど窒素吸着量は増加した。
(実施例24;C,高温脱塩素+低温脱塩素) 乾留炭Cを原料とする二つの試料(各15g)それぞれ
を500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/min
を混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
窒素ガス気流下(3L/min)二つの試料それぞれを800
℃,1000℃の温度で20分間加熱処理した。更に、25℃
の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下二つの試料それぞれ
を700℃の温度で30分間加熱処理し脱塩素化した。窒素
吸着量は、14.1cc/g,14.8cc/gであった。
を500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/min
を混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次に、
窒素ガス気流下(3L/min)二つの試料それぞれを800
℃,1000℃の温度で20分間加熱処理した。更に、25℃
の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下二つの試料それぞれ
を700℃の温度で30分間加熱処理し脱塩素化した。窒素
吸着量は、14.1cc/g,14.8cc/gであった。
本実施例における窒素中の加熱処理(高温脱塩素処
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
17に示す。
理)温度と塩素処理した試料の窒素吸着量との関係を図
17に示す。
フラン樹脂においても、窒素中の加熱処理は800〜100
0℃の温度範囲で有効であった。
0℃の温度範囲で有効であった。
(実施例25;B,塩素処理と賦活処理の比較、細孔容積と
比表面積) 乾留炭B(試料)、乾留炭Bを賦活処理したもの
(試料)、乾留炭Bを塩素処理したもの(試料)の
細孔容積とBET比表面積を判定した。試料は、乾留炭
Bを窒素中900℃の温度で加熱処理した後、二酸化炭素
中900℃の温度で20分間賦活して得た(賦活収率80
%)。実施例11で製造した試料を試料とした。細孔
容積は、0.18cm3/g,0.30cm3/g,0.33cm3/g,BET比
表面積は、1000m2/g,800m2/gであった。また、25℃
におけるベンゼンの飽和吸着量は、0.26g/g,0.29g/
gであった。の窒素吸着量は11.5cc/gであった。
比表面積) 乾留炭B(試料)、乾留炭Bを賦活処理したもの
(試料)、乾留炭Bを塩素処理したもの(試料)の
細孔容積とBET比表面積を判定した。試料は、乾留炭
Bを窒素中900℃の温度で加熱処理した後、二酸化炭素
中900℃の温度で20分間賦活して得た(賦活収率80
%)。実施例11で製造した試料を試料とした。細孔
容積は、0.18cm3/g,0.30cm3/g,0.33cm3/g,BET比
表面積は、1000m2/g,800m2/gであった。また、25℃
におけるベンゼンの飽和吸着量は、0.26g/g,0.29g/
gであった。の窒素吸着量は11.5cc/gであった。
塩素処理した炭素材は、賦活処理した炭素材より、細
孔容積はやや大きいが、比表面積は小さいことが判っ
た。塩素処理は、細孔を形成する作用を果たすことが判
った。また、窒素より分子径の大きいベンゼンの吸着量
はほぼ同じ値であった。
孔容積はやや大きいが、比表面積は小さいことが判っ
た。塩素処理は、細孔を形成する作用を果たすことが判
った。また、窒素より分子径の大きいベンゼンの吸着量
はほぼ同じ値であった。
(静電容量の測定) 塩化ビニル樹脂製型枠(25φ×2t mm)に、ペースト
状の炭素材(数μmに粉砕した炭素に30wt%硫酸水溶液
を加えたもの)を入れたものを二個用意し、これらをポ
リプロピレン製セパレーターをはさんで向かい合わせに
重ね、両側から白金製の集電極を挟み込み、図18に示す
ような静電容量測定セルを作製した。図18中、符号11は
炭素電極、符号12はガスケット、符号13は集電極、符号
14はセパレーターである。静電容量Cは、充電後、一定
電流Iで放電し、電圧V1からV2まで低下する時間Δtを
測定し、次式により求めた。
状の炭素材(数μmに粉砕した炭素に30wt%硫酸水溶液
を加えたもの)を入れたものを二個用意し、これらをポ
リプロピレン製セパレーターをはさんで向かい合わせに
重ね、両側から白金製の集電極を挟み込み、図18に示す
ような静電容量測定セルを作製した。図18中、符号11は
炭素電極、符号12はガスケット、符号13は集電極、符号
14はセパレーターである。静電容量Cは、充電後、一定
電流Iで放電し、電圧V1からV2まで低下する時間Δtを
測定し、次式により求めた。
C=I×Δt/(V1−V2) 本測定では、900mVで24時間充電した後、定電流放電
(I=4mA/cm2)し、V1=540mVからV2=360mVまで電圧
が降下するときの時間を測定して静電容量を求めた。
(I=4mA/cm2)し、V1=540mVからV2=360mVまで電圧
が降下するときの時間を測定して静電容量を求めた。
(比較例3;二酸化炭素賦活) 乾留炭Bを900℃の温度で加熱処理し(15分)、次い
で、900℃の温度で似酸化炭素賦活した(二酸化炭素雰
囲気下)。賦活時間を110分(賦活収率81.0%)、1
90分(賦活収率69.6%,)、300分(賦活収率57.5
%)、345分(賦活収率50.9%)として4種の試料を
作製した(賦活収率=賦活後の乾留炭重量/賦活前の乾
留炭重量)。4種の試料の比表面積は、990m2/g,13
70m2/g,1750m2/g,1920m2/g、また、細孔容積は、
0.33cm3/g,0.45cm3/g,0.60cm3/g,0.70cm3/gであ
った。これらを、それぞれ、数ミクロンに粉砕し、30wt
%硫酸水溶液を加えてペースト状にしたものを2週間放
置した。静電容量は、49.6F/cm3,51.6F/cm3,45.7
F/cm3,45.7F/cm3であった。ここで、Fはファラッド
(Farad)を、cm3は炭素電極11の体積(正極と負極の合
計)を表す。
で、900℃の温度で似酸化炭素賦活した(二酸化炭素雰
囲気下)。賦活時間を110分(賦活収率81.0%)、1
90分(賦活収率69.6%,)、300分(賦活収率57.5
%)、345分(賦活収率50.9%)として4種の試料を
作製した(賦活収率=賦活後の乾留炭重量/賦活前の乾
留炭重量)。4種の試料の比表面積は、990m2/g,13
70m2/g,1750m2/g,1920m2/g、また、細孔容積は、
0.33cm3/g,0.45cm3/g,0.60cm3/g,0.70cm3/gであ
った。これらを、それぞれ、数ミクロンに粉砕し、30wt
%硫酸水溶液を加えてペースト状にしたものを2週間放
置した。静電容量は、49.6F/cm3,51.6F/cm3,45.7
F/cm3,45.7F/cm3であった。ここで、Fはファラッド
(Farad)を、cm3は炭素電極11の体積(正極と負極の合
計)を表す。
賦活収率が低いほど、比表面積および細孔容積は増加
したが、静電容量は減少した。静電容量は最大で51.4F/
cm3であった。
したが、静電容量は減少した。静電容量は最大で51.4F/
cm3であった。
(比較例4;水蒸気賦活) 乾留炭Bを900℃の温度で加熱処理し(15分)、次い
で、800℃の温度で水蒸気賦活した。水蒸気賦活は、800
℃の飽和水蒸気を6.5L/min流すことにより行った。賦活
時間を60分(賦活収率77.0%)、90分(賦活収率6
8.6%,)、143分(賦活収率55.1%)として3種の試
料を作製した。3種の試料の比表面積は、1120m2/g,
1380m2/g,1810m2/g、また、細孔容積は、0.35cm3
/g,0.43cm3/g,0.58cm3/gであった。これを、それぞ
れ、数ミクロンに粉砕し、30wt%硫酸水溶液に加えてペ
ースト状にしたものを2週間放置した。静電容量は、
37.8F/cm3,34.6F/cm3,33.6F/cm3であった。
で、800℃の温度で水蒸気賦活した。水蒸気賦活は、800
℃の飽和水蒸気を6.5L/min流すことにより行った。賦活
時間を60分(賦活収率77.0%)、90分(賦活収率6
8.6%,)、143分(賦活収率55.1%)として3種の試
料を作製した。3種の試料の比表面積は、1120m2/g,
1380m2/g,1810m2/g、また、細孔容積は、0.35cm3
/g,0.43cm3/g,0.58cm3/gであった。これを、それぞ
れ、数ミクロンに粉砕し、30wt%硫酸水溶液に加えてペ
ースト状にしたものを2週間放置した。静電容量は、
37.8F/cm3,34.6F/cm3,33.6F/cm3であった。
賦活収率が低いほど、比表面積および細孔容積は増加
したが、静電容量は減少した。静電容量は最大で37.8F/
cm3であった。
したが、静電容量は減少した。静電容量は最大で37.8F/
cm3であった。
(実施例26;B,塩素化の温度依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
ものを使用した。
乾留炭Bを原料とする三つの試料(各15g)それぞれ
を、550℃,600℃,650℃の温度に加熱し、窒素
1.0L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素
化した(120分)。次に、三つの試料をそれぞれ窒素ガ
ス気流下(3L/min)750℃の温度で15分間加熱処理し、
更に、イオン交換水3g/minを含む窒素ガス気流下(0.5L
/min、水蒸気濃度は約85容量%)700℃の温度で15分間
加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留炭の重量はそれぞ
れ、25.0wt%(0.084),18.5wt%(0.062),1
2.0wt%(0.041)それぞれ重量増加していた。窒素ガス
中の脱塩素処理後の重量はそれぞれ、4.6wt%(0.01
6),4.3wt%(0.015),2.8wt%(0.009)重量増
加していた。静電容量は、79.0F/cm3,74.5F/cm3,
75.4F/cm3であった。
を、550℃,600℃,650℃の温度に加熱し、窒素
1.0L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流し込み塩素
化した(120分)。次に、三つの試料をそれぞれ窒素ガ
ス気流下(3L/min)750℃の温度で15分間加熱処理し、
更に、イオン交換水3g/minを含む窒素ガス気流下(0.5L
/min、水蒸気濃度は約85容量%)700℃の温度で15分間
加熱処理し、脱塩素した。塩素化乾留炭の重量はそれぞ
れ、25.0wt%(0.084),18.5wt%(0.062),1
2.0wt%(0.041)それぞれ重量増加していた。窒素ガス
中の脱塩素処理後の重量はそれぞれ、4.6wt%(0.01
6),4.3wt%(0.015),2.8wt%(0.009)重量増
加していた。静電容量は、79.0F/cm3,74.5F/cm3,
75.4F/cm3であった。
塩素処理した炭素材の静電容量は、二酸化炭素賦活処
理した炭素材より25〜30F/cm3(50〜60%増)も大きか
った。塩素化の温度は550〜650℃の広い範囲で有効であ
った。
理した炭素材より25〜30F/cm3(50〜60%増)も大きか
った。塩素化の温度は550〜650℃の広い範囲で有効であ
った。
(実施例27;B,窒素中の加熱処理の温度依存性) 本実施例の乾留炭Bは、600℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。
ものを使用した。
乾留炭Bを原料とする五つの試料(各15g)それぞれ
を、550℃の温度に加熱し、窒素1.0L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(120分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)五つの試料それぞれを、
650℃,700℃,750℃,800℃,850℃の温度
で15分間加熱処理した。更に、イオン交換水3g/minを含
む窒素ガス気流下(0.5L/min)700℃の温度で15分間加
熱処理し、脱塩素した。5種の試料の比表面積は、78
0m2/g,790m2/g,790m2/g,830m2/g,860m2/g、ま
た、細孔容積は、0.31cm3/g,0.32cm3/g,0.33cm3/
g,0.33cm3/g,0.33cm3/gであった。静電容量は、8
0.5F/cm3,79.0F/cm3,78.5F/cm3,76.5F/cm3,75.
0F/cm3であった。
を、550℃の温度に加熱し、窒素1.0L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(120分)。次
に、窒素ガス気流下(3L/min)五つの試料それぞれを、
650℃,700℃,750℃,800℃,850℃の温度
で15分間加熱処理した。更に、イオン交換水3g/minを含
む窒素ガス気流下(0.5L/min)700℃の温度で15分間加
熱処理し、脱塩素した。5種の試料の比表面積は、78
0m2/g,790m2/g,790m2/g,830m2/g,860m2/g、ま
た、細孔容積は、0.31cm3/g,0.32cm3/g,0.33cm3/
g,0.33cm3/g,0.33cm3/gであった。静電容量は、8
0.5F/cm3,79.0F/cm3,78.5F/cm3,76.5F/cm3,75.
0F/cm3であった。
塩素処理した炭素材の静電容量は、二酸化炭素賦活処
理した炭素材より25〜30F/cm3(50〜60%増)も大きか
った。窒素中の加熱処理温度は650〜850℃の広い範囲で
有効であった。
理した炭素材より25〜30F/cm3(50〜60%増)も大きか
った。窒素中の加熱処理温度は650〜850℃の広い範囲で
有効であった。
比較例3、比較例4、実施例26、および実施例27の結
果を表7に示す。
果を表7に示す。
(実施例28;B,X線光電子分光測定) 本実施例の乾留炭Bは、800℃の温度で乾留して得た
ものを使用した。原料乾留炭の一部を試料とした。乾
留炭B(30g)を、550℃の温度に加熱し、窒素2.0L/min
に塩素0.5L/minを混合したガスを流し込み塩素化した
(120分)。得られた塩素化乾留炭を三つに分け、二つ
を試料および試料とした(試料と試料は同
一)。残りの塩素化乾留炭を、窒素ガス気流下(3L/mi
n)1000℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素した。得
られた炭素材(一部脱塩素されている)を二つに分け、
一つを試料とした。残りの炭素材を、25℃の飽和水蒸
気を含む窒素ガス気流下(3L/min)700℃の温度で30分
間加熱処理し、脱塩素した。得られた炭素材(ほぼ完全
に脱塩素されている)を試料とした。塩素化乾留炭の
重量を測定すると、塩素化処理前の重量を基準として、
24.6wt%(0.083)重量増加していた。窒素ガス中の脱
塩素処理後の重量は、塩素化処理前の重量を基準とし
て、2.6wt%(0.009)重量増加していた。水蒸気中の脱
塩素処理後の重量は、塩素化処理前の重量を基準とし
て、−4.6wt%重量減少していた。五つの試料のX線光
電子分光分析(ULVAC PHI社製 MODEL−500)を行い、
炭素(C)、塩素(Cl)、酸素(O)の結合エネルギー
と元素比を測定した。水素など、前記三つの元素以外の
元素は無視した。測定用試料は、乳鉢で粉砕し、粘着テ
ープに薄く付着させて作製した。10-8mmHgの真空下、最
初の3分間でWide Scan(0〜1100eV)により全元素の
定性を行い、続いて、計30分間で各元素のピーク積算
(Narrow Scan)を行った。X線源は、MgのKα線を用
いた(hν=1253eV)。測定結果を表8に示す。表8
中、結合エネルギーの単位は(eV)、元素組成の単位は
原子分率(atom%)である。また、C1S,O1S,Cl2Pの右下
の添え字は、電子の主量子数と方位量子数を表す。
ものを使用した。原料乾留炭の一部を試料とした。乾
留炭B(30g)を、550℃の温度に加熱し、窒素2.0L/min
に塩素0.5L/minを混合したガスを流し込み塩素化した
(120分)。得られた塩素化乾留炭を三つに分け、二つ
を試料および試料とした(試料と試料は同
一)。残りの塩素化乾留炭を、窒素ガス気流下(3L/mi
n)1000℃の温度で30分間加熱処理し、脱塩素した。得
られた炭素材(一部脱塩素されている)を二つに分け、
一つを試料とした。残りの炭素材を、25℃の飽和水蒸
気を含む窒素ガス気流下(3L/min)700℃の温度で30分
間加熱処理し、脱塩素した。得られた炭素材(ほぼ完全
に脱塩素されている)を試料とした。塩素化乾留炭の
重量を測定すると、塩素化処理前の重量を基準として、
24.6wt%(0.083)重量増加していた。窒素ガス中の脱
塩素処理後の重量は、塩素化処理前の重量を基準とし
て、2.6wt%(0.009)重量増加していた。水蒸気中の脱
塩素処理後の重量は、塩素化処理前の重量を基準とし
て、−4.6wt%重量減少していた。五つの試料のX線光
電子分光分析(ULVAC PHI社製 MODEL−500)を行い、
炭素(C)、塩素(Cl)、酸素(O)の結合エネルギー
と元素比を測定した。水素など、前記三つの元素以外の
元素は無視した。測定用試料は、乳鉢で粉砕し、粘着テ
ープに薄く付着させて作製した。10-8mmHgの真空下、最
初の3分間でWide Scan(0〜1100eV)により全元素の
定性を行い、続いて、計30分間で各元素のピーク積算
(Narrow Scan)を行った。X線源は、MgのKα線を用
いた(hν=1253eV)。測定結果を表8に示す。表8
中、結合エネルギーの単位は(eV)、元素組成の単位は
原子分率(atom%)である。また、C1S,O1S,Cl2Pの右下
の添え字は、電子の主量子数と方位量子数を表す。
C1Sスペクトルのピークトップは、いずれの試料も、2
84.2〜284.3eVであり、グラファイト炭素のC1S結合エネ
ルギーと一致していた。試料のC1Sスペクトルの波形
分離を行うと、未組織炭素(グラファイト炭素以外の炭
素)が約30%、グラファイト構造の炭素が約70%であっ
た。表9に結果を示す。
84.2〜284.3eVであり、グラファイト炭素のC1S結合エネ
ルギーと一致していた。試料のC1Sスペクトルの波形
分離を行うと、未組織炭素(グラファイト炭素以外の炭
素)が約30%、グラファイト構造の炭素が約70%であっ
た。表9に結果を示す。
窒素ガス気流下での加熱温度を、試料は800℃、試
料は1200℃とした他は上記と同じ条件で試料を作製
し、X線光電子分光測定をおこなったところ、グラファ
イト構造の炭素が、試料では約67.9%、試料では約
72.4%であった。
料は1200℃とした他は上記と同じ条件で試料を作製
し、X線光電子分光測定をおこなったところ、グラファ
イト構造の炭素が、試料では約67.9%、試料では約
72.4%であった。
表8の元素組成から酸素と炭素の原子数比および塩素
と炭素の原子数比を求めると、表10の結果となった。表
10には重量変化から求めた塩素と炭素の原子数比も併せ
て示した。
と炭素の原子数比を求めると、表10の結果となった。表
10には重量変化から求めた塩素と炭素の原子数比も併せ
て示した。
酸素と炭素の原子数比は、活性炭の文献値O/C=0.06
〜0.09(北川他、「活性炭工業」53ページおよび58ペー
ジ、重化学工業通信社(昭和50年))とほぼ同じ値であ
った。試料の塩素と炭素の原子数比は、X線光電子分
光測定値と重量変化から求めた値はほぼ一致した。試料
の塩素と炭素の原子数比が一致していないのは、揮発
性成分または炭素の損失があるためと考えられる。未組
織炭素と反応した塩素は、窒素中の加熱処理により約80
%が脱塩素され、水蒸気中の加熱処理により残りの約20
%が脱塩素されることが判った。前記実施例の結果か
ら、完全に脱塩素されていなくても本発明の硬化が発現
することが判った。
〜0.09(北川他、「活性炭工業」53ページおよび58ペー
ジ、重化学工業通信社(昭和50年))とほぼ同じ値であ
った。試料の塩素と炭素の原子数比は、X線光電子分
光測定値と重量変化から求めた値はほぼ一致した。試料
の塩素と炭素の原子数比が一致していないのは、揮発
性成分または炭素の損失があるためと考えられる。未組
織炭素と反応した塩素は、窒素中の加熱処理により約80
%が脱塩素され、水蒸気中の加熱処理により残りの約20
%が脱塩素されることが判った。前記実施例の結果か
ら、完全に脱塩素されていなくても本発明の硬化が発現
することが判った。
(実施例29;水およびメタン中で脱塩素するときの重量
変化) 乾留炭Bを原料とする二つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、二つの試料を窒素ガス気流下(3L/min)800℃の温
度で30分間加熱処理し、脱塩素した。このときの重量を
基準として(100%)、水素化合物中の脱塩素と再塩素
化を3回半繰り返し、それぞれの重量変化を測定した。
試料は、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下(3L
/min)700℃の温度で30分間加熱処理し、試料は、窒
素(0.9L/min)で希釈したメタン(0.05L/min)中700℃
の温度で30分間加熱処理し、それぞれ脱塩素した。再塩
素化は、初回の塩素化と同じ条件で行った。二つの試料
の重量変化は、100%→88.7%(脱塩素)→99.1%
(塩素化)→85.3%(脱塩素)→95.5%(塩素化)→8
0.8%(脱塩素)→91.9%(塩素化)→77.5%(脱塩
素)、100%→93.7%(脱塩素)→102.7%(塩素化)
→98.1%(脱塩素)→102.1%(塩素化)→98.3%(脱
塩素)→101.5%(塩素化)→98.9%(脱塩素)であっ
た。
変化) 乾留炭Bを原料とする二つの試料(各15g)それぞれ
を、500℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素0.1L/mi
nを混合したガスを流し込み塩素化した(60分)。次
に、二つの試料を窒素ガス気流下(3L/min)800℃の温
度で30分間加熱処理し、脱塩素した。このときの重量を
基準として(100%)、水素化合物中の脱塩素と再塩素
化を3回半繰り返し、それぞれの重量変化を測定した。
試料は、25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下(3L
/min)700℃の温度で30分間加熱処理し、試料は、窒
素(0.9L/min)で希釈したメタン(0.05L/min)中700℃
の温度で30分間加熱処理し、それぞれ脱塩素した。再塩
素化は、初回の塩素化と同じ条件で行った。二つの試料
の重量変化は、100%→88.7%(脱塩素)→99.1%
(塩素化)→85.3%(脱塩素)→95.5%(塩素化)→8
0.8%(脱塩素)→91.9%(塩素化)→77.5%(脱塩
素)、100%→93.7%(脱塩素)→102.7%(塩素化)
→98.1%(脱塩素)→102.1%(塩素化)→98.3%(脱
塩素)→101.5%(塩素化)→98.9%(脱塩素)であっ
た。
メタン中で脱塩素した試料は、脱塩素と再塩素化を
3回半繰り返しても、脱塩素後の重量はほぼ一定であっ
たが、水蒸気中で脱塩素した試料は、脱塩素と再塩素
化を1回行う毎に、脱塩素後の重量は平均14.2%減少し
ていた。また、再塩素化後の重量は、直前に脱塩素処理
したものより、平均約10.5%増加していた。脱塩素後の
重量減少は、塩素が結合していた炭素原子のみがガス化
(−C−C−Cl→−C−H)したときの重量減少に相当
することが判った(10.5×(1−35.5−12)/(35.5−
1)=−14.2)。
3回半繰り返しても、脱塩素後の重量はほぼ一定であっ
たが、水蒸気中で脱塩素した試料は、脱塩素と再塩素
化を1回行う毎に、脱塩素後の重量は平均14.2%減少し
ていた。また、再塩素化後の重量は、直前に脱塩素処理
したものより、平均約10.5%増加していた。脱塩素後の
重量減少は、塩素が結合していた炭素原子のみがガス化
(−C−C−Cl→−C−H)したときの重量減少に相当
することが判った(10.5×(1−35.5−12)/(35.5−
1)=−14.2)。
(実施例30;臭素処理、窒素吸着量) 乾留炭Bをさらに600℃で30分間乾留した。8wt%の臭
素を含む窒素ガス気流下(1L/min)三つの試料(各15
g)を、試料は500℃で3時間、試料は600℃で2時
間、試料は700℃で1時間加熱して臭素化処理し、臭
素化乾留炭にした。次に、臭素化乾留炭を、窒素ガス気
流下(3L/min)、1000℃で、30分間加熱して脱臭素処理
した。さらに、この脱臭素処理炭を3g/minの水蒸気を含
む窒素ガス気流下(1L/min)、700℃で、15分間加熱し
て脱臭素処理した。
素を含む窒素ガス気流下(1L/min)三つの試料(各15
g)を、試料は500℃で3時間、試料は600℃で2時
間、試料は700℃で1時間加熱して臭素化処理し、臭
素化乾留炭にした。次に、臭素化乾留炭を、窒素ガス気
流下(3L/min)、1000℃で、30分間加熱して脱臭素処理
した。さらに、この脱臭素処理炭を3g/minの水蒸気を含
む窒素ガス気流下(1L/min)、700℃で、15分間加熱し
て脱臭素処理した。
臭素化処理における乾留炭の臭素反応量は、61.7wt
%(0.093)、20.0wt%(0.030)、8.5wt%(0.01
3)であった。ここで、臭素反応量は、臭素化処理にお
ける重量増加を臭素の反応量とし、臭素化処理前の重量
を炭素の重量として、臭素重量÷炭素重量(wt%)で表
した。()内の数値は臭素/炭素原子数比(Br/C)に換
算した値である。
%(0.093)、20.0wt%(0.030)、8.5wt%(0.01
3)であった。ここで、臭素反応量は、臭素化処理にお
ける重量増加を臭素の反応量とし、臭素化処理前の重量
を炭素の重量として、臭素重量÷炭素重量(wt%)で表
した。()内の数値は臭素/炭素原子数比(Br/C)に換
算した値である。
上記の臭素処理炭の窒素吸着量を測定したところ、25
℃、1気圧で、18.0cc/g、16.6cc/g、15.0cc/gで
あった。
℃、1気圧で、18.0cc/g、16.6cc/g、15.0cc/gで
あった。
また、試料の比表面積は800m2/g、細孔容積は0.31c
m3/gであり、試料の比表面積は670m2/g、細孔容積は
0.27cm3/gであった。
m3/gであり、試料の比表面積は670m2/g、細孔容積は
0.27cm3/gであった。
(実施例31;臭素処理、静電容量) 乾留炭Bをさらに600℃で30分間乾留した。この乾留
炭15gを、8wt%の臭素を含む窒素ガス気流下(1L/min)
500℃で、30分間加熱して臭素化処理し、臭素化乾留炭
にした。次に、臭素化乾留炭を、窒素ガス気流下(3L/m
in)800℃で、15分間加熱して脱臭素処理した。さらに
この脱臭素処理炭を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気
流下(1L/min)700℃で、15分間加熱して脱臭素処理し
た。
炭15gを、8wt%の臭素を含む窒素ガス気流下(1L/min)
500℃で、30分間加熱して臭素化処理し、臭素化乾留炭
にした。次に、臭素化乾留炭を、窒素ガス気流下(3L/m
in)800℃で、15分間加熱して脱臭素処理した。さらに
この脱臭素処理炭を25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気
流下(1L/min)700℃で、15分間加熱して脱臭素処理し
た。
上記臭素処理炭の静電容量は、77.5F/cm3であった。
(実施例32;二酸化炭素の吸着) フィリッピン産やし殻炭を微粉砕し、コールタールを
バインダーとして2mm×5〜6mmのペレットに成形し、窒
素ガス気流下で600℃乾留し、乾留炭を得た。この乾留
炭(15g)を550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素
0.1L/minを混合したガスを流して塩素化した(60分)。
次に窒素ガス気流下(3L/miN)1000℃の温度で60分間加
熱して、脱塩素処理した。さらに25℃の飽和水蒸気を含
む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱して脱塩素
処理した。この塩素処理炭の似酸化炭素の吸着量を測定
したところ、25℃、1気圧で、80.1cc/gであった。
バインダーとして2mm×5〜6mmのペレットに成形し、窒
素ガス気流下で600℃乾留し、乾留炭を得た。この乾留
炭(15g)を550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩素
0.1L/minを混合したガスを流して塩素化した(60分)。
次に窒素ガス気流下(3L/miN)1000℃の温度で60分間加
熱して、脱塩素処理した。さらに25℃の飽和水蒸気を含
む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱して脱塩素
処理した。この塩素処理炭の似酸化炭素の吸着量を測定
したところ、25℃、1気圧で、80.1cc/gであった。
フェノール樹脂(群栄化学工業(株)製PGA4560、商
品名レヂトップ)を160℃で硬化させ、微粉砕した後、
レヂトップをバインダーとして2mm×5〜6mmのペレット
に成形し、窒素ガス気流下で600℃で乾留し、乾留炭を
得た。この乾留炭(15g)を500℃の温度に加熱し、窒素
0.9L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流して塩素化
した(60分)。次に窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の
温度で60分間加熱して脱塩素処理した。さらに25℃の飽
和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加
熱して脱塩素処理した。この塩素処理炭の二酸化炭素の
吸着量を測定したところ、25℃、1気圧で、87.0cc/gで
あった。
品名レヂトップ)を160℃で硬化させ、微粉砕した後、
レヂトップをバインダーとして2mm×5〜6mmのペレット
に成形し、窒素ガス気流下で600℃で乾留し、乾留炭を
得た。この乾留炭(15g)を500℃の温度に加熱し、窒素
0.9L/minに塩素0.1L/minを混合したガスを流して塩素化
した(60分)。次に窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の
温度で60分間加熱して脱塩素処理した。さらに25℃の飽
和水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加
熱して脱塩素処理した。この塩素処理炭の二酸化炭素の
吸着量を測定したところ、25℃、1気圧で、87.0cc/gで
あった。
比較のために市販の活性炭(武田薬品(株)製、粒状
白鷺)の二酸化炭素の吸着量を測定したところ、25℃、
1気圧で、50.2cc/gであった。すなわち、市販品に対し
本発明の炭素材の二酸化炭素の吸着量は、およそ、60〜
73%多かった。
白鷺)の二酸化炭素の吸着量を測定したところ、25℃、
1気圧で、50.2cc/gであった。すなわち、市販品に対し
本発明の炭素材の二酸化炭素の吸着量は、およそ、60〜
73%多かった。
(実施例33;メタンの吸着) フィリッピン産やし殻炭を微粉砕し、コールタールを
バインダーとして2mm×5〜6mmのペレットに成形し、窒
素ガス気流下で600℃で乾留し、乾留炭を得た。この乾
留炭(15g)を550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩
素0.1L/minを混合したガスを流して塩素化した(60
分)。次に窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で60
分間加熱して、脱塩素処理した。さらに25℃の飽和水蒸
気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱して
脱塩素処理した。この塩素処理炭のメタン吸着量を測定
したところ、25℃、1気圧で、30.9cc/gであった。
バインダーとして2mm×5〜6mmのペレットに成形し、窒
素ガス気流下で600℃で乾留し、乾留炭を得た。この乾
留炭(15g)を550℃の温度に加熱し、窒素0.9L/minに塩
素0.1L/minを混合したガスを流して塩素化した(60
分)。次に窒素ガス気流下(3L/min)1000℃の温度で60
分間加熱して、脱塩素処理した。さらに25℃の飽和水蒸
気を含む窒素ガス気流下700℃の温度で30分間加熱して
脱塩素処理した。この塩素処理炭のメタン吸着量を測定
したところ、25℃、1気圧で、30.9cc/gであった。
比較のために市販の活性炭(武田薬品(株)製、粒状
白鷺)のメタンの吸着量を測定したところ、25℃、1気
圧で、21.9cc/gであった。すなわち、市販品に対し本発
明の炭素材のメタン吸着量は、およそ、41%多かった。
白鷺)のメタンの吸着量を測定したところ、25℃、1気
圧で、21.9cc/gであった。すなわち、市販品に対し本発
明の炭素材のメタン吸着量は、およそ、41%多かった。
(実施例34;塩素の化学分析) 酸素フラスコ燃焼法により行った。すなわち、内容積
500mlの燃焼フラスコの白金バスケットに約10mgの炭素
試料を入れ、フラスコには吸収液(水酸化ナトリウム水
溶液0.04mol/L)5mlを入れ、フラスコ内を酸素ガスで置
換し、点火後速やかに密栓して炭素試料を燃焼した。吸
収液を硝酸水溶液で酸性にした後、ジフェニルカルバゾ
ールを指示薬として、硝酸水銀で滴定し、塩素を定量し
た。
500mlの燃焼フラスコの白金バスケットに約10mgの炭素
試料を入れ、フラスコには吸収液(水酸化ナトリウム水
溶液0.04mol/L)5mlを入れ、フラスコ内を酸素ガスで置
換し、点火後速やかに密栓して炭素試料を燃焼した。吸
収液を硝酸水溶液で酸性にした後、ジフェニルカルバゾ
ールを指示薬として、硝酸水銀で滴定し、塩素を定量し
た。
炭素材試料は以下の方法で作製した(各15g)。乾留
炭Bをさらに600℃で30分間乾留した。乾留炭の三つの
試料を、塩素ガス(0.1L/min)と窒素ガス(0.9L/min)
の混合ガス気流下、試料は500℃、試料は600℃、試
料は700℃で1時間加熱し塩素化処理した。塩素化処
理前の重量に対する塩素化処理後の重量増加を反応量と
すると塩素化処理炭の塩素量は71.0wt%(0.241)、
43.0wt%(0.146)、25.9wt%(0.088)であった。
塩素化処理炭の塩素含有量の化学分析値は、56.3wt%
(0.191)、25.5wt%(0.086)、16.2wt%(0.05
5)であった。両者の数値に差があるのは、塩素化処理
において、炭素の減少があったからである。なお、ここ
での数値は、塩素重量÷炭素重量×100(wt%)であ
り、()内の数値は塩素の炭素に対する原子数比(Cl/
C)である。
炭Bをさらに600℃で30分間乾留した。乾留炭の三つの
試料を、塩素ガス(0.1L/min)と窒素ガス(0.9L/min)
の混合ガス気流下、試料は500℃、試料は600℃、試
料は700℃で1時間加熱し塩素化処理した。塩素化処
理前の重量に対する塩素化処理後の重量増加を反応量と
すると塩素化処理炭の塩素量は71.0wt%(0.241)、
43.0wt%(0.146)、25.9wt%(0.088)であった。
塩素化処理炭の塩素含有量の化学分析値は、56.3wt%
(0.191)、25.5wt%(0.086)、16.2wt%(0.05
5)であった。両者の数値に差があるのは、塩素化処理
において、炭素の減少があったからである。なお、ここ
での数値は、塩素重量÷炭素重量×100(wt%)であ
り、()内の数値は塩素の炭素に対する原子数比(Cl/
C)である。
乾留炭Bをさらに600℃で30分間乾留した乾留炭を、
塩素ガス(0.1L/min)と窒素ガス(0.9L/min)の混合ガ
ス気流下、500℃で1時間加熱して塩素化処理した。こ
の塩素化乾留炭各15gを、試料は800℃、試料は1000
℃、試料は1200℃の温度で窒素気流下(3L/min)で加
熱し、脱塩素処理した。脱塩素処理前の重量に対する脱
塩素処理後の重量の減少を塩素の減少量とし、塩素化処
理炭の塩素量から差し引いた値を脱塩素処理炭の塩素量
とすると、19.8wt%(0.067)、7.5wt%(0.02
5)、2.1wt%(0.007)であった。脱塩素処理炭の塩
素含有量の化学分析値は、15.8wt%(0.054)、6.6
wt%(0.022)、0.8wt%(0.003)であった。両者の
数値に差があるのは、脱塩素処理において炭素の減少が
あったからである。なお、ここでの数値は、塩素重量÷
炭素重量×100(wt%)であり、()内の数値は塩素の
炭素に対する原子数比(Cl/C)である。
塩素ガス(0.1L/min)と窒素ガス(0.9L/min)の混合ガ
ス気流下、500℃で1時間加熱して塩素化処理した。こ
の塩素化乾留炭各15gを、試料は800℃、試料は1000
℃、試料は1200℃の温度で窒素気流下(3L/min)で加
熱し、脱塩素処理した。脱塩素処理前の重量に対する脱
塩素処理後の重量の減少を塩素の減少量とし、塩素化処
理炭の塩素量から差し引いた値を脱塩素処理炭の塩素量
とすると、19.8wt%(0.067)、7.5wt%(0.02
5)、2.1wt%(0.007)であった。脱塩素処理炭の塩
素含有量の化学分析値は、15.8wt%(0.054)、6.6
wt%(0.022)、0.8wt%(0.003)であった。両者の
数値に差があるのは、脱塩素処理において炭素の減少が
あったからである。なお、ここでの数値は、塩素重量÷
炭素重量×100(wt%)であり、()内の数値は塩素の
炭素に対する原子数比(Cl/C)である。
上記試料の窒素吸着量を測定したところ、1気圧、25
℃で、13.2cc/g、14.5cc/g、15.1cc/gであった。
この性能はいずれも従来知られている活性炭よりも大き
な値である。すなわち、塩素化処理のあと、脱塩素処理
をしたときに、塩素の一部が残存している状態でも、吸
着性能が向上しており、本発明の塩素処理の効果が認め
られた。
℃で、13.2cc/g、14.5cc/g、15.1cc/gであった。
この性能はいずれも従来知られている活性炭よりも大き
な値である。すなわち、塩素化処理のあと、脱塩素処理
をしたときに、塩素の一部が残存している状態でも、吸
着性能が向上しており、本発明の塩素処理の効果が認め
られた。
(実施例35;水素、炭素の組成分析) 炭素材約3gを酸素0.1L/minと窒素0.9L/minの混合ガス
気流下で完全燃焼して、水素Hを水蒸気H2Oに変換して
五酸化リンP2O5吸収管に吸収させ、重量変化から水蒸気
の量を求め、水素の量を計算する。炭素材の重量から水
素の重量を差し引いた値を炭素Cの重量とする。その結
果から水素/炭素(H/C)原子数比を求めた。
気流下で完全燃焼して、水素Hを水蒸気H2Oに変換して
五酸化リンP2O5吸収管に吸収させ、重量変化から水蒸気
の量を求め、水素の量を計算する。炭素材の重量から水
素の重量を差し引いた値を炭素Cの重量とする。その結
果から水素/炭素(H/C)原子数比を求めた。
炭素材は次のとおり作製した(各15g)。乾留炭Bを
さらに600℃で30分間乾留した。この乾留炭15gを塩素10
容量%を含む窒素ガス(1L/min)気流下、500℃の温度
で1時間加熱して塩素化処理をした。つぎに窒素ガス気
流下(3L/min)、600〜1300℃の間の表11に記す温度
で、30分間加熱して、脱塩素処理をした。さらに、3g/m
inの水蒸気を含む窒素ガス(1L/min)気流下、700℃の
温度で15分間加熱して、脱塩素処理をした。
さらに600℃で30分間乾留した。この乾留炭15gを塩素10
容量%を含む窒素ガス(1L/min)気流下、500℃の温度
で1時間加熱して塩素化処理をした。つぎに窒素ガス気
流下(3L/min)、600〜1300℃の間の表11に記す温度
で、30分間加熱して、脱塩素処理をした。さらに、3g/m
inの水蒸気を含む窒素ガス(1L/min)気流下、700℃の
温度で15分間加熱して、脱塩素処理をした。
この炭素材につき、上記の方法で水素と炭素の組成を
分析した結果は表11の通りであった。なお、塩素処理を
施さないで、乾留炭を窒素気流下で加熱したおのみの炭
素材についても分析した。窒素気流下での同じ温度での
加熱処理炭素材で比較すると、塩素処理した炭素材は、
塩素処理しない炭素材に比較して、水素含有量がおよ
そ、0.6〜0.7倍程度に減少していた。このことは、未組
織炭素に結合している水素が相対的に減少し、炭素網面
構造が発達したことを示している。
分析した結果は表11の通りであった。なお、塩素処理を
施さないで、乾留炭を窒素気流下で加熱したおのみの炭
素材についても分析した。窒素気流下での同じ温度での
加熱処理炭素材で比較すると、塩素処理した炭素材は、
塩素処理しない炭素材に比較して、水素含有量がおよ
そ、0.6〜0.7倍程度に減少していた。このことは、未組
織炭素に結合している水素が相対的に減少し、炭素網面
構造が発達したことを示している。
(実施例37;真密度) ピクノメーター法による。すなわち、ピクノメーター
に水を満たしたときの重量をW1(g)、ピクノメーター
に炭素材の試料M(g)を入れさらに水を満たしたとき
の重量をW2(g)、水の密度をdとすれば、炭素材の真
密度ρは、ρ=dM/(W1+M−W2)で与えられる。な
お、炭素材試料は煮沸水中に6時間浸漬し、多孔性炭素
材の細孔内部まで水を十分に侵入させた後ピクノメータ
に挿入した。また、水はイオン交換水を用い室温(25
℃)での密度dは0.997g/cm3とした。
に水を満たしたときの重量をW1(g)、ピクノメーター
に炭素材の試料M(g)を入れさらに水を満たしたとき
の重量をW2(g)、水の密度をdとすれば、炭素材の真
密度ρは、ρ=dM/(W1+M−W2)で与えられる。な
お、炭素材試料は煮沸水中に6時間浸漬し、多孔性炭素
材の細孔内部まで水を十分に侵入させた後ピクノメータ
に挿入した。また、水はイオン交換水を用い室温(25
℃)での密度dは0.997g/cm3とした。
炭素材試料はつぎの方法で作製した(15g)。乾留
炭Bをさらに600℃で30分間乾留した。これを、塩素濃
度10容量%を含む窒素ガス(1L/min)気流下、500℃の
温度で1時間加熱して、塩素化処理をした。つぎに、窒
素ガス気流下、800℃、1000℃、および1200℃の温度で3
0分間加熱して脱塩素処理した。さらに、3g/minの水蒸
気を含む窒素ガス(1L/min)気流下で、700℃の温度で1
5分間加熱して脱塩素処理した。
炭Bをさらに600℃で30分間乾留した。これを、塩素濃
度10容量%を含む窒素ガス(1L/min)気流下、500℃の
温度で1時間加熱して、塩素化処理をした。つぎに、窒
素ガス気流下、800℃、1000℃、および1200℃の温度で3
0分間加熱して脱塩素処理した。さらに、3g/minの水蒸
気を含む窒素ガス(1L/min)気流下で、700℃の温度で1
5分間加熱して脱塩素処理した。
比較のための試料は、塩素処理は行わずに、乾留炭
Bを試料と同じ条件で、窒素ガス気流下で加熱した。
Bを試料と同じ条件で、窒素ガス気流下で加熱した。
これらの各試料につき上記の方法で真密度を測定した
結果は表12のとおりであった。すなわち、窒素気流下同
じ温度で加熱しても、塩素処理した炭素材の真密度は、
塩素処理しない場合に比べて、0.01〜0.03g/cm3高い値
が得られた。このことから、塩素処理によって、炭素の
結晶子またはその集合状態が特異な構造になったことが
推測される。
結果は表12のとおりであった。すなわち、窒素気流下同
じ温度で加熱しても、塩素処理した炭素材の真密度は、
塩素処理しない場合に比べて、0.01〜0.03g/cm3高い値
が得られた。このことから、塩素処理によって、炭素の
結晶子またはその集合状態が特異な構造になったことが
推測される。
(実施例38;比表面積) 乾留炭Bを、試料はそのまま、試料は600℃で、
試料は700℃で、試料は800℃で30分間再度乾留し
た。これらの乾留炭を、塩素ガスを10重量%含む窒素ガ
ス気流下、450℃で4時間加熱して塩素化処理をした。
つぎに、窒素ガス気流下1000℃で30分間加熱し、さらに
3g/minの水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃で15分間加
熱して脱塩素処理をした。各試料の比表面積を測定した
ところ、1130m2/g、1090m2/g、810mm2/g、660m
2/gであった。
試料は700℃で、試料は800℃で30分間再度乾留し
た。これらの乾留炭を、塩素ガスを10重量%含む窒素ガ
ス気流下、450℃で4時間加熱して塩素化処理をした。
つぎに、窒素ガス気流下1000℃で30分間加熱し、さらに
3g/minの水蒸気を含む窒素ガス気流下700℃で15分間加
熱して脱塩素処理をした。各試料の比表面積を測定した
ところ、1130m2/g、1090m2/g、810mm2/g、660m
2/gであった。
なお、塩素処理した炭素材の実施例25の比表面積の値
を再記載すると、800m2/gである。実施例27の比表面積
の値を再記録すると、780m2/g、790m2/g、790m2/
g、830m2/g、860m2/gである。すなわち、塩素処理
を施した炭素材の比表面積は、660〜1130m2/gであっ
た。
を再記載すると、800m2/gである。実施例27の比表面積
の値を再記録すると、780m2/g、790m2/g、790m2/
g、830m2/g、860m2/gである。すなわち、塩素処理
を施した炭素材の比表面積は、660〜1130m2/gであっ
た。
それに対し、乾留炭Bを塩素処理は施さず、窒素ガス
気流下で、試料は700℃で、試料は1000℃で、各1
時間加熱した。これらの比表面積は、570m2/g、660
m2/gであった。
気流下で、試料は700℃で、試料は1000℃で、各1
時間加熱した。これらの比表面積は、570m2/g、660
m2/gであった。
また、塩素処理を施さないで、賦活を行う場合は、比
較例3で得られた二酸化炭素賦活炭素材の比表面積の値
を再記載すると、990m2/g、1370m2/g、1750m2/
g、1920m2/gである。また、塩素処理は施さずに、水
蒸気賦活した比較例4の比表面積の値を再記載すると、
1120m2/g、1380m2/g、1810m2/gである。すなわ
ち、塩素処理は施さずに賦活処理した炭素材の比表面積
は、990〜1920m2/gである。
較例3で得られた二酸化炭素賦活炭素材の比表面積の値
を再記載すると、990m2/g、1370m2/g、1750m2/
g、1920m2/gである。また、塩素処理は施さずに、水
蒸気賦活した比較例4の比表面積の値を再記載すると、
1120m2/g、1380m2/g、1810m2/gである。すなわ
ち、塩素処理は施さずに賦活処理した炭素材の比表面積
は、990〜1920m2/gである。
すなわち、本発明による塩素処理をした炭素材の比表
面積は、加熱処理だけ施した材に比べて大きく、賦活処
理炭に比べて相対的に小さいことが判った。
面積は、加熱処理だけ施した材に比べて大きく、賦活処
理炭に比べて相対的に小さいことが判った。
(実施例39;細孔容積) 乾留炭Bを800℃で塩素化処理をして塩素反応量を8.5
wt%にした。つぎに、窒素ガス気流下800℃で1時間加
熱し、さらに25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下70
0℃で15分間加熱して脱塩素処理をした。得られた炭素
材の細孔容積は0.21cm3/gであった。また、乾留炭Bを3
50℃で塩素化処理して塩素反応量を93wt%(原子数比H/
Cは0.315)にした。そのあとは上記と同じ条件で脱塩素
処理をした。得られた炭素材の細孔容積は0.48cm3/gで
あった。塩素化処理における塩素反応量を上記二つの場
合の間にすると、細孔容積も上記の値の間の炭素材が得
られた。
wt%にした。つぎに、窒素ガス気流下800℃で1時間加
熱し、さらに25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下70
0℃で15分間加熱して脱塩素処理をした。得られた炭素
材の細孔容積は0.21cm3/gであった。また、乾留炭Bを3
50℃で塩素化処理して塩素反応量を93wt%(原子数比H/
Cは0.315)にした。そのあとは上記と同じ条件で脱塩素
処理をした。得られた炭素材の細孔容積は0.48cm3/gで
あった。塩素化処理における塩素反応量を上記二つの場
合の間にすると、細孔容積も上記の値の間の炭素材が得
られた。
乾留炭Cを原料として、700℃の温度で塩素化処理を
して塩素反応量を21wt%にし、そのあと上記乾留炭Bの
場合と同じ条件で脱塩素離を施した炭素材の細孔容積は
0.27cm3/gであった。また、400℃の温度で塩素化処理を
して塩素反応量を67wt%にし、その後、上記と同じ条件
で脱塩素処理をした炭素材の細孔容積は0.42cm3/gであ
った。塩素反応量を上記二つの間になるようにすると、
脱塩素処理後の炭素材の細孔容積は、上記二つの間の値
になった。
して塩素反応量を21wt%にし、そのあと上記乾留炭Bの
場合と同じ条件で脱塩素離を施した炭素材の細孔容積は
0.27cm3/gであった。また、400℃の温度で塩素化処理を
して塩素反応量を67wt%にし、その後、上記と同じ条件
で脱塩素処理をした炭素材の細孔容積は0.42cm3/gであ
った。塩素反応量を上記二つの間になるようにすると、
脱塩素処理後の炭素材の細孔容積は、上記二つの間の値
になった。
塩化ビニリデン樹脂(市販されている商品サランラッ
プ)を600℃で乾留した乾留炭を原料とし、600℃で塩素
化処理を行い塩素反応量を40wt%とし、その後、上記と
同じ条件で脱塩素処理した炭素材の細孔容積は0.29cm3/
gであった。また、塩素化処理の温度を400℃とし、塩素
反応量を68wt%にした後同じ条件で脱塩素処理した炭素
材は細孔容積が0.39cm3/gであった。
プ)を600℃で乾留した乾留炭を原料とし、600℃で塩素
化処理を行い塩素反応量を40wt%とし、その後、上記と
同じ条件で脱塩素処理した炭素材の細孔容積は0.29cm3/
gであった。また、塩素化処理の温度を400℃とし、塩素
反応量を68wt%にした後同じ条件で脱塩素処理した炭素
材は細孔容積が0.39cm3/gであった。
なお、窒素ガス気流下での加熱の温度を変化させる
と、得られる炭素材の細孔容積は上記の数値に対して、
700℃でわずかに小さく、1300℃ではわずかに大きくな
る。また、塩素反応量は塩素化処理前の重量を炭素の重
量とし、塩素化処理後の重量増を塩素の重量とし、塩素
の重量÷炭素の重量×100で表した数値である。また、
塩素処理を施した実施例27の細孔容積の値を再記録する
と、0.31cm3/g、0.32cm3/g、0.33cm3/g、0.33c
m3/g、0.33cm3/gである。
と、得られる炭素材の細孔容積は上記の数値に対して、
700℃でわずかに小さく、1300℃ではわずかに大きくな
る。また、塩素反応量は塩素化処理前の重量を炭素の重
量とし、塩素化処理後の重量増を塩素の重量とし、塩素
の重量÷炭素の重量×100で表した数値である。また、
塩素処理を施した実施例27の細孔容積の値を再記録する
と、0.31cm3/g、0.32cm3/g、0.33cm3/g、0.33c
m3/g、0.33cm3/gである。
それに対し、塩素処理は行わずに、乾留炭に窒素ガス
気流下での加熱処理のみを行った場合の細孔容積はつぎ
のとおりである。乾留炭Bを、700〜1300℃で加熱処理
した加熱処理炭の細孔容積は、0.15〜0.18cm3/gであっ
た。乾留炭9Cを800℃で15分間加熱処理した加熱処理炭
の細孔容積は0.21cm3/gであった。フラン樹脂を原料と
する乾留炭を800℃で15分間加熱処理した加熱処理炭の
細孔容積は0.07cm3/gであった。
気流下での加熱処理のみを行った場合の細孔容積はつぎ
のとおりである。乾留炭Bを、700〜1300℃で加熱処理
した加熱処理炭の細孔容積は、0.15〜0.18cm3/gであっ
た。乾留炭9Cを800℃で15分間加熱処理した加熱処理炭
の細孔容積は0.21cm3/gであった。フラン樹脂を原料と
する乾留炭を800℃で15分間加熱処理した加熱処理炭の
細孔容積は0.07cm3/gであった。
以上を纒めると、加熱処理のみ行った炭素材の細孔容
積は、およそ0.07〜0.21cm3/gであるのに対して、塩素
処理炭の細孔容積はおよそ0.21〜0.48cm3/gであり、塩
素処理した炭素材の細孔容積が大きくなっていることが
判った。
積は、およそ0.07〜0.21cm3/gであるのに対して、塩素
処理炭の細孔容積はおよそ0.21〜0.48cm3/gであり、塩
素処理した炭素材の細孔容積が大きくなっていることが
判った。
(実施例40;比表面積または細孔容積と窒素吸着量の関
係) 本発明の塩素処理した炭素材の、原料乾留炭の種類、
再度乾留した温度、塩素化処理の温度(時間は60分、塩
素の濃度は10容量%)、それに続く窒素ガス気流下での
各熱の温度(時間は30分)を表13に記す条件とし、その
後25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下での加熱は70
0℃の温度で15分としたときの、比表面積、細孔容積、
および窒素吸着量を同表の同じ欄に示す。
係) 本発明の塩素処理した炭素材の、原料乾留炭の種類、
再度乾留した温度、塩素化処理の温度(時間は60分、塩
素の濃度は10容量%)、それに続く窒素ガス気流下での
各熱の温度(時間は30分)を表13に記す条件とし、その
後25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下での加熱は70
0℃の温度で15分としたときの、比表面積、細孔容積、
および窒素吸着量を同表の同じ欄に示す。
比較として、塩素処理は行わないで、賦活処理を行っ
たときの、原料乾留炭の種類、賦活ガスの種類、賦活処
理の温度、賦活収率を表14に記す条件としたときの、比
表面積、細孔容積、およびと窒素吸着量を同表の同じ欄
に示す。
たときの、原料乾留炭の種類、賦活ガスの種類、賦活処
理の温度、賦活収率を表14に記す条件としたときの、比
表面積、細孔容積、およびと窒素吸着量を同表の同じ欄
に示す。
また、比較として、塩素処理は行わないで、窒素ガス
気流下での加熱のみを施した場合の、源流乾留炭の種
類、加熱の温度(時間は30分)を表15の条件にしたとき
の、比表面積、細孔容積、および窒素吸着量を同表の同
じ欄に示す。
気流下での加熱のみを施した場合の、源流乾留炭の種
類、加熱の温度(時間は30分)を表15の条件にしたとき
の、比表面積、細孔容積、および窒素吸着量を同表の同
じ欄に示す。
これらの結果を、図19(比表面積と窒素吸着量)およ
び図20(細孔容積と窒素吸着量)に示す。賦活処理のみ
施した材は、比表面積が890〜1810m2/gの範囲で窒素吸
着量が9.8〜12.0cc/gの間にあり、窒素ガス気流下で加
熱処理のみ施した材は、比表面積が約520〜650m2/gの範
囲で窒素吸着量は8.7〜11.8cc/gの間にあるのに対し
て、本発明によるハロゲン処理を施した炭素材は、比表
面積が605〜1130cm3/gの範囲で窒素吸着量が13.4〜18.0
cc/gの間にあることが判った。
び図20(細孔容積と窒素吸着量)に示す。賦活処理のみ
施した材は、比表面積が890〜1810m2/gの範囲で窒素吸
着量が9.8〜12.0cc/gの間にあり、窒素ガス気流下で加
熱処理のみ施した材は、比表面積が約520〜650m2/gの範
囲で窒素吸着量は8.7〜11.8cc/gの間にあるのに対し
て、本発明によるハロゲン処理を施した炭素材は、比表
面積が605〜1130cm3/gの範囲で窒素吸着量が13.4〜18.0
cc/gの間にあることが判った。
また、賦活処理のみ施した材は、細孔容積が0.31〜0.
63cm3/gの範囲で窒素吸着量が9.8〜12.0cc/gの間にあ
り、窒素ガス気流下で加熱処理のみ施した材は、細孔容
積が0.18〜0.21cm3/gの範囲で窒素吸着量は8.7〜11.8cc
/gの間にあるのに対して、本発明のハロゲン処理を施し
た炭素材は、細孔容積が0.20〜0.47cm3/gの範囲で窒素
吸着量が13.4〜18.0cc/gの間にあることが判った。
63cm3/gの範囲で窒素吸着量が9.8〜12.0cc/gの間にあ
り、窒素ガス気流下で加熱処理のみ施した材は、細孔容
積が0.18〜0.21cm3/gの範囲で窒素吸着量は8.7〜11.8cc
/gの間にあるのに対して、本発明のハロゲン処理を施し
た炭素材は、細孔容積が0.20〜0.47cm3/gの範囲で窒素
吸着量が13.4〜18.0cc/gの間にあることが判った。
多孔性炭素は比表面積や細孔容積などの細孔の特性か
ら決まる特別の吸着の場を形成するものと考えられる。
窒素や二酸化炭素などの吸着は、それぞれの成分の吸着
の場における親和性によって生じるから、本発明のハロ
ゲン処理の各条件の違いにより多様な細孔が形成され、
吸着成分毎に異なる吸着特性が発現すると推測される。
ら決まる特別の吸着の場を形成するものと考えられる。
窒素や二酸化炭素などの吸着は、それぞれの成分の吸着
の場における親和性によって生じるから、本発明のハロ
ゲン処理の各条件の違いにより多様な細孔が形成され、
吸着成分毎に異なる吸着特性が発現すると推測される。
(実施例41;細孔半径) 多孔性炭素材による水蒸気の吸着に、毛管凝縮理論に
基づくケルビン(Kelvin)を式を適用して、多孔性炭素
材の細孔半径と水の蒸気圧の関係を求めることができ
る。ケルビンの式は、ln(P0/P=2VLγcosθ/(rRT)
である。ここで、P0は水の飽和蒸気圧、Pは水の蒸気
圧、VLは凝縮液の分子容(18.07cm3/mol)でる。γは水
の表面表力であり、25℃における値は0.07 196N/mであ
る。θは水と炭素との接触角であり、値は48.5゜とす
る。rは毛細管の半径である。Rは気体定数(8.315J/
(K・mol))である。Tは温度であり25℃(=298.1
K)とする。
基づくケルビン(Kelvin)を式を適用して、多孔性炭素
材の細孔半径と水の蒸気圧の関係を求めることができ
る。ケルビンの式は、ln(P0/P=2VLγcosθ/(rRT)
である。ここで、P0は水の飽和蒸気圧、Pは水の蒸気
圧、VLは凝縮液の分子容(18.07cm3/mol)でる。γは水
の表面表力であり、25℃における値は0.07 196N/mであ
る。θは水と炭素との接触角であり、値は48.5゜とす
る。rは毛細管の半径である。Rは気体定数(8.315J/
(K・mol))である。Tは温度であり25℃(=298.1
K)とする。
多孔性炭素材の水蒸気の吸着量は、約5gのペレット状
炭素試料を秤量瓶にいれ、水蒸気圧(P)を硫酸水溶液
の濃度で調節した25℃の容器中に48時間放置して、吸着
平衡に達したのち、重量変化(wg)を測定して求める。
水の吸着量(wg)を水の25℃の密度(0.997g/cm3)と試
料の量(g)で除して、炭素材1g当たりの細孔容積(cm
3/g)を求める。水蒸気圧Pまでの累積細孔容積は、細
孔半径r以下の細孔容積である。
炭素試料を秤量瓶にいれ、水蒸気圧(P)を硫酸水溶液
の濃度で調節した25℃の容器中に48時間放置して、吸着
平衡に達したのち、重量変化(wg)を測定して求める。
水の吸着量(wg)を水の25℃の密度(0.997g/cm3)と試
料の量(g)で除して、炭素材1g当たりの細孔容積(cm
3/g)を求める。水蒸気圧Pまでの累積細孔容積は、細
孔半径r以下の細孔容積である。
試料は次のように作製した。乾留炭Aを塩素ガス10容
量%を含む窒素ガス気流下で、試料は450℃の温度で6
0分間加熱して塩素化処理を行い、次に、窒素ガス気流
下950℃の温度で30分間加熱し、さらに25℃の飽和水蒸
気を含む窒素ガス気流下700℃で15分間加熱して脱塩素
処理を行った。乾留炭Bを塩素ガス10容量%を含む窒素
ガス気流下で、試料は350℃、試料は500℃、および
試料は600℃の温度で各60分間各熱して塩素化処理を
行った。次に、各試料とも窒素ガス気流下で1000
℃の温度で30分間加熱し、さらに、25℃の飽和水蒸気を
含む窒素ガス気流下700℃の温度で15分間加熱して脱塩
素した。
量%を含む窒素ガス気流下で、試料は450℃の温度で6
0分間加熱して塩素化処理を行い、次に、窒素ガス気流
下950℃の温度で30分間加熱し、さらに25℃の飽和水蒸
気を含む窒素ガス気流下700℃で15分間加熱して脱塩素
処理を行った。乾留炭Bを塩素ガス10容量%を含む窒素
ガス気流下で、試料は350℃、試料は500℃、および
試料は600℃の温度で各60分間各熱して塩素化処理を
行った。次に、各試料とも窒素ガス気流下で1000
℃の温度で30分間加熱し、さらに、25℃の飽和水蒸気を
含む窒素ガス気流下700℃の温度で15分間加熱して脱塩
素した。
四つの試料につき、上記の方法で、細孔半径と累積細
孔容積の関係を求めた結果を図21に示す。細孔半径が3.
0nm以上では累積細孔容積はほぼ一定の値になる。これ
を、全細孔容積と呼ぶ。全細孔容積、半径1.5nm以下の
細孔容積、および半径1.5nm以下の細孔容積の全容細孔
容積に対する比率を表16に示す。1.5nm以下の累積細孔
容積に対する比率はおよそ93〜95%であった。
孔容積の関係を求めた結果を図21に示す。細孔半径が3.
0nm以上では累積細孔容積はほぼ一定の値になる。これ
を、全細孔容積と呼ぶ。全細孔容積、半径1.5nm以下の
細孔容積、および半径1.5nm以下の細孔容積の全容細孔
容積に対する比率を表16に示す。1.5nm以下の累積細孔
容積に対する比率はおよそ93〜95%であった。
(実施例42;X線回折) 炭素材試料は、乾留炭Bをさらに600℃の温度で30分
間乾留したものを原料乾留炭にして以下の処理を行っ
た。各試料は15g作製した。
間乾留したものを原料乾留炭にして以下の処理を行っ
た。各試料は15g作製した。
試料(1)〜(5)は塩素処理を行う。乾留炭に、塩
素を10容量%含む窒素ガス(1L/min)気流下で、加熱し
て塩素化処理をした。塩素化処理の温度と時間は、試料
(1)(2)(3)は500℃で1時間、試料(4)は350
℃で4時間、試料(5)は600℃で1時間とした。つぎ
に窒素ガス気流下(3L/min)で30分間熱して脱塩素処理
した。脱塩素処理の温度は、試料(1)は1000℃、試料
(2)は1200℃、試料(3)は1500℃、試料(4)と
(5)は1000℃とした。さらに、水蒸気3g/minを含む窒
素ガス(1L/min)気流下、700℃の温度で15分間加熱し
て脱塩素処理をした(試料(1)〜(5)に共通)。
素を10容量%含む窒素ガス(1L/min)気流下で、加熱し
て塩素化処理をした。塩素化処理の温度と時間は、試料
(1)(2)(3)は500℃で1時間、試料(4)は350
℃で4時間、試料(5)は600℃で1時間とした。つぎ
に窒素ガス気流下(3L/min)で30分間熱して脱塩素処理
した。脱塩素処理の温度は、試料(1)は1000℃、試料
(2)は1200℃、試料(3)は1500℃、試料(4)と
(5)は1000℃とした。さらに、水蒸気3g/minを含む窒
素ガス(1L/min)気流下、700℃の温度で15分間加熱し
て脱塩素処理をした(試料(1)〜(5)に共通)。
試料(6)〜(9)は塩素処理は行わず、乾留炭を窒
素ガス(3L/min)気流下30分間加熱した。加熱の温度
は、試料(6)は800℃、試料(7)は1000℃、試料
(8)は1200℃、試料(9)は1500℃とした。
素ガス(3L/min)気流下30分間加熱した。加熱の温度
は、試料(6)は800℃、試料(7)は1000℃、試料
(8)は1200℃、試料(9)は1500℃とした。
試料(10)と(11)は塩素処理は行わず、乾留炭を窒
素ガス(3L/min)気流下、1200℃の温度で30分間加熱し
た後、二酸化炭素雰囲気で900℃の温度に加熱して賦活
をおこなった。賦活の時間は、試料(10)は900℃で1.5
時間、試料(11)は2.5時間とした。賦活における炭素
収率は、試料(10)は80%、試料(11)は65%であっ
た。
素ガス(3L/min)気流下、1200℃の温度で30分間加熱し
た後、二酸化炭素雰囲気で900℃の温度に加熱して賦活
をおこなった。賦活の時間は、試料(10)は900℃で1.5
時間、試料(11)は2.5時間とした。賦活における炭素
収率は、試料(10)は80%、試料(11)は65%であっ
た。
作製した各試料につき、炭素材試料をめのう乳鉢で粉
砕し150メッシュ以下にした。これに、標準物質として3
25メッシュ以下に粉砕したケイ素(99.99%関東化学製
品)を15wt%添加し、めのう乳鉢で混合し、深さ約2mm
の試料板に均一に充填した。自動記録X線回折装置(理
学電機(株)製リガクRINT1100V(ベースライン補正機
能付き))を使用し、X線回折図形を測定する。X線源
はCuKα線(λ=1.5418nm)を使用した。Kβ線はニッ
ケルフィルターで除去した。印加電圧は40kV、電流は30
mA、スキャンスピードは1゜/min、サンプリング角度は
0.02゜とした。得られた回折図形にバックグランド補正
を行い、(002)面回折図形の回折角2θを測定し、さ
らに標準ケイ素の回折角2θの値を用いて補正すること
によって、炭素の(002)回折角2θ求め、ブラッグの
式、2dsinθ=λから、(002)面の間隔d(002)を計
算した。
砕し150メッシュ以下にした。これに、標準物質として3
25メッシュ以下に粉砕したケイ素(99.99%関東化学製
品)を15wt%添加し、めのう乳鉢で混合し、深さ約2mm
の試料板に均一に充填した。自動記録X線回折装置(理
学電機(株)製リガクRINT1100V(ベースライン補正機
能付き))を使用し、X線回折図形を測定する。X線源
はCuKα線(λ=1.5418nm)を使用した。Kβ線はニッ
ケルフィルターで除去した。印加電圧は40kV、電流は30
mA、スキャンスピードは1゜/min、サンプリング角度は
0.02゜とした。得られた回折図形にバックグランド補正
を行い、(002)面回折図形の回折角2θを測定し、さ
らに標準ケイ素の回折角2θの値を用いて補正すること
によって、炭素の(002)回折角2θ求め、ブラッグの
式、2dsinθ=λから、(002)面の間隔d(002)を計
算した。
結晶子の(002)面間隔を測定した結果を表17に示
す。炭素材と(002)面の間隔d(002)は、塩素処理し
た場合は0.406〜0.428nmであり、塩素処理しない場合は
0.379〜0.396nmであり、塩素処理した炭素材の方が大き
い。
す。炭素材と(002)面の間隔d(002)は、塩素処理し
た場合は0.406〜0.428nmであり、塩素処理しない場合は
0.379〜0.396nmであり、塩素処理した炭素材の方が大き
い。
(実施例43;ラマン分光) 試料はつぎのように作製した(15g)。乾留炭B9をさ
らに600℃で30分間乾留した。乾留炭の形状はペレット
(小円柱)状である。この乾留炭15gを塩素10容量%を
含む窒素ガス(1L/min)気流下、500℃の温度で1時間
加熱して塩素化処理をした。つぎに窒素ガス(3L/min)
気流下、1000℃の温度で30分間加熱し、さらに、3g/min
の水蒸気を含む窒素ガス気流(1L/min)下で700℃の温
度で15分間加熱して脱塩素処理をした。
らに600℃で30分間乾留した。乾留炭の形状はペレット
(小円柱)状である。この乾留炭15gを塩素10容量%を
含む窒素ガス(1L/min)気流下、500℃の温度で1時間
加熱して塩素化処理をした。つぎに窒素ガス(3L/min)
気流下、1000℃の温度で30分間加熱し、さらに、3g/min
の水蒸気を含む窒素ガス気流(1L/min)下で700℃の温
度で15分間加熱して脱塩素処理をした。
この試料の、ラマン分光測定を行った。機器は日本分
光(株)製顕微レーザラマン分光光度計NR−1800型を使
用した。測定は試料を粉砕し錠剤に成型して試料ホル
ダーに装填した。光源はKr+レーザ300mV(647.1nm)、
露光は60秒、積算回数は1回、検出器はCCD(電荷結合
素子)タイプとし、マクロ(約30倍)後方散乱を測定し
た。測定とではペレットのまま試料ホルダーに装填
した。光源はKr+レーザ75mV(647.1nm)、露光は60
秒、検出器はCCD(電荷結合素子)タイプとし、ミクロ
(約500倍)後方散乱を測定した。測定は積算回数を
1回とした。測定は4回繰り返した平均値とした。
光(株)製顕微レーザラマン分光光度計NR−1800型を使
用した。測定は試料を粉砕し錠剤に成型して試料ホル
ダーに装填した。光源はKr+レーザ300mV(647.1nm)、
露光は60秒、積算回数は1回、検出器はCCD(電荷結合
素子)タイプとし、マクロ(約30倍)後方散乱を測定し
た。測定とではペレットのまま試料ホルダーに装填
した。光源はKr+レーザ75mV(647.1nm)、露光は60
秒、検出器はCCD(電荷結合素子)タイプとし、ミクロ
(約500倍)後方散乱を測定した。測定は積算回数を
1回とした。測定は4回繰り返した平均値とした。
結果(ラマン散乱光の強度すなわちピークの高さ)は
表18のとおりであった。1325cm-1のピークは未組織炭素
や結晶の欠陥あるいは不規則性の多さに対応し、1605cm
-1のピークは結晶の完全さに対応するものと考えられ、
これらの比であるG値(1325cm-1の強度÷1605cm-1の強
度)は炭素材の結晶化の度合いを表す指標である。
表18のとおりであった。1325cm-1のピークは未組織炭素
や結晶の欠陥あるいは不規則性の多さに対応し、1605cm
-1のピークは結晶の完全さに対応するものと考えられ、
これらの比であるG値(1325cm-1の強度÷1605cm-1の強
度)は炭素材の結晶化の度合いを表す指標である。
(実施例44;電気伝導度) フェノール樹脂繊維(群栄化学工業(株)製商品名カ
イノール)15gを窒素ガス気流下(2L/min)600℃の温度
で乾留した(30分間)。これを、10容量%の塩素ガスを
含む窒素ガス気流下(1L/min)、600℃の温度で3時間
加熱して塩素化処理をした。次に、窒素ガス気流下(3L
/min)で、試料では800℃、試料では1000℃、試料
では1200℃の温度で各30分間加熱し、さらに、各試料
とも25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下(1L/min)
で700℃の温度で15分間加熱して脱塩素処理を行った。
イノール)15gを窒素ガス気流下(2L/min)600℃の温度
で乾留した(30分間)。これを、10容量%の塩素ガスを
含む窒素ガス気流下(1L/min)、600℃の温度で3時間
加熱して塩素化処理をした。次に、窒素ガス気流下(3L
/min)で、試料では800℃、試料では1000℃、試料
では1200℃の温度で各30分間加熱し、さらに、各試料
とも25℃の飽和水蒸気を含む窒素ガス気流下(1L/min)
で700℃の温度で15分間加熱して脱塩素処理を行った。
各試料の繊維状の炭素につき、25℃における電気伝導
度を測定した。測定方法の概略を図22に示す。炭素の繊
維の直径は10μmであり、繊維の測定長は5mmとした。
炭素の繊維と金(Au)線を銀(Ag)ペーストで接続し
た。炭素の繊維に、6mAの電流を流し(機器はKeithley
社製224−Programmable Current Source)、そのときの
電圧を測定(機器はKeithley社製195A−9Digital Multi
meter)した。炭素の繊維の直径、測定長、電流、およ
び電圧からの炭素材の電気伝導度を計算する。結果は、
37S/cm、49S/cm、85S/cmであった。
度を測定した。測定方法の概略を図22に示す。炭素の繊
維の直径は10μmであり、繊維の測定長は5mmとした。
炭素の繊維と金(Au)線を銀(Ag)ペーストで接続し
た。炭素の繊維に、6mAの電流を流し(機器はKeithley
社製224−Programmable Current Source)、そのときの
電圧を測定(機器はKeithley社製195A−9Digital Multi
meter)した。炭素の繊維の直径、測定長、電流、およ
び電圧からの炭素材の電気伝導度を計算する。結果は、
37S/cm、49S/cm、85S/cmであった。
(上限値と下限値) 本発明に係わる主要パラメーターの上限値と下限値を
以下に示す。塩素化乾留炭の原子数比(Cl/C)の上限値
は0.315(実施例39)、下限値は0.032(実施例15)、
塩素化工程の温度の上限値は1000℃(実施例15)下限
値は350℃(実施例5および実施例17、他)高温脱
塩素処理の温度の上限値は1300℃(実施例20)の下限
値は600℃(実施例19)、低温脱塩素処理の温度の上
限値は800℃(実施例16)下限値は600℃(実施例14
など多数)である。
以下に示す。塩素化乾留炭の原子数比(Cl/C)の上限値
は0.315(実施例39)、下限値は0.032(実施例15)、
塩素化工程の温度の上限値は1000℃(実施例15)下限
値は350℃(実施例5および実施例17、他)高温脱
塩素処理の温度の上限値は1300℃(実施例20)の下限
値は600℃(実施例19)、低温脱塩素処理の温度の上
限値は800℃(実施例16)下限値は600℃(実施例14
など多数)である。
産業上の利用可能性 以上説明したように、乾留炭にハロゲン処理を施すこ
とにより、高炭素収率で、窒素吸着量が従来の炭素材よ
り15〜50%も大きくなり、二酸化炭素またはメタン吸着
も著しく増加した多孔性炭素材が得られる。この多孔性
炭素材は、電気二重層キャパシタ用炭素として利用した
とき、静電容量が従来の炭素材より50〜60%も増加す
る。即ち、本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、
窒素などの小分子の吸着および電気化学的エネルギーの
貯蔵に好適なミクロ孔および/またはサブミクロ孔を有
する炭素材が得られる。
とにより、高炭素収率で、窒素吸着量が従来の炭素材よ
り15〜50%も大きくなり、二酸化炭素またはメタン吸着
も著しく増加した多孔性炭素材が得られる。この多孔性
炭素材は、電気二重層キャパシタ用炭素として利用した
とき、静電容量が従来の炭素材より50〜60%も増加す
る。即ち、本発明の多孔性炭素材の製造方法によれば、
窒素などの小分子の吸着および電気化学的エネルギーの
貯蔵に好適なミクロ孔および/またはサブミクロ孔を有
する炭素材が得られる。
本発明の製造方法によって得られた特異な多孔性炭素
材は、窒素または酸素吸着剤、触媒またはその担体、電
気化学エネルギー貯蔵媒体、生化学関連材料などの様々
な用途に利用できると考えられる。
材は、窒素または酸素吸着剤、触媒またはその担体、電
気化学エネルギー貯蔵媒体、生化学関連材料などの様々
な用途に利用できると考えられる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中村 章寛 山梨県北巨摩郡高根町下黒沢3054−3 日本酸素株式会社 山梨研究所内 (72)発明者 柳田 勝吉 山梨県北巨摩郡高根町下黒沢3054−3 日本酸素株式会社 山梨研究所内 (72)発明者 林田 政嘉 山梨県北巨摩郡高根町下黒沢3054−3 日本酸素株式会社 山梨研究所内
Claims (26)
- 【請求項1】乾留炭を、ハロゲンガスに接触させてハロ
ゲン化乾留炭を得るハロゲン化処理を施すハロゲン化工
程と、しかるのち該ハロゲン化乾留炭中のハロゲン原子
の一部または全部を離脱させる脱ハロゲン処理を施す脱
ハロゲン工程とを備えたハロゲン処理を行うことを特徴
とする多孔性炭素材の製造方法。 - 【請求項2】前記ハロゲンガスが塩素および臭素からな
る群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを含有する
ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の多孔性炭素材
の製造方法。 - 【請求項3】前記ハロゲン化処理が、不活性ガスで希釈
したハロゲンガス中350〜1000℃の温度で行う加熱処理
であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の多孔性
炭素材の製造方法。 - 【請求項4】前記脱ハロゲン処理が、真空排気下600〜1
300℃の温度でハロゲン化乾留炭を加熱する高温脱ハロ
ゲン処理であることを特徴とする請求の範囲第1項記載
の多孔性炭素材の製造方法。 - 【請求項5】前記脱ハロゲン処理が、不活性ガス中600
〜1300℃の温度でハロゲン化乾留炭を加熱する高温脱ハ
ロゲン処理であることを特徴とする請求の範囲第1項記
載の多孔性炭素材の製造方法。 - 【請求項6】前記脱ハロゲン処理が、水素化合物ガス中
または不活性ガスで希釈した水素化合物ガス中600〜850
℃の温度でハロゲン化乾留炭を加熱する低温脱ハロゲン
処理であることを特徴とする請求の範囲第1項記載の多
孔性炭素材の製造方法。 - 【請求項7】前記脱ハロゲン処理が、真空排気下または
不活性ガス中600〜1300℃の温度でハロゲン化乾留炭を
加熱する高温脱ハロゲン処理と水素化合物ガス中または
不活性ガスで希釈した水素化合物ガス中600〜850℃の温
度でハロゲン化乾留炭を加熱する低温脱ハロゲン処理と
を順次行う処理、前記低温脱ハロゲン処理と前記高温脱
ハロゲン処理とを順次行う処理、前記高温脱ハロゲン処
理と前記低温脱ハロゲン処理と前記高温脱ハロゲン処理
とを順次行う処理、のうちのいずれか一つの処理である
ことを特徴とする請求の範囲第1項記載の多孔性炭素材
の製造方法。 - 【請求項8】前記水素化合物ガスが、水、水素および低
級炭化水素からなる群より選ばれる少なくとも一つの水
素化合物を含むことを特徴とする請求の範囲第6項また
は第7項のいずれか一項記載の多孔性炭素材の製造方
法。 - 【請求項9】前記乾留炭が、やし殻、フェノール樹脂、
フラン樹脂、および塩化ビニリデン樹脂からなる群より
選ばれる少なくとも一つを乾留したものであることを特
徴とする請求の範囲第1項ないし第8項のいずれか一項
記載の多孔性炭素材の製造方法。 - 【請求項10】前記請求の範囲第1項ないし第9項のい
ずれか一項記載の製造方法により得られる多孔性炭素材
であって、炭素に対するハロゲンの原子数比が0.06以下
であることを特徴とする多孔性炭素材。 - 【請求項11】25℃かつ1気圧のときの窒素吸着量が1
2.5〜20cc/gであることを特徴とする多孔性炭素材。 - 【請求項12】25℃かつ1気圧のときの二酸化炭素吸着
量が60〜90cc/gであることを特徴とする多孔性炭素材。 - 【請求項13】25℃かつ1気圧のときのメタン吸着量が
25〜33cc/gであることを特徴とする多孔性炭素材。 - 【請求項14】X線回折測定による結晶子の(002)面
間隔が0.40〜0.43nmであることを特徴とする多孔性炭素
材。 - 【請求項15】X線光電子分光測定によるグラファイト
構造の炭素が全炭素の66〜74%であることを特徴とする
多孔性炭素材。 - 【請求項16】比表面積が600〜1300m2/gであり、細孔
容積が0.20〜0.50cm3/gであり、該細孔容積の90%以上
が細孔半径が1.5nm以下であることを特徴とする請求の
範囲第11項ないし第15項のいずれか一項記載の多孔性炭
素材。 - 【請求項17】真密度が1.75〜1.90g/cm3であり、レー
ザラマン分光測定における強度比Gが1.2〜1.5であり、
水素の炭素に対する原子数比が0.01〜0.17であることを
特徴とする請求の範囲第11項ないし第15項のいずれか一
項記載の多孔性炭素材。 - 【請求項18】室温における電気伝導度が30〜100S/cm
であることを特徴とする請求の範囲第11項ないし第15項
のいずれか一項記載の多孔性炭素材。 - 【請求項19】電気二重層キャパシタの静電容量が70〜
90F/cm3であることを特徴とする請求の範囲第11項ない
し第15項のいずれか一項記載の多孔性炭素材。 - 【請求項20】前記請求の範囲第10項ないし第19項のい
ずれか一項記載の多孔性炭素材を含有する、電気二重層
キャパシタ。 - 【請求項21】前記請求の範囲第10項ないし第19項のい
ずれか一項記載の多孔性炭素材を含有する吸着剤。 - 【請求項22】前記請求の範囲第10項ないし第19項のい
ずれか一項記載の多孔性炭素材を含有する、触媒および
その担体からなる群より選ばれる触媒用材料。 - 【請求項23】前記請求の範囲第10項ないし第19項のい
ずれか一項記載の多孔性炭素材を含有する、電気化学エ
ネルギー貯蔵媒体。 - 【請求項24】前記請求の範囲第10項ないし第19項のい
ずれか一項記載の多孔性炭素材を含有する、生化学材
料。 - 【請求項25】乾留炭を、ハロゲンガスに接触させて、
ハロゲン化乾留炭を得た後、該ハロゲン化乾留炭を水蒸
気または不活性ガスで希釈した水蒸気中500〜800℃の温
度で加熱処理を施すことにより、炭素原子にハロゲン原
子が結合しているハロゲン化炭素のみを選択的にガス化
する賦活方法。 - 【請求項26】前記ハロゲンガスが塩素および臭素から
なる群より選ばれる少なくとも一種のハロゲンを含有す
ることを特徴とする請求の範囲第25項記載の賦活方法。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP7-74227 | 1995-03-30 | ||
JP7422795 | 1995-03-30 | ||
PCT/JP1996/000839 WO1996030318A1 (fr) | 1995-03-30 | 1996-03-29 | Matiere carbonee poreuse, procede de production de ladite matiere et utilisation de cette derniere |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2695703B2 true JP2695703B2 (ja) | 1998-01-14 |
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ID=26415352
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP8522785A Expired - Fee Related JP2695703B2 (ja) | 1995-03-30 | 1996-03-29 | 多孔性炭素材、その製造方法およびその用途 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2695703B2 (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014034857A1 (ja) * | 2012-08-30 | 2014-03-06 | 株式会社クレハ | 非水電解質二次電池用炭素質材料及びその製造方法、並びに前記炭素質材料を用いた負極および非水電解質二次電池 |
JP7546786B2 (ja) | 2021-03-24 | 2024-09-06 | スケルトン テクノロジーズ ゲーエムベーハー | ミクロ細孔性炭素材料の製造方法 |
-
1996
- 1996-03-29 JP JP8522785A patent/JP2695703B2/ja not_active Expired - Fee Related
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014034857A1 (ja) * | 2012-08-30 | 2014-03-06 | 株式会社クレハ | 非水電解質二次電池用炭素質材料及びその製造方法、並びに前記炭素質材料を用いた負極および非水電解質二次電池 |
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