JP2694704B2 - 粘液を溶かすため肺に機能的影響を与える装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 本発明は、粘液を溶かすため肺に機械的影響を与える
装置に関する。

肺の中の粘液の溶解を促進するために、肺の範囲で患
者を叩打することは、肺病の治療の一部をなしている。
この叩打は従来手で行われ、叩打時の正しい手の位置と
患者身体における方向順序を習得した専門看護要員を必
要とする。病院や療養所において看護要員が過度の負担
を受けると、叩打が散発的にのみしかも過度に迅速に行
われ、もはや所要の慎重さでは行われないおそれがあ
る。更にこの場合、看護要員の器用さの違いも認められ
る。

本発明の課題は、看護要員を必要とすることなく、患
者の叩打を適切に行うことのできる装置を提供すること
である。

この課題を解決するため本発明によれば、患者の胸又
は背又は胸と背に当接可能で個々に又は群ごとに駆動可
能な複数の叩打体を備えている支持体が、２つの前部と
１つの背部とを持つチヨツキのように構成され、これら
の前部及び背部が、少なくとも部分的に、長さ調節可能
なベルト又はひもにより互いに結合され、かつそれぞれ
複数の叩打体を持ち、叩打体が鐘体の形状を持つてい
る。

こうして本発明によれば、叩打体を備えている支持体
が２つの前部と１つの背部とを持つチヨツキのように構
成されているので、床についていない患者が看護要員の
助けなしで着用することができ、障害のある老人でも問
題なく着用することができる。更にしかもチヨツキの前
部及び背部が、少なくとも部分的に、長さ調整可能なベ
ルト又はひもにより互いに結合されているので、患者の
上半身の異なる幅に合わせることができる。叩打体は鐘
体の形状を持つているので、叩打体が患者の表面に密着
して、効果的な叩打を可能にする。

本発明により構成された装置では、制御装置を介して
個々の叩打体又は叩打体群の駆動を所望の順序に従つて
制御することができる。叩打体と患者の身体との間隔及
び叩打の強さを調整することもでき、叩打体の配列、そ
の構成、その順序制御及び均一な叩打強さによつて、叩
打個所が忘れられることもない最適な処置が保証され
る。

本発明の装置は身体に接触する機器に求められる衛生
上の要求を完全に満足するように製造することができ
る。このために叩打体は、有利には飛沫保護されて、し
かし交換可能に支持体の２つの外壁間に設けておくこと
ができ、そのうち少なくとも患者身体に対向する必壁の
少なくとも叩打体の範囲が軟質に形成されている。閉じ
られた外壁は薬剤で容易に消毒することができ、その際
外壁によつて患者との直接的接触から遠ざけられている
叩打体が影響を受けることはない。叩打体は凹面円板と
して構成することができ、その凹面側が患者身体に向け
られており、円板は患者身体とは反対の側の背面が駆動
装置と接続されている。叩打体は望ましくはゴム弾性体
として構成しておくことができる。

各叩打体に属する駆動装置は、例えば電磁式、液圧式
又は空圧式駆動装置とすることができる。安全上の理由
又は重さの理由から、殊に別の装置のためにも圧縮空気
接続口が用意されている病院で本装置を使用する場合、
空圧式駆動装置が好ましい。叩打体用空圧式駆動装置
は、望ましくは制御装置を介して圧縮空気源に接続可能
で排気可能な少なくとも１つの容積可変圧縮空気室を有
することができ、圧縮空気室は、例えば空気の超過圧力
を受けて弾性拡張可能な壁を形成し、又は調整可能なピ
ストンを備えた剛性シリンダによって制限しておくこと
もできる。

本発明により構成された装置の実施例と比較例を添付
図面に基づいて以下に詳しく説明する。

図1aと図1bはチヨツキとして構成された装置の正面図
と背面図である。

図２は図1aとII−II線に沿つたチヨツキ部分の横断面
図である。

図３は叩打体（以下打診体という）の拡大断面図であ
る。

図４はマツトとして構成された比較例としての装置の
平面図である。

図５は図４のＶ−Ｖ線に沿つたマツトの横断面図であ
る。

図６はマツトの打診体のための駆動装置の略示図と、
空気圧制御回路におけるそれらの相互配列を示す。

図1aと図1bは粘液を溶かすために肺に機械的影響を与
える装置を示しており，該装置はチヨツキ10として構成
されて、患者11に当てられている。チヨツキ10は２つの
前部10.1,10.2と一体な背部10.3とからなる。３つのチ
ヨツキ部分10.1〜10.3は前縁背部12に沿つて，横縁範囲
13に沿つて、場合によつてはなお肩範囲14でも、長さ調
整可能なベルト又はひもによつて互いに結合されてお
り、チヨツキ10は患者上半身のさまざまな幅に合わせる
ことができる。見易くする理由から、ベルトとひもは図
面に示されていない。しかも衣服部分片のこのような結
合は、例えばコルセツトの方から公知である。２つのチ
ヨツキ前部10.1,10.2が男性患者と女性患者とで特別の
裁断を有し、又図１に丸で示唆された打診体15のさまざ
まな分布も有することができることは自明である。

各打診体15が独自の駆動装置を備えており、該装置が
すべて１つの制御装置と接続されており、制御装置は打
診体15の特定の操作順序を引き起こし、かつ女性患者の
胸範囲でチヨツキの両前部10.1,10.2に設けられた打診
体15が遮断可能となるように設計しておくことができ
る。制御装置の１例が図６に示されており、以下になお
説明される。

チヨツキ10の場合、空気圧操作式打診体が設けられて
いる。打診体15は図２に示すように、扁平なゴム弾性鐘
体の形状であり、図３の断面図に示すように、この鐘体
が空気式駆動装置20のピストン18のピストン棒17の成端
円板16上に設けられており、ピストンはシリンダケース
19のなかで戻しばね21の力に抗して圧縮空気によつて調
整可能である。シリンダケース19はシリンダ室19.1のた
めに２つの接続口22,23を有しており、そのうち既に述
べられた制御装置を介して、接続口22が圧縮空気源に接
続され、接続口23は別の打診体15の駆動装置20の接続口
22と接続しておくことができる。図３はピストン18を静
止状態で示す。駆動装置20が作動すると、ピストン18は
図３において上方を移動して、一定行程後に接続口23を
解放する。

空圧式駆動装置20はシリンダ／ピストン装置として構
成しておかねばならないのではなく、打診体15と接続さ
れた吸排ベローズとして構成しておくこともでき、該ペ
ローズは適切に適合された制御装置を介して特定の順序
で圧縮空気源に接続され、又再び排気される。打診体15
は鐘形状とは異なる別の形状を有することもできる。

空圧式駆動装置20のシリンダ体19が取付フランジ20.1
を備えており，該フランジを介して駆動装置20は打診体
15と一緒に、図２に示すように、チヨツキ部分10.1〜1
0.3の軟質支持布25のなかで交換可能に係止されてい
る。図示実施例においてこの係止に役立つのが押ボタン
26である。チヨツキ部分10.1〜10.3の打診体15を備えた
範囲は膨張可能な詰物体24によつて制限されており、詰
物体はチヨツキ部分の縁と図1a、図1bに示された患者11
の肋骨弓11.1とに沿つて延びており、打診体15のために
自由打診行程が得られるように、患者静止状態のとき打
診体15の間隔を詰物体で調整することができる。

鐘状打診体15を介して、軟質水密フイルム27が緊張
し、該フイルムがチヨツキ部分の閉じられた内壁を形成
し、該内壁は個々の打診体15間でこのような詰物挿入材
28を介してチヨツキ部分の支持布25と結合されている。
チヨツキの外面も閉じられて水密な安定した柔軟なフイ
ルム29によつて形成され、該フイルムは図２に示すよう
に、シリンダケース19の前面でフアスナーによつて係止
されている。つまり打診体15と駆動装置20は飛沫密に、
外フイルム29と内フイルム27との間に設けられており、
しかしフイルムは打診体15を交換するために取外し可能
であり、又はフアスナーによつて開口可能である。

図４は比較例として打診体15を備えた２つの布張りば
ね31,32が内部に構成されているマツト30を示す。図５
の断面図が示すように、マツトはほとんど剛性の基板33
からなり、２つのばね31,32を限定する膨張可能な詰物
室34が基板上に設けられている。最初に膨張される詰物
室34でもつて患者身体の静止位置のときマツトの間隔も
調整することができる。打診体15は図１〜図３の実施例
におけると同じ構造であり、空圧式駆動装置20でもつて
やはり支持布25′内に係止されている。２つの範囲31,3
2はマツト30の上面側がフアスナーで保持されてマツト
全体を覆う軟質フイルム35によつて覆われ、下側では基
板33によつて閉じられている。マツト30は片側に同様に
基板33上に設けられた制御棚36を有しており、制御棚は
同様に軟質フイルム35によつて部分的に覆われており、
制御棚のなかに打診体15を空気圧で駆動するため制御装
置の部材があり、かつ操作キーが設けられている。制御
部品、つまり空気弁と操作キーは図面に示されていな
い。操作棚36はマツト30に横たわつた患者の下で横に張
り出し、操作キーは患者にも接近可能である。

図６はマツト30の両ばね31,32に配設された空圧式駆
動装置20と、制御装置内で使用される制御・切換弁37〜
41を略示配列で示す。略示された圧縮空気源42から切換
弁37及び分配弁38を介して、前後で２群に設けられた空
圧式駆動装置20が操作される。制御可能な切換弁41を介
して、圧縮空気が膨張可能な詰物室34内に希望する程度
に送られる。膨張可能な詰物室34に代えて、弾性変形可
能な詰物体34を基板33に載置しておくこともできよう。

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】患者の胸又は背又は胸と背に当接可能で個
   々に又は群ごとに駆動可能な複数の叩打体（15）を備え
   ている支持体（10）が、２つの前部（10.1,10.2）と１
   つの背部（10.3）とを持つチヨツキ（10）のように構成
   され、これらの前部及び背部が、少なくとも部分的に、
   長さ調整可能なベルト又はひもにより互いに結合され、
   かつそれぞれ複数の叩打体（15）を持ち、叩打体（15）
   が鐘体の形状を持つていることを特徴とする、粘液を溶
   かすため肺に機械的影響を与える装置。
2. 【請求項２】個々の叩打体（15）又は叩打体群の駆動装
   置（20）を順序制御するための制御装置を有することを
   特徴とする、請求項１に記載の装置。
3. 【請求項３】叩打体（15）が水密に支持体（10）の２つ
   の外壁（27,29）間に設けられており、そのうち少なく
   とも患者身体に対向する内壁（27）の少なくとも叩打体
   （15）の範囲が軟質に形成されていることを特徴とす
   る、請求項１又は２に記載の装置。
4. 【請求項４】叩打体（15）が患者身体に向かつて凹面円
   板として構成されており、患者身体とは反対の側の背面
   が駆動装置（20）と接続されていることを特徴とする、
   請求項１ないし３の１つに記載の装置。
5. 【請求項５】叩打体（15）がゴム弾性材料から成つてい
   ることを特徴とする、請求項４に記載の装置。
6. 【請求項６】叩打体（15）を有する支持体（10）の範囲
   が詰物室（24）によつて限定されており、この詰物室が
   少なくとも部分的に静止状態にある叩打体（15）と患者
   （11）の身体との間隔を調整するために膨張可能である
   ことを特徴とする、請求項１ないし５の１つに記載の装
   置。
7. 【請求項７】叩打体（15）が空圧式駆動装置（20）を備
   えており、この駆動装置が制御装置を介して圧縮空気源
   に接続可能かつ排気可能な少なくとも１つの容積可変圧
   縮空気室（19.1）を有することを特徴とする、請求項１
   ないし６の１つに記載の装置。
8. 【請求項８】叩打体（15）が電磁式及び電気順序制御式
   駆動装置と接続されていることを特徴とする、請求項１
   ないし６の１つに記載の装置。