JP2692771B2 - 流量制御弁 - Google Patents

流量制御弁

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JP2692771B2
JP2692771B2 JP4310951A JP31095192A JP2692771B2 JP 2692771 B2 JP2692771 B2 JP 2692771B2 JP 4310951 A JP4310951 A JP 4310951A JP 31095192 A JP31095192 A JP 31095192A JP 2692771 B2 JP2692771 B2 JP 2692771B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、給湯器等の機器に使用
される所定の流量の流体を流すように制御される流量制
御弁に関し、さらに詳細には、ソレノイドを駆動源とし
てソレノイドへ供給する電力値を変えて弁体と弁座との
隙間の開度を変化させ流量を制御する流量制御弁に関す
るものである。
【0002】
【従来の技術】従来より、弁座と弁体の離間する距離を
変えることにより隙間を変化させ、流体の流量を制御す
る流量制御弁が広く使用されている。ここで、弁座と離
間する弁体の移動は、その距離を正確に制御する必要が
あるため、流量精度を必要とする場合にはモータにより
送りネジ等を介して行う流量制御弁が一般的に使用され
ている。
【0003】しかし、従来の流量制御弁では、モータと
送りネジを必要とするため構造が大きくなり、かつコス
トが高くなる問題があった。この問題を解決するための
1つの手段として、弁体移動の駆動源としてソレノイド
を使用する方法が考えられる。すなわち、ソレノイドに
流す電圧または電流を変えることにより、可動鉄心等の
移動量を変化させ、可動鉄心等と連動して移動する弁体
の位置を変化させ、弁体と弁座との隙間を変化させて、
流量を制御する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、ソレノ
イドを使用する方法には、次のような問題があった。モ
ータと送りネジを使用する方法では、送りネジが剛性を
有しているため、流体の圧力が変動しても弁体の位置が
変化することはない。従って、流体の圧力が変動した場
合でも弁体と弁座とが構成する隙間が変化することはな
く、常に流量特性Q=k(ΔP)1/2 の関係が成立して
いる。ここで、Qは流量、kは定数、ΔPは差圧であ
る。従って、流体の圧力が変動したときの流量変化は、
流体の圧力の変化より一義的に決定することができる。
【0005】それに対して、ソレノイドを使用する方法
では、弁体の位置が、ソレノイドの励磁により可動鉄心
を吸引する力とその反対方向に作用する復帰ばねの力の
均衡により決定されるため、流体の圧力が変動した場
合、弁体にかかる流体圧力が変動し、弁体の位置自体が
変化してしまうので、流量特性Q=k(ΔP)1/2 の関
係が成立しない。従って、流体の圧力が変動したときの
流量変化は、流体の圧力の変化より一義的に決定するこ
とができないという問題があった。
【0006】このことは、現在広く使用されているモー
タと送りネジを使用する方法の従来の流量制御弁に代え
て、ソレノイド方式の流量制御弁を使用しようとする場
合にそのまま使用することができない問題があった。ま
た、例えば、2以上の流量制御弁を使用した化学品製造
工程等においては、流体の圧力の変動により、各流量制
御弁が比例的に流量が変化することが望ましい。このよ
うな化学品製造工程でソレノイド方式の流量制御弁を使
用する場合に従来のソレノイドを駆動源とする流量制御
弁では、流体の圧力変動に対して流量が流量特性に従っ
て変化しないため問題であった。
【0007】この問題を解決する手段として、弁体の片
側に作用していた流体の圧力を弁体の反対側に流入させ
て、弁体の両側に流体の圧力を作用させることにより、
流体の圧力が変動した場合に、流体の圧力の変動を相殺
する方法が考えられる。しかしながら、単に弁体の両側
に流体の静的圧力を作用させただけでは、流体の圧力の
変動により弁体の位置が変化してしまう事実が確認され
ている。
【0008】この原因について、従来のソレノイドを駆
動源とする流量制御弁の構成を図4に示して説明する。
ピストン6の上側の上室7とピストン6と一体に形成さ
れる弁体1の下側の下室8とが連通孔19により連通さ
れ、弁体に等しい静圧がかかるようにされている。ま
た、弁体1の上面にかかる静圧と弁体本体6の下面にか
かる静圧とは閉弁状態では等しい。しかし、弁が開かれ
ると、弁体1の上面に衝突していた流体が弁体1と弁座
2とで構成される隙間から流出するので、弁体1の上面
に作用していた静圧は、弁体本体6の下面に作用する静
圧と比較して急激に減少する。従って、弁体1は閉弁方
向に力を受ける。
【0009】また、流体が弁座と弁体とで形成される隙
間を流れるとき、オリフィス作用により発生する圧力低
下により弁体に力作用する。この力は、弁体を弁座に近
づける方向、すなわち弁を閉じる方向に作用する。流体
の流れにより発生するこれら弁体を閉じる方向に作用す
る力により、弁体の位置自体が変化してしまうので、流
量特性Q=k(ΔP)1/2 の関係が成立しない。従っ
て、流体の圧力が変動したときの流量変化は、流体の圧
力の変化より一義的に決定することができないのであ
る。
【0010】本発明は、上述した問題点を解決するため
になされたものであり、ソレノイドを駆動源とする流量
制御弁であって、流体を制御しているときに流体の圧力
が変動しても、流量特性Q=k(ΔP)1/2 の関係が成
立する流量制御弁を供給することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため
に、本発明の流量制御弁は、弁本体に形成された弁座
と、該弁座から当接または離間する弁体と、該弁体を移
動させる駆動手段とを有し、該駆動手段が該弁体が該弁
座から離間する所定距離を変化させて流体の流量を制御
する流量制御弁であって、上記駆動手段がソレノイドで
あると共に、弁体の弁座に当接する部分が弁体の移動方
向の軸線に対して水平より上向きの傾斜を有し、流体が
弁体と弁座とで形成される隙間を通過するときに流体が
水平より上向きに噴出する。
【0012】また、本発明の流量制御弁は、弁本体に形
成された弁座と、該弁座から当接または離間する弁体
と、該弁体を移動させる駆動手段とを有し、該駆動手段
が該弁体が該弁座から離間する所定距離を変化させて流
体の流量を制御する流量制御弁であって、上記駆動手段
がソレノイドであると共に、弁体の弁座に当接する部分
が弁体の移動方向の軸線に対して水平より上向きの傾斜
を有し、流体が弁体と弁座とで形成される隙間を通過す
るときに流体が水平より上向きに噴出するものであっ
て、上記弁座が突設して形成される中空円筒の外周に形
成されると共に、上記弁体が一端が密閉された筒状であ
って弁座と当接する傾斜部が筒の開口端の内周に形成さ
れている。
【0013】
【作用】上記の構成よりなる本発明の流量制御弁の弁体
は、ソレノイドが励磁されていない状態で復帰ばねによ
り弁座に当接されており、入力ポートと出力ポートとは
連通しておらず、流体は流れていない。次にソレノイド
が励磁されると、ソレノイドは、通電される電流値に比
例した力で可動鉄心を吸引する。弁体が形成されている
可動体は可動鉄心と一体的に動作する。よって、弁体は
弁座から離間し、ソレノイドの吸引力と復帰ばねの弾性
力が均衡する位置で静止する。流体は、弁体と弁座との
隙間を通って入力ポートから出力ポートへと流れる。従
って、流体の圧力が一定であるならば、流体の流量はソ
レノイドに供給される電流値により一義的に決定され
る。
【0014】流体の圧力が変動する場合、弁体を一部に
含む可動体の両端に位置する上室と下室とが連通路によ
り連通されているので、流体による静圧が等しく流体の
圧力が変動しても可動体は移動しない。また、可動体の
ピストン下面の面積と弁体の上面の面積とが等しく、弁
体の弁座に当接する部分が弁体の移動方向の軸線に対し
て水平より上向きの傾斜を有しており、上記弁座が突設
して形成される中空円筒の外周に形成されると共に、上
記弁体が一端が密閉された筒状であって弁座と当接する
傾斜部が筒の開口端の内周に形成されているので、流体
が弁体の上面に衝突した後、弁体と弁座との隙間を通過
するため、可動体に加わる力が等しく、流体の圧力が変
動しても可動体は移動しない。
【0015】
【実施例】以下、本発明を具体化した一実施例である流
量制御弁について図面を参照しながら説明する。図1に
本発明の一実施例である流量制御弁の構成を断面図で示
す。中空状のボビンに銅線が巻かれてなるコイル11の
中空部の一端部に、中空状の固定鉄心13が固定されて
いる。また、コイル11の中空部の他端部に、可動鉄心
12が摺動可能に嵌合されている。コイル11、固定鉄
心13および可動鉄心12によりソレノイド16が構成
されている。また、可動鉄心の一端は固定鉄心13の中
空部を通ってピストン6の上面に当接している。
【0016】次に、弁本体10の構成について説明す
る。弁本体に突設して形成される中空円筒の外周に形成
された弁座2に、一端が密閉された筒状である弁体1が
当接している。弁体1は、軸体3およびピストン6と一
体で形成され、可動体17を構成している。ピストン6
は、弁本体10に形成されたシリンダ弁室9に摺動可能
に嵌合している。ピストン6のシリンダとの接触面にリ
ング溝6aが形成され、弾性体からなるUリング18が
開口面を上向きにして装着されている。
【0017】シリンダ弁室9には、入力ポート4が連通
して形成されている。弁体1の下面には、復帰ばね15
が取り付けられ、弁体1を弁座方向に付勢している。ピ
ストン6の上面には、上室7が形成され、弁体1の下面
には、下室8が形成されている。上室7と下室8とは連
通路14により連通している。連通路14には、出力ポ
ート5が連通して形成されている。
【0018】本発明の主要部である弁体1と弁座2との
構成を説明する。弁体1の弁座2に当接する部分が弁体
1の移動方向の軸線に対して水平より上向きの傾斜を有
しており、弁座2が突設して形成される中空円筒の外周
に形成されると共に、弁体1が一端が密閉された筒状で
あって弁座2と当接する傾斜部1aが筒の開口端の内周
に形成されている。ここで、ピストン6の下面の面積と
弁体1の上面の面積とは同一である。また、弁体1と弁
座2とで構成する隙間は、弁体1と弁座2との当接部が
可動体17の移動軸線となす角θが90度より小さいの
で、流体は下室8へ上向きに噴出することとなる。
【0019】次に、上記構成を有する本実施例の流量制
御弁の動作について説明する。図1に示しているのは、
ソレノイド16が励磁されていない状態を示している。
可動体17および可動鉄心12は、復帰ばね15により
上側に付勢されており、弁体1が弁座2に当接してい
る。これにより、入力ポート4と出力ポート5との連通
は遮断されている。
【0020】次に、ソレノイド16が励磁された場合を
説明する。流量制御弁にあっては、通常の切換え弁と異
なり必要とする流量に比例する電圧または電流をコイル
11に流すことにより、可動鉄心12が固定鉄心に吸引
される力と復帰ばねが弁体1を弁座方向に付勢する力と
均衡する所定の位置に移動させる。これにより、弁体1
と弁座2との間に所定の隙間が維持され、必要な流量が
確保できる。
【0021】次に、ソレノイドが励磁されている状態で
流体の圧力が変動した場合について、可動体17に作用
する力を主として説明する。ピストン6の上面の面積と
弁体1の下面の流体に接触する部分の面積とは略同一で
あり、上室7と下室8とは連通路14により連通され静
圧は同じであるため、この2つの力に関しては、可動体
17に作用する静的な力は同一である。ピストン6の下
面の面積と弁体1の上面の面積とは同一であり、流体が
流れない状態での静的な力は同一である。
【0022】従来、流体の圧力変動に対して静圧の均衡
は考慮されてきたが、流体の流れが与える影響に付いて
はほとんど考慮されていなかった。本発明者は、弁体と
弁座が構成する隙間から流体が流れ出る方向により、弁
体が受ける力が変化することを認め、流出方向を変化さ
せて実験を行った。そして、流体が流れた場合であって
も、流体は弁体1の上面に一度衝突して弁体1に下向き
の運動量を与えた後、弁体1と弁座2とで形成される隙
間から斜め上向きに噴出しているので、ピストン6が上
向きに受ける力と弁体1が下向きに受ける力とは略同一
であることに変わりはないことを知った。
【0023】このことを実験データにより説明する。図
2は、縦軸に流量(l/min)を、横軸にソレノイド
16に供給する電流値(mA)をとっている。図2の
(a)は、図1に示す本実施例の流量制御弁を使用した
場合のデータを示し、図2の(b)は、図4に示す従来
の流量制御弁を使用した場合のデータである。データ
は、ソレノイドに供給する電流値を変えた場合の流量の
変化を示している。
【0024】図2の(a)に示すように、本実施例の流
量制御弁においては、流体の圧力が一定の場合にソレノ
イド16に供給する電流値を変化させることにより、正
比例的に所定の流量を流すことが可能であることを示し
ている。このことは、図2の(b)に示すように、従来
の流量制御弁においても、基本的には同じである。その
違いは、本実施例の流量制御弁は、従来の流量制御弁と
比較して、流体の圧力をパラメータとしたときの有為差
が大きいことである。
【0025】図3は、縦軸に流量(l/min)を、横
軸に流体の圧力(Kgf/cm2)をとっている。図3
の(a)は、図1に示す本実施例の流量制御弁を使用し
た場合のデータを示し、図3の(b)は、図4に示す従
来の流量制御弁を使用した場合のデータである。
【0026】図3の(a)に示すように、本実施例の流
量制御弁においては、流体の圧力がが増加するにつれて
比例的に流量が増加しており、流量特性Q=k(ΔP)
1/2が成立していることがわかる。このことは、ソレノ
イド16に供給する電流値を変化させた場合でも同様で
ある。これに対して、図3の(b)に示すように、従来
の流量制御弁においては、流体の圧力が増加しても流量
が比例的に増加しないことがわかる。
【0027】従来のモータと送りネジとを使用する方法
においては、流量特性Q=k(ΔP)1/2が成立してい
る。従って、従来のモータと送りネジとを使用する方法
に変わってソレノイドを使用する方法を実施する場合に
は、本実施例の流量制御弁を使用することが必要であ
る。
【0028】以上説明したように、本発明の流量制御弁
によれば、弁体1の弁座2に当接する部分が弁体1の移
動方向の軸線に対して水平より上向きの傾斜を有してお
り、弁座2が突設して形成される中空円筒の外周に形成
されると共に、弁体1が一端が密閉された筒状であって
弁座2と当接する傾斜部が筒の開口端の内周に形成され
ているので、流体の圧力が変動しても、弁体1に加わる
力は均衡を維持するため、流量が流量特性を維持でき
る。
【0029】以上本発明を実施例に即して説明したが、
本発明の実施は本実施例に限られることなく、色々な変
更が可能である。例えば、第一の実施例において、弁座
が突設して形成される中空円筒の外周に形成されると共
に、弁体が一端が密閉された筒状であって弁座と当接す
る傾斜部が筒の開口端の内周に形成されているときに、
この傾斜部は水平に限りなく近くてもある程度の効果は
発揮しうる。また、本実施例では、弁体の駆動源である
ソレノイドとして可動鉄心タイプを使用しているが、ソ
レノイドとしては、可動コイル型ソレノイドや可動永久
磁石型ソレノイドを用いても同様である。
【0030】
【発明の効果】以上説明したことから明かなように、本
発明の流量制御弁によれば、弁体の弁座との当接部が弁
体の移動方向の軸線に対して水平より上向きの傾斜を有
しているので、流体が弁体と弁座で構成される隙間を流
れるときに、流体が弁体に下向きの運動量を与えるた
め、流体の圧力が変動しても、弁体に加わる力は均衡を
維持するため流量が流量特性を維持できる。これによ
り、流量制御弁の駆動源としてソレノイドを使用して
も、流量が変動時の流量特性を維持できるため、流量制
御弁を小型化かつコストダウンできる。
【0031】また、本発明の流量制御弁によれば、弁体
の弁座に当接する部分が弁体の移動方向の軸線に対して
水平より上向きの傾斜を有しており、弁座が突設して形
成される中空円筒の外周に形成されると共に、弁体が一
端が密閉された筒状であって弁座と当接する傾斜部が筒
の開口端の内周に形成されているので、流体の圧力が変
動しても、弁体に加わる力は均衡を維持するため、流量
が流量特性を維持できる。これにより、流量制御弁の駆
動源としてソレノイドを使用しても、流量が変動時の流
量特性を維持できるため、流量制御弁を小型化かつコス
トダウンできる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施例である流量制御弁の構成
を示す断面図である。
【図2】ソレノイドに供給する電流と流量との関係を示
すデータ図である。
【図3】流体の圧力が変動したときの流量の変化を示す
データ図である。
【図4】従来の流量制御弁の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 弁体 2 弁座 6 ピストン 12 可動鉄心 14 連通路 16 ソレノイド 17 可動体
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平3−223582(JP,A) 実開 昭59−127978(JP,U) 実開 昭62−170879(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 弁本体に形成された中空状のシリンダ部
    と、 該シリンダ部に摺動可能に保持されソレノイドにより摺
    動されるピストンと、 該シリンダ部の下端面に形成された 弁座と、該ピストンに連結され 該弁座と当接または離間する弁体
    とを有し、該ソレノイドが、 該弁体が該弁座から離間する所定距離
    を変化させることにより流体の流量を制御する流量制御
    弁において、前記弁座が、下側に突き出した中空円筒部の外側に、前
    記弁体の移動方向の軸線に対して水平より上向きの傾斜
    を有して形成され、 前記弁体の前記弁座に当接する部分が前記弁体の移動
    方向の軸線に対して水平より上向きの傾斜を有して形成
    され、 前記流体が前記弁体と前記弁座とで形成される隙間を通
    過するときに、前記流体の流れを前記弁体を押圧するの
    と反対方向に噴出することを特徴とする流量制御弁。
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