JP2690572B2 - 表面状態評価方法およびその装置 - Google Patents

表面状態評価方法およびその装置

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JP2690572B2 JP1245002A JP24500289A JP2690572B2 JP 2690572 B2 JP2690572 B2 JP 2690572B2 JP 1245002 A JP1245002 A JP 1245002A JP 24500289 A JP24500289 A JP 24500289A JP 2690572 B2 JP2690572 B2 JP 2690572B2
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【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、半導体、金属などの表面状態を評価する方
法ならびにその装置に関する。
[従来の技術] 従来、紫外光照射により被測定物から放出された電子
の大気中測定については、例えばジャーナル・オブ・ア
プライド・フィジックス46巻4号(1975年)1553頁から
1558頁〔J.Appl.Phys.Vol.45 No.4(1975)PP.1553〜15
58〕および特開昭55−159168号に記載されているように
原理的に良く知られている。
上記従来技術はいずれも、大気中で被測定物に紫外光
を照射した時に被測定物から放出される電子を測定する
技術およびその装置に関するものである。この電子が放
出される現象は、光電子放出および光励起エキソ電子放
出として周知のことである。
電子の放出量は、被測定物表面の汚染物や欠陥などに
より大きく影響を受けるため、電子の量を測定すること
により、被測定物の表面状態の情報を得ることができ
る。
被測定物から放出された電子の一部は、検出器に到達
する過程で大気中の酸素にトラップされ酸素イオンとな
ることが知られている。検出器では酸素イオンの電荷が
検出される。
[発明が解決しようとする課題] 上記従来技術のうち、J.Appl.Phys.に記されている測
定法は、紫外光の照射量の点で配慮がなされておらず次
のような問題がある。この測定法で測定を行うと、紫外
光の照射量が過度となり被測定物の変質や測定環境の擾
乱が生じる。すなわち、第2図に示す様に出力信号が時
間とともに徐々に減衰する。また、同一被測定物の同一
点を測定すると第3図に示す様に2回目以降の信号値は
前の信号値より低くなる現象も生じる。被測定物の変質
や測定環境の擾乱は、測定開始直前に於て特に大きいた
め、紫外光照射時間を2〜3秒にしても十分な信号値減
衰の低減はできない。
なお、従来法で紫外光照射時間を1秒以下にすると、
光源および測定器が安定に動作しないため、信頼性のあ
る測定値は得られない。
また、この測定法で紫外光の照射強度を低下させると
被測定物の変質や測定環境の擾乱は低減されるが、それ
以上に放出される電子量が減少し精度の良い測定は困難
である。
一方、特開昭55−159168に記されている測定法は、紫
外線強度低減に伴う測定精度の低下を、放出電子の電離
による増幅及び蓄積により解決している。すなわち、こ
の測定法では、一定時間ごとに高電界を形成して電離に
よる電子の増幅を繰返し行いこれらの電子を蓄積して有
意信号値を得るため、測定点一点あたりの測定所要時間
が長くなるという問題がある。
したがって、本発明の第1の目的は、被測定物表面状
態の評価に於いて、被測定物の変質および測定環境の擾
乱を防止し、勝つ、迅速に高感度な測定を可能とする測
定方法を、そしてその第2の目的は、この測定方法を実
施するための改良された測定装置を、それぞれ提供する
ことである。
[課題を解決するための手段] 上記第1の目的を達成するために、被測定物に照射す
る紫外光の照射時間を10ミリ秒以下にして、試料の変質
や測定環境の擾乱を防止するものである。この短時間の
紫外光を安定に照射する手段としては、パルス点灯型ラ
ンプを用いるか、パルスレーザを用いるか、連続光をチ
ョッパによりパルス化したものを用いる。この時、測定
感度を向上させるために、回路全体に電磁シールドを施
し、信号へのノイズ混入を防止する。また、被測定物と
検出器との間に電界を形成し検出器へ到達する電子ある
いは酸素イオンの数を増加させる。
以上の要旨をまとめると、本発明の第1の目的は、 (1).紫外線を被測定物表面に照射した時に、この照
射に基づいて被測定物表面から発生する電子を検出し、
その検出量から前記被測定物の表面状態を評価する方法
において、紫外光を被測定物表面に単一パルス状に短時
間照射し、これにより被測定物表面から発生する単一パ
ルス状の電子を被測定物と電子捕集電極との間に形成し
た電界により集中せしめて電子捕集電極に捕集し、捕集
した電子の量を時分割計測することを特徴とする表面状
態評価方法により、そして好ましくは (2).上記紫外光をパルス状に短時間照射するに際
し、10ミリ秒以下のパルス幅のパルス紫外光として照射
する表面状態評価方法により、達成される。
また、第2の目的を達成するために、少なくとも被測
定物および検出器を密閉容器内に設置し、この容器内の
雰囲気を大気、窒素、酸素、希ガスおよびこれらの混合
ガスに置換できる手段を備えると共に、任意の圧力下で
測定が行える構成にしたものである。そして、好ましく
は複数の検出器を並列に作動させるように配設し、しか
も照射するパルス光の照射強度、波長、パルス幅、繰り
返し数を変化させる手段をも配設したものである。な
お、紫外光の波長は特に限定する必要が無く、被測定物
の仕事関数よりも大きい光であればよく、通常の紫外光
が使用される。また、紫外光の照射時間は前述のごとく
パルス的に短時間行うものであるが10ミリ秒(10-2se
c)以下、実用的には10-9〜10-2secが好ましく、10-12s
ecでも使用可能である。パルス紫外光10-2secで、信号
強度の低下は約0.03%に押さえることができ、従来の連
続照射時の約20%低下に比べ著しい感度向上が見られ
る。
以上の要旨をまとめると、本発明の第2の目的は、 (3).少なくとも紫外線を被測定物表面にパルス状に
短時間照射する手段と、これにより被測定物表面から発
生する単一パルス状の電子を電子分光することなく一括
的に捕集検出する検出器と、被測定物と電子捕集電極と
の間に電界を形成する手段と、捕集した電子を計数する
計測器とを備えて成る表面状態評価装置により、そして
好ましくは (4).上記検出器を一つの紫外光源に対し複数個並列
接続し、かつ照射光がこれら各検出器に垂直に入射する
ように光学レンズを配設して成る表面状態評価装置によ
り、 (5).少なくとも上記被測定物および検出器を密閉容
器内に配設し、前記容器内の雰囲気を所定ガス雰囲気に
置換して計測し得る手段を設けて成る表面状態評価装置
により、 (6).上記検出器を複数個並列接続して成る表面状態
評価装置により、 (7).上記照射するパルス紫外光の照射強度、波長、
パルス幅および繰返し数の少なくとも1者を変化させる
制御手段を有して成る表面状態評価装置により、 (8).上記検出器を電磁的に遮蔽してなる検出器を備
えた表面状態評価装置により、 (9).上記紫外光光源と検出器とを一体化構成とした
表面状態評価装置により、そして (10).上記紫外光光源に測定雰囲気中の酸素ガスを励
起するスペクトル成分を除去もしくは低減するフィルタ
を設けて成る表面状態評価装置により、達成される。
[作用] パルス紫外光は、照射時間がパルス幅の時間に限られ
短いので被測定物の変質や測定環境の擾乱を生じさせな
い。このため非破壊かつ連続な測定ができる。また、信
号の応答はパルス紫外光照射後数ミリ秒で終了するた
め、迅速な測定を行うことができる。
窒素、希ガスあるいはその混合ガス中で測定を行う
と、被測定物表面の変質がなくなる。希ガス中での測定
の場合、ラムザウア効果により放出電子と気体分子との
衝突確率が低下するため、より多くの電子が検出器へ到
達し、測定感度は向上する。
また、低圧下で測定を行うと、被測定物から放出され
る電子と気体分子との衝突確率は低下する。このため、
より多くの電子が検出器へ到達し、測定感度は向上す
る。さらに、紫外線や放出電子により励起された気体分
子による被測定物表面の変質がなくなる。
酸素濃度が高いガス中で測定を行うと、放出電子が酸
素にトラップされる確率が高まる。このため検出器へ到
達する酸素イオン数は多くなり、測定感度は向上する。
検出器の構造が簡単であるので、小型化することがで
きる。これにより、複数の検出器を並列に配設、動作さ
せることにより、迅速性を向上させることができる。
回路全体に電磁シールドを施すことにより、信号への
雑音の混入を防ぎ、これによって測定感度を向上させる
ことができる。
被測定物と検出器との間に電界を形成する。これによ
り、検出器へ到達する電子および酸素イオンの数は増加
し、測定感度は向上する。
照射するパルス紫外光の照射強度、波長、パルス幅、
繰り返し数を変化させると、被測定物固有の電子放出現
象を示す。このため、被測定物の定性的な情報を得るこ
とができる。
[実施例] 以下、図面により、本発明の一実施例を説明する。
実施例1. 第1図は、本発明を実現させるための装置構成の一実
施例を示したものである。大気中に設置した被測定物4
に、パルス紫外光照射ランプ1から放出されるパルス状
紫外光を照射すると、光電効果あるいは光励起エキソ電
子放出によりパルス状の電子が大気中に放出される。電
子の一部は大気中の酸素にトラップされ酸素イオンとな
り、その一部が検出器2により捕集される。検出された
酸素イオンの電荷はパルス状の電子流となる。この電子
流は、電流−電圧交換型の増幅器6により増幅されパル
ス状の電圧値として出力され、ストレージ型シンクロス
コープあるいはボックスカーインテグレータなどのパル
ス信号対応型の測定器7により測定される。測定器7に
よる計測結果は、記憶装置11に記憶させる。
10は制御装置で次の制御を行う。つまり、ランプ電
源9の制御による照射紫外光の照射強度、波長、パルス
幅、および繰り返し数の設定、被測定物の支持台であ
るXYステージ8の制御による被測定物4の測定領域設
定、および計測器7と紫外光照射の同期化など。
パルス紫外光照射ランプ1は、電磁シールドを施した
ランプホルダ3により固定する。ホルダ3内壁の紫外光
が当る部分には、ポリエチレンなど仕事関数の大きい物
質をコーティングして、この部分からの電子放出を防止
する。
検出器2は、第12図に具体的な組立構造図の一例を示
すように、銅などの導電性金属製の穴あき円板状の電極
200およびそのホルダ201よりなる。紫外線は電極200の
穴206を通して被測定物4に照射される。穴206の大き
さ、形状を変えることにより測定領域の大きさ、形状を
変えることができる。電極200は紫外光の光路上にある
ため、ランプ側の面には紫外光があたる。この時あたっ
た部分から電子放出が生じると、被測定物4より放出さ
れた電子と混ざるため測定精度が低下する。これを防止
するため、電極200の紫外光があたる部分にポリエチレ
ンなど仕事関数の大きい物質をコーティングして、電子
放出が生じない様にする。また、電極200の被測定物4
側の面は、電子、酸素イオンやこれらによって励起され
た酸素によって腐食することがある。これを防止するた
め白金など化学的に安定性の高い物質を保護膜としてコ
ーティングする。さらに電極200にはバイアス電源5
(第1図の検出器2と増幅器6との間に接続)により、
接地電位である被測定物4に対して+50Vの電圧を印加
する。これにより検出器2と被測定物4との間に、電子
あるいは酸素イオンが検出器2へ向かう方向の電界が形
成され、電子あるいは酸素イオンの捕集効率が向上す
る。
なお、上記第12図に示した検出器2の構成について、
さらに具体的に説明すると、穴あき円板形電極200の上
下をそれぞれスペーサ204を介して2枚の電磁遮蔽用金
属性メッシュ202で挾み、周囲を金属性円筒状ホルダ
(電極ホルダ本体)201で囲むと共に、電極ホルダふた2
03で固定した構造となっている。そして、穴あき円板形
電極200には信号を取り出すための電磁遮蔽付電線205が
接続されている。
第12図の電極200は、この実施例のように必ずしも円
板の穴1つに限定する必要はなく、後の実施例6の中で
具体的に説明するように複数の小さな穴のあいた円板や
メッシュ状の円板なども使用できる。これらは特に広い
面積の測定に於て有効である。
また、走査測定の代案として、実施例1の測定領域の
走査法としてのXYステージ8の移動による被測定物4の
移動以外に、ランプ1および検出器2を走査させる方法
を用いても同じ効果が得られる。
また、被測定物4と検出器2との間に電界を形成する
方法は、第1図のように必ずしも電極200にバイアス電
圧を印加する方法に限定する必要はなく、他に専用の電
極を用いても良い。
この第1図の装置を用いて半導体ウエハの表面状態の
計測を行ったが、後述の実施例で具体的に説明するよう
に高感度の測定結果が得られた。なお、光源としては、
波長が約250nmにピークのあるパルス幅0.2ミリ秒の紫外
光を用いた。
実施例2. 上記実施例1の説明では装置構成の一例を示したが、
本発明はこれに限定されるものではなく、次の様な装置
構成も可能である。
まず光源は、パルス紫外光照射ランプ1以外でも、紫
外光をパルス状に放出する光源、例えば、紫外光のエキ
シマパルスレーザなどの使用も可能である。
さらに、第10図に示すように連続光照射型の紫外線ラ
ンプでもチョッパ18を用いて照射光の単一パルス化を行
えば、本装置の光源として用いることができる。ここで
は、第10図の構成例について説明する。つまり、紫外光
の照射強度、波長、パルス幅および繰返し数の制御が可
能な光源部の一例を示す。この例では光源として連続ス
ペクトルを発生する重水素ランプ14を用いた。放出され
た光は、モノクロメータ16で分光し、チョッパ18でパル
ス化する。照射光の強度および波長はそれぞれランプ14
への入力電源15およびモノクロメータ16で制御し、パル
ス幅および繰返し数はチョッパ18のスリット幅および回
転数の組み合わせで制御する。なお、同図の17はモノク
ロメータ16を制御する分光器コントトローラ、そして19
はチョッパコントローラである。
光電子放出およびエキソ電子放出は被測定物4のバン
ド構造にも依存するため、紫外光の照射強度、波長、パ
ルス幅および繰り返し数を変化させた時の電子放出量は
被測定物固有の特性を示す。すなわち、紫外光の照射強
度、波長、パルス幅および繰り返し数を変化させて測定
を行うことにより、被測定物4の物性の知見を得ること
ができる。
第11図は、上記本発明の装置を用いて照射光の強度、
パルス幅および繰返し数を固定し、照射光のみを変化さ
せ、金属の清浄面を測定した結果である。信号は、パル
ス光のエネルギが被測定物4の仕事関数よりも大きい時
に検出されるので、上記装置で被測定物4の仕事関数を
測定することができる。
実施例3. この例は、上記実施例1に示した第1図のパルス紫外
光照射ランプ(光源部)1と検出器2とを一体化した構
造の装置を示したものである。
以下、第13図の組立展開図にしたがって説明する。電
磁遮蔽用メッシュ303は、ランプ(パルス点灯型キセノ
ンランプ)1を電磁的に遮蔽する役割を果たしている。
つまり、ランプ1は底302′に窓306のあいた電磁遮蔽を
するランプホルダ本体302の中に電磁遮蔽用メッシュ303
を介して装着され、ランプホルダふた301で固定されて
いる。そして、このランプホルダ本体302の底302′の外
周部に、その窓306の中心軸に絶縁体スペーサ304を介し
て、穴あき円板形光電子検出電極200の窓206の中心軸を
合わせ、これらの窓306,206′,206の中心軸が同軸上に
配列するように一体に配設固定されている。なお、この
例では、穴あき円板形光電子検出電極200が、ランプホ
ルダ本体302の底302′の外周部に絶縁体スペーサ304を
介して密着固定しているが、必ずしも密着させる必要は
なく、適当な治具を用いて各窓306,206′,206の中心軸
が同軸上に配列するように所定間隔をおいて一体化接続
してもよい。
実施例4. 第4図は、上記本発明の実施例に示した装置により、
前記従来の第2図と同じ半導体ウエハを測定した結果で
ある。第2図の従来装置による測定結果と比較すると、
測定に伴う信号値の減衰が明らかに無くなった。この結
果から本装置では測定に伴う被測定物のダメージやヒス
テリシスが生じないことがわかる。
第5図は、上記装置を用いて金属上のひっかき傷と汚
染膜の測定を行った結果である。ひっかき傷の部分では
エキソ電子放出に起因する信号値の増大が、汚染膜の部
分では汚染膜による電子放出の阻害に起因する信号値の
減少が見られた。この結果より上記装置は、金属あるい
は半導体上の傷や汚染膜などののモニタが可能であるこ
とを示す。
第6図は、上記装置を用いてシリコンウエハ上に薄く
成長させた熱酸化膜を測定し、その膜厚と信号値との関
係をまとめたものである。酸化膜厚が増加するに従って
信号値は小さくなり、両者の間に相関があることを示し
ている。この関係は被膜の仕事関数が照射紫外光のエネ
ルギより大きい時に成り立つ。被膜の種類が一定の時、
膜厚と信号値の対数との間には直線的な関係が成り立
ち、検量線の作成が容易であるため、この出力信号値か
ら酸化膜の厚さを知ることができ、本装置が膜厚測定へ
の適用が可能であることを示している。
第7図は、上記本発明の装置を用いて酸洗浄後の金属
の光電子放出量の変化を測定した結果である。洗浄後時
間の経過とともに光電子放出量は低下し、被測定物の表
面状態が変化した様子を量的に知ることができる。ま
た、従来の真空を必要とする表面状態の評価装置では極
めて困難であつた大気中あるいは液中処理直後の測定が
可能となる。
実施例5. 以上の説明では、測定を大気中で行う場合について述
べたが、本発明はこれに限らず測定を所定の置換雰囲気
内で行っても実現し得る。第8図に実施例1に示した前
記第1図のX−Yステージ8および検出器2を密閉容器
12内に配設した装置例を示す。この密閉容器12には、排
気口、ガス導入口、被測定物導入口、気圧計、観察用
窓、および紫外光照射用窓が設けられているが、この図
では、例えば溶融石英製の紫外光照射用窓81の他は省略
されている。密閉容器12内の空気を排気後、特定のガス
を特定の圧力になるまで導入して測定を行う。置換雰囲
気内での測定は、雰囲気ガスの性質により異なった特徴
を有する測定結果が得られる。アルゴンあるいはキセノ
ンあるいはクリプトン中では高感度な測定が可能とな
る。この現象は、これらのガス中ではガス分子と低エネ
ルギ電子との衝突確率が小さくなるラムザウア効果に起
因する。また、これらのガスは、空気の平均分子量より
大きいためガスの置換を容易に行うことができる。酸素
濃度が大気中より高い混合ガスを用いると、酸素にトラ
ップされる電子数が増加するため測定感度は向上する。
以上の説明では、X−Yステージ8および検出器2の
みを密閉容器12内に配設した装置例を示したが、本発明
はこれに限らず他の構成治具あるいは全ての構成治具を
この密閉容器12内に配設した装置としてもよくほぼ同様
の効果を得ることができる。
実施例6. 第9図に2つの検出器2を連結接続させた装置の構成
例を示す。
検出器2は構造が単純であるため、並列に動作させ測
定速度を向上させることができる。なお、検出器2の連
結数は2つに限るものではなく、必要に応じた数の連結
を行うことができる。ただし、この例のように複数個の
検出器2を並列接続する場合には、照射光が各検出器2
の窓206に垂直に入射するように凹レンズ13等の光学レ
ンズを用いることが望ましい。
実施例7. 第14図は、照射光による測定雰囲気中に存在する酸素
ガスの励起を防止する光源用フィルタの構成例を示した
ものである。このフィルタは、金属性の円筒21と2枚の
溶融石英製レンズ20とで構成されており、中には高純度
の酸素ガスが封入されている。このフィルタは、酸素中
あるいは酸素を含むガス雰囲気中での測定の際、照射光
用のフィルタとして用いるものである。
一般に、光源の紫外光の中には、酸素ガスを励起し酸
素イオンを生成するスペクトル成分が含まれている場合
が多く、この生成された酸素イオンが検出感度に誤差を
与え測定精度劣化を引き起こす。したがって、このフィ
ルタを光源側に予め設けておけば測定雰囲気中の酸素が
照射光によって励起されることがなくなり、測定雰囲気
の変化による測定精度劣化を低減することができる。
[発明の効果] 以上詳述したように、本発明により初期の目的を達成
することができた。すなわち、被測定物表面に紫外光を
単一パルス状に短時間照射し、光電子を単一パルス状に
1回放出させることにより、下記に示すような測定の安
定性、信頼性、及び測定効率を格段に向上させる効果を
有している。
a)被測定物からの放出電子量の低減: 被測定物から光電子が放出されると、その部分は空孔
となる。被測定物には、接地点からの電子供給によっ
て、空孔を消滅させ元の電子状態に戻ろうとする作用が
働くが、電子供給以上に光電子が放出されると、空孔は
紫外光照射領域の周辺部へ拡散する。このため、従来の
紫外光連続照射(したがって、光電子の連続放出)によ
り走査測定を行うと、上記空孔拡散のため信号値が徐々
に減少し(空孔がある部分は光電子放出量が少ないた
め)、測定の信頼性が低かった。
しかし、本発明では、光電子の放出を極めて短時間に
する(単一パルス的放出)ことにより、光電子の放出量
を低減し、上記の測定信頼性阻害要因を低減させること
が可能となった。
b)被測定物と検出器との間に形成される空間電荷によ
る測定信頼性の回避: 被測定物から電子が大量に放出されると、気体分子と
の衝突や、自らの電荷により形成される電界による減速
などの現象により、被測定物と検出器との間に電子が溜
り(空間電荷)、これが後発の電子の飛来を妨げ信号値
を著しく低下させることになる。
本発明では光電子の放出を1回とすることにより、空
間電荷による前記の測定阻害を回避し、測定精度を格段
に向上させることができた。
c)測定時間の短縮: 本発明では、紫外光の照射時間を極めて短いパルス幅
の時間に規制しそれに基づいてパルス幅の極めて短い単
一パルス状光電子を測定できる方法及び装置を用いたこ
とにより、測定領域1点当りの測定時間を飛躍的に短縮
させることができた。
d)測定値安定性の向上: 被測定物から放出された光電子は、検出電極に到達す
るまでの間に様々な作用(気体分子との衝突や検出電極
に印加された電圧による引力)を受けるため、これらの
作用のわずかな変化や被測定物−検出電極間距離隔の変
化により信号の出力特性が大きく変化する。このため従
来の装置で出力信号値を安定化させるためには上記のパ
ラメータを厳密に制御する必要があった。その点、本発
明では飛来する全ての電子を計数するため、前記パラメ
ータの変化により生じる出力特性の変化に影響を受け難
い。したがって、上記パラメータを厳密に制御すること
なく出力信号が安定した測定が可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明の一実施例の表面状態評価装置の基本構
成を示すブロック図、第2図は従来の技術で生じる信号
値減衰の様子を示した曲線図、第3図は同じく従来の技
術による被測定物ダメージに起因する信号値減衰の様子
を示した曲線図、第4図は本発明による装置での半導体
清浄面の測定例を示す特性図、第5図は本発明の装置に
よる傷および汚染膜のある金属面の測定例を示す説明
図、第6図および第7図はそれぞれ本発明の異なる実施
例の表面状態評価の測定結果を示す特性図、第8図およ
び第9図は本発明装置の異なる実施例の基本構成を示す
ブロック図、第10図は照射光のパルス化をチョッパを用
いて実現した本発明装置の異なる実施例の基本構成を示
すブロック図、第11図は本発明の装置で被測定物の仕事
関数を測定した特性曲線図、第12図は本発明装置に用い
る検出器の一例を示す組立展開図、第13図は本発明の光
源ランプと検出器とを一体構造とした装置要部の組立展
開図、そして第14図は本発明のフィルタの構成を示す組
立展開図である。 符号の説明 1……パルス点灯型キセノンランプ、 2……穴あき円板形放出電子検出器 3……電磁遮蔽を施したランプホルダ 4……被測定物、5……バイアス電源 6……電流−電圧変換型広帯域プリアンプ 7……パルス信号対応型計測器 8……可制御型X−Yステージ 9……キセノンランプ専用電源 10……制御装置、11……記憶装置、12……真空容器 13……光用凹レンズ、14……重水素ランプ 15……重水素ランプ用電源、16……分光器 17……分光器コントローラ、18……チョッパ 19……チョッパコントローラ 20……溶融石英ガラス円板、21……円筒 200……電極、201……電極ホルダ 202,303……電磁遮蔽用メッシュ 203,301……ふた、204……スペーサ 205……電線、206,206′,306……窓

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】紫外線を被測定物表面に照射した時に、こ
    の照射に基づいて被測定物表面から発生する電子を検出
    し、その検出量から前記被測定物の表面状態を評価する
    方法において、紫外光を被測定物表面に単一パルス状に
    短時間照射し、これにより被測定物表面から発生する単
    一パルス状の電子を被測定物と電子捕集電極との間に形
    成した電界により集中せしめて電子捕集電極に捕集し、
    捕集した電子の量を時分割計測することを特徴とする表
    面状態評価方法。
  2. 【請求項2】少なくとも紫外線を被測定物表面にパルス
    状に短時間照射する手段と、これにより被測定物表面か
    ら発生する単一パルス状の電子を電子分光することなく
    一括的に捕集検出する検出器と、被測定物と電子捕集電
    極との間に電界を形成する手段と、捕集した電子を計数
    する計測器とを備えて成る表面状態評価装置。
  3. 【請求項3】少なくとも上記被測定物および検出器を密
    閉容器内に配設し、前記容器内の被測定物と電子捕集電
    極との間の雰囲気を、測定毎に所定ガス雰囲気に置換し
    て計測し得る手段を設けて成る請求項2記載の表面状態
    評価装置。
  4. 【請求項4】上記検出器を一つの紫外光源に対し複数個
    並列接続し、かつ照射光がこれら各検出器に垂直に入射
    するように光学レンズを配設して成る請求項2もしくは
    3記載の表面状態評価装置。
  5. 【請求項5】上記照射するパルス紫外光の照射強度、波
    長、パルス幅および繰返し数の少なくとも1者を変化さ
    せる制御手段を有して成る請求項2、3もしくは4記載
    の表面状態評価装置。
  6. 【請求項6】上記検出器を電磁的に遮蔽してなる検出器
    を備えた請求項2、3、4もしくは5記載の表面状態評
    価装置。
  7. 【請求項7】上記紫外光光源と検出器とを一体化構成と
    した請求項2、3、4、5もしくは6記載の表面状態評
    価装置。
  8. 【請求項8】上記紫外光光源に測定雰囲気中の酸素ガス
    を励起するスペクトル成分を除去もしくは低減するフィ
    ルタを設けて成る請求項2、3、4、5、6もしくは7
    記載の表面状態評価装置。
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