JP2689837B2 - 黒鉛球状化処理合金 - Google Patents

黒鉛球状化処理合金

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  • Refinement Of Pig-Iron, Manufacture Of Cast Iron, And Steel Manufacture Other Than In Revolving Furnaces (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、溶銑中に添加してこの
溶銑を黒鉛球状化するために用いられる球状黒鉛鋳鉄及
びコンパクテッドバーミキュラー鋳鉄製造用として有用
な黒鉛球状化処理合金に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】球状黒
鉛鋳鉄及びコンパクテッドバーミキュラー鋳鉄は、溶銑
(通称元湯)中に、マグネシウム、希土類元素、カルシ
ウム等の黒鉛球状化能を有する黒鉛球状化元素を、通
常、単体又は合金の形で添加することにより製造されて
いる。
【0003】この場合、黒鉛球状化元素の中ではマグネ
シウムが最も安価であり、かつ黒鉛球状化能が優れてい
るため、主としてマグネシウムを添加することにより、
上記鋳鉄を製造することが一般的に行われている。しか
し、マグネシウムは溶銑に比べて沸点が低いので、溶銑
温度において高蒸気圧となり、また、比重も小さいた
め、溶銑への添加に際して激しい沸騰性反応を伴うもの
である。このため、通常、マグネシウム−シリコン−鉄
から基本的に構成される合金(黒鉛球状化処理合金)の
形で溶銑中に黒鉛球状化元素を添加している。
【0004】一方、上記黒鉛球状化処理合金中に含まれ
る希土類元素の約50重量%を占めるセリウムは、黒鉛
球状化処理合金中では主にシリコン及びカルシウムと共
存する形で含有されるが、黒鉛球状化元素と比較して原
子量も大きく、高価であるため、コンパクテッドバーミ
キュラー鋳鉄製造に用いる場合などの特殊な場合を除
き、黒鉛球状化阻害元素の中和作用を目的として必要に
応じて上記マグネシウム−シリコン−鉄合金中に含有せ
しめることが一般的に行われている。
【0005】また、カルシウムは、黒鉛球状化処理合金
中でシリコン又はシリコン及びマグネシウムと共存する
形で含有され、通常、黒鉛球状化処理合金中に10重量
%以下の量で含有しているものであるが、その黒鉛球状
化作用や脱硫効果よりも、上述したマグネシウム添加の
際に発生する沸騰性反応を緩和することを目的とし、溶
銑の温度、処理取鍋の容量及びその形状等の黒鉛球状化
処理条件に応じて適当量を含有させ、合金化することに
よって用いている。
【0006】しかしながら、カルシウムはマグネシウム
の反応性を緩和する反面、溶銑中にほとんど溶解せず、
黒鉛球状化処理後の反応生成物(酸化物や硫化物)とし
て、溶銑中に懸濁又は浮上する。この場合、懸濁物は、
溶銑が鋳型内に注入されて鋳造された製品中に存在する
ため、いわゆるドロス欠陥の原因となったり、大気との
反応によるガス欠陥を誘引するおそれがある。また、こ
の反応生成物は、黒鉛球状化処理後の溶銑中に浮上し、
マグネシウムなどによる反応生成物とあいまってスラグ
化し、これらのスラグは鋳型への注入前に通常人手によ
り取り除くことになるが、高熱下で行われる除滓作業は
現場作業者にとって大きな負担となっている。
【0007】そこで、黒鉛球状化処理合金中にカルシウ
ムによってもたらされるかかる弊害を除去し、かつカル
シウム含有合金と同レベルの反応性を維持した黒鉛球状
化処理合金として、炭素を黒鉛球状化処理合金中に固溶
体として存在せしめることにより、カルシウム含有合金
と同様の反応抑制効果を得る合金(特公昭61−274
43号公報、特公平4−54723号公報)が提案され
ている。
【0008】なお、従来のカルシウム含有の黒鉛球状化
処理合金の反応抑制効果は、カルシウムがシリコンやマ
グネシウムと共存することにより(即ち、金属間化合物
を形成することにより)マグネシウムが沸点上昇及び蒸
気圧低下を生じることによると考えられる。このことは
一般に溶鋼中へのカルシウム添加の際、同量のカルシウ
ム添加速度でもカルシウム単体よりもカルシウムシリサ
イドの形態によるものの方が反応性が緩和されることと
同様の理由によるものと推察される。また、詳細は不明
であるが、炭素を固溶体として含有せしめた特公昭61
−27443号公報、特公平4−54723号公報の発
明による合金における反応抑制効果についても同様の機
構により得られるものと推察される。
【0009】しかし、これらの従来の黒鉛球状化処理合
金は、処理後におけるスラグ発生量がなお多く、作業性
の点でも問題がある。
【0010】本発明は上記事情に鑑みなされたもので、
従来の黒鉛球状化処理合金と同様の添加方法で添加する
ことができると共に、同程度以上の黒鉛球状化能力を有
し、かつスラグ発生量が低減し、しかもスラグ性状が改
善されて、上記鋳造欠陥発生の回避及び鋳造の際の現場
作業者の作業負担の低減を図ることができる黒鉛球状化
処理合金を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明者は上記
目的を達成するため鋭意検討を行った結果、溶銑中に黒
鉛球状化処理合金を添加してこの溶銑を黒鉛球状化処理
する場合、2〜7重量%のマグネシウム、40〜55重
量%のシリコン、0.5〜2重量%の炭素、残部が鉄及
び不可避的不純物からなり、上記炭素の大部分が独立し
た微細黒鉛相として分散晶出してなる黒鉛球状化処理合
金を使用することが有効であることを知見した。
【0012】即ち、本発明の黒鉛球状化処理合金は、従
来の黒鉛球状化処理合金中のカルシウムの一部又は全部
を黒鉛相に置き換えたもので、従来の黒鉛球状化処理合
金におけるカルシウムや固溶体としての炭素による反応
抑制機構とは異なり、黒鉛球状化処理合金中に細かく分
散した独立した微細黒鉛相自体が合金の溶解性を遅延さ
せることにより、合金中のマグネシウムが急速に溶銑中
に供給されることを妨げる反応抑制機構を有する。即
ち、通常、高炭素、高シリコンである鋳鉄溶銑、特に球
状黒鉛鋳鉄溶銑では、黒鉛は容易に溶銑中には溶解せ
ず、従って黒鉛球状化処理合金の溶解の進行を遅らせる
結果となる。このことにより、全体としてマグネシウム
と溶銑との反応時間が長期化し、単位時間当りのマグネ
シウムの蒸発量が低減され、このめ反応性が緩和される
ことになる。更に、溶銑中に存在する未溶解の微細黒鉛
相は、以下の効果をももたらす。即ち、溶銑中に排出さ
れた未溶解微細黒鉛は、黒鉛球状化処理後、溶銑中に懸
濁するマグネシウムやシリコン、アルミニウムなどの反
応生成物である微細酸化物及び硫化物と衝突し、これら
を吸着せしめ、溶銑より浮上するに従って衝突、吸着を
繰り返すことによって成長し、溶銑から浮上分離する。
浮上分離した未溶解黒鉛を核としたスラグは、更に溶銑
表面上で衝突、吸着を行うことにより、従来の黒鉛球状
化処理合金と同程度の反応性及び黒鉛球状化能を維持し
たまま、従来の溶銑表面に一様に浮上する流動性の高い
スラグ性状とは異なる凝集した形態のスラグを形成す
る。このため、本発明による黒鉛球状化処理合金により
処理された溶銑に浮上するスラグは極めて除滓し易い形
態となり、除滓材の散布量も少なくて済み、結果として
作業者の除滓作業を低減することになるものである。
【0013】従って、本発明は、溶銑中に添加し、該溶
銑を黒鉛球状化処理するために用いられる黒鉛球状化処
理合金であって、2〜7重量%のマグネシウム、40〜
55重量%のシリコン、0.5〜2重量%の炭素、残部
が鉄及び不可避的不純物からなり、上記炭素の大部分が
独立した微細黒鉛相として分散晶出してなることを特徴
とする黒鉛球状化処理合金を提供する。この場合、必要
により更に希土類元素を0.5〜9重量%、カルシウム
を0.5〜3重量%含有せしめることができる。
【0014】以下、本発明を更に詳しく説明すると、本
発明の黒鉛球状化処理合金は、上述したように鉄、シリ
コンを主成分とし、マグネシウム、炭素、更に必要によ
り希土類元素やカルシウムを上記特定量で含有し、かつ
この炭素の大部分が独立した微細黒鉛相として分散晶出
してなるものである。
【0015】ここで、本発明の黒鉛球状化処理合金にお
いて、該合金中のマグネシウム量は2〜7重量%とする
ものである。マグネシウム量が2重量%より少ないと、
本発明の合金を溶銑に添加するときの添加量が多くな
り、経済性等の点で好ましくない。一方、本発明の黒鉛
球状化処理合金は、黒鉛球状化能力を損なわずに、その
反応性の抑制及び発生スラグ量の低減、スラグの流動性
等の物理的性質の改善を目的とすることから、マグネシ
ウムが7重量%を越えると、特に厚肉鋳物においては黒
鉛が鋳型上部に浮上し、製品中に偏析する現象(いわゆ
るカーボンフローテーション)を助長するおそれがあ
る。
【0016】また、シリコン含有量は、マグネシウムが
シリコンとMg2Siなる金属間化合物を形成し、かつ
FeSiFeSi2なる金属間化合物と安定的に共存し
得るようにするため、40重量%以上であることが必要
であり、かつ本発明の合金の比重を大きくし、その浮上
を避ける点から55重量%以下である。
【0017】鉄含有量については、比重を大きくすると
いう観点から、なるべく多く含有させることが理想であ
るが、マグネシウムを安定して合金中に存在させるべき
シリコン量により、その上限値が決定される。この場
合、本発明による合金中のシリコン量の範囲では、他の
合金元素(炭素、カルシウム、希土類元素等)を除く残
部として差し支えない。
【0018】また、本発明の合金中に含有する炭素量は
0.5〜2重量%であることが必要であるが、これは炭
素が0.5重量%未満ではカルシウムの代替としてマグ
ネシウムの反応を抑制するのに不十分であり、2重量%
を越えると本発明の合金鋳造過程において合金溶液から
の黒鉛の浮上・分離を生じてしまうこととなり、結果と
して2重量%を越える炭素を独立した微細黒鉛相として
分散晶出させることが困難である。
【0019】なお、この炭素量のうち70重量%以上、
特に90重量%以上が黒鉛であることが好ましい。ま
た、この微細黒鉛相の大きさは長径10〜100μm、
分散密度は50〜400個/mm2とすることが好まし
い。
【0020】本発明の黒鉛球状化処理合金には、更に必
要により希土類元素を0.5〜9重量%添加することが
できる。球状黒鉛鋳鉄製造では、希土類元素は主に黒鉛
球状化阻害元素の中和元素として用いられ、従ってその
含有量は溶銑中の黒鉛球状化阻害元素の含有量及び肉厚
等の製品条件によって決定され、この場合の黒鉛球状化
処理合金中の希土類元素の含有量は0.5〜4重量%と
することが好ましい。
【0021】他方、コンパクテッドバーミキュラー鋳鉄
製造では、黒鉛形状を片状と球状の中間位置に管理する
ことが必要なので、黒鉛球状化作用の制御を厳密に行う
ことが必要であり、黒鉛球状化能の強いマグネシウムだ
けで制御しようとする場合、マグネシウムの含有量に変
動があった場合、組織上の変動を誘起させ易い。従って
コスト的に可能な限り、マグネシウム添加量をなるべく
低位に抑え、溶銑や他の球状化処理条件の変動要因につ
いては、黒鉛球状化能の弱い希土類元素添加により制御
する方法を採ることが好ましく、従って残留マグネシウ
ムを低位(0.015〜0.03重量%)に保ち、希土
類元素により黒鉛形状を制御することが好ましい。この
場合、黒鉛球状化処理合金中の希土類元素の含有量は3
〜9重量%とすることが好ましい。
【0022】また更に、本発明の黒鉛球状化処理合金中
にはカルシウムを添加することもできる。即ち、本発明
による黒鉛球状化処理合金は、上述したように、炭素を
独立した微細黒鉛相として晶出させ、黒鉛球状化処理時
のマグネシウムの反応性を抑制することを特長としてい
るが、2重量%を越える黒鉛を本発明の合金中に独立微
細相として分散晶出させることは困難である。一方、処
理条件により黒鉛球状化処理温度が過度に高い場合、高
マグネシウム合金とすることによってコスト低減を図る
場合、処理取鍋の形状が溶銑飛散を招き易いため、通常
の合金以上に反応抑制する必要があるときなどには、
0.5〜2重量%の炭素含有量では不足である。この場
合、本発明による合金の特色を損なわない範囲、即ち
0.5〜3重量%のカルシウムを併用することが好まし
い。
【0023】本発明の黒鉛球状化処理合金は、公知の方
法によって製造することができ、鉄やフェロシリコンを
主原料として用い、これの溶融物に上記マグネシウムや
炭素といった所用添加成分又は当該添加成分を供給し得
る成分を上記所用含有量となるように添加することによ
り得ることができる。本発明の黒鉛球状化処理合金は、
溶銑中に添加して溶銑の黒鉛球状化処理に用いられるも
のであり、その使用方法、黒鉛球状化処理の方法として
は、公知方法を採用することができる。
【0024】
【実施例】以下、実施例と比較例を示し、本発明を具体
的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるも
のではない。
【0025】〔実施例1,比較例1〕表1に示す化学組
成の本発明による黒鉛球状化処理合金A及び従来型合金
Bを調製した。これらは合金中に分散晶出する炭素の効
果のみを比較するために、マグネシウム、全希土類元素
(T.RE)の含有量を同水準とし、黒鉛球状化処理時
の反応抑制を目的とする炭素並びにカルシウム含有の影
響についてのみ比較した。
【0026】ここで、図1に本発明による黒鉛球状化処
理合金、図2に従来型合金の組織を表わす金属顕微鏡写
真(倍率100倍)を示す。また、図3〜10に本発明
による黒鉛球状化処理合金中の各含有元素の存在状態を
表わすEPMA分析による各含有元素の特性X線像(S
EM像の倍率500倍)を示す。これらの顕微鏡写真に
より、本発明による黒鉛球状化処理合金中の炭素はその
大部分が独立した微細黒鉛相を形成していることがわか
る。
【0027】次に、500Hz、500kW、容量50
0kgの高周波誘導電気炉中で表2に示す組成(実施例
と比較例がほぼ同組成)の溶銑を溶製した。他方、黒鉛
球状化処理専用取鍋のポケット中に表1に示す合金A又
はBを1.3重量%、フェロシリコン系接種剤0.3重
量%、鉄スクラップ(通称カバー材)0.5重量%の順
に装填した。
【0028】次いで、上記溶銑全量を1520℃に昇温
して取鍋に注入し、黒鉛球状化処理を行い、反応状況を
観察すると共に、一定量の除滓材を散布し、反応生成物
であるスラグと共に捕獲し、その重量を測定することに
より、スラグ発生量の相対的比較を行った。これらの結
果を表3に示す。また、処理後10分間経過した時点で
試料を採取して発光分光分析によって化学組成を調べ、
機械的性質測定用としてJIS G5502に定めたB
号試験片を採取し、機械的性質を測定した。これらの結
果をそれぞれ表4,5に示す。更に、上記合金A,Bを
用いて得られた鋳鉄の金属顕微鏡組織をそれぞれ図1
1,12に示す(倍率100倍,腐食あり)。
【0029】
【表1】
【0030】
【表2】
【0031】
【表3】
【0032】
【表4】
【0033】
【表5】
【0034】表3から、本発明による黒鉛球状化処理合
金を用いた場合、従来の合金を用いた場合に比べて反応
時間が長く、結果として穏やかな反応となっていること
がわかる。また、発生したスラグ量も従来型合金による
場合の70%以下となっている。他方、表4に示す黒鉛
球状化処理後の溶銑の分析結果から、添加マグネシウム
の残留歩留りも、従来型合金によるものとほぼ同水準で
あり、従って表5に示すように、得られた鋳鉄の機械的
性質も同程度ものとなっていることがわかる。
【0035】〔実施例2,比較例2〕表6に示す化学組
成の本発明による黒鉛球状化処理合金C及び従来型合金
Dを調製した。本実施例の場合、比較的厚肉の鋳物製造
を対象としているため、希土類元素含有量は低位となっ
ている。また、取鍋も黒鉛球状化処理専用でないため、
球状化処理時の溶湯飛散を考慮して通常よりも反応抑制
元素を多量に含有させる必要があるので、黒鉛相として
の炭素に加えて最小限のカルシウムを含有させることに
より、反応抑制を過度に行っているものである。なお、
合金Cの金属顕微鏡組織を観察した結果、微細黒鉛相が
分散、晶出していることが認められた。
【0036】本実施例では50Hz、1200kW、5
000kg容量の低周波誘導電気炉により、表7に示す
組成の溶銑をそれぞれ溶製し、実施例1と同様、1.2
重量%の黒鉛球状化処理合金、0.3重量%の接種剤、
0.7重量%の鉄スクラップを装填した取鍋に1500
℃の出湯温度で2000kgの溶銑を注入し、黒鉛球状
化処理を行った。反応状況の観察、発生スラグの計量及
び得られた鋳鉄の化学組成や機械的性質の測定等は実施
例1と同様の方法で行った。
【0037】表8にそのときの反応状況を、表9,10
それぞれに得られた鋳鉄の化学組成分析結果及び機械的
性質の測定結果を示す。また、合金C,Dを用いて得ら
れた鋳鉄の金属顕微鏡組織をそれぞれ図13,14に示
す(倍率100倍,腐食なし)。
【0038】
【表6】
【0039】
【表7】
【0040】
【表8】
【0041】
【表9】
【0042】
【表10】
【0043】上記の結果より、本発明による黒鉛球状化
処理合金は、従来型合金とほぼ同等の反応性を示すと共
に、鋳鉄の機械的性質、黒鉛組織についても同等の状態
を維持しながら、発生スラグ量が3/4に低減し、しか
もスラグの性状も改善されていることがわかる。
【0044】〔実施例3,比較例3〕この例は、コンパ
クテッドバーミキュラー鋳鉄製造に適用した例で、表1
1に示す化学組成の本発明による黒鉛球状化処理合金E
及び従来型合金Fを調製した。
【0045】ここで、コンパクテッドバーミキュラー鋳
鉄は、黒鉛組織上、球状黒鉛鋳鉄と片状黒鉛鋳鉄の中間
に位置するため、含有される黒鉛球状化元素、特にマグ
ネシウムのような強い黒鉛球状化能を有する元素の含有
量の変動は組織上の変動を誘起させ易い。従って、通常
コスト的に可能な限り、マグネシウム添加量をなるべく
低位に押さえ、溶銑や他の球状化処理条件の変動要因に
ついては、黒鉛球状化能の弱い希土類元素添加により制
御する方法が取られている。
【0046】本発明による合金も同様の観点により設計
されている。なお、合金Eの金属顕微鏡組織を観察した
結果、微細黒鉛相が分散、晶出していることが認められ
た。
【0047】次に、500Hz、500kW、容量50
0kgの高周波誘導電気炉にて表12に示す化学組成の
溶銑をそれぞれ溶製し、黒鉛球状化処理専用取鍋中に表
11に示す合金をそれぞれ0.7重量%、フェロシリコ
ン系接種剤0.3重量%、鉄スクラップ系カバー材0.
3重量%の順に装填し、1520℃に昇温した溶銑全量
をそれぞれ取鍋中に注入することにより、実施例1と同
様の方法で球状化処理時の反応状況、得られた鋳鉄の黒
鉛組織、化学組成、機械的性質の測定を行った。これら
の結果を表13〜15に示す。また、合金E,Fを用い
て得られた鋳鉄の金属顕微鏡組織をそれぞれ図15,1
6に示す(倍率100倍,腐食なし)。
【0048】上記の結果より、本発明による合金は、従
来型合金と比べ、反応抑制効果も十分で、目的とする黒
鉛組織、機械的性質を維持しながら、スラグ発生量が低
減され、かつスラグ性状が改善されていることがわか
る。
【0049】
【表11】
【0050】
【表12】
【0051】
【表13】
【0052】
【表14】
【0053】
【表15】
【0054】従って、以上の実施例から、本発明による
黒鉛球状化処理合金の特長である合金中に微細分散した
独立した黒鉛相の存在が、従来型合金中に反応抑制効果
を目的として含有されるカルシウムの代替として有効で
あり、黒鉛の発生スラグ凝集効果による発生スラグ量の
低減、スラグ性状の改善に役立つことが明らかである。
【0055】
【発明の効果】本発明の黒鉛球状化処理合金によれば、
カルシウムの一部又は全部を合金中に細かく分散した黒
鉛相に置き換えることにより、従来型の黒鉛球状化処理
合金と同様の添加方法を採用して、従来型合金と同程度
又はそれを越える反応性及び黒鉛球状化能を維持したま
ま、スラグの発生量を減少させ、しかも黒鉛による反応
生成物の凝集作用によってスラグ性状を改善し得るの
で、鋳造欠陥発生の回避並びに黒鉛球状化処理時に不可
欠な除滓作業を大幅に緩和して、現場作業者の作業負担
の低減を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による黒鉛球状化処理合金の組織を示す
金属顕微鏡写真である。
【図2】従来型合金の組織を示す金属顕微鏡写真であ
る。
【図3】本発明による黒鉛球状化処理合金中の各含有元
素の存在状態をEPMA分析による特性X線像で示すも
ので、そのうちのSEM像である。
【図4】Mgの存在状態を表わす特性X線像である。
【図5】Siの存在状態を表わす特性X線像である。
【図6】Feの存在状態を表わす特性X線像である。
【図7】Caの存在状態を表わす特性X線像である。
【図8】Cの存在状態を表わす特性X線像である。
【図9】Ceの存在状態を表わす特性X線像である。
【図10】Alの存在状態を表わす特性X線像である。
【図11】合金Aを用いて得られた鋳鉄の組織を示す金
属顕微鏡写真である。
【図12】合金Bを用いて得られた鋳鉄の組織を示す金
属顕微鏡写真である。
【図13】合金Cを用いて得られた鋳鉄の組織を示す金
属顕微鏡写真である。
【図14】合金Dを用いて得られた鋳鉄の組織を示す金
属顕微鏡写真である。
【図15】合金Eを用いて得られた鋳鉄の組織を示す金
属顕微鏡写真である。
【図16】合金Fを用いて得られた鋳鉄の組織を示す金
属顕微鏡写真である。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 溶銑中に添加し、該溶銑を黒鉛球状化処
    理するために用いられる黒鉛球状化処理合金であって、
    2〜7重量%のマグネシウム、40〜55重量%のシリ
    コン、0.5〜2重量%の炭素、残部が鉄及び不可避的
    不純物からなり、上記炭素の大部分が独立した微細黒鉛
    相として分散晶出してなることを特徴とする黒鉛球状化
    処理合金。
  2. 【請求項2】 上記黒鉛相以外の合金基地中に0.5〜
    9重量%の希土類元素を含有せしめたことを特徴とする
    請求項1記載の黒鉛球状化処理合金。
  3. 【請求項3】 上記黒鉛相以外の合金基地中に0.5〜
    3重量%のカルシウムを含有せしめたことを特徴とする
    請求項1又は2記載の黒鉛球状化処理合金。
JP35103192A 1992-12-04 1992-12-04 黒鉛球状化処理合金 Expired - Lifetime JP2689837B2 (ja)

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