JP2688842B2 - アンチスキッドブレーキ装置 - Google Patents

アンチスキッドブレーキ装置

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隆一 田中
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) この発明は、車両等に用いられるアンチスキッドブレ
ーキ装置、特に、アンチスキッド装置ととも液圧制御弁
を含むブレーキ回路に適用して有効な技術に関する。
(従来の技術) 一般に、車両等のブレーキ回路には、ブレーキ作動時
の安全を確保するため、種々の制御装置が設けられてい
る。液圧制御弁、およびアンチスキッド装置は、そうし
た制御装置の代表的なものである。
液圧制御弁は、所定の液圧以上において、後輪のホイ
ールシリンダ側の液圧を、前輪側のブレーキ液圧に対応
するマスタシリンダ側のそれに比べて減圧制御する弁で
ある。プロポーショニングバルブは、その一例であり、
設定液圧になると、ピストンがばね力に打ち勝って動
き、マスタシリンダ側とホイールシリンダ側とを閉じ、
減圧制御を始める。
一方、アンチスキッド装置は、ブレーキ液圧を自動的
に制御することによって、車輪のロックを防止する装置
である。このアンチスキッド装置は、たとえば実開昭59
−63063号の公報が示すように、マスタシリンダとホイ
ールシリンダとの間に、通常ユニット化して設けられ、
アンチスキッド制御弁、その一つのポートに連なる弛め
回路、弛め回路の中のリザーバおよびポンプ等を含む。
こうしたアンチスキッド装置では、アンチスキッド制御
弁を切り換え制御することによって、ホイールシリンダ
側の作動液を弛め回路に排出し、その排出した作動液を
ポンプで加圧してマスタシリンダ側に戻し、その後の制
御においてアンチスキッド制御弁を通して再びホイール
シリンダ側に送り込むようにしている。
(発明が解決しようとする課題) 以上のようなアンチスキッド装置および液圧制御弁の
両方をブレーキ回路に設ける場合、液圧制御弁を、アン
チスキッド装置のポンプの戻し部よりも上流側、つま
り、マスタシリンダに近い側に配置することが好まし
い。それによって、後輪ブレーキでは、液圧制御弁で減
圧制御された液圧を基にしてアンチスキッド制御するこ
とができ、その制御が容易になる。
ところが、そのような配置にすると、ポンプからの戻
し圧の影響を受けて、液圧制御弁に不具合を生じる。す
なわち、ポンプからの戻し圧は、液圧制御弁が減圧制御
しているとき、閉弁している液圧制御弁の弁部分を開弁
してマスタシリンダ側に逆流するため、異音が生じた
り、弁部分が損傷したりする。
この発明は、以上の点を考慮してなされたものであ
り、液圧制御弁における、異音の発生および損傷を防止
するようにした技術を提供することを目的とする。
(発明の概要) この発明では、アンチスキッド制御の開始に応じて、
前記液圧制御弁の機能を無効化するようにしている。
無効化とは、液圧制御弁の弁部分を開いたままにする
ことである。弁部分を開いたままの状態にするため、前
記ポンプからの戻し圧があっても、液圧制御弁はそれを
スムーズにマスタシリンダ側に戻すことになる。
(実施例) 第1図は、いわゆる3チャンネルのアンチスキッドブ
レーキ装置の配管系統を示し、また、第2図は、液圧制
御弁であるプロポーショニングバルブの部分断面構造を
示している。
アンチスキッドブレーキ装置10は、圧力発生源として
タンデム型のマスタシリンダ11を有する。マスタシリン
ダ11は、運転手のペダル操作により二つの液圧室(図示
しない)に圧力を生じる。このマスタシリンダ11の一方
の液圧室は、管路12を通してアンチスキッド装置13f,13
f′に連絡し、そこからさらに別個の管路14a,14bを通し
て左右の前車輪ホイールシリンダ15f,15f′に各々独立
して連絡している。また、マスタシリンダ11の他方の液
圧室は、プロポーショニングバルブ30および管路16を通
して一つのアンチスキッド装置13rに連絡し、その共通
のアンチスキッド装置13rから管路17を通して左右の後
車輪ホイールシリンダ15r,15r′に連絡している。各ア
ンチスキッド装置13f,13f′,13rは、たとえば前記した
公報にも示されるように良く知られたもので、図示しな
いが、電磁弁からなるアンチスキッド制御弁、一端がア
ンチスキッド制御弁の弛めポートに接続された弛め回
路、弛め回路に配置されたリザーバおよび液圧ポンプ等
を各々含んでいる。
また、プロポーショニングバルブ30は、マスタシリン
ダ11のシリンダボディ11aと一体化したハウジング31内
にある。このプロポーショニングバルブ30は、軸線方向
に移動可能な段付きのピストン20を有する。ピストン20
は、三分割した支持部材21a,21b,21cによって支持され
ている。両端の支持部材21a,21cは合成樹脂製であり、
また、真ん中の支持部材21bは金属製である。ピストン2
0は、主として両端の支持部材21a,21cに支持されつつ、
軸線方向に移動可能である。各支持部材21a,21cが支持
する部分は、各々、シールリング22a,22cによってシー
ルされている。ピストン20の移動量は、たとえば0.6mm
程度であり、その移動(第2図の左方向の動き)によっ
て、途中の部分201がリップ型のシール部材23に当た
り、シールされる。
そして、真ん中に支持部材20bの外周には、二つのシ
ールリング24a,24bがあり、プラグ部材32とシールリン
グ24aとの間に入口25、また、両シールリング24a,24bの
間に出口26が各々設けられている。これらの入口25およ
び出口26は、ピストン20の周りのシール部材23に対し、
ピストン20の軸線上、前後に位置している。入口25は、
マスタシリンダ11の後車輪系統の液圧室に連絡し、ま
た、出口26は、前記したとおり、管路16を通してアンチ
スキッド装置13rに連絡している。
ピストン20には、ばね33による力のほか、液圧に基づ
く力が加わる。今まで、ピストン20の右端部202には、
前車輪系統のフェイル対策のため、前車輪系統のマスタ
シリンダ側の液圧が加えられていたが、このアンチスキ
ッドブレーキ装置10では、第1図に破線で示す管路18を
通して前車輪系統のホイールシリンダ15f′側の液圧を
加えるようにしている。
ここで、シールリング22aによって定まるピストン20
の左端部200の受圧面積をS0、シール部材23によって定
まるピストン20の途中の部分201の受圧面積をS1、シー
ルリング22cによって定まるピストン20の右端部202の受
圧面積をS2、また、ばね33による力をf、液圧をPとす
ると、通常のブレーキ作動時、ピストン20には次のよう
な力が加わる。
左から右へ向かう力:F1 =(S1−S0)P+f 右から左へ向かう力:F2 =(S2・P+(S1−S2)P =S1・P 入口25からの液圧が所定値になるまでは、F1>F2であ
り、シール部材23はピストン20の周りをシールすること
なく、入口25側と出口26側とは連絡している。しかし、
液圧が所定値に達すると、F1≦F2となり、ピストン20が
左方向に移動し、入口25側と出口26側とを閉じる。その
後、液圧の上昇に伴なって、ピストン20は微妙に動いて
所定の減圧制御をすることになる。
ところで、アンチスキッド制御時には、ホイールシリ
ンダ側の液圧が大きく低下するため、F2を規定する。S2
・P項を無視することができ、F2≒(S1−S2)Pで表わ
すことができる。そこで、F1>F2となり、ピストン20は
作動することなく、プロポーショニングバルブ30は実質
的に非作動状態、つまり、入口25側と出口26側とを開い
たままにする。これにより、前記した異音の発生および
弁部分の損傷の各問題を未然に防止することができる。
要するに、この発明では、アンチスキッド制御の開始
に応じて、液圧制御弁の機能を無効化するのであるが、
図に示した実施例では、液圧制御弁としてのプロポーシ
ョニングバルブ30に対する配管を一部変えれば良く、容
易に実施することができる。
なお、液圧制御弁の機能を無効化する手段として、前
記実施例では、ピストン20の右端部202に対して液圧を
直接加えるようにしているが、別のピストンを介して間
接的に加えるようにしたり、あるいは、アンチスキッド
制御の開始に応じて、ばね33の力を増加するように構成
するなど、種々の方法を用いることができる。
(発明の効果) この発明によれば、アンチスキッド制御の開始に応じ
て、液圧制御弁の機能を無効化するようにしているた
め、液圧制御弁における、異音の発生および弁部分の損
傷の問題を未然に避けることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図は、この発明の一実施例を示す配管図、そして、 第2図は、液圧制御弁の部分の断面図である。 10……アンチスキッドブレーキ装置、 11……マスタシリンダ、13f,13f′,13r……アンチスキ
ッド装置、15f,15f′,15r,15r′……ホイールシリン
ダ、 20……ピストン、23……シール部材、 25……入口、26……出口、30……プロポーショニングバ
ルブ(液圧制御弁)、33……ばね。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】運転手の操作により圧力を発生するマスタ
    シリンダと、圧力を供給されてブレーキ作動を行なう後
    車輪ホイールシリンダと、マスタシリンダと前記ホイー
    ルシリンダとの間に配置されるアンチスキッド制御弁
    と、マスタシリンダとアンチスキッド制御弁との間に設
    けられ、所定圧以上でアンチスキッド制御弁側をマスタ
    シリンダ側に比して減圧制御する減圧制御弁と、アンチ
    スキッド制御弁の弛めポートに一端が接続され、他端が
    液圧制御弁とアンチスキッド制御弁との間に接続される
    弛め回路と、弛め回路に設けられ、アンチスキッド制御
    弁から弛められた作動液を加圧して液圧制御弁とアンチ
    スキッド制御弁との間に戻すポンプとを有するアンチス
    キッドブレーキ装置において、アンチスキッド制御の開
    始に応じて、前記液圧制御弁の機能を無効化するように
    したアンチスキッドブレーキ装置。
  2. 【請求項2】液圧制御弁は、軸線方向に移動可能なピス
    トンと、ピストンを一方向に付勢するばねと、ピストン
    の移動に伴なって、そのピストンの周りをシールするシ
    ール部材と、ピストンの軸線上に見て、シール部材の前
    後に配置される入口および出口とを有し、前記ピストン
    に、前記ばねの力に対向して、前車輪ホイールシリンダ
    側の液圧を加えるようにした、請求項1に記載したアン
    チスキッドブレーキ装置。
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