JP2688655C - - Google Patents

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JP2688655C
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【発明の詳細な説明】 〔技術分野〕 本発明は、アルシン(AsH3)、ホスフィン(PH3)、ジボラン(B3H6)、モノシラン(
SiH4)等で代表される有毒性ガスを無害化するための燃焼処理方法及び装置に関
するものである。 〔従来技術及びその問題点〕 半導体製造工程からは、前記した如きガス状の有毒性物質を含む有毒性排ガス
が生成する。このような有毒性排ガスは人体に対する毒性が極めて高いので、そ
の大気への放出に際しては、それに含まれる有毒性物質の完全除去が要求される
。 排ガス中に含まれる有毒性物質を除去するための有効な方法の1つとして、燃
焼法が知られている(特開昭62-134414号、特開昭62-152517号)。この方法は、排
ガス中の有毒性物質を燃焼条件で酸化分解し、単体元素や酸化物の固体状物質に
変換させて除去する方法である。 この固体状物質も有毒であるため完全に燃焼ガス中から除去されなければなら
ないが、生成される固体状物質は、気相で生成されるためサブミクロンサイズの
微粉末であることから、通常の数ミクロンサイズの微粉末に比し燃焼ガス中のこ
の固体微粉末を燃焼ガスから完全除去するのに著しい困難が生じる。前記従来の
方法においては、生成した微粉末を排ガス中に同伴させて燃焼炉外へ導き、炉外
に設けた湿式除塵装置を用いて排ガスから除去している。 即ち、燃焼炉と湿式除塵装置をそれぞれ用いる2工程で有毒性ガスを処理する
ため、効率的でない上、装置設置スペースが大きくなる。また、従来の湿式除塵
装置における固体微粉末の除去率も高くない。さらに燃焼炉外で固体微粉末を捕
集するために、炉外に微粉末を導出しなければならない。しかし微粉末を完全に
炉外へ導出させることは困難であり、燃焼炉壁等の固体表面に付着することもあ
る。このため、従来技術においては、燃焼炉の排気口方向に比較的線速度の大き
い空気流を強制的に形成して炉壁への微粉末の付着の防止を提案している。しか
し、このような線速度の大きい空気流の形成は経済的でないばかりか、これによ っても炉壁への付着を完全防止することは困難で、炉壁には依然として少量なが
ら微粉末の付着が起る。そして、時間の経過とともにその付着量は増加し、最終
的には塊となって不規則的に炉壁から落下し、装置の運転条件、特に圧力条件を
変動させて有毒性ガスの完全燃焼を妨げる結果となる。また、微粉末の高温炉壁
への付着は、炉壁腐食の原因ともなり好ましくない。さらに、アルシンやホスフ
ィン等の火炎形成がむつかしい有毒性ガスの燃焼では、微粉末の炉外への排出効
果を高めるために前記したように空気流の線速度を増加させると、火炎の吹飛び
が起りやすく、有毒性ガスが未燃焼又は未分解のまま炉外へ排出されるという危
険がある。 前記のように、従来の方法では、有毒性ガスの燃焼処理によって生成した固体
微粉末は、燃焼ガスとともに炉外へ排出し、湿式除塵装置及び気液分離器を用い
て除去されている。この場合、湿式除塵装置は、燃焼ガスの冷却を兼ねるもので
、スプレー塔、充填塔、ベンチュリースクラバー等が一般的である。 しかし、通常のスプレー塔や充填塔では、装置の圧力損失はベンチュリースク
ラバーに比べれば小さいという利点はあるものの、固体微粉末を完全除去するこ
とは非常にむつかしい。一方、ベンチュリースクラバーでは、固体微粉末の除去
については通常のスプレー塔や充填塔より効率が高いが、装置の圧力損失が大き
くなるという問題がある。さらに、これらの除塵装置では、大量の水を必要とす
る上、固体微粉末を捕捉吸収した大量の排水が生成し、その処理が困難であると
いう問題も生じる。 〔発明の課題〕 本発明は、従来技術に見られる前記問題を解決し、燃焼炉を含む1つの装置内
において燃焼により生成する有毒性の固体微粉末を効率的に高除去率で除去し、
さらに炉壁面への固体微粉末の付着を実質上完全に防止することを可能とした有
毒性ガスの燃焼処理方法及び装置を提供することをその課題とする。 〔課題を解決するための手段〕 本発明者らは、前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、本発明を完成す
るに到った。 即ち、本発明によれば、燃焼処理により固体微粉末を生成する有毒性ガスを燃 焼処理する方法において、該有毒性ガスを、炉壁内面の天井部から垂下した拡散
バーナ周辺壁部を含む上端部から下端部へ流下する水膜を形成した燃焼炉内にお
いて燃焼処理し、該燃焼処理により生成した固体微粉末を該流下水膜に捕捉吸収
させるとともに、該燃焼処理により生成した燃焼ガスに水滴を接触させて該燃焼
ガス中に含まれる固体微粉末を該水滴に捕捉吸収させ、これらの固体微粉末を捕
捉吸収した水と燃焼ガスを、該燃焼炉の底部に直結する気液分離器に導いて気液
分離することを特徴とする有毒性ガスの燃焼処理方法及びその装置が提供される
。 本発明で処理対象とする有毒性ガスは、燃焼処理により固体微粉末を生成する
ものである。このような有毒性ガスの代表例としては、アルシン、ホスフィン、
ジボラン、セレン化水素、モノシラン、クロロシラン、トリメチルガリウム、ト
リメチルインジウム、トリメチルアルミニウム等の周期律表III族〜V族の元素
の化合物であり、常温で気体状態を示すものが挙げられる。こにような有毒性ガ
スは、半導体製造工程や、新素材製造工程、光ファイバー製造工程等の反応工程
から生成される排ガス中に含まれる。このような排ガスにおいて、有毒性ガス含
有量は、容量%で、0.01〜50%であり、残部は、その排ガスの種類に対応して、水
素ガスや、窒素、アルゴン等のガスからなる。なお、本明細書でいう有毒性ガス
とは、前記したガス状の有毒性物質からなるガスの他、これを含む各種排ガスを
意味するものである。 また、排ガス中に可燃成分が少なく火炎形成の不十分なときは、排ガスに、水
素、メタン等の可燃性ガスを混合してもよい。 前記のような有毒性ガスを燃焼処理すると、固体微粉末を生成する。例えば、
アルシンを燃焼処理すると、砒素(As)や砒素酸化物(As2O3)、ホスフィンを燃焼
処理すると、燐(P)、リン酸化物(P2O5)、シランを燃焼させると、硅素(Si)、硅
素酸化物(SiO、SiO2)等の固体微粉末がそれぞれ生成する。本発明においては、
この燃焼処理により生成した固体微粉末は、炉壁内面を天井部から垂下した拡散
バーナ周辺壁部を含む上端部から下端部へ流下する水膜によって捕捉される。 本発明を実施する場合、燃焼バーナから、燃焼ガス排出口へ向うように炉内ガ
スを流してもよい。排出口へ向う炉内ガスの線速度は、1m/秒以下、好ましくは0
.05m/秒以下、さらに好ましくは0.01m/秒以下にするのがよい。このような非 常に遅い炉内の線速度では、固体微粉末の炉内の滞留時間が長くなり、固体微粉
末は炉内壁水膜面と長く接触し、炉内壁水膜によって効率よく炉内ガスから除去
される。特に火炎を下向きとした場合、炉内ガスと逆向きの火炎からの上向きの
熱対流による固体微粉末の混合流動化を促進し、炉内壁水膜との接触を増長し、
捕捉効率を高めることができる。 本発明においては、この燃焼処理により生成する固体微粉末は、燃焼炉を含む
1つの筒体状の装置内で水に捕捉吸収させて除去する。 次に、本発明を図面によりさらに詳細に説明する。 第1図は、本発明の方法を実施するための有毒性ガス燃焼処理装置の説明断面
図を示す。この装置は、燃焼炉と燃焼炉の底部に直結された気液分離器とから構
成され、全体は1つの筒体状に形成されている。この場合、燃焼炉スプレー、充
填層、気液分離器を縦型に並べることができ、設置スペースが極小化され、工業
上実用的となる。第1図において、筒体部Aが燃焼炉Aを形成し、筒体部Bが気
液分離器Bを形成している。 燃焼炉Aは、天井部2を有する筒体1と、その天井部2に配設した拡散型バー
ナ3と、その上端部に配設した水噴射ノズル4(第2図参照)と、その下部に配設
した水スプレーノズル5を各備えている。さらに、必要に応じ、炉内上部の炉壁
の一部を外方へ突出する凹部壁6に形成し、ここにパイロットバーナ7を配設し
、また、このパイロットバーナの対向炉壁に開口部を形成し、この開口部をシー
ルドガラス8で封止し、その後部に紫外線検知装置を付設する。この紫外線検知
装置は紫外線検管9とこれを支持する支持管10とから構成される。 炉内上端部に配設する水噴射ノズル4は、第2図に示すように、その噴射方向
が筒体1の周方向(接線方向)に向けてあり、噴射水は旋回流となって炉内壁面に
供給される。このような噴射水の供給により、炉内壁面には天井部から垂下した
拡散バーナ周辺壁部を含む上端部から下糧部へ向けて流下する水膜11が形成され
る。噴射水の形成は、例えば、ポンプによる圧縮水をノズルから噴射することに
よって行うことができる他、好ましくは、水に圧縮ガスを混合し、この混合物を
炉内上端部内壁面に対し接線方向に噴射することによって行うことができる。圧
縮ガスとしては、通常、空気が用いられる。 前記のようにして、炉内上端部に噴射水を炉内周方向に旋回させて導入する時
には、炉の傾きに大きく影響されず、水膜を炉壁内面に容易に形成することがで
きる。また、圧縮ガスを混入して流速を上げて噴射する時には、噴射水に必要な
水量が少なくてすむばかりか、天井部に水膜を形成し、天井部を通じてバーナ外
周表面にも水膜を形成し得る利点がある。またバーナ外周表面に水膜を形成させ
ることにより、バーナ外周面やバーナ先端部に付着する固体微粉末を捕捉除去す
ることができ、固体微粉末によるバーナの腐食や閉塞を防止することができる。
さらに、この場合、バーナ外周部に水冷ジャケットを形成してバーナ温度を低下
させ、バーナ外周面上の水膜の蒸発を防止することにより、より少ない水量でバ
ーナ外周面に水膜を形成させることができる。 本発明で用いる燃焼バーナとしては、拡散型バーナの使用が好ましい。拡散型
バーナでは、燃焼炉内のバーナ先端において有毒性ガスと支燃ガスとの混合が行
われる。燃焼炉に入る手前で有毒性ガスと支燃ガスとの混合を行う予備混合方式
のバーナでは、その有毒性ガスが高反応性の場合、その有毒性ガスと支燃ガスと
がノズル内で反応し、固形分を生成するため、ノズル閉塞の問題が生じるので好
ましくない。この拡散型バーナの基本構造は、有毒性ガス流通路と支燃ガス流路
をそれぞれ独立して有するものであり、必要に応じ、可燃性ガス流路や不活性ガ
ス流路を有し、また外周部に水冷ジャケットを有する。支燃ガスとしては、空気
又は酸素が用いられる。可燃性ガスとしては、水素、メタン、プロパン等が用い
られる。 有毒性ガス流路と支燃ガス流路との間に可燃性ガス流路を介在させる時には、
バーナ出口直後における有毒性ガスと支燃ガスとの拡散混合を防止し得るので、
固体微粉末のバーナ先端部への付着が防止される。しかも、この場合には、バー
ナ先端部では、支燃ガスは可燃性ガスとの反応により全て消費されて、有毒性ガ
ス内まで拡散しないので、バーナ先端部での有毒性ガスと酸素との反応を確実に
防止することができる。前記可燃性ガスに代えて窒素ガス等の不活性ガスを使用
することによっても、バーナ先端部での有毒性ガスと支燃ガスとの拡散混合を防
止し得るが、この場合には、バーナ先端部での有毒性ガスと酸素との反応を完全
には防止し得ないので、有毒性ガスが高温度である場合や、長時間の燃焼処理を
行う場合には、バーナ先端部への固体微粉末の付着を十分には防止することがで
きず、しかも燃焼効率 が低下するという問題がある。 第3図に拡散型バーナの説明横断面図を示す。 第3図(a)は4重管構造のバーナの説明図である。中心部に位置する第1導管4
1は有毒性ガスノズルを形成し、その外側に位置する第2導管42は1次支燃ガス
ノズルを形成し、その外側に位置する第3導管43は2次支燃ガスノズルを形成し
、その外側の第4導管44はその先端が封止され、冷却ジャケットを形成する。 第3図(b)は3重管構造のバーナの説明断面図である。中心部に位置する第1
導管41は有毒性ガスノズルを形成し、その外側に位置する第2導管42は支燃ガス
ノズルを形成し、その外側に位置する第3導管43はその先端が封止されて冷却ジ
ャケットを形成する。 第3図(c)は、他の4重管構造のバーナの説明断面図である。中心部に位置す
る第1導管41は有毒性ガスノズルを形成し、その外側に位置する第2導管42は可
燃性ガスノズルを形成し、その外側に位置する第3導管43は支燃ガスノズルを形
成し、その外側に位置する第4導管44はその先端が封止されて冷却ジャケットを
形成する。 第3図(d)はさらに他の4重管構造のバーナの説明断面図である。中心部に位
置する第1導管41'は可燃性ガスノズルを形成し、その外側に位置する導管42'は
有毒性ガスノズルを形成し、その外側に位置する導管43'は可燃性ガスノズルを
形成し、その外側に位置する導管44'は支燃ガスノズルを形成する。 第3図(e)は、2重管の中心部に複数の導管を挿入した構造のバーナの説明図
である。中心部の複数の導管41は有毒性ガスノズルを形成し、それを包囲する導
管45は可燃性ガスノズル、その外側に位置する導管42は支燃性ガスノズルを形成
する。 第1図に示した装置の燃焼炉Aにおいて、炉内下部壁に配設されたスプレーノ
ズル5は、炉内に水滴を噴射し、燃焼ガスに衝突させて、燃焼ガスを急冷すると
ともに、炉内壁水膜を併せて燃焼ガス中の固体微粉末を除去するために設けられ
たものである。即ち、燃焼ガスを急冷することにより、ガス中の水蒸気が固体微
粉末を核として凝縮して水滴化し、固体微粉末を水滴中に取込み除去するもので
あり、また、固体微粉末と噴射水滴とが衝突することにより、固体微粉末が水滴
中に取込まれ除 去される。この水滴噴射は炉内壁水膜と共に、炉内における固体微粉末の除去を
効率的に行わせる。 また、炉内上部の凹部壁6には、第4図に示すように、パイロットバーナ7と
ともに、点火プラグ12が配置されている。点火プラグ12の外周面は絶縁碍子から
構成され、その碍子面と凹部壁面との間の距離a及びその碍子面とパイロットバ
ーナの外面との間の距離bは少なくとも約数mmの長さに保持されている。点火プ
ラグの先端放電部は、第4図に示すようにカギ型にするのが好ましい。このよう
にしてパイロットバーナ及び点火プラグを配置する時には、パイロットバーナの
先端部及び点火プラグの先端部が水膜によって連絡するのが回避され、点火プラ
グとパイロットバーナとの間の短絡や点火プラグ以外の個所における火花発生が
防止される。しかも、パイロットバーナ及び点火プラグの表面上には、その上方
の水膜が形成された炉壁面から水滴が落下し、パイロットバーナ及び点火プラグ
の各表面を濡らし、パイロットバーナ及び点火プラグへの固体微粉末の付着が防
止される。パイロットバーナの先端部や点火プラグの先端部に固体微粉末が付着
すると、パイロットバーナの点火が困難になる等の不都合が生じるが、前記のよ
うにしてパイロットバーナを配置することによってこのような不都合の発生は防
止され、確実な点火を得ることができる。また点火プラグ12の絶縁碍子部分に、
例えば空気等のガスを導入するようにして絶縁碍子部を乾燥させるようにしても
よい。パイロットバーナ用の可燃性ガスとしては、水素ガスが好ましく使用され
る。水素ガスの使用は、メタンやプロパン等の可燃性ガスの使用に比べ、燃焼範
囲(混合比、線速度)が広がり、パイロットバーナを小型化することが可能で、し
かも線速を速めても火炎の吹飛びが起らないという利点がある。 炉内上部壁にシールドガラス8を介して配設した紫外線検知装置は、パイロッ
トバーナの火炎の有無を検知するものである。本発明の場合には、シールドガラ
スは水膜で洗浄され、固体微粉末の付着が防止され、火炎の検知を確実に行うこ
とができる。 第1図において、前記燃焼炉Aの底部に直結された気液分離器Bは、筒体21と
、その上部に配置された燃焼ガス排気管22と、その底部の液溜部26に配設された
排水管23を備え、さらに、その筒内に充填層24を備えている。 気液分離器Bは、基本的には、燃焼炉Aで生成された固体微粉末を捕捉吸収し
た水と燃焼ガスとをそれぞれに分離し得る構造のものであればよく、充填層24の
配置は必ずしも必要とされない。しかし、充填層24を配設する時には、この充填
層において、燃焼ガスと水との十分な気液接触が達成されるので、燃焼炉Aから
の燃焼ガス中に残存固体微粉末が含まれる場合にはこれと接触する水に捕捉吸収
され、燃焼炉から排出された燃焼ガス中に残存する有毒な固体微粉末の除去を容
易に行うことができる。従って、この場合には、燃焼ガス中に含まれる固体微粉
末の除去を、燃焼炉において必ずしも完全に行う必要がないことから、燃焼炉A
で用いる水量が少なくてすみ、燃焼炉の運転条件が著しく緩和されるとともに、
燃焼炉自体も小型化することができる。 充填層24の構造は任意であり、燃焼炉Aからの燃焼ガスと水との気液接触を行
い得る構造のものであればよい。例えば、筒体21の上部に充填層を設け、その下
方を空間部とし、更にその下部に液溜部26を設けることもできる。この場合、排
水管23はその底部の液溜部に、及び排気管22はその中間の空間部に各配設する。 本発明に用いて好適な充填層は、第1図に示す如く、充填層の上部が、炉壁内
面を流下する水膜と、スプレーノズルにより形成された降下する水滴を合流混合
し得る形状、例えば、下向きの円錐形とし、下部が、下方に液溜部26の上部にま
で延びた柱形状とし、その外部に空間部25を配置した構造のものである。このよ
うな構造の充填層を用いる時には、その柱形状の充填層下端から気液混相流が液
溜部26の水面に衝突するので効率よく気液分離することができる。また、充填層
の上部から下部に気液混相流が流通することにより生じる微細な気泡が充填層下
端部から噴出し、水面上に気泡層が形成されるので、気泡内の気体の運動エネル
ギーによる気泡と気相を包む水膜との効率的接触が得られ、その結果、ガス中に
含まれる固体微粉末は効率よく水中に捕捉吸収される。この場合、充填層24外部
の空間部25の全部又は一部を充填層24とは別途に充填層とし、この充填層の上部
に水を供給して気液接触を再度行ってもよい。これによりさらに固体微粉末の捕
捉率を高めることができる。 充填層の形成に用いる充填材としては、気液接触に用いられている一般の充填
材(例えば、ラーシッヒリング、ボール等)を用いることもできるが、本発明の場
合、 通常の精溜塔に用いられるような気液接触を効率よく行える充填物、例えば、10
〜100メッシュの全網の小片(寸法:5〜30mm程度)を用いるのが好ましい。金網の
小片は、円筒状、サドル型等の形状として用いるのが好ましい。この金網の充填
層の上部から下部へ気液混相流を通過させると、液体は金網表面に均一に分散し
て液膜となり、その液膜を燃焼ガスが通過するようになるため、良好な気液接触
が起り、同時に微細な気泡が多量生じる。そして、この気泡においては、気泡内
の気体の運動エネルギーによって気体が激しく運動するためこれを包囲する液膜
との効率的な接触が得られる。このようにして、圧力損失を小さくして、燃焼ガ
ス中の固体微粉末を効率よく水相に移行させ、除去することができる。 また、筒体21において気液分離を行うために、燃焼炉Aからの水と燃焼ガスを
ロート状の捕集管で捕集し、これを液溜部26の水中にバブリングさせて気液接触
を行わせた後、水中から燃焼ガスを分離し、これを系外へ排気することもできる
。 次に、第1図に示した装置を用いて本発明を実施する場合の具体例について説
明する。 先ず、液溜部26に水を充填し、この水を排水管23、ポンプ32、導管36及び導管
38を通して燃焼炉Aの上端部から、導管39からの加圧空気とともに炉内周方向に
噴射し、また導管37を通し、スプレーノズル5から水を炉内に噴出させる。炉上
端部からの水の噴射により、炉内壁面には流下する水膜が形成される。この場合
、水の噴射方向を上方に幾分傾けることにより、炉の天井部に水膜を形成するこ
とができ、また、この天井部の水膜を通じてバーナ3の外周面にも水膜を形成す
ることができる。 次に、パイロットバーナ7において水素ガスを空気で燃焼させて水素炎を形成
し、バーナ3(第3図(a)に示した4重管構造の拡散バーナを参照)の端封止の第
4導管44に水を送入して水冷ジャケットを形成し、第3導管43に2次酸素、第2
導管42に1次酸素及び第1導管41に有毒性ガスを導入し、これらのガスをバーナ
先端から噴出させ、パイロットバーナの水素炎で着火し、燃焼させる。このよう
にして有毒性ガスを燃焼処理することにより、固体微粉末が生成されるが、この
固体微粉末は、炉壁に形成された水膜に捕捉吸収されるとともに、スプレーノズ
ル5から噴射される水滴によっても捕捉吸収される。そして、固体微粉末を捕捉
吸収した水と燃 焼ガスはそれに直結された気液分離器Bに送られ、燃焼ガス中に残存する固体微
粉末を充填層でさらに捕捉した後、気液分離される。 即ち、炉壁内面を水膜として流下する水と、スプレーノズルからの噴射によっ
て形成された水滴として降下する水と、燃焼ガスは、充填層24の上部で合流混合
され、充填層内を気液混相流として通過し、充填層の下端部から液溜部26の水面
上に気泡を含む気液混相流として噴出し、ここで気液分離される。分離された燃
焼ガスは空間部25から排気管22を通って系外へ排出される。 液溜部26の水は、排水管23を通ってポンプ32により燃焼炉の上端部へ循環され
るが、この循環水は冷却器34により所定温度(約30℃)に冷却される。 液溜部26の水面は、水面計35と、排水タンク31に連結する導管31’に付設され
た水面調節弁33によって一定の水位に保持される。即ち、有毒性ガスの燃焼処理
においては、水が副生するが、この副生水は系内における余剰水を形成する。こ
の余剰水は、その水面計35と水面調節弁33によって、ライン31’を通り、タンク
31に貯溜される。 本発明では、有毒性ガスの燃焼処理により生成した固体微粉末の殆んど全てを
装置内において水に捕捉吸収させることができる。 本発明を実施する場合、炉内の上方から下方に向う炉内ガスの線速度は、1m/
秒以下、好ましくは0.05m/秒以下にするのがよい。このような非常に遅い炉内ガ
スの線速度では、固体微粉末は炉壁面と長く接触し、炉壁水膜によって効率よく
炉内ガスから除去される。 〔発明の効果〕 本発明によれば、有毒性ガスの燃焼処理によって生成される固体微粉末は、燃
焼炉A内において、炉壁内表面に形成された水膜によって捕捉吸収され、また燃
焼ガスに接触させるスプレーノズルからの水滴によって捕捉吸収される。さらに
、気液分離器Bにおける気液接触によっても水に捕捉吸収される。さらに気液分
離器に充填層を設置し、気液接触率を高め、固体微粉末をより捕捉吸収すること
ができる。従って、本発明では、燃焼ガスとともに炉外へ排出される固体微粉末
の量を非常に少なくすることができ、場合によっては、ほぼ零にすることができ
る。それ故、本発明では、炉外においては、小型のフィルターを設け、燃焼ガス
をこのフィルター を通すことによって完全に無害化することができる。 本発明の装置は、燃焼炉、充填層、気液分離器を縦型に直結して小型化でき、
設置スペースも極めて小さくなり、工業的実用性に富むものである。 また、燃焼炉壁への水膜の形成は、炉壁の冷却及び腐食防止の点でも非常に有
利である。 〔実施例〕 次に本発明を実施例によりさらに詳細に説明する。 実施例1 第1図に示した装置を用い、有毒性ガスの燃焼処理を行った。この場合、有毒
性ガスとしては、ホスフィン(PH3)5容量%と水素ガス95容量%からなるガスを用
いた。 第1図に示した装置において、導管36からの水と導管39からの空気との混合物
を燃焼炉Aの最上部から円周方向に噴射して、炉壁に流下水膜を形成するととも
に、パイロットバーナ7で水素を燃焼させて水素炎を形成し、そして、スプレー
ノズル5から水を噴出させて、炉内に水滴を分散させた。また、気液分離器Bの
液溜部26の水は、第1図に示すようにしてこれを前記導管38に循環し、再使用し
た。なお、充填層24は、サドル型金網(メッシュ:48、寸法:15mm)をロート状の支
持部材に充填し、これを気液分離用の筒体21に配置固定して形成した。 次に、前記有毒性ガスを燃焼処理するために、拡散型バーナ3(第3図(a)参照
)の導管42を通して1次酸素、導管43を通して2次酸素をそれぞれ炉内に導入す
るとともに、導管41を通して前記有毒性ガスを炉内に導入して燃焼させた。また
、先端封止の導管44には水を装入して水冷ジャケットを形成した。 次に、具体的操作条件を示す。 〔燃焼条件〕 (1) 有毒性ガス(導管15,導管41) 流 量:12Nl/分 (2) 1次酸素(導管42) 流 量: 6Nl/分 (3) 2次酸素(導管43) 流 量:10Nl/分 〔水膜形成条件〕 (1) 循環水量(導管36):71/分 (2) 空気量(導管39):51/分 〔水滴形成条件〕 (1) 噴水量(スプレーノズル5):191/分 〔パイロットバーナー操作条件〕 (1) 水素ガス 流 量:2.5Nl/分 空気量:2.5Nl/分 前記のようにして有毒性ガスを燃焼処理した結果、排気管22から排出される燃
焼ガス中にはホスフィンは全く検出されなかった(1PPb以下)。また、燃焼ガス中
に含まれる固体微粉末(P2O5)を測定し、この測定量と全有毒性ガス処理量に基づ
く固体微粉末生成量とから、装置内における固体微粉末除去率を算出した結果、
P2O5の除去率98.6%の成績が得られる。 また、前記燃焼処理試験終了後(試験開始100時間後)、バーナー先端部及び炉
内壁面への固体微粉末の付着の有無を調べたところ、固体微粉末の付着は全く認
められなかった。 実施例2 実施例1において、有毒性ガスとしてモノシラン(SiH4)5容量%と水素ガス95容
量%との混合物を用いるとともに、導管39からの空気量を40 l/分にした以外は
同様にして実験を行った。その結果、排気管22から排出される燃焼ガス中にはモ
ノシランは全く検出されなかった(0.1ppm以下)。また、装置内における固体微粉
末の除去率は93.4%であった。 実施例3 実施例1において、有毒性ガスとしてアルシン(AsH3)2容量%と水素98容量%を
用いた以外は全く同様にして実験を行った。その結果、排気管22から排出される
燃焼ガス中にはアルシンは全く検出されず(4PPb以下)、固体微粉末(AS2O3)の装
置内における除去率は98.1%であった。 実施例4 実施例1において、導管39からの空気量を40 lにした以外は同様にして実験
を行った。その結果、この場合にも、排気管22から排出される燃焼ガス中にはホ
スフィンは全く検出されず、また固体微粉末(P2O5)の装置内における除去率は96
.6%であった。 実施例5 実施例4において充填層を用いない以外は同様にして実験を行った結果、排気
管22から排出される燃焼ガス中はホスフィンは全く検出されず、また装置内の固
体微粉末(P2O5)除去率は90.8%であった。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の方法を実施するための装置の説明断面図であり、第2図は炉
上端部に配設した噴射ノズルの配置説明図である。 第3図(a)〜(e)は燃焼バーナの先端部の説明横断面図である。 第4図はパイロットバーナを配設した凹部炉壁部の拡大図である。 1…燃焼炉用筒体部、2…炉天井部、3…燃焼バーナ、4…水噴射ノズル、5…水
スプレーノズル、6…凹部炉壁、7…パイロットバーナ、8…シールドガラス、9…
紫外線検知管、11…水膜、21…気液分離用筒体部、22…排気管、23…排水管、24
…充填層、25…空間部、26…液溜部、31…貯水タンク、32…ポンプ、34…冷却器
、35…水面計、36…水面調節弁。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 (1) 燃焼処理により固体微粉末を生成する有毒性ガスを燃焼処理する方法におい
    て、該有毒性ガスを、炉壁内面の天井部から垂下した拡散バーナ周辺壁部を含む
    上端部から下端部へ流下する水膜を形成した燃焼炉内において燃焼処理し、該燃
    焼処理により生成した固体微粉末を該流下水膜に捕捉吸収させるとともに、該燃
    焼処理により生成した燃焼ガスに水滴を接触させて該燃焼ガス中に含まれる固体
    微粉末を該水滴に捕捉吸収させ、これらの固体微粉末を捕捉吸収した水及び燃焼
    ガスを、該燃焼炉の底部に直結する気液分離器に導いて気液分離することを特徴
    とする有毒性ガスの燃焼処理方法。 (2) 該固体微粉末を捕捉吸収した水と燃焼ガスを充填層を通して気液接触を行わ
    せた後、気液分離する請求項1の方法。 (3) 該充填層が10〜100メッシュの金網の小片から形成されている請求項2の方
    法。 (4) 該気液分離器で分離された水を再び前記水膜及び水滴形成用に循環使用する
    請求項1〜3のいずれかの方法。 (5) 縦型の燃焼炉と、該燃焼炉の底部に直結する気液分離器とからなり、該燃焼
    炉は、その天井部に拡散型バーナ、その上端部に天井部から垂下した拡散バーナ
    周辺壁部を含む上端部から下端部へ流下する水膜を形成するための周方向に向う
    水噴射ノズル及びその下部に水スプレーノズルをそれぞれ備え、該気液分離器は
    、その上部に燃焼ガス排気管及びその底部に排水管を備えていることを特徴とす
    る有毒性ガス燃焼処理装置。 (6) 該気液分離器の内部に充填層を設置した請求項5の装置。 (7) 該充填層の上部が下向きの円錐形で、その下部が下方に延びた柱形状である
    請求項6の装置。 (8) 該充填層が10〜100メッシュの金網の小片から形成されている請求項6又は
    7の装置。 (9) 該気液分離器の排水管を、ポンプを介して該燃焼炉上端部の水噴射ノズル及
    び該燃焼炉下部の水スプレーノズルに連結させた請求項5〜8のいずれかの装置。

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