JP2688315B2 - 屋根材の接続構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、屋根材の接続構造に関
し、詳しくは屋根材の接続を容易迅速におこないなが
ら、負圧による屋根材の浮上力によっても接続が不測に
外れることがなく、かつ、接続箇所における排水性を充
分になそうとする技術に係るものである。

【０００２】

【従来の技術】従来、図４に示すように、屋根下地側に
連結された固定金具２における屋根板３ａ，３ｂの接続
方向の両端部に係合部２ａ，２ｂが形成され、これら係
合部２ａ，２ｂの間に融通凹部２ｃが形成され、接続さ
れる屋根板３ａ，３ｂの端部に係合部２ａ，２ｂに対し
て屋根板３ａ，３ｂの弾性変形性を利用して係合保持さ
れる被係合部４ａ，４ｂが形成され、被係合部４ａ，４
ｂが係合部２ａ，２ｂに係合固定され、屋根板３ａ，３
ｂの接続個所の上部にキャップ８が施工される屋根材の
接続構造においては、融通凹部２ｃに屋根材３ａ，３ｂ
の端部の接続凹部５ａ，５ａを遊挿し、これら接続凹部
５ａ，５ａ間に、軒棟方向に点在する固定金具２・・を
避けて使用されるクリップＣの保持突起Ｃａを圧入して
接続凹部５ａ，５ａ同士が上下にずれるのを阻止し、こ
の上から長尺のキャップ８を屋根材３ａ，３ｂの被係合
部４ａ，４ｂに係合して取付けるものである。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】ところがこのような構
成のものにおいては、多数のクリップＣ・・を使用し
て、接続する屋根材３ａ，３ｂの端部同士がずれないよ
うに挟持するのであり、このように、多数のクリップＣ
・・を使用するのに、その施工性が大きく低下され、そ
れでいて、クリップＣを使用しない箇所においては、接
続凹部５ａ，５ａ間に隙間が生じ、かかる隙間におい
て、キャップ８の裏面に結露した水滴が滴下して屋根裏
に漏水するという問題があった。

【０００４】本発明はこのような問題を解消しようとす
るものであり、その目的とするところは、屋根材の接続
においてクリップを省いて施工性を高めながら、接続強
度を高め、しかも接続箇所から漏水が生じることがな
く、しかも、キャップの裏面の結露水が不測に接続箇所
に浸入したとしても、これを良好に水下側に排水するこ
とができる屋根材の接続構造を提供するにある。

【０００５】

【課題を解決するための手段】本発明は、屋根下地１側
に連結された固定金具２における屋根板３ａ，３ｂの接
続方向の両端部に係合部２ａ，２ｂが形成され、これら
係合部２ａ，２ｂの間に融通凹部２ｃが形成され、接続
される屋根板３ａ，３ｂの端部に係合部２ａ，２ｂに対
して屋根板３ａ，３ｂの弾性変形性を利用して係合保持
される被係合部４ａ，４ｂが形成され、被係合部４ａ，
４ｂが係合部２ａ，２ｂに係合固定され、屋根板３ａ，
３ｂの接続個所の上部にキャップ８が施工される屋根材
の接続構造であって、一方の屋根板３ａの被係合部４ａ
の更に先端にＵ字状の接続凹部５ａが形成され、他方の
屋根板３ｂに接続凹部５ａ内に挿入される挿入片６ｂが
垂下され、挿入片６ｂに斜め上方に弾性変位片７ｂが延
出され、接続凹部５ａの上部口縁部には狭く絞られた絞
り部９が形成され、融通凹部２ｃに入れられた一方の屋
根材３ａの接続凹部５ａにその絞り部９を拡径して挿入
片６ｂ及び弾性変位片７ｂが挿入され、絞り部９を通過
し弾性復元する弾性変位片７ｂが接続凹部５ａの一方の
内面壁に弾接し、挿入片６ｂはその弾性変位片７ｂとは
反対側の面において接続凹部５ａの上下部の内側面に弾
接して成ることを特徴とするものである。

【０００６】

【作用】屋根材３ａ，３ｂの接続に際して、一方の屋根
材３ａの接続凹部５ａに他方の屋根材３ｂの挿入片６ｂ
を挿入するのに、絞り部９が拡径するとともに弾性変位
片７ｂが挿入片６ｂ側に弾性変位して挿入する。このよ
うな挿入片６ｂ及び弾性変位片７ｂの挿入後には、絞り
部９が収縮し、弾性復元した挿入片６ｂの抜止めを確実
に果たす。即ち、負圧にて屋根材３ｂが浮上される作用
力にて挿入片６ｂが接続凹部５ａから抜けるのを強力に
阻止する。従来のようにクリップを使用するのを回避し
ながら接続強度を充分に高める。接続凹部５ａに挿入片
６ｂ及び弾性変位片７ｂを上から弾入することで接続を
おこなう。接続における施工性を大幅に高める。加え
て、接続箇所の上に施工されるキャップ８の裏面に結露
した結露水が接続箇所に滴下しても、これを樋状となっ
た接続凹部５ａにて水下側に排水する。しかも、弾性変
位片７ｂは接続凹部５ａの一方の内壁面に弾接するとと
もに挿入片６ｂの上下部は、接続凹部５ａの他方の内壁
面に弾接する。接続凹部５ａから挿入片６ｂが抜け出る
のを強力に阻止して、屋根材３ａ，３ｂの接続強度を一
層高める。接続箇所の水密性を高める。

【０００７】

【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて詳述す
る。屋根は、棟の長さ方向に略平行で、棟軒方向に適宜
間隔を隔てて架設された屋根下地１としてのチャンネル
材の母屋１１…に金属帯板を曲成した固定金具２がボル
トのような取付具１２で適宜間隔を隔てて取付けられ、
そしてこれら固定金具２に鋼板のような金属板を曲成し
て塗装仕上げがなされた折板屋根材のような屋根板３が
その端部部分が重ねられて接続されて葺設されるもので
ある。かかる屋根板３の葺設に際して、クリップのよう
な接続部品を使用することなく行えるようにしてある。
以下その構成を詳述する。

【０００８】固定金具２には屋根板３ａ，３ｂの接続方
向の両端部に溝状の係合部２ａ，２ｂが形成されてい
る。この係合部２ａ，２ｂの上部には斜め上方に向けて
先端側程大径となる係合突部１０ａ，１０ｂが突設され
ている。更に、固定金具２には屋根板３ａ，３ｂの接続
方向の中間部に融通凹部２ｃが形成されている。屋根材
３は棟軒方向に長く棟方向における巾Ｗが約４００ｍｍ
程度の比較的巾狭の長尺物であり、その概略断面形状を
図２に示している。屋根材３の高さＨは約６０ｍｍ程度
である。そして屋根板３の中央部分１３ａが偏平で母屋
１１の上に載設されるものであり、この中央部分１３ａ
の両側には斜め外方に立ち上がった傾斜部分１３ｂが形
成されている。傾斜部分１３ｂの上部には溝状の係合部
２ａ，２ｂが形成され、更に上部には斜め外方に向かう
斜め片１３ｃ，１３ｃ及び水平部分１３ｄ，１３ｄが引
続いて形成され、そして一方の水平部分１３ｄに続いて
一端には溝状の接続凹部５ａが形成され、他端には接続
凹部５ａ内に挿入される挿入片６ｂが垂下され、挿入片
６ｂに斜め上方に弾性変位片７ｂが延出されている。接
続凹部５ａの上部口縁部には狭く絞られた絞り部９が形
成されている。固定金具２の融通凹部２ｃの底部は、接
続凹部５ａの巾と略等しく、そして融通凹部２ｃの上部
は斜めに広がって接続凹部５ａよりも広幅に形成されて
いる。挿入片６ｂの下端及び弾性変位片７ｂの上端には
折り返し状に突曲部分６ｃが形成されている。

【０００９】しかして、屋根材３ａ，３ｂの接続に際し
て、一方の屋根材３ａの被係合部４ａを固定金具２の係
合部２ａに係合し、被係合部４ａに引き続く斜め片１３
ｃ及び水平部分１３ｄを係合突部１０ａに係合し、そし
て、その先端部の接続凹部５ａを融通凹部２ｃに入れ
る。かかる場合、接続凹部５ａの底部は融通凹部２ｃの
底部に嵌合保持される。そして、他方の屋根材３ｂの被
係合部４ｂを固定金具２の係合部２ｂに係合し、被係合
部４ｂに引き続く斜め片１３ｃ及び水平部分１３ｄを係
合突部１０ｂに係合し、そして、その先端部の挿入片６
ｂ及び弾性変位片７ｂを挿入するのであり、かかる場合
に、絞り部９が拡径するとともに弾性変位片７ｂが挿入
片６ｂ側に弾性変位し、挿入後には、絞り部９及び弾性
変位片７ｂが弾性復元して、弾性変位片７ｂが絞り部９
の下方の接続凹部５ａの内壁面に弾接するのである。そ
して、挿入片６ｂは接続凹部５ａの反対側の内壁面に略
全面において弾接するのである。このような接続箇所の
上にキャップ８の両端部の接続部８ａ，８ｂを屋根材３
ａ，３ｂの被係合部４ａ，４ｂの外面部にキャップ８の
弾性変位性を利用して嵌入する。

【００１０】このようにして、挿入片６ｂの抜止めを確
実に果たし、負圧にて屋根材３ｂが浮上される作用力に
て挿入片６ｂが接続凹部５ａから抜けるのを弾性変位片
７ｂが絞り部９の下面部に当接することで、強力に阻止
し、また、屋根材３ａ，３ｂの被係合部４ａ，４ｂが固
定金具２の被係合部４ａ，４ｂに係合し、かつ、キャッ
プ８の接続部８ａ，８ｂが被係合部４ａ，４ｂの外面に
嵌入して押さえることで、屋根材３ａ，３ｂの浮上を阻
止するのである。更に述べれば、絞り部９を通過し弾性
復元する弾性変位片７ｂが接続凹部５ａの一方の内面壁
に弾接し、挿入片６ｂはその弾性変位片７ｂとは反対側
の面において接続凹部５ａの他方の内側面に上下部にお
いて弾接するのであり、挿入片６ｂを接続凹部５ａから
抜こうとする場合に、弾性変位片７ｂは接続凹部５ａの
一方の内壁面に弾接するとともに挿入片６ｂの上下部
は、接続凹部５ａの他方の内壁面に弾接して、接続凹部
５ａから挿入片６ｂが抜け出るのを強力に阻止でき、屋
根材３ａ，３ｂの接続強度を一層高め、かかる箇所にお
ける水密性を高めるのである。

【００１１】図３は他の実施例を示し、接続凹部５ａ側
の側壁部に凹所５ｂを形成することで、挿入片６ｂの下
端部の突部部分６ｃが挿入しやすくなるようにしたもの
であり、かかる構成においても、弾性変位片７ｂは接続
凹部５ａの一方の内壁面に弾接するとともに挿入片６ｂ
の上下部は、接続凹部５ａの他方の内壁面に弾接するの
である。

【００１２】

【発明の効果】本発明は上述のように、一方の屋根板に
おいてその被係合部の更に先端にＵ字状の接続凹部が形
成され、他方の屋根板に接続凹部内に挿入される挿入片
が垂下され、挿入片に斜め上方に弾性変位片が延出さ
れ、接続凹部の上部口縁部には狭く絞られた絞り部が形
成され、融通凹部に入れられた一方の屋根材の接続凹部
にその絞り部を拡径して挿入片及び弾性変位片が挿入さ
れ、絞り部を通過し弾性復元する弾性変位片が接続凹部
の内面壁に弾接するから、屋根材の接続に際して、一方
の屋根材の接続凹部に他方の屋根材の挿入片を挿入する
のに、絞り部が拡径するとともに弾性変位片が挿入片側
に弾性変位して弾接し、挿入後には、絞り部が収縮し、
弾性復元した挿入片の抜止めを確実に果たし、負圧にて
屋根材が浮上される作用力にて挿入片が接続凹部から抜
けるのを強力に阻止し、従来のようにクリップを使用す
るのを回避しながら接続強度を充分に高めることがで
き、かつ、接続凹部に挿入片及び弾性変位片を上から弾
入することで接続がおこなえ、接続における施工性を大
幅に高めることができ、加えて、接続凹部が樋状になっ
ていて、接続箇所の上に施工されるキャップの裏面に結
露した結露水が接続箇所に滴下しても、これを樋状とな
った接続凹部にて水下側に排水することができるという
利点がある。しかも、絞り部を通過し弾性復元する弾性
変位片が接続凹部の一方の内面壁に弾接し、挿入片はそ
の弾性変位片とは反対側の面において接続凹部の上下部
において他方の内側面に弾接するから、挿入片を接続凹
部から抜こうとする場合に、弾性変位片は接続凹部の一
方の内壁面に弾接するとともに挿入片の上下部は、接続
凹部の他方の内壁面に弾接して、接続凹部から挿入片が
抜け出るのを強力に阻止でき、屋根材の接続強度を一層
高めることができるという利点がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の一実施例を示し、（ａ）は接続個所の
断面図、（ｂ）は拡大断面図である。

【図２】屋根材の破断斜視図である。

【図３】他の実施例の断面図である。

【図４】従来例を示し、（ａ）は分解概略断面図、
（ｂ）は組み立て状態の断面図である。

【符号の説明】

１ 屋根下地 ２ 固定金具 ２ａ 係合部 ２ｂ 係合部 ３ａ 屋根板 ３ｂ 屋根板 ４ａ 被係合部 ４ｂ 被係合部 ５ａ 接続凹部 ６ｂ 挿入片 ７ｂ 弾性変位片 ８ キャップ ９ 絞り部

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 屋根下地側に連結された固定金具におけ
   る屋根板の接続方向の両端部に係合部が形成され、これ
   ら係合部の間に融通凹部が形成され、接続される屋根板
   の端部に係合部に対して屋根板の弾性変形性を利用して
   係合保持される被係合部が形成され、被係合部が係合部
   に係合固定され、屋根板の接続個所の上部にキャップが
   施工される屋根材の接続構造であって、一方の屋根板の
   被係合部の更に先端にＵ字状の接続凹部が形成され、他
   方の屋根板に接続凹部内に挿入される挿入片が垂下さ
   れ、挿入片に斜め上方に弾性変位片が延出され、接続凹
   部の上部口縁部には狭く絞られた絞り部が形成され、融
   通凹部に入れられた一方の屋根材の接続凹部にその絞り
   部を拡径して挿入片及び弾性変位片が挿入され、絞り部
   を通過し弾性復元する弾性変位片が接続凹部の一方の内
   面壁に弾接し、挿入片はその弾性変位片とは反対側の面
   において接続凹部の上下部の内側面に弾接して成ること
   を特徴とする屋根材の接続構造。