JP2686885B2 - 釘保持部材 - Google Patents

釘保持部材

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JP2686885B2
JP2686885B2 JP4237819A JP23781992A JP2686885B2 JP 2686885 B2 JP2686885 B2 JP 2686885B2 JP 4237819 A JP4237819 A JP 4237819A JP 23781992 A JP23781992 A JP 23781992A JP 2686885 B2 JP2686885 B2 JP 2686885B2
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明雄 山本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、釘保持力の弱い板部を
強化してネジ釘保持力を増大させる釘保持部材に関する
ものである。
【0002】
【従来技術及び発明が解決しようとする課題】例えば、
石膏ボードや比較的薄肉のベニヤ板等からなる壁体にネ
ジ釘をねじ込むことによって額や黒板等の比較的重量の
ある物品をそのネジ釘に吊下せんとする場合、石膏ボー
ドやベニヤ板等は釘保持力が弱いためにネジ釘がたちま
ち弛んでしまい、初期の目的を達成することができない
ことは日常的に経験されるところである。そのため、壁
面を叩いてその叩音の変化により壁下地材が存在する部
分を見出し、該壁下地材部分においてネジ釘をねじ込ん
で額等を吊下せざるを得ず、必ずしも望ましい位置に目
的物品を吊下することができない不都合があった。
【0003】ところで、石膏ボードやベニヤ板が釘保持
力に劣る原因は次の点にある。即ち、これらの板体内部
は緻密に形成されていないため、ネジ釘のねじ込みによ
り形成された孔部の内面部はそのねじ込みによって破壊
されて緩んだ状態にある。そのため板体にねじ込まれた
ネジ釘に荷重が加わると、該ネジ釘に外接する部分から
板体内部の破壊が容易に進行することとなる。このよう
な理由により、これらの板体は釘保持力に劣るのであ
る。
【0004】そこで、こうした弱いネジ釘保持力を改善
するべく、例えば、特公昭58−46617号公報にお
いて、木ネジをねじ込むための孔明きスリーブを、受け
入れ材の固定孔に挿入し、このスリーブに接着剤を充填
して、木ネジのねじ込みによって接着剤を前記孔から押
し出し、このスリーブ、受け入れ材、木ネジを一体的に
固定しようとする技術が提案されている。しかし、かか
る従来技術では、次の〜の問題点があった。
【0005】 スリーブ全体が挿入できる厚みのある
受け入れ材にしか適用できず、薄いベニヤ板等であれ
ば、木ネジをねじ込んだときに、接着剤が先端側の孔か
ら外界に流出してしまう。
【0006】 スリーブに充填された一定量のカプセ
ルの接着剤が木ネジで潰されて孔から押し出される方式
であるので、固定孔の径がスリーブ径に近似していなけ
れば、スリーブの表面と固定孔内壁との間隙に接着剤を
充分に行き渡らせることができず、充分な保持力が発揮
できないことは勿論のこと、接着剤を受け入れ材に充分
に含浸させて保持力を強化することは望めない。
【0007】 このことから、固定孔の径をスリーブ
径に近似させるための格別の穿孔手段を必要とし、穿孔
に錐やネジ釘を代用できず、簡便に実施できない。
【0008】 木ネジは、先端側が細いため、先端側
程、強力な接着力(保持力)を発揮させねばならない
が、先端側でも同じ量の接着剤しか充填されない同径円
筒状体のスリーブでは、先端側の保持力が低下する。
【0009】本発明は、かかる従来技術の問題点を踏ま
え、且つ、上述した知見に鑑み、筒 体使用のための穿孔
を簡便に行い得ながら、釘保持力の弱い薄い板体及び厚
い板体における釘保持力の増大を図ることのできる釘保
持部材を提供することを目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明に係る釘保持部材
1は、基端から先端に向けて細くなるテーパ軸状をなす
合成樹脂製の筒体7を具え、該筒体7内に設けた、該筒
体7の軸線方向に長い空室部30は、筒体の基端で開口
し、且つ、ネジ釘がねじ込み可能に形成され、更に該
体7は、等角度ピッチで、その筒体7の基端から、先端
の近傍に亘る如く筒体の長さ方向に延びる割り線33に
よって分割され、且つ、該割り線33は自由状態では閉
じるように構成されており、以て、板体2に設けた孔部
3に挿入固定される釘保持部材である。
【0011】前記筒体7の基端の近傍部位に、液状接着
剤流出用の流出孔11が形成され、且つ、前記筒体7の
外側の周面部の、前記流出孔11よりも前記先端側に位
置する部分には、該筒体7の長さ方向に所定の間隔を隔
てて、可撓性を有する少なくとも二つの環状突起部10
を、筒体7の周囲を取り囲んだ状態に突出形成し、該環
状突起部の外周縁部分17が前記孔部3の内周面部3a
と当接しうるように構成したことを特徴とするものであ
る。
【0012】又本発明に係る釘保持部材1は、次のよう
に構成すると製作上都合がよい。即ち該釘保持部材1
は、基端から先端に向けて細くなるテーパ軸状をなす合
成樹脂製の筒体7を具え、該筒体7内に設けた、該筒体
7の軸線方向に長い空室部30は、筒体の基端で開口
、且つ、ネジ釘がねじ込み可能に形成され、以て、板
体2に設けた孔部3に挿入固定される釘保持部材であ
る。
【0013】前記筒体7は、その先端部において屈曲可
能に連結された、筒体の軸線を含む面で二つ割りされて
なる一対の半割片5,5を以てなり、該両半割片を、そ
の割り面が相互に当接した合体状態にして前記筒体7を
構成するものとなされ、前記筒体7の基端の近傍部位
に、液状接着剤流出用の流出孔11が形成され、且つ、
前記筒体7の外側の周面部の、流出孔11よりも前記先
端側に位置する部分には、該筒体7の長さ方向に所定の
間隔を隔てて、可撓性を有する少なくとも二つの環状突
起部10を、筒体7の周囲を取り囲んだ状態に突出形成
し、該環状突起部の外周縁部分17が前記孔部3の内周
面部3aと当接しうるように構成したことを特徴とする
ものである。
【0014】
【作用】本発明に係る釘保持部材については、例えば、
厚みがあるが、その釘の固定を予定している孔部の内周
面部の組織が脆い石膏ボードや、逆に孔部の組織が緻密
であるが厚みの薄いベニヤ板等に実施するに際し、先
ず、次の如き独特の作用を挙げることができる。
【0015】 液状接着剤流出用の流出孔11が、筒
体7の基端の近傍部位に開口されており、且つこの流出
孔11よりも先側に位置する部分に環状突起部10が設
けられているので、この筒体7の板体2に対する固定位
置としては、先ず、その基端側部分が基本となる。従っ
て、前記流出孔11から流れ出た液状接着剤は、基端
近い環状突起部10で先ず堰き止められ、周囲に浸透し
て行きながら先端側に流出して行くことになる。その結
果、筒体7の基端側の部分が先ず固定されるから、板体
2が薄いベニヤ板等であっても、何等問題なく、その釘
保持力を向上させることができるのである。
【0016】 液状接着剤は、予めカプセルに入れて
スリーブ内に入れられるのではなく、接着剤供給器によ
り筒体7の開口から注入される方式であるので、板体2
の孔部3の内径が筒体7の外径よりも比較的大きくて
も、所要量だけ注入することができる。従って、板体2
として、厚みがあるが組織の脆い石膏ボード等を対象と
した場合においては、その孔部3の周辺部分に充分に浸
透させるだけの量を注入でき、孔部3の周辺部分の組織
強化を図って、一層釘保持力を向上させることができ
る。
【0017】 又、こうした接着剤の注入方式を採る
ことができる構成であるので、板体2の内径を筒体7の
外径に近似させる必要がなく、従って、錐やネジ釘を用
いて孔明けを簡便に行い得ることになる。
【0018】 更に筒体7は、先端側程細いテーパ軸
状をなすように構成され、且つ、少なくとも二つの環状
突起部10が前記のように並設されているので、環状突
起部10による液状接着剤の段階的な堰き止め作用によ
って、釘保持部材の基端側に位置する部分のみならず
端側に位置する部分においても、注入された液状接着剤
を、筒体外面と孔壁面との間の大きな間隙にプールしな
がら、孔部の周辺部分に浸透させることができる。併せ
て、ネジ釘の圧入による筒体の開きによって筒体の外側
の周面部が孔壁面を加圧するため、液状接着剤の浸透作
用が助長せしめられる。このようなことから、先端側が
細いネジ釘に対して、筒体7の先端側における釘保持力
を大幅に向上させうることとなる。
【0019】 そして、環状突起部10は薄く且つ可
撓性を有するので、孔部3の径が環状突起部10の外径
より小さくても、孔部3に挿入するときに、環状突起部
が容易に撓むため、孔部への挿入をスムースに行いう
る。勿論、前記筒部7が、先細りのテーパ軸状となって
いるので、その先端側の挿入は容易である。
【0020】 又、前記筒体7を、先端部において屈
曲可能に連結された一対の半割片5,5で構成する場合
には、半割片5,5の対向する凹溝が向き合うように該
半割片5,5相互を当接させるだけで割り線33が自動
的に形成されるのみならず、左右対称の半割片であるの
で、金型を対称型に刻設すれば済み、コスト低減を図り
得る。以下に、その具体的な工程を含めた作用について
説明する。
【0021】然して、例えば石膏ボードやベニヤ板等と
しての釘保持力の弱い板体2の板面に、ヒートン20a
としての釘20をねじ込む場合を例にとって本発明の作
用を説明すれば以下のごとくである。
【0022】即ち、まず、板体2の所望部位に保持部材
の基端径よりも稍小径の孔部3を形成した後、釘保持部
材1を、該孔部3に挿入せしめ、筒体7の基端側の外周
縁部23が孔部3の基端側の内周縁部3a1と当接した
状態とする。
【0023】その後、液状接着剤供給器の供給先端部1
2を、それが筒体7の開口端を塞ぐごとく筒体7の基端
側の部分に当てがい、該供給先端部12の透孔29より
液状接着剤を筒体7内に供給すると、液状接着剤は空室
部30を充たした後、流出孔11から流出して板体2の
孔部周辺部分31に順次浸透していく。
【0024】この接着剤の浸透について説明を補足すれ
ば、環状突起部10の外周縁部分17が板体2の孔部内
周面部と当接した状態にありしかも筒体7の基端の外周
縁部23が孔部3の基端の内周面部3a1と当接した状
態にあるため、筒体7の外周面部の外側には該基端の
周面部を取り囲むように環状の空間部27aが形成さ
れ、又環状突起部10が間隔を隔てて複数設けられてい
るときには隣合う環状突起部10,10間に環状の空間
部27bが形成されることとなる。従って流出孔11か
ら流出する液状接着剤は、筒体の基端側に位置する環状
突起部による堰き止め作用によって、まずこの環状空間
部27aに充填された後、孔部3の周辺部分31に、半
径方向に順次浸透していく。その後、浸透接着剤が徐々
に環状空間部27b内に流入せしめられると、今度は、
先端側に位置する環状突起部による堰き止め作用を受け
て、該環状突起部間において孔部の周辺部分に順次浸透
していく。
【0025】然る後、筒体7の空室部30内にヒートン
20aのネジ部21をねじ込むのであるが、このねじ込
みに伴って前記割り線33が徐々に開き、空室部30内
に残存する液状接着剤が該開いた割り線部分33aから
流出することとなる。この場合にも、前記流出孔11か
らの液状接着剤流出の場合と同様、環状突起部10によ
って形成された環状をなす空間部27a,27bの存在
によって、開いた割り線部分33aより流出した液状接
着剤は孔部11の周辺部分に順次浸透していく。あわせ
てこのネジ釘のねじ込みにより筒体が開き、筒体の外面
部が徐々に孔壁面を加圧する。
【0026】この「徐々に行なわれる加圧作用」は、第
1に孔部周辺を圧縮する(締め固める)。第2に、環状
空間部内に流入した液状接着剤を順次孔部周辺に浸透さ
せる。そして、接着剤の硬化によって孔部周辺部分31
は緻密な組織に改質されるとともに、環状突起部11が
孔壁面に食い込んだ状態で釘保持部材1はこの改質部分
と密着一体化する。しかもネジ部21は、筒体7の空室
内面部32にネジ溝34を形成しつつ順次ねじ込まれて
いき、ネジ部21と筒体7とが密接に一体化されること
から、ヒートン20aは、板体2に強固に固定されるこ
ととなる。
【0027】以上のような、孔部周辺部分31の改質及
び釘保持部材1と該改質部分31aとの一体化、加えて
釘保持部材1とネジ釘20との一体化によって、ネジ釘
20は板体2に強固に固定された状態となる。然して、
釘保持部材に保持されているネジ釘の引き抜き方向の力
に対しては、環状突起部10が緻密組織と係合状態とな
るアンカー作用を発揮して、釘保持部材が緻密組織から
非常に抜け出しにくいこと、又釘保持部材の周辺の緻密
組織が、改質されていない非緻密組織に対してのアンカ
ー部となることから、額や黒板等の比較的重量のある物
品さらには吊棚等の相当重量のある物品であっても、そ
れを安定状態を維持して固定(吊下等)することができ
る。
【0028】ちなみに、板体に設けた孔部2の周辺部分
を接着剤によって緻密な組織に改質したとしても、この
孔部2に直接的にネジ部をねじ込む場合には、孔部2の
周辺部分31が均一状態には改質され難く又その改質に
よる緻密さにも限界があるため、満足な釘保持力が保証
され難い問題が生ずる。
【0029】筒体基端部にテーパ孔部15が形成される
場合には、接着剤供給器の供給先端部12を該テーパ孔
部15に押し当てることにより、筒体開口端が自ずから
塞がれた状態となりかつ供給先端部12が必要以上に筒
体内に挿入するのが防止される。従って、供給先端部1
2から供給される液状接着剤は流出孔11から円滑に流
出することとなる。
【0030】又環状突起部10が可撓性を有するため、
板体に設けた孔部3に釘保持部材1を挿入する際、該環
状突起部10は孔部3の内周面部3aと密着した状態で
湾曲変形することとなり、液状接着剤の供給時におい
て、環状突起部10と孔部内周面部3aとの当接部分か
ら液状接着剤が漏れるのが極力防止され、これによっ
て、多量の液状接着剤が孔部の周辺に容易に浸透でき
る。
【0031】
【実施例】以下本発明の実施例を図面に基づいて説明す
る。図1〜3において本発明に係る釘保持部材1は、石
膏ボードや比較的薄肉のベニヤ板あるいは合成木板等の
釘保持力の弱い板体2に設けた孔部3(図4参照)に挿
入固定されるものであり、例えば合成樹脂の一体成形品
として製作されている。そして該保持部材1は、一対の
半割片5,5を具え、該一対の半割片5,5はその先端
部相互が屈曲部6によって連結され、該両半割片5,5
の合体により、図1に示すごとき先細化する釘挿入用筒
体7が形成されるとともに該形成された筒体7の外面部
9には複数の可撓性を有する円板状をなす環状突起部1
0が突出形成されるごとくなされている。以下これを具
体的に説明する。
【0032】半割片5,5は共に同一の構成を有し、横
断面半円弧状をなす先細化する樋状に形成されており、
その基端側部位には接着剤流出用の流出孔11が形成さ
れている。又その内面部の基端には、接着剤供給器の供
給先端部12の外周面部13と密接に当接しうる(図5
参照)、環状膨出部14からなるテーパ孔部(筒体先端
部に向かって稍小径となる)15を半割片合体状態にお
いて形成する(図1参照)ための半円弧状膨出部16が
突出形成されている。なお前記流出孔11は、この膨出
部16の先端側に連なる状態で設けられている。又両半
割片5,5の夫々の外面部9a,9aには、外周縁部分
17あるいは略全体が孔部3の内周面部3aと湾曲状態
で当接しうる先端部分薄肉の円板状をなす環状突起部1
0が、筒体7の周囲を取り囲んだ状態で、半割片合体状
態において流出孔11よりも先側部位に位置して形成さ
れるよう、半円環状をなす可撓性を有する薄肉鍔部19
の複数が所要間隔を隔てて突出形成されている。
【0033】次に、このような構成を有する釘保持部材
1の使用例を説明する。第1使用例 図4〜9は、上記構成を有する釘保持部材1を石膏ボー
ド2aとしての板体2に取付けかつ該釘保持部材1に例
えばヒートン20aとしてのネジ釘20を保持させる要
領を、釘保持部材の作用とともに説明するものであり、
まず図4に示すごとく孔部3を形成する。
【0034】その後、一対の半割片5,5をその凹溝2
2,22が対向するよう合体させることによって形成さ
れた釘保持部材1を、該孔部3に挿入する(環状突起部
10が湾曲変形しつつの挿入)のであるが、その際、筒
体7の基端外周縁部23が孔部3の基端内周縁部3a1
と当接しかつ筒体7の基端面24が石膏ボード2aの板
面25と略面一の状態となるようにする。このようにす
ると、前記「作用の項」で説明した理由により、図5〜
6に示すごとく、筒体7の基端外周面部を取り囲むよう
に環状の空間部27aが形成されかつ隣合う環状突起部
10,10間にも環状の空間部27bが形成された状態
となる。
【0035】然る後、図5に示すごとく、液状接着剤供
給器の供給先端部12を筒体7のテーパ孔部15に押し
当てて該筒体開口端が塞がれた状態とし(なおこのよう
に押し当てることにより、テーパ孔部15によって供給
先端部12が必要以上に挿入されるのが防止され、流出
孔11が供給先端部12によって塞がれた状態となるの
が防止される)、供給先端部12の透孔29より液状接
着剤を筒体7内に供給すると、図6に示すごとく、液状
接着剤は筒体7の空室部30を充たした後流出孔11か
ら前記環状空間部27a内に流出し、この環状空間部2
7aを充たした後孔部3の周辺部分31に、半径方向に
順次浸透していく。
【0036】所要量の接着剤を供給した直後、第7〜8
図に示すごとく前記ヒートン20aのネジ部21を筒体
7の空室内面部32にねじ込むと、このねじ込みに伴っ
て、半割片5,5の側縁当接部としての割り線33が徐
々に開き、空室部30に残存する液状接着剤が、該開い
た割り線部分33aから前記環状空間部27a,27b
内に流出する。あわせてこのネジ釘のねじ込みにより筒
体が開き、筒体の外面部が徐々に孔壁面を加圧する。
【0037】この「徐々に行なわれる加圧作用」は、第
1に孔部周辺を圧縮する(締め固める)。第2に、環状
空間部内に流入した液状接着剤を順次孔部周辺に浸透さ
せる。その後接着剤が硬化することにより、孔部周辺部
分31は緻密な組織に改質されるとともに、環状突起部
が孔壁面に食い込んだ状態で釘保持部材1はこの改質部
分31aと密着一体化する。しかも、ネジ部21は空室
内面部32にねじ溝34を形成してねじ込まれた状態に
あり、かつネジ部21と筒体7とが密接に一体化した状
態となることから、ヒートン20aは、図9に示すごと
く、石膏ボード2aに強固に固定されることとなる。従
って、相当重量のある物品であっても、それを安定状態
を維持して吊下することができる。
【0038】第2使用例 図10〜12は、上記構成を有する釘保持部材1を比較
的薄肉(例えば3mm程度の肉厚)のベニヤ板2bとし
ての板体2に取付け、かつ該保持部材1に例えばヒート
ン2aとしての釘を第1使用例における場合と同様の要
領により保持させる場合を示すものである。同図におい
てはベニヤ板2bの肉厚が薄いことから、基端側にのみ
環状の空間部27aが形成された場合が示されている。
そして、孔部3の周辺部分31への接着剤の浸透は、第
1使用例における場合と同様に行われ、接着剤の硬化に
より、図9に示すと同様、ヒートン20aはベニヤ板2
bに強固に固定されることとなる。
【0039】第3使用例 図13〜14は、上下方向に3個のねじ挿通孔35,3
6,37を有する吊下荷重増大用のプレート39を、例
えば石膏ボード2aとしての板体2に固定した場合を示
すものである。
【0040】該プレート39は、上側2個のネジ挿通孔
35,36において、前記要領により釘保持部材1を用
いて固定ネジ20bにより固定されるとともに、最下端
のネジ挿通孔37においては、ヒートン20aのネジ部
21が釘保持部材1を用いてねじ込まれ該ヒートン20
aの鍔部40に押圧されることにより、ヒートンによっ
てもネジ固定される。
【0041】このようにプレート39を用いるときに
は、ヒートン単独を板体に固定する場合とは異なり、ヒ
ートンに加わる吊下荷重の多くの部分が、プレート39
を介して上側の固定ネジ20bの引抜き抵抗力によって
負担されることとなるため、吊下荷重の大幅な向上を期
しうることとなる。
【0042】又図15〜16は、下端にハンガー部41
が一体に設けられたプレート39を、前記と同様の要領
により例えばベニヤ板2bとしての板体2に固定した場
合であり、図13〜14における場合と同様、ハンガー
部41における吊下荷重の向上が図られている。
【0043】その他の実施例 図17〜19は本発明に係る釘保持部材1の他の実施例
を示すものである。該釘保持部材1は、先細化する釘挿
入用筒体7を合体によって形成しうる一対の半割片5,
5を具え、両半割片5,5がその先端部において屈曲可
能に連結されており、かつ該半割片5,5の夫々におい
てその基端の近傍部位に接着剤流出用の流出孔11が形
成されている点に関しては前記実施例で示したと同様で
あるが、特に本実施例においては、半割片5,5の夫々
の外面部9aに突出形成される鍔部19が横断面鋸刃状
を呈するごとくなされ、従って、筒体7の外面部9に突
出形成される環状突起部10は横断面鋸刃状を呈する。
【0044】なお本発明の保持部材は、筒状をなすもの
として全体が一体に製作される場合もある。又本発明の
釘保持部材が石膏ボード等の厚肉板に取付けられる場合
には、図1あるいは図17において一点鎖線で示すごと
く、筒体の軸線方向に流出孔11が並設されることもあ
る。
【0045】
【発明の効果】本発明は以下の如き優れた効果を奏す
る。第1に、厚みの薄いベニヤ板等の板体や、厚みが厚
くても組織の脆い石膏ボード等の板体に適用することに
より、その釘保持力を飛躍的に向上させることができ
る。第2に、液状接着剤を筒体の開口から注入する方式
を採れるので、板部に対する穿孔をラフ(孔径が筒体の
径に近似しなくても良い)に行い得るから、格別の穿孔
手段が必要でなく、錐やネジ釘を用いて簡便に実施でき
る。第3に、液状接着剤を所要量だけ注入できるので、
大量の液状接着剤を環状突起部で堰き止めておいて孔部
の周辺部分に浸透させることができ、脆い組織の石膏ボ
ードでも充分な釘保持力を発揮させることができる。第
4に、先細りのテーパ軸状の筒体であるので、孔部の先
端側において、大きな環状空間部が形成されることにな
る。従って、該環状空間部に大量の液状接着剤をプール
しながら、これを孔部の周辺部分に浸透させることがで
きる。同時に、ネジ釘の圧入によって筒体の先端側が押
し拡げられるため、孔部の内周面部に対する押圧力が発
現せしめられ、液状接着剤の浸透作用が助長されること
となり、従って、筒体の先端側における釘保持力を向上
させることができる。第5に、前記環状突起部が、可撓
性を有し且つ薄く構成されているから、板体の孔部の径
がその環状突起部の外径よりも小さい場合であっても、
板状突起部が容易に撓むため、孔部への挿入をスムース
に行い得る。第6に、前記筒体を、先端部において屈曲
可能に連結された一対の半割片で構成する場合には、半
割片の対向する凹溝が向き合うように該半割片相互を当
接させるだけで割り線を自動的に形成できるのみなら
ず、左右対称の半割片であるので、金型刻設も簡単に行
ない得て、コストダウンを図れる利点もある。かかる本
発明の効果を、以下に詳細に説明する。
【0046】 本発明に係る釘保持部材は、上記構成
を採用する結果、板体(釘保持力の弱い板体)に設けた
孔部に該釘保持部材を挿入すると、接着剤流出用の流出
孔が孔部の内周面部と対向した状態となり、かつ孔部の
内周面部と当接しうる環状突起部によって環状をなす空
間部が形成されることになる。
【0047】従って本発明によるときには、流出孔や開
いた割り線部分から流出する液状接着剤を該環状空間部
において効果的に周方向に誘導させることができ、これ
を孔部の周辺部分に順次浸透させることができる。そし
てネジ釘のねじ込みによる筒体の拡開により孔部の周辺
を締め固めることができる。それ故、孔部周辺を緻密な
組織に容易に改質することができ、保持部材をこの緻密
組織と完全に一体化させうる。
【0048】このようなことから、石膏ボードや比較的
薄肉のベニヤ板あるいは合成木板等の釘保持力の弱い板
体に対して額や黒板等の比較的重量のある物品さらには
吊棚等の相当重量のある物品を固定せんとする場合に
も、それを安定状態を維持して固定(吊下等)できる。
【0049】 環状突起部が可撓性を有するため、板
体に設けた孔部に釘保持部材を挿入する際、該環状突起
部は孔部の内周面部と密着した状態で湾曲変形すること
となり、液状接着剤の供給時において、環状突起部と孔
部内周面部との当接部分から液状接着剤が漏れるのが極
力防止され、これによって、多量の液状接着剤が孔部の
周辺に容易に浸透できる。
【0050】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る釘保持部材を例示する斜視図であ
る。
【図2】釘保持部材を形成する一対の半割片相互をその
先端部において連結した状態を示す斜視図である。
【図3】釘保持部材を形成する一対の半割片相互をその
先端部において連結した状態を示す斜視図である。
【図4】石膏ボードとしての板体に設けた孔部を説明す
る断面図である。
【図5】石膏ボードとしての板体に設けた孔部に釘保持
部材を挿入し、空室部内に液状接着剤を供給した状態を
示す断面図である。
【図6】環状空間部内への液状接着剤の流出を説明する
断面図である。
【図7】釘保持部材にネジ釘をねじ込んだ際の、筒体外
面部による孔壁面の加圧作用を説明する断面図である。
【図8】釘保持部材にネジ釘が完全にねじ込まれた状態
を説明する断面図である。
【図9】釘保持部材を介して石膏ボードにヒートンを固
定した状態を示す斜視図である。
【図10】ベニヤ板としての板体に設けた孔部に釘保持
部材を挿入し、空室部内に液状接着剤を供給した状態を
示す断面図である。
【図11】図10に示す釘保持部材にネジ釘をねじ込む
途中の状態を説明する断面図である。
【図12】図10に示す釘保持部材にネジ釘を完全にね
じ込んだ状態を説明する断面図である。
【図13】石膏ボードとしての板体に吊下荷重増大用の
プレートを釘保持部材を介して固定した状態を示す断面
図である。
【図14】石膏ボードとしての板体に吊下荷重増大用の
プレートを釘保持部材を介して固定した状態を示す斜視
図である。
【図15】ベニヤ板としての板体に吊下荷重増大用のプ
レートを釘保持部材を介して固定した状態を示す断面図
である。
【図16】ベニヤ板としての板体に吊下荷重増大用のプ
レートを釘保持部材を介して固定した状態を示す斜視図
である。
【図17】本発明に係る釘保持部材の他の実施例を示す
斜視図である。
【図18】第17図に示す釘保持部材を形成する一対の
半割片をその先端部において屈曲可能に連結した状態を
示す斜視図である。
【図19】第17図に示す釘保持部材を形成する一対の
半割片をその先端部において屈曲可能に連結した状態を
示す斜視図である。
【符号の説明】
1 釘保持部材 2 板体 3 孔部 5 半割片 7 釘挿入用筒体 10 環状突起部 11 流出孔 15 テーパ孔部 16 半円弧状膨出部 19 鍔部 30 空室部 33 割り線
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭48−36544(JP,A) 特公 昭58−46617(JP,B2) 特公 昭54−23048(JP,B2)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基端から先端に向けて細くなるテーパ軸
    状をなす合成樹脂製の筒体7を具え、該筒体7内に設け
    た、該筒体7の軸線方向に長い空室部30は、筒体の基
    端で開口し、且つ、ネジ釘がねじ込み可能に形成され、
    更に該筒体7は、等角度ピッチで、その筒体7の基端か
    ら、先端の近傍に亘る如く筒体の長さ方向に延びる割り
    線33によって分割され、且つ、該割り線33は自由状
    態では閉じるように構成されており、以て、板体2に設
    けた孔部3に挿入固定される釘保持部材であって、前記
    筒体7の基端の近傍部位に、液状接着剤流出用の流出孔
    11が形成され、且つ、前記筒体7の外側の周面部の、
    前記流出孔11よりも前記先端側に位置する部分には、
    該筒体7の長さ方向に所定の間隔を隔てて、可撓性を
    する少なくとも二つの環状突起部10を、筒体7の周囲
    を取り囲んだ状態に突出形成し、該環状突起部の外周縁
    部分17が前記孔部3の内周面部3aと当接しうるよう
    に構成したことを特徴とする釘保持部材。
  2. 【請求項2】 基端から先端に向けて細くなるテーパ軸
    状をなす合成樹脂製の筒体7を具え、該筒体7内に設け
    た、該筒体7の軸線方向に長い空室部30は、筒体の基
    端で開口し、且つ、ネジ釘がねじ込み可能に形成され、
    以て、板体2に設けた孔部3に挿入固定される釘保持部
    材であって、前記筒体7は、その先端部において屈曲可
    能に連結された、筒体の軸線を含む面で二つ割りされて
    なる一対の半割片5,5を以てなり、該両半割片を、そ
    の割り面が相互に当接した合体状態にして前記筒体7を
    構成するものとなされ、前記筒体7の基端の近傍部位
    に、液状接着剤流出用の流出孔11が形成され、且つ、
    前記筒体7の外側の周面部の、流出孔11よりも前記先
    端側に位置する部分には、該筒体7の長さ方向に所定の
    間隔を隔てて、可撓性を有する少なくとも二つの環状突
    起部10を、筒体7の周囲を取り囲んだ状態に突出形成
    し、該環状突起部の外周縁部分17が前記孔部3の内周
    面部3aと当接しうるように構成したことを特徴とする
    釘保持部材。
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