JP2684323B2 - 凍霜害防除方法とその装置 - Google Patents

凍霜害防除方法とその装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、露地農作物の凍霜害防
除方法およびそのための装置に関する。より詳しくは、
本発明は、農業気象災害の1つである凍霜害(一般には
単に霜害とも呼称されるので、以下には単に霜害とい
う。)の防除技術に関するものである。霜害の発生は、
作物または植物体(果樹、野菜、特産農産物−例
えば茶樹−など全般を意味する。)について発生する問
題に関し、温風による植物体表面の温度を上昇させて霜
害の原因となる結霜および凍露の発生を防止し、霜害を
効率良く防除する方法とその方法に用いる装置とに関す
る。
【0002】
【従来の技術】従来の技術の調査に先立ち、本願発明者
らは霜害についての文献を参照した。真木太一、鈴本義
則、鴨田福也、早川誠而、泊功編著「農業気象災害と対
策」養腎堂1991年11月5日第1版、62〜66頁
によると、霜害は以下のように説明されている。
【0003】春や秋に急に温度が下がって霜を結ぶよう
な気象条件のもとで、作物体が凍結し、寒さに弱い部分
が凍死したり生理障害を起こす災害を霜害あるいは凍霜
害という。発生する時期によって霜害を初霜害と晩霜害
とに区別している。初霜害は秋から初冬にかけて成熟期
の作物で未収穫の穂、果実やまだ低温に対する抵抗力が
十分でない茎葉、枝先、果実などが受ける低温による被
害を指す。一方、晩霜害は春から初夏にかけ、発芽・芽
立ちの始まった作物が受ける低温による被害を指す。
【0004】耐凍性の低い植物では、霜が付いて耐凍温
度以下になった葉や新芽は、霜が消えてしばらくすると
油浸状を呈し、褐色や黒色に変色し枯死する。野外の群
落(背の低いもの)で葉の重なりがある場合には、表面
の天空に向かって露出している葉や芽だけの枯死が目立
って多い。このことは露が付いてやがて凍結したとか、
霜が直接できたとかの、いわゆる植氷された部分のみが
被害を受けたことを物語る。温度的にはさほど変わらな
いのに表面にでていなかった葉が生き残るのは過冷却状
態を保ち得たことによる。この過冷却状態を破るのが霜
であり凍露である。
【0005】霜害は植物体温が−2〜−3℃に達する気
象条件下で発生する。霜害の発生期にこの条件になるの
は、寒冷で乾燥気味の特性を持った移動性高気圧がやっ
てきて、快晴無風となり放射冷却が強まる夜である。
【0006】次に風が重要な役割を果たす。それには植
物周辺と接地気層全体に対するものがある。まず、ここ
で注意しなければならないのは霜の起こる夜の植物体温
と気温の関係であり、葉温は周辺の気温に比べ低いこと
である。これは植物は放射冷却で自ら冷えていくが、空
気自体は自ら冷えることが極めて少ないためである。植
物葉面に境界層が発達してきて、風速が弱くなると指数
関数的に葉温と気温の差が大きくなる。そのため植物の
近辺で吹く風はその差を縮め、葉温を気温に近づけるこ
とになり、結果として高める。より大きい範囲で吹く風
は逆転層内の上部の暖かい空気と下部の冷たい空気を混
合させるとともに、暖かい空気を植物の近くに運んでく
る。
【0007】以上のことから、夜間の有効放射量が同じ
(同一放射冷却強度)であっても、風が強いと葉は冷え
にくく、かつ気温の逆転度合いが小さくなる。一方、風
が弱いと葉は冷えやすく、気温の逆転度合いも大きくな
る。
【0008】耕地の冷却には気象側の条件に加え、地
形、土壌の物理性、土壌水分、土地の被覆の状況とその
断熱特性、風の特性など多くの要素が関与する。夜間放
射冷却が進む気象条件のもとで特に冷えやすい地形があ
る。一般的にいえば盆地の低地部、小規模な凹地、傾斜
面を横切って空気の流れをせき止める形となった土手や
樹林の山手側、平坦地でも防風林などで囲まれた場所な
どである。いずれも風が弱められやすく、生成された冷
気が他所へ逃げず溜まりやすくなっているところであ
り、これらは冷気湖とか霜穴といわれる。
【0009】盆地とか背後に高い山がある低地部では、
夕刻に上部から入り込む斜面下降流が冷気を運ぶ流れと
なるため、日没直後の数時間に冷え込みが強められる。
これにより斜面の高所と低地部との温度差が生じ、天候
が変わらないときにはその温度差が夜明けまで続く形で
冷却が進む。
【0010】霜害の防除方法としては、従来、 (1)送風法 (2)散水氷結法 (3)被覆法 (4)燃焼法 (5)人工霧法 が提案され試験されている。
【0011】上記(1)の送風法は、放射冷却時の気
温の接地逆転層を利用し、気温と葉温の上昇を図るも
のである。送風法は、真木太一、鈴本義則、鴨田福也、
早川誠而、泊功編著「農業気象災害と対策」養賢堂発行
1991年11月5日第1版70頁以下、および「昭和
57年度日本農業気象学会全国大会講演要旨」日本農業
気象学会発行113〜117頁の2.送風による気象改
良−送風法による茶園の凍霜害防止−青野英也(茶業試
験場)に記述され、実際には防霜ファンによる方法が普
及している。
【0012】ここで上記逆転層は、坪井八十二著「気象
と農業生産」養賢堂発行1990年5月30日第2版7
0〜71頁に、次のように説明される。大気は、上層に
いくに従い低温になる。高度と共に気温が低下する状態
が順転(てい減)であり、その反対に高い所が高温にな
る場合を逆転という。このような状態は平地でもしばし
ば発生する。前記文献第71頁に記載されている逆転層
を説明する図に基づく図18を参照すると、よく晴れて
風が弱いとき、日の入頃から地面は放射のため冷え、逆
転が発生する。これは地面の放射冷却により発生するの
で、放射性逆転である。これが同図の(a)に示す接地
逆転である。同図(b)に示されるものは比較的上層に
できる逆転で、上層逆転という。これに対し、地上の放
射性逆転は、下層逆転あるいは接地逆転という。地形気
候では、この接地逆転が重要である。接地逆転は夕方発
生し、日の出後間もなく消失する(順転になる)。この
とき、風の有無は逆転層の形成に関係がある。風がない
ときは、逆転層の厚さは浅いが、逆転度(上下の温度
差)は大きくなる。風があるときは逆転層の厚さは増す
が、上下の温度差は小さくなる。
【0013】上記(2)の散水氷結法は、水が凍結時に
発生する潜熱によって植物体を0℃近くの温度に保つ方
法で、前記「農業気象災害と対策」73頁に記述されて
いる。
【0014】上記(3)の被覆法は、植物体および地面
からの長波放射・放熱を遮り、植物体への結霜を防いで
植氷作用を弱める方法で、「農業気象災害と対策」78
頁に記述されている。
【0015】上記(4)の燃焼法は、ヒータで空気の対
流を促進し、上空の暖かい空気を循環させる作用と放射
熱とで植物体を直接暖める方法で、それは前掲「農業気
象災害と対策」78頁に説明されている。
【0016】上記(5)の人工霧法は、水蒸気を十分含
んだ空気により地表面からの長波放射による放熱を弱め
る方法で、前掲「農業気象災害と対策」79頁に記載さ
れている。
【0017】特許文献の調査により発明者らは3件の関
連性をもつ特許公開公報を見出した。特開昭54−12
3447号公報には、図19のそれぞれ模式的な(a)
の平面図、(b)の斜視図、(c)の断面図、(d)の
断面図を参照すると、「果樹園・桑園・野菜園等の圃場
101に植生せる樹木・野菜類102の条間に、合成樹
脂材等により折畳格納自在に形成するとともに、周面に
噴気口103を具備せしめたダクト104を配設し、そ
のダクトを介し、所望温度で作動するよう制御せる火炉
105から、所望温度の温風を前記樹木・作物類の周辺
に送給することにより、その樹木・作物周辺に温度降下
を抑止する熱量を供給しながらその樹木・作物周辺の大
気に流動を生ぜしめて、霜害を防止するようにした果樹
園等における樹木・作物類の霜害防止方法」が開示され
ている。
【0018】特開昭63−233730号公報には、図
20を参照すると、「移動可能とされる送風手段114
の吸入口112に連結される伸縮自在な吸込管111の
管路の途中に発熱手段115を内設し、前記吸込管で吸
入される空気と発熱手段により発生する熱エネルギとを
前記送風手段において撹拌混合させて送風手段の吐出口
113に連なる噴頭を介して地表面近傍の冷気中に拡散
混合させることを特徴とする霜害防止方法と、移動可能
なフレーム117に、原動機116と、この原動機によ
り駆動される送風手段114と、この送風手段の吸入口
112に連結される伸縮自在な吸込管111と、この吸
込管の管路の途申に装備される発熱手段115と、前記
送風手段の吐出口113に連通する噴頭118とを搭載
したことを特徴とする霜害防止装置」が開示されてい
る。
【0019】特開平4−281720号公報には、図2
1を参照すると、「温風発生源から発生した温風を、こ
の温風発生源に連通すると共に外部に連通する噴出部へ
送給手段によって一旦送給し、回転手段によって前記噴
出部を回転しながら、前記送給された温風を前記噴出部
から外部へ噴出し、前記噴出部周辺の大気を流動攪拌さ
せて水蒸気の昇華を防止する霜防止方法と、温風を発生
する温風発生源121と、前記温風発生源から発生した
温風を送給する送給手段122と、前記送給手段に連通
すると共に外部に連通しかつ回転可能に支持され前記送
給手段によって送給された温風を外部へ噴出する噴出筒
123と、前記噴出筒を回転して噴出方向を変更する回
転手段124と、を備えた霜防止装置」とが開示されて
いる。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)の送風法の
問題点は、気温の逆転強度により昇温効果が異なるこ
と、凹地や傾斜地で能力が劣ること、民家近くでは
騒音が発生することである。
【0021】上記(2)の散水氷結法では、大量の水
を必要とするので、水を確保することができるところに
限られ、湿害に注意する必要がある、という問題があ
る。
【0022】上記(3)の被覆法は、被覆物の入手のた
め経費がかさみ、それをすべての植物体にかぶせ、後日
それを除去するについて手間がかかる問題がある。
【0023】上記(4)の燃焼法の問題点は、燃焼法
単独で十分な効果が得られず、環境汚染のおそれがあ
り、労力がかかることである。
【0024】上記(5)の人工霧法は、霧を発生するに
特別の装置を必要とするという問題があり、実用化はい
ま1歩という状況にある。
【0025】特開昭54−123447号公報に開示の
方法は圃場における植物体の条間にダクトを配設するも
のであり、かなりの長さになると推定されるダクトの配
設と除去に時間と手間がかがる問題がある。
【0026】特開昭63−233730号公報の発明で
は、上記(1)の送風法の問題があることに加え、フレ
ーム本体を移動する手段(実施例ではトラクタ)とそれ
を運転する人手を必要とする問題がある。
【0027】特開平4−281720号公報の発明にお
いても〔0026〕で述べた問題点がある。それに加
え、同発明にかかる装置においては、燃焼筒125から
出てくる熱気は、動翼126、静翼127により連通筒
128を経て噴出筒123に至り、噴出孔129から外
に出される。この長い径路を通ることにより熱気のもっ
ている熱エネルギーの損失と熱気の流速の低下は避ける
ことかできない。さらに、該発明にかかる装置において
は温風は水平方向にしか噴出しえない。その問題点を列
挙すると、下記のようなものである。
【0028】以上から、本発明が解決すべき問題点は下
記のように要約される。 温風吹出口が傾斜地に対応した機能を有していな
い。しかし、防霜ファンは俯角調整機能をもつ。 逆転層を有効に利用していない。逆転層は、有効に
利用すれば、その逆転強度により省エネルギー運転が期
待できるにもかかわらず、従来例はこの利点を活かして
いない。 送風機の吹出口の回転速度(周期)が植物体の温度
上昇にどのように影響するかについて十分な解明がなさ
れていない。 発生する温風は、吹出口周辺の大気の昇温と大気の
流動撹拌により霜害の主な原因である水蒸気の昇華は防
止するものの、凍露も霜害の原因であり、また、結霜せ
ずに霜害の発生することもある。植物体の温度を上昇さ
せることが植物体の凍結を防止する有効な方法であるに
もかかわらず、この点の解明がなされていない。 傾斜地の圃場に対応した機能を備えた確実で効果の
及ぶ範囲の広い凍霜害防除装置は開示されていない。 温風または熱気を発生する装置においては、温風発
生源から温風吹出口までの距離が大であるので、温風の
もつ熱エネルギーの損失と温風の流速低下が避けられな
い。
【0029】そこで本発明の課題は上記した問題点を解
決し、傾斜地でも実施可能であり、確実で効果範囲が広
く、耐久性があり、経済性に優れた凍霜害防除装置と方
法を提供するにある。
【0030】
【課題を解決するための手段】上記課題は、温風機の
体部(28)の内部燃焼室(2)に燃焼ガス(4
7)を発生し、燃焼室(2)の上部本体部(28)の
上方から外気(48)を吸込、吸込んだ外気(48)
と燃焼ガス(47)とを本体部(28)内にて混合して
温風(49)となし該温風(49)を本体部(28)下
方の温風吹出口(4)から作物に向けて吹付けることを
特徴とする凍霜害防除方法によって解決される。
【0031】上記課題はまた、温風機が作る温風(4
9)を作物に吹付けるにおいて、作物の表面付近の気温
が何度まで下れば凍霜害防除装置を作動させるかの設定
温度(Tlo)を設定する手順、凍霜害防除装置の送風
機(1)の外気の吸込口付近で外気温(Ta)を検出す
る手順、作物周囲の気温(Tl)を検出する手順、およ
び設定温度(Tlo)と作物周囲気温(Tl)を比較す
る手順を経て、Tl≦Tloであれば凍霜害防除装置の
運転動作に移行し、TaとTloとの温度差(ΔT)を
検出し、ΔT>3℃のときは送風機(1)のみを運転
し、1℃≦ΔT≦3℃のときは送風機(1)の運転に加
えて凍霜害防除装置の低燃焼運転を開始し、ΔT<1℃
のときは送風機(1)の運転に加えて凍霜害防除装置の
高燃焼運転を開始する凍霜害防除方法によって解決され
る。
【0032】上記課題はさらに、作物に向けて温風を吹
付ける装置において、本体部(28)の上方に設けられ
た送風機(1)、本体部(28)の外部のバーナ(3)
に連結され本体部(28)内に配置された燃焼室(2)
および本体部(28)の下方に配置された温風吹出口
(4)から成り、送風機(1)はその上方の外気(4
8)を下方の本体部(28)内に送り、燃焼室(2)は
下方に凸の形状のもので上方は開口されて燃焼ガス出口
(45)を形成し、該燃焼ガス出口(45)は混合板
(24)によっておおわれ、燃焼室(2)が発生する燃
焼ガス(47)は吸込まれた外気(48)と本体部(2
8)内で混合して温風(49)を作り、温風吹出口
(4)の温風吹出部には整流板(5)が設けられて装置
の低および高燃焼運 転において排出する温風(49)を
所定方向に吹出す如くに整流する凍霜害防除装置によっ
て解決される。
【0033】
【作用】本発明において、凍霜害防除の目的で作物周辺
に温風を吹出すのに用いる温風機は、逆転層の暖い外気
を吸込むための送風機は温風機の上方部分に配置し、燃
焼ガスを発生する燃焼室は送風機の下の本体部のほぼ中
央に設け、吸込んだ外気と燃焼ガスは本体部内の燃焼室
のまわりで混合され本体部の下方の温風吹出口から外方
に吹出される。
【0034】温風機の運転において、作物周囲に維持す
べき温度、すなわち設定温度(Tlo)を例えば5℃に
設定する。送風機が吸込む逆転層の外気温(Ta)を検
出し、さらに最も低い位置にある作物周囲温度(Tl)
を検出する。作物周囲温度(Tl)を設定温度と比較し
Tl≦Tloのとき温風機の運転を開始するが、その
際、Ta−Tlo=ΔTを検出し、ΔT>3℃のときは
送風機のみを運転して逆転層の暖い空気を作物周辺へ吹
出し、1℃≦ΔT≦3℃のときは送風機運転に低燃焼運
転を加え、さらにΔT<1℃のとき送風機運転と高燃焼
運転とを行う。
【0035】このように、本発明においては、逆転層の
暖い外気を最大限に利用するものであり、そのために
は、低い位置の作物周囲温度(Tl)を検出し、それを
常に設定温度(Tlo)と比較することに加え、Ta−
Tlo=ΔTを検出し、ΔTの値を見て送風のみか、送
風+低燃焼か、または送風+高燃焼かを決定しそのよう
に実施する。
【0036】
【実施例】以下、図面を参照して本発明実施例を説明す
るが、それに先立ち本発明の原理について記述する。
【0037】凍霜害防除装置の省エネルギーについて
は、凍霜害防除装置自体の限界能力をどう考えるかが重
要であるので、その点を含めて説明しよう。一般に、夜
間の最低気温は、上空をおおう気団の強さと地形条件等
を含めた放射冷却の強度により決まる。その時間的変動
は、植物(作物)体温、その周囲温度、逆転層内の上部
の気温などが互いにある巾をもっている。最低気温のレ
ベルを決めるものは上空の気団の強さが主原因であり、
互いの変動巾は放射冷却の進行具合と地形などによる逆
転層の形成度合が原因と考えられる。気団が強い場合
は、最低気温のレベルが下がるので大霜となる。ここ
で、他の湿度、風、日射、夜間放射などは霜発生条件に
合っているものとする。従って、どの位の大霜に対応で
きるかが凍霜害防除装置の限界能力であり、そのときの
最低気温を能力表示の目安とすることができる。逆の言
い方をすると、霜害発生の心配のある数日のスパンを考
えると、気団の状態等により冷却強度(気温)に変化が
あり、また1日のスパンのうちでも気温の低下は時々刻
々進行変化することを考慮に入れると、凍霜害防除装置
は常時最大能力で運転する必要はないのである。
【0038】一方、霜害が発生する限界は、植物体温が
−2℃〜−3℃程度に下がる気象条件の下においてであ
り、その時の植物体周囲の気温との差は小さい(たとえ
ばΔT=1℃〜2℃と考える)ので、同一高さの温風を
送風したとすると、撹拌による湿度条件は変えられるも
のの、葉温上昇効果は小さく、気温が霜点(0℃)以下
であるので、霜害防効果は少ないと判断することがで
きる。また、逆転強度が大きいと言っても、どの高さの
気温(T℃)に対して、上層にどの位の逆転強度(Δ
T)があるかが重要である。植物体周囲気温が−5℃
(T)で、逆転強度がΔT=5℃であっても、送風する
風は気温0℃(T)であるので、やはり霜害防除効果は
期待することができない。一般に、霜注意報は予想最低
気温が3℃〜5℃(T)以下で発令され、この温度は、
1.5mの高さの気温である。なお、防霜ファンは、こ
の温度を霜害防除対象部位で検出して運転するものであ
る。
【0039】本願発明装置も、基準にする温度の高さは
植物体の霜害防除対象部位であり、運転する温度も霜注
意報の温度が基準である。これは1.5mの高さの気温
が3℃〜5℃であっても、地表面の放射冷却の程度によ
っては、地表面付近の気温は0℃になり、さらに植物体
自体の放射冷却を考えると、霜の降りる可能性があるか
らである。従って、植物体の霜害防除対象高さの気温を
基準に吸込温度と比較し、その差(ΔTo)を一定に保
つことが霜害防除装置の能力にとって重要である。
【0040】気団の状態や放射冷却の強さなどの変化で
植物周囲の気温は時々刻々変化するので、それに対応す
るための出力の基準の温度(Tlo)を設定しておくこ
とが必要である。そのうえで、本願発明装置のように送
風機を上部に取付ける方式は、上層から吸込む気温(T
a)を検出することができるので、基準温度(Tlo)
と比較して出力の段階を変更することができる。言い換
えると、その差(Ta−Tlo=ΔTo)に応じて逆転
強度の利用、発熱手段の能力切替(高/低)の3段階の
省エネルギー運転が可能になる。
【0041】以上説明したように、防霜ファンは接地逆
転層を利用する点において省エネルギー方式といえる
が、本願発明の発熱手段を利用する方式では、省エネル
ギー運転をする点が重要であると判断し、逆転強度検出
により発熱手段の能力切替可能な送風機を装置上部に取
付ける構成とした。この技術的思想は、本願発明者らが
実施した霜害防除方法の試験結果に基づくものである。
【0042】先ず、奈良県において霜害防除試験を下記
のように実施した。 1)対象作物:茶樹(新芽はまだ出ていなかった。) 2)場所 : 奈良県奈良市矢田原町 圃場は山上の台地で、緩い傾斜地(傾斜角約3度)に位置する。 3)期間 : 平成5年4月12日〜4月15日 4月13日朝大霜が発生し、気温は−3.9℃まで低下したこと を計測した。 4)効果 : a.4月13日は最低気温−3.9℃で、直径10mの範囲に効果があった。 このとき、圃場すべてに降霜があり、霜の濃淡が認められた。 b.4月14日は最低気温−0.8℃、4月15日は最低気温−0.4℃で、 直径20mの範囲に効果があった。 (図11) c.茶樹の場合、温風が当たらない樹冠面には降霜が残った。 5)試験装置性能および仕様(図10装置) イ.総発熱量 : 36,000 Kcal/h ロ.温風吹出口風速: 12.7m/sec ハ.吹出口温度上昇(ΔT): 23.7℃ ニ.吹出口高さ : 1100mm(上吹)、360度旋回式
【0043】図10本願発明者らが開発した装置(温
風発生機)であって、図中、200は旋回モータ、20
1は送風機、201aは送風機モータ、202は燃焼
室、203はバーナ、204は制御盤、205はバーナ
部、206はバーナファン、207はフレキパイプ、2
08はファンボックス、209はバッフルプレート、2
10は燃焼ガス出口、211は外気吸込口、212はモ
ータ架台、213は缶体支持具、214は混合板、21
5は吹出口本体、216は風速調整板、217は温風吹
出口、218は動力輪、219は動力輪ガイド溝、22
0は旋回フランジ、221は旋回レール、222はスブ
リング、223はローラa、224はローラb、225
はローラc、226は本体側フランジである。
【0044】送風機201は燃焼室202の下方に配置
され、黒矢印は燃焼ガスの進行方向を、また白抜矢印は
送風機201が吸込んだ外気の進行方向を示し、燃焼ガ
ス出口210から出る燃焼ガスは混合板214で攪拌さ
れ、燃焼室202の上方の吹出口本体215内で吸込ん
だ外気と混合される。温風は風速調整板216によって
360度旋回する温風吹出口217から砂地を付けた矢
印で示すように外方へ吹出される。旋回モータ200、
動力輪218、動力輪ガイド溝219、スプリング22
2、旋回フランジ220、旋回レール221は吹出口本
体215を回転させるために設けられる。
【0045】図11は図10の装置を用いて得た霜害防
除効果の範囲を示す図で、同図(a)は○で囲んだ数字
1から10までの符号を付けた左の茶株と、○で囲んだ
数字11から26までの符号を付けた右の茶株の模式的
平面図、同図(b)はそれぞれ傾斜角3.3度の左と右
の茶株の模式的断面図で、図中、81は防霜ファン(試
験中は運転せず。)、82は高さ2.0mの網フェン
ス、83は道路で東西南北の方位はEWSNで示し、左
下りの点線を付けた部分84は松樹の枝、85は試験機
である。試験場の大きさ、茶株の高さは図にメートル
(m)で示した。
【0046】左下り斜線を付けた部分Aは平成5年4月
13日朝(最低気温は−3.9℃)効果が及んだ範囲、
右下りの斜線を付けた部分B(左下りの斜線を付けた部
分を含む。)は同4月14日朝と4月15日朝に効果が
及んだ範囲である。
【0047】平成5年4月13日の試験と、4月14日
〜4月15日の試験における温度および風速分布は図1
2(a)と(b)の線図にそれぞれ示され、これらの線
図において、横軸には到達距離〔m〕を、縦軸には高さ
〔m〕とる。温度(ΔT)は実線で、風速は破線でトレ
ースした。
【0048】次の試験は下記のようなものであった。 対象作物:梅(幼果) 場所 :和歌山県南部川村 (圃場は周囲を山に囲まれた東向斜面の中腹にある緩い傾斜地 一傾斜角度約4度−) 期間 :平成5年3月末〜4月中旬。データは4月16日にとった。 (4月13日朝大霜あり約−5℃まで気温低下の報告を受けて いる) 試験装置性能および仕様(図13の装置) (a)総発熱量 30,000Kcal/h (b)温風吹出口風速 10.8m/sec (c)吹出口温度(上昇) 14.5℃ (d)吹出口高さ(上吹) 1,475 mm、360度旋回式 (e)燃料油 灯油
【0049】上記試験に用いた図13(図13におい
て、図10に示した部分と同じ部分は同一符号で示
す。)に示す本願発明者らが開発した温風機(総発熱量
30,000Kcal/h)は、図14に示す吹出温風
温度(ΔT)および吹出温風速度分布の性能をもつ。図
14において、横軸に到達距離〔m〕を、縦軸に高さ
〔m〕をとった。温風の吹出口は1.5mの高さの位置
にあり、吹出口出口の温風温度(ΔT)は14.5℃、
吹出風速は10.8m/sであった。温度分布は実線
で、風速分布は破線でトレースした。気温は8.5℃
(=吸込温度)であり、従って吹出温風温度は8.5℃
+14.5℃=23℃で、測定は室内でなされたもので
ある。
【0050】図13に示される実施例で、図10で示し
た部分と同じ部分は同一符号で示し、燃焼室202はや
や縦長に構成され、上方部分に多くのバッフルプレート
209が配置されている。黒矢印方向に動く燃焼ガスは
燃焼ガス出口210から出て吹出口本体215内で吸込
まれた外気と混合され温風を作る。温風は整流板227
によって整流されて外方へ吹出される。
【0051】本願発明者らが試験を実施した圃場を図1
5に示し、同図(a)は平面図、同図(b)は圃場の傾
斜を示す図である。二重丸印は前記温風機の位置を、左
下り斜線を付けた部分AとBは霜害を受けた部分を、丸
印の申の数字は梅樹の認識番号を、また丸印の近くの上
段カッコ内の数値は本発明装置からの距雌を、下段カッ
コ内の数値は梅樹の高さをそれぞれ示す。東西南北の方
位はEWSNで示し、図の上方は同図(b)に示す傾斜
角の山である。この圃場(梅林)の大きさは図にメート
ル(m)で示すが、その面積は516.5m(15
6.6坪)である。
【0052】3月末から4月中旬にかけて実施した試験
の結果は、4月13日には前記したように大霜が発生し
最低気温は約−5℃まで低下したとの報告を受けている
が、前記温風機から北西約12mの冷気が入る部分Aで
梅幼果の一部に、また北東約14mの部分Bで梅幼果の
一部に被害があっただけで、霜害防除効果は良好と判断
した。
【0053】同一斜面で北側の同一高さの図示しない比
較圃場で前記温風機を用いない自然のままの状態のとこ
ろでは、ほとんど全体の梅樹が被害を受けた。なお、図
15の圃場の位置する地域は霜害をしばしば受け、従来
は4年に1度しかまともな収穫が得られないところであ
る。
【0054】図16と図17はそれぞれ図10と図13
の装置の外形を示す図で、同図(a)は平面図、同図
(b)は正面図、同図(c)は右側面図で、図申、91
は送風機吸込口、92は操作部、93は油配管接続口
で、破線で示す部分は内部の電源接続端子94である。
なお、装置の大きさは図にミリ(mm)で示した。
【0055】この装置の仕様書(60Hz地区向け)は
下記のとおりである。 総発熱量 30,000 Kcal/h (和歌山) 36,000 Kcal/h (奈良) 燃料消費量 灯油3.7 l/h (和歌山) 灯油4.4 l/h (奈良) 吹出上昇温度(ΔT)14.5℃ (和歌山) 23.7℃ (奈良) 電源 AC200V三相 消費電力 970W 運転電流 3.7A バーナ ガンタイプバーナ 送風機 プロペラファン(直径600mm) 制御方式 ON−OFF自動制御 サーモスタット サーミスタ式0〜35℃可変 温風吹出口 エルボ吹出式、旋回・首振機能付
【0056】以上で霜害防除試験の説明は終わり、「
風機の逆転強度を検出してなす送風運転と発熱燃焼の制
御機構」のブロック図(図1)と送風・高/低燃焼切替
運転のフローチャート(図2)を参照して本発明の方法
を説明する。なお、図1において、61は操作部、62
は送風機ランプ、63は温度設定部、64はバーナラン
プ、65は送風機吸込ロサーミスタ、66は作物用サー
ミスタ、67は制御回路、68はサーモ回路、69はバ
ーナ回路、70は送風回路、71は送風回路70に連結
された送風機、72は外部機器連動接点、73はバーナ
ファン、74は電磁ポンプ、75はノズル、76は電磁
弁、77はイグナイタ、78は火炎検出器、79は吹出
口旋回モータである。
【0057】操作部61には、送風機ランプ62、植物
体(作物)の周囲温度(Tlo)を設定する温度設定部
63、バーナランプ64が設けられる。バーナランプ6
4は2個あり、図をみて左のランプは低燃焼を、右のラ
ンプは高燃焼を示す。温度設定部63の右の数字5を表
示しているものはTloを示し、その下方の逆三角形は
設定温度を下げるボタン、その左の三角形は設定温度を
上げるボタンである。サーミスタには、高所の送風機吸
込口付近の気温(Ta)を検出するサーミスタ65と、
低所の作物付近の気温(Tl)を検出するサーミスタ6
6と2個設ける。温度設定部63からの信号は直接に、
またサーミスタ65と66からそれぞれ出力される信号
TaとTlはサーモ回路68を経て制御回路67に入力
され比較判断され、送風回路70を経て送風機71、吹
出口旋回モータ79とバーナ回路69を経てバーナファ
ン73、電磁ポンプ74、ノズル75、電磁弁76、イ
グナイタ77を具備するバーナを制御する。防霜ファン
などへの外部機器連動接点72は制御回路67から送風
回路70を経て信号が出力される。
【0058】バーナの動作は、バーナファン73が動作
してから、イグナイタ77により火花を発生し、電磁ポ
ンプ74が作動する。電磁ポンプ74が作動すると、ノ
ズル75から燃油が噴霧され、イグナイタ77の火花に
より着火する。着火・燃焼状態は火炎検出器78により
判断され、定常燃焼(高燃焼)に移る。電磁ポンプ74
の信号と同時に電磁弁76のON信号が出される場合は
低燃焼となる。送風機71のみの運転のとき、バーナは
運転を停止する。
【0059】次に、図2を参照して温風機の送風・高/
低燃焼切替運転手順を説明する。 a)サーモスタットの温度設定は、植物体(作物)の表
面付近の気温が何度まで下がったら霜害防除装置を動作
させるかを意味する。先ず、温度設定(Tlo)をす
る。一般に、Tloは霜注意報が発せられる予想最低気
温と同じ3℃〜5℃程度であるので、フローチャートの
例としてはTlo=5℃とした。
【0060】b)送風機吸込口で気温(Ta)を検出す
る(高所)。 c)作物周囲の気温(Tl)を検出する(低所)。好ま
しくは、最も低いところでTlを検出する。 d)設定温度(Tlo)と作物周囲の気温(Tl)を比
較し、Tl≦Tlo−5℃のときに運転動作Aに移行す
る。Tl>Tlo−5℃のときは引続き監視を続けるた
め温度設定の前にもどる。
【0061】e)Tl≦Tloとなったら、高所の気温
(Ta)と設定温度(Tlo)との差(ΔT)をとる。
その差は逆転強度を意味するが、ΔTがどの範囲にある
かで、送風機のみ運転と、バーナの高低燃焼の運転とに
切替える。 f)ΔT>3℃では、送風機のみ運転(逆転層利用) g)1℃≦ΔT≦3℃では、送風機プラス低燃焼運転
(逆転層利用) h)ΔT<1℃では、送風機プラス高燃焼運転 i)各運転状態は、運転後一定時間(t)後に設定温度
TloとTlを比較して、Tl≦Tloの場合には図の
Aにもどり、出力切替をなす。Tl>Tloの時には、
送風機高/低燃焼を停止し監視状態にもどる。
【0062】以上が逆転強度を検出してなす送風機と発
熱手段の能力切替の説明であるが、逆転強度検出のため
の高所気温(Ta)と低所気温(Tl)の位置は重要で
ある。Taは通常の基本型を送風機の上方付近の位置と
するので2m程度の高さのと ころにある。防霜ファンの
ように高い位置(6〜10m)にすると、逆転強度が高
い場合には、吸込口と強度の強い部分との距離があるの
で、その分布による誤判断や、送風機の吸込能力が及ば
ないと判断されるので、送風機位置付近の高さでのTa
計測にした。
【0063】Tlは作物の高さが対象により異なる問題
があるが、逆転層検出による省エネルギー運転のために
は、できるだけ低いところに作物の周囲温度Tを検出す
るサーミスタを設置する。凹地では冷気は低いところに
たまり、低い所の作物が先に霜害を受ける。また、霜害
を受ける圃場が傾斜をもつ場合には同様に低いところの
作物を基準にする。一方霜害防除装置を運転する場合、
Tl検出用のサーミスタは、霜害防除装置からの温風の
有効効果範囲内で温風の直接当たるところに設置しない
ことが重要である。従って、作物の周囲温度を計測する
サーミスタの位置は、霜害防除装置の有効な効果の及び
にくい、作物体の霜害防除対象高さの低所部分で、一番
先に被害を受ける可能性の高いその圃場内の低所部に設
置する。
【0064】本発明において上述した方法の実施に用い
る装置(温風機)は下記の構成をとる。 本体にバーナによる発熱手段を内蔵し、その上部に
外気を取り込む送風機を取付け、下部には発生した温風
を吹出す温風吹出口を取付けた構造で、それによって接
地逆転層に生じる高所の高い温度の空気を利用する。 バーナによる火炎が完全燃焼するように燃焼室を設
け、その上部の燃焼ガスの出口には送風機から送られる
外気をよく混合させるために混合板が設けてある。 温風吹出口は専用モータによる旋回および首振り機
能をもち、その旋回速度および首振り速度は、植物体の
温度を効果的に上昇させるために一定値に設定されてい
る。そして、温風吹出口の出口では温風温度が平均20
℃以下(最大25℃以下)に設定してある。 また、温風吹出口は吹出口の角度調整のための機構
をもつ。吹出口部分の吹出口の角度調整部は、本体側フ
ランジと吹出口旋回部のフランジより対向してアームを
出し、一方をヒンジ構造で接続し、もう一方を角度調整
のためステーで接続して、外周を蛇腹でおおってある。 送風機と吹出口は互の位置(上・下)を逆に組替え
ることかできる寸法とした。 外装をステンレス材、骨組みを亜鉛メッキして耐腐
食性を高め、また蛇腹はシリコンゴム系シートを使用し
て耐熱性を高めている。
【0065】霜害は、植物体温が−2〜−3℃に達する
気象条件下で発生し、被害にあった植物体は凍結し、寒
さに弱い部分が凍死したり、生理障害を起こす。しか
し、同様な温度条件下の植物体でも結霜および凍露を受
けなかった場合には、過冷却状態を保ち生き残ることが
知られている。本発明は、温風を植物体に吹きつけて、
植物体の表面温度を上昇させ、また植物体の周囲の大気
を強制的に流動させることにより、過冷却状態をやぶり
凍結に至る原因である結霜をおよび凍露を防止して、効
率的に霜害を防除または軽減する。
【0066】 霜害の発生の気象条件は寒冷で乾燥気
味の特性を持った移動性高気圧がやってきて、快晴無風
となり放射冷却の強まる夜である。このような条件の時
の大気は気温の接地逆転層を生じ、その内部では地表付
近より上部の方が気温が高い。上部に送風機を取付ける
ことによって、より高い温度の空気を吸込んで、発熱手
段から得られる燃焼ガスと混合する方法は、より有利に
霜害防除を実施することができる。 温風を下方に吹出す場合は、背丈の低い作物に作用
し、組替えて上方より吹出す場合は、逆転層の利用はな
くなるが、背丈の高い作物にも有効に作用することがで
きる。 吹出口自体の旋回により広範囲の霜害の防除を可能
にする。 吹出口の旋回速度は、植物体の温度を有効に上昇さ
せるため一定値を選んである。 吹出す温風は、高すぎることは植物体に高温害を及
ぼす可能性もあり、また吹出噴流の浮力上昇を増大する
ので有効到達距離を減じ、有効面積を少なくするので、
なるべく低温風を発生することが望ましい。実施例では
吹出口出口で平均温度上昇を20℃程度とした。 傾斜地では吹出口の吹出口角度調整機能があること
によっで、斜面に沿って生える作物に対して有効に温風
を当てることができ、それによって傾斜地の逆転強度は
一般に弱いと言われるところをカバーする。
【0067】本発明方法に用いる装置(温風機)は図3
〜7に示され、図3(a)、(b)、(c)はそれぞれ
当該装置の平面図、正面図、左側面図であり、図4は図
3(a)のA−A線矢視断面図、図5は図3(a)のB
−B線矢視断面図、図6は図4の装置における吹出口部
の角度調整時の断面図、図7は図6に類似する他の実施
例の断面図である。先ず、図3〜図5を参照すると、1
は送風機、1aは送風機モータ、1bは送風機取付フラ
ンジ、1cは送風機アーム、1dは羽、1eはベルマウ
ス、1fは送風機フランジ、2は燃焼室、3はバーナ、
4は温風吹出口、5は整流板、6は吹出口角度調整整用
の蛇腹、7は吹出口角度凋整整用のガイド、8は吹出口
角度調整用の固定具、9は温風吹出口旋回用のステー、
10はモータ、11はプーリー、12はベルト、13は
ベルト用のガイド溝、14は軸、15はベアリング、1
6は制御盤、16aは操作部、17は継手、17aは継
手接続用棒、18はアームB、19はアームA、20は
ローラ、21はアームC、22はモータ取付具、23は
吹出口本体、、24は混合板、25はステー、26はギ
ャボックス、27はモータ、28は本体部、29は吹出
口部、30は本体側フランジ、31はバーナ部、32は
ブラストチューブ、33はバーナファン、34はバーナ
ファン取付用のフランジ、35はフレキパイプ、36は
ファンボックス、37はバーナ口パイプ、38はバーナ
口フランジ、39は吹出口角度調整部、40は吹出口旋
回部であり、これら2つの部で吹出口部29を構成す
る。41は中間フランジ、42は旋回フランジ、43は
寸法調整スリーブ、44はハウジング、45は燃焼ガス
出口、46は傾斜地表面、47は燃焼ガス、48は外
気、49は温風、50は中板、51は補強金具、52は
脚、53は蓋である。
【0068】本発明装置の構成を図3〜5を参照して説
明する。先ず、図3を参照すると、送風機1は羽1d、
送風機モータ1a、送風機アーム1c、ベルマウス1
e、送風機フランジ1fで一体的に構成されており、本
体部28の上部に配置されている。操作部16aは制御
盤16の内部にあり、扉をあけて操作をなす。外部から
は扉の窓が見えるので図のように表示した。中板50は
吹出口部29と本体部28の中間にあって両者を接続す
る。補強金具51は、平板状の中板50が変形せずに本
体部28の荷重を脚52に受けるために取付けられてい
る。補強金具51は本体部28と中板50にボルトで取
付けられる。脚52は中板50の四隅にボルトで固定さ
れる。
【0069】送風機1は、図4に示されるように、送風
機取付フランジ1bによって本体部28に取付けられて
いる。温風吹出口4は本体側フランジ30によって本体
部28に取付けられる。吹出口部29の本体側フランジ
30の取付寸法と送風機取付フランジ1bの取付寸法は
同じであるので、送風機1と温風吹出口4とは上下組替
えができるようになっている。
【0070】バーナ部31は、図5にみられるように、
燃焼室2の中心軸に対して直角にブラストチューブ32
が向けられ本体部28側部に固定されている。
【0071】バーナファン33は(図5)、バーナ3と
燃焼室2どを連結するバーナ口パイプ37に差し込み固
定されるブラストチューブ32と直角に交わる方向に本
体部28に取付けられたバーナファン取付けフランジ3
4に固定され、フレキパイプ35でファンボックス36
と接続されている。ファンボックス36は、図示しない
整流板によって燃焼空気の方向を直角に曲げる。この構
成は全体を薄形構造にするためのものである。
【0072】燃焼室2は(図5)、バーナ口パイプ37
に取付けられたバーナ口フランジ38と図示しない支持
具で本体部28に固定されており、その中心軸は本体部
28の中心軸に一致している。
【0073】燃焼室2の下部は整流のため下に凸形状で
(図4〜7)、上部が燃焼ガス出口45として開口して
いる。また、この燃焼ガス出口45の上方に燃焼室2と
図示しない金具で一体的に混合板24が取付けられ、燃
焼ガス47は送風機1が吸込む外気48と混合される。
【0074】吹出口部29は(図4)、吹出口角度調整
部39と吹出口旋回部40とからなっている。吹出口角
度調整部39は、本体部28へのバーナ取付方向と90
度ずらして吹出口角度を調整できるように取付けられて
いる。その構成は、本体側フランジ30の本体部28へ
のフランジ取付面と直角をなしてアームA19を取付
け、アームA19端部にヒンジ構造で中間フランジ41
と接続している。また、本体側フランジ30はアームA
19の反対側にアームB18を突出させ、アームB18
の端部には回転自在の継手17が取付けてある。本体側
フランジ30と中間フランジ41とは伸縮自在の蛇腹6
で接続する。
【0075】中間フランジ41には旋回フランジ42が
固定されており(図4)、かつ、旋回フランジ42には
モータ取付具22が取付けられモータ10が固定され
て、その反対側にはアームC21が取付けられている。
アームC21の端部には回転自在の継手17が取付けら
れて、ガイド7で本体側フランジ30の継手17と接続
されている。
【0076】図6は本発明装置が傾斜地表面46の角度
に合わせて吹出口の角度を調整した状態を示すが、同図
を参照すると、継手17と継手17との間にはアームA
19と平行を出ための寸法調整用スリーブ43が取付
けてある。また、同一高さに位置する継手17どうしは
吹出口角度調整用のガイド7を補強するため継手接続用
棒17aで水平方向に2ケ所固定されでいる(図3
(c))。スリーブ43は図示しない金具で固定具8と
一体に固定されており、ガイド7がスライドして角度調
整され固定具8で固定する。
【0077】図4の装置を図6の状態に変えるために
は、アームC21に操作者の手をかけて支えながら、2
ヶ所の吹出口角度調整用の固定具8を回してゆるめてか
ら、アームC21を押し下げる。ここで、圃場の最大傾
斜角度が30度程度あるならば、温風吹出口4の調整角
度を大にしなければならず、継手17の回転を調整する
必要があるので、継手接続用棒17a(図3(c))の
片方の端にありこの棒17aの軸方向から継手17を締
付けている回転調整ボルト(図示せず。)2個をゆるめ
た後に上記の操作をなす。
【0078】旋回部40は旋回フランジ42と吹出口本
体23から構成されており、、旋回フランジ42からの
ステー9は、ベアリング15を収納するハウジング44
と一体のフランジ部に固定されている。
【0079】旋回フランジ42の吹出口本体の差込部に
は、周方向にローラ20が配置されており、吹出口本体
23が軸14の中心と一致して回わるように調整され
る。
【0080】吹出口本体23の旋回フランジ42との差
込部の外周にはベルト用ガイド溝13が設けてあり、こ
れにより、吹出口本体23とモータ10に取付けられた
プーリー11とがベルト12により連結される。吹出口
本体23の温風吹出口には、整流板5が取付けてある。
【0081】図7は、吹出口本体23の旋回をギヤボッ
クス26によって旋回させる方式の本発明の他の実施例
の図4に類似の図である。ギヤボックス26はステー2
5によって旋回フランジ42に固定され、軸14を延長
してギヤボックス26と接続する。その他の部分は図3
〜6に示す部分と同じである。
【0082】図7の装置における吹出口角度調整につい
て説明すると、図7の当該操作部分は図3〜図6に示す
ものと同じである。ギヤボックス26は、温風吹出口4
の回転速度の調整用に設けられたもので、次に、図3〜
図6の装置と図7の装置の回転機構について説明する。
【0083】図3〜図6の装置において、図9の試験結
果による低速回転を得る機構は、本願発明の装置のモー
タ10は一般に市販されている大きい減速比の得られる
ギヤードモータを使用し、さらにガイド溝13とプーリ
ー11を接続するベルト伝導系によりさらに減速する機
構になっている。
【0084】図7の装置のギヤボックス26は、図3〜
図6のガイド溝13とプーリー11を接続したベルト伝
導系の減速比を得る部分に相当する。ギヤボックス26
はウォームギヤの機構であるので、自縛作用があること
を特徴とし、温風吹出口4を固定した使用する必要のあ
る場合有利で、大きい減速比を得る。なお、ギヤードモ
ータの場合は、停止するためにはブレーキ付きのもので
なければならず、大きい減速比のタイプは、専用の中間
ギヤヘッドやコントローラを必要とする。
【0085】図8(a)と(b)に、図6の装置を用い
たときの傾斜地に対応した吹出角度45度のときの温度
と風速の分布を示し、図(a)は斜面上方に吹出した場
合を、図(b)は斜面下方に吹出した場合を示す。いず
れの図においても、横軸に到達距離〔m〕を、縦軸に高
さをとった。試験の結果から、この装置は傾斜地で使用
して有効な性能を示すことが判明した。
【0086】図9は、吹出口の旋回速度を決定するため
に濾紙を重ねて純水を含ませ、食品包装用ラップフィル
ム(原材料、ポリ塩化ビニリデン)で覆って模型葉と
し、内部に熱電対を封じ込んだものを用い、温度上昇効
果試験を行った結果を示す線図で、横軸には温風到達距
離を、縦軸には、温度上昇巾(ΔT)を℃でとった。温
度上昇巾は計測された波形データの実効値とした。曲線
a、b、cは吹出口旋回速度が0.7〜1rpm、0.
3〜0.4rpm、2rpmであった場合の状態を示
す。回転速度の早い2rpmでは距雌が10〜15m地
点で温度上昇巾が減少している。
【0087】温風吹出口4の回転速度は、図10(奈
良)、図13(和歌山)の双方の例で0.35rpmで
あった。図3〜図7の装置でも、回転速度は1rpm以
下にする。実際の葉温上昇試験は冬場の乾燥大気中で再
確認する予定である。実効値の計算精度が高まると1r
pm以下の回転速度で、到達距離が大きい部分ではΔT
がせまい範囲に収束することが確かめられた。また、別
の回転速度をあげた試験では、回転速度が1rpmを超
えた場合、到達距離が大きい部分ではΔTがほとんど0
になることも確かめられた。
【0088】現時点で、温風吹出口温度は、1rpm〜
0.3rpmの範囲が有効と判断され、両方の装置、す
なわち図10と図13の装置および図3〜図7の装置に
該当することも確かめられた。従って、図5の制御盤1
6を搭載した装置は、温風吹出口4の回転速度の制御
(回転機構による減速比)は図9の情報(有効回転速度
範囲)に合うようになる。
【0089】
【発明の効果】以上説明してきたように、実験によって
下記が確認された。本発明では、逆転層の温かい外気を
最大限に利用するのであるが、本発明方法では作物周囲
に維持すべき設定温度(Tlo)を設定し、温風機より
上方付近の位置の外気温度(Ta)と、低いところの作
物周囲温度を検出し、作物周囲温度が設定温度以下のと
きに温風を作物周囲に送る。この方法の実施に用いる温
風機は上方から逆転層の外気を吹込み、下方から温風を
吹出す構成のもので、この温風機は、 1)温風吹出口に吹出口角度調整機能があるので傾斜地
でも有効に霜害防除効果が発揮できる。 2)上方から外気を取り入れて、下方より温風を吹出す
方式であるので吸込口付近の温度を感知する制御手段を
採用することにより、逆転度(上下の温度差)の程度に
よる発熱手段の能力切替、言いかえると送風機のみの運
転と省エネルギー運転が可能であり、他の凍霜害の防除
法との組合せによる発展性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】逆転強度を検出してなす温風機の送風運転と発
熱運転の制御機構のブロック図である。
【図2】温風機の送風・高/低燃燃焼切替運転のフロー
チャートである。
【図3】本発明実施例の図で、その(a)は平面図、そ
の(b)は正面図、その(c)は左側面図である。
【図4】図3(a)のA−A線矢視断面図である。
【図5】図3(a)のB−B線矢視断面図である。
【図6】図4に類似の本発明実施例の断面図である。
【図7】図6に類似の本発明の他の実施例の断面図であ
る。
【図8】図6の装置の吹出角度45度のときの温風の温
度と風速の分布を示す線図で、図(a)は斜面上方に吹
出した場合の図、図(b)は斜面下方に吹出した場合の
図である。
【図9】温度上昇効果試験の結果を示す線図である。
【図10】本願発明者らが開発した温風機の断面図であ
る。
【図11】図10の装置を用いた霜害防除試験の効果範
囲を示す図で、同図(a)は茶株の模式的平面図、同図
(b)は茶株の模式的断面図ある。
【図12】図10の装置を用いたときの温風の温度と風
速分布を示す図である。
【図13】本願発明者らが開発した他の温風機の断面図
である。
【図14】図13の装置を用いたときの温風の温度と風
速分布を示す図である。
【図15】図13の装置を用いた霜害防除試験の効果範
囲を示す圃場の図で、同図(a)は平面図、同図(b)
は圃場の傾斜を示す図ある。
【図16】図10の装置の外形を示す図で、その(a)
は平面図、その(b)は正面図、その(c)は右側面図
である。
【図17】図13の装置の外形を示す図で、その(a)
は平面図、その(b)は正面図、その(c)は右側面図
である。
【図18】逆転層を説明する線図である。
【図19】従来例の模式的な図で、その(a)は平面
図、その(b)は斜視図、その(c)は断面図、その
(d)は断面図である。
【図20】他の従来例の断面図である。
【図21】さらに他の従来例の断面図である。
【符号の説明】
1 送風機 1a 送風機モータ 1b 送風機取付フランジ 1c 送風機アーム 1d 羽 1e ベルマウス 1f 送風機フランジ 2 燃焼室 3 バーナ 4 温風吹出口 5 整流板 6 吹出口角度調整用の蛇腹 7 吹出口角度調整用のガイド 8 吹出口角度調整用の固定具 9 温風吹出口旋回用のステー 10 モータ 11 プーリー 12 ベルト 13 ベルト用のガイド溝 14 軸 15 ベアリング 16 制御盤 16a 操作部、 17 継手 17a 継手接続用棒 18 アームB 19 アームA 20 ローラ 21 アームC 22 モータ取付具 23 吹出口本体 24 混合板 25 ステー 26 ギヤボックス 27 モータ 28 本体部 29 吹出口部 30 本体側フランジ 31 バーナ部 32 ブラストチューブ 33 バーナファン 34 バーナ取付フランジ 35 フレキパイプ 36 ファンボックス 37 バーナ口パイプ 38 バーナ口フランジ 39 吹出口角度調整部 40 吹出口旋回部 41 中間フランジ 42 旋回フランジ 43 寸法調整スリーブ 44 ハウジング 45 燃焼ガス出口 46 傾斜地表面 47 燃焼ガス 48 外気 49 温風 50 中板 51 補強金具 52 脚 53 蓋 61 操作部 62 送風機ランプ 63 温度設定部 64 バーナランプ 65 送風機吹込口サーミスタ 66 作物用サーミスタ 67 制御回路 68 サーモ回路 69 バーナ回路 70 送風回路 71 送風機 72 外部機器連動接点 73 バーナファン 74 電磁ポンプ 75 ノズル 76 電磁弁 77 イグナイタ 78 火炎検出器 79 吹出口旋回モータ 81 防霜ファン 82 網フェンス 83 道路 84 松樹の枝 85 試験機 91 送風機吸込口 92 操作部 93 油配管接続口 94 電源接続端子 101 圃場 102 野菜類 103 噴気口 104 ダクト 105 火炉 111 吸込管 112 吸入口 113 吐出口 114 送風手段 115 発熱手段 116 原動機 121 温風発生源 122 送給手段 123 噴出筒 124 回転手段 125 燃焼筒 126 動翼 127 静翼 128 連通筒 129 噴出孔 200 旋回モータ 201 送風機 201a 送風機モータ 202 燃焼室 203 バーナ 204 制御盤 205 バーナ部 206 バーナファン 207 フレキパイプ 208 ファンボックス 209 バッフルプレート 210 燃焼ガス出口 211 外気吸込口 212 モータ架台 213 缶体支持具 214 混合板 215 吹出口本体 216 風速調整板 217 温風吹出口 218 動力輪 219 動力輪ガイド溝 220 旋回フランジ 221 旋回レール 222 スプリング 223 ローラa 224 ローラb 225 ローラc 226 本体側フランジ 227 整流板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 祐智 神奈川県厚木市上古沢411 ネポン株式 会社厚木工場内 (72)発明者 青木 宣澄 大阪府大阪市淀川区西中島6丁目7番8 号 ネポン株式会社大阪営業所内 (56)参考文献 特開 昭63−36865(JP,A) 特開 昭63−52823(JP,A) 特開 平7−177827(JP,A) 特開 平5−316886(JP,A) 特公 昭53−27175(JP,B2) 実公 昭40−23548(JP,Y1)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 温風機の本体部(28)の内部の燃焼室
    (2)に燃焼ガス(47)を発生し、 燃焼室(2)の上部本体部(28)の上方から外気
    (48)を吸込、 吸込んだ外気(48)と燃焼ガス(47)とを本体部
    (28)内にて混合して温風(49)となし該温風(4
    9)を本体部(28)下方の温風吹出口(4)から作物
    に向けて吹付けることを特徴とする凍霜害防除方法。
  2. 【請求項2】 温風機が作る温風(49)を作物に吹付
    けるにおいて、 作物の表面付近の気温が何度まで下れば凍霜害防除装置
    を作動させるかの設定温度(Tlo)を設定する手順、 凍霜害防除装置の送風機(1)の外気の吸込口付近で外
    気温(Ta)を検出する手順、 作物周囲の気温(Tl)を検出する手順、および 設定温度(Tlo)と作物周囲気温(Tl)を比較する
    手順を経て、 Tl≦Tloであれば凍霜害防除装置の運転動作に移行
    、 TaとTloとの温度差(ΔT)を検出し、 ΔT>3℃のときは送風機(1)のみを運転し、 1℃≦ΔT≦3℃のときは送風機(1)の運転に加えて
    凍霜害防除装置の低燃焼運転を開始し、 ΔT<1℃のときは送風機(1)の運転に加えて凍霜害
    防除装置の高燃焼運転を開始する凍霜害防除方法。
  3. 【請求項3】 凍霜害防除装置を所定時間(t)運転し
    た後においてTloとTlとを比較し、 Tl≦TloのときはΔT検出の前の段階に移行し、 Tl>Tloのときには凍霜害防除装置の送風機(1)
    運転と燃焼運転とを止め設定温度(Tlo)設定の前の
    段階にもどる請求項記載の凍霜害防除方法。
  4. 【請求項4】 作物に向けて温風を吹付ける装置におい
    て、 本体部(28)の上方に設けられた送風機(1)、本体
    部(28)の外部のバーナ(3)に連結され本体部(2
    8)内に配置された燃焼室(2)および本体部(28)
    の下方に配置された温風吹出口(4)から成り、 送風機(1)はその上方の外気(48)を下方の本体部
    (28)内に送り、 燃焼室(2)は下方に凸の形状のもので上方は開口され
    て燃焼ガス出口(45)を形成し、該燃焼ガス出口(4
    5)は混合板(24)によっておおわれ、 燃焼室(2)が発生する燃焼ガス(47)は吸込まれた
    外気(48)と本体部(28)内で混合して温風(4
    9)を作り、 温風吹出口(4)の温風吹出部には整流板(5)が設け
    られて装置の低および高燃焼運転において排出する温風
    (49)を所定方向に吹出す如くに整流する凍霜害防除
    装置。
  5. 【請求項5】 作物に向けて温風を吹付ける装置は、
    風機ランプ(62)、バーナランプ(64)および温度
    設定部(63)から成る操作部(61)、送風機吸込口
    付近の外気温(Ta)を検出するサーミスタ(65)、
    作物周囲気温(Tl)を検出するサーミスタ(66)、
    サーモ回路(68)、送風回路(70)およびバーナ回
    路(69)を具備する制御回路(67)ならびに火炎検
    出器(78)から成り、操作部(61)は制御回路(6
    7)に、サーミスタ(65)とサーミスタ(66)とは
    サーモ回路(68)に、また火炎検出器はバーナ回路に
    それぞれ接続され、送風回路(70)は送風機(71)
    と吹出口旋回モータ(79)と外部機器連動接点(7
    2)とに接続され、バーナ回路(69)はバーナファン
    (73)、電磁ポンプ(74)、電磁弁(76)および
    イグナイタ(77)それぞれ接続された制御機構を有
    する請求項4記載の凍霜害防除装置。
  6. 【請求項6】 送風機(1)を本体部(28)に取付け
    る送風機取付フランジ(1b)と、温風吹出口(4)を
    本体部(28)に取付ける本体側フランジ(30)とは
    取付け寸法が同一であり、送風機(1)と温風吹出口
    (4)とは互いに交換して取付け可能である請求項
    載の凍霜害防除装置。
  7. 【請求項7】 本体部(28)の外部に設けられるバー
    ナファン(33)はバーナ(3)と燃焼室(2)とを連
    続するブラストチューブ(32)と直角方向に取付けら
    れ、フレキパイプ(35)でファンボックス(36)に
    接続し、バーナファン(33)が取込む外気はほぼ直角
    に向きを変えて燃焼室(2)に供給される請求項記載
    の凍霜害防除装置。
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