JP2681217B2 - 微生物によるフタロシアニン染料の分解方法 - Google Patents

微生物によるフタロシアニン染料の分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、被処理物中に存在するフタロシアニン染料
を微生物により分解する方法に関する。
更に詳しくは、ミロセシウム属に属する菌種の菌体を
フタロシアニン染料を含有する被処理物に成育若しくは
作用させてフタロシアニン染料を生分解することを特徴
とするフタロシアニン染料の除去方法に関する。
(従来の技術) フタロシアニンはクロロフィルやヘミンに類似した構
造を持つ物質で、青色ないし緑色の有機顔料及び染料と
して大量に使用されている。特に、巨大環二重結合系の
中心に銅イオンが配位した銅フタロシアニン染料は化学
的に安定で美しい青色を呈し、染色工場や手工芸染色に
おいて広く用いられており、また記録用インク等に応用
されている。
工業的に使用された大量のフタロシアニン染料が配位
子の金属とともに排水中に流出すると、強い着色性及び
金属の存在により環境を汚染するので好ましくない。従
来より、これらのフタロシアニン染料を使用後に廃棄す
る場合、さらし粉による脱色処理の方法により処理する
方法が一般的である。しかし、これらの方法は設備が大
型化することや、新たな汚染を惹起する可能性があり、
これらの方法に代わる処理方法の開発が望まれていた。
一方、フタロシアニン染料を生分解する微生物を使用
した処理方法が可能になれば、フタロシアニン染料のみ
を選択的かつ安価に処理することができ、産業上極めて
有効な処理方法となることが期待される。
(発明が解決しようとする課題) 従って、本発明は微生物を用いたフタロシアニン染料
の処理方法を提供することを目的とするものである。
(課題を解決するための手段) 本発明者は微生物によるフタロシアニン染料の分解に
着目し、土壌その他の試料からフタロシアニンを生分解
する微生物を見出すべく鋭意検索を行った結果、ミロセ
シウム属に属する菌株KW−1がフタロシアニン染料を唯
一の炭素源、すなわち栄養源として成育することを見出
し、本発明を完成するに至った。
すなわち本発明は、フタロシアニン染料を唯一の炭素
源として成育し、フタロシアニン染料を生分解する能力
を有する微生物KW−1株を使用して、被処理物中のフタ
ロシアニンを分解し、被処理物中からフタロシアニン染
料を除去する方法を提供するものである。
本発明に使用する微生物は、銅フタロシアニン染料に
より予備吸着処理及び馴養処理を施した土壌に銅フタロ
シアニン染料を290日間環流することにより分離され
た。
土壌の採取地: 東京都板橋区加賀1−18−1 東京家政大学構内 採取年月日:昭和59年7月19日 銅フタロシアニン染料による予備吸着処理方法及び 馴養処理方法:土壌カラムに対し400ppmの銅フタロシア
ニン染料水溶液を3日間かかって2流し土壌に過剰吸
着させた後に、40ppm水溶液を5日間かかって3.5流し
40ppm水溶液と平衡状態になるまで脱着させる方法によ
った。
上記処理を施した土壌に、銅フタロシアニン染料(日
本化薬製 純度50%)の水溶液(40mg/1000ml)を290日
間環流したところ、環流開始後2週間で環流液の吸光度
とCu2+イオン濃度が平行して減少し0に近い値を示した
が、環流液中の全有機炭素量は7日間以降殆ど減少しな
かった。同様の実験を滅菌土壌で行ったが、銅フタロシ
アニン染料は全く分解されなかった。
上記の環流土壌より、銅フタロシアニン染料を単一の
炭素源として成育し、かつコロニーの周辺に著明な脱色
域を生じる糸状菌を分離した。
分離用培地:水1につき 分離番号:KW−1 本菌の工業技術院微生物工業技術研究所微生物寄託番
号は微工研菌寄第10728号であり、以下に示す各種の菌
学的性質を有する。
KW−1株の菌学的性状 a)各培地における生育状態 バレイショ・ブドウ糖寒天培地 コロニーの生育は良く、25℃、10日間の培養で直径が
52〜54mmであり、培地の着色は見られない。コロニーは
白色の周辺部を伴った淡オリーブ乃至黒色を呈し、菌糸
はマット状に生育する。菌糸と分生子柄が密に集合した
分生子座が認められ、頭部に分生子の黒色の塊を形成す
る。梗子の大きさは13〜20×1.5〜2μmで、3本輪生
していた。分生子は6〜8×2〜3μmの大きさで、付
属糸を有していた。
麦芽エキス寒天培地 コロニーの生育は良く、25℃、10日間の培養で直径が
40〜42mmであり、培地の着色は見られない。コロニーに
は白色の周辺部を伴った淡オリーブ乃至黒色の分生子座
が認められる。梗子の大きさは13〜20×1.5〜2μm
で、3本輪生していた。分生子は6〜8×2〜3μmの
大きさで、付属糸を有していた。
b)生理的、生態的性質 KW−1株の生理、生態的性質はバレイショ・ブトウ糖
寒天培地を用いて試験した。
生育適温と生育温度範囲 生育適温は20〜35℃であり、25℃での生育が最も置
く、10〜37℃まで生育可能である。
生育最適pHと生育pH 生育最適pHはpH5.5〜6.5であり、pH3.9〜11.0まで生
育可能である。
本菌をJoseph C.Gilmanの「マニュアルオブソイルフ
ァンジャイ(A Manual of Soil Fungi)」(1959)にて
検索したところ、分生子座を形成し、黒色の胞子塊を形
成する特徴よりミロセシウム属に属するものであり、Ma
rgaret Tulloch著のマイコロジカルペーパーズ(Mycolo
gical Papers)」(1972)によれば、分生子の形態およ
び大きさの特徴はミロセシウム ベルカリア(Myrothec
ium verrucaria)に最も良く一致した。従って、本発明
者らは本菌株をミロセシウムベルカリア KW−1と命名
した。
本菌はフタロシアニン染料を唯一の炭素源とした成育
する菌である。本菌により分解されるフタロシアニン染
料は、通常種々の異性体混合物として使用されている
が、本菌はそのような異性体のすべてを資化することが
できる。したがって、本菌を使用することにより被処理
物中のフタロシアニン染料を有効に除去することができ
る。またフタロシアニン染料は通常金属フタロシアニ
ン、例えば銅フタロシアニンとして使用されているが、
本菌はこのような金属フタロシアニン、好ましくは銅フ
タロシアニンを生分解して資化し、中心金属であるCu2+
イオンを菌体中に蓄積する。従って、本菌を使用するこ
とにより被処理物中の金属フタロシアニン、好ましくは
銅フタロシアニン染料を極めて有効に除去することがで
きる。
本菌は被処理物、すなわち排水、廃液等の水性廃棄
物、若しくは土壌、固体培地等の固体廃棄物中で成育さ
せ、若しくはこれらの被処理物に作用させることによ
り、該被処理物中のフタロシアニン染料を分解除去する
ことができる。本菌により分解除去しうるフタロシアニ
ン染料の濃度は、水性廃棄物の場合に通常0.004%ない
し0.100%である。
本菌は、菌体外に銅フタロシアニン染料を分解する酵
素、例えばオキシダーゼを分泌することにより、銅フタ
ロシアニン染料を部分的に分解すると考えられ、その後
に配位子であるCu2+イオンとともにフタロシアニンフラ
グメントを菌体内に取り込み、フタロシアニンを炭素源
として用いるとともに、金属銅イオンを菌体内に蓄積す
る。本菌の分泌する各種の資化酵素はいわゆる誘導酵素
であり、従って活性の強い菌体を多量に得るためには、
誘導培養等の方法を用いることができる。この場合の培
養条件としては分離培地に用いたものと同様の0.1%銅
フタロシアニンを含有する培地を用いることが好まし
い。
(発明の効果) 本発明の方法により、フタロシアニン染料、特に銅フ
タロシアニン染料を被処理物中から簡易に除去すること
ができる。本発明に使用する菌は銅フタロシアニン染料
を生分解した後に金属銅イオンを菌体内に蓄積するの
で、本発明は銅フタロシアニン染料の処理方法として特
に好適である。
以下に実施例により本発明を説明する。
(実施例) 実施例1 500mlの坂口フラスコ中で、以下に示す液体培地100ml
にKW−1株を接種した後、36℃で52日間恒温振とう培養
した。
塩化アンモニウム 3.0g リン酸二カリウム 1.0g 硫酸マグネシウム 0.25g 硫酸第一鉄 0.002g 銅フタロシアニン染料(日本化薬(株)製) 1g 蒸留水 1000ml この間に各1mlのサンプリングを行い、遠心分離後の
上澄の吸光度(622nm)を測定して銅フタロシアニン染
料の残存率を求めた。培養期間中本菌の成育は良好であ
り、本菌がフタロシアニン染料を唯一の炭素源として資
化することが明らかである。また、当初濃度0.1%であ
った培地中の銅フタロシアニン染料は、培養日数の経過
とともに減少した(第1図)。52日間の培養液およびコ
ントロール(KW−1株未接種培地)につき遠心分離(1
5,000rpm、5分間)後の上澄液の吸光度を測定した結果
を第2図に示す。かっこ内は各試料の吸光度(622nm)
及び原子吸光分析により測定したCu2+イオン濃度であ
る。52日後の培養液中では銅フタロシアニン染料が減少
していることがわかる。
さらに、第2図に示した52日間の試料及びコントロー
ルについて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析
を行った。
カラム:センシューパックODS−1251−N(4.6mm×250m
m) 溶出液:40%メタノール/0.3%(NH42CO3−90%メタノ
ール/0.05%(NH42CO3(15分間グラジエント) 検出波長:335nm 温度:40℃ 流量:1.0ml/分 カラム:95kg/mm2 結果を第3図に示す。銅フタロシアニン染料由来のA
〜Hのすべての異性体ピークが減少していることがわか
る。
実施例2 実施例1で使用した培地に1.5%の寒天を添加した培
地を調製し、KW−1株を接種した後室内(25±2℃、日
中は照明器具により照明)で20日間静置培養した。2〜
4日間にコロニーが形成され、6〜10日間にはコロニー
の周囲がやや緑がかった青色に変化し、薄く脱色させ始
めた。14〜20日間にはコロニーの周囲に明確な無色ゾー
ンが形成された。プレート上のコロニーの周囲は完全に
脱色され、コロニーには緑色の輪が形成された。この無
色の部分及び緑色の輪の部分を各々0.2gかき取り、10ml
の滅菌蒸留水に溶解して遠心分離した後、上澄中のCu2+
イオン濃度を原子吸光分析により測定したところ、菌相
部では236ppb、脱色部では24〜116ppbであった。
【図面の簡単な説明】
第1図はKW−1株による銅フタロシアニン染料の生分解
を示す図であり、第2図はKW−1株を52日間培養した後
の培地の吸光度スペクトルの変化を示す図であり、第3
図はKW−1株を52日間培養した後の培地のHPLCによる分
析結果を示す。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ミロセシウム属に属しフタロシアニン染料
    を分解する能力を有する微生物を用いて、被処理物中の
    フタロシアニン染料を除去する方法。
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