JP2680075B2 - 溶液中に溶解した物質の含有量を選択的に測定する方法とその装置 - Google Patents

溶液中に溶解した物質の含有量を選択的に測定する方法とその装置

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Description

【発明の詳細な説明】 この発明は、浸透性セルを用いて溶媒中に溶解した物
質の(A)の含有量を選択的に測定する方法に関するも
ので、前記浸透性セルは、堅牢な壁を有し、この浸透性
セルの静水圧を測定する圧力測定装置と、前記物質を透
過させる透過膜とを装備していて、浸透性セル中に存在
する浸透圧測定溶液が前記透過膜を介して前記物質の含
有量を調べようとする溶液に繋がっている。この場合、
先ず透過膜を介して浸透圧測定溶液に繋がっている基準
溶液で動作圧力P0を調整し、次いでこの基準溶液を前記
調べようとする溶液に交換した後、浸透性セルで生じた
圧力経過から、この調べようとする溶液中の透過性の物
質(A)の含有量を測定する。更に、この方法を実行す
るための装置にも関する。
西独特許第35 25 668号公報から、巻頭に述べた種類
に属する浸透性セルを用いて、調べようとする溶液の中
に存在する物質の含有量を浸透性セルで生じた圧力経過
から測定する方法は公知である。
使用される浸透性セルには、堅牢な壁と堅牢なセルが
あるので、この方法を実行している間、浸透性セルの体
積の変化は極めて少くない。
公知の方法では、一つの溶液中の物質の含有量は、こ
の溶液中に二つ又はそれ以上の物質が存在する時、測定
できる。しかし、溶液を交換後生じる最終圧力までの圧
力経過の少なくとも大部分を評価するか、あるいは異な
る膜の二つの浸透性セルを使用する必要がある。
この発明ほ課題は、物質の含有量を選択的に測定する
ことを可能にし、溶媒中に溶解した物質の含有量を測定
する方法を提供することにある。
上記の課題は、巻頭に示した種類に属する方法の場
合、特許請求の範囲第1項の方法の特徴部分によって解
決されている。
セルの膜は、この場合、測定する物質A(又はG)に
対して出来る限り透過性がよく(反射係数σ≪1;速度定
数kSが大きく)あるべきで、これに反して、セルの膜は
反応生成物に対して出来る限り透過性が悪い(σ≒1;kS
小さい)か、出来る限り透過性が良いとよい。最初の場
合には、圧力上昇を測定し、第二の場合には圧力低下を
測定する。しかし、何れの場合でも膜の透過性が速度を
決め、前に行われる又は後に続く化学反応の様なものが
速度を決めないことを保証する必要がある。
浸透性セルで生じる圧力変化は、大体溶液とセルの間
の水の移動によって行われるので、水の交換に対する速
度定数KWも充分大きくなくてならない。
更に、浸透性セル及び溶液の混合過程に対する時定数
は、浸透性セルの水の交換に対する時定数に比べて大幅
に小さくあるべきである。この状況は、浸透性のセルKW
値が充分大きくなる時である。即ち、 ここで、A0は膜の有効表面、 V0は浸透性セルの体積、 LPは膜の水圧伝導度、 εは浸透性セルの体積弾性率、 Π0 iはセル中の浸透圧。
この状況は、係数A0/V0,LPとεの場合、浸透性セル又
はセルの膜の構造特有な量が問題になるので、適当な浸
透性セルを選定することによって生じる。他方、濃度変
化のため生じる圧力・時間曲線の初期直線形状が、測定
系の二つの溶液を交換した時生じる混合期間と比較し
て、充分長くなる必要がある。
この発明による方法は、浸透性セル中の実効浸透性濃
度が測定しようとする物質A(又はこの物質から生じる
生成物)の化学反応の結果として浸透圧測定計中の実際
上透過性のない浸透性物質Bを用いて可変され、その場
合Bは溶解した物質又は一定の溶解度を有する固体物質
(基礎本体)として存在してよいことによって実質上、
特徴付けられる。セル中で浸透性濃度を可変すると、圧
力変化を誘起する膜を通り抜ける水の流れを引き起こ
す。この事実は、再び調べようとする溶液中の物質Aの
濃度の目安となる。その場合、基準溶液を調べようとす
る溶液に交換した後、浸透性セルの圧力変化を再現する
圧力・時間曲線中の初期上昇(dP/dt)t=0が測定さ
れることを行うと効果的である。
浸透性のセルの圧力変化は、反射係数σを考慮に入
れた反応生成物iの浸透性濃度Ciの和、即ち、ΣσiCi
が排出状態の浸透性物質Bの濃度の和から充分異なって
いることによって誘起される。この場合、圧力の増加も
圧力の低下も記録できる。圧力変化は、例えば、反応生
成物が透過性であって、膜を通過し急激にセルを離脱す
るので、浸透性の濃度は、セル中で浸透性物質B(物質
B)が消耗するため連続的に減少することによって生じ
る。この圧力変化は、実際上不可溶性の固体が浸透圧測
定計に溶解し、不透過性の生成物となり、この状況が圧
力上昇をもたらしても誘起される。
調べようとする溶液中の物質Bの含有量を出来る限り
正確に測定できるには、物質Bが出来る限り選択的に物
質Aと反応する必要がある。もちろん、この場合、ただ
一個の物質Bの代わりに、二つ(又はそれ以上)の物質
が共に作用し、材料Aと反応して反応生成物を発生させ
る複雑な反応が問題になる。この場合の相違は、浸透性
セル中で、調べようとする溶液中の物質Aの濃度に対す
る目安になる圧力変化が生じる点である。この場合、膜
の透過性の全過程の速度を決定し、前置又は後置接続す
る化学反応がこの速度を決定しない点が重要である。
物質Aを正確に測定するには、場合によっては、セル
の膜を選定して、調べようとする溶液中に含まれる他の
物質が浸透性セルに到達しない(又は、検査時間に認め
ることができない)ようにする必要がある。他の妨害物
質を、例えば化学処理(析出)によって調べようとする
溶液から予め除去する必要もある。更に、物質Aを正確
に測定するには、調べようとする溶液から基準溶液に交
換した後、浸透性セルに到達する物質Aの一部又はそれ
から生じる生成物G,Hが急速に化学変化し、セル中で調
節される圧力曲線が消耗した物質Bの部分と発生した反
応生成物C,D,Eの浸透圧の差のみから生じる程度に、調
べようとする溶液中のこの物質の含有量を多くしておく
べきである。その外、物質Bは物質Aの透過度、即ち圧
力変化に対するこの物質の膜透過性が速度を決めるよう
に選択される必要がある。
妨害される影響を防止しているので、この発明による
方法は、溶液中に10-3M以下の濃度である微量物質Aを
測定するためにも採用できる。
校正曲線を決定するため、物質Aの既知濃度の種々の
溶液が導入されている。この場合、他の物質によって誘
起される擾乱は低減してある。物質Aを正確に決定する
には、校正溶液として更に調べようとする溶液中にある
他の物質が予想される濃度で含有する溶液を使用するこ
とによって検査できる。
物質Aを含めて、調べようとする溶液に存在する全て
の物質を予想される濃度で含有する溶液は、動作圧力P0
を調整する基準溶液として使用すると効果的である。こ
うして、調べようとする溶液の随伴物質の浸透圧効果が
解消される。
浸透性セルにただ僅かな溶解性を有する固体物質とし
て存在する物質Bを使用すると、動作圧力P0は零にな
る。この圧力からずれた動作圧力を望むと、このことは
浸透圧溶液に添加され、反応に関与しない非透過性の浸
透剤によって達成される。
この発明による方法を実行するためには、種々の場合
を区別できる。
最も単純なものは、物質Aが浸透性セルに到達し、そ
こで物質Bと反応する場合である。調べようとする溶液
に存在する物質に記号Lを付け、浸透性セルに存在する
物質に記号Zを付けると、前記の単純な場合は以下の様
に表せる。
これは、 AZ+AZ−→反応生成物 (例えば、CZ;DZ;EZ) これに対する実際の例は、硫化水素(H2S)を非透過
性の物質Bとして第二シアン化水銀(Hg(CN))の助
けで硫化水素(H2S)を測定する。
H2Sは浸透性セルを容易に透過する。Hg(CN)は浸
透性の溶液中で実際上溶解しない。
反応、 で形成されるHgSが析出する。他方、発生した青酸(HC
N)は充分な酸性pH値の場合、浸透性セルを抜け出る。
それ故、浸透性セル中で測定可能な圧力低下が生じる。
第二シアン化水銀は、Hg2+イオンの試薬と多くは反応
しない。従って、反応が硫化水素に対して大幅に選択的
になる。
簡単な場合の他の実際的な例は、難溶性の塩化銀(Ag
Cl)を物質Bとして使用し、アンモニア(NH3)を測定
する。
関係式、 に従ってそれぞれ受け入れたNH3分子に対して浸透性セ
ル中で浸透性の有効イオンが生じる。
複合形成試薬(ここでは、NH3)の証明感度は、非溶
性塩(B)の可溶性生成物に依存していることが分か
る。難溶性塩(例えば、提示した例ではAgCl)は、可溶
性が非常に低い生成物を有する易溶性塩(例えば、AgCr
4)よりも良好な適合性を有する。例えば、沃化銀(Ag
J)はNH3を測定するには不適当である。何故なら、沃化
銀はNH3が存在すると、溶解しないからである。これに
反して、沃化銀はシアン・イオン(CN-)を測定するの
に適する。何故なら、Ag(CN)2 -複合体は非常に強固で
あるからである。この例は、複合体形成時に固体物質
(塩)を適切に選んでどのように選択性(NH3に対するC
N-)が達成されるかを示している。
最後に説明した例は、この発明による方法を飲料水の
アンモニア測定に対して採用を示すもので、この飲料水
には他の物質が無視できる程度の微量でしか存在しな
い。それ故、アンモニアの選択測定は非常に正確に行え
る。
他の例では、浸透性セル中で物質Aから、Aを選択的
に測定させる生成物が生じる。即ち、 セル中の反応を、表示してあるように触媒(KZ)によ
って加速することができる。
この反応は、以下のことに導く。即ち、 HZ+BZ−反応生成物 (例えば、CZ,DZ,EZ) 触媒は、例えば酵素でもよい。
これに対する実際の例は、尿素に対して透過性のある
浸透性セルを用いて尿素を測定していて、前記セルは触
媒として尿素分解酵素と緩衝液を含有している。尿素を
セル中で加水分解した時生じるアンモニアを緩衝液で難
透過性塩に移行する。このことは、セル中の浸透性を上
昇させ、圧力上昇に導く。
他の例では、調べる溶液中で物質Aから生じた生成物
が浸透性セルを透過し、その中で物質Bと反応する。即
ち、 この反応は、以下のことを導く。即ち、 GZ+BZ−→反応生成物 これに対する実際の例は、実施例4で詳しく説明する
尿素の測定である。この場合、酵素(FL)でアンモニア
を形成し、このアンモニアは浸透性セルを透過し、そこ
で圧力変化をもたらす。
上記の方法を実行するためには、特許請求の範囲第4
項の前段に規定する構成を具備し、一個の貯槽と一個の
測定ヘッドとを装備した装置が採用されている。
物質Bを浸透圧測定溶液に溶解させ、その溶液と共に
浸透性セルに注入する。しかし、この物質が固体状のも
のとして浸透性セルに導入する固体物質であってもよ
い。この場合には、前記物質はセル中にペーストにして
導入するか、あるいはセルの壁の一部にしてよいので、
この物質はセルの集積した構成要素である。固体物質を
使用することは、体積・表面積比を(従って、KW値とKS
値も)改良し、V/Aは実質上0.2mmより相当小さくなる限
り、有利である。
浸透圧測定溶液に存在する物質Bは消耗するので、セ
ルに時折新鮮な浸透圧測定溶液を満たす必要がある。こ
の発明による方法を実施するために特に適した装置の実
施方式は、それ故特許請求の範囲第4項に規定する構成
を有する。この場合、セルの体積を実際的に多くしない
ように、弁系が構成されている。当然、充分急激な装入
量が許されるように設計する必要がある。
セル中に入れた固体物質Bの体積部分に応じて、満た
されていないセル自体は、特許請求の範囲第4項に規定
する実効表面積に対する体積の比に相当する体積より
も、大きい体積を有してもよい。その際、場合によって
生じるセル中の不変の層は、所定の濃度の溶液で校正す
る時考慮される。
更に、この発明による方法を実行するため、装置の他
の実施形状には、複数の貯槽と特許請求の範囲第5項に
規定する構成の一個の測定ヘッドが装備してある。この
装置にも、弁系とセル中にある固体物質Bに関連する前
記の構成がある。
上記の装置による測定ヘッドは実質上複数の浸透性セ
ルから成り、このヘッドを「測定ヘッドa」と表す。第
二の装置の測定ヘッドは、浸透性セルとそれ等のセルに
繋がる貯槽から成り、このヘッドを「測定ヘッドb」で
表す。
測定ヘッド(a,b)の実施形状及びこの発明による装
置の実施形状を図面に模式的に示し、以下により詳しく
説明する。
第1図に示す測定ヘッドaは、膜2を有する浸透性セ
ル1と、電気信号を出力する圧力変換器を装備した圧力
測定装置3とから構成されている。更に、装置4は浸透
性セル1の体積を制御した可変するために設置してあ
り、この装置は規制目盛板を有するマイクロメータから
成る。このマイクロメータを用いて、浸透性セルの測定
可能な体積変化を処理できる。浸透性セル中の圧力変化
となるように志向されたこの体積変化は、圧力測定変換
器を介して浸透性セルの剛性を制御又はこのセルの弾性
率を検出するために使用される。
振動圧測定溶液を素早く交換するため、弁V1(導入弁
と排出弁)が配設してある。これ等の弁は、浸透性セル
1に直接隣接し、その有効体積を実際上大きくしていな
い。
第2図には、第1図に示した方式の測定ヘッドaを装
備し、浸透性セル1と圧力測定装置3から成る装置が組
み込み状態で示してある。この実施例では、圧力を制御
して変化させる装置は準備してない。
貯槽5と6は、基準溶液又は調べようとする溶液のい
ずれかのために準備してある。両方の貯槽にある溶液
は、サーモスタットによって一定温度に維持されてい
る。
貯槽6にある溶液に溶解した物質の含有量を測定する
ためには、測定ヘッドを先ず動作圧力P0を調整するため
貯槽5に浸す。動作圧力P0を設定して検出した後には、
その測定ヘッドを前記方法を実行するため貯槽6の調べ
ようとする溶液に浸す。
校正を行うには、調べようとする溶液の代わりに、貯
槽6に校正溶液を入れる。
第3図には、浸透性セル1、支持格子2a付の膜2及び
圧力測定装置3を装備した測定ヘッドbが示してある。
このヘッドには、溶液を入れる貯槽6aが組み込んであ
り、そのケースは構成要素7と8から成るが、鋼で作製
されている。
第4図には、第3図で示した方式の測定ヘッドbを装
備した装置が示してある。
弁V1が開くと、先ず浸透圧測定溶液が貯槽9から浸透
性セルに注入される。そうすると、動作圧を調整するた
め、適当な基準溶液(貯槽10)が弁V2を開いた時(弁V
1,V3及びV4は閉じている)貯槽6aを経由して導入され
る。こうして、この溶液は膜2を通過し、浸透性セルに
ある浸透圧測定溶液に通ずる。動作圧P0を調整して検出
した後、最後にそこで弁V4を開けて(弁V1,V2とV3は閉
じている)導管12から調べようとする溶液が貯槽6aに導
入される。そのため、浸透性セル中に圧力変化が生じ、
この圧力変化が前記溶液中の物質Aの含有量に対する目
安となる。校正を行うためには、弁V3を介して弁V1,V2
とV4を閉じた時、校正溶液が貯槽11から貯槽6aを経由し
て導入される。
弁V1,V3とV4は、遠隔操作できる遮断機能部として形
成されている。この機能部は制御装置Iに電気接続して
いる。この機能装置Iで、所定の時間に動作圧力P0を調
整するため、基準溶液が弁V2を経由し、その後調べよう
とする溶液が弁V4を経由して貯槽6aに導入される。更
に、当然もっと長い時間間隔で制御装置を用いて校正溶
液を弁V3を経由して貯槽6aに供給させることができる。
更に、第4図から分かるように、圧力測定装置3の電
気出力信号は表示装置13に表示され、制御装置Iに導入
される。この制御装置Iに電気接続している制御装置II
によって、検出した測定値に応じてプロセスが制御され
る。
第5a図と第5b図には、固体物質として酸化クロム塩銀
を用いてアンモニア測定する場合の浸透性セルの圧力曲
線が示してある。この場合、異なる四種の濃度に対する
初期傾斜が測定されている。基準溶液は蒸留水であっ
た。少ないアンモニア濃度は、圧力の僅かな初期抑制を
引き起こし、それから直ぐ一定の圧力上昇((dP/dt)
t=0)となる。四本の曲線には、傾斜の三角形が書き
入れてある。この三角形の助けで傾斜を読み取れる。提
示した方式の圧力・時間曲線は、校正時に使用される
(第6図参照)。
種々の実施例 第3図に示した方式の測定ヘッドを用いて、以下に示
す溶液を調べることにする。測定ヘッドは、不錆鋼のケ
ース(膜厚、約0.3mm)で形成されている。膜の実効表
面積に対する浸透性セルの体積の比は0.1mmになる。セ
ルには(Ag2CrO4)のペーストと水が満たしてある。膜
は50ダルトンの公称分離限界を有する非対称ポリアミド
膜(逆浸透性の膜)である。種々の溶液は測定のため25
℃に保持してある。
実施例1 第6図に与えた校正曲線を作るには、校正溶液として
種々の濃度のNH3水溶液が使用される。
浸透性セルを透過するNH3は、化学式 Ag2CrO4+4NH3=2(Ag(NH32 ++CrO4 2- 固体物質Ag2CrO4を一部を溶解させる。この場合、生
じるイオンは非透過性で、このことがこれに相当する浸
透濃度及び浸透圧の上昇に繋がる。前記浸透圧は時間に
関して測定されている(測定量のdP/dtはbar/sの単位で
ある)。第6図から分かるように、充分低くいNH3濃度
(CNH3)に対するdP/dtは校正溶液のNH3濃度に比例す
る。
2.50mMのNH3を含有する試験溶液(調べようとする溶
液)を使用した。測定した6.3x10-5bar/sのdP/dtが、2.
55mMの校正曲線から得られた。基準溶液は蒸留水を用い
た。
実施例2 第7図に与えた校正曲線を作成するには、校正溶液と
して種々の濃度の溶液(PH=8)が使用される。
浸透性セルを浸透するKCNは、化学式 Ag2CrO4+4KCN=2(Ag(CN)2 -+K++CrO4 2- に従って非常に安定したシアン化銀の複合体を形成して
Ag2CrO4を溶解させる。この場合、生じるイオンは実質
上非透過性である。
0.73mMのCN-を含有する試験溶液を使用した。この溶
液から、8.6x10-5bar/sのdP/dtに対する測定値が校正曲
線に従って得られた。基準溶液は蒸留水を使用した。
実施例3 浸透性セルの中で固体物質の沈澱をもたらす透過性の
良くない物質NaClの濃度を測定した。第8図に与えた校
正曲線を作成するため、種々の濃度の水溶液を使用し
た。
使用した膜は、一価の塩化物イオンに対しても(比較
的少ない時でも)透過性がある。この性質を塩化物測定
に利用できる。化学式、 Ag2CrO4+2NaCl=2AgCl+2Na++CrO4 2- により、浸透圧測定計に入れた固体のAg2CrO4は、塩化
銀より相当強い溶解性があって、AgClとなって沈澱す
る。この場合、2個のCl-当たり二価のCrO4 2-イオンが
生じる。
この反応は、溶媒中の濃度が上昇すると共に増加する
浸透圧測定計中での濃度上昇と圧力上昇をもたらす。C
CL-の低濃度では、dP/dtがCCL-にほぼ比例関係を保つて
いる。
試験溶液としては、0.4mMのNaClの溶液が使用され
た。この溶液は第8図に与えた校正曲線から、0.8mMのC
l-を与えた。
実施例4 尿素分解酵素を用いた予備酵素加水分解により尿素の
濃度、及び発生したアンモニアの濃度を測定した。
校正溶液(水溶液中の尿素)中で、尿素を25℃で10〜
15分尿素分解酵素(20単位/10ml)の下で加水分解し
た。その後、溶液のpH値は、pH=8.7〜9.3になった。即
ち、 実施例1に相当して、浸透性セルに透過して入る発生
したアンモニアが検出された。第9図には、尿素測定の
校正曲線が示してある。
検査溶液は、0.5mMの尿素の水溶液であった。この液
は、1.37x10-5bar/s、又は0.64mMの尿素濃度を与えた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、圧力測定装置と目盛を有するマイクロメータ
を装備した浸透性セルから成る測定ヘッドaの断面図。 第2図は、圧力測定装置を装備した浸透性セルから成る
測定ヘッドaを備えた装置の断面図。 第3図は、浸透性セルとこのセルから仕切られている貯
槽とから成る測定ヘッドbの断面図。 第4図は、第3図の測定ヘッドbと測定過程の自動制御
部とプロセス制御部を装備した装置のダイヤグラム図。 第5a図と第5b図は、測定過程の間の浸透性セル中の圧力
経過を示すグラフ。 第6〜9図は、実施例1〜4に対する検量線を示すグラ
フ。 図中引用記号: 1……浸透性セル、 2……膜、 2a……支持格子、 3……圧力測定装置、 5,6,6a……貯槽、 V1〜V4……弁。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ヨーゼフ・ツイリケンス ドイツ連邦共和国、ユーリツヒ、アルテ イレリー ストラーセ、44 (56)参考文献 特開 昭61−110031(JP,A) 特開 昭63−223541(JP,A)

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】最初浸透圧測定溶液に対して透過膜を介し
    て接続する基準溶液を用いて動作圧P0を調整し、次いで
    この基準溶液を調べようとする溶液に交換した後、浸透
    性セルで生じる圧力変化から透過性物質(A)の含有量
    を測定し、浸透性セルの静水圧を測定する圧力測定装置
    と、浸透性セル中に存在する浸透圧測定溶液が物質の含
    有量を調べようとする溶液にその物質に対して透過性を
    有する透過膜を介して連通しているこの透過膜とを装備
    し、堅牢な壁を保有する浸透性セルによって溶媒中に溶
    解した物質(A)の含有量を選択的に測定する方法にお
    いて、 浸透圧測定溶媒には、基準溶液にも調べようとする溶液
    にも含まれていない物質(B)があり、この物質(B)
    は実際上不溶性であるか、膜に対して非透過性であっ
    て、しかもこの物質(B)は浸透性セル中に透過した物
    質(A)、又はこの物質(A)によって調べようとする
    溶液中に生じる生成物(H)、又は調べようとする溶液
    中で物質(A)から生じてセルの中に透過する生成物
    (G)のいずれかと化学反応し、セル中に浸透圧を発生
    させる反応生成物(C,D,E)が生じ、前記浸透圧は物質
    (B)を化学的に変換した部分の浸透圧と区別されるの
    で、校正値に従って調べようとする溶液中の物質(A)
    の含有量を測定する圧力変化がセル中に発生することを
    特徴とする方法。
  2. 【請求項2】基準溶液を調べようとする溶液に交換した
    後、浸透性セルの圧力変化を再現する圧力・時間曲線の
    初期傾斜を測定することを特徴とする請求項1記載の方
    法。
  3. 【請求項3】調べようとする溶液中の物質(A)の含有
    量は、調べようとする溶液を基準溶液に交換した後浸透
    性セルに到達した物質(A)の一部、又はその部分から
    生じた生成物(G,H)が化学的に急速に置換され、セル
    中で生じる圧力経過は物質(B)の持ち込まれた部分と
    発生した反応生成物(C,D,E)の浸透圧の差のみから生
    じることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】貯槽と、浸透圧測定溶液の供給用導入弁
    と、振動圧測定溶液の排出用排出弁と、金属又は合金樹
    脂製の堅牢な壁を有し、膜が物質に対して透過性を有す
    る圧力測定装置と形成された測定ヘッドとを装備し、膜
    の有効表面積に対する浸透性セルの体積の比が高々0.2m
    mであり、測定ヘッドは貯槽の中に浸すことができ、こ
    の貯槽は動作圧力P0を調整する基準溶液か、調べようと
    する溶液及び、場合によっては校正溶液かを選択的に装
    入できる特許請求の範囲第1〜3項の方法を実行するた
    めの、溶媒に溶解した物質(A)の含有量を選択的に測
    定する装置において、 前記浸透圧測定溶液の供給用導入弁と排出用排出弁は、
    セルから弁の遮断部までの導管部分の体積が出来る限り
    小さく設計し、配設してあり、浸透性セルの壁は固体物
    質(B)で少なくとも部分的に被覆してある及び/又は
    浸透性セルがセルに達した物質(A)又はそこの生成物
    (G,H)と化学反応し、その時、反応生成物(C,D,E)を
    形成する物質(B)を有し、前記反応生成物はこの方法
    を実行した時、セル中に浸透性を発生させ、この圧力が
    物質(B)の化学置換した部分の浸透圧と異なることを
    特徴とする装置。
  5. 【請求項5】複数の貯蔵槽と、浸透圧測定溶液の供給用
    導入弁、排出用排出弁及び圧力測定装置を備えた浸透性
    セルと、一個の貯槽とから成る測定ヘッドを装備し、浸
    透性セルは金属又は合成樹脂製の堅牢な壁及び同じ様に
    堅牢で、問題とする物質に対して透過製の膜を有し、膜
    の表面積に対する浸透性セルの体積の比は高々0.2mmに
    なり、貯槽は膜を介して浸透性セルに接続していて、し
    かも動作圧力を調整する基準溶液と、調べようとする溶
    液と、場合によって校正溶液とに対する導入導管と排出
    導管を備え、貯槽の供給導管と排出導管及び貯槽の内部
    室はその中に注入した溶液を出来る限り早く測定ヘッド
    の貯槽に充填でき、測定ヘッドの貯槽に対する供給導管
    に動作圧力P0を調整する溶液用の貯蔵槽が接続し、更に
    測定ヘッドの貯槽に対する供給導管に接続し、調べよう
    とする溶液を含有する受け入れ貯槽又は一本の円管を備
    えている特許請求の範囲第1〜3項の方法を実施するた
    め、溶媒中に溶解した物質(A)の含有量を測定する方
    法において、 前記浸透圧測定溶液の供給用導入弁と排出用排出弁は、
    セルから弁の遮断部までの導管部分の体積が出来る限り
    小さく設定し、配設してあり、浸透性セルの壁は固体物
    質(B)で少なくとも部分的に被覆してある及び/又は
    浸透性セルがセルに達した物質(A)又はそこの生成物
    (G,H)と化学反応し、その時、反応生成物(C,D,E)を
    形成する物質(B)を有し、前記反応生成物はこの方法
    を実行した時、セル中に浸透圧を発生させ、この圧力が
    物質(B)の化学置換した部分の浸透圧と異なることを
    特徴とする装置。
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