JP2678963B2 - 偏平管の製造方法 - Google Patents

偏平管の製造方法

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JP2678963B2
JP2678963B2 JP4314433A JP31443392A JP2678963B2 JP 2678963 B2 JP2678963 B2 JP 2678963B2 JP 4314433 A JP4314433 A JP 4314433A JP 31443392 A JP31443392 A JP 31443392A JP 2678963 B2 JP2678963 B2 JP 2678963B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】開示技術は、トカマク型等の核融
合炉の内部に設けられる支持構造材等に用いられるフレ
キシブルチューブの偏平管の製造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】周知の如く、近時市民社会,産業社会を
含めて社会は科学技術の発達によりエネルギー,情報社
会へと移りつつあり、エネルギーにあっても従来の有限
な化石燃料エネルギーに代わり、原子力エネルギーへの
転移が急速に高まり、したがって、原子力発電等の原子
力施設の開発拡充が重要視されるようになってきてい
る。
【0003】而して、原子力産業においては核融合炉等
原子力施設の技術開発が盛んになり、例えば、トカマク
型等のトーラス状の磁気閉込め型の核融合炉等が研究用
タイプや実用タイプにおいて種々建設されて運転される
ようになり、該核融合炉内には種々の構造物や機構部が
配設されているが、ブランケット、或いは、遮蔽板等の
構造部材を使用する機構として耐圧,耐衝撃性を有する
薄肉偏平の形状可変なフレキシブルチューブの管体が用
いられ、その機能を設計通りに発揮するべく、例えば、
プラズマ電流が瞬間的に消滅する所謂プラズマディスラ
プション現象において発生する電磁力を介しての変形応
力に耐えるべく、トーラス方向に強固に構造物等を固定
し、且つ、定期的、或いは、不定期的な当該構造物等の
交換のために、かかるフレキシブルチューブをトーラス
方向に所定ユニットごと分割しておかなければならない
等の点から図6に示す様な円管1,1に平面視レースト
ラック型の偏平管2を一体的に接続してフレキシブルチ
ューブ3として用いた液圧駆動式のコッタ機構が現出さ
れて採用されるようになってきている。
【0004】かかるフレキシブルチューブ3はその偏平
管2が内部の液圧により円形に変化する力を利用してコ
ッタ駆動を行うようにするものであり、プラズマディス
ラプション時に発生する衝撃的な管内圧に充分に耐えら
れると共に管の曲げ応力に対しても確実に耐えられるよ
うな強度,剛性を有するべく、肉厚が0.5mm以下の
偏平管2が望まれ、さまざまな熱間加工や冷間加工、及
び、溶接等を介する技術が用いられていたが、溶接部の
強度不充分や信頼性が無い等の点から新しい偏平管製造
技術が求められ、そこで、例えば、出願人の一人の先願
発明である特願平3−140777号発明等金属の所謂
超塑性特性を利用した偏平管の製造技術が開発されて実
用化に向け、種々の研究改善がなされている。
【0005】そして、該種フレキシブルチューブ3はエ
ネルギー産業における核融合炉等の内部配設の構造物に
使用出来るばかりでなく、例えば、免震構造体,除震構
造体等への技術転用が可能となる大きな波及効果も期待
され得るものであることが分っている。
【0006】例えば、図7に示す様に、チタン合金,ア
ルミ合金等の金属製の超塑性加工特性を有する円管1を
上下の金型4,4' 間に挾装し、加熱炉5内にセット
し、加熱装置6により該上下の金型4,4' を、例え
ば、775℃等所定の温度に加熱し、併せて、不活性ガ
ス源7よりアルゴンガス等の不活性ガスをガス調節計
8、ガス圧調節バルブ9,10により所定圧に調節制御
しながら、円管1内に供給して偏平部(となる部分)を
金型4,4' に圧接させ、超塑性特性を介し偏平管2を
有するフレキシブルチューブ3を得るようにしている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このようにして、得ら
れた該種フレキシブルチューブ3は円管1の超塑性特性
を用いることによりガス圧印加の基で加熱するという基
本的にシンプルな方法で目的とするフレキシブルチュー
ブ3が得られ、しかも、内部液体の何らかの原因により
液体のリークが早期に発見され、直接的な対処手段が得
られるべく、又、内圧に対する曲げ応力の緩和等のメリ
ットから多層管構造のフレキシブルチューブ3も得られ
る等種々のメリットがあるが、実稼動に供するには次の
ような問題があることが次第に分ってきた。
【0008】即ち、図8に示す様に、円管1内へのガス
圧印加プロセスにおいて、横軸に時間T(分)、縦軸に
印加ガス圧P(kgf/cm2 )をとると、実験によれ
ば、時間Tに対する印加ガス圧Pの特性パターンは当該
図8の(イ),(ロ),(ハ)のグラフ曲線に示す様
に、歪み速度により異なることが分る。
【0009】このことは、通常の超塑性特性を有する板
材のワークに対する超塑性成形加工とは異なり、円管1
がワークとしては剛性があり、しかも、該円管1が長尺
のワークの場合には、上述印加ガス圧特性により成形加
工進度にバラツキが生ずることを示している。
【0010】したがって、超塑性特性によりワークに対
する成形加工が進むことにより、偏平管2の肉厚が薄く
なった部分にそのまま高ガス圧を印加し続けることは必
ずしも成形加工にとり好ましくないことにつながること
が分ってきた。
【0011】即ち、偏平管2に肉厚分布のバラツキが生
ずることを介しての高加工度成形に伴い、続いて不均一
な伸びによる薄肉部分によりオーバーな圧力が作用して
破断が生じる虞が出て、図11に示す様に、偏平管2に
対する成形偏平部の設計形状aに対し超塑性成形加工に
より形状bの如くハッチングで示す成形不良cが生じ、
薄肉部分の破断dが生ずる虞がある不具合がある。
【0012】このことは、偏平管2の幅lが比較的小さ
な44mmである図9に示す態様と、該幅lが比較的大
きな74mmの図10に示す態様において、横軸に中心
部から両側への幅長さl(mm)、縦軸に肉厚h(m
m)をとり、(A),(B),(C)の各素材の上側と
下側についてデータをとると、図9に示す幅長さが44
mmの比較的短いl の場合には肉厚分布の変化はさほど
変らないが、図10に示す幅長さ74mmの長い場合に
は肉厚の厚み変化が生じ、したがって、高加工度成形時
には不均一成形が生じ易く、又、肉厚分布にバラツキが
生じ易く、上述した如く、薄肉部に於ける破断dが生ず
ることにつながることがデータからも裏付けられる不都
合さがある。
【0013】そして、これらの原因をきたすものとして
上述の印加ガス圧パターン特性の変化は勿論のこと、板
状ワークに対する場合と異なり、金型等設備の恒常的使
用の制約上、加熱装置6を高精度に設計して金型4,
4' の加熱温度を可及的に均一になるようにしても、結
果的に偏平管2の熱領域全てに均一加熱が付与されると
は限らない設備上のネックがある。
【0014】そして、各種の実験を行い、得られたデー
タからこれらの原因が競合し合い、又、準備してセット
された金型4,4' による超塑性特性に基づく成形加工
が必要であることも相互にからみ合っていることも推定
され、核融合炉等の設計通りの稼動等に対する配設構造
物の信頼度を充分に上げるにはフレキシブルチューブ3
の構造が期待通りに得られることへの大きな障害となっ
ている欠点が知得されたものである。
【0015】
【発明の目的】この出願の発明の目的は上述従来技術に
基づく新エネルギー開発技術として極めて重要な核融合
炉等の内部構造にかかわりのあるフレキシブルチューブ
の設計通りに製造出来得ない種々のネックの存在を解決
すべき技術的課題とし、核融合炉等の内部構造部材とし
てのフレキシブルチューブが設計通りに、且つ、期待通
りにその性能を発揮し得るように期待通りに製造出来得
るようにし、又、多層管から成るフレキシブルチューブ
をも製造し得ることが出来るようにしてエネルギー産業
における原子力技術利用分野に益する優れた偏平管の製
造方法を提供せんとするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段・作用】上述目的に沿い先
述特許請求の範囲を要旨とするこの出願の発明の構成
は、前述課題を解決するために、原子力発電に用いられ
る核融合炉の内部構造等に用いられる円管と該円管に一
体的に接続する偏平管からなるフレキシブルチューブの
製造に際し、チタン合金等の超塑性特性を有する金属材
製の設定長の円管を所定の上型と下型の金型に挾装して
加熱炉内にセットし、そして、該上型と下型の金型につ
いては所定数複数の加熱ゾーンに分割し、各加熱ゾーン
に熱電対をセットし、該各加熱ゾーンの加熱状態をモニ
タリングしながら、各加熱ゾーンの目標設定加熱温度に
加熱状態をセットする際の現実の温度差を把握し、加熱
ゾーンに対する均一加熱を行い、併せて、ガス源からア
ルゴンガス等の不活性ガスを円管内に供給して加圧印加
するに際し、初期には高圧の成形圧を印加し、各部に成
形が進行し始めると、印加圧力を減増圧して圧力調整
し、その際、予めパソコンにてシュミレートしたデータ
基づいて最適ガス圧の印加パターンにし、円管が超塑性
特性に従って上型,下型の金型に圧接されて偏平管が均
一肉厚で成形加工されるようにし、併せて、各金型の上
型,下型の超塑性加工成形のプロセスを複数段階のステ
ップに分割し、各ステップの金型に上述モニタリングを
介しての加熱ゾーンに対する加熱コントロールと最適ガ
ス圧の印加パターンのトライアンドエラーを介してのガ
ス圧の適性印加と共に、各ステップで高度成形加工進度
のバラツキを補正し、偏平管に薄肉部の破断等を生じな
いようにし、更に、単層管のみならず、多層管に於ては
相対重層する各単管相互の間に潤滑剤を噴霧して塗布
し、単管相互の密着状態の現出を防ぎ、超塑性成形加工
における相対挙動を許容し、製品としての偏平管に気体
のリークや酸化膜等の層が介在しないようにし、又、そ
の際、各層の単管の端部に於ては真空焼鈍後、電子ビー
ムにより溶接シームし、危険物や不純ガスの排除を行っ
て製品精度を高め、上述の如く、加熱管理、及び、ガス
圧印加管理、ステップごとの各プロセス管理を行って設
計通りの機能が発揮出来るフレキシブルチューブを得る
ことが出来るようにした技術的手段を講じたものであ
る。
【0017】
【実施例】次に、この出願の発明の実施例を図1〜図5
に従って説明すれば以下の通りである。
【0018】尚、図6以下と同一態様部分は同一符号を
用いて説明するものとする。
【0019】図示実施例は、トカマク型等のトーラス状
の磁気閉じ込め型の核融合炉内に設置されるコッタ駆動
の偏平薄肉構造フレキシブルチューブ3の製造の態様で
あって、図9,10に示す偏平管2,2' はモデルとし
ての単層管の態様であり、前述特願平3−140777
号発明の態様と同一目的に沿う態様であって、図6に示
す態様同様に所定長の円管1の間に偏平管2が形成され
るように製造するものであって、その金属素材は微細結
晶粒を有する、例えば、チタン合金(Ti−6Al−4
V、或いは、Ti−3Al−2.5V)、或いは、超塑
性タイプの7475等のアルミ合金、或いは、spz等
の亜鉛アルミ合金であり、一定の加熱温度、及び、変形
速度の条件の基で超塑性特性を介して数百%以上の伸び
の成形加工がなされ得る技術が用いられているものであ
る。
【0020】そして、偏平管2の超塑性特性に基づく成
形加工を行うシステムにおけるハードは図7に示す在来
態様と実質的には同じであるが、前述の如く、設計通り
の均一肉厚で薄肉部分に於ける破断dを生じないように
するために、この出願の発明においては図1に示す様に
加熱炉5内にセットする上側加熱板11、下側加熱板1
1' に設ける金型の上型4、及び、下型4' に各々所定
数の熱電対12,12…を対応する長手方向に設けた各
挿通孔13に挿入して図2に示す様に、上型4と下型
4' に所定数複数の加熱ゾーン,……に分割し、
図示しない制御装置を介して加熱装置6からの加熱状況
をモニタリングしながら各加熱ゾーン,…が可及的
に目標設定加熱温度に対しての実稼動加熱温度差を把握
して各加熱ゾーンの均熱化を図るようにする。
【0021】又、同様に、偏平管2の平均した肉厚成形
を超塑性成形加工により行うには、先述した如く、印加
ガス圧印加パターンの変化による偏倚成形が行われる点
に鑑みて、該偏平管2の円管1からの成形進度にバラツ
キが生じ易く、特に、成形初期には高い成形ガス圧印加
が必要であるものの、肉厚が薄くなるプロセスでの継続
的高圧ガス圧の印加は好ましくないという結果、データ
より図3に示す様に、横軸にT(分)と縦軸にガス圧P
(kgf/cm2 )をとってパソコンによるシュミレー
ションデータ(ホ)を得、これに対して可及的に近似す
る実稼動ガス圧印加パターン(ヘ)をトライアンドエラ
ー的に反復し、超塑性成形加工の進行度に応じ最適印加
ガス圧パターンを選定し、最大ガス圧を下げるタイミン
グをコントロールするようにプログラムする。
【0022】しかしながら、反復して行った実験データ
によると、最適ガス圧印加パターンのシュミレーション
に沿う選定を行っても、又、金型4,4' に所定数の加
熱ゾーン,…を分割し、該各加熱ゾーン,…の
均熱化を図るようにしても、ワークの素材特性のバラツ
キに充分対応して均肉厚み化が図れない不具合も多いこ
とから、次のような多段ステップ方式の成形を適用す
る。
【0023】即ち、図4に示す様に、超塑性特性を有す
る素材の円管1を上型4、下型4'の金型により超塑性
成形加工を行うプロセスを所定数複数ステップ(当該実
施例においては3ステップ)に区分けし、初期金型4
1,41' を円管1に対し狭断面で行うようにし、次い
で、中断面の金型42,42' にて円管1から偏平管2
へ偏平状に超塑性成形加工されたワーク2' を成形する
ようにし、終段で偏平化が進行されたワーク(偏平管)
2''を広断面積の偏平断面の金型43,43' にて行う
最終ステップ成形加工をたどるようにし、これらのステ
ップごとの金型41,41' ,42,42' ,43,4
3' とワーク(偏平管)2,2' ,2''の取り合い,取
り扱い治具等の操作についてはノウハウ的データ蓄積に
従って行うようにする。
【0024】このように偏平化成形加工の進行度に応じ
て複数ステップをとり、各ステップごとに超塑性成形加
工を可及的に完成領域程度にまで行うことにより成形進
行度上のバラツキの補正が確実に行われて高加工度成形
が可能となる。
【0025】そして、上述各加熱ゾーン,…の所定
数複数分割,最適ガス加印加パターンのシュミレーショ
ンを介しての選択、並びに、超塑性成形加工のプロセス
の複数段ステップでのステップごとの超塑性成形加工の
順次継続を当該フレキシブルチューブ3に対する超塑性
特性を介しての超塑性成形加工を行うことにより設計通
りの強度,剛性を有し、且つ、薄肉部における破断等が
生じない信頼性の高い該フレキシブルチューブ3を得る
ことが出来る。
【0026】上述態様において、まず、所定の超塑性特
性を有する金属材製の円管1を金型の上型4、及び、下
型4' に挾装し、加熱炉5内にセットし、上型、及び、
下型の各加熱ゾーン,〜…に対する相互独立的な
加工をモニタリングを行いながら、加熱装置6により可
及的に各加熱ゾーン,…に対する加熱を均熱状態で
行い、併せて、ガス源7からアルゴンガス等の所定の不
活性ガスを圧力調整計8、及び、ガス圧調整バルブ9,
10を介し図示しないパソコンによりシュミレートされ
た図3に示すガス圧印加パターン(ホ)に可及的に一致
するガス圧印加パターン(ヘ)をトライアンドエラー的
に作用させ、図4に示す示す金型41,41' の初期ス
テップの超塑性成形加工、及び、これに続く、金型4
2,42'による中期ステップの超塑性成形加工、そし
て、終期ステップの金型43,43' による超塑性成形
加工を行って、各ステップで超塑性成形加工を完成領域
程度にまで行い、薄肉部分の均肉化された偏平管2を円
管1に連続して有するフレキシブルチューブ3を得る。
【0027】而して、該フレキシブルチューブ3の超塑
性成形加工の成形履歴を鑑みるに、一体成形加工技術に
基づく均一加熱不良に基づく伸びのバラツキ,成形ガス
圧印加パターンの不適切による肉厚不均一による薄肉部
の破断、金型と超塑性成形加工プロセスにおけるワーク
のマッチング不良に基づくバラツキ等を解消し、高加工
度成形を完全に近い形で行うことにより偏平管2に薄肉
部の破断等が生じない信頼性の高いフレキシブルチュー
ブ3を製造することが出来る。
【0028】而して、素材ワークの形や組成のバラツキ
や超塑性成形加工プロセスにおける金型とのマッチング
不良、及び、相対摩擦のバラツキ、及び、場所ごとの成
形加工進度のバラツキ等による偏平管2の肉厚のバラツ
キが生ずるが、そこで、金型4,4' を介しての加熱ゾ
ーン毎の分割加熱、及び、ガス圧印加による超塑性成形
加工におけるプロセスを複数ステップに分割してこれら
のバラツキの吸収と補正を行い、各ステップごとの超塑
性成形加工を完成度の高いものにして前ステップから次
ステップへ移行させてステップごとの補正を行い、全プ
ロセスを通しての偏平管2の均肉化を図る。
【0029】而して、前述した如く、フレキシブルチュ
ーブ3に於て全体肉厚の均一保形とガス圧印加の均一
化、肉厚を薄くすることによる曲げ応力の緩和、不測に
して発生する虞のあるリークの早期発見とこれに対する
適性対処を行える多層管のフレキシブルチューブを得る
に、在来態様でも各単管相互に潤滑剤を塗布していた
が、この出願の発明においては図5に示す様に、各単管
13,13' ,13''の相対重層に際し、エアゾール缶
14から潤滑剤のエアゾール15を全面に亘り均一に隈
なく噴霧し、単一に重層された多層管の各単管13,1
3' ,13''相互の密着を防ぎ、熱挙動を拘束しないよ
うにし、相互に自由独立に超塑性成形加工が行われるよ
うにし、更に、相対重層された円管1''' に対し、その
両端部に於て電子ビームのシーム溶接16,16を施し
て真空焼鈍を行うに際しての不純ガスや不純パーティク
ル等を完全に除去し、上述潤滑剤15の塗布効果を促進
させるようにする。
【0030】而して、3層形状のフレキシブルチューブ
3をTi−3Al−2.5Vのチタン合金をワーク素材
として得られた実施例の肉厚形状を次の表1に示す。
【0031】
【表1】 尚、表1中の測定位置a,b,c,dは図12の多層管
のa,b,c,dの部位を示す。
【0032】尚、この出願の発明の実施態様は上述各実
施例に限るものでないことは勿論であり、例えば、1つ
のフレキシブルチューブ3の各超塑性成形加工の進行度
の状況をデータとして記録し、次のフレキシブルチュー
ブ3の成形加工にバックアップデータとして供する等種
々の態様が採用可能である。
【0033】又、適用対象は核融合炉の構造材のフレキ
シブルチューブばかりでなく、油圧ジャッキによる被圧
挙動材や免震構造体,除震構造体等にも適用し得るもの
である。
【0034】
【発明の効果】以上、この出願の発明によれば、基本的
にトカマク型等トーラス状の磁気閉込め型核融合炉等に
設置するコッタ等に用いるフレキシブルチューブを製造
するに、その伸びや曲げのプロセスにおける肉厚のバラ
ツキを介しての破断等の生ずる虞のない信頼性の高い偏
平管を得ることが出来、プラズマディスラプション時に
生ずる衝撃的な管内圧の上昇や断面形状変化に伴う曲げ
応力にも充分に耐え、確実な駆動力を有し、液体のリー
ク等が避けられる設計通りのフレキシブルチューブを得
ることが出来るという優れた効果が奏される。
【0035】又、薄肉部等に溶接部等が存在しないこと
からくる信頼性の高さを得ることも可能であるという優
れた効果が奏される。
【0036】更に、曲げ応力に優れ、取り扱いが容易
で、リーク等に対処し易い多層管の製造も可能になる効
果も奏される。
【0037】そして、金型を所定数複数の加熱ゾーンに
分割し、該各加熱ゾーンに対するモニタリングをしなが
ら可及的に各加熱ゾーンの均熱化を図って加熱すること
により各加熱ゾーンに対する目標設定温度の均熱加熱を
付与することが出来、超塑性成形加工を確実にすること
が出来るという優れた効果が奏される。
【0038】そして、ガス圧印加に際してシュミレーシ
ョンを基にトライアンドエラーを介し最適ガス圧印加パ
ターンに沿うガス圧加圧を行うことにより、素材ワーク
の円管に剛性がある状態の長尺物であっても、所定加工
進度にバラツキが生ぜず、特に、高圧印加からの減圧を
行う際のタイミングがシュミレーションを介し最適ガス
圧印加パターンとして得られ、薄肉部の破断や成形不良
をきたさないという優れた効果が奏される。
【0039】又、素材の力学的部分特性のバラツキや組
成のバラツキによる金型とのマッチングのバラツキ、そ
して、成形加工進度のバラツキが超塑性成形加工プロセ
スを複数ステップに分割して各ステップごとに超塑性成
形を完成度を高くして継続することにより各ステップご
とに成形のバラツキを吸収補正出来、全体プロセスとし
て確実に設計通りの均肉厚の偏平管を得ることが出来る
という優れた効果が奏される。
【0040】而して、これらの技術の成形プログラムを
相互独立的に各々組み合わせすることにより、当該フレ
キシブルチューブ製造に際しての目的とする超塑性成形
加工を行うことが出来るという優れた効果が奏される。
【0041】又、多層管のフレキシブルチューブを得る
に際し、各単層管の相対重層間部に潤滑剤の塗布を行
い、単管相互の密着を避け、相対挙動を許容することに
より、多層管のメリットのリークの早期発見や液圧に対
向する品質を高めることが出来る等の利点もあり、更
に、真空焼鈍により発生する不純ガスを多層管端部に於
ける電子ビームの真空溶接でパターンによる閉じ込めを
行って不純ガスの存在や酸化層のない状態での超塑性成
形加工を行えることにより、当該超塑性成形加工が確実
に設計通りに行えるという優れた効果が奏される。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の1実施例の金型の斜視図であ
る。
【図2】金型の複数分割加熱ゾーンの平面図である。
【図3】ガス圧印加パターンの一般圧力特性曲線図であ
る。
【図4】超塑性成形加工プロセスの複数ステップ分割の
構造模式図である。
【図5】多層管円管の潤滑剤塗布、及び、電子ビーム溶
接部の模式斜視図である。
【図6】フレキシブルチューブの一般態様の部分切截拡
大斜視図である。
【図7】フレキシブルチューブの超塑性成形加工システ
ムの模式図である。
【図8】従来技術に基づくガス圧印加の時間圧力特性グ
ラフ図である。
【図9】幅44mmの偏平管の超塑性成形加工による幅
方向と肉厚の断面データ図である。
【図10】幅74mmの偏平管の超塑性成形加工による
幅と肉厚の関係データ図である。
【図11】同じく従来技術に基づく偏平管の超塑性成形
加工時の成形不良と破断発生模式図である。
【図12】実験例の偏平管の模式断面図である。
【符号の説明】
1 円管 4,4' 金型 2 偏平管 3 フレキシブルチューブ 〜…(18区分) 加熱ゾーン 15 潤滑剤

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】超塑性特性を有する金属材製の円管を上下
    の金型間に挾装セットし、該金型を超塑性成形加工温度
    に加熱し円管内にガス圧を超塑性成形加工圧に印加して
    偏平管を製造する方法において、上記金型を複数の加熱
    ゾーンに分け、各加熱ゾーンに対する加熱をそれぞれコ
    ントロールして均熱状態に加熱するようにすることを特
    徴とする偏平管の製造方法。
  2. 【請求項2】上記加熱コントロールを各加熱ゾーンの加
    熱状態をモニタリングしながら行うようにすることを特
    徴とする特許請求の範囲第1項記載の偏平管の製造方
    法。
  3. 【請求項3】超塑性特性を有する金属材製の円管を上下
    の金型間に挾装セットし、該金型を超塑性成形加工温度
    に加熱し円管内にガス圧を超塑性成形加工圧に印加して
    偏平管を製造する方法において、超塑性成形加工プロセ
    スを複数ステップに分け、各ステップごとの金型を介し
    て順に高超塑性成形加工を行うようにすることを特徴と
    する特許請求の範囲第1項記載の偏平管の製造方法。
  4. 【請求項4】上記各ステップごとの超塑性成形加工を完
    成領域まで行うようにすることを特徴とする特許請求の
    範囲第3項記載の偏平管の製造方法。
  5. 【請求項5】上記円管を多層管にして超塑性加工を行う
    ようにすることを特徴とする特許請求の範囲第1,3,
    4項いずれか記載の偏平管の製造方法。
  6. 【請求項6】上記多層管間に潤滑剤を塗布するようにす
    ることを特徴とする特許請求の範囲第5項記載の偏平管
    の製造方法。
  7. 【請求項7】上記多層管間に潤滑剤を塗布すると共に管
    端に電子ビーム溶接をリング状に施すようにすることを
    特徴とする特許請求の範囲第5,6項いずれか記載の偏
    平管の製造方法。
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