JP2678500B2 - デュアルエフェクト弾頭 - Google Patents

デュアルエフェクト弾頭

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英樹 高橋
東洋和 平澤
俊男 石田
幸夫 加藤
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防衛庁技術研究本部長
日本油脂株式会社
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【発明の詳細な説明】 〈産業上の利用分野〉 本発明は破片の効果と爆風(水中エネルギー)の効果
を同時に発現しうるデュアルエフェクト弾頭に関するも
のである。
〈従来の技術〉 弾頭の効果は含まれる炸薬の種類や構造により次の三
つに大別される。一つの高爆速の炸薬が含まれている場
合で、この場合は高速で飛散する破片の効果が得られ
る。他の一つは高エネルギーの炸薬が含まれている場合
で、この場合は爆風あるいは水中エネルギーの効果が得
られる。さらに他の一つはシュープトチャージと呼ばれ
るもので高爆速の炸薬を含ませ、これによるモンロー効
果を利用し高速のジェットの効果を得るものである。
然し実用上は、前記の効果が単独に発現されるのみで
なく、複数の効果を同時に発現しうることが要望されて
いる。
これらの効果のうち破片とジェットの両方の効果を発
現しうる弾頭が「ジェーン年鑑、装甲及び砲、1983−8
4」に開示されている。第2図はこの弾頭の構造の一例
を示す断面図である。同図面に示される弾頭においては
雷管15によって起爆したブースタ14の爆轟によって高爆
速の炸薬11が反応を開始する。高爆速の炸薬11の爆轟に
より外周の金属ケース12は破片として高速で飛散し、金
属ライナー13はモンロー効果によって高速のジェットを
発生する。
即ちこの弾頭は破片とジェットの効果を同時に発現し
うる。
しかし、破片と爆風(水中エネルギー)の両方の効果
を同時に発現しうる弾頭も要求されているが、現在まで
にこの要求に応ずる弾頭は知られていない。
〈発明が解決しようとする課題〉 破片の効果発現のためには、炸薬は高爆速である必要
があり、また爆風効果を発現のためには、炸薬は高エネ
ルギーでなければならない。
然し炸薬は通常高爆速であればエネルギーは小さくな
り、高エネルギーであれば低爆速になる。これは高爆速
と高エネルギーの炸薬によって組成中に含まれる主成分
が全く異なるためで、根本的に解決するのは極めて困難
な問題である。
つまり、一つの炸薬で破片と爆風(水中エネルギー)
の両方の効果を得るのは現状において非常に難しい技術
である。
〈課題を解決するための手段〉 そこで、本発明者らは長期にわたって研究した結果、
高爆速の炸薬と高エネルギーの炸薬を特定の構成を有す
るように組合せることによって、高爆速の炸薬のみを有
する弾頭と比較して破片速度は同等で爆風(水中エネル
ギー)が大きくまた、高エネルギーの炸薬のみを有する
弾頭と比較して爆風(水中エネルギー)は同等で破片速
度が速いとの知見を得、この知見にもとづいて、破片と
爆風(水中エネルギー)の両方の効果を発現しうるデュ
アルエフェクト弾頭を発明した。
即ち本発明は金属ケースと該金属ケース内壁に接して
配置された高爆速の炸薬および高爆速の炸薬内部に配置
された高エネルギーの炸薬とよりなり、かつ起爆手段を
有するデュアルエフェクト弾頭に関する。
次に本発明のデュアルエフェクト弾頭の好適な構成の
縦断面図を示す第1図にもとづいて説明する。
図中Aは本発明のデュアルエフェクト弾頭であり、該
弾頭は金属ケース2、該金属ケース2の内壁に接しても
うけられた中空円筒状の高爆速の炸薬1、および高爆速
の炸薬1の中空部にもうけられた円筒状の高エネルギー
の炸薬3とにより構成され、炸薬3にはブースタ4、雷
管5が図示のようにもうけられている。
なお高爆速の炸薬としては例えばシクロテトラメチレ
ンテトラニトラミン(HMX)あるいはシクロトリメチレ
ントリニトラミン(RDX)等の二次爆薬を主成分とする
炸薬があり、高エネルギーの炸薬として例えば過塩素酸
アンモニウム及びアルミ粉等の酸化剤及び発熱剤を主成
分とする炸薬がある。
炸薬が爆轟することによって金属ケースは破片として
高速で飛散するが、この破片の飛翔速度は金属ケースに
内接する炸薬の爆速にほぼ比例する。そこで金属ケース
に内接する炸薬の爆速がその炸薬の最大の爆速(定常爆
速)に達していれば十分な破片速度が得られるが、その
ためにはある程度の助走距離(炸薬の厚み)が必要であ
り、あまり金属ケースに隣接した炸薬が薄いと定常爆速
に達する前に爆轟波が金属ケースにまで達してしまい十
分な破片速度が得られない。つまり、金属ケースに内接
する炸薬に定常爆速に達するのに十分な、ある程度の厚
み(炸薬の種類によって異なるが、少なくとも5mm以上
必要で、スペースに余裕があれば20mm以上が望ましい)
が必要である。
雷管及びブースタによって炸薬を起爆する位置は高爆
速の炸薬に接していても、高エネルギーの炸薬に接して
いてもどちらでもよくどちらでも同様な効果が得られ
る。
高爆速の炸薬と高エネルギーの炸薬の組合せとして好
ましい組合せは高爆速の炸薬がHMXを主成分とするもの
で爆速8000m/s以上を有する炸薬と高エネルギーの炸薬
は過塩素酸アンモニウムを40重量%以上、アルミ粉を20
重量%以上含有する炸薬とである。
〈作 用〉 雷管5によって起爆したブースタ4の爆轟により、高
エネルギーの炸薬3と高爆速の炸薬1が反応を開始す
る。外周の金属ケース2は主に外側の高爆速の炸薬1の
爆轟によって破片として高速で飛散し、それに加えて主
に内側の高エネルギーの炸薬3の爆轟によって強力な爆
風(水中エネルギー)の効果が得られる。
一方、爆風(水中エネルギー)の効果は弾頭内部の炸
薬のエネルギーそのものにほぼ比例するため、高エネル
ギーの炸薬の量が多くなればなるほど爆風(水中エネル
ギー)の効果は大きくなる。
外側の高爆速の炸薬の爆轟の伝播に伴って内側の高エ
ネルギーの炸薬が爆轟していくため、高エネルギーの炸
薬はより広い面積で外側から内側へ起爆されることによ
り、高エネルギーの炸薬による爆風(水中エネルギー)
の効果がより増強される。
〈発明の効果〉 本発明のデュアルエフェクト弾頭を適当することによ
って、一つの弾頭において破片と爆風(水中エネルギ
ー)の両方の効果が発現される。
例えば、本発明のデュアルエフェクト弾頭を対艦ミサ
イルの弾頭に適用すると、直撃した場合には主に破片の
効果によって又、直撃できずに船体の近くに落下した場
合にでも爆風(水中エネルギー)の効果によって船体の
破壊に寄与できる。
〈実施例・比較例〉 実施例1及び2 第1図に示す本発明の弾頭を表1に示す炸薬を用いて
製造した。なお、金属ケースとしてSTKM17A炭素鋼から
なる外径89.1mm、内径80.3mm、長さ108mmの形状のもの
を使用した。
製造した弾頭を起爆して、通常の測定方法により、破
片速度と水中エネルギーを求めた。なお、水中エネルギ
ーは、基準爆薬としてペントライト(ベンスリット50:T
NT50の混合物)を1.0としたときの相対比として求め
た。
結果を表2に示す。
比較例1及び2 表1に示す炸薬を用いて、即ち高爆速の炸薬または高
エネルギーの炸薬のいずれかを用いて、実施例1に準じ
て弾頭を製造した。この弾頭について、実施例1と同じ
試験を行なった。
結果を表2に示す。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のデュアルエフェクト弾頭の一例を示す
断面図である。 第2図はジェーン年鑑、装甲及び砲1983−84に記載の破
片とジェットの効果を同時に具現しうる弾頭の断面図で
ある。 図中、A……本発明のデュアルエフェクト弾頭、1,11…
…高爆速の炸薬、2,12……金属ケース、3……高エネル
ギーの炸薬、4,14……ブースタ、5,15……雷管
フロントページの続き (72)発明者 加藤 幸夫 愛知県知多郡武豊町字西門8 (56)参考文献 特開 昭50−472(JP,A) 特許5313(JP,C1) 特許18104(JP,C1)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】金属ケースと該金属ケース内壁に接して配
    置された高爆速の炸薬および高爆速の炸薬内部に配置さ
    れた高エネルギーの炸薬とよりなり、かつ起爆手段を有
    することを特徴とするデュアルエフェクト弾頭。
  2. 【請求項2】高爆速の炸薬は、炸薬が爆轟した際に、そ
    の炸薬の定常爆速に達しうる厚みを有する請求項1のデ
    ュアルエフェクト弾頭。
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