JP2675019B2 - 悪性腫瘍治療剤の製造方法およびそれに用いられる装置 - Google Patents

悪性腫瘍治療剤の製造方法およびそれに用いられる装置

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【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は,悪性腫瘍治療剤の製造方法およびそれに用
いられる装置に関する。 (従来の技術) 悪性腫瘍を有する生体の血漿もくは血清を,ブドウ球
菌の一種であるスタフィロコッカス オーレウス コー
ワンI(Staphylococus aureus Cowan I)株やその細胞
膜成分であるプロテインA(Protein A)に潅流させ,
再び該生体に戻すと,該腫瘍が選択的にかつ速やかに壊
死することが,バンサル(Bansal),ターマン(Terma
n),レイ(Ray),ホロハン(Hlohan)らにより報告さ
れている(Bansal et al.,Cancer,42,1,1978;Terman et
al.,J.Immunol.,142,795,1980;Ray et al.,Cencer,49,
1800,1982;Holohan et al.,Cancer Ras.,42,3663,198
2)。 このような現象の機構について,Termanらは上記菌
体,菌を構成する成分,菌の代謝物質などが血漿や血清
中に漏出するためと考えた。しかし,プロテインAを例
えば、共有結合により担体に固定化したカラムを用い,
プロテインAが漏出しないような状態で使用しても同様
の効果が得られるため,上記菌体,菌構成成分,代謝物
質などによる効果ではないと考えられている。 Bansalらは,悪性腫瘍を有する生体内には正常な免疫
機能を阻止する因子(免疫抑制物質)が増加し,生体に
とっては異物である腫瘍細胞を認識する機能が働かない
ために悪性腫瘍の増殖が助長されると考えた。このよう
な免疫抑制物質の詳細は不明であるが,例えば,悪性
腫瘍細胞表面から過剰に遊離する抗原;この抗原に対
して生成された抗体が抗原と反応した抗原抗体(免疫)
複合体;免疫抑制酸性糖蛋白質;などが考えられる。
そして,彼らはこれらの除去することにより悪性腫瘍の
増殖が阻止されると考えた。上記プロテインAは,ほと
んどの哺乳動物の免疫グロブリン〔Ig;主として免疫グ
ロブリンG(IgG)〕のFc部分と結合する性質を有す
る。そのため彼らは,上記ブドウ球菌やプロテインAに
血漿や血清を接触させると,上記免疫抑制物質を包含す
るIgが吸着・除去され,その結果,正常な免疫系が復活
して腫瘍細胞が排除されるものと考えた。しかし,上記
処理後の血漿または血清を,同種の悪性腫瘍を有する同
種の生体に経静脈的全身投与などを行っても同等の効果
が得られること;悪性腫瘍患者において血漿交換を行っ
ても,上記ブドウ球菌やプロテインAを用いた血漿潅流
において観察される速やかな腫瘍壊死は確認されていな
いこと;および使用する菌やプロテインAが極めて少量
であることから免疫抑制物質の除去による効果とは考え
にくい。Holhanらの研究では正常な生体の血清や血漿を
処理しても上記効果は得られないことが報告されてい
る。そのため,上記悪性腫瘍の壊死は,担癌生体中の血
漿もしくは血清中の何らかの物質と上記ブドウ球菌やプ
ロテインAとの相互作用に起因すると推測される。しか
し,その詳細な機構はいまだ不明である。 上記ブドウ球菌の菌体やプロテインAがそのまま血液
還流に利用されて血中に混入したり,これを直接投与す
ることは,生体にとって極めて危険である。そのため,
このようなブドウ球菌やプロテインAに対する血液還流
による悪性腫瘍壊死の機構を解明し,同等の効果を得る
ことのできる悪性腫瘍の治療方法の開発が望まれてい
る。 (発明が解決しようとする問題点) 発明者らは上記ブドウ球菌やプロテインAの作用機構
を解明し,より効果的な悪性腫瘍の治療方法を開発し本
発明を完成した。本発明の目的は,効果的な悪性腫瘍治
療剤の製造方法およびそれに用いられる装置を提供する
ことにある。 (問題点を解決するための手段および作用) 発明者らは,悪性腫瘍患者の血漿もしくは血清中には
本来悪性腫瘍と特異的に反応してこれを壊死させる抗腫
瘍抗体(腫瘍関連抗体)が存在し,これが上記IgGをも
含むと考えた。さらに,この抗腫瘍抗体は免疫複合体と
して存在するため,その活性能がブロックされている
が,上記ブドウ球菌やプロテインAの作用により免疫複
合体が変性もしくは解離し,そのことにより抗腫瘍抗体
の腫瘍細胞に対する活性が回復するとの仮説をたてた。
この仮説が正しいとすれば,免疫複合体を変性もしくは
解離させて抗腫瘍抗体の活性を回復させることにより悪
性腫瘍を効果的に治療しうる。そして,種々の実験を重
ねた結果,この発明を完成するに至った。 本発明の悪性腫瘍治療剤の製造方法は,悪性腫瘍を有
する生体から得られた全血,血漿もしくは血清に交流電
流を通じる工程を包含し,そのことにより上記目的が達
成される。 本発明の悪性腫瘍治療剤の製造用装置は生体からの全
血,血漿もしくは血清を収容する血液収容容器,該容器
を介して該全血,血漿もしくは血清に交流電流を通じる
ための通電手段および該容器に該全血,血漿もしくは血
清を供給するための血液供給手段を有し,そのことによ
り上記目的が達成される。 本発明方法に用いられる電流は血液中のタンパクの一
部を変性する目的で使用される。例えば,上記免疫複合
体を解離もしくは変性することを包含する。このような
目的に用いられる電流は,直流であっても交流であって
もよい。しかし,直流電流を用いるとタンパクの電気泳
動が起こり,タンパクが極在化する結果,一部のタンパ
クが処理容器に付着して回収されず血液組成が変化する
おそれがある。そのため,本発明方法においては交流電
流(極性が変化する電流)が用いられる。交流電流の周
波数は0.01〜100Hz,好ましくは0.05〜50Hzである。波形
は方形波,正弦波などが用いられ特に限定されないが,
方形波(矩形波)が好適である。最大電流密度は0.01〜
2.0A/cm2,好ましくは0.1A/cm2程度である。電圧勾配は1
0〜150V/cm,好ましくは30〜40V/cmである。通電時間は3
0秒〜3分である。周波数が低すぎたり電流密度や電圧
勾配が低すぎる場合,または通電時間が短い場合は効果
が得られず,逆に周波数が高すぎたり電流密度や電圧勾
配が大きすぎる場合,または通電時間が長すぎる場合
は,処理される血液中のタンパクが過度に変性して生体
に悪影響を与える。 本発明方法における血液の処理は,全血,血漿もしく
は血清に交流電流を流すことにより達成される。つま
り,原理的には,生体から得た血液をビーカーなどの適
当な容器に入れ,これに電極を浸して通電することによ
り充分に処理がなされ得る。しかし電流を通ずることに
より電極付近で電気分解が起こり生体にとって好ましく
ない物質(例えばシアン化合物や自由塩素(遊離塩
素),など)が発生するおそれがあるため,通常,処理
される血液と電極との間には膜を介して緩衝液を存在さ
せる。例えば血液処理のための血液収容容器として半透
膜で区切られた複数の槽を有する容器を用い,電極に隣
接する槽に適当な緩衝液を収容する。この緩衝液は,電
気分解されたときに生体にとって有害な物質を発生しに
くく,かつpHおよび浸透圧が生体環境から著しくかけは
なれていないものであればいずれも使用が可能である。
この緩衝液には,電極部で発生する塩素イオンを還元・
中和するために,通常,アスコルビン酸が添加されてい
る。アスコルビン酸濃度は,緩衝液中に約0.1〜2.0g/
であり,好ましくは0.2g/程度である。緩衝液の組成
の一例を表1に示す。緩衝液は,通電により発生する熱
から血液試料を保護する働きをも有する。 表1 緩衝液組成 NaCl 90g KCl 5g NaHCO3 20g Na2HPO4 1g アスコルビン酸 2g 水を加えて10とする 上記血液処理槽の半透膜としては,タンパクなどの高
分子化合物(例えばアルブミン)を透過しない膜であれ
ば,いずれも使用することが可能であり,例えば透析な
どに使用されるセルロース半透膜が好適である。 本発明方法を効果的に行うための装置を一例を第1図
に示す。この装置は,生体からの血液(以下,全血,血
漿もしくは血清についていう)を吸容する血液収容容器
1,該血液収容容器を介して血液に交流電流を通じるため
の通電手段2,および該容器に血液を供給するための血液
供給手段3を有する。上記通電手段2は,交流電流発生
手段21および1対の電極22,22を有する。交流電流発生
手段21は,発振器211;および該発振器211で発生する振
動を適当な大きさの交流電流に変化させるための電源21
2および低周波増幅器213を有する。電極22,22はプラチ
ナなどで構成される。上記血液収容容器1は,血液処理
槽11,第1緩衝液槽12および第2緩衝槽13を有する。第
1緩衝液槽12は血液処理槽11と電極22との間に配置され
る。第2緩衝液槽13は第1緩衝液槽と電極22の間に配置
される。血液処理槽11には血液試料を供給するための血
液供給手段3,および処理血液を回収する処理血液回収槽
110が連結される。上記第1緩衝液槽12,12には第1緩衝
液供給手段102が連結され,第2緩衝液槽13,13には第2
緩衝液供給手段103が連結される。これらの緩衝液供給
手段(102および103)100は,冷却手段101を介して緩衝
液槽12,12,13,13に連結されている。さらに,第1およ
び第2緩衝液12,13には該緩衝液を回収する緩衝液回収
槽104が接続される。上記装置においては,通電により
発生し得る有害物質の混入および昇温から血液試料を充
分に保護するため第1緩衝液槽および第2緩衝液槽が設
けられているが,場合によっては,血液収容容器1には
第2緩衝液槽13が存在せず1対の緩衝液槽(第1緩衝液
槽12)のみが電極22と血液処理槽11との間に存在する構
造であってもよい。逆に,第1図の装置に加えて,第2
緩衝液と電極との間に第3の緩衝液槽が存在してもよ
く,さらに緩衝液槽の数を増加させることも可能であ
る。 本発明の上記装置を用いて血液を処理するには,ま
ず,緩衝液を第1緩衝液供給手段102および第2緩衝液
供給手段103から冷却手段101を介して血液収容容器1の
第1緩衝液槽12および第2緩衝液槽に導入する。第1緩
衝液供給手段102および第2緩衝液供給手段103から供給
される緩衝液は同質であっても異なっていてもよい。こ
れらの緩衝液は所定の流速で第1および第2緩衝液槽内
をそれぞれ通過し,緩衝液回収槽104に回収される。次
に,血液試料(悪性腫瘍を有する生体からの血液)をポ
ンプなどの血液供給手段3により血液収容容器1の血液
処理槽11へ導入する。血液試料は,全血,血漿または血
清を必要に応じて適当な緩衝液で希釈して調製され,全
血や血漿を使用する場合にはヘパリンなどの凝固阻止剤
が添加される。このとき,血液処理槽11内の血液試料,
第1緩衝液槽12内の第1緩衝液,および第2緩衝液槽13
内の第2緩衝液の圧力は血液試料>第1緩衝液>第2緩
衝液となるように設定する。これは,第1および第2緩
衝液槽内で電気分解により有害物質が発生した場合に,
これが血液処理槽内に入り込むのを防止するためであ
る。血液処理槽11内および第1緩衝液槽12内の圧力差,
および第1緩衝液槽12内および第2緩衝液槽13内の圧力
差はいずれも5〜10mm H2Oが適当である。 この血液処理容器1に交流電流発生手段21からの交流
電流が電極22,22を介して供給される。この交流電流
は,血液試料および緩衝液を血液収容容器1内に貯留さ
せた状態で血液処理容器1へ供給されてもよく,血液試
料および緩衝液を所定の流速で流しながら供給されても
よい。しかし,電気分解により発生し得る有害物質など
を系外へ除去するためには適当な流速で血液試料や緩衝
液を流すことが好ましい。血液試料は,前記の電流密度
に30秒〜3分程度,好ましくは1分の間置かれる。緩衝
液の流速は電極面で発生するガスを除去するに十分であ
る必要がある。これは槽の形状に影響されるので,一概
にどれだけとは言えない。その例は,例えば実施例に示
される。緩衝液として,例えば上記表1の組成を使用す
ると,二酸化炭素が発生し通電が妨げられる場合がある
ため,特に電極に隣接する第2緩衝液槽における緩衝液
の充分な流速を確保することが望ましい。血液試料は緩
衝液による冷却されるため通電により発熱して,温度が
上昇し該血液試料中のタンパクが必要以上に変性される
ことがない。このように処理された血液試料は処理血液
回路槽110へ回収される。 処理された血液においては,含有されるタンパクの一
部が変性している。例えば,上記免疫複合体が変性(解
離を含む)していると考えられる。このような処理血液
がもとの生体内もしくは同種の生体内に投与される。例
えば,経静脈全身投与,腫瘍栄養血管への投与によりな
される。その結果,悪性腫瘍の選択的な壊死が生じる。
その効果は投与開始直後から始まると考えられ,例え
ば,皮膚表面に観察され得る腫瘍の場合は,その変化が
1〜2時間から数日にわたり観察される。悪性腫瘍以外
の健常組織への直接的な毒性は認められない。 血清タンパク試料に電流を通じることは通常の臨床検
査業務で行われているが,これらは,いずれも直流電流
を使用してのタンパクの分画を目的とする。これに対し
て本発明においては,タンパクの分画はむしろ弊害とな
るため,これを避けるために交流電流が使用される。交
流電流を用いると,極性が変化するためタンパクの分画
が避けられ,かつ,電気分解により生じる生体にとって
有害な物質もかなりの程度まで逆反応により中和され
る。このように,効果的に血液中のタンパクの変性のみ
が生じる。 上記方法においては,いずれも従来の技術の項に記し
たブドウ球菌の菌体そのものを用いたり,該菌体から得
られるプロテインAを用いたりすることがないため,血
液中にこれらの物質が混入して毒性を示す危険性がな
い。菌体などの生物製剤を用いる上記従来の場合におい
ては,その活性を維持しうる条件や製剤の保存期間が確
立されておらず,確実な悪性腫瘍壊死の条件を設定する
ことが難しかったが,本発明によれば,上記不安定な材
料を使用することなく簡便かつ確実に悪性腫瘍の治療が
なされ得る。さらに,従来法の場合では,菌体物質が補
体活性化作用を有するため,全血を使用するとC3a,C5a
などのアナフィラトキシンが生成する。これは生体にと
っては危険であるほか,血小板の活性化なども不可避で
あり,全血から血漿もしくは血清を分離してこれを用い
る必要がある。これに対して本発明では,菌体物質を使
用しないため(抗凝固剤を添加すれば)全血を使用する
ことも可能であり,全血から血漿や血清を分離する繁雑
な操作を必要としない。本発明の方法はその手法が容易
であり,プロテインAのようの高価な試薬が使用されな
いため,悪性腫瘍の治療が安価になされ得る。本法は単
独で,もしくは他の治療方法と組み合わせて(集学的治
療の一環として)悪性腫瘍の治療に効果的に利用され
る。 (実施例) 以下に本発明の実施例につき説明する。 実施例1 体重約3kgの家兎の背部皮下に腫瘍細胞Vx2を移植した
ところ3週間後に背部に3cm×3cmの腫瘍が観察された。
この家兎の耳介静脈から血液を採取し,血清20mlを得
た。この血清を第1図に示す本発明の装置により次のよ
うに処理した。この装置の血液収容容器1は,その内部
が,電極22に対して平行な4枚のセルロース製半透膜に
よって区切られている。血液処理槽11は,厚さ(膜間距
離)が2.0mm,幅が1.5cm,長さ(流路長)が4.0cmであ
る。第1緩衝液槽は,幅(膜間距離)が2.0mm,深さが1.
5cm,長さ(流路長)が4.0cmであり,第2緩衝液槽は,
幅(膜間距離)が3.0mm,深さが1.5cm,長さ(流路長)が
4.0cmである。上記半透膜の厚みは10μmであり,膜孔
は約24Åである。電極22は白金製で,その大きさは1.5c
m×4.0cmである。交流電流発生手段の電源212としては
菊水電子工業(株)製の7034形追従式2出力直流安定化
電源を用い,発振器211としては菊水電子工業(株)製
の459形ファンクションジェネレータを用いた。交流電
流発生手段21からは,上記電流6.0cm2あたり0.5A,30Vの
電流が発生する。第1緩衝液および第2緩衝液として
は,次の表2の組成の緩衝液を使用した。 まず,第1緩衝液および第2緩衝液が,それぞれ第1
緩衝液供給手段102および第2緩衝液供給手段103から冷
却手段101を介して,約4℃に冷却された後,血液収容
容器1の第1緩衝液槽12および第2緩衝液槽13にそれぞ
れ所定の流速で導入された。その流速は,第1緩衝液が
75ml/分であり,第2緩衝液が100ml/分であり,血液収
容容器から出た緩衝液はいずれも緩衝液回収槽104に回
収される。この血液収容容器1に電極22を介して交流電
流発生装置21から交流電流(方形波)を通じながら血清
溶液を血液処理槽11に導入した。血清溶液としては,上
記血清をリン酸緩衝化生理食塩水で1:3に希釈したもの
を用い,これを上記血液処理槽11へ血液供給手段3によ
り25ml/時間の割合で導入した。交流電流は,0.1Hzで約1
5秒間,次いで,0.25Hz,0.50Hz,1.0Hz,2.5Hz,5.0Hz,10.0
Hz,15.0Hzおよび20.0Hzで順次それぞれ5秒間ずつ供給
された。最大電流密度は0.85A/cm2であり,電圧勾配は4
0X/cmであった。 このようにして交流電流を通じた血清は血液処理槽11
を出て,処理血液回収槽110へ回収された。この処理血
液をもとの家兎に静脈注射により投与した。投与後,14
日後に目視観察したところ腫瘍が3.0cm×3.0cmで,腫瘍
の増大が停止しているのが観察された。組織学的には,
腫瘍細胞数の減少と,腫瘍の線維化が見られた。この家
兎は腫瘍移植後120以上生存した。別に,同様の血液処
理を行い,Vx2腫瘍を有する別の家兎に投与したところ,
同様の効果が得られた。この動物では3.0×2.5cmの潰瘍
を形成する腫瘍が処理血清投与後2週間後にはほとんど
消失したが,さらに1ケ月後には再発を来した。 比較例1 実施例1に準じ,家兎から得た血清を希釈して血液試
料を調製し,これを電流を通じることなく第1図の装置
内を通過させた。回収された血清溶液をもとの家兎に投
与したが,腫瘍の縮小は認められなかった。この家兎の
腫瘍移植後の生存日数は43日であった。Vx2腫瘍を有す
る別の家兎に対する投与においても,同様に,腫瘍への
効果は認められなかった。 実施例2 Vx2腫瘍細胞から抽出を行いVx2表面抗原溶液を調製し
た。このVx2表面抗原溶液と実施例1の処理血清溶液の
一部とをゲル内沈降反応させたところ沈降線が形成され
た。 比較例2 実施例1の処理血清溶液の代わりに比較例1の回収血
清溶液を用いて実施例1と同様の反応を行ったところ,
沈降線は形成されなかった。 (発明の効果) 本発明によれば,このように,悪性腫瘍を有する生体
の全血,血漿もしくは血清を交流電流で処理して生体に
投与することにより悪性腫瘍を速やかに壊死・縮小させ
ることができる。このように,簡単な装置を用いて,容
易かつ確実に悪性腫瘍に対する治療がなされうる。
【図面の簡単な説明】 第1図は本発明の装置の一例を示すブロック図である。 1……血液収容容器,2……通電手段,3……血液供給手
段,11……血液処理槽,12……第1緩衝液槽,13……第2
緩衝液槽,21……交流電流発生手段,22……電極,100……
緩衝液供給手段。

Claims (1)

  1. (57)【特許請求の範囲】 1.悪性腫瘍を有する生体から得られた全血,血漿もし
    くは血清に交流電流を通じる工程を包含する悪性腫瘍治
    療剤の製造方法。 2.前記交流電流の周波数が0.05〜100Hzである特許請
    求の範囲第1項に記載の製造方法。 3.前記交流電流の電流密度が0.01〜2A/cm2であり,電
    圧勾配が10〜150V/cmである特許請求の範囲第1項に記
    載の製造方法。 4.前記治療剤が前記生体と同一または同種の生体に対
    する治療剤である特許請求の範囲第1項に記載の製造方
    法。 5.生体からの全血,血漿もしくは血清を収容する血液
    収容容器,該容器を介して該全血,血漿もしくは血清に
    交流電流を通じるための通電手段および該容器に該全
    血,血漿もしくは血清を供給するための血液供給手段を
    有する,悪性腫瘍治療剤の製造用装置。 6.前記通電手段が交流発生手段と1対の電極とを有す
    る特許請求の範囲第5項に記載の装置。 7.前記血液収容容器が,前記1対の電極間に配置され
    た血液処理槽,および該血液処理槽と該電極との間に配
    置された緩衝液槽を有する特許請求の範囲第6項に記載
    の装置。
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