JP2673547C - - Google Patents

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JP2673547C
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【発明の詳細な説明】 【0000】 【発明の属する技術分野】 この発明は、機械的強度が改良されたポリイミドフィルム及びそのポリイミド
フィルムの製造方法に関する。 【0000】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】 ポリイミドは耐熱性、耐寒性、耐薬品性、電気絶縁性、機械的強度などにおい
て優れた特性を有することが知られており、電気絶縁材料、断熱材料、フレキシ
ブルプリント配線板のベースフィルム材料などに広く利用されている。これらの
用途の中で、ポリイミドフィルムの主要な用途であるフレキシブル配線板の用途
においては、長時間にわたり変形させられた状態で使用されたり、繰り返して伸
縮あるいは屈曲させられて使用されることがきわめて多い。したがって、ポリイ ミドフィルムの機械的強度、特にその抗張力,耐屈曲特性は、ポリイミドフィル
ムの品質上きわめて重要である。 【0000】 ところで、ポリイミドフィルムはフレキシブルプリント配線板などに使用され
る場合などのように、銅箔や接着剤などと複層化されて使用されることが多い。
この場合、複層化されたフィルムはその厚さが増すことにより、特に耐繰り返し
屈曲特性の低下が著しいという問題があった。 【0000】 そこで、ポリイミドフィルムが銅箔や接着剤などと複層化されて使用されたと
き、その耐屈曲破壊特性を向上させるため、ベースとなるポリイミドフィルムの
機械的強度を向上させるよう、さらに改良されることが望まれていた。 【0000】 本発明者らはかかる実情に鑑み、これらの技術的課題を解決すべく鋭意研究を
重ねた結果、本発明に至ったのである。 【0000】 ところで、本発明は後述するようにポリイミドに有機りん化合物を含有させる
ものであるが、本出願人が耐熱性合成高分子にりん化合物を添加剤として用いた
先行技術について調査したところ、特開昭57−131249号公報及び特開昭
60−221454号公報を見出した。前者は芳香族ポリアミドイミドに有機ホ
スホナイトを配合したポリアミドイミド樹脂組成物に関し、また後者はポリエー
テルイミドに立体障害のあるフェノール、アリールホスホナイト、有機ホスホナ
イトなどを含有させたポリエーテルイミドに関する技術を開示するものである。
しかし、ポリアミドイミドとポリエーテルイミドはいずれも熱可塑性樹脂であり
、しかも両技術とも溶融時における熱分解を制御することを目的としたものであ
り、本発明の技術的思想を示唆するものはなかった。 【0000】 【課題を解決するための手段】 本発明者らは、ある種の化合物にポリイミドの成形過程を制御する特殊な効果
があることを見出し、これを機械的強度の向上に寄与させるべく検討した結果、 ポリイミドの分子骨格を変えることなく機械的強度を改良することに成功したの
である。 【0000】 本発明に係る改良されたポリイミドの要旨とするところは、有機りん化合物が
含有させられた非熱可塑性のポリイミドから成るフィルムであり、該有機りん化
合物がポリイミドに対して0.5〜5重量%、好ましくは0.7〜1.5重量%
含有させられたポリアミド酸溶液に、脱水閉環剤、および触媒を加えてイミド化
することにより得られたフィルムの膜厚が約50μm以上であることにある。 【0000】 また、かかる改良されたポリイミドフィルムにおいて、前記非熱かおっせいの
ポリイミドが、一般式一般式(A) (式中、R01は4価の有機基である)で表される構造式を有するポリイミド、ま
たは、一般式(B) (式中、R02は4価の有機基、R03は水素原子,ハロゲン基,水酸基,メチル基
およびメトキシ基から選ばれる1種または2種以上の基、n=1,2,3である
) で表される構造式を有する、ポリイミドのいずれか一方又は双方であることにあ る。 【0000】 さらに、かかる改良されたポリイミドフィルムにおいて、前記ポリイミドフィ
ルムの膜厚が約50μm以上、好ましくは75〜130μmであることにある。 【0000】 次に、本発明にかかるポリイミドフィムの製造方法の要旨とするところは、非
熱可塑性のポリイミドに対して、0.5〜5重量%、好ましくは0.7〜1.5
重量%の有機リン化合物、脱水閉環剤、及び触媒を、該ポリイミドの前駆体であ
るポリアミド酸に添加し、フィルム膜厚が約50μm以上になるように製膜を行
なった後、イミド化することにある。 【0000】 また、かかるポリイミドフィルムの製造方法において、有機ジアミンと有機テ
トラカルボン酸二無水物の有機溶媒溶液を反応させてポリアミド酸の有機溶媒溶
液を得て、該ポリアミド酸二無水物の有機溶媒溶液に、有機りん化合物を添加し
た脱水閉環剤、及び触媒を混合させて製膜してイミド化することにある。 【0000】 更に、かかるポリイミドフィルムの製造方法において、有機ジアミン又は有機
テトラカルボン酸二無水物の有機溶媒溶液に有機りん化合物を混合させてポリア
ミド酸を生成した後、脱水閉環剤、及び触媒を混合し、該ポリアミド酸の有機溶
媒溶液を製膜してイミド化することにある。 【0000】 【発明の実施の形態】 次に、本発明の実施例を詳しく説明する。 【0000】 本発明に用いられる非熱可塑性のポリイミドは、有機ジアミンの有機溶媒溶液
と有機テトラカルボン酸二無水物とを反応させて得られるポリイミド前駆体であ
るポリアミド酸の有機溶媒溶液を、加熱あるいは脱水閉環剤により脱水閉環させ
て生成される公知のあらゆるポリイミドを使用し得る。 【0000】 本発明に用いられる有機ジアミンは 一般式(I); H2N−R1−NH2 (I) 又は一般式(II) (式中、Rβは炭素数1〜4のアルキレン基、 である)である)で示される2価の有機基である)で表される有機ジアミン類ま
たはこれらの化合物である。その具体例としては、メタフェニレンジアミン、パ
ラフェニレンジアミン、3,3′−ジメトキシ-4,4′−ジアミノビフェニル、3,3′
−ジクロロ-4,4′−ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノパラターフェニル、4
,4′−ビス(4−アミノフェノキシ)ビフェニル、4,4′- ジアミノオクタフルオロ
ビフェニル、4,4′- ジアミノビフェニル、4,4′−ジアミノジフェニルプロパン
、2,2-ビス〔4-(4- アミノフェノキシ)フェニル〕プロパン、2,2-ビス〔4-(4-
アミノフェノキシ)フェニル〕ヘキサフルオロプロパン、2,2-ビス(4- アミノフ
ェニル)プロパン、2,2-ビス(4- アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2-
ビス(3- ヒドロキシ-4- アミノフェニル)プロパン、2,2-ビス(3- ヒドロキシ-4-
アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、4,4′−ジアミノジフ ェニルメタン、ビス(3- エチル-4- アミノフェニル)メタン、ビス(3- メチル-4-
アミノフェニル)メタン、ビス(3- クロロ-4- アミノフェニル)メタン、ベンジ
ジン、4,4′−ジアミノジフェニルスルホン、3,3′−ジアミノジフェニルスルホ
ン、ビス〔4-(4−アミノフェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(3−アミノ
フェノキシ)フェニル〕スルホン、ビス〔4-(2−アミノフェノキシ)フェニル〕ス
ルホン、1,4-ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3-ビス(4- アミノフェノ
キシ)ベンゼン、1,3-ビス(3- アミノフェノキシ)ベンゼン、1,4-ビス(4- アミノ
フェニル)ベンゼン、2,2′,5,5′- テトラクロロ-4,4′- ジアミノビフェニル、
4,4′- ジアミノジフェニルスルフィド、3,3′- ジアミノジフェニルエーテル、
3,4′- ジアミノジフェニルエーテル、ビス〔4-(4- アミノフェノキシ)フェニル
〕エーテル、4,4′−ジアミノジフェニルエーテル、2,6-ジアミノピリジン、ビ
ス(4−アミノフェニル)ジエチルシラン、ビス(4−アミノフェニル)ジフェニルシ
ラン、3,3′−ジクロロベンジジン、ビス(4−アミノフェニル)エチルホスフイン
オキシド、ビス(4−アミノフェニル)-N-フェニルアミン、ビス(4−アミノフェニ
ル)-N-メチルアミン、1,5-ジアミノナフタレン、3,3′−ジメチル-4,4′−ジア
ミノビフェニル、3,3′−ジメトキシベンジジン、4,4′−メチレンジアニリン、
ジメチルベンジジン、2,4′- ジアミノトルエン、メタフェニレンジアミン、エ
チレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチ
レンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、1,7-ジアミノヘプタン、1,8-ジアミノ
オクタン、1,9-ジアミノノナン、1,10- ジアミノデカン、9,9-ビス(4- アミノフ
ェニル)-10- ヒドロ- アントラセン、オルトトリジンスルホンなどの他、これら
の2種以上の混合物などが挙げられる。更には、3,3′,4,4′−ビフェニルテト
ラアミン、3,3′,4,4′- テトラアミノジフェニルエーテルなどの多価アミン化
合物の一部使用も可能である。 【0000】 それらのうちで特に好ましいものとしてはパラフェニレンジアミン、3,3′−
ジメチル− 4,4′−ジアミノジフェニルまたは 4,4′−ジアミノジフェニルエー
テルが挙げられる。 【0000】 また、本発明に用いられる有機テトラカルボン酸二無水物は一般式(III); (式中、R11およびR12はそれぞれ水素原子またはメチル基である) である) で表される化合物またはそれらの混合物である。その具体例としては、ピロメリ
ット酸二無水物、2,3,6,7-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′
−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、3,3′,4,4′−ベンゾフェノンテトラ
カルボン酸二無水物、ナフタレン−1,2,5,6-テトラカルボン酸二無水物、2,2′,
3,3′−ジフェニルテトラカルボン酸二無水物、2,3,5,6-ピリジンテトラカルボ
ン酸二無水物、2,2-ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、ビス(
3,4- ジカルボキシフェニル)スルホン二無水物、3,4,9,10- ペリレンテトラカル
ボン酸二無水物、ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)エーテル二無水物、1,2,4,5
-ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、1,2,5,8-ナフタレンテトラカルボン酸
二無水物、2,2-ビス(2,3−ジカルボキシフェニル)プロパン二無水物、1,1-ビス(
2,3- ジカルボキシフェニル)エタン二無水物、1,1-ビス(3,4- ジカルボキシ フェニル)エタン二無水物、ビス(2,3- ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、
ビス(3,4- ジカルボキシフェニル)メタン二無水物、ビス(3,4- ジカルボキシフ
ェニル)スルホン二無水物、ベンゼン-1,2,3,4- テトラカルボン酸二無水物、3,4
,3′,4′−ベンゾフェノンテトラカルボン酸二無水物などの他、これらの2種以
上の混合物などが挙げられる。それらのうちでは特にピロメリット酸二無水物ま
たは 3,3′,4,4′−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物が好ましい。 【0000】 本発明に用いられる有機溶媒としては、たとえばN,N-ジメチルホルムアミド、
N,N-ジメチルアセトアミド、N,N-ジエチルホルムアミド、N,N-ジエチルアセトア
ミド、N,N-ジメチルメトキシアセトアミド、ジメチルスルホキシド、ヘキサメチ
ルホスホルアミド、N-メチル-2- ピロリドン、ジメチルスルホンなどのほか、こ
れらの2種以上の混合物、上記溶媒とベンゼン、トルエン、キシレン、ベンゾニ
トリル、ジオキサン、シクロヘキサンなどとを適宜混合させたものなどが挙げら
れる。それらのうちでは、有機ジアミンに対して良好な溶媒であるとともに有機
テトラカルボン酸二無水物及びポリアミド酸に対しても良好な溶媒であることが
必要であることから、特にN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミ
ド、ジメチルスルホキシド、N-メチル-2- ピロリドンまたはこれらの2種以上の
混合物が好ましく、さらに有機極性溶媒がより好ましい。 【0000】 ポリアミド酸及びそのポリアミド酸を転化させて得られるポリイミドは、上述
の有機ジアミンと有機テトラカルボン酸二無水物との組合せにより、種々の構造
式で表されるポリアミド酸及びポリイミドが得られ、いずれも本発明に用いるこ
とができる。特に、ポリイミドとして一般に使用されている、たとえば一般式(
A); (式中、R01は4価の有機基である)で表される構造式を有するポリイミドや、
一般式(B); (式中、R02は4価の有機基、R03は水素原子,ハロゲン基,水酸基,メチル基
およびメトキシ基から選ばれる1種または2種以上の基、n=1,2,3である
)で表される構造式を有するポリイミド、又はこれらポリイミドの混合物につい
ても本発明は好適である。より具体的には、諸特性のバランス面から 4,4′−ジ
アミノジフェニルエーテルとピロメリット酸二無水物とを主成分とするポリイミ
ドが好ましい。 【0000】 本発明に係る改良されたポリイミドを得る方法の一つとしては、まず有機ジア
ミンの有機溶媒溶液に有機テトラカルボン酸二無水物が混合・撹拌されて、ポリ
アミド酸の有機溶媒溶液が生成される。次いで、生成されたポリアミド酸の有機
溶媒溶液に有機りん化合物が添加され、均一に混合撹拌される。その際、有機り
ん化合物をより迅速に且つ一層均一に混合させるため、有機りん化合物を有機溶
媒に溶かして添加するようにしても良い。有機りん化合物が混合させられたポリ
アミド酸の有機溶媒溶液を所定の形状に、たとえばエンドレスベルトの上にフィ
ルム状に流延塗布した後、加熱してポリアミド酸を脱水閉環させてポリイミドに
転化し、有機りん化合物を含有するポリイミドが生成される。 【0000】 有機りん化合物はポリアミド酸やポリイミドに対して安定であり、ポリアミド
酸やポリイミドの分子骨格を変えることはない。有機りん化合物の添加量は、有
機りん化合物の含有量がポリイミドに対して 0.5〜 5重量%、好ましくは 0.7〜 1.5 重量%になるように設定される。有機りん化合物のポリイミドに対する含有
量が 0.5重量%以下では、有機りん化合物を含有させた効果、すなわちポリイミ
ドの機械的強度の改善がほとんどなく、一方、有機りん化合物の含有量が5重量
%を越えるときには、ポリイミドの色調に変化を来し、また残留揮発物質の量の
増大が顕著になるなどの不具合が生ずる。 【0000】 ここで本発明に用いられる有機りん化合物としては、たとえばりん酸トリフェ
ニル、メチルジエチルホスホノアセテート、亜りん酸トリフェニル、りん酸トリ
オクチル、りん酸トリス(2- クロルエチル)、りん酸トリス(2,3- ジブロモプロ
ピル)、りん酸トリス(ブトキシエチル)、亜りん酸トリ-nブチル、ジエチルホス
ホノ酢酸エチル、りん酸トリス(1,3- ジクロロ-2- プロピル)、亜りん酸トリメ
チル、りん酸トリメチル、亜りん酸エチル、ヘキサメチルホスホリックトリアミ
ド、ジ(2- エチルヘキシル)-りん酸、トリメチルホスホノアセテート、りん酸ト
リエチル、りん酸水素ビス(2- エチルヘキシル)、亜りん酸ジラウリルフェニル
、二塩化フェニルフォスフォン酸、亜りん酸トリデシル、フェニルリん酸2ナト
リウム、臭化(4−エトキシベンジル)トリフェニルフォスフォニウム、グリセ
ロりん酸ナトリウム、ジパラトリルフォスフォリック酸ナトリウム塩、フェニル
りん酸2ナトリウム、ジ-p- トリルりん酸カルシウム、フェニルフォスフォン酸
、りん酸トリス(4-tert-ブチルフェニル)、臭化(4- ブトキシベンジル)トリフェ
ニルフォスフォニウム、トリフェニルフォスフィン、りん酸イプロニアジド、3-
フォスフォグリセリン酸バリウム、メチル(トリフェニルフォスフォロアテリテ
ン)アセテート、トリフェニルフォスフィンオキシド、メチルトリフェニルフォ
スフォニウムブロマイド、(エチル)トリフェニルフォスフォニウムブロマイド
、(ブチル)トリフェニルフォスフォニウムブロマイド、2-シアン酸エチルりん
酸バリウム、二りん酸ヒスタミン、ベンヂルトリフェニルフォスフォニウムクロ
ライド、フォスフォノ酢酸、p-ニトロフェニルリん酸二ナトリウム、1-ナフチル
りん酸ナトリウム水和物、ビニルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、ア
デノシン3′,5′−サイクリックモノフォスフェイト、アデノシン5′−モノ
フォスフェイトナトリウム塩、フェニルフォスフォロジクロライド、クレア チンりん酸ナトリウム、ポリりん酸ナトリウム、りん酸水素アンモニウムナトリ
ウム四水和物、りん酸トリクレジル、りん酸尿素オルト、ジフェニルフォスフィ
ン酸、ビス〔4-(メトキシカルボニル)フェニル〕りん酸ナトリウム、2-カルボ
キシエチルフォスフィン酸、りん酸ジフェニル、テトラフェニルフォスフォニウ
ムクロライド、フォスフィン酸ナトリウム水和物、りん酸三カルシウム、ジエチ
ルシアノメチルフォスフォネイト、臭化(3- ブロモプロピル)トリフェニルフォ
スフォニウム、臭化シクロプロピルトリフェニルフォスフォニウム、ビス(ペン
タフルオロフェニル)フェニルフォスフィン、(2-オキソプロピル)フォスフィ
ン酸ジメチル、塩化(クロロメチル)トリフェニルフォスフォニウム、臭化テト
ラ-n- ブチルフォスフォニウム、亜りん酸トリエチル、エチルジクロロフォスフ
ェイト、4-ニトロフェニルフォスフォロジクロリテイト、トリ-n- ブチルフォス
フィン、ヘキサメチル亜りん酸トリアミドなどが挙げられるが、これらに限定さ
れるものではない。更には、これらの化合物を主骨格とし、化学修飾を施した化
合物も可能である。 【0000】 得られた本発明に係る有機りん化合物を含有するポリイミドフィルムについて
、機械的性質を調べたところ大幅に改善されていることが確認された。 【0000】 以上、本発明の一実施例を詳述したが、本発明はその他の態様でも実施し得る
ものである。 【0000】 たとえば上例においては、有機りん化合物を含有させたポリアミド酸を加熱に
よって脱水閉環させ、ポリイミドに転化させていたが、脱水閉環剤又は脱水閉環
剤と触媒とをポリアミド酸の有機溶媒溶液に混合させ、化学的にポリアミド酸を
脱水閉環させても良く、更に加熱を併用しても良い。 脱水閉環剤としては、た
とえば有機カルボン酸無水物、N,N′−ジアルキルカルボジイミド類、低級脂肪
酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸ハロゲン化物、ハロゲン化低級脂肪酸無
水物、アリルホスホン酸ジハロゲン化物などの他、これらの混合物が挙げられる
。それらのうちでは無水酢酸が特に好ましく、そのほか好ましい脱水閉環剤とし てはケテンや安息香酸無水物などが挙げられる。 【0000】 また触媒としては、ピリジン、イソキノリンまたは第三級アミン類が挙げられ
る。その具体例としては、3,4-ルチジン、3,5-ルチジン、4-メチルピリジン、4-
イソプロピルピリジン、N-ジメチルベンジルアミン、4-ベンジルピリジンまたは
4-ジメチルドデシルアミン、ピコリン類、トリエチルアミンなどが挙げられる。
それらのうちではイソキノリンが特に好ましい。 【0000】 上例においては、有機りん化合物を生成されたポリアミド酸の有機溶媒溶液に
混合させていたが、その他、有機りん化合物を有機ジアミンあるいは有機テトラ
カルボン酸二無水物の有機溶媒溶液に混合させておいて、ポリアミド酸を生成す
るようにしても良い。 【0000】 更に、有機りん化合物を脱水閉環剤に混合させておいて、ポリアミド酸に脱水
閉環剤とともに有機りん化合物を混合させるようにすることも可能である。 上述のように種々の態様で有機りん化合物が添加されたポリアミド酸の有機溶
媒溶液は、キャスティングドラムあるいはエンドレスベルトの上にフィルム状に
押出しあるいは流延塗布され、そのドラムあるいはベルト上で脱水閉環させられ
て、ポリイミドに転化される。ポリイミドに転化されたフィルムが少なくとも自
己支持性を備える程度に硬化させられた後、ドラムあるいはベルト上から剥離さ
せられて、ポリイミドフィルムが製造されるのである。 【0000】 有機りん化合物を含有するポリイミドフィルムの膜厚は必要に応じて適宜設定
し得るものであり、特に制限されるものではない。しかし、機械的強度の高めら
れた本発明に係るポリイミドフィルムにあっては、その膜厚が約50μm以上の
厚い膜厚に形成されたフィルムに対してより効果的であり、特に50〜150 μm、
好ましくは75〜130 μmであることが耐屈曲性などの向上の観点から望ましい。 【0000】 【実施例1】 有機ジアミンとして 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を、有機
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物(PMDA)をそれぞ
れ用いてポリアミド酸の有機溶媒溶液を生成した。得られたポリアミド酸溶液に
、有機りん化合物としてりん酸トリフェニルをポリイミドに換算して 1.0重量%
添加した。更に脱水閉環剤として無水酢酸及び触媒としてイソキノリンを混合さ
せた後、そのポリアミド酸の混合溶液を平滑面上にフィルム状に流延塗布し、次
いで、それを100℃の乾燥機内に入れ、10分間保持した。 【0000】 ポリアミド酸を脱水閉環させてポリイミドに転化させるとともに揮発成分を蒸
散させて、ポリイミドの自己支持性フィルムとした後、そのポリイミドフィルム
を平滑面から剥離し、更に得られたポリイミドフィルムの四隅を機械的に固定し
て熱処理を施した。熱処理の条件は300℃の雰囲気下で10分、更に420℃
の雰囲気下で3分保持させるものであった。得られたポリイミドフィルムの膜厚
は約125μmであった。 【0000】 このポリイミドフィルムについて、機械的性質として抗張力及び耐屈曲性を測
定した。測定方法は、抗張力についてはJIS−C2318法、耐屈曲性につい
てはASTMD−2176法によった。また、ポリイミドフィルムの外観を目視
によって色調などを検討した。 【0000】 結果を第1表に示す。 ODA ; 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル PMDA ;ピロメリット酸二無水物 P−PDA;パラフェニレンジアミン BPDA ;ビフェニルテトラカルボン酸二無水物 【0000】 【実施例2】 実施例1と同様の条件でポリイミドフィルムを製造した。但し、ポリアミド酸
溶液にりん酸トリフェニルをポリイミドの重量に換算して 2.0重量%添加した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて抗張力、耐屈曲性及び外観を測定・調査
した結果を第1表に示す。 【0000】 【実施例3】 実施例1と同様の条件でポリイミドフィルムを製造した。但し、ポリアミド酸
溶液にりん酸トリフェニルをポリイミドの重量に換算して 2.0重量%添加した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて抗張力、耐屈曲性及び外観を測定・調査
した結果を第1表に示す。 【比較例1】 実施例1と同様の条件でポリイミドフィルムを製造した。但し、ポリアミド酸
溶液にりん酸トリフェニルを添加せず、有機りん化合物を含有しないポリイミド フィルムを得た。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて抗張力、耐屈曲性及び外観を測定・調査
した結果を第1表に示す。 【0000】 【実施例4】 有機ジアミンとしてパラフェニレンジアミン(P−PDA)を、有機テトラカ
ルボン酸二無水物としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物をそれぞれ用いて
、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を生成した。そのポリアミド酸溶液にりん酸トリ
フェニルをポリイミドに換算して 1.0重量%添加した。その他、実施例1と同様
の条件でポリイミドフィルムを製造した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法で抗張力、耐屈
曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第1表に示す。 【0000】 【実施例5】 有機ジアミンとして 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を、有機
テトラカルボン酸二無水物としてビフェニルテトラカルボン酸二無水物をそれぞ
れ用いて、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を生成した。そのポリアミド酸溶液にり
ん酸トリフェニルをポリイミドに換算して 1.0重量%添加した。その他、実施例
1と同様の条件でポリイミドフィルムを製造した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法で抗張力、耐屈
曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第1表に示す。 【0000】 【実施例6】 有機ジアミンとして 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)とパラフ
ェニレンジアミン(P−PDA)とを重量比でそれぞれ4:1の割合で混合させ
た混合物を、有機テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物(P MDA)をそれぞれ用いて、ポリアミド酸の有機溶媒溶液を生成した。そのポリ
アミド酸溶液にりん酸トリフェニルをポリイミドに換算して 1.0重量%添加した
。その他、実施例1と同様の条件でポリイミドフィルムを製造した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法で抗張力、耐屈
曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第1表に示す。 【0000】 【実施例7】 有機ジアミンとして 4,4′−ジアミノジフェニルエーテル(ODA)を、有機
テトラカルボン酸二無水物としてピロメリット酸二無水物(PMDA)をそれぞ
れ用いてポリアミド酸の有機溶媒溶液を生成した。得られたポリアミド酸溶液に
、有機りん化合物として亜りん酸トリフェニルをポリイミドに換算して 2.0重量
%添加した。以下、実施例1と同様にしてポリイミドフィルムを製造した。得ら
れたポリイミドフィルムの膜厚は実施例1と同様、約125μmであった。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。実施例 8
実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物としてりん酸トリオク
チルをポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフィルムを製造し
た。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。実施例 9
実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物としてりん酸トリス(
ブトキシエチル)をポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフィ
ルムを製造した。 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。 【0000】 【実施例10】 実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物としてジエチルフォス
フォノ酢酸エチルをポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフィ
ルムを製造した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。 【0000】 【実施例11】 実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物として亜りん酸トリメ
チルをポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフィルムを製造し
た。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。 【0000】 【実施例12】 実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物としてりん酸トリメチ
ルをポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフィルムを製造した
。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。 【0000】 【実施例14】 実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物として次亜りん酸エチ
ルをポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフィルムを製造した
。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。 【0000】 【実施例15】 実施例7と同様のポリアミド酸溶液に、有機りん化合物としてトリメチルフォ
スフォノアセテートをポリイミドに換算して 2.0重量%添加して、ポリイミドフ
ィルムを製造した。 【0000】 得られたポリイミドフィルムについて、実施例1と同様の方法により、抗張力
、耐屈曲性及び外観を測定・調査した。その結果を第2表に示す。(以下余白) 【0000】 【発明の効果】 本発明は公知のポリイミドに所定量の有機りん化合物を含有させることにより
、非熱可塑性のポリイミドの機械的性質を大幅に改善することができ、特に、膜
厚が約50μm以上の厚肉のポリイミドフィルムであっても耐屈曲性を大幅に向上 させることができる。 【0000】 また、本発明に係る有機りん化合物を含有するポリイミドにてフィルムを製造
する方法において、複雑な操作や工程を必要としないため、安価に且つ迅速に改
良されたポリイミドフィルムを製造し得ることができるなど、本発明は優れた効
果を奏する。

Claims (1)

  1. 【特許請求の範囲】 【請求項1】 有機りん化合物が含有させられた非熱可塑性のポリイミドから
    成るフィルムであり、該有機りん化合物がポリイミドに対して0.5〜5重量%
    、好ましくは0.7〜1.5重量%含有させられたポリアミド酸溶液に、脱水閉
    環剤、および触媒を加えてイミド化することにより得られたフィルムの膜厚が約
    50μm以上であることを特徴とする改良されたポリイミドフィルム。 【請求項2】 前記非熱可塑性のポリイミドが、一般式(A) (式中、R01は4価の有機基である)で表される構造式を有するポリイミド、ま
    たは、一般式(B) (式中、R02は4価の有機基、R03は水素原子,ハロゲン基,水酸基,メチル基
    およびメトキシ基から選ばれる1種または2種以上の基、n=1,2,3である
    ) で表される構造式を有する、ポリイミドのいずれか一方又は双方であることを特
    徴とする改良されたポリイミドフィルム。 【請求項3】 前記ポリイミドフィルムの膜厚が約50μm以上、好ましく は75〜130μmであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載する改
    良されたポリイミド。 【請求項4】 非熱可塑性のポリイミドに対して、0.5〜5重量%、好まし
    くは0.7〜1.5重量%の有機リン化合物、脱水閉環剤、及び触媒を、該ポリ
    イミドの前駆体であるポリアミド酸に添加し、フィルム膜厚が約50μm以上に
    なるように製膜を行なった後、イミド化することを特徴とするポリイミドフィル
    ムの製造方法。 【請求項5】 有機ジアミンと有機テトラカルボン酸二無水物の有機溶媒溶液
    を反応させてポリアミド酸の有機溶媒溶液を得て、該ポリアミド酸二無水物の有
    機溶媒溶液に、有機りん化合物を添加した脱水閉環剤、及び触媒を混合させて製
    膜してイミド化することを特徴とする請求項第4項に記載するポリイミドフィル
    ムの製造方法。 【請求項6】 有機ジアミン又は有機テトラカルボン酸二無水物の有機溶媒溶
    液に有機りん化合物を混合させてポリアミド酸を生成した後、脱水閉環剤、及び
    触媒を混合し、該ポリアミド酸の有機溶媒溶液を製膜してイミド化することを特
    徴とする請求項第4項に記載するポリイミドフィルムの製造方法。

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