JP2673537B2 - 眼部処置物質自己投与装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） 本発明は、目に対する液体処置物質の自己投与（self
−application）を容易にするための装置及び方法、特
に、眼部処置または治療物質の自己投与を簡単かつ容易
に行なうことができるように、視線（line of sight）
の向きを変えることができる装置に関する。

（従来の技術及び発明が解決しようとする課題） 年輩者になると、眼部処置（ocular treatment）を受
ける機会が多くなる。一般に、年輩者は、近視力が劣
り、振せん（tremor）や指関節炎（finger arthritis）
にかかるようになる傾向がある。従って、液体薬物を年
輩者の目に投与する必要があるときには、カス・スタデ
ィ（KASS study）に従って全患者の70％に対して、第三
者がこれを投与しなければならない。従って、薬物の定
期的な処置により目の疾患を治療することが重要である
にも拘らず、かかる処置を受ける割合がむしろ低くなる
ことが往々にしてある。

眼部薬物の自己投与は、患者が液体薬物の液滴を正確
かつ慎重に目に入れなければならないので、一般に困難
であり、適正な投与を行なうことができない。主な欠点
として、鏡で見る場合には、目薬を投与することができ
る場所が目の最も敏感な部分である角膜の近傍だけであ
るということがある。別の欠点として、目薬を角膜の近
傍に投与したときに、目薬が涙腺を介して素早く除去さ
れるので、薬効を期待することができないということが
ある。

このような、従来の眼部処置の問題点を除去には、投
与された薬物が目の中に留まり、かつ、投与が患者にと
って不必要に不快とならないように、眼部処置物質を投
与することが望ましい。

（課題を解決するための手段） 概略的に述べると、本発明によれば、眼部自己処置を
簡素化しかつ容易にする眼部自己処置装置が提供されて
いる。装置は、患者に装着されるフレームを備えてい
る。フレームは、１つまたは２つの光偏向装置を支持し
ている。これらの装置が、患者の視軸（visual axis）
を偏向する。フレームは更に、眼部処置物質（ocular t
reat−ment material）用の１つまたは２つのディスペ
ンサを支持している。

患者が目を上方へ動かすと、光偏向装置により患者は
眼部の下部領域を観察することができる。次いで、患者
は、下まぶたを裏返すことにより、結膜円蓋（conjunct
ival cul−de−sac）に処置物質を投与することができ
る。

かくして、本発明の眼部自己処置装置は、フレーム
と、該フレームに配置され使用者が前記装置を使用する
ときに目を上方へ向けることができるように目から鏡に
延びる目の視軸を偏向する偏向手段と、眼部処置物質を
収容しかつ該眼部処置物質を眼部領域に供給するように
フレームに支持されたディスペンサ手段とを備えること
を特徴とする構成に係る。

本発明の好ましい実施例においては、前記偏向手段
は、少なくとも１つのプリズムを備えている。

更に、本発明の好ましい実施例においては、眼部処置
物質を投与することが所望される眼部の領域を照らす光
手段を備えている。

従って、本発明の目的は、眼部処置薬物の自己投与に
行なうための改良された眼部装置を提供することにあ
る。

本発明の別の目的は、患者が振せんにかかっている場
合でも患者が眼部処置物質を自己投与することができ
る、改良された眼部自己処置装置を提供することにあ
る。

本発明の別の目的は、液体眼部処置物質を劣化した結
膜円蓋に投与することができる、改良された眼部自己投
与装置を提供することにある。

本発明の更に別の目的は、使用者が、目を傷付けるお
それなく、眼部処置薬物の投与を観察することができ
る、改良された眼部自己処置装置を提供することにあ
る。

本発明の更に別の目的と利点は、ある部分は自明であ
り、ある部分は明細書及び図面の記載から明らかになる
ものである。

従って、本発明は、以下の記載に例示されている構成
の特徴、素子の組合せ及び部材の配置からなるものであ
り、本発明の範囲は特許請求の範囲の記載により定めら
れるものである。

（実施例） 第１図は、患者の目の瞳20と鏡30との間での患者の視
線Ａにおける適宜の角偏向（angular deviation）に関
する、プリズム10を介在させることによる視線（visual
beam）の偏向即ち屈折を示す。視線を偏向させること
により、第１図に示すように、患者は劣化した結膜円蓋
40の領域を直接観察することができる。円蓋領域は、下
まぶた45を裏返す前に眼球を上方へ動かすと、露出す
る。プリズム10を利用して光線を偏向させることによ
り、患者は、下まぶた45を適正にめくって円蓋40が露出
したことを確認することができるとともに、薬物が円蓋
40へ流れたことを確認することができる。

第２図に関して説明すると、本発明の好ましい実施例
に従って構成された眼部自己処理装置を装着した患者
は、全体が、参照番号35で図示されている。装置35は、
全体が参照番号50で図示されている支持フレームを備え
ている。支持フレーム50は、一対のテンプルロッド（te
mple rod）52を有している。図には、一方のテンプルロ
ッドだけが示されている。各テンプルロッドは、装置35
を支持しかつ安定にするための耳フード（ear hood）45
を有している。フレーム50は更に、患者の鼻にフレーム
を載置しかつ安定させるブリッジ56を備えている。視線
を偏向させかつ、患者が結膜円蓋40を観察することがで
きるようにするため、フレーム50は、 一対のプリズムレンズ（prismatic lens）60を支持し
ている。図には、一方のプリズムレンズだけが示されて
いる。プリズムレンズ60とフレーム50は、一体となっ
て、一対のプリズム眼鏡を形成している。

眼部処置物質が、第２及び３図において全体が参照番
号70で示されているディスペンサに収容されている。よ
り詳細に云うと、眼部処置物質は、ディスペンサの溜め
72に入れられている。溜め72に収容されている物質は、
ノズル74を介して目に投与される。テンプルロッド52の
いずれか一方または双方は、ディスペンサ70をフレーム
50に取外し自在に取付けるための半円筒形のディスペン
サ支持トレイ58を支持している。

患者が結膜円蓋領域40を観察するのを容易にするため
に、ディスペンサ70は更に、光源80と、光線を方向づけ
る照明用光指向チップ82を備えている。照明チップ82
は、ノズル74と略平行になるように配向されている。第
２図に示すように、 ディスペンサ70は、ノズル74と照明チップ82の双方が
劣化した結膜円蓋40の方へに向くように、半円筒形トレ
イ58に取付けられている。

眼部処置物質は、重力による滴下のような適宜の方法
によってディスペンサ70から結膜円蓋40に供給される。
好ましい実施例においては、眼部処置物質を給送する適
宜のバルブが装着された加圧容器とすることができる。
あるいは、ディスペンサ70には、眼部処置物質を給送す
るためのマイクロポンプを装着することができる。ノズ
ル74は、固定することも、調節自在とすることもでき
る。

第４図は、本発明の別の好ましい実施例を示すもの
で、接頭に１を付してある同じ参照番号は、同様な素子
を示すのに使用されている。従って、第４図に示す実施
例は、全体が150で示されるフレームを備えている。フ
レーム150は、一対のテンプルロッド152とブリッジ156
とを備え、患者の頭部に眼部自己処置装置135を支持す
るようになっている。装置135には、プリズムレンズ160
が装備されている。

この実施例では、眼部自己処置物質ディスペンサ70
は、テンプルロッド152には取着されていない。その代
りに、ディスペンサ支持体158が各プリズムレンズ160の
下に配置されている。各ディスペンサ支持体158には、
スロット159が設けられている。ディスペンサ70がディ
スペンサ支持体158内に挿入されると、ノズル74と照明
チップ82は、スロット159を介して突出する。このよう
にして、ノズル74と照明チップ82は、劣化した結膜円蓋
に指向される。

従って、本発明は、眼部処置物質の自己投与を容易に
する装置を提供することができる。本発明に従って構成
される装置は、プリズムのような適宜の偏向装置を使用
することにより視線を偏向することができる。視線を偏
向することにより、 患者は、角膜領域の下の目の部分を観察することがで
きる。特に、患者は、劣化した結膜円蓋、即ち、低感度
の領域を観察することができる。円蓋は、１滴または２
滴の眼部処理流体をこぼすことなく受けることができ
る。この領域は、涙の入れ換わり（turn−over）が少な
いので、この領域に入った薬物は、該薬物が目の他の領
域に投与された場合よりもゆっくりとした速度で排出さ
れる。従って、薬物の効果が増大する。

本発明の装置を使用して眼部処置物質を自己投与する
場合、使用者は、ブリッジを自分の鼻に載せ、更に耳フ
ック54を耳の周囲に掛けることができる。これにより、
使用者が上方を向いて眼体の下部領域を観察することが
できるように、プリズム60または160を配置することが
できる。次に、使用者は、指を使って下まぶた45を裏返
し、円蓋40を露出させる。次いで、薬物を円蓋40に供給
する。

（効果） 以上のように、本発明の眼部処置物質自己投与装置に
おいては、偏向手段は、目から鏡に延びる目の視軸を偏
向させて使用者が本装置を使用するときに目を上方へ向
けることができるようにフレームに配置されているの
で、本装置の使用者は、視軸のラインを目の結膜円蓋へ
向けて曲げる偏向手段において見上げることにより、め
くり返された円蓋を見ることができる。従って、本発明
の装置は、眼部処置薬物の自己投与を簡単かつ容易に、
しかも安全に行なうことができる。更に、本発明の装置
は、患者が、例えば、振せんにかかっている場合でも、
容易に眼部処置物質を自己投与することができるので、
年輩者にも容易に適用することができる。

従って、本発明の上記目的が有効に達成され達成され
ることは、上記説明から明らかである。また、本発明の
精神と範囲とから逸脱することなく上記構成に変更を加
えることができるので、上記記載は全て単なる例示であ
って、何ら限定的な意味に解されるべきではない。

特許請求の範囲は、本発明のあらゆる特徴及び言語上
の問題として脱落しているかもしれない本発明の範囲の
全ての事項を包含するものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の動作を示す概略図、第２図は本発明の
好ましい実施例に従って構成された眼部自己処置装置を
装着した患者を示す概略図、第３図は本発明の好ましい
実施例に従って構成された眼部処置物質用の容器を示す
斜視図、第４図は本発明の別の実施例に従って構成され
た眼部自己処置装置を示す斜視図である。 10……プリズム 20……瞳 30……鏡 35……眼部自己処置装置 40……結膜円蓋 45……下まぶた 50……支持フレーム 52……テンプルロッド 54……耳フード 56……ブリッジ 58……支持トレイ 60……プリズムレンズ 70……ディスペンサ 72……溜め 74……ノズル 135……眼部自己処置装置 150……フレーム 152……テンプルロッド 156……ブリッジ 158……ディスペンサ支持体 159……スロット 160……プリズムレンズ

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】眼部処置物質自己投与装置であって、フレ
   ームと、該フレームに配置され使用者が前記装置を使用
   するときに目を上方へ向けることができるように目から
   鏡に延びる目の視軸を偏向する偏向手段と、眼部処置物
   質を収容しかつ該眼部処置物質を眼部領域に供給するよ
   うにフレームに支持されたディスペンサ手段とを備える
   ことを特徴とする眼部処置物質自己投与装置。
2. 【請求項２】前記偏向手段は、少なくとも１つのプリズ
   ムを備える請求項１記載の装置。
3. 【請求項３】眼部処置物質を投与することが所望される
   眼部の領域を照らす光手段を備える請求項１記載の装
   置。