JP2673223B2 - 湖、溜池等の除塵方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 （産業上の利用分野） この発明は、湖、遊水池兼農業用溜池等の流入塵芥な
どの除塵方法に関するものである。

（従来の技術） 最近、溜池等特に都市近郊の溜池には、上流の粗ごみ
・発泡スチロール片などごみ類のすべてが流れ込み、ま
た、流入水の質が悪化しており、溜池がごみ溜と化し、
周辺環境に多くの悪影響を与えるばかりでなく、悪臭発
生など居住環境を害する等の問題がある。

そこで、従来水路に設置されている除塵機を、水路の
途中又は溜池入口等に設けることが考えられる。

（発明が解決しようとする課題） ところで、都市近郊の溜池は、上下流の洪水防禦用調
整池としての機能を持っているため、上流水路の途中及
び池への水流入口に除塵設備を設けると、大雨時には多
量のごみ類が一度に堆積し、除塵作業がごみ堆積量に追
従できず、除塵部が閉塞状態に近づくと、上流の水位が
上昇し、水路から水が溢れて民家が侵水する恐れがあ
る。

したがって、溜池への流入水路に除塵設備を設けるこ
とができず、溜池の除塵が問題となっている。

この発明は、上述のような実状に鑑みてなされたもの
で、溜池等の機能を損ねることなくごみ類を除去し周辺
環境の保全を行ないうる除塵方法を提案することを目的
としている。

（課題を解決するための手段） この発明では、上記目的を達成するために、次の技術
的手段を講じた。

すなわち、この発明にかかる方法は、水路からの流入
水を一旦湖、溜池等内に導びいた後、池内に設置された
除塵機と流入水入口との間に浮遊するごみ類を、板或い
は網場等により拡散しないように集積し、水は池内下部
を流通させ、集積した浮遊ごみ類は池内に設置した除塵
設備により除去することを特徴としている。

（作用） この発明によれば、水路からの流入水は、水路の途中
又は池流入口において除塵されることなく、直接溜池等
内に流入した後、池内に設置した除塵設備により浮遊す
るごみ類が除去される。そして、流入水の大半は、池の
下部を通って流通するので、溜池等の洪水防禦機能を損
ねることがなく、上流水路の水位が異常に上昇して侵水
することはない。

（実施例） 以下、この発明の実施例を図面に基づいて説明する。

第１図及び第２図はこの発明の第１実施例を示し、
（１）は遊水池兼農業用溜池、（２）は流入水路、
（３）は溜池（１）内に設置された除塵設備である。

この除塵設備（３）は、掻上式のロータリーレーキ
（４）を備えた除塵機（５）と、浮遊ごみ掻寄せ機
（６）とからなっており、流入水入口（７）と除塵機
（５）との間の下部は全長にわたって両側が通水路
（８）とせられ、流入水路（２）からの流入水が自由に
流通するようになっている。

除塵機（５）の下流側にはバースクリーン（９）が設
けられ、該スクリーン（９）に沿って、ごみ類がロータ
リーレーキ（４）により掻き上げられ、上方のコンテナ
（10）に投入されるようになっている。

浮遊ごみ掻寄せ機（６）は、ガイド支柱（11）に沿っ
て、水位に追従して上下動するフロート（12）（13）
と、該フロート（12）（13）間に架設された左右側板
（14）及び整流板（15）と、左右側板（14）間に装着さ
れた左右一対の無端状チエン（16）と、左右チエン（1
6）間に架設された掻寄せレーキ（17）とにより構成さ
れており、整流板（15）の下側が通水路とせられてい
る。

上記第１実施例において、流入水路（２）から溜池
（１）の流入水入口（７）に流水した水は、整流板（1
5）は下方の通水路を抵抗なく通過して池（１）内に入
り、流入水路（２）の流水に抵抗を与えることがなく、
流入水路（２）の水位が異常に上昇することがない。他
方、流入水によって運ばれてきたごみ類は、池（１）内
の除塵機（５）の前面水面に浮遊集積せられ、除塵機
（５）により掻き上げられると共に、適宜掻寄せ機
（６）により除塵機（５）に掻き寄せられる。

このようにして、流入水路（２）の上流水は、円滑に
溜池（１）内に流入し、上流水位が上昇して溢流し浸水
を生起せしめることはなく、溜池（１）の洪水防禦機能
を十分に発揮せしめることができる。

第３図〜第５図は、この発明の第２実施例を示し、溜
池（１）内には、暗渠通水路（18）を備えた防塵堤（1
9）が両岸（20）（21）にまたがって設置され、一方の
岸壁（20）との間に除塵機（22）が設置されている。そ
して、前記通水路（18）には、ごろ石（23）が投入さ
れ、ごみ類が通水路（18）をくぐって池（１）内に流入
するのを防止している。

除塵機（22）の両側と流入水入口（７）両側との間に
網端（24）（25）が張設され、両網端（24）（25）内の
浮遊ごみ類が、掻寄せ機等により除塵機（22）に掻き集
められるようになっている。

なお、除塵機（22）は、第１実施例と同じロータリー
レーキ式であってもよいが、他の形式のものをも採用す
ることができ、掻寄せ機も第１実施例の掻寄せレーキを
備えたもの、あるいはその他の形式のものとすることが
できる。

この第２実施例においても、溜池（１）の流入水入口
（７）には、上流水が円滑に流入し、池（１）内におい
て暗渠通水路（18）を通って流れ込み、洪水防禦機能を
発揮し、他方、ごみ類は池（１）内において収集除去さ
れる。

なお、この発明における池（１）内下部の通水路構成
及び除塵設備は、上記実施例に限定されるものではな
く、例えば、ごみ類を岸壁側に寄せて除去することがで
きる。

（発明の効果） この発明にかかる湖、溜池等の除塵方法は、上述のよ
うに、水路からの流入水を、一旦池内に導びいた後、池
内下部を流通させ、浮遊するごみ類を池中に拡散しない
ように集積して、池内に設置した除塵設備により除去す
るものであるから、溜池等の洪水防禦機能を損ねること
なく、ごみ類を除去し、周辺環境を保全しうると共に、
流入水路上流における民家侵水を無くすることができ
る。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の第１実施例を示す平面図、第２図は
除塵設備の１例を示す縦断側面図、第３図はこの発明の
第２実施例を示す平面図、第４図は第３図のＡ−Ａ線断
面拡大図、第５図は第４図のＢ−Ｂ線断面図である。 （１）……溜池、（２）……流水水路、（３）……除塵
設備、（５）……除塵機、（７）……流入水入口、
（８）……通水路、（14）……側板、（15）……整流
板、（18）……通水路、（22）……除塵機、（24），
（25）……網場。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】水路からの流入水を、一旦湖、溜池等内に
   導いた後、池内に設置された除塵聞と流入水入口との間
   に浮遊するごみ類を、板或いは網場等により拡散しない
   ように集積し、水は池内下部を流通させ、集積した浮遊
   ごみ類は池内に設置した除塵設備により除去することを
   特徴とする湖、溜池等の除塵方法。