JP2672649B2 - 一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気タービン - Google Patents

一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気タービン

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Description

【発明の詳細な説明】 [発明の目的] (産業上の利用分野) 本発明は、ガスタービン、蒸気タービンおよび発電機
を同軸に接続した大容量の一軸型コンバインドサイクル
における蒸気タービンに関する。
(従来の技術) 近年、火力発電所としては化石燃料の節約および経済
性の向上を目的として、ガスタービン、排熱回収ボイ
ラ、蒸気タービンおよび発電機を組合わせたコンバイン
ドサイクルの需要が高まってきている。
中でも、ガスタービン、蒸気タービンおよび発電機を
同軸に接続した一軸型コンバインドサイクルは発電機が
1台で済み、しかも軸系の起動、監視が簡素化されると
いうメリットを有しているところから多用される傾向に
ある。
第2図は従来のコンバインドサイクルプラントの一例
を示すもので、コンプレッサ1およびガスタービン2
と、発電機3と、蒸気タービン4とは各ロータが共通の
一軸上に位置するように配置され、ガスタービン2と発
電機3の間はリジットカップリング5で連結され、また
発電機3と蒸気タービン4との間はダイアフラムカップ
リング6で連結されている。ガスタービンの軸はガスタ
ービン用スラスト軸受7で支持され、蒸気タービンの軸
は蒸気タービン用スラスト軸受8で支持されている。ま
た、蒸気タービン4は固定用基礎9上に固定されてい
る。
上記コンバインドサイクルにおける上記タービン4は
非再熱シングルフロータイプであり、出力は50MW程度で
あるため、他の軸系との接続にダイアフラムカップリン
グを使用することが可能である。
そこで、第2図に示したように、発電機3をガスター
ビン2と蒸気タービン4との間に置き、それらの軸の間
をリジッドカップリング5およびダイアフラムカップリ
ング6で接続することが可能であった。
また、蒸気タービン4は一車室であり、その低圧側で
固定用基礎9に固定されているため、蒸気タービン用の
スラスト軸受8はケーシングの基礎固定点からの熱膨脹
による伸び量分だけ発電機3側に移動し、ロータは蒸気
タービン用スラスト軸受8を起点として伸びるため、第
3図(a)に示すように、高圧部でのケーシングとロー
タの伸び差が小さく、良好な性能を発揮させることがで
きる。
(発明が解決しようとする課題) 以上説明したように、従来のコンバインドサイクルは
蒸気タービンの出力が50MW程度と比較的小さいため、ダ
イアフラムカップリング6を使用することができ、ガス
タービンと軸系を切離す(ロータの伸びをダイアフラム
カップリング6で吸収)することによってスラスト軸受
7,8を2個設置することができた。
しかしながら、ガスタービン、蒸気タービンの出力を
大容量化すると、それらの出力を伝達するためのダイア
フラムカップリングは非常に大きなものとなってしま
い、実用に供し得ない。
このため、各軸系をリジッドカップリングで接続せざ
るを得ないが、その場合には、スラスト軸受は軸系全体
で一個所にしか設置することができない。そこで、第2
図のようにコンプレッサ1、ガスタービン2、発電機
3、蒸気タービン4の配置にすると、スラスト軸受から
遠くなるほど間隙を広くする必要があるため、コンプレ
ッサ・ガスタービンまたは蒸気タービンのどちらか、ア
クシャル間隙を広くした方の性能が著しく低下するとい
う欠点がある。
また、蒸気タービン出力の大容量化に伴い、蒸気ター
ビンサイクルとしては、再熱サイクル、主蒸気および再
熱蒸気温度を高温にした方が熱効率をより上昇させるこ
とができるが、その場合にはロータが2本以上(高温部
および低温部)必要となり、車室も2室以上の構成とな
る。
このような一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気
タービンのアクシャル方向の間隙は、スラスト軸受の位
置、蒸気タービンの基礎との固定方法によって変化する
が、従来は、最適方法が確立されているとは言えなかっ
た。
本発明は上記課題を解決するためになされたもので、
構造強度に優れ、アクシャル間隙を最適に保つことがで
きる大容量の一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気
タービンを提供することを目的とするものである。
[発明の構成] (課題を解決するための手段) 本発明は、ガスタービン、蒸気タービンおよび発電機
をリジッドカップリングにて連結し、ロータを1個のス
ラスト軸受にて支持した一軸型コンバインドサイクルに
おいて、高圧または中高圧蒸気タービンのケーシングを
前記スラスト軸受の近傍端で共通の基礎台に固定し、こ
の基礎台を基点として生じる高圧または中高圧蒸気ター
ビンロータと前記高圧または中高圧蒸気タービンのケー
シングとの熱膨張差によるアクシャル間隙を小さくする
とともに、低圧蒸気タービンのケーシングを前記高圧ま
たは中高圧蒸気タービンのケーシングとは独立に別の基
礎に固定し、前記スラスト軸受はガスタービンと高圧ま
たは中高圧蒸気タービンの間に配設されて成ることを特
徴とするものである。
(作用) 上述のような構成のコンバインドサイクルにおいて
は、アクシャル間隙が性能を大きく左右する高圧または
中高圧蒸気タービンをスラスト軸受になるべく近い位置
に配置しているので、それらのケーシングとロータの熱
膨脹差を小さく抑えることができ、アクシャル間隔を小
さくすることができる。
また、低圧蒸気タービンのケーシングに無理な力が加
わることを防止できる。
(実施例) 次に、第1図を参照しながら本発明の実施例を説明す
る。なお、第1図において、第2図におけると同一部分
には同一符号を付し、重複する部分の説明は省略する。
第1図は本発明にかかる一軸型コンバインドサイクル
の機器構成を例示するもので、蒸気タービンとしては、
高圧または中高圧(以下、HIPという)蒸気タービン11
と低圧(以下、LPという)蒸気タービン12の2車室構成
のものが使用されており、これらの蒸気タービンはガス
タービン2、コンプレッサ1、および発電機3と一軸型
に配列、連結されている。
HIP蒸気タービン11のロータR2の一端近傍はスラスト
軸受13によって支持されている。
HIP蒸気タービン11のケーシングは、スラスト軸受13
側の一端近傍を、スラスト軸受13とともに、コンプレッ
サ1とHIP蒸気タービン11との間に配置した基礎台14に
固定されている。
LP蒸気タービン12のケーシングは前記HIP蒸気タービ
ン11のケーシングとは独立して、固定用基礎15に固定さ
れている。また、HIP蒸気タービン11とLP蒸気タービン1
2との間には、それらのケーシングの非固定端側をスラ
イドさせるための基礎台16が設置されている。
ガスタービン2およびコンプレッサ1のロータR1とHI
P蒸気タービン11のロータR2との間は大容量の出力を伝
達できるリジッドカップリング5aで連結されている。ま
た、HIP蒸気タービン11のロータR2とLP蒸気タービン12
のロータR3との間、およびLP蒸気タービン12のロータR3
と発電機3のロータR4との間もそれぞれ同様にリジッド
カップリング5b、5cで連結されている。
上述のような構成のコンバインドサイクルにおいて
は、アクシャル間隙が性能が大きく左右するコンプレッ
サ1とHIP蒸気タービン11とをスラスト軸受13になるべ
く近い位置に配置しているので、それらのケーシングと
ロータの熱膨脹差を小さく抑えることができ、アクシャ
ル間隙を小さくすることができる。
第1図の場合、スラスト軸受13は軸系として一箇所に
しか設置されていないため、ガスタービン2とコンプレ
ッサ1のケーシングの伸びや、HIP蒸気タービン11ある
いはLP蒸気タービン12のケーシングの伸びによって軸方
向に移動すると、アクシャル方向の間隙が大きくなって
しまい、性能低下の原因となるので、本発明においては
ガスタービン2・コンプレッサ1のケーシングと、蒸気
タービンのケーシングとの縁を切り、HIP蒸気タービン1
1のケーシングの一端を基礎台14に固定している。
従来、2車室以上を有する蒸気タービンにおいては、
溶接構造のLP蒸気タービンのケーシングを基礎に固定
し、鋳鋼製で剛性の高いHIP蒸気タービンのケーシング
を熱膨脹に応じて基礎台上をスライドさせる構成が採用
されているが、これを第1図のような軸系のコンバイン
ドサイクルに適用すると、第3図(b)に示すような伸
び差が生じることになる。この場合の伸び差はかなり大
きく、それに応じてアクシャル間隙を大きくする必要が
あるため、蒸気タービンの性能低下の要因となる。
また、スラスト軸受13に近い点でHIP蒸気タービン11
のケーシングを固定し、LP蒸気タービン12のケーシング
を押す構造にすると、伸び差は第3図(c)のようにな
り、蒸気タービン全体の伸び差は小さくなるが、溶接構
造のLP蒸気タービンケーシングがHIP蒸気タービンケー
シングの伸び量分だけ移動するため、変形が起きやすく
なり、構造強度上の問題を招来することになる。
一方、蒸気タービンの低圧部は各段落における前後の
圧力差が高圧部に比べて小さいので、アクシャル間隙の
大小による性能の影響は少ない。
そこで、本発明においては、スラスト軸受13とHIP蒸
気タービン11のケーシングを共通の基礎台14に固定し、
LP蒸気タービン12のケーシングはHIP蒸気タービンとは
独立に基礎に固定し、HIP蒸気タービンおよびLP蒸気タ
ービンの熱膨脹によるケーシングの伸び量をそれらの間
の基礎台16上を滑らせることによって吸収し、各ケーシ
ングに熱膨脹による荷重が掛からない構造とした。
その結果、本発明の蒸気タービン内の伸び差は第3図
(d)のようになり、HIP部での伸び差が小さいので、
アクシャル間隙を狭くでき、HIP部で良好な特性が得ら
れる。なお、この場合、LP部の伸び差は第3図(d)の
ように大きくなり、アクシャル間隔も広がるが、前述の
ようにLP部の各段落における圧力差は小さいので、アク
シャル間隙が広くなっても性能にはさほど大きくは影響
しない。
[発明の効果] 上述したごとく、本発明によれば、ダイアフラムカッ
プリングが使用できないような一軸型コンバインドサイ
クルの蒸気タービンにおいて、再熱サイクル、高温主蒸
気/再熱蒸気の蒸気条件をカバーするために2車室以上
の構成とした場合、熱膨脹による伸び差をHIP部側で小
さく押えることができるので、アクシャル間隙を狭くす
ることによってHIP蒸気タービンの効率を高く保つこと
ができ、またLP部側の強度低下を防止することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明に係わる大容量コンバインドサイクルの
機器構成と蒸気タービンの固定方法を示す概略図、第2
図は従来のコンバインドサイクルの機器構成と蒸気ター
ビンの固定方法を示す概略図、第3図は蒸気タービンに
おける熱膨脹によるロータとケーシングの伸びおよびそ
れらの伸び差を示すもので、同図(a)はダイアフラム
カップリングが使用可能な出力容量の蒸気タービンの場
合、同図(b)は大容量コンバインドサイクルの蒸気タ
ービンにおいてLP蒸気タービンのケーシングのみを基礎
に固定した場合、同図(c)はHIP蒸気タービンのケー
シングのスラスト軸受のみを固定した場合、同図(d)
は本発明による場合をそれぞれ示している。 1……コンプレッサ 2……ガスタービン 3……発電機 4……蒸気タービン 5……リジッドカップリング 6……ダイアフラムカップリング 7、8、13……スラスト軸受 9、15……固定用基礎 11……HIP蒸気タービン 12……LP蒸気タービン 14、16……基礎台

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ガスタービン、蒸気タービンおよび発電機
    をリジッドカップリングにて連結し、ロータを1個のス
    ラスト軸受にて支持した一軸型コンバインドサイクルに
    おいて、高圧または中高圧蒸気タービンのケーシングを
    前記スラスト軸受の近傍端で共通の基礎台に固定し、こ
    の基礎台を基点として生じる高圧または中高圧蒸気ター
    ビンロータと前記高圧または中高圧蒸気タービンのケー
    シングとの熱膨張差によるアクシャル間隙を小さくする
    とともに、低圧蒸気タービンのケーシングを前記高圧ま
    たは中高圧蒸気タービンのケーシングとは独立に別の基
    礎に固定し、前記スラスト軸受はガスタービンと高圧ま
    たは中高圧蒸気タービンの間に配設されて成ることを特
    徴とする一軸型コンバインドサイクルにおける蒸気ター
    ビン。
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