JP2672186B2 - 路車間通信機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔概要〕 本発明はデータ更新記憶部のデータが更新されたとき
を基準として移動距離センサーからの信号に基づいて走
行距離を求め、該走行距離が所定距離になったとき前記
データ更新記憶部の記憶データをクリアするデータクリ
ア部を備える路車間通信機であって、電波の異常に対し
て正常動作を確保することができる。

〔産業上の利用分野〕

本発明は移動体、例えば走行車の現在位置を移動体外
の路上装置から送信される絶対的な位置データで修正す
る路車間通信機に関する。

〔従来の技術〕

第８図は従来の路車間通信機を示す模式図である。一
般に、路車間通信機においては、走行車20の現在位置に
関連したデータを検知するセンサーとして、車速センサ
ー等の移動距離センサー７や地磁気センサー等の方位セ
ンサー８が、走行車20の内部に設けられている。上記移
動距離センサー７は、走行車における単位時間内の車輪
の回転数、すなわち走行速度を検知しこの走行速度に比
例した数の車速パルスを発生する。さらに、これらの車
速パルスを走行中にカウントして得られる移動距離を、
移動距離データ信号として出力する。また、方位センサ
ー８は、磁北に対する走行車20の方位を検知して方位デ
ータ信号として出力する。これらの移動距離データ信号
および方位データ信号は、まとめて現在位置演算部４に
入力される。なお、この現在位置演算部４は、通常、マ
イコン等のCPUにより実現され、上記移動距離データ信
号および方位データ信号をもとにそれぞれ走行車の移動
距離および方位を求めて予めマニュアル操作で入力した
走行開始時の位置と比較することにより走行車の現在位
置を算出する。さらに、この算出された現在位置を、CR
T等の表示部10の地図上にカーソル等により表示するこ
とによりロケーションが行われる。上記のロケーション
は、外部からの位置情報を一切利用せずに走行車内の移
動距離センサー７や方位センサー８のみにより現在位置
を算出して表示するので、自立航法システムとよばれて
いる。この自立航法システムにおいては、上記の算出さ
れた現在位置と実際の現在位置との相違により走行誤差
が生ずるおそれがあるので、走行車との交信領域毎に一
定の感覚で設置されているビーコン等の路上通信機のア
ンテナ30から正確な位置情報を得る必要がある。このた
め、従来は、上記路上通信器のアンテナ30から送信さ
れ、位置データを受信するためのデータ受信部２、交信
領域の特定の位置、例えば上記路上通信機アンテナ30の
直下の位置を示す位置データを検出するアンテナ直下検
出部５を、走行車内に設けていた。さらに、上記データ
受信部２から再生される上記位置データを絶対的な位置
データとして、自立航法により求めた現在位置を修正す
るための現在位置演算部４を設けていた。上記位置デー
タは精度向上のためアンテナ直下検出部５のアンテナ直
下信号検出で確定する。なお、この現在位置確定の詳細
は実施例の項でノベルこととする。このようにして、走
行車20が路上通信機のアンテナ30との交信領域に入る毎
に上記のデータ受信部２および現在位置演算部４により
正確な現在位置を表示部10の地図上に表示することがで
きる。

〔発明が解決しようとする課題〕

しかしながら、交通量が多く、大形車両走行時、高速
走行時等を原因とするフェージング、マルチパス等によ
り路上通信機アンテナ30からの電波が乱れ、移動体20は
電波を受信できない場合がある。電波の異常モードとし
て、例えばある路上通信機の通信領域に移動体20が進入
してもアンテナ直下信号が検出されず、このため受信位
置データの確定ができず、さらに次の路上通信機の通信
領域に移動体20が進入したとき、逆に位置データが受信
できずアンテナ直下信号のみ検出される場合がある。か
かる場合には前の路上通信機の通信領域で受信した位置
データが確定して現在位置演算部４で処理されるので現
在位置の推測が不可能になるという問題があった。

したがって本発明は上記問題点に鑑みて、電波の異常
に対しても強い路車間通信機を提供することを目的とす
る。

〔課題を解決するため手段〕

第１図は本発明の原理構成を示す図である。本発明は
前記問題点を解決するために、路車間通信機において、
データクリア部６を有する。該データクリア部６はデー
タ更新記憶部３のデータが更新されたときを基準として
移動距離センサー７からの信号に基づいて走行距離を求
め、該走行距離が所定距離となったとき前記データ更新
記憶部３の記憶データをクリアする。

〔作用〕

第１図において本発明の路車間通信機によれば、移動
体内のアンテナ１およびデータ受信部２を介して受信さ
れた基準位置データはデータ更新記憶部３で記憶され、
アンテナ１を介してアンテナ直下検出部５で直下信号が
検出されると現在位置演算部４に設定される。一方電波
異常で前記直下信号が検出されないときにはデータクリ
ア部６によってデータ更新記憶部３がクリアされる。こ
のため次の路上通信機の通信領域内で基準位置データが
受信できずに直下信号のみ受信してしまう電波の異常で
も、前の路上通信機の基準位置データが現在位置演算部
４に設定されることがなくなる。

〔実施例〕

以下、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。第２図は本発明の実施例に係る受信側の路車間通信
機を示す図である。本図の構成を説明する。本図は後述
するビーコンのような路片に設置した路上通信機からの
種々のデータを電波として受信する移動体内のアンテナ
１と、該アンテナ１から基準位置データを受信するデー
タ受信部２と、該データ受信部２の基準位置データを更
新して記憶するデータ更新記憶部３と、該データ更新記
憶部３の更新データを用いて現在位置を演算する現在位
置演算部４と、前記アンテナ１からアンテナ直下信号を
検出して、該アンテナ直下信号によって前記現在位置演
算部４に前記更新データを設定するアンテナ直下検出部
５と、前記データ更新記憶部３のデータが更新されたと
きを基準として移動距離センサー７からの信号に基づい
て走行距離を求め、該走行距離が所定距離になったとき
前記データ更新記憶部３の記憶データをクリアするデー
タクリア部６とを含む。前記データ受信部２は該アンテ
ナ１の変調信号を復調するデータ復調部２−１と、種々
のデータから基準位置データを得るための通信制御部２
−２とを包含する。また前記データ更新記憶部３は該デ
ータ受信部２からのデータを記憶するバッファであっ
て、後述するデータ記憶部３−２に記憶されているデー
タと比較するデータ比較部３−１と、該データ比較部３
−１で比較の結果が相違していれば該データ比較部３−
１のバッファに記憶されているデータを受け記憶し、該
結果が同一ならば現在記憶しているデータを保持するRA
Mのようなデータ記憶部３−２とを包含する。さらに本
図は前記現在位置演算部４へ進行方向情報データを供給
する地磁気センサー８と、該位置演算部４へ地図データ
を提供する地図データCDROM9と、前記データ更新記憶部
３からの基準位置データに対して前記移動距離センサー
７からの走行距離情報データ、前記進行方向情報デー
タ、地図データから現在位置演算部４が推測航法によっ
て現在位置を演算して、該現在位置を表示するCRT等の
表示端末のような表示部10を含む。なお、データ更新記
憶部３、現在位置演算部４、およびデータクリア部６は
ロケーション用コンピュータ11に包含される。

第３図は本発明の実施例に係る送信側の路車間通信機
を示す図である。本図はビーコンのような路片に数km毎
に設置した送信側の路上通信機を構成する路上通信機ア
ンテナ30と、受信側の路車間通信機を搭載した移動体20
とを含む。該路上通信機アンテナ30からの電波は該アン
テナ30を中心として可能な通信領域（点線の範囲）が約
100mである。移動体20はこの通信領域内の地点で基準
位置データを受信でき、アンテナ30の直下地点にきた
とき、後述するアンテナ直下信号受信時から前記受信基
準位置データを用いて以後の現在位置の推測航法を行
う。

第４図は第３図における送信側の路車間通信機の構成
を示す図である。本図は搬送波発生部26と、基準位置、
交通情報等の種々のデータを発生するデータ信号発生部
27と、データ信号発生部27のデータを位相変調、周波数
変調を行う変調器28と、該変調器28のデータに例えば1k
HzでAM変調信号を重畳させて、互に位相が180°異なる
信号を生成するAM変調器29−1,29−２と、各該変調器29
−1,29−２の位相が180°異なる電気的変調信号を電波
Ｄ₁,D₂にして走行方向にそれぞれ放出するアンテナ30−
1,30−２を含む。路上通信機のアンテナ30−1,30−２か
ら放出される電波の電界強度はそれぞれの電波位相が18
0°異なるので該アンテナ30−1,30−２の直下で最小に
なる。よって、移動体20に搭載した受信側の路車間通信
機は該アンテナ30−1,30−２の直下で復調レベルが最小
になるので、逆に最小レベルを検出したとき移動体がア
ンテナ30−1,30−２直下を通過したと識別判定する。

また、AM検波出力信号の位相の反転を検出したとき、
アンテナ30−1,30−２の直下を通過したと識別判定す
る。

次に移動体に搭載された路車間通信機が前記路上通信
機のアンテナ30からの直下信号をフェージング、マルチ
パス等の原因により受信できない場合の動作を説明す
る。第５図は本発明の実施例に係る動作のメインルーチ
ンのフローチャートである。本図のメインルーチンでは
移動距離センサー７、地磁気センサー８からのデータに
基づき現在位置を推測する処理を実行する。

第６図は第５図における割込みルーチンのフローチャ
ートである。割込みはデータ受信割込み、アンテナ直下
検出割込み、距離パルスカウント所定値割込みの３種類
とする。移動体の受信側の路車間通信機が路上通信機の
アンテナ30からデータを受信すると、受信割込信号が発
生する（ステップ１）。基準位置データをデータ比較部
３−１のバッファに記憶し（ステップ２）受信完了する
まで繰り返す（ステップ３）。受信完了したらデータ記
憶部３−２の記憶データと比較し（ステップ４）、同一
でないならばデータ比較部３−１のバッファにあるデー
タをデータ記憶部３−２へ転送し、そのデータを更新す
る（ステップ５）。データ記憶部３−２のデータが更新
されたら、データクリア部６は移動距離センサー７から
の距離パルスのカウントをスタートして（ステップ６）
リターンへ進む（ステップ７）。なお、ステップ４で比
較するデータが同一の場合にはリターンへ進む（ステッ
プ７）。よって移動体通信機は一つの路上通信機の通信
領域内では一つの基準位置データを受信する。アンテナ
直下の割込みを検出したならば（ステップ８）データ記
憶部３−２がデータクリアされたか否かを判断し（ステ
ップ９）、データクリアされていないならば、データ記
憶部３−２の更新データを現在位置演算部４に設定し、
（ステップ10）、ステップ６でスタートしたデータクリ
ア部６のカウントをストップしクリアして（ステップ1
1）リターンへ進む（ステップ７）。この新しく更新さ
れた基準位置データにより、推測航法が実行される。ス
テップ９でデータ記憶部３−２がデータクリアされてい
るときにはリタンーへ進む（ステップ７）。アンテナ直
下信号を検出できないときにはデータクリア部６は、そ
の距離パルスカウントが進み、所定値（例えば余裕をみ
て200m相当の距離のカウント数）割込みが発生したとき
（ステップ12）、データ記憶部３−２に記憶されている
データをクリアし（ステップ13）、さらに距離パルスカ
ウントをクリアする（ステップ14）。その後リターンへ
進む（ステップ７）。

第７図は第６図の割込ルーチンによる推測航法の具体
例を示す図である。本図において移動体に搭載した受信
側の路車間が第ｎ番路上通信機の通信領域進入し（ステ
ップ１）、データ更新され（ステップ２）、アンテナ直
下信号検出し（ステップ３）、以後第ｎ番の路上通信機
の通信領域で設定された更新データで推測航法を行う
（ステップ４）。以上の本図の第１ステップから第４ス
テップは正常時の処理で、第６図におけるステップ１〜
７、ステップ1,8,9,10,11,7の処理に対応する。次に移
動体が第ｎ＋１番路上通信機の通信領域進入し（ステッ
プ５）、データ更新される（ステップ６）がしかしアン
テナ直下信号が検出不能の場合には（ステップ７）デー
タ更新部３の記憶データがクリアされ（ステップ８）更
新データの設定がなく、第ｎ番の路上通信機で設定され
た更新データで推測航法を行う（ステップ９）。以上の
本図のステップ第５ステップから第９ステップは異常時
の処理で第６図におけるステップ１〜７、ステップ1,8,
12,13,14,7の処理に対応する。さらに移動体が第ｎ＋２
番路上通信機の通信領域進入し（ステップ10）、しかし
データ更新がされず（ステップ11）、アンテナ直下信号
検出の場合には（ステップ12）更新データの設定がなく
第ｎ番の路上通信機で設定されたデータで推測航法を行
う（ステップ13）。以上の本図の第10ステップから第13
ステップは異常時の処理で第６図におけるステップ1,8,
9,7の処理に対応する。以上のような異常時モードでは
更新データの設定がされないのでその分精度が悪くなる
が従来のようなデータの誤設定を防止できる。

〔発明の効果〕

以上説明したように、本発明によればデータ更新記憶
部のデータが更新されたときを基準として移動距離セン
サーからの信号に基づいて走行距離を求め、該走行距離
が所定距離になったとき、データクリア部が前記データ
更新記憶部の記憶データをクリアするようにしたので、
電波の異常に対して強くなるという効果が期待される。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の原理構成を示す図、 第２図は本発明の実施例に係る受信側の路車間通信機を
示す図、 第３図は本発明の実施例に係る送信側の路車間通信機を
示す図、 第４図は第３図における送信側の路車間通信機の構成を
示す図、 第５図は本発明の実施例に係る動作のメインルーチンの
フローチャート、 第６図は第５図における割込ルーチンのフローチャー
ト、 第７図は第６図の割込ルーチンによる推測航法の具体例
を示す図、 第８図は従来の路車間通信機を示す模式図である。 図において １……アンテナ、２……データ受信部、３……データ更
新記憶部、４……現在位置演算部、５……アンテナ直下
検出部、６……データクリア部、７……移動距離センサ
ー。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】移動体内のアンテナ（１）から基準位置デ
   ータを受信するデータ受信部（２）と、該データ受信部
   （２）の基準位置データを更新して記憶するデータ更新
   記憶部（３）と、該データ更新記憶部（３）の更新デー
   タを用いて現在位置を演算する現在位置演算部（４）
   と、前記アンテナ（１）からアンテナ直下信号を検出し
   て、該アンテナ直下信号によって前記現在位置演算部
   （４）に前記更新データを設定するアンテナ直下検出部
   （５）とを有する路車間通信機において、 前記データ更新記憶部（３）のデータが更新されたとき
   を基準として移動距離センサー（７）からの信号に基づ
   いて走行距離を求め、該走行距離が所定距離になったと
   き前記データ更新記憶部（３）の記憶データをクリアす
   るデータクリア部（６）を備えることを特徴とする路車
   間通信機。