JP2670358B2 - 担 体 - Google Patents

担 体

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JP2670358B2 JP17874489A JP17874489A JP2670358B2 JP 2670358 B2 JP2670358 B2 JP 2670358B2 JP 17874489 A JP17874489 A JP 17874489A JP 17874489 A JP17874489 A JP 17874489A JP 2670358 B2 JP2670358 B2 JP 2670358B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は担体に関し、詳しくは二酸化ケイ素を主成分
とし、表面を改質させた固体よりなる担体に関するもの
であり、クロマトグラフィー用固定相としての応用が可
能である。
〔従来の技術及び発明が解決しようとする課題〕
シリカゲルなどの二酸化ケイ素を主成分とする固体は
多孔質のものを作り易く、機械的強度が高いなど優れた
特性を有するため、機能を持った物質、例えば分離用吸
着剤や反応触媒の担体として広く用いられてきた。しか
し、通常、二酸化ケイ素は極性の強い物質、とりわけア
ミンなどの塩基性物質を強く吸着する性質を有してお
り、単なる担体として用いる場合にはこの性質が欠点と
なることが少なくない。例えば、シリカゲルを担体とす
るクロマトグラフィー用充填剤は、アミン類に対し、テ
ーリングと呼ばれる溶出ピークの著しい横ひろがりをひ
き起す。これを改良するための技術としてよく知られて
いるのが下記式で示すようないわゆるシランカップリン
グ剤によるエンドキャップである。
シラン処理剤としては、例えばClSi(CH33,HN[Si
(CH32,Si(CH33N=C(CH3)−OSi(CH33,
(CH3O)2Si(C6H5などが用いられる。
しかしこの方法も、おそらく、シリカゲルの極性吸着
の主原因と考えられているシラノール基(Si−OH)が
一部未反応のまま残留するため、テーリングなどの問題
を完全になくすることはできない。
これに対し、シラン処理剤として、アミン基を含むも
のを用いると、おそらく、そのアミノ基が残留シラノー
ルに自己吸着することにより、アミン類に対するテーリ
ングのない固定相が得られる。ところがこの場合には、
該アミノ基が、逆に酸性寄りの化合物を異常に強く吸着
したり、アミノ基の塩基性に基づく有害な副反応を起こ
すなどの問題が認められた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者らは上記課題を解決すべく鋭意検討を重ねた
結果、アミド、ウレタン、ウレアなどの残基を二酸化ケ
イ素を主成分とする固体表面に結合させることにより、
すぐれた表面特性を有する担体が得られることを見出
し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、アキラルもしくはラセミックな
アミド、ウレタン又はウレア誘導体を、二酸化ケイ素を
主成分とする固体表面に化学的あるいは物理的に結合せ
しめて成ることを特徴とするクロマトグラフィー用担体
を提供するものである。
本発明に言うアキラルもしくはラセミックなアミド、
ウレタン又はウレア誘導体とは、以下に列挙する部分構
造を有するものである。
アミド誘導体 −CO−NR1R2 −NR1−CO−R2 ウレタン誘導体 −O−CO−NR1R2 −NR1−CO−OR4 ウレア誘導体 −NR1−CO−NR2R3 上式において、R1,R2,R3は、炭素数20個以下のアキラ
ルな炭化水素基あるいは水素原子であり、ハロゲン原子
やエーテル結合等を含んでいてもよい。R4は炭素数20個
以下のアキラルな炭化水素基であり、ハロゲン原子やエ
ーテル結合等を含んでいても良い。
本発明における二酸化ケイ素を主成分とする固体と
は、乾燥重量(200℃、1時間乾燥)の50%以上が二酸
化ケイ素(SiO2)より成るものを指し、代表的なものは
シリカゲルであるが、この他にセライトやクロモソルブ
と呼ばれるケイ藻土、ガラスビーズ、ゼオライト等が含
まれる。また、これらの表面にシランカップリング剤に
よる処理を施したものもいうまでもなくこれに含まれ
る。
上記固体と、アミド、ウレタン又はウレア誘導体との
間に形成される結合は、いわゆる化学結合であっても物
理的結合(吸着)であっても良い。
化学結合として最も一般的なものは従来技術の項で述
べたシラン処理剤を用いる方法である。シラン処理剤の
一般的構造は下式で表わされる。
本式においてX,Y,Zのうちの1つ乃至全部は、シラノ
ール基と反応して、シリルエーテルを形成するような原
子団(例えばアルコキシ基、ハロゲン原子、アミノ基
(アルキル置換基を有しても良い)、アルキルチオ基、
その他上記の反応を行なうものであればいかなるもので
あっても良い。)であり、残りは、炭素数7以下の原子
団(メチル基、エチル基、フェニル基等)あるいはRと
同じものである。Rは、アミド、ウレタン、ウレア部分
もしくはその先駆体となる原子団と炭素数12以下の原子
団とからなり、エーテル結合、ハロゲン原子、チオエー
テル結合等を含んでも良い。上記先駆体としては、一級
あるいは二級アミノ基、ヒドロキシル基、カルボキシル
基、シアノ基などである。例えばアミノ基はいわゆるア
シル化剤(酸無水物、酸ハライド)と反応してアミドや
ウレタンに、イソシアナートと反応してウレアに導かれ
る。ヒドロキシル基はイソシアナートと反応してウレタ
ンに、カルボキシル基あるいはそのエステルはアミンと
反応してアミドに転化することができる。シアノ基は加
水分解によってアミドに変換できる。
物理的吸着を利用する場合には、該アミド、ウレタン
又はウレア誘導体を、例えば溶媒に溶解し、該固体と混
合後溶媒を留去するなどの方法で、該固体表面に沈着さ
せれば良い。但し、実際の使用にあたって溶解による流
失を起さないためには、該誘導体は分子量が1000以上の
ポリマーであることが望ましい。
なお、該固体におけるアミド、ウレタン又はウレア誘
導体の含有量は元素分析における窒素含量として5%以
下であるものとする。該固体が本発明に言うところのア
ミド、ウレタン又はウレア誘導体を結合してなることの
最も簡単な証拠は、赤外線吸収(IR)スペクトルによっ
て得られる。即ち該誘導体は、IRスペクトルにおいてカ
ルボニル基の伸縮振動に起因する特徴的な吸収(1650cm
-1付近)を示し、−CO−NH−Rにおいては更に1550cm-1
付近と3500cm-1付近にも吸収を示すことで判断できる。
これらがアキラルもしくはラセミックであることは、こ
れを合成する際に光学活性な原料を用いない限り自明で
あるが、必要であれば、適当な方法で、結合された原子
団を分離し、旋光度測定あるいはカラムクロマトグラフ
ィーなどによって光学純度を測定することにより、確か
めることができる。
なお、従来から光学活性なアミド、ウレタン、あるい
はウレアをシリカゲルに結合したクロマトグラフィー用
固定相が知られている(W.H.Pirkle,T.C.Pochapsky,Che
m.Rev.,1989,89,P355〜356,P359等)が、これは光学異
性体を識別するために考案されたものであり、本発明の
担体とは、構造的にも、機能においても全く異なるもの
である。
本発明の担体を実際に使用する方法については多方面
の応用が可能である。例えば、分離機能を有する高分子
を本発明の担体に担持することによって分離性能の優れ
たクロマトグラフィー用分離剤を得ることができ、この
ような目的に使用する場合には、骨格となるシリカゲル
は300Å以上の細孔径を有するものが望ましい。また、
オクタデシル基等の炭化水素基をシランカップリング剤
を用いてシリカゲルに化学結合させたいわゆる逆相系固
定相の担体として用いることができ、この場合、すでに
該炭化水素基を結合した固体に、該アミド、ウレタン又
はウレア誘導体を結合しても良く、また逆の順序であっ
ても良い。また、本発明の担体それ自体を吸着剤として
用いることもできる。
〔実施例〕
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、
本発明がこれらの実施例に限定されるものでないことは
いうまでもない。
比較例1 シリカゲル(E.Merck社製 Lichrospher Si1000)10g
をトルエン50ml中に分散し、アミノプロピルトリエトキ
シシラン5mlを加え、10時間煮沸還流した。反応後、グ
ラスフィルターでシリカゲルを濾別し、ジクロロメタン
50mlで5回洗浄、次いで真空乾燥した。
比較例2 シリカビーズ(Merck 社製 Lichrospher Si 1000)10
gを、200ml枝付丸底フラスコに入れ、オイルバスで120
℃,3時間真空乾燥した後、N2を入れた。CaH2を入れて蒸
留したトルエンを、シリカビーズに100ml加えた。次に
ジフェニルジメトキシシラン(信越化学(株)製 KBM20
2)を3ml加えて撹拌後、120℃時間反応させた。さら
に、3〜5mlのトルエンを留去後120℃で2時間反応させ
た。グラスフィルターで濾過し、トルエン50mlで3回、
メタノール50mlで3回洗浄し、40℃で1時間真空乾燥を
行なった。
次にこのシリカビーズ約10gを200ml枝付丸底フラスコ
に入れ、100℃で3時間真空乾燥した後、常圧に戻し、
室温になってからN2を入れた。蒸留したトルエン100ml
を乾燥したシリカビーズに加えた。次にトリメチルシリ
ル化剤N,O−ビス−(トリメチルシリル)アセトアミド1
mlを加えて撹拌し、115℃で3時間反応させた。次にグ
ラスフィルターで濾過後トルエンで洗浄し約4時間真空
乾燥した。
実施例1 比較例1で得たシリカゲル10gをジクロロメタン50ml
中に分散し、無水酢酸1.0mlを添加、1時間室温で撹拌
した。グラスフィルターでシリカゲルを濾別し、ジクロ
ロメタン50mlで1回、ジクロロメタン−メタノール(1:
1(V/V))50mlで3回洗浄し、真空乾燥した。
得られたシリカゲルの赤外吸収スペクトルをFT−IRに
より測定し、何の処理も加えていないシリカゲルとの差
スペクトルをとると、第1図のようであり、アミド結合
を含むことが明瞭に示された。
実施例2 実施例1と全く同様に、但し無水酢酸の代りにフェニ
ルイソシアナート1.0mlを用いて処理を行なった。
得られたシリカゲルの差スペクトルを第2図に示す。
実施例3 無水酢酸の代りに3,5ジメチルフェニルイソシアナー
ト1.0mlを用いて実施例1と全く同様の処理を行なっ
た。
生成物の差スペクトルを第3図に示す。
実施例4 無水酢酸の代りに三級ブチルイソシアナート1.0mlを
用いて実施例1と全く同様の処理を行なった。
生成物の差スペクトルを第4図に示す。
応用例1 比較例1で得られたアミノプロピルトリエトキシシラ
ンで表面処理したシリカゲル(Aで示す)、比較例2で
得られたジフェニルジメトキシシランで表面処理したシ
リカゲル(Bで示す)、実施例3で得られた担体(Cで
示す)、実施例4で得られた担体(Dで示す)に、各々
20重量%のセルローストリス(4−クロロフェニルカル
バメート)を担持して得た分離剤をカラム(25cm×0.46
cmφ)に充填し、ジソピラミド(医薬品)及び1,1′−
ビナフトールの光学異性体を下記条件で分離した時のク
ロマトグラムをそれぞれ第5図及び第6図に示す。
<クロマトグラフィー条件> 移動相:ヘキサン/2−プロパノール=9:1(V/V) 速 度:1.0ml/min 温 度:25℃ 第5図及び第6図から明らかなように、本発明の担体
(C,D)はいずれの化合物に対しても良い分離を示して
いる。
応用例2 応用例1と同様にA,B,Cの担体にセルローストリス
(4−メチルベンゾエート)を20重量%担持して得た分
離剤を用いて、エトトインの光学異性体を分離した時の
クロマトグラムを第7図に示した。尚、クロマトグラフ
ィー条件は応用例1と同じである。
第7図から明らかなように、Aではもはや分離は認め
られず、Bでは両ピークの間でベースラインが上昇して
分離が悪いが、Cでは完全な分離が認められた。
【図面の簡単な説明】
第1図は実施例1で得られたシリカゲルと何の処理も加
えていないシリカゲルとの赤外線吸収スペクトルの差ス
ペクトル、第2図は実施例2で得られたシリカゲルと何
の処理も加えていないシリカゲルとの赤外線吸収スペク
トルの差スペクトル、第3図は実施例3で得られたシリ
カゲルと何の処理も加えていないシリカゲルとの赤外線
吸収スペクトルの差スペクトル、第4図は実施例4で得
られたシリカゲルと何の処理も加えていないシリカゲル
との赤外線吸収スペクトルの差スペクトル、第5図は応
用例1で行ったジソピラミドの分離の結果を示すクロマ
トグラム、第6図は応用例1で行った1,1′−ビナフト
ールの分離の結果を示すクロマトグラム、第7図は応用
例2で行ったエトトインの分離の結果を示すクロマトグ
ラムである。

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アキラルもしくはラセミックなアミド、ウ
    レタン又はウレア誘導体を、二酸化ケイ素を主成分とす
    る固体表面に化学的あるいは物理的に結合せしめて成る
    ことを特徴とするクロマトグラフィー用担体。
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