JP2670169B2 - 磁気浮上搬送装置 - Google Patents

磁気浮上搬送装置

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JP2670169B2
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茂樹 森井
元己 中島
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、非接触で物体を搬送する必要性のある、例
えば発塵を嫌う半導体製造装置におけるウェハー搬送機
器や潤滑油の飛散を嫌う真空内搬送、高温雰囲気中での
搬送装置などに適用される磁気浮上搬送装置に関する。
[従来の技術] 従来より、発塵や潤滑油の飛散などを嫌う、例えば半
導体製造プロセスライン等における物体(半導体ウエハ
ー等)の搬送や移動機構の軸受には、永久磁石あるいは
電磁石を用いたいわゆる磁気軸受が用いられる。これ
は、磁石間あるいは磁石と磁性材料との間に作用する磁
気的吸引力または反発力を利用て搬送物体あるいは支持
物体を空隙を介して非接触で浮揚させるようにしたもの
である。
この種の分野に関しては種々の発明、考案がなされて
おり、すでに実用化されているものも多い。
しかしながら、そのうち電磁石を用いた磁気的吸引力
を利用した磁気軸受は、必要電力が少ないというメリッ
トはあるものの、本来不安定な吸引力を電気的な制御に
より安定化しなければならないため、その制御装置が必
要となること、また、その制御装置にギャップセンサな
どの付帯部品が多く必要となるという欠点を有してい
る。
特にこの電磁石を用いた磁気的吸引力を利用した磁気
軸受で長い距離を搬送させる場合には、これら制御装置
を搬送ライン全体に渡って設ける必要がある。
これを回避する手段としては、浮揚して搬送される物
体側に必要な制御回路やセンサを搭載する手段が考えら
れるが、その場合、物体側にバッテリなどの電力源を設
ける必要があり、長時間の使用には充電や給電システム
が新たに必要となるなど、設備上、大きな問題をかかえ
ることになる。
一方、磁気反発力を利用する磁気軸受けでは、上述の
ような制御装置は原則的には必要ないという点で長距離
の搬送機構としては装置上大きな利点を有している。し
かしながら、永久磁石だけを組合せて反発浮上機構を構
成することは現実には不可能とされており、少なくとも
1軸以上の自由度を上述の制御装置により安定化させる
必要があると云われている。
これに対し、交流電磁石を用いた誘導反発方式は、導
電材料でなる浮上体の形状を工夫することにより、安定
して浮上、支持させることが原理的に確認されている。
第7図にこの交流電磁石を用いた誘導反発方式の搬送
装置の基本構成を示す。
図中、1は搬送方向に平行に施設された2本の電磁石
からなる交流電磁石であり、2はこの交流電磁石上に搬
送される浮上体である。浮上体2は例えばアルミニウム
などの軽くて誘導性の高い材料が適しており、運びたい
搬送物体は通常この浮上体2上に置かれることになる。
同図において、交流電磁石1に交番電流を通電すると
その上部に交番磁界が発生するが、その磁界中に浮上体
2があるため、浮上体2のアルミニウム材料中には渦電
流と呼ばれる交番電流が流れることになる。
この電流により生じる磁界は電磁石1によって生じる
磁界とちょうど反発する方向に形成されるため、この反
発力によって浮上体2には図中にF1で示す上向きの浮上
力が作用することになる。
しかしながら、もし浮上体2が単に平板で構成された
際には、この浮上力2には水平方向で安定するステアリ
ング力が無いため、搬送方向から左右どちらかの方向に
ずれてしまい、すぐに電磁石の軌道1からはずれて落下
してしまうことになる。
第7図ではこれを防止するため、第7図(b)中に矢
印Iで示す浮上体2の進行方向と同じ方向の中央部分に
下側に突出する断面V字型の部分を付けてある。このV
字部と電磁石1の作用で、浮上体2にはF2で示す水平方
向のステアリング力が作用し、浮上体2が電磁石の軌道
1からずれた場合でもそのずれた方向のステアリング力
F2が大きくなってそれを押しもどすことで、浮上体2を
軌道に沿って安定に走行させることが可能となる。
なお、浮上体2の走行については、第7図(b)で示
す電磁石配列をリニアモータ形式で駆動することによ
り、駆動力F3を作用させて走行させることが可能であ
る。
以上が交流電磁石を用いた誘導反発方式の搬送装置の
搬送原理であるが、これによると、浮上体2の下面形状
がフラットではなくなるため、直線軌道を走行させる場
合には問題ないが、曲率の大きいカーブや直角方向の分
岐などを走行させる場合に上記V字部が障害となり、そ
の実現が困難となる。
特に、半導体プロセスにおけるウエハーの枚葉搬送へ
の応用を考えた場合、各プロセス装置への搬入には後述
するように分岐部が不可欠となるため、交流電磁石を用
いた誘導反発方式の搬送装置の適用には限界があった。
[発明が解決しようとする課題] 以上に詳記したように、従来の交流電磁石を用いた誘
導反発方式の浮上体形状では、軌道分岐が困難であり、
マルチチャンバ方式の半導体製造プロセスラインにおけ
るウエハー搬送など、軌道変更を要する搬送ラインには
不敵用であった。
本発明は上記のような実情に鑑みてなされたもので、
その目的とするところは、交流反発電磁石を用いた誘導
反発方式の利点を活かしつつ、上述の欠点解消を計り、
浮上体を下面がフラットな形状の平板で構成しながら
も、その形状を工夫することによりステアリング機能を
有するようにした磁気浮上搬送装置を提供することにあ
る。
[課題を解決するための手段及び作用] すなわち本発明は、搬送方向に平行に施設された2本
の電磁石配列に交番磁界を発生させることにより、導電
性を有する非電磁性金属よりなる浮上体を上記電磁石配
列の上方に浮上させて搬送させる磁気浮上搬送装置にお
いて、上記2本の電磁石配列の内側距離をa、外側距離
をdとしたときに、上記浮上体を、その幅方向長さ(以
下A)がaより大きいながらdよりは小さく、かつ、そ
の搬送方向長さ(以下B)が電磁石ピッチの2倍以下と
なる寸法の中央部分と、その幅方向長さ(以下D)が
(d−A)/2より大きく、かつ、その搬送方向長さ(以
下B)が電磁石ピッチ以上となる寸法で上記中央部分の
幅方向両端に対称に形成される突起部分とから形成され
た、例えば十字形の平板状部材により構成するようにし
たもので、浮上体の下面形状をフラットなものとするこ
とができるために、軌道の構成を大曲率のカーブはもち
ろんのこと、直角分岐も可能とし、搬送ライン設計に大
きなフレキシビリティを持たせることができる。
[実施例] 以下図面を参照して本発明の一実施例を説明する。
第1図はその基本構成を示すものであり、交流電磁石
の配置は上記第7図で示したものと同じである。
図中、12は浮上体であり、この浮上体12は第1図
(c)の平面図に一点鎖線で示すようにその形状が略十
字形をなした平面上のものである。この浮上体12の形状
を第2図により示す。浮上体12の材質は、前述したよう
に軽く、かつ、できるだけ導電性の高いものを用いて大
きな浮上力を発生するため、通常アルミニウムが最適で
ある。
次いでこの浮上体12の寸法的な条件を箇条書きで示す
と、 (1)図中にハッチングで示す両側に突出した部分を含
む大きい方の幅Dは電磁石軌道1の外幅dよりも大きく
とる。
(2)小さい方の幅、すなわち上記突出した部分を含ま
ない中央部の幅Aは電磁石軌道の内幅aよりも大きく、
かつ、外幅dよりも小さくとる。
(3)進行方向の長さCは電磁石のヨークのピッチ幅p
の2倍以上とする。
(4)両側に突出した部分の進行方向長さBは電磁石の
ヨークのピッチ幅p以上とする。
(5)浮上体12の厚み(第2図の紙面方向)は必要な浮
上力が発生されるだけの厚みとする。
というようになる。
次いで以上のような寸法形状におけるステアリング力
の発生作用を第3図により説明する。
第3図において、浮上体12の幅方向の片側エッジ部に
おける電磁石ヨークとエッジ位置の関係で生じる浮上力
F1ならびにステアリング力F2の発生の様子を第3図
(1)に示す。また、浮上体12のエッジ位置がヨークの
内側に入っていくに従って浮上力F1、ステアリング力F2
とも減少する特性を第3図(2)に示す。
浮上力F1、ステアリング力F2の両者とも基本的には電
磁石1から交流の反発作用によって押しのけられる力で
あるが、このうちステアリング力F2については、ヨーク
エッジ付近で最大となり、それより外側に浮上体12のエ
ッジが出ると急激に減少し、前述したようにステアリン
グ力F2としては全く期待できないことになる。一方、浮
上体12のエッジが内側に引っ込んだ場合に、ステアリン
グ力F2はゆるやかな減少傾向を示し、ヨーク幅eを越え
ても多少の力は発生する。この状態において、例えば、
第3図のx0の位置に浮上体12のエッジの原点がくるよう
に、浮上体12の中央部の幅Aを設定したものとする。
次にこのエッジが左右どちらかに水平にずれたとする
と、xが少なくなる方向にずれた方のエッジ部分では押
し戻す力F2は増大し、逆に、反対側では少なくなる。よ
ってこの作用によりずれを元の状態に復元するステアリ
ング力が作用することになる。
ただし、浮上体12に第2図にハッチングで示した突出
部分が無い場合は、復元力が作用する側の浮上力F1は増
大し、逆に復元力が減少する側の浮上力F1は減少するた
め、結果として、第4図に示すように、浮上体12が進行
方向を軸に片側が電磁石ヨークに接触する状態までロー
ル方向に回転する。ところが、浮上体12に上述した突出
した部分があると、水平方向のずれが生じてもある程度
の浮上力はこの部分で確保されることになり、浮上体12
のエッジ部が電磁石ヨークに接触する事態はなくなり、
上述のステアリング効果により、ずれが修正されること
になる。この浮上力を確保するために必要なBの長さ
が、大略上記(4)で示した値となる。
以上を整理すると、第2図の浮上体12の形状におい
て、幅A部分の進行方向に平行なエッジ部分で軌道1を
はずれないためのステアリング力を発生させ、かつ、そ
の場合に浮上体12が回転不安定とならないために最低必
要な浮上力をハッチングで示す幅D、長さBの突出した
部分で確保するようにしたものである。
次いで第5図により軌道1を直角分岐させた場合の実
施例を示す。この場合、浮上体12の形状は、A=B、C
=Dであり、かつ中心に対して完全な回転対称形とな
る。
例えば、図中矢印X方向に走行してきた浮上体12は、
リニアモータの駆動力制御により、図示した状態で分岐
中央で停止させられ、次に矢印Y方向のリニアモータ駆
動開始により上記X方向と全く同じ条件でY方向に駆
動、走行させるものとする。
この場合、浮上体12は上述した形状により90゜の回転
角度で完全に回転対称形となっているため、上記分岐点
でのX方向からY方向への直角分岐が可能となるもので
ある。
次に第6図により本発明の搬送装置を半導体製造プロ
セスにおけるウエハー搬送に応用した場合の適用例を示
す。
図中の3はウエハーの搬入、搬出を行なうためのステ
ーションであり、これに搬送室6が例えばU字型に接続
されている。搬送室6中は常時真空に保持される。この
搬送室6中に、ハッチングで示す電磁石からなる搬送路
1が施設されており、搬送路途中でT字型または十字型
分岐による各プロセスチャンバ4へ分岐できるように工
夫されている。5はプロセスチャンバーと搬送路1とを
隔離するためのゲートバルブである。
このような構成とした場合、半導体ウエハーを載置し
た図示しない浮上体は搬送路1上を浮上して走行し、リ
ニアモータの駆動力制御によりT字型または十字型分岐
により各プロセスチャンバ4へ分岐するようになるもの
である。
なお、上記実施例では浮上体12を十字形として説明し
たが、本発明はこれに限らず、軌道をはずれないための
ステアリング力を発生させ、かつ、その場合に浮上体が
回転不安定とならないために最低必要な浮上力を確保す
る突出した部分を、中央部の幅方向両端の中央部ではな
く、それぞれの両端に2か所ずつ形成してH字状の形状
としても良いし、同じく中央部の幅方向両端の前端部あ
るいは後端部に形成してT字状あるいは逆T字状の形状
としても良い。
[発明の効果] 以上詳記した如く本発明によれば、搬送方向に平行に
施設された2本の電磁石配列に交番磁界を発生させるこ
とにより、導電性を有する非磁性金属よりなる浮上体を
上記電磁石配列の上方に浮上体させて搬送させる磁気浮
上搬送装置において、上記2本の電磁石配列の内側距離
をa、外側距離をdとしたときに、上記浮上体を、その
幅方向長さ(以下A)がaより大きいながらdよりは小
さく、かつ、その搬送方向長さ(以下B)が電磁ピッチ
の2倍以下となる寸法の中央部分と、その幅方向長さ
(以下D)が(d−A)/2より大きく、かつ、その搬送
方向長さ(以下B)が電磁石ピッチ以上となる寸法で上
記中央部分の幅方向両端に対称に形成される突起部分と
から形成された、例えば十字形の平板状部材により構成
するようにしたので、浮上体の下面形状をフラットなも
のとすることができるために軌道を構成を大曲率のカー
ブはもちろんのこと、直角分岐を可能とし、浮上搬送シ
ステムを構築する上で非常にフレキシブルな設計が可能
となり、装置のコンパクト化で低コスト化に寄与すると
ころ大となる磁気浮上搬送装置を提供することができ
る。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明一実施例に係る基本構成を説明する図、
第2図は第1図の浮上体の形状を説明する図、第3図は
ステアリング力の発生原理を示す図、第4図は浮上体の
ステアリング力の必要性を説明する図、第5図は直角分
岐搬送路での搬送を説明する図、第6図は半導体製造プ
ロセスにおけるウエハー搬送に応用した場合の適用例を
示す図であり、第7図は従来の磁気浮上搬送装置の基本
構成を示す図である。 1……電磁石、2,12……浮上体、3……ステーション、
4……プロセスチャンバ、5……ゲートバルブ、6……
搬送室。
フロントページの続き (72)発明者 山田 仁 広島県広島市西区観音新町4丁目6番22 号 三菱重工業株式会社広島製作所内 (56)参考文献 特開 平3−272916(JP,A) 実開 昭64−39313(JP,U)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】搬送方向に平行に施設された2本の電磁石
    配列に交番磁界を発生させることにより、導電性を有す
    る非磁性金属よりなる浮上体を上記電磁石配列の上方に
    浮上させて搬送させる磁気浮上搬送装置において、 上記2本の電磁石配列の内側距離をa、外側距離をdと
    したとき、上記浮上体は、 a<幅方向長さ(以下A)<d、かつ、 搬送方向長さ(以下C)≧電磁石ピッチ×2なる条件を
    満たす中央部分と、 (d−A)/2<幅方向長さ(以下D)、かつ、 電磁石ピッチ≦搬送方向長さ(以下B)<Cなる条件を
    満たし、上記中央部分の幅方向両端に対称に形成される
    突起部分と から形成された平板状部材により構成されることを特徴
    とした磁気浮上搬送装置。
  2. 【請求項2】A=B、かつ、C=A+2Dの条件を満たす
    と共に上記突部部分の位置が上記中央部分の幅方向両端
    の中央部であることを特徴とした請求項(1)記載の磁
    気浮上搬送装置。
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