JP2670104B2 - 蛋白質の分泌発現 - Google Patents

蛋白質の分泌発現

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    • C12N15/09Recombinant DNA-technology
    • C12N15/11DNA or RNA fragments; Modified forms thereof; Non-coding nucleic acids having a biological activity
    • C12N15/62DNA sequences coding for fusion proteins
    • C12N15/625DNA sequences coding for fusion proteins containing a sequence coding for a signal sequence

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、組み換えDNA技術による蛋白質の分泌発現
に関するものであり、更に具体的には細菌性毒素の改良
シグナル配列をコードしている新規なDNAを利用して複
雑な高次構造を有する蛋白質を分泌発現させ、純度の高
い活性型蛋白質を簡単に得る方法に関するものである。
従来技術および発明が解決しようとする課題 現在、組み換えDNA技術によって有用蛋白質を生産す
る方法は一般的なものとなっており、その多くは大腸菌
〔エシェリヒア コリ(Escherichia coli)〕(以下、
E.coliと略記することがある。)を用いてなされてい
る。この方法は、培養時間が短くてする利点がある反
面、微生物体内で生産された蛋白は宿主のプロテアーゼ
によって分解される恐れがあると共に、目的物を純粋な
形で取得するまでの過程で多大の時間と労力を必要とす
るだけでなく、それらの過程において蛋白質の失活を伴
う恐れもあった。
この問題点を解決するために蛋白質の膜透過に関与す
るシグナル配列を利用して宿主の菌体内で産生された蛋
白質をペリプラズム(細胞質膜および外膜の膜間)ある
いは菌体外へ分泌され、これらを蓄積させる方法が試み
られている(例えば特開昭61−280292号公報、特開昭61
−92575号公報参照)。そして、大腸菌における分泌発
現としては、アルカリ性ホスファターゼ(特開昭61−28
0292号)や、アンピシリン耐性因子のシグナル配列が一
般に用いられている。しかしアルカリ性ホスファターゼ
やアンピシリン耐性因子は分子内にジスルフィド結合を
ほとんど持たないことが特徴的である。一般に大腸菌の
分泌性蛋白はジスルフィド結合に乏しい〔P.A.Maher an
d S.J.Singer:プロシージング・オブ・ザ・ナショナル
・アカデミー・オブ・サイエンス(Proc.Natl.Acad.Sc
i、USA),83,9001(1986)〕とされており、これらの
蛋白のシグナル配列をジスルフィド結合に富む蛋白質、
たとえばヒト表皮細胞増殖因子(hEGF),ヒト塩基性繊
維芽細胞増殖因子(hbFGF),ヒト酸性繊維芽細胞増殖
因子(haFGF),ヒト・アンギオゲニン,ヒト・プロイ
ンスリン,ヒト・インスリン様成長因子IおよびII,塩
基性ウシ膵臓トリプシンインヒビターなどの分泌表現に
応用することは無理があると考えられる。これらのジス
ルフィド結合に富む蛋白質は表現される過程において不
完全にジスルフィド結合を形成したり、間違った組合せ
のジスルフィド結合に至ることによって生理活性が全く
なくなるか、極めて弱くなることが知られている。これ
らの不活性型を活性型に戻すためには、蛋白の変性に次
ぐ酸化過程を必要とする。かくして複雑な高次構造を保
持した状態で蛋白質を分泌させるためには、それにふさ
わしいシグナル配列を開発することが望まれていた。
又、特開昭61−92575号公報には、細菌性分泌シグナ
ル配列をコードしているDNAを利用して特定の成熟真核
性蛋白質をペリプラズムあるいは菌体外へ分泌させる方
法が記載されている。この方法では具体的には、シグナ
ル配列をコードするDNAは、細菌性の分泌蛋白質または
細胞膜蛋白質あるいはそれらの突然変異体から取り出し
たもの、即ち天然のものを用いており、また分泌させる
真核性蛋白質は哺乳類蛋白質、特にヒト成長ホルモンの
ような成長ホルモンを得ている。
さらに、ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミス
トリー(J.Biol.Chem.),262,10189(1987)では、毒
素原性大腸菌の産生する易熱性エンテロトキシンBサブ
ユニット蛋白質のシグナル配列を改変する試みが行なわ
れており、真核細胞において、改変シグナルペプチドが
天然型シグナルペプチドとは異なる機能を示すことが記
載されているが、蛋白質の分泌量増大については言及さ
れていない。
課題を解決するための手段 本発明者等は蛋白質の膜透過に関与するシグナル配列
を利用して宿主の菌体内で産生された蛋白質をペリプラ
ズムあるいは菌体外へ分泌させ蓄積させる方法により改
良を加えるべく、先に天然型細菌性分泌シグナル配列に
対応する化学合成DNAを用いて蛋白質、殊にhEGFを分泌
表現する方法を提案した(特願昭62−61207号出願)
が、更に研究を重ねた結果、天然型細菌性分泌シグナル
配列の一部を改変したものに対応する化学合成DNAも、
所期の目的を達成し得ることを見出し、更にそのDNAの
普遍化を進めて本発明に到達したものである。
即ち、本発明は(1)一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
はNまたはSを示す〕で表わされる分泌シグナル配列を
コードするDNAを含有するDNA、(2)DNAが複製可能な
ベクターに有意義に結合されており、該ベクターの5′
側から3′側に向って、DNAの転写を制御するプロモー
ター、シャインダルガノ配列、一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
はNまたはSを示す〕で表わされる分泌シグナル配列を
コードするDNAとその3′末端に直結している蛋白質を
コードするDNA、および停止コドンを含むターミネータ
ー領域が、この順次に含有されている上記(1)記載の
DNA,および(3)DNAが複製可能なベグターに有意義に
結合されており、該ベクターの5′側から3′側に向っ
て、DNAの転写を制御するプロモーター、シャインダル
ガノ配列、一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
はNまたはSを示す〕で表わされる分泌シグナル配列を
コードするDNAとその3′末端に直結している蛋白質を
コードするDNA、および停止コドンを含むターミネータ
ー領域が、この順次に含有されているベクターを用いて
宿主細胞を形質転換し、宿主細胞を培養し、次いで宿主
のペリプラズムあるいは菌体外に蛋白質を蓄積させるこ
とからなる、当該蛋白質の製造法に関するものである。
本発明によって複雑な高次構造を有する蛋白質、特にジ
スルフィド結合を高密度に含有する蛋白質を分泌表現さ
せ、これによって単純な操作によって純度の高い活性型
蛋白質を得ることが可能となったものである。
本発明で用いられる一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA (式中、α、β、γについては前記のとおり)で表わさ
れる分泌シグナル配列をコードするDNAは先に述べたと
おり、大腸菌毒素のような毒素のシグナル配列を改変し
たものをコードするものに注目した所に端を発してお
り、中でも毒素原性大腸菌の産生する易熱性エンテロト
キシAサブユニットの改変シグナル配列をコードする合
成DNAをその出発点としているので、まずこれらについ
て説明する。
毒素原性大腸菌の産生するエンテロトキシンはヒトお
よび他の動物に下痢などの毒性を発揮するものであり
(竹田美文、下西康嗣、山本達男、竹田多恵、「蛋白
質、核酸、酵素」,31,324(1986)〕、耐熱性(ST)の
ものと熱に不安定な易熱性(LT)なものに大別され、そ
れぞれにサブタイプが知られている。
エンテロトキシンの産生は大腸菌のプラスミドによっ
て支配されており、薬剤耐性因子と同様、プラスミドに
よる有用物質産生にとって好都合である。本発明者等
は、大腸菌プラスミドpBR322のアンピシリン耐性因子の
シグナル配列にhEGF遺伝子を接続し、これをトリプトフ
ァンプロモーターの支配下に大腸菌で分泌表現させた場
合よりも、エンテロトキシンのシグナル配列をコードす
る化学合成DNAを用いた場合(前出、特願昭62−61207号
出願)の方が、更に改良型エンテロトキシンAサブユニ
ットのシグナル配列をコードする化学合成DNAを用いた
方がより明らかにhEGFの分泌量が改善されることを見出
し確認した。
エンテロトキシンシグナルには上記のように大まかに
分けて耐熱性(ST)のもの及び易熱性(LT)のものの2
種があるが、STの中にはST I a,ST I b,ST II等が、LT
にはLTh,LTp(それぞれA,Bのサブユニット蛋白が存在す
る)があり、本発明で用いられているものは中でもLTA
の改変シグナルに相当するDNAである。
LTAシグナル配列は、18個のアミノ酸から成り、この
配列のままではST IIシグナル配列を用いた時と比較す
ると、著しく低い蛋白質分泌能を示すにすぎない。しか
しLTAは、シグナル配列としては最も短いものの一つで
あり、若干の改変によってその分泌能を高めることが可
能であると考えられた。すでに知られえている各種エン
テロトキシンシグナル配列を相互比較することによっ
て、LTAシグナル配列に分泌シグナルとして有効な要素
を加味するよう検討がなされた。改変シグナルの有効度
は、改変シグナル配列に対応するDNAを化学合成し、こ
れをhEGFのDNAに接続し、発現用ベクターに挿入したの
ち、大腸菌において分泌表現されるhEGFを定量すること
によって達成された。
各種シグナル配列の効果をテストした結果、次のアミ
ノ酸配列で示されるものが優れた効果を有することを発
見した。なお、アミノ酸は次のようなアミノ酸の一文字
記号による表記(IUPAC−IUB生化学命名委員会確認規
則)で表わしている。
A:アラニン B:アスパラギン酸もしくはアスパラギン C:システイン D:アスパラギン酸 E:グルタミン酸 F:フェニルアラニン G:グリシン H:ヒスチジン I:イソロイシン K:リジン L:ロイシン M:メチオニン N:アスパラギン P:プロリン Q:グルタミン R:アルギニン S:セリン T:スレオニン V:バリン W:トリプトファン Y:チロシン Z:グルタミン酸もしくはグルタミン X:未知もしくは他のアミノ酸 天然のエンテロトキシンLTAは次の式 MKNITFIFFILLASPLYA で表わされる。
一方、本発明のシグナル配列としては、例えば MKNITFIFFILLASNAYA, MKNITFIFFILLASSAYA, MRNITFIFFILLASNAYA, MKKNITFIFFILLASNAYA, MKNITFIFFSLLASNAYA, MRNITFIFFSLLSNAYA, MKKNITFIFFSLLASNAYAなどが好ましいものとして挙げら
れ、とりわけ MKNITFIFFILLASNAYA, MKNITFIFFILLASSAYA, MKKNITFIFFILLASNAYAなどが特に好ましいものとして挙
げられる。
本発明で分泌表現する蛋白質としては、ヒト表皮細胞
増殖因子(hEGF),ヒト塩基性繊維芽細胞増殖因子とし
(hbFGF),ヒト酸性繊維芽細胞増殖因子(haFGF),ヒ
ト・アンギオゲニン,ヒト・プロインスリン,ヒト・イ
ンスリン様成長因子IおよびII,塩基性ウシ膵臓トリプ
シンインヒビターのようなジスルフィド結合に富む蛋白
質が、より効果のあるものとして挙げられるが、それら
の外、どのような蛋白質の分泌表現にも、無論、有効で
ある。
本発明のDNAは、分泌シグナル配列をコードするDNAそ
れ自身、あるいはその3′末端に蛋白質をコードするDN
Aが直結したものであることができ、それらは更に複製
可能なベクターに組み込まれていることもでき、その
際、該ベクターの5′側から3′に向かってDNAの転写
を制御するプローモーター、一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
はNまたはSを示す〕で表わされる分泌シグナル配列を
コードするDNA、構造遺伝子および停止コドンを含むタ
ーミネーター領域がこの順序で含有された形のベクター
を包含するものである。
上記ベクターで形質転換する宿主としては、大腸菌HB
101,大腸菌DH1,大腸菌C600,大腸菌MM294,大腸菌RR1等が
挙げられる。
本発明は、具体的には、プロモーターの制御下に毒素
原性大腸菌のエンテロトキシンの改良型シグナル配列を
コードする遺伝子を備えたベクターに、所望の外来蛋白
質をコードする遺伝子を導入して得られる組み換えDNA
によって宿主を形質転換し、得られた形質転換体を適当
な条件下で培養させることにより、生理活性を発言する
ために必要な高次構造を具えた目的蛋白質を大腸菌の菌
体外あるいはペリプラズムへ効率よく分泌させることか
らなる蛋白質の製造法に関するものである。
以下にエンテロトキシンの一改良型シグナル配列に相
当するアミノ酸をコードする本発明のDNAを用いhEGFを
分泌発現させた場合を例にとり、詳細に説明を加える
が、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下、実施例によって発明の内容を説明する。
なお、以下の実施例2(2)に記載のプラスミドpTB4
13を用いて、大腸菌DH1株を、T.Maniatisら「モレキュ
ラー・クローニング」(Molecular cloning),250〜251
頁(1982年)Cold Spring Harbourに記載の方法によ
り、形質転換させて得られる形質転換体エシェリヒア
コリ(Eacherichia coli)DN1/pTB413は、財団法人発酵
研究所(IFO)にIFO−14576として、また昭和62年3月1
8日から通商産業省微生物工業技術研究所(FRI)にFERM
P−9293として寄託されている。
なお、第1図にエンテロトキシンLTAのシグナルペプ
チド、および本発明のシグナルペプチドの具体例のアミ
ノ酸配列を、第2図に第1図の各シグナルペプチドに対
応した化学合成DNA配列を示す。第3図にはエンテロト
キシンLTAシグナルペプチドおよび本発明のシグナルペ
プチドを化学合成するための遺伝子断片を示している。
第4図にはシグナルペプチド−hEGF連結部のアミノ酸お
よび合成遺伝子配列を示し、第5図は本発明で用いるプ
ラスミドの構築図である。
実施例 1.DNA断片の合成 第3図に示す各DNA断片(LU1,LU2,LU3,M33U3,M310U3,
M312U1,LL1,LL2,LL3,M33L2,M310L2,M312L1)はβ−シア
ノエチルホスホアミダイトを原料とし、アプライドバイ
オシステム社モデル380A・DNA自動合成装置を用いて合
成した。脱保護精製は、0.2μmoleの樹脂に対し濃アン
モニア水2mlで55℃、5時間加熱し、逆相高速液体クロ
マトグラフィー(以下HPLCと略記)で精製後、80%酢酸
2ml、20分間で5′末端のジメトキシトリチル基を除去
し、逆相HPLC、イオン交換HPLCで精製した。
2.(参考例)エンテロトキシンLTAの天然型シグナルを
含むhEGF分泌発現用プラスミドpLAE4の調製 (1)シグナルを含む断片の調製〔第2図、第3図およ
び第5図(A)参照〕 DNA断片LU2、LU3、LL1、LL2各750pmoleを66mMトリス
塩酸(pH7.6)、6.6mM塩化マグネシウム、10mMβ−メル
カプトエタノール、1mMアデノシントリフオスフェート
(以下ATPと略す)の溶液19.5μに溶解し、3.5単位の
T4ポリヌクレオチドキナーゼ(宝酒造)を加えて全量を
20μとし、37℃で1時間処理し5′末端をリン酸化し
た。これらを90℃で3分間処理後、反応の終濃度が66mM
トリス塩酸(pH7.6)、6.6mM塩化マグネシウム、500μM
ATPとなる溶液中にLU1、LL3各750pmoleと共に加え、こ
れを90℃で3分間加熱後、速やかに氷冷した。更にこれ
を75℃から20℃に2時間かけて徐冷した後15℃で10分間
処理した。これに終濃度が10mMとなるようβ−メルカプ
トエタノールを加え、更にT4−DNAリガーゼ400単位(ニ
ューイングランド・バイオラボ社)を加えて全量を200
μとし、15℃で20時間処理した。反応後10%ポリアク
リルアミドゲル電気泳動(以下PAGEと略記)により69塩
基対(bp)のDNAをゲル片より回収した〔「ジョーナル
・オブ・モレキュラー・バイオロジー」(J.Mol.Bio
l.),110,119(1977)〕。このDNAを6単位のT4ポリヌ
クレオチドキナーゼ(宝酒造)で前記と同様に処理し、
5′末端をリン酸化した。
(2)hEGF断片の調製 (hEGF/Hinf−Pst)〔第5図(B)〕 特開昭62−40290号(特願昭60−176976号)公報実施
例7に記載のプラスミドpTB413(4.3k bp)200μgにス
タンダード緩衝液(以下S.bufferと略す;反応の終濃度
が20mMトリス塩酸(pH7.6)、7mM塩化マグネシウム、10
mM β−メルカプトエタノールとなるように調製したも
の)と終濃度が50mMとなるように塩化ナトリウムを加
え、Hinf I(宝酒造)80単位とPst I(日本ジーン)105
単位を加えて全量を400μとし37℃で2時間処理し
た。反応液は5%PAGEを行ない145bpのhEGF断片をゲル
から回収した。
(3)ベクター断片の調製 (pTRP771/Cla−Pst)〔第5図(C)〕 プラスミドpTRP771(4.3kbp)〔黒川 勉ら「ヌクレ
イック・アシッド・リサーチ」(Nucleic Acids Resear
ch),11,3077(1983)参照〕10μgに2(2)と同様
にS.bufferと塩化ナトリウムを加え、Cla I(ニューイ
ングランド・バイオラボ社)10単位、Pst I 15単位を加
えて全量を100μとし、37℃で2時間処理した。反応
液は0.7%アガロースゲル電気泳動(AGE)を行ない、3.
6kbpの断片をゲルから回収した。
(4)プラスミドpLAE4の調製〔第5図(D)〕 シグナル断片〔2(1)〕0.5pmole、hEGF断片〔2
(2)〕0.5pmole、ベクター断片〔2(3)〕0.05pmol
e(0.1μg)を66mMトリス塩酸、6.6mM塩化マグネシウ
ム、500mMATP、10mM β−メルカプトエタノール溶液に
入れ、T4DNAリガーゼ400単位を加え全量20μとし15℃
で20時間処理した。
3.本発明の改変シグナルを含むhEGF分泌発現用プラスミ
ドpMLA3−3の調製(第2図、第3図および第5図
(A)参照) 前項2(1)で用いたDNA断片のうち、LU3をM33U3
に、LL2をMM33L2に変換して前記と同様に処理し、改変
シグナルM3−3を含む断片を調製した。これと、hEGF断
片〔2(2)〕、ベクター断片〔2(3)〕とを、前項
2(4)と同様に処理した。
4.本発明の改変シグナルを含むhEGF分泌発現用プラスミ
ドpMLA3−10の調製(第2図、第3図および第5図
(A)参照) 前項2(1)で用いたDNA断片のうち、LU3をM310U3
に、LL2をM310L2に変換して前記と同様に処理し、改変
シグナルM3−10を含む断片を調製した。これと、hEGF断
片〔2(2)〕、ベクター断片〔2(3)〕とを、前項
2(4)と同様に処理した。
5.本発明の改変シグナルを含むhEGF分泌発現用プラスミ
ドpMLA3−12の調製(第2図、第3図および第5図
(A)参照) 前項3で用いたDNA断片のうち、LU1をM312U1に、LL1
をM312L1に変換して前記と同様に処理し、改変シグナル
M3−12を含む断片を調製した。これと、hEGF断片〔2
(2)〕、ベクター断片〔2(3)〕とを、前項2
(4)と同様に処理した。
6.hEGF分泌発現用プラスミドによる大腸菌HB101の形質
転換 〔T.Maniatisら「モレキュラー・クローニング」(Mo
lecular Cloning),250〜251頁(1982年)Cold Sping H
arbour〕 5mlのL.ブロスに、大腸菌HB101を植菌し、37℃で一番
培養した。この200μを20mlのL.ブロスに植え、37℃
でクレットユニットが80に達するまで培養し、10分間氷
冷した。培養液を4℃で3000rpm、5分間で遠心し、分
離した菌体を10mlの生理食塩水に懸濁した後、4℃、24
00rpm5分間遠心した。この菌体を50mMの塩化カルシウム
溶液10mlに懸濁し、30分間氷冷した。遠心分離した菌体
を50mM塩化カルシウム溶液2mlに懸濁した。この懸濁液
各200μに2(4),3,4および5の反応溶液をそれぞ
れ10μ加え1時間氷冷後、42℃で75秒間処理した。こ
れに0.8mlのL.ブロスを加えて37℃で1時間培養後、遠
心し、上清0.8mlを除いた後、菌体を懸濁させ100μず
つ2枚のL.ブロス寒天プレート(テトラサイクリン6μ
g/mlの濃度で含む)にまき、37℃で一晩培養した。
形質転換体のプラスミドDNAをアルカリ法〔T.Maniati
sら「モレキュラー・クローニング」(Molecular Cloni
ng),368〜369頁(1982年)Cold Sping Harbour〕によ
り調製し、Cla IおよびPst Iで切断反応を行なった後、
5%PAGEにより、正しくシグナルとhEGF遺伝子が挿入さ
れた形質転換体E.coli HB101/pLAE4,E.coli HB101/pMLA
3−3,E.coli HB101/pMLA3−10,E.coli HB101/pMLA3−12
を選択した。
7.hEGFの分泌発現および分画 テトラサイクリンを12.5μg/ml濃度で含むBHIブロス
(ディフコ社)5mlに、形質転換体E.coli HB101/pLAE4,
E.coli HB101/pMLA3−3,E.coli HB101/pMLA3−10,E.col
i HB101/pMLA3−12を植菌し、37℃で一晩培養した。こ
の1mlを、19mlのM9培地(1%カザミノ酸、1%グルコ
ース、6.5μg/mlテトラサイクリンを含む)に植え継ぎ3
7℃、8時間培養した。この培養液5mlを8000rpm、4
℃、5分間遠心し、培養上清と菌体に分けた。菌体から
オスモティック・ショック法〔S.J.Chanら「プロシーデ
ィングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイ
エンス・オブ・USA」「Proceedings of Nationnal Acad
emy of Sciences of the United States of America),
78,5401(1981)参照〕によりペリプラズム画分を調製
した。
8.hEGFの定量 培養上清画分およびペリプラズム画分をC18sep−Pak
(ウォーターズ社)に吸着させ、水5ml、20%アセトニ
トリル〔0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を含む〕2mlで
洗浄後、50%アセトニトリル〔0.1%TFAを含む〕2mlで
溶出した。溶媒を留去し、残渣を水に溶解し逆相HPLC
(TSK−GEL,ODS−120T;東洋曹達)により分析した。溶
出はアセトニトリル濃度が25%から40%(0.1TFAを含
む)の直線勾配を15分間かけて行なった。
定量は、標準のhEGF(湧永製薬)と同じ保持時間を示
すピークの大きさを、高さ半値幅法により求め、標準品
との比較により行なった。
エンテロトキシンLTAの天然型シグナルペプチドを用
いたものに比べ、本発明のシグナルペプチドを用いたも
のは蛋白質の分泌表現の効率が3倍以上と高い。
9.本発明の改変シグナルM3−3を用いて分泌発現させた
hEGFのN末端配列分析 (1)改変シグナルM3−3を用いたhEGFの分泌発現 テトラサイクリンを12.5μg/ml濃度で含むBHIブロス
(ディフコ社)5mlに、実施6で得た形質転換体E.Coil
HB 101/pMLA3−3を植菌し、37℃で一晩培養した。この
4mlを76mlのM9培地(1%カザミノ酸、1%グルコー
ス、6.5μg/mlテトラサイクリンを含む)を植え継ぎ37
℃、8時間培養した。
(2)分泌表現させたhEGFの精製 上記(1)で得られる培養液80mlを8000rpm、4℃、
5分間遠心して培養上清約80mlを得た。このうち20mlを
C18 Sep−Pak(ウォーターズ社)に吸着させ、水10ml、
20%アセトニトリル〔0.1%トリフルオロ酢酸(TFA)を
含む〕2mlで洗浄後、50%アセトニトリル〔0.1%TFAを
含む〕4mlで溶出した。残りの培養上清についても、同
様の処理を行なった。溶出液の溶媒を留去し、残渣を蒸
留水500μに溶解した。これを100μずつ5回に分け
て、逆相HPLC(TSK−GEL,ODS−120T;トーリー)を用い
てhEGFを含むピークを分取した。溶出条件は、アセトニ
トリル濃度が25%から40%(0.1%TFAを含む)の15分間
の直線勾配で、12.5分から12.8分の溶出液を分取した。
この溶出液の溶媒を留去し、残渣を100μの蒸留水に
溶解し、同様の条件で再分取を2回行なった。溶出液の
溶媒を留去し、残渣を80μの蒸留水に溶解した。この
うち65μをイオン交換HPLC(TSK−GEL,DEAE−5PW;ト
ーリー)を用いてhEGFを含むピークを分取した。溶出条
件は酢酸アンモニウム濃度が、0.1Mから0.3Mの15分間の
直線勾配で、12.7分から13.4分の溶出液を分取した。こ
の溶出液の溶媒を留去し、残渣を100μの蒸留水に溶
解し、前述と同様の条件で逆相HPLCを行ない、精製hEGF
約12μgを得た。
(3)精製hEGFのN末端配列分析 精製hEGF3μg(約400p mole)をアプライドバイオシ
ステム社モデル477A気相シークエンサーを用い、N末端
配列分析を行なった。反応はN末端より2サイクル行な
い、Asn−SerのN末端配列を同定した。
10.hEGFのアミノ酸分析 実施例9と同様にして得た精製hEGF30μgを、4%チ
オグリコール酸を含む5.7N定沸点塩酸200μに溶解
し、容器を封管した。これを110℃、24時間処理した
後、日立Model 835 Amino Acid Analyzerを用いてアミ
ノ酸分析を行なった。以下に結果を示す。
Asp+Asn 6.63(7),Ser 2.83(3),Glu+Gln 5.12
(5),Pro 1.27(1),Gly 4.10(4),Ala 2.00
(2),Cys−(6),Val 2.68(3),Met 0.87(1),I
le 1.64(2),Leu 4.91(5),Tyr 4.99(5),Lys 1.
76(2),His 1.97(2),Arg 3.24(3),Trp 1.76
(2) 11.hEGFの生物活性測定 ヒト偏平上皮ガン細胞HSC−1細胞に対する増殖阻害
〔バーンズ(Barnes),ジョーナル オブ セルラー
バイオロジー(J.Cell.Biol.),93,1(198)〕を調べ
たところ、hEGF培養上清は顕著な生物活性を示した(第
1表)。
また、BALB/c3T3−A31細胞に対する増殖促進〔ローズ
(Rose)ら,ジョーナル オブ セルラー フィジオロ
ジー(J.Cell.Physiol.),86,593(1975)〕を調べた
ところ、hEGF培養上清は顕著な生物活性を示した(第2
表)。
【図面の簡単な説明】
第1図はエンテロトキシンLTAの天然型シグナルペプチ
ドおよび本発明のシグナルペプチドの具体例のアミノ酸
配列を示し、第2図は第1図の各シグナルペプチドに対
応した化学合成DNA配列を示す。 第3図は天然型エンテロトキシンLTAシグナルペプチド
および本発明のシグナルペプチドを化学合成するための
遺伝子断片を示している。 第4図はシグナルペプチド−hEGF連結部のアミノ酸およ
び合成遺伝子配列図である。 第5図は本発明で用いている蛋白質分泌発現用プラスミ
ドの構築図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 庁内整理番号 FI 技術表示箇所 (C12N 1/21 C12R 1:19)

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
    はNまたはSを示す〕 で表わされる分泌シグナル配列をコードするDNAを含有
    するDNA。
  2. 【請求項2】分泌シグナル配列をコードするDNAの3′
    末端に蛋白質をコードするDNAが直結している請求項1
    記載のDNA。
  3. 【請求項3】シグナル配列が MKNITFIFFILLASNAYA, MKNITFIFFILLASSAYA または MKKNITFIFFILLASNAYA のいずれか一つで表わされるものである請求項1または
    2記載のDNA。
  4. 【請求項4】分泌シグナル配列をコードするDNAが化学
    的に合成したDNAである請求項1、2、または3記載のD
    NA。
  5. 【請求項5】蛋白質がヒト表皮細胞増殖因子である請求
    項2、3または4記載のDNA。
  6. 【請求項6】DNAが複製可能なベクターに有意義に結合
    されており、該ベクターの5′側から3′側に向って、
    DNAの転写を制御するプロモーター、シャインダルガノ
    配列、一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
    はNまたはSを示す〕で表わされる分泌シグナル配列を
    コードするDNAとその3′末端に直結している蛋白質を
    コードするDNA、および停止コドンを含むターミネータ
    ー領域が、この順次に含有されている請求項1記載のDN
    A。
  7. 【請求項7】DNAが複製可能なベグターに有意義に結合
    されており、該ベクターの5′側から3′側に向って、
    DNAの転写を制御するプロモーター、シャインダルガノ
    配列、一般式 MαNITFIFFβLLASγAYA 〔式中、αはKK、KまたはRを、βはIまたはSを、γ
    はNまたはSを示す〕で表わされる分泌シグナル配列を
    コードするDNAとその3′末端に直結している蛋白質を
    コードするDNA、および停止コドンを含むターミネータ
    ー領域が、この順次に含有されているベクターを用いて
    宿主細胞を形質転換し、宿主細胞を培養し、次いで宿主
    のペリプラズムあるいは菌体外に蛋白質を蓄積させるこ
    とからなる、当該蛋白質の製造法。
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