JP2668316B2 - キノコ栽培容器 - Google Patents

キノコ栽培容器

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JP2668316B2
JP2668316B2 JP4360586A JP36058692A JP2668316B2 JP 2668316 B2 JP2668316 B2 JP 2668316B2 JP 4360586 A JP4360586 A JP 4360586A JP 36058692 A JP36058692 A JP 36058692A JP 2668316 B2 JP2668316 B2 JP 2668316B2
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mushroom
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cultivation container
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正幸 水野
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ホクト産業株式会社
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は椎茸等のキノコ栽培に用
いて好適なキノコ栽培容器に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、椎茸栽培における椎茸の生長段
階には、栄養生長段階と生殖生長段階がある。栄養生長
段階である培養工程では容器本体に充填したキノコ培地
の上に接種穴を明け、この接種穴に種菌を接種するとと
もに、雑菌の混入を防止するため、キャップを装着した
状態のまま培養室で菌糸を蔓延させる。また、生殖生長
段階である生育工程では容器本体からキノコ培地を取り
出すとともに、取り出したキノコ培地のみを栽培用コン
テナに並べ、生育室にて栽培を行う。
【0003】このため、従来の栽培容器、特に、容器本
体はポリプロピレン等の合成樹脂を用いて成形するとと
もに、上下に分割した上容器半体と下容器半体をネジ込
み式により着脱可能に構成し、内部に収容したキノコ培
地を外部に取り出せるようにしていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述した従来
の栽培容器は次のような問題点があった。
【0005】第一に、生育工程ではキノコ培地を容器本
体から外部に取り出す必要があるが、このときのキノコ
培地は菌糸が蔓延して固形化し、さらに、容器本体の内
面に密着しているため、容易に取り出すことができず、
作業時間の増大やキノコ培地の損傷を招いてしまう。
【0006】第二に、容器内部における雑菌は極力排除
する必要があるが、従来の栽培容器は表面に汚れが付着
し易いとともに、付着した汚れが落ちにくいため、容器
内部で雑菌が繁殖し易い。
【0007】本発明はこのような従来の技術に存在する
課題を解決したものであり、キノコ培地の取り出しを円
滑かつ容易に行うことができ、しかも、容器内部での雑
菌繁殖を防止できるキノコ栽培容器の提供を目的とす
る。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明に係るキノコ栽培
容器1は略0.1〜2重量パーセントのシリコーンを含
有するポリプロピレン等の合成樹脂により一部又は全部
を一体成形してなることを特徴とする。
【0009】この場合、キノコ栽培容器1には容器本体
部2及び(又は)キャップ部10を含む。また、容器本
体部2は着脱可能な上容器半体3と下容器半体4により
構成するとともに、装着時に上下方向にスライドして伸
縮可能に構成し、特に、上容器半体3と下容器半体4の
装着部分は最短縮位置P1で密閉され、かつ最短縮位置
P1よりも伸長した伸長位置P2で内部と外部を連通す
る通気路Fが形成される。
【0010】
【作用】本発明に係るキノコ栽培容器1によれば、ポリ
プロピレン等の合成樹脂に略0.1〜2重量パーセント
のシリコーンを含有させた成形材料を用いるため、シリ
コーンの微粒子がポリプロピレン等の合成樹脂中に均一
に分散し、容器表面の摩擦抵抗が著しく低減するととも
に、弾力性及び耐熱性が向上する。
【0011】したがって、容器本体部2を着脱可能な上
容器半体3と下容器半体4により構成し、かつ装着時に
上下方向にスライドして伸縮可能に構成すれば、当該ス
ライドが円滑かつ確実に行われるとともに、容器本体部
2からのキノコ培地の取り出しも円滑に行うことができ
る。また、容器表面における摩擦抵抗の低減により、容
器内面に汚れが付着しにくくなる。
【0012】
【実施例】次に、本発明に係る好適な実施例を挙げ、図
面に基づき詳細に説明する。
【0013】まず、本実施例に係るキノコ栽培容器1の
構成について、図1〜図4を参照して説明する。
【0014】キノコ栽培容器1は図1に示す容器本体部
2及び図4に示すキャップ部10を備える。また、容器
本体部2は全体を上下に二分割した形態の上容器半体3
と下容器半体4により構成する。
【0015】上容器半体3は、円筒部3a、この円筒部
3aの上端に中心上がりに若干傾斜させて設けた上端面
部3b、この上端面部3bの中心に小円筒形に設けた容
器口部3cを有し、全体が半透明となるように一体成形
する。成形材料は、略0.1〜2重量パーセント、最適
には略0.5〜1重量パーセントのシリコーン(シリコ
ーンオイル)を含有させたポリプロピレンを用いる。こ
の場合、シリコーンの含有が略0.5重量パーセント以
下の場合には容器表面の摩擦抵抗低減効果等が若干低下
するとともに、略1重量パーセント以上の場合には半透
明性が若干損なわれる。しかし、略0.1〜2重量パー
セントの範囲内であれば実用上何ら問題はない。このよ
うに、ポリプロピレンにシリコーンを含有させることに
より、ポリプロピレンのみを用いて成形する場合に比べ
て、シリコーンの微粒子がポリプロピレン中に均一に分
散し、容器表面の摩擦抵抗が著しく低減されるととも
に、弾力性及び耐熱性が向上する。
【0016】また、下容器半体4は、円筒部4a、この
円筒部4aの下端に設けた底面部4bを有し、全体を上
容器半体3と同一の成形材料により一体成形する。そし
て、円筒部4aの上半部における外周面には複数の凸条
5p、5q、5r…を一体に形成する。即ち、円筒部4
aにおける外周面の上端部及び中間部には、それぞれ全
周に亘るリング状の凸条5p及び5qを設けるととも
に、凸条5pと5q間には周方向に沿って断続的に配し
た複数の凸条5r…によりジグザグ状の通気路Fを設け
る。この場合、凸条5pの突出幅は他の凸条5q、5r
…よりも小幅に形成し、上面には上端面部3bの内面に
面接触する傾斜面5psを形成する。
【0017】一方、キャップ部10は図4に示すように
構成する。キャップ部10は内部に通気空間11を有
し、容器口部3cよりも広幅偏平に形成したハウジング
部12を備える。この場合、ハウジング部12は下面部
12d及び上面部12uに通気窓13を設けることによ
り、容器口部3cの開口面積よりも大きい開口面積を有
する。また、通気窓13を閉塞する通気性を有する紙を
用いたフィルタ部14を備えるとともに、ハウジング部
12の下面部12dには、容器口部3cに着脱する装着
部15を備える。なお、キャップ部10の成形材料も容
器本体部2と同様にシリコーンを含有するポリプロピレ
ンを用いることが望ましい。
【0018】次に、キノコ栽培容器1の機能について、
各部の大きさ及び位置関係と併せて説明する。
【0019】まず、下容器半体4における上半部の外面
には上容器半体3の内面が着脱可能に嵌合する。そし
て、装着時には、上容器半体3と下容器半体4は上下方
向にスライドして伸縮可能となる。この場合、装着時に
は、下容器半体4に設けた各凸条5p、5q、5r…は
上容器半体3における円筒部3a又は上端面部3bの内
面に当接(圧接)する。また、上容器半体3と下容器半
体4の装着部分Cは、図2に示す最短縮位置P1、即
ち、上容器半体3に下容器半体4を最大に押し込んだ位
置では、凸条5pの傾斜面5psが上端面部3bの内面
に面接触するとともに、凸条5qが上容器半体3におけ
る円筒部3aの内面に当接(圧接)し、容器本体部2は
完全に密閉状態となる。
【0020】一方、最短縮位置P1よりも伸長した図3
に示す伸長位置P2では、凸条5pの傾斜面5psが上
端面部3bの内面から離間するとともに、凸条5qも上
容器半体3における円筒部3aの内面から離間し、円筒
部3aの内面には凸条5r…のみが当接する。この結
果、上容器半体3と下容器半体4の装着部分Cに形成さ
れるジグザグ状の通気路Fは、上端と下端が開放される
ため、容器本体部2の内部と外部は当該通気路Fを介し
て連通され、内部の二酸化炭素は通気路Fを通して外部
へ排出される(図3中、符号W参照)。
【0021】他方、キャップ部10は、装着部15を容
器口部3cに装着した際に、容器口部3cの開口とハウ
ジング部12の内部に設けた通気空間11が相連通す
る。したがって、容器本体部2内に二酸化炭素が増加し
た場合、二酸化炭素は容器口部3cを通ってハウジング
部12の通気空間11に進入するとともに、ハウジング
部12には容器口部3cの開口面積よりも大きい開口面
積を有する通気窓13を有するため、二酸化炭素は通気
性のあるフィルタ部14を通して外部に排出され、換気
が行われる。この場合、下面部12dと上面部12uを
通る上下方向の通気路が確保されるとともに、空気より
も重い二酸化炭素は下面部12dを通って下方に排出さ
れる。
【0022】よって、このような栽培容器1を用いるこ
とにより、椎茸栽培の培養工程では、まず、装着により
一体となった容器本体部2にキノコ培地Sを充填すると
ともに、最短縮位置P1にして完全な密閉状態にする。
そして、充填したキノコ培地Sの上に接種穴を明け、こ
の接種穴に種菌を接種するとともに、雑菌の混入を防止
するため、容器口部3cにキャップ部10を装着し、培
養室で菌糸を蔓延させる。この場合、菌糸が培地表面ま
で蔓延し、キノコ培地Sが膨張を開始するまでの期間
(25日間程度)は密閉状態が維持され、容器本体部2
内への雑菌の侵入が完全に防止される。一方、菌糸の蔓
延がさらに進行し、キノコ培地Sが膨張を開始した場合
には、キノコ培地Sの膨張に伴って容器本体部2も伸長
し、十分な通気性が確保されることにより、培養期間に
おける無理のない栽培環境が作り出される。なお、培養
期間は全体で90日間程度を要し、容器本体部2は最終
的に1〜1.5cm程度伸長する。また、生殖生長段階
である生育工程では容器本体部2からキノコ培地Sを取
り出すとともに、取り出したキノコ培地Sのみを栽培用
コンテナに並べ、生育室にて栽培を行う。
【0023】ところで、容器本体部2は容器表面の摩擦
抵抗が著しく低減されるため、上容器半体3と下容器半
体4の伸縮時のスライド、さらには、キャップ部10と
容器本体部2の着脱が円滑かつ確実に行われる。また、
キノコ培地Sに菌糸が蔓延して固形化し、かつ容器本体
部2の内面に密着していても、キノコ培地Sを容器本体
部2から容易かつ円滑に取り出すことができ、作業時間
の短縮を図れるとともに、キノコ培地Sを損傷する虞れ
もない。一方、容器本体部2は摩擦抵抗の低減に加えて
弾力性及び耐熱性が向上するため、容器表面に傷が付き
にくく、かつ容器内面に汚れが付着しにくくなり、容器
内部での雑菌の繁殖が防止されるとともに、容器自身の
破損も減少して耐久性が向上する。
【0024】以上、実施例について詳細に説明したが、
本発明はこのような実施例に限定されるものではない。
例えば、椎茸栽培用の上下に分割した容器本体部を例示
したが、エノキ茸やホンシメジ等の他のキノコ栽培に用
いる一体形の栽培容器(栽培ビン)にも同様に適用でき
る。また、ベースの合成樹脂としてはポリプロピレンが
望ましいが、他の合成樹脂の使用を妨げるものではな
い。その他、細部の構成、形状等において本発明の要旨
を逸脱しない範囲で任意に変更できる。
【0025】
【発明の効果】このように、本発明に係るキノコ栽培容
器は、略0.1〜2重量パーセントのシリコーンを含有
するポリプロピレン等の合成樹脂により一部又は全部を
一体成形してなるため、次のような顕著な効果を奏す
る。
【0026】 容器表面の摩擦抵抗が著しく低減され
るため、上容器半体と下容器半体の伸縮時のスライド、
さらには、キャップ部と容器本体部の着脱を円滑かつ確
実に行うことができる。
【0027】 キノコ培地に菌糸が蔓延して固形化
し、かつ容器本体部の内面に密着していても、キノコ培
地を容器本体部から容易かつ円滑に取り出すことがで
き、作業時間の短縮を図れるとともに、キノコ培地を損
傷する虞れもない。
【0028】 摩擦抵抗の低減に加えて弾力性及び耐
熱性が向上するため、容器表面に傷が付きにくく、かつ
容器内面に汚れが付着しにくくなり、容器内部での雑菌
の繁殖を防止できるとともに、容器自身の破損も減少し
て耐久性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るキノコ栽培容器の容器本体部を分
離させた状態を示す正面図、
【図2】同キノコ栽培容器の使用状態における最短縮位
置の一部破断図、
【図3】同キノコ栽培容器の使用状態における伸長位置
の一部破断図、
【図4】同キノコ栽培容器におけるキャップ部の縦断面
図、
【符号の説明】
1 キノコ栽培容器 2 容器本体部 3 上容器半体 4 下容器半体 10 キャップ部 F 通気路

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 略0.1〜2重量パーセントのシリコー
    ンを含有するポリプロピレン等の合成樹脂により一部又
    は全部を一体成形してなることを特徴とするキノコ栽培
    容器。
  2. 【請求項2】 容器本体部及び(又は)キャップ部に適
    用したことを特徴とする請求項1記載のキノコ栽培容
    器。
  3. 【請求項3】 容器本体部は着脱可能な上容器半体と下
    容器半体により構成するとともに、装着時に上下方向に
    スライドして伸縮可能に構成してなることを特徴とする
    請求項2記載のキノコ栽培容器。
  4. 【請求項4】 上容器半体と下容器半体の装着部分は最
    短縮位置で密閉され、かつ最短縮位置よりも伸長した伸
    長位置で内部と外部を連通する通気路が形成されること
    を特徴とする請求項3記載のキノコ栽培容器。
JP4360586A 1992-10-28 1992-12-28 キノコ栽培容器 Expired - Lifetime JP2668316B2 (ja)

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