JP2667928B2 - 左官工事用材料 - Google Patents

左官工事用材料

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JP2667928B2 JP24732590A JP24732590A JP2667928B2 JP 2667928 B2 JP2667928 B2 JP 2667928B2 JP 24732590 A JP24732590 A JP 24732590A JP 24732590 A JP24732590 A JP 24732590A JP 2667928 B2 JP2667928 B2 JP 2667928B2
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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は古いモルタル面の補修、あるいはモルタルの
重ね塗り等に使用される左官工事用の材料に係るもので
ある。
(従来の技術) 従来のこの種補修用モルタルは、ゴムエマルジョンや
アクリル樹脂系エマルジョンをセメントに混入したもの
が多い。
一般的にはエマルジョンとしてはスチレンブタジェン
ゴム(SBR)ラテックスを用いることが多い。
これらのエマルジョンは、本来はアニオン性である
が、セメントに混入する場合は弱カチオン性乃至中性に
調節して用いる。
(発明が解決しようとする課題) モルタルに添加するSBRラテックスはアニオン性で合
成され、その後、セメントに添加するために中性乃至カ
チオン性に調節される。調節後のラテックスは安全性が
よくなく、長期保存することができない。
また既存のセメント板への接着性は、砂粒子及びコン
クリート下地の表面が負に帯電しているので、カチオン
性粒子が大きく関与する。しかし前記SBRラテックスに
含まれているカチオン性粒子は絶対量が少なく、十分な
接着性が得られないことが多く、施工後に剥離、クラッ
クが生じることが多い。
本発明は前記従来技術の有する問題点に鑑みて提案さ
れたもので、その目的とする処は、既存のモルタル面に
対する高接着性を有する安定性の高い左官工事用材料と
してのモルタルを提供する点にある。
(課題を解決するための手段) 前記の目的を達成するため、本発明に係る左官工事用
材料としてのモルタルは、ポルトランドセメントモルタ
ルにカチオン性アスファルト乳剤を添加してなることを
特徴とするものである。
(作用) 本発明に係る左官工事用材料としてのモルタルにあっ
ては、ポルトランドセメントモルタルに添加されたカチ
オン性アスファルト乳剤はカチオン性SBRラテックスよ
りも安定性がよく、長期間の保存が可能となる。
またカチオン性アスファルト乳剤はプラスの電荷が豊
富にあり、表面が負に帯電された既存のモルタルと電気
的に中和され、SBRラテックスを添加した場合よりも強
い接着性を発揮し、施工後に剥離、クラックが生じるこ
とが少ない。
また前記アスファルト乳剤はSBR樹脂よりも太陽光に
よる劣化が少なく、モルタル面のクラックの発生を防止
することができる。
(実施例) 以下本発明を実施例について説明する。
ポルトランドセメント100部に対して、カチオン性ア
スファルト乳剤を0.5〜100部(固形分として)添加して
補修用モルタルを調整する。
なお自然色(灰色)あるいは着色する場合、カチオン
性アスファルト乳剤として透明アスファルト(シェル石
油製、商品名…メロウファルト)のエマルジョンを使用
する。また顔料等を用いて着色することもできる。
なおアスファルト乳剤のみを用いてもよいがカチオン
性SBRラテックス、あるいは防錆剤等を混合して用いる
こともできる。
なおアスファルト乳剤のプラスの電荷が強く、セメン
トとの混合に際して塊ができる場合には、アニオン性、
または中性の乳化剤を混合して、塊の発生を防止するこ
とができる。
次に前記のようにして調整された左官工事用モルタル
を用いた施工例を挙げる。
第1図は補修が必要なコンクリート(1)における劣
化部(2)を示す。
図中(3)は鉄筋(4)における発錆部、(5)は亀
裂である。
第2図の(5)に示すように、前記劣化部(2)を斫
り取るとともに、鉄筋(4)における発錆部の錆落とし
ケレンを行なう。
図中(3′)は鉄筋(4)における錆落とし処理部で
ある。
次いで前記斫り部に含浸材(6)(製鉄化学製、商品
名…アクアシール)を塗布して吸水防止層を形成し、
(第3図参照)ポルトランドセメント100部に対してカ
チオン性アスファルト乳剤を0.5〜100部(固形分とし
て)添加し、ピースト状に調合された前記補修用モルタ
ル(8)を注入して復元し、最後含浸材(7)を塗布し
て吸水防止層を形成する。(第4図参照) 図中(9)は仕上材である。
前記の方法で施工された壁面を長期間観察している
が、剥離、クラック等は一切生じていない。
なお対照例として同時に施工されたSBRラテックス添
加のモルタル部分は、一部には剥離、クラック等が生じ
ている個所がある。
前記の施工結果より、本発明の左官工事用モルタルは
従来のSBRラッテクスを添加したモルタルよりも接着性
のよいことが判った。
第5図はカチオン性アスファルト乳剤を添加した補修
用モルタルのモルタル中における挙動を示し、アスファ
ルト粒子はカチオン性ラテックス粒子(a)として働
き、砂粒子(b)及びコンクリート下地(c)の表面が
負に帯電しているため、電気的に中和され、強い接着性
を発揮する。
従来のSBRラテックスはカチオン性アスファルト乳剤
と比較して、カチオン性ラテックス粒子が少ないため、
電気的な中和が十分に行なわれず、そのため接着性が弱
い。
下記表−1は接着強度試験結果を示し、対照例の接着
性モルタルとして尾花屋産業製のセメンテックス(商品
名)が使用された。
以上の試験結果から明らかなように、本発明に係るア
スファルト乳剤入りモルタルの接着強度は従来品に比し
て、コンクリート板及び鉄筋に対しても大きいことが判
った。
(発明の効果) 本発明に係る左官工事用材料モルタルは前記したよう
に、ポルトランドセメントモルタルに、カチオン性アス
ファルト乳剤を添加して調整されたものであって、同カ
チオン性アスファルト乳剤はカチオン性SBRラテックス
よりも安定性がよく、従って長期間の保存が可能とな
り、またカチオン性アスファルト乳剤はプラスの電荷が
豊富であり、SBRラテックスを添加したものより、既存
モルタルに対する接着性が向上する。
またコスト面においても、アスファルト乳剤の方がSB
Rラテックスよりも遥かに低廉で全体のコストを低減で
きる。
更にアスファルトはSBR樹脂よりも太陽光には劣化が
少なく、モルタル面のクラックの発生を防止することが
できる。
【図面の簡単な説明】
第1図乃至第4図は本発明に係る左官工事用材料として
のモルタルを使用した劣化した鉄筋コンクリート部分に
対する補修施工例の工程を示す縦断面図、第5図はカチ
オン性エマルジョンのモルタル中における挙動を示す説
明図である。 (1)……コンクリート、(2)……劣化部、(4)…
…鉄筋、(8)……補修用モルタル。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】ポルトランドセメントモルタルにカチオン
    性アスファルト乳剤を添加してなることを特徴とする左
    官工事用材料。
  2. 【請求項2】ポルトランドセメント100部に対してカチ
    オン性アスファルト乳剤を0.5〜100部(固形分として)
    添加した請求項1記載の左官工事用材料。
  3. 【請求項3】カチオン性アスファルト乳剤として透明ア
    スファルトのエマルジョンを使用した請求項1または2
    記載の左官工事用材料。
  4. 【請求項4】ポルトランドセメント100部に対してカチ
    オン性アスファルト乳剤を0.5〜100部(固形分とし
    て)、及びカチオン性スチレンブタジェンゴムラテック
    スを0.5〜100部(固形分として)を添加した請求項1乃
    至3のいずれかに記載の左官工事用材料。
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