JP2667299B2 - 軸上走行装置 - Google Patents

軸上走行装置

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JP2667299B2
JP2667299B2 JP3063454A JP6345491A JP2667299B2 JP 2667299 B2 JP2667299 B2 JP 2667299B2 JP 3063454 A JP3063454 A JP 3063454A JP 6345491 A JP6345491 A JP 6345491A JP 2667299 B2 JP2667299 B2 JP 2667299B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、案内軸の軸方向に走行
したり軸回りに回転できるようにした新規な軸上走行装
置に関する。
【0002】
【従来の技術】円柱のような案内軸上をその軸方向に沿
って走行したりその軸回りに自在に回転できる装置があ
れば、人の手の届かないところに物品を搬送したり高所
の清掃作業等、各種の作業を行わせることができて便利
である。
【0003】このような軸上走行装置としては、例えば
装置本体に案内軸を抱えて転動する車輪を設けて構成す
ることが考えられる。しかし、この装置では、案内軸の
軸回りに回転することが困難である。
【0004】一方、上記車輪を案内軸の軸線に対して傾
斜して配置すれば、装置は回転しながら走行できるよう
になる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記装
置にあっては、回転しないで走行したり走行しないで定
位置で回転することは困難である。もし、このような動
作を可能にするためには、車輪の操舵装置が必要とな
り、装置が極めて複雑で大形化する問題がある。
【0006】そこで、本発明は、上述した問題点を解決
しようとするものであり、簡単な構成で案内軸上を軸方
向に走行したり必要に応じて軸回りに任意に回転するこ
とができる軸上走行装置を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、断面円形の案
内軸に遊嵌される回転自在な一対のリングを有する本体
と、各リングに案内軸を抱えるようにかつその軸線に対
して傾斜して設けられ、傾斜方向が各リングで逆に配置
された車輪と、本体に設けられ、各リングを個々に正逆
回転させる駆動手段とを備えたことを特徴とする軸上走
行装置である。
【0008】
【作用】駆動手段により一方のリングを正転させ、他方
のリングを逆転させるべく駆動すると、車輪が互いに逆
に傾斜しているので、両リングはそれぞれの方向に回転
し、車輪の傾斜に沿って案内軸上を螺旋状に移動する。
この場合、本体に加わる反力が互いに打ち消されるの
で、本体は回転せず(一定の状態を保持し)、案内軸上
を軸方向に沿って一方向に走行する。上記リングの回転
方向をそれぞれ上記とは逆にすれば、本体は上記とは逆
の方向に走行する。
【0009】一方、駆動手段により両リングを共に正転
させるべく駆動すると、車輪が互いに逆に傾斜している
ことから、互いに干渉し合ってリングは回転することが
できない。従って、本体は走行せず(定位置に止どま
り)、反力によって案内軸上を軸回りに逆転する。両リ
ングを共に逆転させるべく駆動すると、本体は上記とは
逆に正転する。
【0010】このように簡単な構成で、しかも一対のリ
ングを正逆回転させるだけの簡単な操作により本体を案
内軸の軸方向に走行させたり、必要に応じて定位置で軸
回りに任意に回転させることが可能となる。
【0011】
【実施例】以下、本発明の一実施例を添付図面に基づい
て詳述する。
【0012】図1ないし図2において、1は起立した断
面円形の案内軸で、耐久性を有する点でステンレスパイ
プが好ましい。この案内軸1には軸方向に走行したり軸
回りに回転できる軸上走行装置2が装着されている。
【0013】この軸上走行装置2は、案内軸1に遊嵌さ
れた上下一対のリング3,4と、これら両リング3,4
間に配置され、軸受5,5を介して両リング3,4をそ
れぞれ回転自在に支持する本体(あるいは基板)6とか
ら主に構成されている。なお、本体6にはアーム7が一
体的に設けられ、このアーム7の先端部には物品を把持
する把持具8およびこの把持具8をベルト9を介して駆
動するモータ10が取付けられている。
【0014】上下の各リング3,4は軸受5,5の内側
に軸受リング11,11を介して固定され、各軸受リン
グ11,11にはこれを囲繞する環状の被駆動プーリ1
2,12が固定されている。本体6には各リング3,4
を個々に正逆回転させる駆動手段として2個のサーボモ
ータ13,14が取付けられ、サーボモータ13,14
の軸に取付けた駆動プーリ15,15と上記被駆動プー
リ12,12との間にはベルト16,16が巻掛けられ
ている。なお、これらサーボモータ13,14および上
記把持具8のモータ10はケーブル17を介して遠隔操
作されるようになっている。
【0015】図3ないし図4に示すように上部(あるい
は第1の)リング3の上端面および下部(あるいは第2
の)リング4の下端面には開き角90°のV字状切込み
18が円周上を8等分する位置に形成され、これら各切
込み18の一方(図では右側)の傾斜面18aには案内
軸1上を転動する車輪19が回転自在に軸支されてい
る。この場合、リング3,4の軸線c1に対する車輪1
9の回転軸線c2の傾きαは45°をなしている。ま
た、上部リング3の車輪19と下部リング4の車輪19
は互いに逆に傾斜している。
【0016】各リング3,4の内径は案内軸の外径より
も大きく設定されているが、各車輪19はその内接円が
案内軸1の外周と接するように配置されている。また、
各リング3,4にはスリット20およびこのスリット2
0を挟んで対峙するフランジ21,21が設けられ、両
フランジ21,21はスプリング22を介してボルト2
3で締付けられている。すなわち、このボルト23によ
り案内軸1と車輪19との間の摩擦力を調節できるよう
になっている。そして、この摩擦力により本装置2およ
び把持具8に把持された物品の荷重がが案内軸1に保持
されることになる。
【0017】次に以上のように構成された軸上走行装置
の作動について説明する。サーボモータ13,14によ
り上部リング3を正転(図1において矢印A方向)さ
せ、下部リング4を逆転(矢印B方向)させるべく駆動
すると、車輪19が互いに逆に傾斜しているので、両リ
ング3,4はそれぞれの方向に回転し、車輪19の傾斜
に沿って案内軸1上を螺旋状に移動する。この場合、本
体6に加わる反力が互いに打ち消されるので、本体6は
回転せず(一定の状態を保持し)、案内軸1の軸方向に
沿って上方に走行(上昇)する。上記とは逆に上部リン
グ3を逆転させ、下部リング4を正転させるべく駆動す
ると、本体6は一定の状態で下方に走行(下降)する。
【0018】一方、サーボモータ13,14により両リ
ング3,4を共に正転させるべく駆動すると、車輪19
が互いに逆に傾斜していることから、互いに干渉し合っ
てリング3,4は回転することができない。従って、本
体6は走行せず(定位置に止どまり)、反力によって案
内軸1の軸回りに逆転する。上記とは逆に両リング3,
4を共に逆転させるべく駆動すると、本体6は定位置で
案内軸1の軸回りに正転する。
【0019】これらの動作を表に示すと、表1のように
なる。
【0020】
【表1】
【0021】このように軸上走行装置2は、一対のリン
グ3,4の回転方向を組合わせるだけの簡単な操作によ
り本体6を案内軸1に沿って昇降させたり、所望の高さ
で停止させて軸回りに任意に回転させることができる。
また、構成ないし機構がシンプルで、軽量化が図れ、し
かもスムーズな動きが可能である。
【0022】本装置2によれば、ビルや塔のような高建
造物の高所に地上からの遠隔制御により部品や工具など
を搬送することができ、また把持具8を用いて簡単な組
立作業や清掃作業等を行わせることができる。本体6に
カメラを搭載すれば、複雑な組立作業や溶接作業も可能
である。
【0023】本発明を実機に採用したところ、各サーボ
モータ40W、定格最高速度3000rpm、案内軸の
外径140mm、装置重量34Kg、積載重量30Kg
で、垂直方向に滑りなく昇降できた。
【0024】案内軸1は長さも太さも制限されず、適度
の剛性があればよいので、パイプや丸棒の如き単純素材
を利用できる利点がある。
【0025】なお、実施例では案内軸1を起立して用い
た場合について説明したが、水平にして用いてもよい。
また、案内軸1は持運びの容易な短軸を嵌合連結して構
成するようにしてもよい。
【0026】一方、各リング3,4に取付けられる車輪
19の数は8個に限定されず、安定性から3個以上あれ
ばよい。また、車輪19をスプリングにより案内軸1に
押付けるように構成すれば、案内軸1が真円でなかった
り軸方向に同径でなかったりしてもその外径の変化に対
応することが可能となる。車輪19はローラであっても
よいが、摩耗の点からいえば案内軸1と同材質であるこ
とが好ましい。
【0027】車輪19の回転軸線c2とリング3,4の
軸線c1とのなす角αは45°に限定されず、任意の角
度でよく、好ましくは5〜60°位である。また、両リ
ング3,4の車輪19の傾斜角は等しいことが望ましい
が、多少異なっていてもサーボモータ13,14の回転
速度の制御により両リング3,4の走行速度を同期させ
ることは可能である。更に、案内軸1に車輪19の移動
軌跡に沿う螺旋状の溝を形成し、その溝内に車輪19を
係合させて転動させるようにしてもよい。
【0028】サーボモータ13,14からリング3,4
へのトルク伝達はベルト16に限らず、チェーンであっ
てもよく、あるいはプーリ12,15に代えて歯車を使
用するようにしてもよい。また、ケーブル17の巻付き
を防止するために、スリップリングを採用してもよく、
あるいは本体6にバッテリおよび受信器を搭載して送信
機により無線操縦するようにしてもよい。
【0029】図5は軸上走行装置2に位置制御用の検出
機構24を取付けた場合を示している。本体6の下面に
は案内軸1を囲むようにして複数の支持棒25が取付け
られ、これら支持棒25間には案内軸1の外周を囲む円
筒状の基準筒体26が支持車輪27を介して回転自在に
支持されている。この基準筒体26の外周にはリングギ
ヤ28が固定され、支持棒25の下端部にはそのリング
ギヤ28と噛合する歯車29を有しその回転により本体
6の回転角を検出するための第1のポテンショメータ3
0が取付けられている。
【0030】案内軸1の側方にはこれと平行に基準レー
ル31が起立して設けられ、基準筒体26の下端面より
延出した延出部26aには基準レール31を両側から挟
んでこれに沿って転動する一対のガイドローラ32が設
けられている。基準レール31にはラック33が設けら
れ、上記延出部26aにはそのラック33と噛合する歯
車34を有しその回転により本体6の走行距離(昇降
量)を検出するための第2のポテンショメータ35が取
付けられている。
【0031】従って、これら第1および第2のポテンシ
ョメータ30,35により本体6の回転角および走行距
離を検出することができるので、軸上走行装置2の位置
制御が可能となる。
【0032】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、簡単な構
成で、しかも一対のリングを正逆回転させるだけの簡単
な操作により本体を案内軸の軸方向に沿って走行させた
り、必要に応じて定位置で軸回りに任意に回転させるこ
とができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る軸上走行装置の一実施例を示す一
部破断側面図である。
【図2】同装置の平面図である。
【図3】リング上の車輪を示す平面図である。
【図4】同側面図である。
【図5】軸上走行装置に位置制御用の検出機構を取付け
た例を示す一部破断側面図である。
【符号の説明】
1 案内軸 3,4 リング 6 本体 13,14 駆動手段(サーボモータ) 19 車輪
フロントページの続き (72)発明者 石原 武志 愛知県西春日井郡西枇杷島町芳野町3丁 目1番地 株式会社高岳製作所 技術開 発センター内 (56)参考文献 実開 昭50−36271(JP,U)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 断面円形の案内軸に遊嵌される回転自在
    な一対のリングを有する本体と、各リングに案内軸を抱
    えるようにかつその軸線に対して傾斜して設けられ、傾
    斜方向が各リングで逆に配置された車輪と、本体に設け
    られ、各リングを個々に正逆回転させる駆動手段とを備
    えたことを特徴とする軸上走行装置。
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