JP2667094B2 - 高周波グロー放電発光分光分析方法 - Google Patents
高周波グロー放電発光分光分析方法Info
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- JP2667094B2 JP2667094B2 JP21850292A JP21850292A JP2667094B2 JP 2667094 B2 JP2667094 B2 JP 2667094B2 JP 21850292 A JP21850292 A JP 21850292A JP 21850292 A JP21850292 A JP 21850292A JP 2667094 B2 JP2667094 B2 JP 2667094B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、試料をスパッタリン
グしながら、発生する光を分光器で分光する高周波グロ
ー放電発光分光分析方法に関するものである。
グしながら、発生する光を分光器で分光する高周波グロ
ー放電発光分光分析方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】気体圧力が4〜10Torr程度のアルゴン雰
囲気中で、二つの電極間に高周波の高電圧を印加する
と、グロー放電が起こり、Arイオンが生成される。生
成したArイオンは高電界で加速され、陰極表面に衝突
し、そこに存在する物質をたたき出す。この現象をスパ
ッタリングと呼ぶが、スパッタされた粒子 (原子、分
子、イオン)はプラズマ中で励起され、基底状態にもど
る際にその元素に固有の波長の光を放出する。この発光
を分光器で分光する分析法が、高周波グロー放電発光分
光分析方法と呼ばれている分析方法である。放電を継続
すると、試料表面は連続的にスパッタ除去されるので、
各元素の発光強度の時間変化を測定することにより深さ
方向の元素分析が可能となる。
囲気中で、二つの電極間に高周波の高電圧を印加する
と、グロー放電が起こり、Arイオンが生成される。生
成したArイオンは高電界で加速され、陰極表面に衝突
し、そこに存在する物質をたたき出す。この現象をスパ
ッタリングと呼ぶが、スパッタされた粒子 (原子、分
子、イオン)はプラズマ中で励起され、基底状態にもど
る際にその元素に固有の波長の光を放出する。この発光
を分光器で分光する分析法が、高周波グロー放電発光分
光分析方法と呼ばれている分析方法である。放電を継続
すると、試料表面は連続的にスパッタ除去されるので、
各元素の発光強度の時間変化を測定することにより深さ
方向の元素分析が可能となる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、かか
る分析法を用いて、シリコンウェハのような基板の上
に、光を透過するSiO2 等の薄膜を有し、かつ、上記
基板および薄膜の表面が鏡面状の試料の分析が行われて
いる。しかし、スパッタリング深さとスパッタリング時
間とが、比例するとは限らず、従来は光強度積分法等で
強度から深さを間接的に求めていたため、分析が不正確
になるのは、避けられない。
る分析法を用いて、シリコンウェハのような基板の上
に、光を透過するSiO2 等の薄膜を有し、かつ、上記
基板および薄膜の表面が鏡面状の試料の分析が行われて
いる。しかし、スパッタリング深さとスパッタリング時
間とが、比例するとは限らず、従来は光強度積分法等で
強度から深さを間接的に求めていたため、分析が不正確
になるのは、避けられない。
【0004】この発明は上記従来の問題を解決するため
になされたもので、その目的は、基板および薄膜の表面
が共に鏡面状の試料について、スパッタリング時間をス
パッタリング深さに変換することができる高周波グロー
放電発光分光分析方法を提供することである。
になされたもので、その目的は、基板および薄膜の表面
が共に鏡面状の試料について、スパッタリング時間をス
パッタリング深さに変換することができる高周波グロー
放電発光分光分析方法を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、この発明は、スパッタリング時間に対する測定強度
の波打ちの周期と測定する当該光の波長に基づいて、ス
パッタリング時間をスパッタリング深さに変換する。
に、この発明は、スパッタリング時間に対する測定強度
の波打ちの周期と測定する当該光の波長に基づいて、ス
パッタリング時間をスパッタリング深さに変換する。
【0006】
【作用】以下、この発明の原理を説明する。図1(a)
は、分析装置で実際に測定した固有の元素についての光
の強度(以下、単に「測定強度」という。)のスパッタ
リング時間に対する変化を示す。この図において、測定
強度は、スパッタリング時間に対して、ほぼ一定に近い
周期T1 ,T2 ,…Tn で変化していることが分かる。
従来は上記測定強度の変化のメカニズムは明らかにされ
ていなかった。しかし、この発明者は、上記測定強度の
周期的な変化が、以下に述べるように、薄膜における反
射光の干渉により生じていることを発見し、この発明を
完成した。
は、分析装置で実際に測定した固有の元素についての光
の強度(以下、単に「測定強度」という。)のスパッタ
リング時間に対する変化を示す。この図において、測定
強度は、スパッタリング時間に対して、ほぼ一定に近い
周期T1 ,T2 ,…Tn で変化していることが分かる。
従来は上記測定強度の変化のメカニズムは明らかにされ
ていなかった。しかし、この発明者は、上記測定強度の
周期的な変化が、以下に述べるように、薄膜における反
射光の干渉により生じていることを発見し、この発明を
完成した。
【0007】図6は試料表面近傍で発光した光Lと、そ
の反射光L1,L2 …Ln の様子を示す概念図である。こ
の図において、陽イオンまたは電子によって原子が励起
されて生じた光Lは、その一部が分光器(図示せず)に
入射するとともに、他の一部Lが試料1の薄膜2の表面
2aに向う。光Lの一部は、鏡面からなる薄膜2の表面
2aのA点で反射され反射光L1 となって分光器に入射
し、光Lの他の一部がA点で屈折して鏡面からなる基板
3の表面3aのB点に向う。B点において、光の一部
は、基板3内に入射し、他の一部が反射されてC点に向
う。さらに、C点でも、光が反射、屈折されて反射光L
2 が分光器に向う。このように、薄膜2および基板3の
表面2a,3aが鏡面状であることから、光が入射、屈
折、反射を繰り返すことで、反射光 L1,L2 …Ln が
薄膜2の表面2aから出射され分光器に入射する。
の反射光L1,L2 …Ln の様子を示す概念図である。こ
の図において、陽イオンまたは電子によって原子が励起
されて生じた光Lは、その一部が分光器(図示せず)に
入射するとともに、他の一部Lが試料1の薄膜2の表面
2aに向う。光Lの一部は、鏡面からなる薄膜2の表面
2aのA点で反射され反射光L1 となって分光器に入射
し、光Lの他の一部がA点で屈折して鏡面からなる基板
3の表面3aのB点に向う。B点において、光の一部
は、基板3内に入射し、他の一部が反射されてC点に向
う。さらに、C点でも、光が反射、屈折されて反射光L
2 が分光器に向う。このように、薄膜2および基板3の
表面2a,3aが鏡面状であることから、光が入射、屈
折、反射を繰り返すことで、反射光 L1,L2 …Ln が
薄膜2の表面2aから出射され分光器に入射する。
【0008】ところで、光が反射する場合において、媒
質の光学的な密度が疎から密に変化すると、光の位相が
π(半波長)だけずれる。この位相のずれと光路差など
に従って、周知のように、反射光Li 同士が互いに強め
合ったり弱め合う干渉現象を呈する。一方、上記薄膜2
の厚さdは、スパッタリングにより、時間とともに減少
し、また、薄膜2の表面2aはスパッタリング後も鏡面
状態を保つ。上記薄膜2の厚さdの変化で光路差2nd
cosφ(nは薄膜2の絶対屈折率)も変化するから、図
1(b)に示すように、分光器に入射する光の強度は、
スパッタリング深さを横軸とした場合、理論的には一定
の周期T(nm)で変動する。したがって、この理論強
度の変化の周期T(nm)が図1(a) の測定強度の変化
の周期Ti (sec) に相当していると推測される。したが
って、測定強度の変化の周期Ti(sec) を理論強度の変
化の周期T(nm)に合致させることで、図2(a)の
ように、スパッタリング深さに対する測定強度を求める
ことができる。
質の光学的な密度が疎から密に変化すると、光の位相が
π(半波長)だけずれる。この位相のずれと光路差など
に従って、周知のように、反射光Li 同士が互いに強め
合ったり弱め合う干渉現象を呈する。一方、上記薄膜2
の厚さdは、スパッタリングにより、時間とともに減少
し、また、薄膜2の表面2aはスパッタリング後も鏡面
状態を保つ。上記薄膜2の厚さdの変化で光路差2nd
cosφ(nは薄膜2の絶対屈折率)も変化するから、図
1(b)に示すように、分光器に入射する光の強度は、
スパッタリング深さを横軸とした場合、理論的には一定
の周期T(nm)で変動する。したがって、この理論強
度の変化の周期T(nm)が図1(a) の測定強度の変化
の周期Ti (sec) に相当していると推測される。したが
って、測定強度の変化の周期Ti(sec) を理論強度の変
化の周期T(nm)に合致させることで、図2(a)の
ように、スパッタリング深さに対する測定強度を求める
ことができる。
【0009】ここで、図1(b)の理論強度の周期T
(nm)は、周知のように、下記の(1)式で表され
る。 T=λ/(2n) …(1) λ:波長 n:薄膜の絶対屈折率 したがって、理論強度の変化の周期T(nm)は、測定
する光の波長λと絶対屈折率nとから求められるので、
図1(a)の周期Ti (sec) と測定する光の波長λに基
づいて、横軸のスパッタリング時間をスパッタリング深
さに変換することができる。
(nm)は、周知のように、下記の(1)式で表され
る。 T=λ/(2n) …(1) λ:波長 n:薄膜の絶対屈折率 したがって、理論強度の変化の周期T(nm)は、測定
する光の波長λと絶対屈折率nとから求められるので、
図1(a)の周期Ti (sec) と測定する光の波長λに基
づいて、横軸のスパッタリング時間をスパッタリング深
さに変換することができる。
【0010】
【実施例】以下、この発明の一実施例を図面にしたがっ
て説明する。図6において、試料1は、たとえば、シリ
コンウェハのような基板3の上に、SiO2 膜のような
光を透過する薄膜2を有するものである。上記基板3お
よび薄膜2は、共に、その表面3aおよび表面2aが鏡
面になっている。
て説明する。図6において、試料1は、たとえば、シリ
コンウェハのような基板3の上に、SiO2 膜のような
光を透過する薄膜2を有するものである。上記基板3お
よび薄膜2は、共に、その表面3aおよび表面2aが鏡
面になっている。
【0011】図4において、上記試料1は、薄膜2の表
面2aがグリムグロー放電管4の陰極ブロック5に押し
付けられている。グリムグロー放電管4は、上記陰極ブ
ロック5と陽極ブロック6との間に、テフロンワッシャ
7が介挿されてなる。陽極ブロック6は、アルゴンガス
の供給孔6aと、第1および第2真空排気孔6b,6c
を有しており、管内Sがアルゴンの希ガス雰囲気(4〜
10Torr)とされている。陽極ブロック6には、陽極管6
dが一体形成されており、この陽極管6dは、テフロン
ワッシャ7を貫通して試料1の表面2aに近接してい
る。なお、5aは冷却液通路、8は窓板である。このグ
リムグロー放電管4は、アルゴンの陽イオンを試料1の
表面2aに衝突させることにより、試料1をスパッタリ
ングするものである。
面2aがグリムグロー放電管4の陰極ブロック5に押し
付けられている。グリムグロー放電管4は、上記陰極ブ
ロック5と陽極ブロック6との間に、テフロンワッシャ
7が介挿されてなる。陽極ブロック6は、アルゴンガス
の供給孔6aと、第1および第2真空排気孔6b,6c
を有しており、管内Sがアルゴンの希ガス雰囲気(4〜
10Torr)とされている。陽極ブロック6には、陽極管6
dが一体形成されており、この陽極管6dは、テフロン
ワッシャ7を貫通して試料1の表面2aに近接してい
る。なお、5aは冷却液通路、8は窓板である。このグ
リムグロー放電管4は、アルゴンの陽イオンを試料1の
表面2aに衝突させることにより、試料1をスパッタリ
ングするものである。
【0012】上記アルゴンの陽イオンまたは電子によっ
て励起された原子からは光が発生し、そのうちの一部は
分光器10に直接入射する。これを直接光Laとする。
それに対し、試料1へ向かった光は、試料1により反射
され反射光ΣLi として、分光器10に入射する。直接
光Laおよび反射光ΣLi は、窓板8を透過して、図3
の入射スリット9を通して、分光器10の回折格子11
に向う。回折格子11で分光された光は、出射スリット
13を通して、必要な波長の光を、光電子増倍管12に
入射させる。
て励起された原子からは光が発生し、そのうちの一部は
分光器10に直接入射する。これを直接光Laとする。
それに対し、試料1へ向かった光は、試料1により反射
され反射光ΣLi として、分光器10に入射する。直接
光Laおよび反射光ΣLi は、窓板8を透過して、図3
の入射スリット9を通して、分光器10の回折格子11
に向う。回折格子11で分光された光は、出射スリット
13を通して、必要な波長の光を、光電子増倍管12に
入射させる。
【0013】つぎに、上記構成の動作について説明す
る。図4の陰極である試料1と陽極ブロック6との間
に、数百〜数千ボルトの高周波電圧を印加すると、グロ
ー放電を生じ、アルゴンの陽イオンが生成される。生成
されたArイオンは、陰極である試料1に衝突し、薄膜
2の表面2aから原子をたたき出す。図5のように、た
たき出されて剥離した原子2bは、Arイオンまたは電
子によって励起され、再び基底状態に戻る際に元素固有
の光を放出する。光の一部(直接光)Laは、前述のよ
うに、分光器10(図3)に直接入射し、他の一部は
〔作用〕の項で述べたように、反射光ΣLi として図3
の分光器10に入射する。分光器10に入射した、直接
光Laおよび反射光ΣLi は、回折格子11で回折され
て、波長ごとに分光され、光電子増倍管12に入射し
て、その強度が測定される。
る。図4の陰極である試料1と陽極ブロック6との間
に、数百〜数千ボルトの高周波電圧を印加すると、グロ
ー放電を生じ、アルゴンの陽イオンが生成される。生成
されたArイオンは、陰極である試料1に衝突し、薄膜
2の表面2aから原子をたたき出す。図5のように、た
たき出されて剥離した原子2bは、Arイオンまたは電
子によって励起され、再び基底状態に戻る際に元素固有
の光を放出する。光の一部(直接光)Laは、前述のよ
うに、分光器10(図3)に直接入射し、他の一部は
〔作用〕の項で述べたように、反射光ΣLi として図3
の分光器10に入射する。分光器10に入射した、直接
光Laおよび反射光ΣLi は、回折格子11で回折され
て、波長ごとに分光され、光電子増倍管12に入射し
て、その強度が測定される。
【0014】一方、図5の薄膜2は、上記Arイオンの
衝突によりスパッタリングされ、その厚さdが時間とと
もに徐々に薄くなる。こうして、上記測定強度をスパッ
タリング時間の経過とともに測定して、図1(a)のデ
ータを得る。なお、図1(a)は酸素のスペクトル(波長
130.2nm)についての測定強度である。
衝突によりスパッタリングされ、その厚さdが時間とと
もに徐々に薄くなる。こうして、上記測定強度をスパッ
タリング時間の経過とともに測定して、図1(a)のデ
ータを得る。なお、図1(a)は酸素のスペクトル(波長
130.2nm)についての測定強度である。
【0015】つぎに、上記データのスパッタリング時間
をスパッタリング深さに変換する方法について述べる。
得られた測定強度は、この図から分るように、スパッタ
リング時間に対して波を打ち、周期T1,T2 …Tn を有
する。
をスパッタリング深さに変換する方法について述べる。
得られた測定強度は、この図から分るように、スパッタ
リング時間に対して波を打ち、周期T1,T2 …Tn を有
する。
【0016】一方、スパッタリング深さごとに分光器1
0(図3)に入射する相対理論強度ITOTAL は、直接光
La(図5)の強度を1としたとき、下記の(2)式で
表される。 ITOTAL =1+R…(2) 但し、R:反射率
0(図3)に入射する相対理論強度ITOTAL は、直接光
La(図5)の強度を1としたとき、下記の(2)式で
表される。 ITOTAL =1+R…(2) 但し、R:反射率
【0017】
【数1】
【0018】ここで、理論強度は、〔作用〕の項で述べ
たように、図1(b)のように、薄膜2の厚さに対し
て、つまり、スパッタリング深さに対して、周期T(n
m)=λ/(2n)で波を打つ。この理論強度の変化の
周期T(nm)は、図1(a)の測定強度の変化の周期
Ti (sec) に対応するので、たとえば、波形における谷
から谷の区間Ti を、図1(b)の周期T(nm)に合
せて補正することにより、図2(a)のように、スパッ
タリング深さに対する測定強度を求めることができる。
つまり、図1(a)のt0,t1 …tn における強度を図
1(b)の各スパッタリング深さd0,d1 …dn に写す
とともに、各々の小区間ではスパッタリング深さがスパ
ッタリング時間に比例関係に近いので、図1(a)の時
間周期Tiに係数αi =T/Ti を乗算して、時間周期
Ti を図1(b)の深さ周期Tに合せて、波形を補正す
ることにより、スパッタリング深さに対する測定強度を
求めることができる。これを数式で表わせば、任意のス
パッタリング時間tにおけるスパッタリング深さDは、 D=di +(t−ti )αi で表わされる。
たように、図1(b)のように、薄膜2の厚さに対し
て、つまり、スパッタリング深さに対して、周期T(n
m)=λ/(2n)で波を打つ。この理論強度の変化の
周期T(nm)は、図1(a)の測定強度の変化の周期
Ti (sec) に対応するので、たとえば、波形における谷
から谷の区間Ti を、図1(b)の周期T(nm)に合
せて補正することにより、図2(a)のように、スパッ
タリング深さに対する測定強度を求めることができる。
つまり、図1(a)のt0,t1 …tn における強度を図
1(b)の各スパッタリング深さd0,d1 …dn に写す
とともに、各々の小区間ではスパッタリング深さがスパ
ッタリング時間に比例関係に近いので、図1(a)の時
間周期Tiに係数αi =T/Ti を乗算して、時間周期
Ti を図1(b)の深さ周期Tに合せて、波形を補正す
ることにより、スパッタリング深さに対する測定強度を
求めることができる。これを数式で表わせば、任意のス
パッタリング時間tにおけるスパッタリング深さDは、 D=di +(t−ti )αi で表わされる。
【0019】なお、この変換は測定されたt0,t1 …t
n および演算により求められたd0,d1 …dn から深さ
Dを時間tの関数で表わし D=F(t) で表わしてもよい。例えば深さDを時間tの2次関数で
近似するならば、 D=At2 +Bt+C で表わされ、最小二乗法で定数A,B,Cを求めるなど
してもよい。
n および演算により求められたd0,d1 …dn から深さ
Dを時間tの関数で表わし D=F(t) で表わしてもよい。例えば深さDを時間tの2次関数で
近似するならば、 D=At2 +Bt+C で表わされ、最小二乗法で定数A,B,Cを求めるなど
してもよい。
【0020】変換した測定強度には、図5の反射光ΣL
i の強度が含まれており、この反射光ΣLi の強度が前
述のように、薄膜2の厚さdに応じて変化している。し
たがって、各元素の濃度を知るためには、まず、変換し
た測定強度から、上記基板3および薄膜2の表面3a,
2aで反射された反射光の強度を除去して、分光器10
(図3)に直接入射した直接光Laの強度を得る必要が
ある。
i の強度が含まれており、この反射光ΣLi の強度が前
述のように、薄膜2の厚さdに応じて変化している。し
たがって、各元素の濃度を知るためには、まず、変換し
た測定強度から、上記基板3および薄膜2の表面3a,
2aで反射された反射光の強度を除去して、分光器10
(図3)に直接入射した直接光Laの強度を得る必要が
ある。
【0021】以下、この直接光Laの強度の求め方を説
明する。上記(2)式の反射率Rは、前述の(3)式な
いし(5)式から分るように、薄膜2の厚さdが既知で
あれば、つまり、スパッタリング深さが既知であれば、
知ることができる。したがって、図2(a)のスパッタ
リング深さに対する測定強度において、その測定強度を
(1+R)で除算することにより、図2(b)のよう
に、直接光Laの強度を得る。
明する。上記(2)式の反射率Rは、前述の(3)式な
いし(5)式から分るように、薄膜2の厚さdが既知で
あれば、つまり、スパッタリング深さが既知であれば、
知ることができる。したがって、図2(a)のスパッタ
リング深さに対する測定強度において、その測定強度を
(1+R)で除算することにより、図2(b)のよう
に、直接光Laの強度を得る。
【0022】つぎに、直接光Laの強度から、元素の濃
度の求め方を簡単に説明する。まず、予め、濃度が既知
の複数の標準試料を用意し、それぞれについて、直接光
Laの強度を測定して、濃度と直接光Laの強度との関
係を求めておく。つづいて、分析しようとする試料につ
いての直接光Laの強度を求め、上記関係から元素の濃
度を求める。
度の求め方を簡単に説明する。まず、予め、濃度が既知
の複数の標準試料を用意し、それぞれについて、直接光
Laの強度を測定して、濃度と直接光Laの強度との関
係を求めておく。つづいて、分析しようとする試料につ
いての直接光Laの強度を求め、上記関係から元素の濃
度を求める。
【0023】ところで、上記実施例では、図1の波形の
谷のスパッタリング時間ti およびスパッタリング深さ
di に着目して、ポイントti をポイントdi に一致さ
せたが、山に着目して、時間から深さへの変換を行って
もよく、あるいは、山および谷の双方を用いて変換を行
ってもよい。
谷のスパッタリング時間ti およびスパッタリング深さ
di に着目して、ポイントti をポイントdi に一致さ
せたが、山に着目して、時間から深さへの変換を行って
もよく、あるいは、山および谷の双方を用いて変換を行
ってもよい。
【0024】なお、上記実施例では、直接光Laの強度
を求め、更に、各元素の濃度を求めることとした。しか
し、この発明では、必ずしも、これらの強度、濃度を求
める必要はなく、たとえば、図2(a)のように、スパ
ッタリング深さに対する測定強度を求めるだけでもウェ
ハの合否を判定できるなど大きな意義があり、したがっ
て、この発明の範囲に含まれる。
を求め、更に、各元素の濃度を求めることとした。しか
し、この発明では、必ずしも、これらの強度、濃度を求
める必要はなく、たとえば、図2(a)のように、スパ
ッタリング深さに対する測定強度を求めるだけでもウェ
ハの合否を判定できるなど大きな意義があり、したがっ
て、この発明の範囲に含まれる。
【0025】また、上記実施例では、図6の薄膜2が一
層である場合について述べたが、薄膜2が2層以上の場
合についても、この発明の原理を適用でき、したがっ
て、この発明の範囲に含まれる。さらに、薄膜2は、完
全に光を透過する必要はなく、光の一部または全部を透
過するものであれば、この発明を適用できる。
層である場合について述べたが、薄膜2が2層以上の場
合についても、この発明の原理を適用でき、したがっ
て、この発明の範囲に含まれる。さらに、薄膜2は、完
全に光を透過する必要はなく、光の一部または全部を透
過するものであれば、この発明を適用できる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、この発明によれ
ば、基板および薄膜の表面が共に鏡面状の試料につい
て、スパッタリング時間をスパッタリング深さに変換す
ることができるから、スパッタリング深さに対する測定
強度が得られるので、分析精度が向上する。
ば、基板および薄膜の表面が共に鏡面状の試料につい
て、スパッタリング時間をスパッタリング深さに変換す
ることができるから、スパッタリング深さに対する測定
強度が得られるので、分析精度が向上する。
【図1】(a)はスパッタリング時間に対する測定強度
の変化を示す特性図、(b)はスパッタリング深さに対
する相対理論強度の変化を示す特性図である。
の変化を示す特性図、(b)はスパッタリング深さに対
する相対理論強度の変化を示す特性図である。
【図2】(a)はスパッタリング深さに対する測定強度
の変化を示す特性図、(b)は直接光のスパッタリング
深さに対する強度を示す特性図である。
の変化を示す特性図、(b)は直接光のスパッタリング
深さに対する強度を示す特性図である。
【図3】一般的な分析装置の概略構成図である。
【図4】一般的なグリムグロー放電管の一例を示す断面
図である。
図である。
【図5】試料表面近傍の拡大図である。
【図6】反射光の生じる様子を示す概念的な断面図であ
る。
る。
1…試料、2…薄膜、2a…表面、3…基板、3a…表
面、Ti …波打ちの周期。
面、Ti …波打ちの周期。
Claims (1)
- 【請求項1】 基板の上に光を透過する薄膜を有し、か
つ、基板および薄膜の表面が鏡面状の試料に、陽イオン
を衝突させることにより、上記試料の薄膜をスパッタリ
ングするとともに、上記陽イオンまたは電子によって励
起された原子から発生する光の測定強度に基づいて試料
の分析を行う高周波グロー放電発光分光分析方法におい
て、 スパッタリング時間に対する測定強度の波打ちの周期と
測定する当該光の波長に基づいて、スパッタリング時間
をスパッタリング深さに変換することを特徴とする高周
波グロー放電発光分光分析方法。
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JP21850292A JP2667094B2 (ja) | 1992-07-24 | 1992-07-24 | 高周波グロー放電発光分光分析方法 |
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JP21850292A JP2667094B2 (ja) | 1992-07-24 | 1992-07-24 | 高周波グロー放電発光分光分析方法 |
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JPH0643100A JPH0643100A (ja) | 1994-02-18 |
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JP4565662B2 (ja) * | 2007-04-16 | 2010-10-20 | 株式会社堀場製作所 | 測定方法および測定装置 |
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- 1992-07-24 JP JP21850292A patent/JP2667094B2/ja not_active Expired - Fee Related
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