JP2666424B2 - マイクロ波帯送受信共用無線装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は送受分波器を内蔵した双方向通信用マイクロ
波帯送受信共用無線装置に関するものである。

〔従来の技術〕

従来、この種の送受信共用無線装置は、第４図に示す
ように、送信IF（中間周波信号）を、IF増幅部11,ミキ
サ10,高出力増幅部９からなる高出力コンバータ12で増
幅してRF信号として出力し、受信したRF信号は、低雑音
増幅部5,ミキサ6,IF増幅部７からなる低雑音コンバータ
８で増幅してIF信号として出力する構成となっている。
13は局部発振器である。

そして、この無線装置においては、送信信号の受信側
への回り込みを防ぐために、高出力コンバータ12と低雑
音コンバータ８との共通入出力部に送受分波器１を挿入
しており、特に送信搬送波の受信側への漏れ込みによる
低雑音コンバータ８への影響を阻止するために、送信周
波数帯域における必要減衰量をすべて前記分波器１のみ
に割り振った構成をとっていた。

〔発明が解決しようとする課題〕

上述した従来の送受信共用無線装置の様に、送信搬送
波の受信側への漏れ込みを送受分波器１のみで抑圧する
構成では、受信側に与える影響、具体的には低雑音コン
バータ８の各増幅部出力における漏れ込み送信波パワー
による利得圧縮を阻止するためには、分波器１の受信側
送信周波数帯域における減衰量を大きく設定しなければ
ならない。しかし、通常、分波器１の減衰量を大きくと
った場合には、受信帯域における分波器挿入損失も増加
する傾向にあるため、低雑音増幅部５の入力側損失によ
る受信雑音特性の劣化が生じるという問題が出てくる。

本発明は受信側の低雑音化を可能とした無線装置を提
供することを目的とする。

〔課題を解決するための手段〕

本発明の送受信共用無線装置は、送受分波器を設けて
送信信号の受信側への回り込みを防止するように構成し
た送受信共用無線装置に設けた受信用低雑音コンバータ
の低雑音増幅部を、縦続接続した初段増幅素子および後
段増幅素子と、これら増幅素子の間に介挿して送信周波
数帯域を抑圧する段間フィルタとで構成し、前記送受分
波器、初段増幅素子、段間フィルタ、後段増幅素子をこ
の順序で直接的に接続し、受信側へ漏れ込んだ送信信号
が減衰と増幅が交互に行われながら所定レベル以下にま
で減衰されるように構成している。

〔作用〕

上述した構成では、受信側への送信信号の漏れ込みを
阻止するために必要とされる送信周波数帯域における減
衰量を、送受分波器と段間フィルタとに分散させて受け
持たせ、送受分波器における負担を軽減して該分波器の
挿入損失を軽減し、受信雑音特性を改善する。

〔実施例〕

次に、本発明を図面を参照して説明する。

第１図は本発明の一実施例の構成を示すブロック図で
ある。この図において12は送信IF信号を増幅する高出力
コンバータ部、８は受信したRF信号を増幅する低雑音コ
ンバータ部であり、これらの共通入出力部には送受分波
器１を配設している。

前記高出力コンバータ12は、高出力増幅部9,ミキサ1
0,IF増幅部11及び局部発振器13により構成され、また低
雑音コンバータ８は低雑音増幅部5,ミキサ6,IF増幅部７
及び前記局部発振器13で構成されている。そして、ここ
では、低雑音増幅部５と縦続接続した２つの低雑音増幅
素子3,4と、これら増幅素子3,4の段間に挿入されたフィ
ルタ２を有しており、この段間フィルタ２と前記送受分
波器１により受信側への送信波漏れ込みによる影響を阻
止している。

この様に構成された装置における送受回り込み経路の
送受信波レベルを、第２図のダイアグラム図を用いて説
明する。ここでL1〜L15はパワーレベルを,ATT1〜ATT4は
減衰量を表わしている。

高出力増幅部９によって最終的に増幅された高出力レ
ベル（L1）の送信搬送波は、送受分波器１を経てレベル
L2にて装置から出力されるが、その際分波器１の内部に
て受信側へ漏れ込んだ送信波は分波器受信側の送信周波
数帯域における減衰（ATT1）を受ける事により、L3のレ
ベルまで抑圧される。この受信側入力部に表れた漏れ込
み送信波は、低雑音増幅部５の初段増幅素子３にてL4の
レベルまで増幅された後、段間フィルタ２により更に減
衰（ATT2）を受け、続いて後段増幅素子4,周波数変換部
6,及び増幅部７を経て装置出力にてL8のレベルに増幅さ
れる。

この漏れ込み送信波のパワーレベルに対して、受信波
は入力として極端に低いレベル（L9）が与えられ、同様
に増幅された後、L15のレベルにて出力される。ただ
し、ATT3とATT4は、それぞれ送受分波器１及び段間フィ
ルタ２の受信帯域挿入損失に相当する。

第２図により、送信波の漏れ込みに対する受信波レベ
ルは極端に低いため、低雑音コンバータ８を構成する各
増幅部素子3,4の飽和出力レベルを考慮しながら受信系
レベル・ダイアグラムを決定する際、双方向通信時の受
信系への２つの印加波のうち、送信波の漏れ込みのパワ
ーレベルが支配的であることが判る。

したがって本実施例の構成を採用する場合、次の点を
総合的に考慮した上で、装置の受信雑音特性規格を満足
する様に、送受分波器１と段間フィルタ２の送信帯域減
衰量の割り振りを最適に決定する必要がある。

（１）装置の送信パワーに基づき、受信側への漏れ込み
による受信系利得圧縮の阻止を目的とした各減衰量及び
受信系レベル・ダイアグラムの決定を行う。

（２）送受分波器１の減衰量割り振りを極力軽減させ、
受信帯域における分波器挿入損失の低減による受信系の
低雑音化を計る。

第３図のグラフは、第１図に示した本発明の無線装置
の受信雑音特性を第４図の従来例の装置の特性と比較し
たものである。第３図において、曲線Ａは本発明装置の
雑音特性であり、曲線Ｂは従来装置の特性を表してい
る。これから判る様に、本発明，従来例共に送信波の受
信回り込みによる影響を阻止した上で得られる雑音特性
ではあるが、本発明では受信低雑音コンバータ８入力部
の送受分波器１の挿入損失を低減させている事により、
雑音特性は大きく改善されている。

〔発明の効果〕

以上説明したように本発明は、受信用低雑音コンバー
タの低雑音増幅部を、縦続接続した２つの増幅素子と段
間フィルタとで構成しているので、受信側への送信信号
の漏れ込みを阻止するために必要とされる送信周波数帯
域における減衰量を、送受分波器と段間フィルタとに分
散させて受け持たせることが可能となり、送受分波器に
おける負担を軽減して該分波器の挿入損失を軽減し、送
受共用無線装置の受信系雑音特性を大きく改善できる効
果がある。また、減衰量の分散に伴って送受分波器の小
型化を図れることができ、装置形状の小形・軽量化を実
現できる効果もある。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の一実施例を示すブロック図、第２図は
第１図の装置における送受波レベルのダイアグラム図、
第３図は本発明装置と従来装置の雑音特性を比較して示
す図、第４図は従来の構成例を示すブロック図である。 １……送受分波器、２……段間フィルタ、3,4……増幅
素子、５……低雑音増幅部、６……ミキサ、７……IF増
幅部、８……低雑音コンバータ、９……高出力増幅部、
10……ミキサ、11……IF増幅部、12……高出力コンバー
タ、13……局部発振器。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】送信用高出力コンバータと受信用低雑音コ
   ンバータの共通入出力部に送受分波器を設けて送信信号
   の受信側への回り込みを防止するように構成したマイク
   ロ波帯の送受信共用無線装置において、前記受信用低雑
   音コンバータ内に設けた低雑音増幅部を、縦続接続した
   初段増幅素子および後段増幅素子と、これら増幅素子の
   間に介挿して送信周波数帯域を抑圧する段間フィルタと
   で構成し、前記送受分波器、初段増幅素子、段間フィル
   タ、後段増幅素子をこの順序で直接的に接続し、受信側
   へ漏れ込んだ送信信号が減衰と増幅が交互に行われなが
   ら所定レベル以下にまで減衰されるように構成したこと
   を特徴とするマイクロ波帯送受信共用無線装置。