JP2665600B2 - クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物 - Google Patents

クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物

Info

Publication number
JP2665600B2
JP2665600B2 JP63220640A JP22064088A JP2665600B2 JP 2665600 B2 JP2665600 B2 JP 2665600B2 JP 63220640 A JP63220640 A JP 63220640A JP 22064088 A JP22064088 A JP 22064088A JP 2665600 B2 JP2665600 B2 JP 2665600B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
clavamine
compound
group
acid
salt
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP63220640A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0269497A (ja
Inventor
正則 吉岡
哲夫 芝
Original Assignee
正則 吉岡
哲夫 芝
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by 正則 吉岡, 哲夫 芝 filed Critical 正則 吉岡
Priority to JP63220640A priority Critical patent/JP2665600B2/ja
Publication of JPH0269497A publication Critical patent/JPH0269497A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2665600B2 publication Critical patent/JP2665600B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/55Design of synthesis routes, e.g. reducing the use of auxiliary or protecting groups

Landscapes

  • Agricultural Chemicals And Associated Chemicals (AREA)
  • Peptides Or Proteins (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、殺虫剤として有用なクラバミンに関する。
該化合物はジョロウグモ(Joro spider,Nephila clavat
a)の毒腺中に含まれる一成分である。
従来の技術 ジョロウグモ毒腺に含まれる化合物で、これら毒腺か
ら精製単離され、実質的に純粋な形態である化合物につ
いて特開昭60−184021に記載されている。これら純粋化
合物についての諸特性が確認されるとともにグルタミン
酸レセプター阻害作用を有することが確認されている。
これらの阻害活性はイセエビ歩脚神経筋接合部などにお
ける興奮性シナプス後電位(EPSP)を測定することによ
り確認されている。該化合物は分子量500±200であり、
シリカゲル薄層クロマトグラフィ〔シリカゲルメルク76
0,n−プロピルアルコール・水混合溶媒7:3(v/v)〕でR
f値0.20である。
特願昭62−23147にも、ジョロウグモ類の毒腺から得
られるグルタミン酸レセプター阻害作用を有する化合物
が一部開示されている。同化合物は、2,4−ジヒドロキ
シフェニルアセチル基を一方の末端に、もう一方には、
ポリアミンとそれに続いて末端にアルギニル基を持つ構
造を有する。
特願昭63−105080では、グルタミン酸レセプター阻害
作用を発現する化学的に合成され新規アミド化合物が合
成されている。
発明が解決しようとする課題 ジョロウグモの毒腺中の活性成分については上記した
ように一部解明がなされてきているものの、依然として
単離されていず、従って物性、構造その化学合成法等も
未解明の成分が在る。本発明の目的は上記したようなジ
ョロウグモの毒腺から得られる、公知化合物とはまた異
なる新規な活性物質の存在を確認し、その単離精製法及
び化学合成法を確立し、更には生物活性を確認するとと
もにその用途を見出すことである。
課題を解決するための手段 本発明者らは上記の目的を達成すべく種々検討を行な
ったところ、意外にも、公知の特開昭60−184021や先願
の特願昭62−23147に開示されたジョロウグモ毒腺から
の抽出物質が高いグルタミン酸レセプター阻害活性を有
していたのに対し、このような高いグルタミン酸レセプ
ター阻害活性は示さない反面、チカイエカ等の尾虫に対
し強い殺虫活性を有するフラクションを見出し、これら
の精製単離方法、構造、化学的合成法等につき、更に鋭
意検討を重ね本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、 (1) 下式〔以下、式(1)とする〕で表わされるク
ラバミン又はその塩。
(2) ジョロウグモ(Joro spider,Nephila clavat
a)の毒腺を所望により破砕した後、同毒腺から抽出
し、単離精製することを特徴とするクラバミン又はその
塩の製造法。
(3) 2,4−ジヒドロキシフェニルアセチル基又は2,4
−ジヒドロキシフェニルアセチル基を末端に有するクラ
バミンのペプチドフラグメントと、クラバミンのその残
余の部分に相当するペプチドフラグメントとを結合させ
要すれば保護基を脱離することを特徴とするクラバミン
又はその塩の製造法。
(4) クラバミン又はその塩と農薬的に許容し得る担
体とを含有することを特徴とする殺虫剤組成物に関す
る。
化合物(1)の塩としては、無機酸又は有機酸との塩
があげられる。無機酸塩としては、塩酸塩、硫酸塩、炭
酸塩、硝酸塩があげられる。有機酸塩としては、ギ酸
塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、コハク酸
塩、安息香酸塩、パラトルエンスルホン酸塩等があげら
れる。又化合物(1)は金属との錯塩であってもよく、
そのような金属として、カルシウム、亜鉛、マグネシウ
ム、コバルト、銅、鉄等があげられる。
尚、式(1)で示されるクラバミンを構成するアミノ
酸は、L体、D体、DL体のいずれでもよいが、L体がよ
り好ましい。
上記式(1)で示される本発明化合物は分子量792
で、一方の末端には、ジョロウグモ毒腺から得られる他
の公知物質と同様2,4−ジヒドロキシフェニルアセチル
基とそれに続くアスパラギニル基を有する一方、もう一
端はアルギニンのN末端であり、これに続きグリシル
基、アラニル基とアミノ酸がペプチド結合を介し、つな
がっているという特殊な構造を持っている、これらの点
で本発明のクラバミンは前記した特開昭60−184021並び
に特願昭62−23147に開示されたジョロウグモ毒腺から
得た物質とは、明確に区別される。また特願昭63−1050
80で具体的に開示された合成アミド化合物とも構造が異
なる。
又、本発明のクラバミンは、下記に記述するような物
理的・化学的特性を有し、更に上記の公知物質と大きく
区別される点として、あまり高いグルタミン酸レセプタ
ー阻害作用は示さない反面、強い殺虫活性を示すという
特有の生物活性を有する化合物である。
以下に、本発明のクラバミン又はその塩の製造法につ
いて述べる。
本発明のクラバミンは、ジョロウグモ毒腺から抽出,
精製することにより得ることができる。
抽出の効果を高めるために、抽出に先立って破砕の工
程を加えることが好ましい。
破砕は常法に従って行なうことができる。例えば、ア
トマイザー、ホモジナイザー、超音波による破砕等が挙
げられる。通常、水や生理食塩水、pH7.4程度のリン酸
緩衝液等の適当な溶媒中でホモゲナイズするのが好都合
である。
抽出にあたっては、通常の抽出法を適用することがで
きる。一般的にはホモゲナイズに関して上記したような
溶媒中で、撹拌機や遠心分離機等を用いて行なうのが効
率的である。あらかじめ溶媒中でホモゲナイズするよう
な破砕処理を施す場合は、そのまま抽出操作を行なうこ
とができ好都合である。遠心分離機を使用する場合の遠
心の速度は1000〜100000回転/分、遠心の時間は5分〜
3時間程度である。
精製は、ゲルろ過(分子ふるい)、イオン交換樹脂に
よる精製、シリカゲル薄層クロマトグラフィー(以下、
TLCと略称することがある),高速液体クロマトグラフ
ィー(以下、HPLCと略称することがある)などの精製手
段を用いて行なうことができる。とりわけ、分子ふるい
とHPLCで行なうのが好ましい。又クラバミンは金属イオ
ンとの塩として存在しているのでこのような金属イオン
除去のためのSP−セファデックスカラム等を用いたカラ
ムクロマトグラフィーを通すのが望ましい。さらに具体
的には例えばセファデックスG−10カラムによる分子ふ
るい,MPG−ODSカラムによるHPLC,SP−セファデックスカ
ラムクロマトグラフィーの組み合わせがとりわけ好適な
精製法として挙げられる。
このようにして精製された目的物は、TLCやHPLCによ
って、単一物質であることを確認することができる。こ
のようなTLCの具体的方法を挙げれば、プレートとして
は例えば、微結晶セルロース,シリカゲル等を、溶媒と
しては、プロピルアルコール/水,フェノール/水等の
混合溶媒を用い、フルオレスカミン等で検出することに
よって行うことができる。TLCにおいて、単一スポット
として検出された画分を取ることにより、単離精製され
た実質的に純粋な成分を得ることができる。
このようにして単離精製されかつ単一物質として確認
されたクラバミンは、ガスクロマトグラフィー(以下GC
と記すことがある),エドマン分解,ダンシル(以下DN
Sと略記する)化等によりアミノ酸分析を行なうととも
1H−NMR及び13C−NMRスペクトロメトリー,マススペ
クトロメトリー(以下MSと略記する)等の分析手段によ
り、構造決定を行なうことができる。
具体的には、クラバミンの構造決定は、精製物質の加
水分解物をガスクロマトグラフィー(GC)により分析し
てまずグリシン(Gly)、カダベリン(Cad)、2,4−ジ
ヒドロキシフェニル酢酸(DHA)、アラニン(Ala)、ア
スパラギン酸(Asp)、アルギニン(Arg)およびプトレ
アニン(Put)の存在が確認された。
次にエドマン分解およびダンシル(DNS)化により、
アミノ酸配列がArg−Gly−Alaと決定された。さらにこ
れにPut−Cad−アスパラギン(Asn)−DHAが結合してい
ることが推定され、これは1H−および13C−NMRスペクト
ロメトリーおよびマススペクトロメトリー(MS)により
この推定が裏付けられた。
このようにしてクラバミンは第1図に示すように分子
量792の構造を持つことが判明した。
更に、このような構造を有するクラバミンの化学的合
成法についても種々検討した。
式(1)で表わされるクラバミン又はその塩は、通
常、2,4−ジヒドロキシフェニルアセチル基又は、2,4−
ジヒドロキシフェニルアセチル基を有するクラバミンの
ペプチドフラグメントと、クラバミンのその残余の部分
に相当するペプチドフラグメントとを結合させ、要すれ
ば保護基を脱離することによって製造される。
すなわち、本発明目的化合物は分子内に5つのペプチ
ド基−CONH−基を有しているので、その任意の一つのペ
プチド基に着目すると、本発明目的化合物はR−CONH−
R′で表わすことができ、本発明化合物はRCO−と−NH
−R′とを結合することにより製造される。
ここで、RとR′は、その着目したクラバミンのペプ
チド結合をはさむ、クラバミンの両側の基をそれぞれ示
す。
例えば、 より具体的には、本発明の目的化合物は、RCOOH,その
反応性誘導体、又はその塩とH2N−R′とを縮合させる
ことにより製造される。(RとR′は前義の通りであ
る。) を反応させる等というように、通常、クラバミンの合成
は(A)2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸又は、2,4−ジ
ヒドロキシフェニルアセチル基を有し、その後にクラバ
ミンの対応するフラグメントを有する化合物(以下、化
合物(A)とする。)又はその誘導体又はその塩と
(B)クラバミンのその残余の部分に相当するフラグメ
ントをもつ化合物(以下、化合物(B)とする。)又は
その誘導体又はその塩とを通常、縮合させることにより
行なわれる。
化合物(A)及び(B)は必要により、ペプチド鎖を
延長するための縮合反応に関与しない官能基は保護され
ていてもよい。
上記化合物(A),(B)が保護基を有する場合、化
合物(A)と(B)の縮合反応の後、保護基を除去する
ことによりクラバミン又はその塩を得ることができる。
このような保護基としては、ペプチド合成分野で一般
に用いられる保護基が、ここでも適用することができ
る。化合物(A),(B)のうち、カルボキシル基を有
する側の化合物の塩としては無機塩基塩,有機塩基塩が
あげられる。無機塩基塩としてはアルカリ金属塩(たと
えばナトリウム塩,カリウム塩など)、アルカリ土類金
属塩(たとえばカルシウム塩など)などが例示される。
化合物(A),(B)の有機塩基塩としてはたとえばト
リメチルアミン塩,トリエチルアミン塩,tert−ブチル
ジメチルアミン塩,シクロヘキシルアミン塩,ジベンジ
ルメチルアミン塩,ベンジルジメチルアミン塩,N,N−ジ
メチルアニリン塩,ピリジン塩,キノリン塩などが例示
される。
一方、化合物(A),(B)のうちアミノ基を有する
側の化合物の塩としては無機酸または有機酸との塩など
があげられる。無機酸塩としてはたとえば塩酸塩,臭化
水素酸塩,硫酸塩,硝酸塩,リン酸塩などが、有機酸塩
としてはギ酸塩,酢酸塩,トリフルオロ酢酸塩,メタン
スルホン酸塩,p−トルエンスルホン酸塩などが例示され
る。
化合物(A),(B)のうち、ペプチド鎖を延ばす縮
合反応に関与するカルボキシル基を提供する側の化合物
の該カルボキシル基は遊離のままでもよいが、その反応
性誘導体に導くことによりC末端を活性化して反応に付
してもよい。
上記化合物(A),(B)の誘導体とは、官能基が保
護された化合物および/又はそのカルボキシル基におけ
る反応性誘導体を意味する。化合物(A),(B)の反
応性誘導体としては酸ハライド,酸アジド,酸無水物,
混合酸無水物,活性アミド,活性エステル,活性チオエ
ステルなどがあげられる。化合物(A),(B)の酸ハ
ライドとしてはたとえば酸クロライド,酸ブロマイドな
どが、混合酸無水物としてはモノアルキル炭酸混合酸無
水物(たとえば(A),(B)とモノメチル炭酸,モノ
エチル炭酸,モノイソプロピル炭酸,モノイソブチル炭
酸,モノtert−ブチル炭酸,モノベンジル炭酸,モノ
(p−ニトロベンジル)炭酸,モノアリル炭酸などとの
混合酸無水物)、脂肪族カルボン酸混合酸無水物(たと
えば(A),(B)と酢酸,トリクロロ酢酸,シアノ酢
酸,プロピオン酸,酪酸,イソ酪酸,吉草酸,イソ吉草
酸,ピバル酸,トリフルオロ酢酸,トリクロロ酢酸,ア
セト酢酸などとの混合酸無水物)、芳香族カルボン酸混
合酸無水物(たとえば(A),(B)と安息香酸,p−ト
ルイル酸,p−クロロ安息香酸などとの混合酸無水物)、
有機スルホン酸混合酸無水物(たとえば(A),(B)
とメタンスルホン酸,エタンスルホン酸,ベンゼンスル
ホン酸,p−トルエンスルホン酸などとの混合酸無水物)
などが、活性アミドとしては含窒素複素環化合物とのア
ミド(たとえば(A),(B)とピラゾール,イミダゾ
ール,ベンゾトリアゾールなどとの酸アミドで、これら
の含窒素複素環化合物はアルキル基,アルコキシ基,ハ
ロゲン原子,オキソ基,チオキソ基,アルキルチオ基な
どの置換基を有していてもよい)などが例示される。
(A),(B)の活性エステルとしてはペプチド合成の
分野でこの目的に用いられるものはすべて利用でき、有
機リン酸エステル(たとえばジエトキシリン酸エステ
ル,ジフェノキシリン酸エステルなど)のほかp−ニト
ロフェニルエステル,2,4−ジニトロフェニルエステル,
シアノメチルエステル,ペンタクロロフェニルエステ
ル,N−ヒドロキシサクシンイミドエステル,N−ヒドロキ
シフタルイミドエステル,1−ヒドロキシベンゾトリアゾ
ールエステル,6−クロロ−1−ヒドロキシベンゾトリア
ゾールエステル,1−ヒドロキシ−1H−2−ピリドンエス
テルなどが例示される。(A),(B)の活性チオエス
テルとしては芳香族複素環チオール化合物とのエステル
(たとえば2−ピリジルチオールエステル,2−ベンゾチ
アゾリルチオールエステルなどで、これらの複素環はア
ルキル基,アルコキシ基,ハロゲン原子,アルキルチオ
基などの置換基を有していてもよい)が例示される。
原料化合物(A)のベンゼン環上の2個の水酸基は保
護されていてもよい。保護基としては置換もしくは無置
換のアルカノイル基(たとえばアセチル,プロピオニ
ル,トリフルオロアセチルなど)、置換オキシカルボニ
ル基(たとえばメトキシカルボニル,エトキシカルボニ
ル,イソプロポキシカルボニル,tert−ブトキシカルボ
ニル、フェノキシカルボニル,ベンジルオキシカルボニ
ル,p−メチルベンジルオキシカルボニル,ベンズヒドリ
ルオキシカルボニルなど)、tert−ブチル基,アラルキ
ル基(たとえばベンジル,p−メチルベンジル,p−メトキ
シベンジル,p−クロロベンジル,ベンズヒドリル,トリ
チルなど)、置換シリル基(たとえばトリメチルシリ
ル,tert−ブチルジメチルシリルなど)などが例示され
る。
原料化合物(B)のイミノ基は保護されていてもよ
い。イミノ基の保護基としては、置換もしくは無置換の
アルカノイル基(たとえばホルミル,アセチル,モノク
ロロアセチル,トリクロロアセチル,モノヨードアセチ
ル,3−オキソブチリル,p−クロロフェニルアセチル、p
−クロロフェノキシアセチルなど),芳香族カルボニル
基(たとえばベンゾイル,p−tert−ブチルベンゾイルな
ど),置換オキシカルボニル基(メトキシカルボニル,
エトキシカルボニル,tert−ブトキシカルボニル,ベン
ジルオキシカルボニル,p−クロロベンジルオキシカルボ
ニル,p−メチルベンジルオキシカルボニル,ベンズヒド
リルオキシカルボニルなど)などがあげられる。
(A),(B)からその塩や反応性誘導体を製造した
り、これらに保護基を導入したりする場合、公知の方法
またはそれに準ずる方法を用いて容易に行ないうる。化
合物(A)と化合物(B)との反応においては、たとえ
ば原料化合物(A)の反応性誘導体を反応混合物から単
離された物質として化合物(B)と反応させてもよい
し、または単離前の原料化合物(A)の反応性誘導体を
含有する反応混合物をそのまま化合物(B)と反応させ
てもよい。化合物(A),(B)のうち、カルボキシル
基を提供する側の化合物を遊離酸または塩の状態でもう
一方の化合物と反応させる場合は適当な縮合剤を用い
る。縮合剤としてはたとえばN,N′−ジシクロヘキシル
カルボジイミドなどのN,N−ジ置換カルボジイミド類,
たとえばN,N′−カルボニルジイミダゾール,N,N′−チ
オカルボニルジイミダゾールなどのアゾライド類,たと
えばN−エトキシカルボニル−2−エトキシ−1,2−ジ
ヒドロキノリン,オキシ塩化リン,アルコキシアセチレ
ンなどの脱水剤、たとえば2−クロロピリジニウムメチ
ルアイオダイド,2−フルオロピリジニウムメチルアイオ
ダイドなどの2−ハロゲノピリジニウム塩類などが用い
られる。これらの縮合剤を用いた場合、反応は化合物
(A)又は(B)の反応性誘導体を経て進行すると考え
られる。
化合物(A)と化合物(B)との反応は一般に溶媒中
で行なわれ、反応を阻害しない溶媒が適宜に選択され
る。このような溶媒としてはたとえばジオキサン,テト
ラヒドロフラン,ジエチルエーテル,tert−ブチルメチ
ルエーテル,ジイソプロピルエーテル,エチレングリコ
ールジメチルエーテルなどのエーテル類、たとえばギ酸
エチル,酢酸エチル,酢酸ブチルなどのエステル類、た
とえばジクロロメタン,クロロホルム,四塩化炭素,ト
リクレン,1,2−ジクロロエタンなどのハロゲン化炭化水
素類、たとえばヘキサン,ベンゼン,トルエンなどの炭
化水素類、たとえばホルムアミド,N,N−ジメチルホルム
アミド,N,N−ジメチルアセトアミドなどのアミド類、た
とえばアセトン,メチルエチルケトン,メチルイソブチ
ルケトンなどのケトン類、たとえばアセトニトリル,プ
ロピオニトリルなどのニトリル類などのほか、ジメチル
スルホキサイド,スルホラン,ヘキサメチルホスホルア
ミド,水などが単独または混合溶媒として用いられる。
化合物(A),(B)のうち、縮合反応にアミノ基が関
与する側の化合物の使用量は他方の化合物1モルに対し
て通常1/5〜5モル,好ましくは1/3〜3モルである。反
応は−80〜80℃,好ましくは−40〜50℃,最も好ましく
は−30〜30℃の温度範囲で行われる。反応時間は化合物
(A)および化合物(B)の種類,溶媒の種類(混合溶
媒の場合はその混合比も),反応温度などに依存し、通
常1分〜72時間,好ましくは15分〜24時間である。化合
物(A)又は(B)の酸ハライドを用いた場合は放出さ
れるハロゲン化水素を反応系から除去する目的で脱酸剤
の存在下に反応を行うことができる。このような脱酸剤
としてはたとえば炭酸ナトリウム,炭酸カリウム,炭酸
カルシウム,炭酸水素ナトリウムなどの無機塩基,たと
えばトリエチルアミン,トリプロピルアミン,トリブチ
ルアミン,ジイソプロピルエチルアミン,シクロヘキシ
ルジメチルアミン,ピリジン,ルチジン,γ−コリジ
ン,N,N−ジメチルアニリン,N−メチルピペジリン,N−メ
チルピロリジン,N−メチルモルホリンなどの第3級アミ
ン,たとえばプロピレンオキサイド,エピクロルヒドリ
ンなどのアルキレンオキサイドなどがあげられる。
化合物(A)と化合物(B)とを上記のように反応さ
せたのち,要すれば保護基の脱離および精製を行うこと
により本発明の目的化合物(1)を得ることができる。
保護基の脱離法はたとえばペプチド合成の分野で通常使
用される方法をそのまま利用できる。たとえばメトキシ
カルボニル,エトキシカルボニル,tert−ブトキシカル
ボニル,フェノキシカルボニルなどは酸(たとえば塩酸
やトリフルオロ酢酸)により、ベンジルオキシカルボニ
ル,p−メチルエンジルオキシカルボニル,ベンズヒドリ
ルオキシカルボニルなどは接触還元により、ベンジル,p
−メチルベンジル,p−メトキシベンジル,p−クロロベン
ジル,ベンズヒドリル,トリチルなどは酸(たとえばト
リフルオロ酢酸)または接触還元により、トリメチルシ
リル,tert−ブチルジメチルシリルなどは水のみにより
または酢酸存在下に脱離することができる。
上記の保護基の脱離を行う場合、化合物(A)と化合
物(B)の反応から得られた反応混合物から水酸基,ア
ミノ基,イミノ基を保護した化合物(1)を単離したの
ちに保護基の脱離操作を行なってもよいし、また、反応
混合物のままで行なってもよい。水酸基,アミノ基,イ
ミノ基を保護した化合物(A)および本発明の目的化合
物(A)の精製は、抽出法,ゲルろ過,イオン交換樹脂
カラムクロマトグラフィー,シリカゲル分取薄層クロマ
トグラフィー,高速液体クロマトグラフィー,再結晶法
などの公知の精製手段を用いて行うことができる。化合
物(A)と化合物(B)は公知の方法またはそれに準ず
る方法により入手することができる。
例えば、式 (式中、−Bzlはベンジル基を、Z−はベンジルオキシ
カルボニル基を表わし、他の記号は前義の通り。)で表
わされる公知化合物(以下化合物(2)と記す)を出発
物質として、ペプチド鎖を延長する製造法等が、好まし
い具体的方法として挙げられる。
上記方法で出発物質として用いられる化合物(2)は
テトラヘドロン レターズ28,3509〜3510(1987)に記
載の化合物である。
但し、出発物質(2)は、ベンジル基及びベンジルオ
キシカルボニル基により水酸基及びアミノ基を保護して
いるが、これらの保護基には限定されず、ペプチド合成
の際通常用いられる他の保護基に置換し得ることはいう
までもない。
例えば、上記化合物(2)を出発物質とする製造法の
場合、化合物(2)又はその塩に例えば、保護されてい
てもよいAla−Gly−Argのアミノ酸配列のペプチドフラ
グメントを持つ化合物又はその誘導体又はその塩と縮合
させてもよいし、化合物(2)又はその塩とアラニン又
はその誘導体又はその塩とを縮合させ、この生成物とグ
リシン又はその誘導体又はその塩とを縮合させ、更にそ
の生成物とアルギニン又はその誘導体又はその塩とを縮
合させてクラバミンを製造することもできる。この場
合、アラニン、グリシン、アルギニンあるいは、それら
のペプチドフラグメントのペプチド鎖延長に関与しない
官能基は、やはり上記したように通常保護した上、反応
に付される。その保護基としては、やはりペプチド合成
分野で通常用いられる保護基の種々のものが選択され得
る。とりわけ、アミノ基に対してはtert−ブトキシカル
ボニル基又はベンジルオキシカルボニル基が、又水酸基
に対してはベンジル基等が一般に好都合である。
化合物(2)の保護基同様、上記アミノ酸及びペプチ
ドフラグメントの保護基は、反応終了後随時、上記した
ような方法により除去し得る。とりわけ、tert−ブトキ
シカルボニル基の保護基に対してはトリフルオロ酢酸を
用い、ベンジル基及びベンジルオキシカルボニル基の保
護基に対しては、接触還元法やあるいは副反応を抑えら
れるという利点からCF3SO3H−CF3COOHの系等を用いるこ
とにより、それぞれの保護基を脱離するのが通常、好ま
しい態様である。一般にトリフルオロ酢酸等を用いる場
合、これらに溶解又は懸濁させ、放置又はかくはんする
ことにより行なうことができる。
一方、このようなペプチド鎖を延長していく縮合反応
において、カルボキシル基は、上記したように遊離のま
までも、又上記したような反応性誘導体に導くことによ
り反応させることもできるが、このようなC末端の反応
性誘導体としては、上記したもののうち、とりわけ、炭
酸モノアルキルエステル等との混合酸無水物、p−ニト
ロフェニルエステル、N−フタルイミドエステル、N−
オキシコハク酸イミドエステル等の活性エステルが、好
ましい例として挙げられる。
化合物(2)を出発物質としてクラバミンを製造する
具体的方法としては、例えば次式に示すようなルートが
あげられる。
式中、Cat,Put,Asn,Ala,Cly,Arg,Bzl,Zは前記した通
りの意義で、Bocは、tert−ブトキシカルボニル基を、O
Suはサクシンイミドオキシ基を、TFAはトリフルオロ酢
酸を表わす。
第2図で示される合成ルートを例にとり、以下製法を
具体的に述べる。
(a)工程 化合物(2)から化合物(3)への反応は前記したよ
うにペプチド合成分野における縮合反応を行なう条件に
従って実施することができる。具体的には化合物(A)
と(B)の縮合反応に関して、上記した条件で行なうこ
とができる。
例えば、化合物(2)をDMF,DMSO等の反応に不活性な
溶媒に溶解し、通常トリエチルアミン等の塩基ととも
に、アラニン誘導体(通常、N末端はアミノ保護基で保
護され、C末端は上記したような反応性誘導体に導かれ
たものが好ましい。例、Boc−Ala−OSu)を加え、撹拌
することにより行なうことができる。反応温度は、約−
40〜50℃、好ましくは約0℃〜30℃、反応時間は約15分
〜24時間程度である。
化合物(2)とアラニン誘導体の使用割合は、約1:1
〜1:3、好ましくは約1:1〜1:2のモル比である。
(b)工程 化合物(3)から化合物(4)への反応は、上記した
ような方法で化合物(3)のN末端保護基を選択的に脱
離し、得られる生成物とグリシン誘導体(通常、N末端
はアミノ保護基で保護され、C末端は上記したような反
応性誘導体に導かれたものが好ましい。例、Boc−Gly−
OSu)を(a)工程と同様な条件のもとで、縮合させる
ことにより行なわれる。
(c)工程 化合物(4)から、上述したような方法でN末端保護
基を除去し、その生成物とアルギニン又はその誘導体
(通常、アミノ基、イミノ基は、それぞれの保護基で保
護され、さらにC末端が反応性誘導体へ導かれたもの等
が好ましい。例、Z−Arg(Z2)−OH+(CH32CHCH2OC
OClの反応混合物)を、−40〜50℃好ましくは−30〜30
℃程度で約30分から50時間程度反応させることにより通
常化合物(5)が得られる。
(d)工程 化合物(5)の保護基を前述のような保護基除去方法
に従い、除去することにより本発明の目的化合物である
クラバミンを得ることができる。
以上第2図に示した合成ルートを例にとり、クラバミ
ンの製法を具体的に説明したが、アミノ酸又はペプチド
フラグメントあるいはその誘導体又はその塩を用い上述
したような縮合反応、脱保護反応とを組み合わせること
により、要するに2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸又
は、末端に2,4−ジヒドロキシフェニルアセチル基を有
し、その後にクラバミンのアミノ酸配列を有するペプチ
ドフラグメント又はその誘導体又はその塩のペプチド鎖
を延長していくことによりクラバミン又はその塩は製造
することができる。
尚、クラバミン又はその塩のin vivoのバイオアッセ
イは、各精製段階の画分を含む水溶液に、チカイエカの
若齢幼虫を放し、3時間後の致死率をみることにより行
った。
より詳しくは、チカイエカ(Culex mosquito)の1〜
2齢幼虫10頭を、アイスクリームカップ(50ml)に入れ
た。検体溶液に放し、3時間後の致死率を測定した。ク
ラバミンについては毒腺5個に相当する量を溶かした検
体液で100%の致死率をしめした。以下毒腺1個に相当
する活性を1単位(U)と決めた。
本発明のクラバミン又はその塩は殺虫活性を有し、殺
虫剤として用いることができる。
本発明のクラバミンまたはその塩を殺虫剤として使用
するにあたっては、一般の農薬のとり得る形態、即ち、
クラバミン又はその塩を使用目的によって適当な液体の
担体に溶解するか分散させ、また適当な固体担体と混合
するか吸着させ、乳剤,油剤,水和剤,粉剤,粒剤,錠
剤,噴霧剤,軟膏などの剤型として使用する。これらの
製剤は必要ならばたとえば乳化剤,懸濁剤,展着剤,浸
透剤,湿潤剤,粘漿剤,安定剤などを添加してもよく、
自体公知の方法で調製することができる。
殺虫剤中の有効成分の含有割合は使用目的によって異
なるが、乳剤,水和剤などは10〜90重量%程度が適当で
あり、油剤,粉剤などとしては0.1%〜10重量%程度が
適当であり、粒剤としては1%〜20重量%程度が適当で
あるが、使用目的によっては、これらの濃度を適宜変更
してもよい。乳剤,水和剤などは使用に際して、水など
で適宜希釈増量(たとえば100〜100000倍)して散布す
る。
使用する液体担体(溶剤)としては、例えば水、アル
コール類(たとえば、メチルアルコール,エチルアルコ
ール,n−プロピルアルコール,イソプロピルアルコー
ル,エチレングリコールなど)、ケトン類(たとえば、
アセトン,メチルエチルケトンなど)、エーテル類(た
とえば、ジオキサン,テトラヒドロフラン,エチレング
リコールモノメチルエーテル,ジエチレングリコールモ
ノメチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエ
ーテルなど)、脂肪族炭化水素類(たとえば、ケロシ
ン,灯油,燃料油,機械油など)、芳香族炭化水素類
(たとえば、ベンゼン,トルエン,キシレン,ソルベン
トナフサ,メチルナフタレンなど)、ハロゲン化炭化水
素類(たとえば、メチレンクロリド,クロロホルム,四
塩化炭素など)、酸アミド類(たとえば、ジメチルホル
ムアミド,ジメチルアセトアミドなど)、エステル類
(たとえば、酢酸エチル,酢酸ブチル,脂肪酸グリセリ
ンエステルなど)、ニトリル類(たとえば、アセトニト
リル,プロピオニトリルなど)などの溶媒が適当であ
り、これらは1種または2種以上を適当な割合で混合し
て使用する。
固体担体(希釈・増量剤)としては、植物成粉末(た
とえば、大豆粉,タバコ粉,小麦粉,木粉など)、鉱物
性粉末(たとえば、カオリン,ベントナイト,酸性白土
などのクレイ類、滑石粉,ロウ石粉などのタルク類、珪
藻土,雲母粉などのシリカ類など)、アルミナ、硫黄粉
末、活性炭などが用いられ、これらは1種又は2種以上
を適当な割合で混合して使用する。
また、軟膏基剤としては、たとえばポリエチレングリ
コール,ペクチン,たとえばモノステアリン酸グリセリ
ンエステル等の高級脂肪酸の多価アルコールエステル,
たとえばメチルセルロース等のセルローズ誘導体,アル
ギン酸ナトリウム,ベントナイト,高級アルコール,た
とえばグリセリン等の多価アルコール,ワセリン,白色
ワセリン,流動パラフィン,豚脂,各種植物油,ラノリ
ン,脱水ラノリン,硬化油,樹脂類等の1種または2種
以上、あるいはこれらに下記に示す各種界面活性剤を添
加したもの等が使用される。
乳化剤,展着剤,浸透剤,分散剤などとして使用され
る界面活性剤としては、必要に応じて石けん類,ポリオ
キシエチレンアルキルアリールエーテル類[例、ノイゲ
ン,イー・エー 142(E・A142) 第一工業製薬
(株)製:ノナール ,東邦化学(株)製],アルキル
硫酸塩類[例、エマール 10 ,エマール40 ,花王
(株)製],アルキルスルホン酸塩類[例、ネオゲ
,ネオゲンT ,第一工業製薬(株)製:ネオペレ
ツクス 花王(株)製],ポリエチレングリコールエー
テル類[例、ノニポール85 ,ノニポール100 ,ノニ
ポール160 ,三洋化成(株)製],多価アルコールエ
ステル類[例、トウイーン20 ,トウイーン80 ,花王
(株)製]などの非イオン系及びアニオン系界面活性剤
が用いられる。
又、本発明化合物と例えば他種の殺虫剤(ピレスリン
系殺虫剤,有機リン系殺虫剤,カルバメート系殺虫剤,
天然殺虫剤など),殺ダニ剤,殺線虫剤,除草剤,植物
ホルモン剤,植物発育調節物質,殺菌剤(たとえば銅系
殺菌剤,有機塩素系殺菌剤,有機硫黄系殺菌剤,フェノ
ール系殺菌剤など),共力剤,誘引剤,忌避剤,色素,
肥料などを配合し、混合使用することも可能である。
発明の効果 本発明のクラバミンは、ジョロウグモ毒腺から抽出精
製されたものも、合成によって得たものもいずれも下記
in vivoバイオアッセイの結果に示されるように殺虫活
性を有する。さらにこのようなクラバミンの殺虫活性は
金属イオンにより、より増強される。
従って、クラバミン又はその塩は殺虫組成物を提供し
得る。
実施例 以下実施例によって本発明を更に具体的に説明する
が、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
実施例1 (1)毒腺の破砕と水抽出 N.clavata 4280匹を近畿地方の山野より採集し、各2
対の毒腺を取り出した。毒腺の湿重量4.5gに水18mlを加
え、100℃で2分間加熱処理した。ガラス棒でつぶしな
がらホモゲナイズした。この液を10000rpmで10分間遠心
分離した。上清18mlを得た。この上清は、乾燥重量にし
て300mgあった。比活性9.6U/mgであった。この操作を繰
り返すことにより全乾燥重量1gの抽出物を得た。
(2)セファデックスG−10による分子ふるい 上記(1)の操作の一回分相当量の上清をセファデッ
クスG−10(1.7cm×50cm)のカラムに通した。0.7ml/m
inの流速で水を流した。溶離液は、254nmの吸光度でモ
ニターして、第1図のようなクロマトグラムを得た。第
2のピークに主活性成分が存在することが分かった。こ
の成分は全活性の76%に相当した。このような分子ふる
いを繰り返し、全量46mgを得た。この比活性は163U/mg
となった。
(3)MPG−ODSカラムによるHPLC 上記操作(2)で得た活性画分10mgを水100μに溶
かし、MPG−ODSカラム(21.5mm×30cm)に注入した。0.
02%HCl−アセトニトリル(4:1,v/v)混液を5.5ml/min
の速度で流した。溶離液は、214nmの吸光度でモニター
した。第2図のクロマトグラム上で最初に表われるピー
クに相当する画分虫に活性成分が存在した。この操作を
4回繰返した。水抽出液からの回収率は69%となり、乾
燥重量当たりの活性は574U/mgとなった。乾燥重量12mg
が得られた。
(4)SP−セファデックスカラムクロマトグラフィー 上記(3)で得られた精製物12mgの水溶液を、金属塩
になっていたので、その10mgをSP−セファデックス(H
型)カラム(1.5cm×2cm)に素通りさせて、これを濃縮
乾固した。最終精製物とした。重量約9mgを得た。
(5)精製物のTLC 微結晶セルロース(東京化成工業)に上記(4)の最
終精製物2nmolをスポットし、n−プロパノール−水
(7:3,v/v)で展開し、フルオレスカミンをスプレーし
て、蛍光スポットで検出したところ、第3図に示すよう
に単一スポットがあり、アミノ基の存在が確認された。
(6)精製物のHPLC 上記(4)の最終精製物25pmolを25℃のMPG−ODSカラ
ム(4.6mm×150cm)に注入し、30mMペンタンスルホン酸
と5%アセトニトリル含有溶離液0.7ml/minで溶離し
た。この溶液に0.7ml/minでオルトフタルアルデヒド溶
液を常法で反応させ蛍光強度をモニターした。第4図に
示すように単一のピークを示した。
(7)精製物の加水分解物のGC 上記(4)の最終精製物を278nmで3500の分子吸収係
数に基づいて計算した25nmolを105℃,16時間6N HClで
加水分解した。塩酸を乾固後、P2O5デシケーターで更に
乾固した。これに、イソブタノール−3N HClの混液
(ガスクロ工業)100μを加えて、N2置換し、110℃
で,30分加熱した。常温で冷却、乾固後5μのエトキ
シギ酸無水物を含む酢酸エチル25μとヘプタフルオロ
酪酸を加えて、N2置換後、110℃,10分加熱した。反応液
を乾固し、50μの酢酸エチルに溶かし、0.5μを次
の条件のガスクロマトグラフShimadzu GC−8Aに注入し
た。OV−101のカラム(0.25mm×50cm)の温度は220℃と
した。気化室、検出器の温度は270℃とした。キャリヤ
ーガスのN2の圧力は2kg/cm2とした。検出は、水素炎イ
オン化検出器を使用した。カラムへの注入のためのスプ
リット比を1:80とした。クロマトグラムを第5図に示
す。クロマトグラムより、グリシン(Gly),カダベリ
ン(Cad),2,4−ジヒドロキシフェニル酢酸(DHA),ア
ラニン(Ala),アスパラギン酸(Asp),アルギニン
(Arg)及び、プウトレアニン(Put)の存在が確認され
た。
(8)精製物のエドマン分解およびダンシル (DNS)化による一次構造の決定 35nmolの上記(4)の精製物を使い、常法によりエド
マン分解およびDNS化をして、6N−HClポリアミドのTLC
により、各分解ステップにより表れるスポットをみた。
エドマン分解しない場合のN端はArg、第1回のエドマ
ン分解でGlyが2回目でAlaが表れ、次いで順次DHA,Put,
Cad及びAspが表れた。このことから以前構造がきめられ
ていたクモ毒にArg−Gly−Alaが結合している式(1)
の構造が推定された。
(9)精製物の1H−NMR−スペクトロメトリー 上記(4)の精製物を0.5mlD2Oに溶解し、一次と二次
1H−NMRスペクトルをNMR−スペクトメーターJNM−GX4
00(日本電子)で測定した。第6図にその二次元のスペ
クトルを示す。
(10)精製物のマススペクトロメトリー(MS) 上記(4)の精製物をマススペクトロメトリーJNM−D
X3000(日本電子)に注入したトリエタノールアミンを
マトリックスとする高速原子衝突FABマススペクトロメ
トリーのスペクトルを第7図に示す。このように(M+
H=793)がみられた。
実施例2 (100mg,0.113mmol)をDMF(10ml)に溶解し、トリエチ
ルアミン(13.7mg,0.136mmol)とBoc−Ala−OSu(64.8m
g,0.226mmol)を加え室温で20時間撹拌した。反応溶液
を減圧濃縮し、得られた油状物に酢酸エチルと水を加え
ると固化した。ろ取し、酢酸エチル,ついで水で洗浄し
た。収量89.6mg(80.0%) (69.6mg,70.0μmol)をTFA(2ml)に溶かし室温で1.5
時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた油状物
にエーテルを加えると固化した。収量61.6mg この固体をDMF(8ml)に溶かしトリエチルアミン(7.
42mg,73.3μmol)とBoc−Gly−OSu(30.8mg,122μmol)
を加え室温で20時間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮した
後、酢酸エチルと水を加えると固化した。ろ取した酢酸
エチル,ついで水で洗浄した。収量34.2mg(46.9%) (4)(30.0mg,28.5μmol)をTFA(1ml)に溶かし、室
温で35分間撹拌した。反応溶液を減圧濃縮して得られた
油状物にエーテルを加えると固化した。収量21.9mg。こ
のものをDMF(1ml)に溶かしトリエチルアミン(1.8mg,
18μmol)を加え−20℃に冷却した(溶液A)。別にZ
−Arg(Z2)−OH(21.2mg,36.8μ)を無水テトラヒド
ロフラン(1ml)に溶かし、トリエチルアミン(3.7mg,3
7μmol)とクロロギ酸イソブチル(5.0mg,37μmol)を
−20℃で加え10分間撹拌した。この溶液を先に調製した
溶液Aに−20℃で加え1時間撹拌した後、室温で20時間
撹拌した。反応溶液を減圧濃縮し、得られた油状物に酢
酸エチルと水を加えると固化した。ろ取し酢酸エチルつ
いで水で洗浄した。収量18.4mg(48.7%) (15.0mg,10.2μmol)をトリフルオロメタンスルホン酸
−TFA−m−クレゾール−チオアニソール(5:20:6:6)
(285μ)に溶解し、0℃で1時間撹拌した。反応溶
液にエーテルを加えると沈殿が得られた。これを水に溶
かしエーテルで3回洗浄した後水層を高速液体クロマト
グラフィーにより精製した。(コスモシール5C18,8×25
0mm,0.1%TFA−アセトニトリル,0−30%(15分),30−6
0%(5分)保持時間15.0,分検出波長220nm)収量4.6mg
(41%) アミノ酸分析値 Asp:0.94,Gly:1.02,Ala:1.02,Put:1.0
2,Arg:1.00 NMR:1.18(m,2H),1.36(d,3H),1.44(m,4H),1.56
(m,2H),1.67(m,4H),1.93(m,2H),2.63(t,2H),2.
73(ddd,2H),3.05(t,2H),3.10(m,4H),3.21(m,4
H),3.26(t,2H),3.52(dd,2H),4.01(d,2H),4.06
(t,1H),4.24(q,1H),4.60(m,1H),6.44(m,2H),7.
08(d,1H)(HODをδ6.70とした化学シフト) 尚、本実施例で合成されたクラバミンのアミノ酸フラ
グメントはすべてL体である。
このようにして得られた合成品のTCL Rf値,HPLCの保
持時間,MS,NMRスペクトルは精製物のそれらと全く一致
し、更に合成品の加水分解物のGCも精製物の加水分解物
のそれと全く一致した。
殺虫効果試験例 精製および合成クラバミンの殺虫作用と金属イオンの
効果を調べた。
1個の毒腺、つまり1Uに1×10-7Mのクラバミンが存
在すると仮定し、3×10-6M精製および合成クラバミン
液又は毒腺水抽出液各0.5mlを調製した。さらに、これ
らの液に等モルの金属イオン3×10-6Mを含む液を調製
した。各液は1.6Mクエン酸ナトリウムでpH7.0になるよ
うに調整した。この液をさらに同一に希釈して、チカイ
エカに対する殺虫作用を測定した。
結果を表1に示した。
表1に示すように精製および合成クラバミンとも殺虫
作用を示した。毒腺に含まれている金属イオンでCa2+
Pb+2に増強作用があることも判明した。又、Fe+3にも弱
い増強作用がみられた。
【図面の簡単な説明】
第1図は、クラバミンを含むジョロウグモ毒腺からの抽
出物をセファデックスG−10の分子ふるい通した場合の
クロマトグラムを示す。 第2図は、上記分子ふるいを通した活性画分をMPG−ODS
カラムによるHPLCにかけた場合のクロマトグラムを示
す。 尚、0.02%HCl−アセトニトリル(4:1,v/v)の溶離液は
矢印の点で0.02%HCl−アセトニトリル(1:1,v/v)に
変えた。又矢印の点で0.02%HClのアセトニトリル溶
液に変えた。第3図は、クラバミンの最終精製物のTLC
によるクロマトグラムを示す。 第4図は、クラバミンの最終精製物のHPLCによるクロマ
トグラムを示す。 第5図は、クラバミンの最終精製物のHCl加水分解物誘
導体のGCによるクロマトグラムを示す。第6図は、クラ
バミンの最終精製物の二次元1H−COSY−NMRスペクトル
を示す。 第7図は、クラバミンの最終精製物のFAB−マススペク
トルを示す。

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】式 で表わされるクラバミン又はその塩。
  2. 【請求項2】ジョロウグモ(Joro spider,Nephila clav
    ata)の毒腺を所望により破砕した後、同毒腺から抽出
    し、単離精製することを特徴とする請求項1記載のクラ
    バミン又はその塩の製造法。
  3. 【請求項3】2,4−ジヒドロキシフェニルアセチル基又
    は2,4−ジヒドロキシフェニルアセチル基を末端に有す
    るクラバミンのペプチドフラグメントと、クラバミンの
    その残余の部分に相当するペプチドフラグメントとを結
    合させ要すれば保護基を脱離することを特徴とするクラ
    バミンの製造法。
  4. 【請求項4】請求項1記載の化合物と農薬的に許容し得
    る担体とを含有することを特徴とする殺虫剤組成物。
JP63220640A 1988-09-02 1988-09-02 クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物 Expired - Lifetime JP2665600B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63220640A JP2665600B2 (ja) 1988-09-02 1988-09-02 クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP63220640A JP2665600B2 (ja) 1988-09-02 1988-09-02 クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0269497A JPH0269497A (ja) 1990-03-08
JP2665600B2 true JP2665600B2 (ja) 1997-10-22

Family

ID=16754134

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP63220640A Expired - Lifetime JP2665600B2 (ja) 1988-09-02 1988-09-02 クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2665600B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2003157020A (ja) 2001-11-22 2003-05-30 Advanced Display Inc フレキシブル基板の実装方法および表示装置

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0269497A (ja) 1990-03-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
AU600226B2 (en) Novel peptidase inhibitors
Grehn et al. Novel efficient total synthesis of antiviral antibiotic distamycin A
DE69432573T2 (de) Inhibitoren des Endothelin konvertierenden Enzyms
Tamiaki et al. A novel protecting group for constructing combinatorial peptide libraries
PT94623A (pt) Processo de preparacao de antagonistas da colecistoquinina e de composicoes farmaceuticas que os contem
Narendra et al. T3P®(propylphosphonic anhydride) mediated conversion of carboxylic acids into acid azides and one-pot synthesis of ureidopeptides
JP2012500778A (ja) アンドロゲン受容体のn末端の活性化の小分子阻害剤
Kolasa et al. Synthesis of the chromophore of pseudobactin, a fluorescent siderophore from Pseudomonas
HUT52525A (en) Process for producing retroviral proteaz-inhibitors and pharmaceutical compositions containing them as active components
EP0187095B1 (fr) Esters de tri- et tétrapeptides inhibiteurs de la sécrétion gastrique, procédé d'obtention et compositions pharmaceutiques les contenant
Cheah et al. Facile ring-opening of N-acylisatins for the development of novel peptidomimetics
JP2665600B2 (ja) クラバミン,その製造法およびその殺虫組成物
Shantharam et al. Design and synthesis of amino acids-conjugated heterocycle derived ureas/thioureas as potent inhibitors of protein glycation
KR870000810B1 (ko) 펩타이드-치환된 헤테로사이클릭 화합물의 제조방법
IE883731L (en) Non-peptidic renin inhibitors
LU85269A1 (fr) Composes nouveaux de somatostatine,procede pour leur synthese,preparation a usage veterinaire contenant lesdits composes et procede pour le traitement d'animaux
FR2828884A1 (fr) Hydrazinopeptoides et leurs utilisations dans le traitement des cancers
KR19990063942A (ko) 폴리플루오로알킬 트립토판 트리펩타이드 트롬빈 억제제
JP3165698B2 (ja) チオアシル化試薬および中間体,チオペプチド,およびこれらの調製および使用法
JPH0647599B2 (ja) ヘプタノイル―Glu―Asp―Ala―アミノ酸系免疫賦活薬
WO2019034175A1 (zh) 一种非天然鹅膏毒肽类抗体偶联物
Marinier et al. The 2, 2, 2-trichloroethyl group for carboxyl protection during peptide synthesis
WO2000035868A2 (en) Methods for the synthesis of alpha-hydroxy-beta-amino acid and amide derivatives
Himaja et al. Synthesis and biological evaluation of Pseudostellarin D
Konno et al. Synthesis of tokaramide A, a cysteine protease inhibitor from marine sponge Theonella aff. mirabilis