JP2665507B2 - 兵器用消音装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は砲身とは別の取付装置に
取付けられる請求項１に記載の兵器用消音装置に係わ
る。

【０００２】

【従来の技術】特にピストルや携帯火器のための消音装
置の構造及び作用は例えばドイツ公開公報第１ ５５３
８７４号、ドイツ公開公報第２ １２７ ８７７号、
米国特許第３，７１３，３６２号または米国特許第４，
５７６，０８３号から公知である。一般に公知の消音装
置においては、直列に配列された外部から遮断された複
数のチェンバによって消音装置の前端壁に設けた砲弾射
出開口からの推進ガスのエネルギーを弱める。その場
合、推進ガスのエネルギーを吸収するかまたはチェンバ
内で爆風をできるだけ充分に反射させる金網をチェンバ
内に配置するのが効果的である（例えばドイツ公開公報
第２ １２７ ８７７号参照）。原則として個々の消音
装置は火器に直接装着され、個々の火器の音響発生特性
に合わせて設計されているから、異種の火器に使用でき
ることはまれである。

【０００３】公知消音装置を大口径の火器（戦車砲、ロ
ケット砲、高射砲など）の砲口に直接取付けても事実上
効果のないことが立証されている。即ち、口径が大き
く、従って発射音も大きいから、消音装置も大型化し、
重量も大きくならざるを得ないからである。射撃演習に
際して住民を騒音から保護するため、演習場において砲
から直接発生した音を例えばドーム、土塁、植込みなど
で緩和する試みがなされた。しかし、このような構想は
構造経費が嵩み、しかも必ずしも有効ではない。

【０００４】小口径の銃の場合のように銃身そのものに
取付けるのではなく、砲身とは機械的に分離されている
消音装置支持架に消音装置を取付け、好ましくは前記支
持架を砲身の効きに同期させて案内できるようにした消
音装置が既に提案されている（出願４３１７６７３．９
号）。しかし、この上記出願も使用される消音装置がそ
れぞれの種類の砲に特定されることを前提としているか
ら、砲の種類を交換すれば必然的に消音装置全体の、場
合によっては支持架の交換も必要になる。

【０００５】

【発明が解決しようとする課題】そこで本発明は音響放
射を著しく軽減し、構造が簡単で、汎用性の、即ち、音
響の周波数応答が異なる種々の砲に使用できる、特に大
口径砲のための消音装置を提供することにある。本発明
はこの目的を請求項１に特徴として記載した構成によっ
て達成する。本発明のその他の好ましい実施態様を従属
請求項に記載した。

【０００６】

【課題を解決するための手段】本発明は消音装置を個々
の交換自在なモジュールから組立てるという着想に基づ
いている。それぞれのモジュールは異なる物理的原理に
基づいて消音し、それぞれ異なる周波数域に合わせて設
計される。例えば、１つのモジュールは特に個々の離散
的な低周波数の消音を行う一連の共鳴素子から成る（共
鳴モジュール）。これに対してもう１つのモジュールは
中間周波数の消音を行う複数のレフレクタを含むことが
できる（反射モジュール）。他方、吸収原理に従って作
用する最後のモジュール（吸収モジュール）は適当に構
成すれば広帯域に亘る消音を行うことができる。

【０００７】

【作用】上記モジュールを組合わせることにより、極め
て広い周波数スペクトルに亘って消音することができ、
従って、個々の砲の音響放射スペクトルに消音装置を正
確に適合させることが可能になる。その場合、消音装置
の個々のモジュールを交換するか、または互いに組合わ
せればよい。

【０００８】モジュール式に構成した消音装置が口径の
大きい砲に特に有効であることは立証されたが、口径の
小さい砲に使用しても同様の成果を得ることができる。
個々のモジュールを迅速かつ強固に組立てることができ
るようにするため、クランプストラップを設けた。この
ため、モジュールの端面に好ましくは片面が載頭錐形の
フランジを設け、内側双方が載頭錐形のクランプストラ
ップによってモジュールを一体的に組立てる。クランプ
ストラップはヒンジ連結されていてクランピングレバー
またはクランピングジャッキによって締付けられる２つ
以上のセグメントで構成すればよい。このようなクラン
プストラップを採用することによりクランプストラップ
を定着させ、フランジ間のギャップをできる限り小さく
することができる。

【０００９】モジュール間を連結する場合と同様に、最
初のモジュール及び最後のモジュールをそれぞれに対応
する消音装置の端壁と連結する場合にもクランプストラ
ップを利用することができる。吸収モジュール及び共鳴
モジュールはそれぞれのモジュールの前後端面間に固定
されて弾道を囲むかご状体を含むことが好ましい。かご
状体は軸方向に延設されたロッドと、ロッドを半径方向
に固定する複数の環とから成る。かご状体の高い音響透
過性により音響は消音材または反射チェンバにおいて減
衰され、消音装置から前方または後方へ出ることはな
い。

【００１０】かご状体の機能は周壁に適当な孔やスリッ
トを形成した管によって得ることもでき、例えば共鳴装
置に採用されることが多い。口径に関係なく、素子（反
射素子、吸収素子など）はばね、ゴムクッション、ショ
ックアブソーバ、またはこれらの組合わせを介してハウ
ジング内に弾性的に懸架すればよい。このように弾性的
かつ緩衝的に懸架することで、消音装置ハウジング及び
場合によっては支持架や土台に伝達される力が著しく軽
減される。

【００１１】本発明のその他の特徴及び利点を添付の図
面に沿って以下に説明する。

【００１２】

【実施例】図１において１は３つのモジュール２〜４か
ら組立てた消音装置である。それぞれのモジュール２〜
４は金属ハウジング５〜７から成り、端面側に片面が載
頭錐形のフランジ８〜１３を有する。内側双方が載頭錐
形を呈し、互いに隣接するフランジ９、１０と１１、１
２に巻着されるクランプストラップ１４、１５によって
モジュールを一体的にかつ着脱自在に連結する。

【００１３】消音装置１は（図示しない）砲口の例に発
射の際に砲身が貫通して突出する前端壁１６と、該前端
壁と対向し、消音装置１の内部の弾道１９を通り抜けた
のち弾丸が通過して消音装置１を出る開口１８を設けた
後端壁１７を有する。前端壁１６も後端壁１７もクラン
プストラップ２０、２１によってそれぞれに隣接するモ
ジュール２，４に固定される。

【００１４】クランプストラップ１４の構造を図２に示
す。クランプストラップ１４はヒンジ２４及びクランピ
ングレバー２５によって互いに連結された２つのセグメ
ント２２、２３から成る。２つのモジュールを連結する
ためにはクランピングレバー２５を上向きに枢動させ、
クランプストラップを互いに隣接するフランジに嵌め、
クランピングレバー２５を下向きに枢動させることによ
って締付ける。

【００１５】好ましくは消音装置１の組立て要素とする
モジュールについて以下に手短かに説明する。図１に示
すモジュール２は反射モジュールである。このモジュー
ルの内部にはモジュール両端面間に固定されて弾道を囲
むかご状体２６を設けてある。かご状体２６は主として
消音装置１の長手軸線１００と平行に延設されたロッド
２７と、ロッド２７を固定する環２８から成る。高い透
音性により、音響は反射チェンバ２９内で充分に弱めら
れる。

【００１６】図１に示すモジュール３は吸収モジュール
であり、これも高い透音性を確保するため弾道１９をこ
れと同軸関係に囲むかご状体３０を含む。かご状体３０
の弾道１９とは反対の側には消音入れ子構造３１が配置
されている。図１に示すモジュール４は共鳴モジュール
であり、ここでは弾道１９がこれと同軸関係に金属管３
２によって囲まれている。金属管３２は複数の孔３３を
有し、発射薬ガスはこの孔３３から管３４を通ってこれ
と境を接する共鳴チェンバ３５に達する。共鳴チェンバ
３５及び管３４の寸法は比較的低い周波数（例えば５０
Ｈｚ）において最大限の消音がなされるように設定す
る。

【００１７】消音装置１を介してその取付装置に作用す
る力を弱めるためには、モジュールの個々の消音素子を
少なくとも部分的にばね、ゴムクッションなどを介して
弾性的にモジュール２〜４のそれぞれのハウジング５〜
７と及び相互に連結することが好ましい。その態様を図
３に示す。図３において、３６はモジュールハウジング
の前端部分である。端壁３７はゴムクッション３８を介
して、ハウジング内壁に固定された支持部材３９に弾性
的に連結されている。壁３７と、これと対応するモジュ
ールハウジング後部に弾性的に設けた壁との間に本来の
消音素子、例えば反射チェンバまたは消音入れ子構造を
取付ける。

【図面の簡単な説明】

【図１】３つのモジュールから成る本発明の消音装置の
断面図。

【図２】モジュールを固定するためのクランプストラッ
プの正面図。

【図３】モジュール内に素子を弾性的に懸架するための
ゴムクッションの側面図。

【符号の説明】

１…消音装置 ２…反射モジュール ３…吸収モジュール ４…共鳴モジュール ５〜７…金属ハウジング ８〜１３…フランジ １４，１５…クランプストラップ １６…前端壁 １７…後端壁 １８…開口 １９…弾道 ２０，２１…クランプストラップ ２２，２３…クランプストラップセグメント ２４…ヒンジ ２５…クランピングレバー ２６…かご状体 ２７…ロッド ２８…環 ２９…反射チェンバ ３０…かご状体 ３１…消音装入物 ３２…金属管 ３３…孔 ３４…管 ３５…共鳴チェンバ ３６…モジュールハウジング ３７…前端壁 ３８…ゴムクッション ３９…支持部材 １００…消音装置の長手軸線

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ギュンター ステッフラー ドイツ連邦共和国，85256 フィールカ ーヘン，グロンタルシュトラーセ ２

Claims (8)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 それぞれの砲身とは別の取付装置に取付
   けられ、前端壁（１６）を貫通して砲身の一部が内部に
   突出しており、軸方向の弾道（１９）と、砲弾を通過さ
   せるため前端壁（１６）と対向する後端壁（１７）に設
   けた開口（１８）とを有し、砲口前方に配置された管状
   中空体から成る兵器用消音装置において、消音装置
   （１）が軸方向に直列に配置された複数のモジュール
   （２〜４）から組立て可能であり、各モジュール（２〜
   ４）が共鳴モジュール、反射モジュールおよび吸収モジ
   ュールの少なくとも１つによって消音する素子（２９、
   ３１、３４、３５）を内蔵するハウジング（５〜７）か
   ら成ることを特徴とする兵器用消音装置。
2. 【請求項２】 個々のモジュール（２〜４）が端面にフ
   ランジ（８〜１３）を有し、クランプストラップ（１
   ４、１５）を介して一体的に互いに連結されていること
   を特徴とする請求項１に記載の消音装置。
3. 【請求項３】 モジュール（２〜４）のフランジ（８〜
   １３）の片面を錐形に、クランプストラップ（１４、１
   ５）の内側を双錐形に形成したことを特徴とする請求項
   ２に記載の消音装置。
4. 【請求項４】 クランプストラップ（１４、１５）が互
   いにヒンジ連結され、クランピングレバー（２５）また
   はクランピングジャッキによって締付けることができる
   少なくとも２つのセグメント（２２、２３）から成るこ
   とを特徴とする請求項２または３に記載の消音装置。
5. 【請求項５】 前後端壁（１６、１７）をそれぞれに隣
   接するモジュール（２、４）にクランプストラップ（２
   ０、２１）を介して固定できることを特徴とする請求項
   １から請求項４までのいずれか１項に記載の消音装置。
6. 【請求項６】 消音装置（１）が反射モジュール
   （２）、吸収モジュール（３）、共鳴モジュール（４）
   及びこれらのモジュールの組合わせの少なくとも１つか
   ら成ることを特徴とする請求項１から請求項５までのい
   ずれか１項に記載の消音装置。
7. 【請求項７】 吸収モジュール（３）及び反射モジュー
   ル（２）のそれぞれが弾道（１９）をこれと同軸関係に
   囲み、かつ各モジュール（２、３）の端壁（３７）間に
   固定されたかご状体（２６、３０）を含み、かご状体
   （２６、３０）が軸方向に延設されたロッド（２７）及
   び該ロッド（２７）を半径方向に固定する複数の環（２
   ８）から成り、かご状体（２６、３０）の弾道（１９）
   とは反対の側に消音入れ子構造（３１）または反射チェ
   ンバ（２９）を設けたことを特徴とする請求項１から請
   求項６までのいずれか１項に記載の消音装置。
8. 【請求項８】 モジュール（２、３）の個々の素子（２
   ９、３１）を、ばね、ゴムクッション（３８）及びショ
   ックアブソーバの少なくとも１つを介してモジュール
   （２〜４）の個々のハウジング（５〜７、３６）内に懸
   架したことを特徴とする請求項１から請求項７までのい
   ずれか１項に記載の消音装置。